JP3324981B2 - 可変バルブタイミング機構の異常検出装置 - Google Patents

可変バルブタイミング機構の異常検出装置

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JP3324981B2
JP3324981B2 JP5084998A JP5084998A JP3324981B2 JP 3324981 B2 JP3324981 B2 JP 3324981B2 JP 5084998 A JP5084998 A JP 5084998A JP 5084998 A JP5084998 A JP 5084998A JP 3324981 B2 JP3324981 B2 JP 3324981B2
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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の駆動に
より発生する液圧の供給制御により、内燃機関の吸気バ
ルブと排気バルブとのバルブオーバーラップ量を、内燃
機関の運転状態に応じて設定されている目標バルブオー
バーラップ量に調整する可変バルブタイミング機構に対
する異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、運転状態に応じて内燃機関の吸気
バルブまたは排気バルブのバルブタイミングを制御する
可変バルブタイミング機構に対して、その異常を検出す
る装置が知られている。
【0003】例えば、特開平8−232617号に開示
されている異常検出装置においては、目標バルブタイミ
ングと実バルブタイミングとの差や実バルブタイミング
の変化量等に基づいて、可変バルブタイミング機構の異
常を検出してる。
【0004】また、このような可変バルブタイミング機
構の異常時にバルブオーバーラップ量を制限することに
より異常時の対策を行う技術も知られている(特開平6
−323115号)。
【0005】しかし、このような可変バルブタイミング
機構が、内燃機関の回転により発生される油圧で駆動さ
れている場合には、油温の範囲によっては、可変バルブ
タイミング機構の応答性が低下する場合がある。すなわ
ち、油温が低過ぎると油の粘度の上昇により油圧は上昇
するがそれ以上に可変バルブタイミング機構を駆動する
際のフリクションが増加するためであり、また逆に油温
が高過ぎると油経路における機構のクリアランスが大き
くなって油漏れを生じ油圧が下がるためである。
【0006】このように低温時のフリクションの増加あ
るいは高温時の油圧低下の場合には、実バルブタイミン
グを目標バルブタイミングに切り替えようとして油圧の
供給制御を行っても、実バルブタイミングの変化が鈍く
なり、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに迅
速に収束しなくなる。このため、可変バルブタイミング
機構自体は正常であるにもかかわらず、異常と検出され
てしまう場合がある。
【0007】したがって故障らしい故障が生じていない
にも関わらず、異常時の処理が行われることで適切なバ
ルブオーバーラップ量が実現されることがなくなり、そ
の結果、出力トルクの低下や燃費・エミッション等の悪
化を招くおそれがあった。
【0008】このような状況となるのを抑制するため、
特に特開平8−232617号の異常検出装置において
は、油温が適切な範囲にない場合には、異常判定を禁止
したり、あるいは異常判定時間を延長して応答性低下の
対策を行っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
技術では、可変バルブタイミング機構の応答性低下を正
確に判定できないおそれがあった。すなわち、油圧の低
下は油温のみで生じるのではなく、内燃機関の回転数に
も影響される。これを油温のみにより異常判定時間の長
さを変更することで応答性低下に対処していたため、他
の要因により油圧が変化した場合には対処できず、適切
に異常状態を判断して迅速に対策することが困難であっ
た。
【0010】ただ、前述した従来技術では、油温のみを
考慮して可変バルブタイミング機構の異常を正確に検出
するために、オイルポンプが十分に機能している内燃機
関の回転数が大きい領域で行う必要性を考えて、適切な
内燃機関の回転数領域を外れた場合には異常判定を禁止
している。
【0011】しかし、このように領域を限ると、内燃機
関の低回転領域や高回転領域では異常が判断できず、異
常判定チャンスを狭めて迅速に異常に対処できないこと
となり、やはり適切に異常状態を判断して迅速に対策す
ることが困難であった。
【0012】また従来技術では、可変バルブタイミング
機構が異常となった場合の対処も、実バルブタイミング
と目標バルブタイミングとの位置関係に関わらず、一律
であった。このため、実際には、異常の内容によっては
対処の程度を変更する必要があったり、あるいは異常で
も早期に対処しなくてはならない場合とそれほど緊急で
ない場合とがあったりして、適切に異常状態を判断して
迅速に対策することが困難であった。
【0013】本発明は、このように従来の可変バルブタ
イミング機構の異常を検出する装置において、状況に応
じて適切に異常状態を判断することを目的とし、更に、
この適切な判断に対して適切に対処することを目的とす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の可変バルブタ
イミング機構の異常検出装置は、内燃機関の駆動により
発生する液圧の供給制御により、該内燃機関の吸気バル
ブと排気バルブとのバルブオーバーラップ量を、前記内
燃機関の運転状態に応じて設定されている目標バルブオ
ーバーラップ量に調整する可変バルブタイミング機構に
対する異常検出装置であって、前記液圧の媒体である液
体の温度を検出する液温検出手段と、前記内燃機関の回
転数を検出する回転数検出手段と、実バルブオーバーラ
ップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏差の絶対値
が異常偏差判定値より大きい状態が、異常判定時間より
長く継続した場合は、異常と判定する異常判定手段と、
前記液温検出手段にて検出された前記液体の温度と、前
記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数
とに応じて、前記異常判定手段における前記異常判定時
間を設定し、且つ、実バルブオーバーラップ量と目標バ
ルブオーバーラップ量との偏差の絶対値に関しては、該
偏差の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小さい
側に比較して、同異常判定時間を長く設定する異常判定
時間設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】ここで、異常判定時間設定手段は、液温検
出手段にて検出された前記液体の温度と、回転数検出手
段にて検出された前記内燃機関の回転数とに応じて、異
常判定手段における異常判定時間を設定している。すな
わち、可変バルブタイミング機構を駆動している液体の
温度と、この液体に作用して液圧を発生させている内燃
機関の回転数とに応じて、異常判定時間を設定してい
る。
【0016】このことにより、液体の温度と内燃機関の
回転数との両方の状態が異常判定時間の長さに反映され
ることになり、液体の温度および内燃機関の回転数が異
常判定手段における異常判定レベルに影響することにな
る。
【0017】前記液圧は、単に液体の温度により変化す
るのではなく、液圧を発生している内燃機関の回転数に
も大きく影響される。したがって、液体の温度ととも
に、内燃機関の回転数も加味して異常判定時間を設定す
ることにより、液圧に応じた可変バルブタイミング機構
の応答性の違いを考慮して、適切に異常判定することが
可能となる。また、内燃機関の運転状態に応じて、目標
バルブオーバーラップ量が実バルブオーバーラップ量か
ら近い値に設定された場合と、大きく離れた値に設定さ
れた場合とでは、可変バルブタイミング機構の応答性が
同じであっても、実バルブオーバーラップ量が目標バル
ブオーバーラップ量に収束するための時間は自ずと異な
る。したがって異常判定時間が同じでは目標バルブオー
バーラップ量と実バルブオーバーラップ量とが大きく離
れている方が異常と判定されやすくなる。このため、実
バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量
との偏差の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小
さい側に比較して、異常判定時間を長くすることで、目
標バルブオーバーラップ量と実バルブオーバーラップ量
とが大きく離れている場合でも、異常と判定されないよ
うにしている。このことにより適切に異常判定すること
が可能となる。
【0018】なお、請求項2に示したごとく、前記液温
検出手段は、前記液体の温度の代わりに、前記内燃機関
の冷却水温を検出するものであっても良い。前記液体の
温度は、内燃機関から発生する熱量により決定されるこ
とから、同様に内燃機関の熱量に影響される冷却水温
は、前記液体の温度を反映するものであり、液体の温度
の代わりに用いても適切に異常判定することが可能とな
る。このように冷却水温を利用すると、既に冷却水温を
検出する手段が存在した場合には、特別に前記液体の温
度を検出する手段を備えなくてもよいので、部品数を増
加させることがなく、製造コストの上昇を抑制できる。
【0019】更に、請求項3に、具体化して示したごと
く、例えば、前記異常判定時間設定手段は、前記液温検
出手段にて検出された温度に関しては、該温度が許容温
度範囲から離れるにしたがって、前記異常判定時間を長
くするように構成する。
【0020】許容温度範囲とは、例えば、フリクション
が高い低温領域および液体の漏れが大きい高温側領域を
排除した温度領域である。この許容温度範囲に液体の温
度が存在しない場合には、上述したごとく低温時のフリ
クションが大きかったり高温時の液体の漏れが大きかっ
たりして、可変バルブタイミング機構の応答性が低下す
る。
【0021】このため、液体の温度が許容温度範囲から
離れるにしたがって、異常判定時間を長くすることで、
低応答性でも、可変バルブタイミング機構に異常がない
限り、異常と判定されないようにしている。このことに
より適切に異常判定することが可能となる。
【0022】また、請求項4に、具体化して示したごと
く、例えば、前記異常判定時間設定手段は、前記回転数
検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数に関して
は、該回転数が低い側では、高い側に比較して、前記異
常判定時間を長くするように構成する。
【0023】内燃機関の回転数は、直接、前記液体の圧
力に影響する。すなわち、内燃機関の回転数が低下すれ
ば、それだけ液圧は下降し、可変バルブタイミング機構
の応答性が低下する。
【0024】このため、内燃機関の回転数が低い側で
は、高い側に比較して、異常判定時間を長くすること
で、低応答性でも、可変バルブタイミング機構に異常が
ない限り、異常と判定されないようにしている。このこ
とにより適切に異常判定することが可能となる。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】請求項の可変バルブタイミング機構の異
常検出装置は、内燃機関の駆動により発生する液圧の供
給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブと
のバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状態
に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量に
調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出装
置であって、実バルブオーバーラップ量と目標バルブオ
ーバーラップ量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より
大きい状態が、異常判定時間より長く継続した場合は、
異常と判定する異常判定手段と、実バルブオーバーラッ
プ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合
は、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラ
ップ量よりも小さい場合に比較して、前記異常判定時間
を短くする異常判定時間設定手段とを備えたことを特徴
とする。
【0029】ここでは、異常判定するに際して、異常判
定時間設定手段により、実バルブオーバーラップ量が目
標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、実バル
ブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量より
も小さい場合に比較して、前記異常判定時間を短くして
いる。
【0030】実バルブオーバーラップ量が目標バルブオ
ーバーラップ量よりも小さくなる異常の場合、すなわち
必要なバルブオーバーラップ量よりも過小なバルブオー
バーラップ量となる異常の場合は、出力トルクの低下、
燃費やエミッションの悪化を招くおそれがある。
【0031】しかし、逆に、実バルブオーバーラップ量
が目標バルブオーバーラップ量よりも大きくなる異常の
場合、すなわち必要なバルブオーバーラップ量よりも過
大なバルブオーバーラップ量となる異常の場合は、出力
トルクの低下、燃費やエミッションの悪化を招くばかり
か、失火を招くおそれがある。このように失火が発生
し、しかも頻繁に発生するようになると、排気浄化のた
めの触媒が過熱し、溶損する可能性が生じる。
【0032】このように過大な実バルブオーバーラップ
量となる異常は、過小な実バルブオーバーラップ量とな
る異常よりも、特に早期に対策しなくてはならないた
め、過大な実バルブオーバーラップ量となっている場合
は、過小な実バルブオーバーラップ量となっている場合
に比較して、異常判定時間を短くすることで早期に異常
と判定でき、異常状態に迅速に対処できるようにしてい
る。このように適切に異常判定することが可能となる。
【0033】なお、請求項は、請求項記載の可変バ
ルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、前
記異常判定時間設定手段は、請求項記載の異常判定時
間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ量
