JP3974687B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばV型エンジンの如く、複数の気筒群を備えた内燃機関において、各気筒群毎にバルブタイミングを変更する可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの運転状態に応じて、吸気バルブ又は排気バルブのうち少なくとも一方のバルブ開弁タイミング(バルブタイミング)を変更させる可変バルブタイミング機構が実用化されている。この可変バルブタイミング機構によれば、吸気バルブと排気バルブとが同時に開弁している期間(バルブオーバラップ期間)を任意の期間とすることができるので、燃焼室内における燃焼効率を向上させることができる。
【0003】
かかる可変バルブタイミング機構においては、例えば、オイルコントロールバルブにより油圧を制御し、クランクシャフトに対する吸気側カムシャフト(または排気側カムシャフト)の回転位相(変位角度)を目標変位角度に向けて変位させることで、バルブタイミングが変更される。そして、複数の気筒群(バンク)を備え、1つのクランクシャフトに対して複数の吸気側カムシャフト(または排気側カムシャフト)を備えるV型エンジンの如きエンジンでは、吸気側カムシャフトの本数に対応した可変バルブタイミング機構が各バンク毎に備えられている。
【0004】
ところで、このような技術において、片側のバンクの可変バルブタイミング機構に異常が発生した場合、吸気効率の面から左右各バンクの吸入空気量に偏りが生じることとなる。しかし、燃料噴射量の算出に際しパラメータの1つとして採用される吸入空気量は、例えばエアフローメータ等のセンサ(場合によっては吸気圧センサ等)により検出されるが、この種のセンサは、各バンクの吸気ポートよりもはるか上流側に設けられている。つまり、センサの検出結果たる吸入空気量は、左右均等に空気が流れることを前提として演算に用いられる。そのため、上記の如く実際に吸入空気量に偏りが生じてしまったとしても、それが考慮されずに、各バンクに対し均等に空気が流れたものとして演算が実行されてしまう。そのため、あるバンクにとっては、適性な噴射量が得られず、また、左右バンク間でのトルク変動等が生じるおそれがあった。
【0005】
これに対し、特開平4−63922に開示された技術では、片側のバンクにおける可変バルブタイミング機構に異常が発生した場合、正常な側の可変バルブタイミング機構の制御状態を、異常側の可変バルブタイミング機構の制御状態に合わせるようにしている。かかる技術によれば、左右バンク間でトルク変動が発生するのが抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、可変バルブタイミング機構が遅角側異常(バルブタイミングが遅角側で固着してしまう異常)である場合はともかく、進角側異常の場合には、次のような問題があった。すなわち、進角側異常の場合、当該バンクのバルブオーバーラップ量は大きくなり、排気の吹き返し量(内部EGR量)が多い。そのため、低回転数、低負荷時には、失火が起こりやすい。
【0007】
このような状況下において、正常な側の可変バルブタイミング機構も進角側に制御してしまうと、なおさら失火の問題が生じやすい。そして、実際に失火が発生してしまった場合には、排気通路に設けられた触媒の温度上昇等の不具合を招いてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の気筒群を備え、各気筒群毎に可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、可変バルブタイミング機構の進角側異常に起因する失火、触媒温度上昇等の不具合を防止することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明においては、内燃機関のクランクシャフトに同期して所定のタイミングで駆動されて燃焼室に通じる吸気通路を開閉する吸気バルブについて、そのバルブタイミングの変更を行う可変バルブタイミング機構を有する気筒群を複数備えるとともに、前記可変バルブタイミング機構を駆動するアクチュエータと、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、この運転状態検出手段の検出結果に基づく前記アクチュエータの制御を通じて前記各気筒群の可変バルブタイミング機構を各別に制御するバルブタイミング制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記各気筒群の可変バルブタイミング機構の進角側異常を判断する異常判断手段と、この異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群におけるインジェクタの燃料噴射を禁止する燃焼禁止制御手段と、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記アクチュエータの制御を通じて、異常と判断されていない可変バルブタイミング機構を遅角側に制御する遅角制御手段とを備えることをその要旨としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記遅角制御手段は、前記異常と判断されていない可変バルブタイミング機構を最遅角側に固定制御するものであることをその要旨としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群における点火を禁止する点火禁止制御手段を備えることをその要旨としている。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記インジェクタの燃料噴射の禁止とは別の処理であるフューエルカットを実行するか否かを判断するための基準となるエンジン回転数について、この基準のエンジン回転数を前記フューエルカットの実行領域が拡大される方向にシフトさせる基準回転数変更制御手段を備えることをその要旨としている。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記インジェクタの燃料噴射の禁止とは別の処理であるフューエルカットを実行するか否かを判断するための基準となる吸入空気量について、この基準の吸入空気量を前記フューエルカットの実行領域が拡大される方向にシフトさせる基準吸気量変更制御手段を備えることをその要旨としている。