が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、実
バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量
との偏差の絶対値に関しては、該偏差の絶対値が大きい
側では、該偏差の絶対値が小さい側に比較して、前記異
常判定時間を短くしている。
【0034】実バルブオーバーラップ量が目標バルブオ
ーバーラップ量よりも大きい場合において、実バルブオ
ーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏差
の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小さい側に
比較して、前記異常判定時間を短くするように構成する
のは、実バルブオーバーラップ量が過大である状況下で
は、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラ
ップ量よりも大きければ大きいほど失火が生じやすく、
排気浄化のための触媒が過熱して溶損する可能性が高く
なるからである。
【0035】したがって、実バルブオーバーラップ量の
過大の程度が大きいほど異常判定時間を短くすることに
より、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処で
きるようにしている。
【0036】また、請求項に示したごとく、請求項
または記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装
置の構成に対して、前記内燃機関の回転数を検出する回
転数検出手段を備えるとともに、前記異常判定時間設定
手段は、請求項または記載の異常判定時間設定手段
の構成に加えて、実バルブオーバーラップ量が目標バル
ブオーバーラップ量よりも大きい場合は、前記回転数検
出手段にて検出された前記内燃機関の回転数に関して
は、該回転数が低い側では、高い側に比較して、前記異
常判定時間を短くする構成としてもよい。
【0037】これは、前述した請求項にて説明した失
火は、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバー
ラップ量よりも大きい場合では、内燃機関の高回転側で
は生じにくく、低回転側では生じやすいからである。
【0038】したがって、内燃機関の回転数が低い側で
は異常判定時間を短くすることにより早期に異常と判定
でき、異常状態に迅速に対処できるようにしている。こ
のように適切に異常判定することが可能となる。
【0039】また、請求項に示したごとく、請求項
記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の構成
に対して、前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段
を備えるとともに、前記異常判定時間設定手段は、請求
記載の異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バ
ルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よ
りも大きい場合は、前記負荷検出手段にて検出された前
記内燃機関の負荷に関しては、該負荷が低い側では、高
い側に比較して、前記異常判定時間を短くすることとし
てもよい。
【0040】前述した請求項にて説明した失火は、実
バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量
よりも大きい場合では、内燃機関の高負荷側では生じに
くく、低負荷側では生じやすいからである。
【0041】したがって、内燃機関の負荷が低い側では
異常判定時間を短くすることにより早期に異常と判定で
き、異常状態に迅速に対処できるようにしている。この
ように適切に異常判定することが可能となる。
【0042】なお、請求項に示したごとく、請求項
または記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装
置の構成に対して、前記内燃機関の負荷を検出する負荷
検出手段を備えるとともに、前記異常判定時間設定手段
は、請求項または記載の異常判定時間設定手段の構
成に加えて、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオ
ーバーラップ量よりも大きい場合は、前記負荷検出手段
にて検出された前記内燃機関の負荷に関しては、該負荷
が低い側では、高い側に比較して、前記異常判定時間を
短くする構成してもよい。
【0043】このように、内燃機関の回転数と負荷との
組み合わせでなく、内燃機関の負荷のみの場合も、内燃
機関の負荷が低い側では異常判定時間を短くすることに
より早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処でき
るようにしている。このように適切に異常判定すること
が可能となる。
【0044】請求項10に示したごとく、請求項また
記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の
構成に対して、前記内燃機関の燃焼変動を検出する燃焼
変動検出手段を備えるとともに、前記異常判定時間設定
手段は、請求項または記載の異常判定時間設定手段
の構成に加えて、実バルブオーバーラップ量が目標バル
ブオーバーラップ量よりも大きい場合に、前記燃焼変動
検出手段にて検出された前記内燃機関の燃焼変動に関し
ては、該燃焼変動が大きい側では、小さい側に比較し
て、前記異常判定時間を短くする構成としてもよい。
【0045】前述した失火は燃焼変動として現れること
から、燃焼変動を検出することで失火が生じていること
を捉えることができる。この燃焼変動が大きい側では失
火の発生が頻繁であり、排気浄化のための触媒が過熱し
て溶損する可能性が高くなる。
【0046】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、内燃
機関の燃焼変動が大きい側では、小さい側に比較して、
前記異常判定時間を短くすることにより、早期に異常と
判定でき、異常状態に迅速に対処できるようにしてい
る。このように適切に異常判定することが可能となる。
【0047】請求項11に示したごとく、請求項10
載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に
対して、前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段を
備え、前記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の
異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバ
ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい
場合に、前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関
の負荷に関しては、該負荷が高い側では、低い側に比較
して、前記異常判定時間を短くすることとしてもよい。
【0048】すなわち、既に燃焼変動が大きくなってい
る場合には、内燃機関の負荷が高いほど、排気浄化触媒
に流れる未燃燃料と空気量とが多くなるので、排気浄化
触媒の温度上昇も急勾配となる。
【0049】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、内燃
機関の燃焼変動が大きい側では、小さい側に比較して、
前記異常判定時間を短くするとともに、更に前記負荷検
出手段にて検出された前記内燃機関の負荷が高い側で
は、低い側に比較して、前記異常判定時間を短くするこ
とにより、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対
処できるようにしている。このように適切に異常判定す
ることが可能となる。
【0050】更に、請求項12に示したごとく、請求項
11記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の
構成に対して、前記内燃機関の回転数を検出する回転数
検出手段を備え、前記異常判定時間設定手段は、請求項
11記載の異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バ
ルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よ
りも大きい場合に、前記回転数検出手段にて検出された
前記内燃機関の回転数に関しては、該回転数が高い側で
は、低い側に比較して、前記異常判定時間を短くするこ
ととしてもよい。
【0051】前述した請求項11にて説明した排気浄化
触媒の温度上昇は、更に、内燃機関の回転数が高い側で
も同じ現象を引き起こす。したがって、内燃機関の回転
数が高い側では低い側より異常判定時間を短くすること
により早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処で
きるようにしている。このように適切に異常判定するこ
とが可能となる。
【0052】また、請求項13に示したごとく、請求項
10記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の
構成に対して、前記内燃機関の回転数を検出する回転数
検出手段を備え、前記異常判定時間設定手段は、請求項
10記載の異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バ
ルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よ
りも大きい場合に、前記回転数検出手段にて検出された
前記内燃機関の回転数に関しては、該回転数が高い側で
は、低い側に比較して、前記異常判定時間を短くするこ
ととしてもよい。
【0053】このように、燃焼変動と回転数との組み合
わせにおいても、内燃機関の回転数が高い側では低い側
よりも異常判定時間を短くすることにより早期に異常と
判定でき、異常状態に迅速に対処できるようにしてい
る。したがって適切に異常判定することが可能となる。
【0054】また、請求項14に示したごとく、請求項
10記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置の
構成に対して、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸
入空気量検出手段を備え、前記異常判定時間設定手段
は、請求項10記載の異常判定時間設定手段の構成に加
えて、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバー
ラップ量よりも大きい場合に、前記吸入空気量検出手段
にて検出された前記内燃機関の時間当たりの吸入空気量
に関しては、該時間当たりの吸入空気量が高い側では、
低い側に比較して、前記異常判定時間を短くすることと
してもよい。
【0055】時間当たりの吸入空気量が高い場合は、排
気浄化触媒に流れる排気量が多量になっている状態に対
応し、時間当たりの吸入空気量が低い場合は、排気浄化
触媒に流れる排気量が少量になっている状態に対応して
いる。
【0056】このため、既に燃焼変動が大きくなってい
る場合には、内燃機関への時間当たりの吸入空気量が高
いほど、排気浄化触媒に流れる未燃燃料と空気量とが多
くなるので、排気浄化触媒の温度上昇も急勾配となる。
【0057】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、内燃
機関の時間当たりの吸入空気量が大きい側では、小さい
側に比較して、前記異常判定時間を短くすることによ
り、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処でき
るようにしている。このように適切に異常判定すること
が可能となる。
【0058】請求項15の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、請求項14のいずれか記載の可変
バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、
前記異常判定手段にて異常と判定された場合には、前記
可変バルブタイミング機構を駆動してバルブオーバーラ
ップ量を小さくなる方へ移動させる強制バルブオーバー
ラップ量減少手段を備えたことを特徴とする。
【0059】上述した請求項14の構成における異
常判定手段にて異常と判定された場合には、前述したご
とく失火を招くおそれがあり、排気浄化触媒が過熱し溶
損するおそれが生じる。
【0060】したがって、このような触媒溶損といった
早期に対策しなくてはならない状況を発生させないため
に、異常判定手段にて異常と判定された場合には、強制
バルブオーバーラップ量減少手段により、可変バルブタ
イミング機構を駆動してバルブオーバーラップ量を小さ
くする。
【0061】このことにより、可変バルブタイミング機
構の駆動状態が異常であったとしても、とにかくバルブ
オーバーラップ量を減少させて、触媒溶損の可能性を低
下させる。このようにして適切な判断に対して適切に対
処することができ、触媒溶損を未然に防止できる。
【0062】更に、請求項16に示したごとく、前記強
制バルブオーバーラップ量減少手段は、前記異常判定手
段にて異常と判定された際に、実バルブオーバーラップ
量が待避バルブオーバーラップ量範囲にない場合には前
記可変バルブタイミング機構を駆動してバルブオーバー
ラップ量を前記待避バルブオーバーラップ量範囲に移動
させる構成としてもよい。
【0063】このようにすることにより、確実に触媒溶
損を防止できる待避バルブオーバーラップ量範囲に、バ
ルブオーバーラップ量を誘導することができ、また、既
に待避バルブオーバーラップ量範囲に存在する場合は、
異常となっている可変バルブタイミング機構を無理に駆
動させる必要もなくなるので、余計なエネルギーの消費
を防止できる。
【0064】したがって、適切な判断に対して適切に対
処することができ、触媒溶損を未然に防止できる。な
お、請求項17に示したごとく、前記強制バルブオーバ
ーラップ量減少手段は、前記異常判定手段にて異常と判
定された場合において、実バルブオーバーラップ量が目
標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に機能する
こととしてもよい。
【0065】特に、触媒溶損のおそれは、実バルブオー
バーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大き
い場合に生じることから、これ以外の異常時での可変バ
ルブタイミング機構の駆動を防止して、余計なエネルギ
ーの消費を防止できる。
【0066】また、請求項18に示したごとく、前記強
制バルブオーバーラップ量減少手段は、前記異常判定手
段にて異常と判定された場合において、実バルブオーバ
ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大き
く、かつ前記内燃機関の燃焼変動が変動判定基準値より
も大きい場合に機能することとしてもよい。
【0067】このことにより、異常の状況に応じて実バ
ルブオーバーラップ量を適切に減少させることができ、
異常の内容に応じた適切な処置を行うことができる。ま
た、触媒溶損のおそれは、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合の内で
も、特に、内燃機関の燃焼変動が変動判定基準値よりも
大きい場合に生じることから、これ以外の異常時での可
変バルブタイミング機構の駆動を防止して、余計なエネ
ルギーの消費を、更に防止できる。
【0068】請求項19の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、内燃機関の駆動により発生する液圧の
供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
装置であって、前記内燃機関の回転数を検出する回転数
検出手段と、前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手
段と、実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバー
ラップ量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい
状態が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と
判定する異常判定手段と、前記回転数検出手段にて検出
された前記内燃機関の回転数と、前記負荷検出手段にて
検出された前記内燃機関の負荷が高負荷判定値よりも大
きい状態が継続している時間の長さとに応じて、前記異
常判定手段における前記異常判定時間を設定する異常判
定時間設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0069】前述した請求項1では液圧の状態を、内燃
機関の回転数と液体の温度とで推定して異常判定手段に
おける異常判定時間に反映させていた。また、前述した
請求項2では、液体の温度に代わるものとして内燃機関
の冷却水温にて液圧の状態を推定して異常判定手段にお
ける異常判定時間に反映させていた。
【0070】本請求項19では、請求項1,2のように
液圧の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と高
負荷状態の継続時間とで液圧の状態を推定している。す
なわち、異常判定時間設定手段は、回転数検出手段にて
検出された内燃機関の回転数と、負荷検出手段にて検出
された内燃機関の負荷が高負荷判定値よりも大きい状態
が継続している時間の長さとに応じて、異常判定手段に
おける異常判定時間を設定する。
【0071】内燃機関の高負荷状態が継続すると、液体
の温度が上昇して液体の漏れが大きくなり、可変バルブ
タイミング機構の応答性が低下する。このため、内燃機
関の回転数と高負荷継続時間との組み合わせにより異常
判定時間を設定することで、請求項1,2と同様に適切
に異常判定することが可能となる。更に、油温センサな
どの液温検出手段を設けなくてもよいので、製造コスト
を低減できる。
【0072】また、請求項20に示したごとく、前記異
常判定時間設定手段は、前記回転数検出手段にて検出さ
れた前記内燃機関の回転数、前記負荷検出手段にて検出
された前記内燃機関の負荷と高負荷判定値との差の大き
さ、および前記負荷が前記高負荷判定値よりも大きい状
態が継続している時間の長さに応じて、前記異常判定手
段における前記異常判定時間を設定する構成としてもよ
い。
【0073】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高負荷継続時間の長さとともに、内
燃機関の負荷と高負荷判定値との差の大きさに応じて、
異常判定手段における異常判定時間を設定する。これ
は、高負荷の継続とともに、内燃機関の負荷の大きさ
も、液体の温度上昇に影響するからであり、このことに
より適切に異常判定することが可能となる。
【0074】請求項21の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、車両用内燃機関の駆動により発生する
液圧の供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気
バルブとのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の
運転状態に応じて設定されている目標バルブオーバーラ
ップ量に調整する可変バルブタイミング機構に対する異
常検出装置であって、前記内燃機関の回転数を検出する
回転数検出手段と、前記内燃機関により駆動される車両
の速度を検出する車速検出手段と、実バルブオーバーラ
ップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏差の絶対値
が異常偏差判定値より大きい状態が、異常判定時間より
長く継続した場合は、異常と判定する異常判定手段と、
前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
数と、前記車速検出手段にて検出された前記車両の速度
が高速判定値よりも大きい状態が継続している時間の長
さとに応じて、前記異常判定手段における前記異常判定
時間を設定する異常判定時間設定手段とを備えたことを
特徴とする。
【0075】本請求項21では、請求項1,2のように
液圧の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と内
燃機関により駆動される車両の高速状態の継続時間とで
液圧の状態を推定している。すなわち、異常判定時間設
定手段は、内燃機関の回転数と車両の高速状態の継続時
間の長さとに応じて、前記異常判定手段における前記異
常判定時間を設定する。
【0076】高速状態が継続すると、液体の温度が上昇
して液体の漏れが大きくなり、可変バルブタイミング機
構の応答性が低下する。このため、内燃機関の回転数と
高速状態継続時間との組み合わせにより異常判定時間を
設定することで、請求項1,2と同様に適切に異常判定
することが可能となる。更に、油温センサなどの液温検
出手段を設けなくてもよいので、製造コストを低減でき
る。
【0077】また、請求項22に示したごとく、前記異
常判定時間設定手段は、前記回転数検出手段にて検出さ
れた前記内燃機関の回転数、前記車速検出手段にて検出
された前記車両の速度と高速判定値との差の大きさ、お
よび前記速度が前記高速判定値よりも大きい状態が継続
している時間の長さに応じて、前記異常判定手段におけ
る前記異常判定時間を設定する構成としてもよい。
【0078】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高速状態継続時間とともに、車両の
速度と高速判定値との差の大きさに応じて、異常判定手
段における異常判定時間を設定する。高速状態の継続と
ともに、その速度の高さも、液体の温度上昇に影響する
からであり、このことにより適切に異常判定することが
可能となる。
【0079】請求項23の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、内燃機関の駆動により発生する液圧の
供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
装置であって、前記内燃機関の回転数を検出する回転数
検出手段と、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入
空気量検出手段と、実バルブオーバーラップ量と目標バ
ルブオーバーラップ量との偏差の絶対値が異常偏差判定
値より大きい状態が、異常判定時間より長く継続した場
合は、異常と判定する異常判定手段と、前記回転数検出
手段にて検出された前記内燃機関の回転数と、前記吸入
空気量検出手段にて検出された前記内燃機関の時間当た
りの吸入空気量が高吸入空気量判定値よりも大きい状態
が継続している時間の長さとに応じて、前記異常判定手
段における前記異常判定時間を設定する異常判定時間設
定手段とを備えたことを特徴とする。
【0080】本請求項23では、請求項1,2のように
液圧の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と内
燃機関の時間当たりの吸入空気量が高吸入空気量状態に
ある継続時間とで液圧の状態を推定している。すなわ
ち、異常判定時間設定手段は、内燃機関の回転数と高吸
入空気量継続時間の長さとに応じて、異常判定手段にお
ける異常判定時間を設定する。
【0081】高吸入空気量状態が継続すると、液体の温
度が上昇して液体の漏れが大きくなり、可変バルブタイ
ミング機構の応答性が低下する。このため、内燃機関の
回転数と高吸入空気量状態継続時間との組み合わせによ
り異常判定時間を設定することで、請求項1,2と同様
に適切に異常判定することが可能となる。更に、油温セ
ンサなどの液温検出手段を設けなくてもよいので、製造
コストを低減できる。
【0082】また、請求項24に示したごとく、前記異
常判定時間設定手段は、前記回転数検出手段にて検出さ
れた前記内燃機関の回転数、前記吸入空気量検出手段に
て検出された前記内燃機関の時間当たりの吸入空気量と
高吸入空気量判定値との差の大きさ、および前記時間当
たりの吸入空気量が前記高吸入空気量判定値よりも大き
い状態が継続している時間の長さに応じて、前記異常判
定手段における前記異常判定時間を設定する構成として
もよい。
【0083】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高吸入空気量状態継続時間ととも
に、内燃機関の時間当たりの吸入空気量と高吸入空気量
判定値との差の大きさに応じて、異常判定手段における
異常判定時間を設定する。高吸入空気量状態の継続とと
もに、その吸入空気量の大きさも、液体の温度上昇に影
響するからであり、このことにより適切に異常判定する
ことが可能となる。
【0084】請求項25の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、内燃機関の駆動により発生する液圧の
供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
装置であって、前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出
手段と、実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバ
ーラップ量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大き
い状態が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常
と判定する異常判定手段と、前記負荷検出手段にて検出
された前記内燃機関の負荷が高負荷判定値よりも大きい
状態が継続している時間の長さに応じて求められる負荷
積算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、前記
異常判定手段における異常判定を禁止する異常判定禁止
手段とを備えたことを特徴とする。
【0085】本請求項25では、請求項19と異なり、
異常判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を
設けて、負荷検出手段にて検出された内燃機関の負荷が
高負荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長
さに応じて求められる負荷積算値が判定許容積算値より
大きくなった場合は、異常判定手段における異常判定を
禁止している。
【0086】このように高負荷が継続することにより、
液体の温度が上昇して液体の漏れが大きくなり可変バル
ブタイミング機構の応答性が低下する状況下において
は、異常判定を禁止することによっても、全体として適
切な異常判定をすることが可能となる。また、可変バル
ブタイミング機構が完全に駆動不可能になっているよう
な場合に調整のために余計なエネルギーを費やすことが
ない。
【0087】また、請求項26に示したごとく、前記異
常判定禁止手段は、前記負荷検出手段にて検出された前
記内燃機関の負荷と高負荷判定値との差の大きさ、およ
び前記負荷が前記高負荷判定値よりも大きい状態が継続
している時間の長さに応じて求められる負荷積算値が判
定許容積算値より大きくなった場合は、前記異常判定手
段における異常判定を禁止する構成としてもよい。
【0088】すなわち、異常判定禁止手段が、内燃機関
の負荷と高負荷判定値との差の大きさ、および負荷が高
負荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さ
に応じて負荷積算値を求め、この負荷積算値が判定許容
積算値より大きくなった場合は、前記異常判定手段にお
ける異常判定を禁止している。これは、高負荷の継続と
ともに、内燃機関の負荷の大きさも、液体の温度上昇に
影響するからであり、このため、異常判定を禁止するこ
とによって、全体として適切な異常判定をすることが可
能となる。
【0089】請求項27の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、車両用内燃機関の駆動により発生する
液圧の供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気
バルブとのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の
運転状態に応じて設定されている目標バルブオーバーラ
ップ量に調整する可変バルブタイミング機構に対する異
常検出装置であって、前記内燃機関により駆動される車
両の速度を検出する車速検出手段と、実バルブオーバー
ラップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏差の絶対
値が異常偏差判定値より大きい状態が、異常判定時間よ
り長く継続した場合は、異常と判定する異常判定手段
と、前記車速検出手段にて検出された前記車両の速度が
高速判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さ
に応じて求められる車速積算値が判定許容積算値より大
きくなった場合は、前記異常判定手段における異常判定
を禁止する異常判定禁止手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0090】本請求項27では、請求項21と異なり、
異常判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を
設けて、車速検出手段にて検出された車両の速度が高速
判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応
じて求められる車速積算値が判定許容積算値より大きく
なった場合は、異常判定手段における異常判定を禁止し
ている。
【0091】このように高速走行が継続することによ
り、液体の温度が上昇して液体の漏れが大きくなり可変
バルブタイミング機構の応答性が低下する状況下におい
ては、異常判定を禁止することによっても、全体として
適切な異常判定をすることが可能となる。また、可変バ
ルブタイミング機構が完全に駆動不可能になっているよ
うな場合に調整による余計なエネルギーを費やすことが
ない。
【0092】また、請求項28に示したごとく、前記異
常判定禁止手段は、前記車速検出手段にて検出された前
記車両の速度と高速判定値との差の大きさ、および前記
車速が前記高速判定値よりも大きい状態が継続している
時間の長さに応じて求められる車速積算値が判定許容積
算値より大きくなった場合は、前記異常判定手段におけ
る異常判定を禁止する構成としてもよい。
【0093】すなわち、異常判定禁止手段が、車両の速
度と高速判定値との差の大きさ、および車速が高速判定
値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じて
車速積算値を求め、この車速積算値が判定許容積算値よ
り大きくなった場合は、前記異常判定手段における異常
判定を禁止している。これは、高速状態の継続ととも
に、その速度の大きさも、液体の温度上昇に影響するか
らであり、このため、異常判定を禁止することによっ
て、全体として適切な異常判定をすることが可能とな
る。
【0094】請求項29の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、内燃機関の駆動により発生する液圧の
供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
装置であって、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸
入空気量検出手段と、実バルブオーバーラップ量と目標
バルブオーバーラップ量との偏差の絶対値が異常偏差判
定値より大きい状態が、異常判定時間より長く継続した
場合は、異常と判定する異常判定手段と、前記吸入空気
量検出手段にて検出された前記内燃機関の時間当たりの
吸入空気量が高吸入空気量判定値よりも大きい状態が継
続している時間の長さに応じて求められる吸入空気量積
算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、前記異
常判定手段における異常判定を禁止する異常判定禁止手
段とを備えたことを特徴とする。
【0095】本請求項29では、請求項23と異なり、
異常判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を
設けて、吸入空気量検出手段にて検出された時間当たり
の吸入空気量が高吸入空気量判定値よりも大きい状態が
継続している時間の長さに応じて求められる吸入空気量
積算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、異常
判定手段における異常判定を禁止している。
【0096】このように高吸入空気量状態が継続するこ
とにより、液体の温度が上昇して液体の漏れが大きくな
り可変バルブタイミング機構の応答性が低下する状況下
においては、異常判定を禁止することによっても、全体
として適切な異常判定をすることが可能となる。また、
可変バルブタイミング機構が完全に駆動不可能になって
いるような場合に調整による余計なエネルギーを費やす
ことがない。
【0097】また、請求項30に示したごとく、前記異
常判定禁止手段は、前記吸入空気量検出手段にて検出さ
れた前記内燃機関の時間当たりの吸入空気量と高吸入空
気量判定値との差の大きさ、および前記時間当たりの吸
入空気量が前記高吸入空気量判定値よりも大きい状態が
継続している時間の長さに応じて求められる吸入空気量
積算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、前記
異常判定手段における異常判定を禁止する構成としても
よい。
【0098】すなわち、異常判定禁止手段が、内燃機関
の時間当たりの吸入空気量と高吸入空気量判定値との差
の大きさ、および前記時間当たりの吸入空気量が前記高
吸入空気量判定値よりも大きい状態が継続している時間
の長さに応じて吸入空気量積算値を求め、この吸入空気
量積算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、前
記異常判定手段における異常判定を禁止している。これ
は、高吸入空気量状態の継続とともに、その吸入空気量
の大きさも、液体の温度上昇に影響するからであり、こ
のため、異常判定を禁止することによって、全体として
適切な異常判定をすることが可能となる。
【0099】なお、このような可変バルブタイミング機
構の異常検出装置の各手段をコンピュータシステムにて
実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起
動するプログラムとして備えることができる。このよう
なプログラムの場合、例えば、フロッピーディスク、光
磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコン
ピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じ
てコンピュータシステムにロードして起動することによ
り用いることができる。この他、ROMやバックアップ
RAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前
記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバッ
クアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用
いても良い。
【0100】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は本発明が
適用される実施の形態1としてのガソリンエンジンシス
テムを示す概略構成図である。
【0101】内燃機関としてのV型6気筒エンジン10
は、複数のシリンダがV字状に形成されているシリンダ
ブロック11と、シリンダブロック11の上部にそれぞ
れ連結される左側シリンダヘッド12L、右側シリンダ
ヘッド12Rとを備え、左側気筒群LSと右側気筒群R
Sを形成している。以下、これら気筒群をバンクと称す
る。なお、左側バンクLSには2番目(#2)、4番目
(#4)および6番目(#6)の気筒が属し、右側バン
クRSには1番目(#1)、3番目(#3)および5番
目(#5)の気筒が属する。
【0102】また、エンジン10は、シリンダブロック
11の各シリンダ内を略上下方向に往復移動するピスト
ン13を備え、各ピストン13の下端部にはクランクシ
ャフト14が連結されており、各ピストン13が上下動
することによりクランクシャフト14が回転させられ
る。
【0103】また、クランクシャフト14の近傍には、
クランク角センサ40(回転数検出手段に相当する)が
配設されており、クランク角センサ40は、クランクシ
ャフト14に連結されている磁性体ロータ(図示しな
い)と、電磁ピックアップ(図示しない)とから構成さ
れている。ここで、磁性体ロータの外周には等角度毎に
歯が形成されており、当該歯が電磁ピックアップの前方
を通過する毎にパルス状のクランク角度信号が発生す
る。
【0104】さらに、後述する気筒判別センサ42によ
る基準位置信号の発生後に、クランク角センサ40から
のクランク角度信号の発生数を計測することで、電子制
御装置70(ECUと略す)にてクランクシャフト14
の回転速度(エンジン回転数NE)が算出される。
【0105】各シリンダブロック11、および両シリン
ダヘッド12L,12Rの内壁と、ピストン13の頂部
とによって区画形成された空間は、混合気を燃焼させる
ための燃焼室15として機能し、両シリンダヘッド12
L,12Rの頂部には、混合気に点火するための点火プ
ラグ16が、燃焼室15に突出するように配設されてい
る。また、両シリンダヘッド12L,12Rの両排気カ
ムシャフト33L,33R近傍には、それぞれディスト
リビュータ18が配設されており、各ディストリビュー
タ18には、両排気カムシャフト33L,33Rの回転
に伴い、所定の割合で発生する基準位置信号を検出する
ための気筒判別センサ42が配設されている。この基準
位置信号は、クランクシャフト14の基準位置の検出、
気筒の判別に用いられる。
【0106】そして、各点火プラグ16は、プラグコー
ド等(図示しない)を介してディストリビュータ18に
接続されており、ECU70(後述する)からの点火信
号に基づきイグナイタ19から出力された高電圧は、各
ディストリビュータ18によって、クランク角度に同期
して各点火プラグ16に分配される。
【0107】また、シリンダブロック11には、冷却水
通路を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出
するための水温センサ43が配設されている。さらに、
両シリンダヘッド12L,12Rは、それぞれ吸気ポー
ト22、および排気ポート32を有しており、各吸気ポ
ート22には吸気通路20が接続されており、各排気ポ
ート32には排気通路30が接続されている。また、シ
リンダヘッド12の各吸気ポート22には、吸気バルブ
21が配設され、各排気ポート32には排気バルブ31
が配設されている。
【0108】そして、左側バンクLSの各吸気バルブ2
1の上方には、吸気バルブ21を開閉駆動するための左
側吸気カムシャフト23Lが配置され、右側バンクRS
の各吸気バルブ21の上方には、吸気バルブ21を開閉
駆動するための右側吸気カムシャフト23Rが配置され
ている。また、左側バンクLSの各排気バルブ31の上
方には、排気バルブ31を開閉駆動するための左側排気
カムシャフト33Lが配置され、右側バンクRSの各排
気バルブ31の上方には、排気バルブ31を開閉駆動す
るための右側排気カムシャフト33Rが配置されてい
る。
【0109】さらに、両吸気カムシャフト23L,23
Rの一端には、それぞれ吸気側タイミングプーリ27が
装着されており、両排気カムシャフト33L,33Rの
一端には、それぞれ排気側タイミングプーリ34が装着
されている。そして、各タイミングプーリ27,34
は、タイミングベルト35を介して、クランクシャフト
14に連結されている。
【0110】したがって、エンジン10の作動時には、
クランクシャフト14からタイミングベルト35および
各タイミングプーリ27,34を介して各カムシャフト
23L,23R,33L,33Rに回転駆動力が伝達さ
れ、各カムシャフト23L,23R,33L,33Rが
回転することにより、各吸気バルブ21、および各排気
バルブ31が開閉駆動される。これら各バルブ21,3
1は、クランクシャフト14の回転およびピストン13
の上下動に同期して、すなわち、吸気行程、圧縮行程、
爆発・膨張行程、および排気行程よりなるエンジン10
における一連の4行程に同期して、所定の開閉タイミン
グで駆動される。
【0111】さらに、両吸気カムシャフト23L,23
Rの近傍には、それぞれカム角センサ44L,44Rが
配設されており、各カム角センサ44L,44Rは、両
吸気カムシャフト23L,23Rに連結された磁性体ロ
ータ(図示しない)と電磁ピックアップ(図示しない)
とから構成されている。また、磁性体ロータの外周に
は、複数の歯が等角度毎に形成され、例えば、所定気筒
の圧縮TDCの前、BTDC90°〜30°の間に、吸
気カムシャフト23の回転にともなうパルス状のカム角
度信号(変位タイミング信号)が検出されるようになっ
ている。
【0112】また、本実施の形態におけるガソリンエン
ジンシステムでは、吸気バルブ21の開閉タイミング、
すなわちバルブタイミングを調整してバルブオーバーラ
ップ量の変更を実現するため、左側バンクLS、右側バ
ンクRSの吸気側タイミングプーリ27にそれぞれ、油
圧により駆動される可変バルブタイミング機構50L,
50Rが配設されている。この可変バルブタイミング機
構50L,50Rは、クランクシャフト14(あるいは
吸気側タイミングプーリ27)の回転に対する両吸気カ
ムシャフト23L,23Rの回転位相差を変化させるこ
とにより、吸気バルブ21のバルブタイミングを連続的
(無段階)に変更させるための機構である。
【0113】そして、両可変バルブタイミング機構50
L,50Rには、それぞれ対応するオイルコントロール
バルブ80L,80R(以下「OCV」 という。)、
オイルポンプ64L,64R、オイルフィルタ66L,
66Rが接続されている。本実施の形態では、OCV8
0L,80R、オイルポンプ64L,64R等によりア
クチュエータが構成されている。
【0114】吸気通路20の空気取り入れ側には、エア
クリーナ24が接続されており、その下流にはエアフロ
メーター等の吸入空気量センサ25、更に下流には、ア
クセルペダル(図示しない)に連動して開閉駆動される
スロットルバルブ26が配設されている。このスロット
ルバルブ26が運転者のアクセル操作により開閉される
ことで吸入空気量が調整される。スロットルバルブ26
の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットル
センサ45が配設されている。
【0115】また、各シリンダの吸気ポート22の近傍
には、燃焼室15へ燃料を供給するためのインジェクタ
17が配設されている。各インジェクタ17は、通電に
より開弁される電磁弁であり、各インジェクタ17に
は、燃料ポンプ(図示しない)から圧送される燃料が供
給される。