また、請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、空燃比の学習制御を禁止する空燃比学習禁止制御手段を備えることをその要旨としている。
また、請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、アイドル回転数制御においてアイドルアップを強制的に実行させるアイドルアップ強制制御手段を備えることをその要旨としている。
また、請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、アイドル回転数制御におけるフィードバック制御を禁止するフィードバック禁止制御手段を備えることをその要旨としている。
【0012】
(作用)
求項1に記載の発明によれば、吸気バルブは、内燃機関のクランクシャフトに同期して所定のタイミングで駆動され燃焼室に通じる吸気通路開閉する。内燃機関は複数の気筒群を有し、各気筒群は可変バルブタイミング機構を有する。可変バルブタイミング機構は、アクチュエータにより駆動され吸気バルブのバルブタイミングを変更する
【0013】
また、運転状態検出手段により内燃機関の運転状態が検出され、その検出結果に基づき、バルブタイミング制御手段によりアクチュエータが制御され各可変バルブタイミング機構が制御される。
【0014】
また、異常判断手段により、各可変バルブタイミング機構の異常が判断される。そして、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、燃焼禁止制御手段により、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群におけるインジェクタの燃料噴射が禁止される。これにより、当該気筒群における失火の発生が未然に防止される。
さらに、異常判断手段により少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が異常と判断されたとき、遅角制御手段により、正常側の可変バルブタイミング機構が遅角側に制御される。これにより、正常側の気筒群におけるバルブオーバーラップ量が小さくなるため、失火やエンストの発生が抑制される。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、異常と判断されていない可変バルブタイミング機構が最遅角側に固定制御される。これにより、失火やエンストの発生がより確実に抑制される。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、点火禁止制御手段により、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群における点火が禁止される。これにより、当該気筒群における失火の発生が未然に防止される。
また、請求項4に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、基準回転数変更制御手段により、フューエルカットの実行領域が拡大される方向に基準のエンジン回転数がシフトさせられる。これにより、可変バルブタイミング機構の進角側異常の発生時にフューエルカットが実行されやすくなるため、例えば触媒コンバータを有する内燃機関において、未燃燃料が触媒コンバータ内で燃焼することに起因する同コンバータの過熱をまねくことが抑制される。
また、請求項5に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、基準吸気量変更制御手段により、フューエルカットの実行領域が拡大される方向に基準の吸入空気量がシフトさせられる。これにより、可変バルブタイミング機構の進角側異常の発生時にフューエルカットが実行されやすくなるため、例えば触媒コンバータを有する内燃機関において、未燃燃料が触媒コンバータ内で燃焼することに起因する同コンバータの過熱をまねくことが抑制される。
また、請求項6に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、空燃比学習禁止制御手段により、空燃比の学習制御が禁止される。これにより、可変バルブタイミング機構の異常時に学習制御が実行されることに起因する不具合の発生が防止される。
また、請求項7に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、アイドルアップ強制制御手段により、アイドル回転数制御においてアイドルアップが強制的に実行させられる。これにより、可変バルブタイミング機構の異常に起因するエンストの発生が防止される。
また、請求項8に記載の発明では、少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、フィードバック禁止制御手段により、アイドル回転数制御におけるフィードバック制御が禁止される。これにより、可変バルブタイミング機構の異常時にフィードバック制御が実行されることに起因する学習制御についての不具合の発生が防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をV型エンジンのバルブタイミング制御装置に具体化した一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
先ず、本実施の形態に係るバルブタイミング制御装置VCの構成について図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は本実施の形態が適用されるガソリンエンジンシステムを示す概略構成図である。
【0019】
内燃機関としてのエンジン10は、複数のシリンダが図面を垂直方向に見てV字状に形成されているシリンダブロック11と、シリンダブロック11の上部にそれぞれ連結される左側シリンダヘッド12L、右側シリンダヘッド12Rとを備え、左側気筒群LSと右側気筒群RSを形成している。また、エンジン10は、シリンダブロック11の各シリンダ内を略上下方向に往復移動するピストン13を備え、各ピストン13の下端部にはクランクシャフト14が連結されており、各ピストン13が上下動することによりクランクシャフト14が回転させられる。
【0020】
また、クランクシャフト14の近傍には、クランク角センサ40が配設されており、クランク角センサ40は、クランクシャフト14に連結されている磁性体ロータ(図示しない)と、電磁ピックアップ(図示しない)とから構成されている。ここで、ロータの外周には等角度毎に歯が形成されており、当該歯が電磁ピックアップの前方を通過する毎にパルス状のクランク角度信号が発生する。
【0021】
さらに、後述する気筒判別センサ42による基準位置信号の発生後に、クランク角センサ40からのクランク角度信号の発生数を計測することで、ECU70(後述する)にてクランクシャフト14の回転速度(エンジン回転数NE)が算出される。
【0022】
各シリンダブロック11、及び両シリンダヘッド12L、12Rの内壁と、ピストン13の頂部とによって区画形成された空間は、混合気を燃焼させるための燃焼室15として機能し、両シリンダヘッド12L、12Rの頂部には、混合気に点火するための点火プラグ16が、燃焼室15に突出するように配設されている。また、両シリンダヘッド12L、12Rの両排気側カムシャフト33L、33R近傍には、それぞれディストリビュータ18が配設されており、各ディストリビュータ18には、両排気側カムシャフト33L、33Rの回転に伴い、所定の割合で発生する基準位置信号を検出するための気筒判別センサ42が配設されている。かかる基準位置信号は、クランクシャフト14の基準位置の検出、気筒の判別に用いられる。
【0023】
そして、各点火プラグ16は、プラグコード等(図示しない)を介してディストリビュータ18に接続されており、ECU70(後述する)からの点火信号に基づきイグナイタ19から出力された高電圧は、各ディストリビュータ18によって、クランク角度に同期して各点火プラグ16に分配される。
【0024】
また、シリンダブロック11には、冷却水通路を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出するための水温センサ43が配設されている。さらに、両シリンダヘッド12L、12Rは、それぞれ吸気ポート22、及び排気ポート32を有しており、各吸気ポート22には吸気通路20が接続されており、各排気ポート32には排気通路30が接続されている。また、シリンダヘッド12の各吸気ポート22には、吸気バルブ21が配設され、各排気ポート32には排気バルブ31が配設されている。
【0025】
そして、左側気筒群LSの各吸気バルブ21の上方には、吸気バルブ21を開閉駆動するための左側吸気側カムシャフト23Lが配置され、右側気筒群RSの各吸気バルブ21の上方には、吸気バルブ21を開閉駆動するための右側吸気側カムシャフト23Rが配置されている。また、左側気筒群LSの各排気バルブ31の上方には、排気バルブ31を開閉駆動するための左側排気側カムシャフト33Lが配置され、右側気筒群RSの各排気バルブ31の上方には、排気バルブ31を開閉駆動するための右側排気側カムシャフト33Rが配置されている。
【0026】
さらに、両吸気側カムシャフト23L、23Rの一端には、それぞれ吸気側タイミングプーリ27が装着されており、両排気側カムシャフト33L、33Rの一端には、それぞれ排気側タイミングプーリ34が装着されている。そして、各タイミングプーリ27、34は、タイミングベルト35を介して、クランクシャフト14に連結されている。
【0027】
したがって、エンジン10の作動時には、クランクシャフト14からタイミングベルト35及び各タイミングプーリ27、34を介して各カムシャフト23L、12R、33L、33Rに回転駆動力が伝達され、各カムシャフト23L、12R、33L、33Rが回転することにより、各吸気バルブ21、及び各排気バルブ31が開閉駆動される。これら各バルブ21、31は、クランクシャフト14の回転及びピストン13の上下動に同期して、すなわち、吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張行程、及び排気行程よりなるエンジン10における一連の4行程に同期して、所定の開閉タイミングで駆動される。
【0028】
さらに、両吸気側カムシャフト23L、23Rの近傍には、それぞれカム角センサ44L、44Rが配設されており、各カム角センサ44L、44Rは、両吸気側カムシャフト23L、23Rに連結された磁性体ロータ(図示しない)と電磁ピックアップ(図示しない)とから構成されている。また、磁性体ロータの外周には、複数の歯が等角度毎に形成され、例えば、所定気筒の圧縮TDCの前、BTDC90°〜30°の間に、吸気側カムシャフト23の回転にともなうパルス状のカム角度信号(変位タイミング信号)が検出されるようになっている。
【0029】
また、本実施の形態におけるガソリンエンジンシステムでは、吸気バルブ21の開閉タイミングを変更してバルブオーバラップ量の変更を実現するため、左側気筒群LS、右側気筒群RSの吸気側タイミングプーリ27にそれぞれ、油圧により駆動される可変バルブタイミング機構50L、50R(以下「VVT」という。)が配設されている。このVVT50L、50Rは、クランクシャフト14(吸気側タイミングプーリ27)の回転に対する両吸気側カムシャフト23L、23Rの変位角度を変化させることにより、吸気バルブ21のバルブタイミングを連続的に変更させるための機構である。
【0030】
そして、両VVT50L、50Rには、それぞれ対応するオイルコントロールバルブ80L、80R(以下「OCV」という。)、オイルポンプ64L、64R、オイルフィルタ66L、66Rが接続されている。本実施の形態では、OCV80L、80R、オイルポンプ64L、64R等によりアクチュエータが構成されている。
【0031】