【0116】したがって、エンジン10の作動時には、
吸気通路20には、エアクリーナ24によって濾過され
た空気が取り込まれ、その空気の取り込みと同時に各イ
ンジェクタ17から各吸気ポート22に向けて、必要な
空燃比を実現するように調整された量の燃料が噴射され
る。この結果、吸気ポート22では目的とする空燃比の
混合気が生成される。そして、この混合気は、吸入行程
において開弁される吸気バルブ21の開弁にともなっ
て、燃焼室15内に吸入される。
【0117】混合気が燃焼室15において燃焼すること
により発生した排気は、排気通路30に配設された三元
触媒を用いた触媒コンバータ28を通って、大気中に排
出される。この触媒コンバータ28の上流には空燃比セ
ンサ46が配置され、空燃比のフィードバック制御を行
うため排気の酸素濃度を検出している。
【0118】また、スロットルバルブ26の上流側と下
流側とを連通するようにして、バイパス通路91が設け
られている。 このバイパス通路91の途中にアイドル
スピードコントロールバルブ(ISCV)92が設けら
れている。そして、アイドリング時においては、ISC
V92の開度がECU70により調整されることで、バ
イパス通路91を流れる吸入空気量が制御され、これに
より、アイドング時のエンジン回転数(アイドル回転
数)が制御されるようになっている。
【0119】次に、可変バルブタイミング機構50L,
50Rのシステム構成について、図2を参照して説明す
る。なお、説明の便宜上、図2では、左側バンクLSに
おける可変バルブタイミング機構50Lと、右側バンク
RSにおける可変バルブタイミング機構50Rとを区別
することなく、単に可変バルブタイミング機構50が配
設された吸気カムシャフト23近傍の断面、および可変
バルブタイミング機構50の制御システム全体を示すも
のとする。
【0120】可変バルブタイミング機構50の制御シス
テムは、可変バルブタイミング機構50、可変バルブタ
イミング機構50に対して駆動力を印加するOCV8
0、カム角度信号を検出するカム角センサ44、カム角
センサ44等の各種センサからの入力信号に基づいてO
CV80を駆動制御して吸気バルブ21を目標進角量に
調整するバルブタイミング制御を行うECU70を備え
ている。
【0121】可変バルブタイミング機構50は、吸気カ
ムシャフト23と吸気側タイミングプーリ27との間に
配設されており、吸気カムシャフト23は、シリンダヘ
ッド12、およびベアリングキャップ51間において回
転自在に支持されている。吸気カムシャフト23の先端
部近傍には、吸気側タイミングプーリ27が相対回動可
能に装着されており、また、吸気カムシャフト23の先
端には、インナキャップ52が中空ボルト53およびピ
ン54により一体回転可能に取着されている。
【0122】吸気側タイミングプーリ27には、キャッ
プ55を有するハウジング56がボルト57および、ピ
ン58により一体回転可能に取着されており、このハウ
ジング56によって、吸気カムシャフト23の先端、お
よびインナキャップ52の全体が覆われている。また、
吸気側タイミングプーリ27の外周には、タイミングベ
ルト35を掛装するための外歯27aが多数形成されて
いる。
【0123】吸気カムシャフト23および吸気側タイミ
ングプーリ27は、ハウジング56およびインナキャッ
プ52間に介在されたリングギヤ59によって連結され
ている。リングギヤ59は、略円環形状をなし、吸気側
タイミングプーリ27、ハウジング56およびインナキ
ャップ52によって囲まれた空間S内において、吸気カ
ムシャフト23の軸方向へ往復動自在に収容されてい
る。また、リングギヤ59の内外周には多数の歯59
a,59bが形成されている。
【0124】これに対応して、インナキャップ52の外
周およびハウジング56の内周には、多数の歯52a,
56bが形成されている。これらの歯59a,59b,
52a,56bはいずれも、その歯すじが吸気カムシャ
フト23の軸線に対して所定角度で交差するヘリカル歯
となっている。すなわち、歯52aと歯59aとが互い
に噛合し、歯56bと歯59bとが互いに噛合している
ヘリカルスプラインを構成している。
【0125】そして、これらの噛合によって、吸気側タ
イミングプーリ27の回転は、ハウジング56、および
インナキャップ52を介して、吸気カムシャフト23に
伝達される。また、各歯59a,59b,52a,56
bがヘリカル歯であることから、リングギヤ59が吸気
カムシャフト23の軸方向に移動すると、インナキャッ
プ52、およびハウジング56に捻り力が付与され、吸
気カムシャフト23が吸気側タイミングプーリ27に対
して相対移動する。
【0126】空間Sには、リングギヤ59を軸方向へ移
動させるために、リングギヤ59の先端側に第1油圧室
60を有し、リングギヤ59の基端側に第2油圧室61
を有している。そして、ベアリングキャップ51は、第
1油圧供給孔51a、および第2油圧供給孔51bを有
している。また、吸気カムシャフト23内部には、第1
油圧供給孔51aと第1油圧室60とを連通する第1油
圧供給路62、および第2油圧供給孔51bと第2油圧
室61とを連通する第2油圧供給路63とが形成されて
いる。
【0127】そして、各油圧供給孔51a,51bに
は、オイルポンプ64によってオイルパン65から吸い
上げられた潤滑油が、所定の圧力をもってオイルフィル
タ66を介して供給される。また、各油圧供給路62,
63を介して各油圧室60,61へ選択的に油圧を供給
するために、各油圧供給孔51a,51bには、OCV
80が接続されている。
【0128】なお、オイルパン65には、油温センサ6
7(液温検出手段に相当する)が配置されて潤滑油の温
度を検出している。また、OCV80は、電磁式アクチ
ュエータ81、およびコイルスプリング82によって駆
動されるプランジャ83が、スプール84を軸方向に往
復移動させることにより潤滑油の流れ方向を切り替える
4ポート方向制御弁である。そして、電磁式アクチュエ
ータ81が、デューティ制御されることによってその開
度が調整され、各油圧室60,61に供給する油圧の大
きさが調整される。
【0129】OCV80のケーシング85は、タンクポ
ート85t、Aポート85a、Bポート85b、および
リザーバポート85rを有している。そして、タンクポ
ート85tは、オイルポンプ64を介してオイルパン6
5と接続されており、Aポート85aは、第1油圧供給
孔51aと、Bポート85bは、第2油圧供給孔51b
と接続されている。また、リザーバポート85rは、オ
イルパン65と連通されている。
【0130】スプール84は、円柱状の弁体であり、2
つのポート間における潤滑油の流れを封止する4つのラ
ンド84aと、2つのポート間を連通し、潤滑油の流れ
を許容するパセージ84b、2つのパセージ84cとを
有している。
【0131】これらの構成を備える可変バルブタイミン
グ機構50では、OCV80が駆動制御され、スプール
84が図面左方に移動された場合には、パセージ84b
はタンクポート85tとAポート85aとを連通し、第
1油圧供給孔51aに潤滑油が供給される。そして、第
1油圧供給孔51aに供給された潤滑油は、第1油圧供
給路62を介して第1油圧室60に供給され、リングギ
ヤ59の先端側に油圧が印加される。
【0132】これと同時に、パセージ84cは、Bポー
ト85bとリザーバポート85rとを連通し、第2油圧
室61内の潤滑油は、第2油圧供給路63、第2油圧供
給孔51b、およびOCV80のBポート85b、リザ
ーバポート85rを介して、オイルパン65に排出され
る。
【0133】したがって、リングギヤ59は、先端側に
印加された油圧によって基端側(図面右方)に回動しな
がら移動され、インナキャップ52を介して吸気カムシ
ャフト23に捻りが付与される。この結果、吸気側タイ
ミングプーリ27(クランクシャフト14)に対する吸
気カムシャフト23の回転位相差が調整され、吸気カム
シャフト23は最遅角変位角度から最進角変位角度に向
けて変位し、吸気バルブ21の開弁タイミングが進角さ
れる。
【0134】こうして開弁タイミングが進角されると、
吸気バルブ21と排気バルブ31とが同時に開弁してい
る期間を意味するバルブオーバーラップ量が増大する。
なお、リングギヤ59の基端側への移動は、リングギヤ
59が吸気側タイミングプーリ27と当接することによ
って規制され、リングギヤ59が吸気側タイミングプー
リ27と当接して停止した際に、吸気バルブ21の開弁
タイミングが最も早くなり、バルブオーバーラップ量が
最大となる。
【0135】一方、OCV80が駆動制御され、スプー
ル84が図面右方に移動された場合には、パセージ84
bはタンクポート85tとBポート85bとを連通し、
第2油圧供給孔51bに潤滑油が供給される。そして、
第2油圧供給孔51bに供給された潤滑油は、第2油圧
供給路63を介して第2油圧室61に供給され、リング
ギヤ59の基端側に油圧が印加される。
【0136】これと同時に、パセージ84cは、Aポー
ト85aとリザーバポート85rとを連通し、第1油圧
室60内の潤滑油は、第1油圧供給路62、第1油圧供
給孔51a、およびOCV80のAポート85a、リザ
ーバポート85rを介して、オイルパン65に排出され
る。
【0137】したがって、リングギヤ59は、基端側に
印加された油圧によって先端側(図面左方)に回動しな
がら移動され、インナキャップ52を介して吸気カムシ
ャフト23に逆向きの捻りが付与される。この結果、吸
気側タイミングプーリ27(クランクシャフト14)に
対する吸気カムシャフト23の回転位相差が調整され、
吸気カムシャフト23は最進角変位角度から最遅角変位
角度に向けて変位し、吸気バルブ21の開弁タイミング
が遅角される。すなわち、進角量が少なくなる。
【0138】こうして、吸気バルブ21の開弁タイミン
グの進角量が小さくされることにより、吸気バルブ21
と排気バルブ31とが同時に開弁するバルブオーバーラ
ップ量が小さく、あるいは、ゼロとされる。 なお、リ
ングギヤ59の先端側への移動は、リングギヤ59がハ
ウジング56と当接することによって規制され、リング
ギヤ59がハウジング56と当接して停止した際に、吸
気バルブ21の開弁タイミングが最も遅くなり(最遅
角)、進角量が最低(バルブオーバーラップ量が0)と
なる。
【0139】上記可変バルブタイミング機構50により
変更される吸気バルブ21のバルブタイミングは、カム
角センサ44から出力されるカム角度信号(変位タイミ
ング信号)と、クランク角センサ40から出力されるク
ランク角度信号(基準タイミング信号)とに基づいて算
出される。
【0140】すなわち、例えば、ECU70に変位タイ
ミング信号が入力された後、最初に入力されたクランク
角度信号を基準タイミング信号と認識し、変位タイミン
グ信号が入力されてから、基準タイミング信号が入力さ
れるまでに要する時間を、エンジン回転数NEを用いて
計測する。そして、その時間を既知の時間とクランク角
度の関係を用い変位角度に換算することによって、クラ
ンクシャフト14に対する吸気カムシャフト23の実変
位角度VTBが算出されるのである。
【0141】続いて、本実施の形態に係るエンジン10
の制御系について図3に示す制御ブロック図を参照して
説明する。エンジン10の制御系は、ECU70を核と
して構成されている。ECU70は、バルブタイミング
制御、空燃比制御、点火時期制御、燃料噴射時期制御、
異常検出およびフェイル時制御等の各種制御プログラム
や、各種条件に対応した目標値を算出するためのマップ
を格納したROM71を有している。また、ECU70
は、ROM71に格納された制御プログラムに基づいて
演算処理を実行するCPU72、CPU72での演算結
果、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶す
るRAM73、RAM73に格納された各種データを電
源供給停止時に保持するためのバックアップRAM74
等を有している。
【0142】そして、CPU72、ROM71、RAM
73、およびバックアップRAM74は、双方向バス7
5を介して互いに接続されるとともに、入力インターフ
ェース76、および出力インターフェース77と接続さ
れている。
【0143】入力インターフェース76には、吸入空気
量センサ25、クランク角センサ40、気筒判別センサ
42、水温センサ43、左側カム角センサ44L、右側
カム角センサ44R、スロットルセンサ45、空燃比セ
ンサ46、油温センサ67等が接続されている。そし
て、各センサから出力された信号がアナログ信号である
場合には、図示しないA/Dコンバータによってディジ
タル信号に変換された後、双方向バス75に出力され
る。
【0144】また、出力インターフェース77には、イ
ンジェクタ17、イグナイタ19、OCV80L,80
R、ISCV92等の外部回路が接続されており、これ
ら外部回路は、CPU72において実行された制御プロ
グラムの演算結果に基づいて作動制御される。なお、可
変バルブタイミング機構50Lに対する制御はOCV8
0Lを駆動制御することによって、可変バルブタイミン
グ機構50Rに対する制御はOCV80Rを駆動制御す
ることによってそれぞれ実行される。
【0145】次に、ECU70が実行する制御の内、可
変バルブタイミング機構50L,50Rにおけるバルブ
タイミング異常検出処理を、図4および図5のフローチ
ャートに基づいて説明する。本処理は、時間で設定され
た制御周期毎に実行される。なお各処理に対応するフロ
ーチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0146】なお、ECU70は、図示していないが、
エンジン10の運転状態に応じて好適なバルブオーバー
ラップ量を得るためにバルブタイミング制御処理を行っ
ている。
【0147】図4,5のバルブタイミング異常検出処理
が開始されると、まず、クランク角センサ40からのパ
ルスをカウントすることにより求められているエンジン
回転数NEが作業用メモリに取り込まれ(S105)、
エンジン負荷に相当する吸入空気量センサ25により検
出される吸入空気量から得られる1回転当たりの吸入空
気量GN(質量)が作業用メモリに取り込まれる(S1
10)。
【0148】次に、水温センサ43の検出値に基づいて
求められているエンジン10の冷却水温THWと、油温
センサ67の検出値に基づいて求められている潤滑油の
油温THOが作業用メモリに取り込まれる(S11
5)。
【0149】次に、エンジン10の運転状態、ここで
は、エンジン回転数NEと前記吸入空気量GNとに応じ
て、ROM71内に記憶されているマップに基づいて、
適切なバルブオーバーラップ量を実現するための基本目
標バルブタイミングtVVTが求められる(S12
0)。このマップは可変バルブタイミング機構50L,
50Rが、連続的にバルブタイミングが設定可能である
ことに対応して、連続的な値の基本目標バルブタイミン
グtVVTの分布として形成されているものである。
【0150】次に、冷却水温THWに応じた水温補正バ
ルブタイミングtVVTthwが、ROM71に記憶され
ているテーブルから求められる(S125)。この水温
補正バルブタイミングtVVTthwは、燃焼安定性を考
慮して、冷却水温THWが低いほど大きい値に設定され
る。
【0151】こうして求められた水温補正バルブタイミ
ングtVVTthwにより、次式のごとく基本目標バルブ
タイミングtVVTが補正され、目標バルブタイミング
VVT(目標バルブオーバーラップ量に相当する)が求
められる(S130)。
【0152】
【数1】VVT ← tVVT − tVVTthw すなわち、冷却水温THWが低いほど目標バルブタイミ
ングVVTは小さく(吸気バルブ21の開弁タイミング
が遅角方向へ補正され、バルブオーバーラップ量が小さ
くなる方向へ補正されることを意味する)される。
【0153】次に、カム角センサ44L,44Rからの
カム角度信号(変位タイミング信号)と、クランク角セ
ンサ40から出力されるクランク角度信号(基準タイミ
ング信号)とに基づいて、吸気バルブ21の実バルブタ
イミングVT(実バルブオーバーラップ量に相当する)
が求められる(S135)。
【0154】次に、可変バルブタイミング機構50L,
50Rの駆動における異常判定用として、バルブタイミ
ング変位差ΔVVT(実バルブオーバーラップ量と目標
バルブオーバーラップ量との偏差の絶対値に相当する)
が次式のごとく絶対値として求められる(S140)。
【0155】
【数2】ΔVVT ← | VVT − VT | 次に、油温THOに応じて、対応関係を示す図7(b)
のテーブル(ROM71に記憶されている)に基づいて
温度補正検出時間kTHOを求める(S145)。
【0156】潤滑油の油圧により駆動される可変バルブ
タイミング機構50L,50Rの応答性は、可変バルブ
タイミング機構50L,50Rのフリクションと潤滑油
の油圧とにより影響される。
【0157】この内、フリクションは図6(a)に示す
ごとく、油温THOが低いほど大きくなる。また、油圧
は潤滑油が供給される経路の油漏れに影響されるが、こ
の油漏れは油温THOが高いほど大きくなり、図6
(b)に示すごとく、油温THOが高いほど油漏れによ
る油圧低下を招く。したがって、フリクションと油漏れ
との関係が相乗して、油温THOに対する可変バルブタ
イミング機構50L,50Rによるバルブタイミングの
応答性は、図7(a)に示すごとくとなる(ただし、等
エンジン回転数での傾向を示している)。これを油温T
HOと温度補正検出時間kTHOとの関係で表したもの
が図7(b)に示したテーブルである。なお、図中、バ
ルブタイミングの応答性が高応答として好ましい範囲
を、許容温度範囲として示している。
【0158】次に、エンジン回転数NEに応じて、対応
関係を示す図8(b)のテーブル(ROM71に記憶さ
れている)に基づいて回転数補正検出時間kNEを求め
る(S150)。
【0159】潤滑油の油圧により駆動される可変バルブ
タイミング機構50L,50Rの応答性は、油温THO
以外に、オイルポンプ64L,64Rを駆動するエンジ
ン10の回転数NEによっても影響される。エンジン回
転数NEによる油圧への影響は、図8(a)に示すごと
くであり、エンジン回転数NEが高くなるほど油圧も高
くなる関係(等油温での傾向を示している)にある。た
だし、必要以上の油圧はリリーフ弁によりほぼ一定にさ
れるので、高回転数側では一定化している。したがっ
て、エンジン回転数NEに対する可変バルブタイミング
機構50L,50Rによるバルブタイミングの応答性も
同様である。これをエンジン回転数NEと回転数補正検
出時間kNEとの関係で表したものが図8(b)に示し
たテーブルである。
【0160】次に、ステップS140にて求めたバルブ
タイミング変位差ΔVVTが異常偏差判定値A(A>
0)より大きいか否かが判定される(S155)。ΔV
VT≦Aでは(S155で「NO」)、タイマーカウン
タCVVTがクリア(CVVT←0)される(S16
0)。ΔVVT>Aでは(S155で「YES」)、タ
イマーカウンタCVVTがインクリメント(CVVT←
CVVT+1)される(S165)。
【0161】ステップS160またはステップS165
の次に、異常判定時間kVVTを次式のごとく求める
(S170)。
【0162】
【数3】kVVT ← kVT × kTHO × k
NE ここで、基本検出時間kVTは、予め設定されている値
である。したがって、この基本検出時間kVTに対し
て、ステップS145で求められた温度補正検出時間k
THOとステップS150で求められた回転数補正検出
時間kNEとを乗ずることにより補正して、異常判定時
間kVVTを求めていることになる。
【0163】次に、この異常判定時間kVVTよりもタ
イマーカウンタCVVTが大きいか否かが判定される
(S175)。kVVT≧CVVTである場合(S17
5で「NO」)は、ΔVVT>Aである状態が異常判定
時間kVVTよりも長く継続していないか、あるいはΔ
VVT≦Aであることを示しており、正常判定、すなわ
ち、可変バルブタイミング機構50L,50Rの応答性
は正常な状態にあると判定する(S180)。
【0164】一方、kVVT<CVVTである場合(S
175で「YES」)は、ΔVVT>Aである状態が異
常判定時間kVVTよりも長く継続していることを示し
ており、異常判定、すなわち、可変バルブタイミング機
構50L,50Rの応答性は異常な状態にあると判定す
る(S185)。
【0165】こうして、処理を一旦、終了し、次の制御
周期に至れば、再度、ステップS105から処理が開始
される。本実施の形態において、ステップS175,S
185が異常判定手段としての処理に相当し、ステップ
S145,S150,S170が異常判定時間設定手段
としての処理に相当する。
【0166】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).ステップS170では、油温センサ67にて検
出された潤滑油の温度と、クランク角センサ40にて検
出されたエンジン回転数とに応じて、ステップS175
の判定に用いられる異常判定時間kVVTを設定してい
る。
【0167】すなわち、ステップS145にて求めた温
度補正検出時間kTHOは、図7(b)に示したごと
く、油温THOが許容温度範囲から離れるにしたがっ
て、異常判定時間kVVTを長くするようにしている。
【0168】この許容温度範囲とは、フリクションが高
い低温領域および潤滑油の漏れが大きい高温領域を排除
した温度領域であり、応答性上好ましい範囲である。こ
の許容温度範囲から油温THOが離れるにしたがって、
上述したごとく低温領域でフリクションが大きかったり
高温領域で油漏れが大きかったりして、可変バルブタイ
ミング機構50L,50Rの応答性が低下する。
【0169】このため、油温THOが許容温度範囲から
離れるにしたがって、異常判定時間を長くすることで、
低応答性でも、可変バルブタイミング機構50L,50
Rに異常がない限り、異常と判定されないようにしてい
る。
【0170】また、ステップS150にて求めた回転数
補正検出時間kNEは、図8(b)に示したごとく、回
転数NEが低い側では、高い側に比較して、異常判定時
間kVVTを長くするようにしている。
【0171】エンジン10はオイルポンプ64L,64
Rを駆動しているため、エンジン10の回転数NEは、
直接、潤滑油の油圧に影響する。すなわち、エンジン1
0の回転数NEが低下すれば、それだけ油圧は下降し、
可変バルブタイミング機構50L,50Rの応答性が低
下する。
【0172】このため、エンジン10の回転数NEが低
い側では、高い側に比較して、異常判定時間kVVTを
長くすることで、低応答性でも、可変バルブタイミング
機構50L,50Rに異常がない限り、異常と判定され
ないようにしている。
【0173】すなわち、可変バルブタイミング機構50
L,50Rを駆動している潤滑油の温度THOと、この
潤滑油にオイルポンプ64L,64Rにて作用して油圧
を発生させているエンジン10の回転数NEとに応じ
て、異常判定時間kVVTを設定している。このよう
に、油温THOとともに、更にエンジン10の回転数N
Eも加味して異常判定時間kVVTを設定することによ
り、油圧に応じた可変バルブタイミング機構50L,5
0Rの応答性の違いを考慮して、油温THOおよびエン
ジン回転数NEの広い範囲で適切に異常判定することが
可能となる。
【0174】[実施の形態2]本実施の形態は、実施の
形態1とは図5に示したバルブタイミング異常検出処理
部分の代わりに、図9に示すバルブタイミング異常検出
処理部分が実行される点が異なる。また、図9に示した
処理の内で、ステップS253を除く、ステップS24
5〜ステップS285の処理は、このステップ番号より
100少ない図5におけるステップと同じ処理である。
【0175】ステップS253では、図4に示したステ
ップS140にて求められているバルブタイミング変位
差ΔVVTに応じて、対応関係を示す図10のテーブル
(ROM71に記憶されている)に基づいて基本検出時
間kVTを求める。
【0176】したがって、ステップS245〜S265
の処理の後に行われるステップS270にて求められる
異常判定時間kVVTには、バルブタイミング変位差Δ
VVTの大きさが反映される。すなわち、ステップS2
70では、バルブタイミング変位差ΔVVTが大きけれ
ば大きいほど、異常判定時間kVVTが長くなるように
設定される。
【0177】本実施の形態において、ステップS27
5,S285が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS245,S250,S253,S270が異常
判定時間設定手段としての処理に相当する。
【0178】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).前記実施の形態1の(イ)と同様の効果を生じ
る。 (ロ).エンジン10の運転状態(ここでは、エンジン
回転数NE、エンジン負荷および冷却水温THW)に応
じて、目標バルブタイミングVVTが実バルブタイミン
グVTから近い位置に設定された場合と、大きく離れた
位置に設定された場合とでは、可変バルブタイミング機
構50L,50Rの応答性が正常であっても、実バルブ
タイミングVTが目標バルブタイミングVVTに収束す
るための時間は自ずと異なる。
【0179】すなわち、図11に示すごとく、目標バル
ブタイミングVVTが変化した場合に、同じ応答性で
も、実バルブタイミングVTから小さい方の目標バルブ
タイミングVVT(1)から異常偏差判定値A以内に収
束する時間TS1よりも、大きい方の目標バルブタイミ
ングVVT(2)から異常偏差判定値A以内に収束する
時間TS2の方が長くなる。この目標バルブタイミング
VVTと実バルブタイミングVTとの位置関係を考慮し
ないと、共に正常であるにもかかわらず、目標バルブタ
イミングVVTと実バルブタイミングVTとが大きく離
れている方、すなわち、バルブタイミング変位差ΔVV
Tが大きい方が異常と判定されるおそれがある。
【0180】このため、本実施の形態では、バルブタイ
ミング変位差ΔVVTが大きい側では、小さい側に比較
して、図10に示すごとく基本検出時間kVTを大きく
することで異常判定時間kVVTを長くしている。この
ようにすることで、正常であれば、目標バルブタイミン
グVVTと実バルブタイミングVTとが大きく離れてい
る場合でも異常と判定されないようにしている。このこ
とにより適切に異常判定することが可能となる。
【0181】[実施の形態3]本実施の形態では、前述
した実施の形態2とは異なり、図12、図13および図
14に示すバルブタイミング異常検出処理がなされる。
実施の形態2と異なるのは、図12のステップS340
に示すごとく、バルブタイミング変位差ΔVVTが絶対
値として求められるのではなく、次式のごとく、目標バ
ルブタイミングVVTと実バルブタイミングVTとの差
(実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラッ
プ量との偏差に相当する)として求められている点であ
る。
【0182】
【数4】ΔVVT ← VVT − VT このステップS340を除いて、図12におけるステッ
プS305〜ステップS335の処理は、ステップ番号
より200少ない図4におけるステップの内容と同じ処
理である。
【0183】図13の処理では、ステップS351を除
いて、ステップS345〜S385の処理は、このステ
ップ番号より100少ない図9におけるステップの内容
と同じ処理である。なお、ステップS353,S370
の基本検出時間kVTPはステップS253,S270
の基本検出時間kVTと同じものである。
【0184】また、図13にてはステップS350の後
に、バルブタイミング変位差ΔVVTが正か否かが判定
される(S351)。ΔVVT>0であれば(S351
で「YES」)、すなわち、実バルブタイミングVTが
目標バルブタイミングVVTよりも遅角側に存在する場
合は、実施の形態2と同様にステップS353〜S38
5の処理が行われるが、ΔVVT≦0であれば(S35
1で「NO」)、すなわち、実バルブタイミングVTが
目標バルブタイミングVVTよりも進角側あるいは同一
である場合は、実施の形態2と異なり、図14に示す処
理が行われる。
【0185】すなわち、まず、ステップS340にて求
められているバルブタイミング変位差ΔVVTについ
て、その絶対値を求めて、この値に応じて、対応関係を
示す図15のテーブル(実線で示す:ROM71に記憶
されている)に基づいて基本検出時間kVTMを求める
(S390)。図15には、ステップS353にて基本
検出時間kVTPを求めるのに用いられるテーブルと同
じテーブルを一点鎖線で示している。
【0186】図示するごとく、実バルブタイミングVT
が目標バルブタイミングVVTより進角側(バルブオー
バーラップ量が過大)にある過大変位故障の場合(S3
51で「NO」:ただし、VT=VVTの場合も含む)
は、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングV
VTより遅角側(バルブオーバーラップ量が過小)にあ
る過小変位故障の場合(S351で「YES」)より
も、全体に基本検出時間kVTが小さく設定(kVTP
>kVTM)され、バルブタイミング変位差ΔVVTの
絶対値が大きくなるほど、その差が大きくなるように設
定されている。
【0187】次に、バルブタイミング変位差ΔVVTの
絶対値が異常偏差判定値Bより大きいか否かが判定され