吸気通路20の空気取り入れ側には、エアクリーナ24が接続されており、吸気通路20の途中には、アクセルペダル(図示しない)に連動して開閉駆動されるスロットルバルブ26が配設されている。そして、かかるアクセルペダルが開閉されることにより、吸入空気量が調整される。
【0032】
そして、スロットルバルブ26の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ45が配設されている。さらに、スロットルバルブ26の下流側には、吸気脈動を抑制するためのサージタンク25が形成されている。そして、サージタンク25には、サージタンク25内における吸気圧力PMを検出する吸気圧力センサ46が配設されている。また、各シリンダの吸気ポート22の近傍には、燃焼室15へ燃料を供給するためのインジェクタ17が配設されている。各インジェクタ17は、通電により開弁される電磁弁であり、各インジェクタ17には、燃料ポンプ(図示しない)から圧送される燃料が供給される。
【0033】
したがって、エンジン10の作動時には、吸気通路20には、エアクリーナ24によって濾過された空気が取り込まれ、その空気の取り込みと同時に各インジェクタ17から各吸気ポート22に向けて燃料が噴射される。この結果、吸気ポート22では混合気が生成され、混合気は、吸入行程において開弁される吸気バルブ21の開弁にともなって、燃焼室15内に吸入される。
【0034】
そして、燃焼室15における燃焼により発生した排ガスは、排気通路30に配設された触媒コンバータ28を通って、大気中に排出される。
なお、本実施の形態では、スロットルバルブ26の上流側と下流側とを連通するようにして、バイパス通路91が設けられている。また、該バイパス通路91の途中にアイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)92が設けられている。そして、アイドリング時においては、当該ISCV92の開度が調整されることにより、バイパス通路91を流れる吸入空気量が制御され、これにより、アイドング時のエンジン回転数(アイドル回転数)が制御されるようになっている。
【0035】
次に、VVT50L、50Rのシステム構成について、図2を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図2には左側気筒群LSにおけるVVT50Lと、右側気筒群RSにおけるVVT50Rとを区別することなく、単にVVT50が配設された吸気側カムシャフト23近傍の断面、及びVVT50の制御システム全体を示すものとする。
【0036】
VVT50の制御システムは、VVT50、VVT50に対して駆動力を印加するOCV80、カム角度信号を検出するカム角センサ44、カム角センサ44等の各種センサからの入力信号に基づいてOCV80を駆動制御するECU70を備えている。
【0037】
VVT50は、吸気側カムシャフト23と吸気側タイミングプーリ27との間に配設されており、吸気側カムシャフト23は、シリンダヘッド12、及びベアリングキャップ51間において回転自在に支持されている。吸気側カムシャフト23の先端部近傍には、吸気側タイミングプーリ27が相対回動可能に装着されており、また、吸気側カムシャフト23の先端には、インナキャップ52が中空ボルト53及びピン54により一体回転可能に取着されている。
【0038】
吸気側タイミングプーリ27には、キャップ55を有するハウジング56がボルト57及び、ピン58により一体回転可能に取着されており、このハウジング56によって、吸気側カムシャフト23の先端、及びインナキャップ52の全体が覆われている。また、吸気側タイミングプーリ27の外周には、タイミングベルト35を掛装するための外歯27aが多数形成されている。
【0039】
吸気側カムシャフト23、及び吸気側タイミングプーリ27は、ハウジング56、及びインナキャップ52間に介在されたリングギヤ59によって連結されている。リングギヤ59は、略円環形状をなし、吸気側タイミングプーリ27、ハウジング56、及びインナキャップ52によって囲まれた空間S内において、吸気側カムシャフト23の軸方向へ往復動自在に収容されている。また、リングギヤ59の内外周には多数の歯59a、59bが形成されている。
【0040】
これに対応して、インナキャップ52の外周、及びハウジング56の内周には、多数の歯52a、56bが形成されている。これらの歯59a、59b、52a、56bはいずれも、その歯すじが吸気側カムシャフト23の軸線に対して所定角度で交差するヘリカル歯となっている。すなわち、歯52aと歯59aとが互いに噛合し、歯56bと歯59bとが互いに噛合している、ヘリカルスプラインを構成している。
【0041】
そして、これらの噛合によって、吸気側タイミングプーリ27の回転は、ハウジング56、及びインナキャップ52を介して、吸気側カムシャフト23に伝達される。また、各歯59a、59b、52a、56bがヘリカル歯であることから、リングギヤ59が吸気側カムシャフト23の軸方向に移動すると、インナキャップ52、及びハウジング56に捻り力が付与され、吸気側カムシャフト23が吸気側タイミングプーリ27に対して相対移動する。
【0042】
空間Sには、リングギヤ59を軸方向へ移動させるために、リングギヤ59の先端側に第1油圧室60を有し、リングギヤ59の基端側に第2油圧室61を有している。そして、ベアリングキャップ51は、第1油圧供給孔51a、及び第2油圧供給孔51bを有している。また、吸気側カムシャフト23内部には、第1油圧供給孔51aと第1油圧室60とを連通する第1油圧供給路62、及び第2油圧供給孔51bと第2油圧室61とを連通する第2油圧供給路63とが形成されている。
【0043】
そして、各油圧供給孔51a、51bには、油圧ポンプ64によってオイルパン65から吸い上げられた潤滑油が、所定の圧力をもってオイルフィルタ66を介して供給される。また、各油圧供給路60、61を介して各油圧室60、61へ選択的に油圧を供給するために、各油圧供給孔51a、51bには、OCV80が接続されている。
【0044】