る(S392)。この異常偏差判定値Bは、ステップS
355で用いる異常偏差判定値Aに対して次式のごとく
の関係にある。
【0188】
【数5】A ≧ B > 0 |ΔVVT|≦Bでは(S392で「NO」)、タイマ
ーカウンタCVVTがクリア(CVVT←0)される
(S394)。|ΔVVT|>Bでは(S392で「Y
ES」)、タイマーカウンタCVVTがインクリメント
(CVVT←CVVT+1)、すなわちカウントアップ
される(S396)。
【0189】ステップS394またはステップS396
の次に、異常判定時間kVVTを次式のごとく求める
(S398)。
【0190】
【数6】 kVVT ← kVTM × kTHO × kNE こうして、図13のステップS375に処理が移り、異
常判定時間kVVTとタイマーカウンタCVVTとが比
較されて(S375)、kVVT≧CVVTならば(S
375で「NO」)、正常と判定し(S380)、kV
VT<CVVTならば(S375で「YES」)、異常
と判定する(S385)。
【0191】本実施の形態において、ステップS37
5,S385が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS351,S353,S370,S390,S3
98が異常判定時間設定手段としての処理に相当する。
【0192】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態2の(イ)、(ロ)と同じ効果を生
じる。 (ロ).バルブタイミング変位差ΔVVTの絶対値が同
じであっても、ステップS351にて「YES」と判定
された場合に比較して、ステップS351にて「NO」
と判定された場合は、異常判定時間kVVTは短く設定
され、異常と判定されやすくしている。
【0193】実バルブタイミングVTが目標バルブタイ
ミングVVTよりも小さくなる異常の場合、すなわち必
要なバルブオーバーラップ量よりも過小なバルブオーバ
ーラップ量となる異常の場合は、出力トルクの低下、燃
費やエミッションの悪化を招くおそれがある。
【0194】しかし、逆に、実バルブタイミングVTが
目標バルブタイミングVVTよりも大きくなる異常の場
合、すなわち必要なバルブオーバーラップ量よりも過大
なバルブオーバーラップ量となる異常の場合は、出力ト
ルクの低下、燃費やエミッションの悪化を招くばかり
か、失火を招くおそれがある。このように失火が発生
し、しかも頻繁に発生するようになると、図16に示す
ごとく排気浄化のための触媒が過熱し、溶損する可能性
が生じる。
【0195】このように過大なバルブオーバーラップ量
となる異常は、過小なバルブオーバーラップ量となる異
常よりも、特に早期に対策しなくてはならないため、過
大なバルブオーバーラップ量となっている場合は、過小
なバルブオーバーラップ量となっている場合に比較し
て、異常判定時間kVVTを短くすることで、適切に異
常判定を行って、迅速に異常に対処できるようにしてい
る。
【0196】(ハ).バルブタイミング変位差ΔVVT
≦0の場合に用いられる異常偏差判定値Bは、バルブタ
イミング変位差ΔVVT>0の場合の異常偏差判定値A
以下であるが、特に異常偏差判定値B<異常偏差判定値
Aとした場合は、タイマーカウンタCVVTのインクリ
メントを速くするので、結果として、過大なバルブオー
バーラップ量において異常判定時間kVVTを短くする
ことと同じ機能を果たす。このことにより、上述したご
とく失火の可能性のある状況下において、一層適切に異
常判定することができ、一層迅速に異常に対処できる。
【0197】[実施の形態4]本実施の形態は、前記実
施の形態3の図14の処理の代わりに図17の処理が行
われる点が異なるのみで他の処理は実施の形態3と同じ
である。また、図17の処理においても、ステップS4
97,S498を除いて、ステップS490〜S496
の処理は、このステップ番号より100少ない図14に
おけるステップと同じ処理である。
【0198】ここで、ステップS494またはステップ
S496の後に、バルブタイミング変位差ΔVVTの絶
対値に応じて、対応関係を示す図18のテーブル(RO
M71に記憶されている)に基づいて補正時間kDVV
Tを求める(S497)。
【0199】次に、異常判定時間kVVTを次式のごと
く求める(S498)。
【0200】
【数7】kVVT ← kVTM × kTHO ×
kNE − kDVVT 実施の形態3では、「kVTM × kTHO × k
NE」のみで異常判定時間kVVTを求めていたが、本
実施の形態では、更に、補正時間kDVVT分の時間短
縮を行っている。すなわち、過大なバルブオーバーラッ
プ量となっている場合は、過小なバルブオーバーラップ
量となっている場合とは異なり、図18に示したごと
く、バルブタイミング変位差ΔVVTの絶対値が大きい
領域では、異常判定時間kVVTを短くするように作用
している。
【0201】こうして、図13のステップS375以下
に処理が移る。本実施の形態において、ステップS37
5,S385が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS351,S353,S370,S490,S4
97,S498が異常判定時間設定手段としての処理に
相当する。
【0202】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、(ハ)と同じ
効果を有する。 (ロ).前述したごとく、過大なバルブオーバーラップ
量となっている場合は、バルブタイミング変位差ΔVV
Tの絶対値が大きい側では、小さい側に比較して異常判
定時間kVVTを短くする側への補正が強くされてい
る。これは、実バルブタイミングVTが目標バルブタイ
ミングVVTよりも進角している程度が大きいほど、す
なわちバルブオーバーラップ量が大きい方にずれている
ほど失火が生じやすく、排気浄化のための触媒が過熱し
て溶損する可能性が高くなるからである。
【0203】したがって、バルブタイミング変位差ΔV
VTが0以下で、かつバルブタイミング変位差ΔVVT
の絶対値が大きい領域では異常判定時間kVVTを短く
するよう補正することにより、適切に異常判定を行っ
て、迅速に異常に対処できるようにしている。
【0204】[実施の形態5]本実施の形態は、前記実
施の形態3の図14の処理の代わりに図19の処理が行
われる点が異なるのみで他の処理は実施の形態3と同じ
である。また、図19の処理においても、ステップS5
97,S598を除いて、ステップS590〜S596
の処理は、このステップ番号より200少ない図14に
おけるステップと同じ処理である。
【0205】ここで、ステップS594またはステップ
S596の後に、スロットルセンサ45にて検出されて
いるスロットル開度TAに応じて、対応関係を示す図2
0(a)のテーブル(ROM71に記憶されている)に
基づいて補正時間kTAを求める(S597)。
【0206】次に、異常判定時間kVVTを次式のごと
く求める(S598)。
【0207】
【数8】kVVT ← kVTM × kTHO ×
kNE × kTA 実施の形態3では、「kVTM × kTHO × k
NE」のみで異常判定時間kVVTを求めていたが、本
実施の形態では、更に、補正時間kTAを乗じている。
このことにより、図20(a)のパターンから判るよう
に、スロットル開度TAが小さい方では、急激に異常判
定時間kVVTを短くするように補正している。
【0208】こうして、図13のステップS375以下
に処理が移る。本実施の形態において、ステップS37
5,S385が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS351,S353,S370,S590,S5
97,S598が異常判定時間設定手段としての処理に
相当する。
【0209】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、(ハ)と同じ
効果を有する。 (ロ).前述したごとく、スロットル開度TAが低い方
で補正時間kTAが急激に低下する図20(a)のテー
ブルが用いられている。これは、前記実施の形態3にて
述べた失火は、実バルブタイミングVTが目標バルブタ
イミングVVTよりも進角している場合、すなわち実バ
ルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よ
りも大きい場合では、エンジン10の高負荷・高回転側
では生じにくく、低負荷・低回転側では生じやすいから
である。
【0210】したがって、スロットル開度TAが低い
側、すなわちエンジン10の負荷が低い側では異常判定
時間kVVTを短くすることにより、適切に異常判定を
行って、迅速に異常に対処できるようにしている。
【0211】なお、このようにエンジン10の負荷が低
い側では、通常、エンジン10の回転数NEも低くなる
ことから、ステップS350にて図8(b)のテーブル
により設定されている回転数補正検出時間kNEと補正
時間kTAとの積は、回転数NEに応じて図20(b)
に一点鎖線で示すごとくのパターンを示す。このことに
より、本実施の形態のバルブタイミング異常検出処理で
は、回転数NEの低い側と高い側とでは、中間部分に比
較して異常判定時間kVVTを短くする性質があること
が判る。なお、図20(b)における破線は実施の形態
3において、実バルブタイミングVTが目標バルブタイ
ミングVVTよりも進角している場合を比較して示すも
のである。
【0212】[実施の形態6]本実施の形態は、前記実
施の形態3の図14の処理の代わりに図21の処理が行
われる点が異なるのみで他の処理は実施の形態3と同じ
である。また、図21の処理においても、ステップS6
97,S698,S699を除いて、ステップS690
〜S696の処理は、このステップ番号より300少な
い図14におけるステップと同じ処理である。
【0213】ここで、ステップS694またはステップ
S696の後に、ステップS305にて取り込んだエン
ジン10の回転数NEと前回の制御周期の際にステップ
S305にて取り込んだエンジン10の回転数NEとの
差の絶対値ΔNE(このΔNEは燃焼変動が回転数に現
れたものであり、以後、燃焼変動と呼ぶ)が求められる
(S697)。
【0214】次に、燃焼変動ΔNEに応じて、対応関係
を示す図22のテーブル(ROM71に記憶されてい
る)に基づいて補正時間kDNEを求める(S69
8)。次に、異常判定時間kVVTを次式のごとく求め
る(S699)。
【0215】
【数9】kVVT ← kVTM × kTHO ×
kNE × kDNE 実施の形態3では、「kVTM × kTHO × k
NE」のみで異常判定時間kVVTを求めていたが、本
実施の形態では、更に、補正時間kDNEを乗じてい
る。すなわち、図22に表れているように、燃焼変動Δ
NEが大きいほど、異常判定時間kVVTが短くなるよ
うに補正している。
【0216】こうして、図13のステップS375以下
に処理が移る。本実施の形態において、ステップS37
5,S385が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS351,S353,S370,S690,S6
97,S698,S699が異常判定時間設定手段とし
ての処理に相当する。
【0217】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、(ハ)と同じ
効果を有する。 (ロ).前述したごとく、燃焼変動ΔNEが大きい方で
補正時間kDNEが低下するテーブルが用いられてい
る。失火は燃焼変動ΔNEとして現れることから、燃焼
変動ΔNEを検出することで失火が生じていることを捉
えることができる。この燃焼変動ΔNEが大きい側では
失火の発生が頻繁であり、排気浄化のための触媒が過熱
して溶損する可能性が高くなる。
【0218】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、エン
ジン10の燃焼変動ΔNEが大きい側では、小さい側に
比較して、異常判定時間kVVTを短くすることによ
り、適切に異常判定を行って、迅速に異常に対処できる
ようにしている。
【0219】[実施の形態7]本実施の形態は、前記実
施の形態3の図14の処理の代わりに図23の処理が行
われる点が異なるのみで他の処理は実施の形態3と同じ
である。また、図23の処理においても、ステップS7
97〜S806を除いて、ステップS790〜S796
の処理は、このステップ番号より400少ない図14に
おけるステップと同じ処理である。また、ステップS7
97の処理は、前記実施の形態6の図21に示すステッ
プS697と同じであり、ステップS806はステップ
S699と同じである。
【0220】ここで、ステップS797の後に、時間当
たりの吸入空気量Gaに応じて、対応関係を示す図24
(a)のテーブル(ROM71に記憶されている)に基
づいて補正時間kDGaを求める(S798)。なお、
時間当たりの吸入空気量GaはステップS310でエン
ジン10の1回転当たりの吸入空気量GNとともに取り
込まれているものとする。
【0221】次に、燃焼変動ΔNEが燃焼変動大小判定
値Cより小さいか否かが判定される(S800)。ΔN
E<Cであれば(S800で「YES」)、次式により
補正時間kDNEが求められる(S802)。
【0222】
【数10】kDNE ← kDNEL × kDGa ここで、補正係数kDNELは燃焼変動ΔNEが小さい
場合(ΔNE<C)に用いられる予め定められた値であ
る。
【0223】一方、ΔNE≧Cであれば(S800で
「NO」)、次式により補正時間kDNEが求められる
(S804)。
【0224】
【数11】kDNE ← kDNEH × kDGa ここで、補正係数kDNEHは燃焼変動ΔNEが大きい
場合(ΔNE≧C)に用いられる予め定められた値であ
り、kDNEH<kDNELの関係にある。
【0225】したがって、補正時間kDGaから求めら
れる補正時間kDNEは、燃焼変動ΔNEの大小に応じ
て、図24(b)に示すごとく、燃焼変動ΔNEが大の
ときは、小のときに比較して、小さくされる。
【0226】ステップS802またはステップS804
の次には、異常判定時間kVVTを次式のごとく求める
(S806)。
【0227】
【数12】kVVT ← kVTM × kTHO ×
kNE × kDNE したがって、異常判定時間kVVTには、時間当たりの
吸入空気量Gaと燃焼変動ΔNEとが反映される。すな
わち、時間当たりの吸入空気量Gaが大きければ異常判
定時間kVVTを短くし、更に燃焼変動ΔNEが大きけ
れば異常判定時間kVVTを短くしている。
【0228】こうして、図13のステップS375以下