このOCV80は、電磁式アクチュエータ81、及びコイルスプリング82によって駆動されるプランジャ83が、スプール84を軸方向に往復移動させることにより潤滑油の流れ方向を切り替える4ポート方向制御弁である。そして、電磁式アクチュエータ81が、デューティ制御されることによってその開度が調整され、各油圧室60、61に供給する油圧の大きさが調整される。
【0045】
OCV80のケーシング85は、タンクポート85t、Aポート85a、Bポート85b、及びリザーバポート85rを有している。そして、タンクポート85tは、油圧ポンプ64を介してオイルパン65と接続されており、Aポート85aは、第1油圧供給孔51aと、Bポート85bは、第2油圧供給孔51bと接続されている。また、リザーバポート85rは、オイルパン65と連通されている。
【0046】
スプール84は、円柱状の弁体であり、2つのポート間における潤滑油の流れを封止する4つのランド84aと、2つのポート間を連通し、潤滑油の流れを許容するパセージ84b、2つのパセージ84cとを有している。
【0047】
これらの構成を備えるVVT50では、OCV80が駆動制御され、スプール84が図面左方に移動された場合には、パセージ84bはタンクポート85tとAポート85aとを連通し、第1油圧供給孔51aに潤滑油が供給される。そして、第1油圧供給孔51aに供給された潤滑油は、第1油圧供給路62を介して第1油圧室60に供給され、リングギヤ59の先端側に油圧が印加される。
【0048】
これと同時に、パセージ84cは、Bポート85bとリザーバポート85rとを連通し、第2油圧室61内の潤滑油は、第2油圧供給路63、第2油圧供給孔51b、及びOCV80のBポート85b、リザーバポート85rを介して、オイルパン65に排出される。
【0049】
したがって、リングギヤ59は、先端側に印加された油圧によって基端側(図面右方)に回動しながら移動され、インナキャップ52を介して吸気側カムシャフト23に捻りが付与される。この結果、吸気側タイミングプーリ27(クランクシャフト14)に対する吸気側カムシャフト23の回転位相(変位角度)が変更(変位)され、吸気側カムシャフト23は最遅角変位角度から最進角変位角度に向けて変位し、吸気バルブ21の開弁タイミングが進角される。
【0050】
こうして開弁タイミングが進角された吸気バルブ21は、排気バルブ31が開弁している間に開弁されることとなり、吸気バルブ21と排気バルブ31とが同時に開弁するバルブオーバラップ期間が増大する。なお、リングギヤ59の基端側への移動は、リングギヤ59が吸気側タイミングプーリ27と当接することによって規制され、リングギヤ59が吸気側タイミングプーリ27と当接して停止した際に、吸気バルブ21の開弁タイミングが最も早くなる。
【0051】
一方、OCV80が駆動制御され、スプール84が図面右方に移動された場合には、パセージ84bはタンクポート85tとBポート85bとを連通し、第2油圧供給孔51bに潤滑油が供給される。そして、第2油圧供給孔51bに供給された潤滑油は、第2油圧供給路63を介して第2油圧室61に供給され、リングギヤ59の基端側に油圧が印加される。
【0052】
これと同時に、パセージ84cは、Aポート85aとリザーバポート85rとを連通し、第1油圧室60内の潤滑油は、第1油圧供給路62、第1油圧供給孔51a、及びOCV80のAポート85a、リザーバポート85rを介して、オイルパン65に排出される。
【0053】
したがって、リングギヤ59は、基端側に印加された油圧によって先端側(図面左方)に回動しながら移動され、インナキャップ52を介して吸気側カムシャフト23に逆向きの捻りが付与される。この結果、吸気側タイミングプーリ27(クランクシャフト14)に対する吸気側カムシャフト23の回転位相(変位角度)が変更(変位)され、吸気側カムシャフト23は最進角変位角度から最遅角変位角度に向けて変位し、吸気バルブ21の開弁タイミングが遅角される。
【0054】
こうして、吸気バルブ21の開弁タイミングが遅角されることにより、吸気バルブ21と排気バルブ31とが同時に開弁するバルブオーバラップ期間が短縮、あるいは、ゼロとされる。なお、リングギヤ59の先端側への移動は、リングギヤ59がハウジング56と当接することによって規制され、リングギヤ59がハウジング56と当接して停止した際に、吸気バルブ21の開弁タイミングが最も遅くなる(最遅角)。
【0055】
上記VVT50により変更される吸気バルブ21のバルブタイミングは、カム角センサ44から出力されるカム角度信号(変位タイミング信号)と、クランク角センサ40から出力されるクランク角度信号(基準タイミング信号)とに基づいて算出される。
【0056】
すなわち、例えば、ECU70に変位タイミング信号が入力された後、最初に入力されたクランク角度信号を基準タイミング信号と認識し、変位タイミング信号が入力されてから、基準タイミング信号が入力されるまでに要する時間を、エンジン回転数NEを用いて計測する。そして、その時間を既知の時間とクランク角度の関係を用い変位角度に換算することによって、クランクシャフト14に対する吸気側カムシャフト23の実変位角度VTBが算出されるのである。
【0057】
続いて、本実施の形態に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の制御系について図3に示す制御ブロック図を参照して説明する。
内燃機関のバルブタイミング制御装置VCの制御系は、電子制御装置70(以下、単に「ECU」という。)を核として構成されている。本実施の形態では、このECU70によって、バルブタイミング制御手段、異常判断手段、燃焼禁止制御手段、遅角制御手段等が構成されている。
【0058】
ECU70は、両VVT50L、50Rのフィードバック制御やフェイル時制御等の各種制御プログラムや、各種条件に対応した両吸気側カムシャフト23L、23Rに共通の目標変位角度VTTを算出するためのマップを格納したROM71を有している。また、ECU70は、ROM71に格納された制御プログラムに基づいて演算処理を実行するCPU72、CPU72での演算結果、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するRAM73、RAM73に格納された各種データを電源供給停止時に保持するためのバックアップRAM74を有している。
【0059】
そして、CPU72、ROM71、RAM73、及びバックアップRAM74は、双方向バス75を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース76、及び出力インターフェース77と接続されている。
【0060】
入力インターフェース76には、クランク角センサ40、気筒判別センサ42、水温センサ43、右側カム角センサ44L、左側カム角センサ44Rスロットルセンサ45、吸気圧力センサ46等が接続されている。そして、各センサから出力された信号がアナログ信号である場合には、図示しないA/Dコンバータによってディジタル信号に変換された後、双方向バス75に出力される。
【0061】
また、出力インターフェース77には、インジェクタ17、イグナイタ19、OCV80L、80R、ISCV92等の外部回路が接続されており、これら外部回路は、CPU72において実行された制御プログラムの演算結果に基づいて作動制御される。なお、本実施の形態ではVVT50Lに対する制御はOCV80Lを駆動制御することによって、VVT50Rに対する制御はOCV80Rを駆動制御することによってそれぞれ独立して実行される。
【0062】
次に、上記構成を備えた本実施の形態に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置VCにおける、VVT50L,50Rがフェイル(故障)したときの処理動作について説明する。すなわち、図4,5は、ECU70により実行される「VVTフェイル時制御ルーチン」を示すフローチャートであって、所定クランク角毎の割り込みで実行される。
【0063】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU70はまずステップ101において、左側カム角センサ44L及び右側カム角センサ44Rから出力されるカム角度信号と、クランク角センサ40から出力されるクランク角度信号とに基づき、実際のカムシャフト進角値(以下、「左側実進角値VTBL」及び「右側実進角値VTBR」とそれぞれ称する)を読み込む。
【0064】
また、続くステップ102において、ECU70は、各種センサ等からの検出信号に基づき、各種運転状態を示す信号を読み込む。
さらに、次のステップ103において、ECU70は、今回読み込んだ各種信号に基づき、現在、フェイル検出条件が成立しているか否かを判断する。ここで、フェイル検出条件が成立していることの判断条件としては、エンジン回転数NEが所定回転数以上であること、冷却水温THWが所定水温以上であること等が挙げられる。そして、フェイル検出条件が成立していない場合には、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。これに対し、フェイル検出条件が成立している場合には、ステップ104へ移行する。
【0065】
ステップ104においては、現在の運転状態に基づき、目標となるカムシャフト進角値(以下、「左側目標進角値VTTL」及び「右側目標進角値VTTR」とそれぞれ称する)をそれぞれ算出する。
【0066】
次に、今回読み込み、算出した左側実進角値VTBL及び右側実進角値VTBRと、左側目標進角値VTTL及び右側目標進角値VTTRとの比較をそれぞれ行う。より詳しくは、ステップ105においては、左側実進角値VTBL及び右側実進角値VTBRの少なくとも一方が、各目標進角値VTTL、VTTRに対して、大きく(所定量以上)進角側にずれているか否かを判断する。そして、ステップ105において肯定判定された場合には、ステップ106において、当該進角側にずれている方のVVT50を、進角側フェイルと判断する。その後、後述するステップ113へ移行する。
【0067】
一方、前記ステップ105において、否定判定された場合、つまり、左側実進角値VTBL及び右側実進角値VTBRの双方とも、進角側に大きくずれていない場合には、ステップ107へ移行する。ステップ107において、ECU70は、今度は、左側実進角値VTBL及び右側実進角値VTBRの少なくとも一方が、各目標進角値VTTL、VTTRに対して、大きく(所定量以上)遅角側にずれているか否かを判断する。そして、ステップ107において否定判定された場合には、フェイルは発生していないものと判断して、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。また、ステップ107において肯定判定された場合には、ステップ108において、当該遅角側にずれている方のVVT50を、遅角側フェイルと判断する。その後、続くステップ109へ移行する。
【0068】
ステップ109においては、左側のVVT50Lが正常であるか否かを判断する。そして、左側のVVT50Lが正常である場合には、ステップ110へ移行し、当該正常なVVT50Lの左側目標進角値VTTLを最遅角側に設定する。そして、ECU70はその後の処理を一旦終了する。これに対し、左側のVVT50Lが正常でない場合には、ステップ111に移行し、右側のVVT50Rが正常であるか否かを判断する。そして、ステップ111において肯定判定された場合には、ステップ112へ移行する。ステップ112においては、当該正常なVVT50Rの右側目標進角値VTTRを最遅角側に設定する。そして、ECU70はその後の処理を一旦終了する。また、ステップ111において否定判定された場合には、左右のVVT50L、50Rが共に遅角側にフェイルしているものとして、何らの処理をも行うことなくその後の処理を一旦終了する。
【0069】
このように、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方が遅角側にフェイルした場合には、正常な側のVVT50L又は50Rが、最遅角側に固定制御される。
【0070】
さて、上記ステップ106において、少なくとも一方のVVT50が、進角側フェイルと判断された場合には、図5に示すように、ステップ113において、左側のVVT50Lが正常であるか否かを判断する。そして、左側のVVT50Lが正常である場合には、ステップ114へ移行する。
【0071】
ステップ114において、ECU70は、フェイルが発生している方の右側気筒群RSにおける燃料噴射及び点火をカット(禁止)する。さらに、続くステップ115においては、当該正常なVVT50Lの左側目標進角値VTTLを最遅角側に設定する。その後、ステップ119へ移行する。
【0072】
一方、ステップ113において否定判定された場合には、ECU70は、ステップ116において右側のVVT50Rが正常であるか否かを判断する。そして、右側のVVT50Rが正常である場合には、ステップ117へ移行する。
【0073】
ステップ117において、ECU70は、フェイルが発生している方の左側気筒群LSにおける燃料噴射及び点火をカット(禁止)する。さらに、続くステップ118においては、当該正常なVVT50Rの右側目標進角値VTTRを最遅角側に設定する。その後、上記と同様ステップ119へ移行する。
【0074】
また、ステップ116において否定判定された場合には、左右のVVT50L、50Rが共に進角側にフェイルしており、エンスト、触媒コンバータ28の過熱等を防止する必要があるものと判断してステップ119へ移行する。
【0075】
ステップ115,116,118から移行して、ステップ119においては、フューエルカット領域を拡大する。より詳しくは、下り坂走行時等においては、原則としてフューエルカットが実行されるのであるが、このフューエルカットを行うか否かは、そのときどきのエンジン回転数NEや吸入空気量に基づいて判断される。このステップ119におけるフューエルカット領域の拡大は、フューエルカットを実行する吸入空気量を高負荷側にシフトさせることを意味する。このように領域を拡大することで、ほんの少しアクセルペダルを踏み込んだ下り坂等においてもフューエルカットが実行される。そのため、未燃ガスが排気通路30を通過し、触媒コンバータ28内で燃焼してしまうことによる触媒コンバータ28の過熱が抑制されることとなる。
【0076】
また、続くステップ120において、ECU70は、空燃比の学習制御を禁止する。これは、VVT50に異常が発生していることに鑑み、異常時の学習結果を制御に反映させないようにするためである。
【0077】
さらに、続くステップ121において、ECU70は、アイドル回転数制御に際し、アイドルアップを強制的に実行する。これは、エンスト等を防止することを意図したものである。
【0078】
併せて、ステップ122において、ECU70は、アイドル回転数制御に際してのフィードバック制御を禁止する。これも、VVT50に異常が発生していることに鑑み、異常時の学習結果を制御に反映させないようにするためである。そして、ECU70は、その後の処理を一旦終了する。
【0079】
このように、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方が進角側にフェイルした場合には、フェイルした側の気筒群LS、RSにおける燃料噴射及び点火がカットされる。また、これとともに、正常なVVT50の目標進角値VTTL又はVTTRが最遅角側に設定される。さらに、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方、或いは双方が進角側にフェイルした場合には、エンスト、触媒コンバータ28の過熱等を防止する制御が実行される(ステップ119〜ステップ122)。
【0080】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
・本実施の形態では、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方が進角側にフェイルした場合には、フェイルした側の気筒群LS、RSにおける燃料噴射及び点火がカットされる。このため、当該気筒群LS、RSにおける失火は未然に防止されることになる。その結果、VVT50L又は50Rの進角側フェイルに起因する失火、エンストを確実に防止することができ、もって失火に起因する、触媒コンバータ28の過熱等の不具合を防止することができる。
【0081】
・また、本実施の形態によれば、フェイルした側の気筒群LS、RSにおける燃料噴射及び点火がカットされるとともに、正常なVVT50L又は50Rの目標進角値VTTL又はVTTRが最遅角側に設定される。このため、正常側の気筒群LS、RSにおけるバルブオーバーラップ量は小さくなる。そのため、失火やエンストがより一層抑制されることとなる。
【0082】
・さらに、本実施の形態によれば、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方が遅角側にフェイルした場合には、正常な側のVVT50L又は50Rが、最遅角側に固定制御される。そのため、左右の気筒群LS、RS間においてトルク変動が発生しにくいものとなる。
【0083】
・併せて、本実施の形態では、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方、或いは双方が進角側にフェイルした場合には、エンスト、触媒コンバータ28の過熱等を防止する制御が実行される(ステップ119〜ステップ122)。その結果、上記作用効果がより一層確実に奏されることとなり、また、誤学習による不具合を防止することもできる。
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部を適宜に変更して次のように実施することもできる。
【0084】
(1)上記実施の形態では、内燃機関として、V型エンジン10を採用する場合に本発明を具体化するようにしたが、複数の気筒群を有するものであれば、水平対向エンジン等いかなるタイプのエンジンにも具体化できる。また、ガソリンエンジンのみならず、ディーゼルエンジンにも具体化できる。
【0085】
(2)上記実施の形態では、左右のVVT50L、50Rのうち、いずれか一方が遅角側又は遅角側にフェイルした場合には、正常な側のVVT50L又は50Rを、最遅角側に固定制御するようにしたが、必ずしも最遅角側に固定する必要はない。すなわち、所定量だけ遅角側に制御するようにしてもよい。
【0086】
(3)上記実施の形態におけるステップ119〜ステップ122のいずれかの処理を省略するようにしてもよい。
(4)上記実施の形態では、可変バルブタイミング機構として、リングギヤ59が移動するタイプのVVT50を採用したが、その外のタイプのVVT(例えばベーン式のVVT)を採用してもよい。
【0087】
また、OCV80に代えて、他のアクチュエータを用いてもよい。
(5)上記実施の形態では、フェイルした側の気筒群LS、RSにおける燃料噴射及び点火をカットするようにしたが、燃料噴射のみをカットするようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、複数の気筒群を備え、各気筒群毎に可変バルブタイミング機構を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、可変バルブタイミング機構の進角側異常に起因する失火、触媒温度上昇等の不具合を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるガソリンエンジンシステムの概略構成を示すシステム構成図。
【図2】可変バルブタイミング機構システムの概略構成図。
【図3】ECUの電気的構成を示す制御ブロック図。
【図4】ECUにより実行される「VVTフェイル時制御ルーチン」を示すフローチャート。
【図5】図4の続きを示す図であって、「VVTフェイル時制御ルーチン」を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、14…クランクシャフト、15…燃焼室、20…吸気通路、21…吸気バルブ、23L…左側吸気側カムシャフト、23R…右側吸気側カムシャフト、40…クランク角センサ、41…エンジン回転数センサ、42…気筒判別センサ、43…水温センサ、44L,44R…カム角センサ、45…スロットルセンサ、46…吸気圧力センサ、50L…左側のVVT、50R…右側のVVT、70…バルブタイミング制御手段、異常判断手段、燃焼禁止制御手段、遅角制御手段等を構成するECU、71…ROM、73…RAM、80L…アクチュエータを構成する左側オイルコントロールバルブ(OCV)、80R…アクチュエータを構成する右側OCV、LS…左側気筒群、RS…右側気筒群、VC…内燃機関のバルブタイミング制御装置。

Claims (8)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに同期して所定のタイミングで駆動されて燃焼室に通じる吸気通路を開閉する吸気バルブについて、そのバルブタイミングの変更を行う可変バルブタイミング機構を有する気筒群を複数備えるとともに、前記可変バルブタイミング機構を駆動するアクチュエータと、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、この運転状態検出手段の検出結果に基づく前記アクチュエータの制御を通じて前記各気筒群の可変バルブタイミング機構を各別に制御するバルブタイミング制御手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記各気筒群の可変バルブタイミング機構の進角側異常を判断する異常判断手段と、
    この異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群におけるインジェクタの燃料噴射を禁止する燃焼禁止制御手段と、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記アクチュエータの制御を通じて、異常と判断されていない可変バルブタイミング機構を遅角側に制御する遅角制御手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記遅角制御手段は、前記異常と判断されていない可変バルブタイミング機構を最遅角側に固定制御するものである
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、当該異常と判断された可変バルブタイミング機構を有する気筒群における点火を禁止する点火禁止制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記インジェクタの燃料噴射の禁止とは別の処理であるフューエルカットを実行するか否かを判断するための基準となるエンジン回転数について、この基準のエンジン回転数を前記フューエルカットの実行領域が拡大される方向にシフトさせる基準回転数変更制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、前記インジェクタの燃料噴射の禁止とは別の処理であるフューエルカットを実行するか否かを判断するための基準となる吸入空気量について、この基準の吸入空気量を前記フューエルカットの実行領域が拡大される方向にシフトさせる基準吸気量変更制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、空燃比の学習制御を禁止する空燃比学習禁止制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、アイドル回転数制御においてアイドルアップを強制的に実行させるアイドルアップ強制制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のバルブタイミング制御装置において、
    前記異常判断手段により前記各気筒群の可変バルブタイミング機構のうち少なくとも1つの可変バルブタイミング機構が進角側異常と判断されたとき、アイドル回転数制御におけるフィードバック制御を禁止するフィードバック禁止制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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