に処理が移る。本実施の形態において、ステップS37
5,S385が異常判定手段としての処理に相当し、ス
テップS351,S353,S370,S790,S7
97〜S806が異常判定時間設定手段としての処理に
相当する。
【0229】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、(ハ)と同じ
効果を有する。 (ロ).時間当たりの吸入空気量Gaが高い場合は、触
媒コンバータ28内の排気浄化用の触媒に流れる排気量
が多量になっている状態に対応し、時間当たりの吸入空
気量が低い場合は、触媒に流れる排気量が少量になって
いる状態に対応している。このため、既に燃焼変動ΔN
Eが大きくなっている場合には、図25に示すごとく、
エンジン10への時間当たりの吸入空気量Gaが高いほ
ど、触媒コンバータ28内の触媒に流れる未燃燃料と空
気量とが多くなるので、触媒の温度上昇も急勾配とな
り、図25に実線で示すごとく触媒許容温度を超えてし
まう場合がある。
【0230】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、エン
ジン10の時間当たりの吸入空気量Gaが大きい側で
は、小さい側に比較して、異常判定時間kVVTを短く
することにより、適切に異常判定を行って、迅速に異常
に対処できるようにしている。
【0231】[実施の形態8]本実施の形態は、前述し
た実施の形態1〜7および後述する実施の形態10,1
1において、異常と判定された場合に、ECU70によ
り実行される強制進角抑制制御処理を行うものである。
したがって、本実施の形態は、前述した実施の形態1〜
7および後述する実施の形態10,11のいずれかの構
成に対して、ROM71内に記憶されたプログラムとし
て実現されるものである。
【0232】本強制進角抑制制御処理を図26のフロー
チャートに示す。前述したステップS185,S28
5,S385が実行されて、可変バルブタイミング機構
50L,50Rの応答性に異常があると判定されると、
まず、この異常が過大変位(実バルブオーバーラップ量
が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい状態)での
故障か否かが判定される(S810)。過大変位故障で
なければ(S810で「NO」)、このまま処理を終了
する。
【0233】過大変位故障であれば(S810で「YE
S」)、燃焼変動ΔNEが大きいか否かが判定される
(S812)。これは、燃焼変動ΔNEと変動判定基準
値とを比較することにより行われるが、変動判定基準値
としては、実施の形態7で用いた燃焼変動大小判定値C
を使用してΔNE>Cの場合に燃焼変動ΔNEが大きい
と判定してもよく、他の値を用いて判定してもよい。
【0234】燃焼変動ΔNEが小さければ(S812で
「NO」)、このまま処理を終了するが、大きければ
(S812で「YES」)、次に待避バルブオーバーラ
ップ量範囲内へ、実バルブオーバーラップ量を待避させ
るために、目標バルブタイミングVVTが待避バルブタ
イミングDより大きい(進角している)か否かが判定さ
れる(S814)。この待避バルブタイミングDは、待
避バルブオーバーラップ量範囲の上限を示すバルブタイ
ミング値である。
【0235】ここで既にVVT≦Dであれば(S814
で「NO」)、このまま処理を終了する。VVT>Dで
あれば(S814で「YES」)、目標バルブタイミン
グVVTに待避バルブタイミングDを設定して(S81
6)、処理を終了する。
【0236】このステップS816が実行されると、E
CU70が別途行っているバルブタイミング制御処理に
て、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングV
VTとなるようにフィードバック制御がなされる。した
がって、可変バルブタイミング機構50L,50Rは完
全に駆動が不能な故障でない限り、バルブオーバーラッ
プ量が触媒コンバータ28の触媒の溶損を招くことのな
い範囲(待避バルブオーバーラップ量範囲)に待避させ
られる。
【0237】本実施の形態において、図26にて行われ
る処理が強制バルブオーバーラップ量減少手段としての
処理に相当する。以上説明した本実施の形態によれば、
以下の効果が得られる。
【0238】(イ).ステップS185,S285,S
385の実行により、可変バルブタイミング機構50
L,50Rの応答性に異常があると判定された場合にお
いて、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミング
VVTより進角していて、かつエンジン10の燃焼変動
ΔNEが大きいときには、前述したごとく失火を生じて
いる可能性が高く、排気浄化触媒が過熱し溶損するおそ
れが生じる。
【0239】したがって、このような触媒溶損といった
早期に対策しなくてはならない状況では、ステップS8
14,S816の処理により、可変バルブタイミング機
構50L,50Rを駆動してバルブオーバーラップ量が
待避バルブオーバーラップ量範囲内に入るように、目標
バルブタイミングVVTを調整することができる。
【0240】このことにより、可変バルブタイミング機
構50L,50Rの駆動状態が異常であったとしても、
バルブオーバーラップ量を触媒溶損の可能性のない範囲
に確実に移動させることができる。このようにして実施
の形態1〜7,10,11による適切な異常判定に対し
て、更に状況に応じて適切に対処することができ、触媒
溶損を未然に防止できる。
【0241】(ロ).また、既に待避バルブオーバーラ
ップ量範囲内に実バルブタイミングVTが存在する場合
は、異常となっている可変バルブタイミング機構50
L,50Rを無理に駆動させることがないので、バルブ
タイミング調整のために余計なエネルギーを消費せず、
エネルギー的にも有利である。
【0242】[実施の形態9]本実施の形態は、図26
に示した前記実施の形態8の強制進角抑制制御処理の代
わりに、図27に示す強制進角抑制制御処理を行うもの
であり、他の構成は実施の形態8と同じである。
【0243】図27の強制進角抑制制御処理のフローチ
ャートを説明する。まず、ステップS910およびステ
ップS912が実行されるが、ステップS910は実施
の形態8のステップS810と同じ処理であり、ステッ
プS912は実施の形態8のステップS812と同じ処
理である。
【0244】ステップS910およびステップS912
にて共に「YES」と判定されると、すなわち、過大変
位異常であり、かつ燃焼変動ΔNEが大きい場合に、次
式のごく、目標バルブタイミングVVTに異常時減少係
数Eが乗ぜられた値が、新たな目標バルブタイミングV
VTとして設定される(S916)。
【0245】
【数13】VVT ← VVT × E ここで、異常時減少係数Eは、0<E<1.0である。
したがって、目標バルブタイミングVVTは減少され
る。こうして、本処理を終了する。
【0246】このステップS916が実行されると、E
CU70が別途行っているバルブタイミング制御処理に
て、ステップS916で減少した目標バルブタイミング
VVTに実バルブタイミングVTが収束するようにフィ
ードバック制御がなされる。したがって、可変バルブタ
イミング機構50L,50Rは完全に駆動が不能な故障
でない限り、バルブオーバーラップ量が減少して、触媒
コンバータ28の触媒の溶損のおそれがない方へバルブ
オーバーラップ量が変化する。
【0247】本実施の形態において、図27にて行われ
る処理が強制バルブオーバーラップ量減少手段としての
処理に相当する。以上説明した本実施の形態によれば、
以下の効果が得られる。
【0248】(イ).可変バルブタイミング機構50
L,50Rの駆動状態が異常であったとしても、バルブ
オーバーラップ量を触媒溶損の可能性のない方向に移動
させることで、実施の形態1〜7,10,11による適
切な判断に対して、状況に応じて適切に対処することが
でき、触媒溶損を未然に防止できる。
【0249】[実施の形態10]本実施の形態は、前記
実施の形態3と異なる点は、図12〜図14の代わり
に、図28〜図30の処理が行われる点であり、更に、
油温センサ67は備えられていない点である。
【0250】なお、図28に示す処理は、ステップS1
015にて油温を取り込まない以外は、ステップS10
05〜S1040の処理は、このステップ番号より70
0少ない図12におけるステップと同じ処理である。
【0251】また、図29に示す処理は、ステップS1
045が冷却水温THWに応じた温度補正検出時間kT
HWを、図7(b)と類似のパターンのテーブル(RO
M71に記憶されている)から求められていることと、
更に、ステップS1070が次式にて、異常判定時間k
VVTを求めていること以外は、ステップS1050〜
ステップS1085の処理は、このステップ番号より7
00少ない図13におけるステップと同じ処理である。
【0252】
【数14】kVVT ← kVTP × kTHW ×
kNE また、図30に示す処理は、ステップS1098〜S1
106を除いて、ステップS1090〜S1096の処
理は、このステップ番号より700少ない図14におけ
るステップの内容と同じ処理である。
【0253】ここで、ステップS1094またはステッ
プS1096の後に、時間当たりの吸入空気量Gaを取
り込む(S1098)。そして、この時間当たりの吸入
空気量Gaに応じて、対応関係を示す図31(a)のテ
ーブル(ROM71に記憶されている)に基づいて油温
予測カウンター値kXGaを求める(S1100)。
【0254】次に、次式のごとく、吸入空気量積算値C
GAが算出される(S1102)。
【0255】
【数15】CGA ← CGA + kXGa なお、吸入空気量積算値CGAの初期値は0である。
【0256】図31(a)から判るように、油温予測カ
ウンター値kXGaは、時間当たりの吸入空気量Gaが
小さい側では負となり、時間当たりの吸入空気量Gaが
大きい方では正となっている。このため、吸入空気量積
算値CGAは、時間当たりの吸入空気量Gaが大きい場
合は制御周期毎に次第に増加するが、時間当たりの吸入
空気量Gaが小さい場合は制御周期毎に次第に減少す
る。
【0257】次に、吸入空気量積算値CGAの値に応じ
て、対応関係を示す図31(b)のテーブル(ROM7
1に記憶されている)に基づいて補正時間kCGAを求
める(S1104)。
【0258】次に、異常判定時間kVVTを次式のごと
く求める(S1106)。
【0259】
【数16】kVVT ← kVTM × kTHW ×
kNE + kCGA したがって、異常判定時間kVVTには、吸入空気量積
算値CGAが補正時間kCGAとして反映される。すな
わち、吸入空気量Gaが大きい状態が継続すると異常判
定時間kVVTが急速に長くなり、異常判定がされにく
くなる。
【0260】本実施の形態において、ステップS107
5,S1085が異常判定手段としての処理に相当し、
ステップS1050,S1098〜S1106が異常判
定時間設定手段としての処理に相当する。
【0261】以上説明した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、(ハ)と同じ
効果を有する。 (ロ).異常判定時間kVVTに反映されている吸入空
気量積算値CGAは、図31(a)から判るように、時
間当たりの吸入空気量Gaが大きい状態が継続すればす
るほど大きくなり、時間当たりの吸入空気量Gaが小さ
い状態が継続すれば小さくなる。この吸入空気量積算値
CGAの変化は、エンジン10が発生する熱により加熱
される潤滑油の温度の変化にほぼ対応する。
【0262】吸入空気量Gaが大きい状態が継続する
と、潤滑油の温度が上昇して潤滑油の漏れが大きくな
り、可変バルブタイミング機構50L,50Rの応答性
が低下する。したがって、高吸入空気量状態の継続時間
および吸入空気量Gaの大きさを表す吸入空気量積算値
CGAを、異常判定時間kVVTに反映させることで、
油温センサ67を用いなくても、実施の形態1〜7と同
様に油温状態を反映できることになり、適切に異常判定
することが可能となる。
【0263】このため、油温センサ67を設けなくても
よくなり、製造コストを低減することができる。 (ハ).水温センサ43のみでは、特に、時間当たりの
吸入空気量が大きい状態が継続する高速走行領域では、
図32に示すごとく、油温THOは冷却水温THWから
大きく離れ、冷却水温THWから油温THOを予測する
ことが困難となる。したがって、水温センサ43のみで
油温センサ67が設けられていない場合にも、水温セン
サ43で油温THOを推定するよりも適切に異常判定す
ることが可能となる。
【0264】[実施の形態11]本実施の形態は、前記
実施の形態10と異なる点は、図30の処理の代わり
に、図33の処理が行われる点であり、更に、別途、図
34の異常判定禁止処理が実行される点である。この異
常判定禁止処理は、例えば、バルブタイミング異常検出
処理に先だって、同一の時間周期で行われたり、あるい
は、異常判定禁止処理とは異なる周期で行われる。
【0265】なお、図33に示す処理は、ステップS1
198以外は、ステップS1190〜S1196の処理
は、このステップ番号より800少ない図14における
ステップと同じ処理である。
【0266】なお、ステップS1198は、次式により
異常判定時間kVVTが求められる。
【0267】
【数17】kVVT ← kVTM × kTHW ×
kNE 図34の異常判定禁止処理は時間周期で繰り返し実行さ
れる。本処理が開始されると、まず、時間当たりの吸入
空気量Gaを取り込む(S1152)。そして、この時
間当たりの吸入空気量Gaに応じて、対応関係を示す図
31(a)と同じテーブル(ROM71に記憶されてい
る)に基づいて油温予測カウンター値kXGaを求める
(S1154)。
【0268】次に、次式のごとく、吸入空気量積算値C
GAが算出される(S1156)。
【0269】
【数18】CGA ← CGA + kXGa なお、吸入空気量積算値CGAの初期値は0である。
【0270】次に、吸入空気量積算値CGAが判定許容
積算値Fより大きいか否かが判定される(S115
8)。CGA≦Fであれば(S1158で「NO」)、
次に、吸入空気量積算値CGAの値が¥00(¥はその
直後に記載されている数値が16進法で表されているこ
とを意味する)以下であるか否かが判定される(S11
60)。CGA≦¥00であれば(S1160で「YE
S」)、吸入空気量積算値CGAに¥00が設定される
(S1162)。CGA>¥00であれば(S1160
で「NO」)、ステップS1162は実行されない。こ
のことにより、吸入空気量積算値CGAが¥00から低
減されないようにガードされる。
【0271】次に、異常判定許可処理がなされる(S1
163)。この異常判定許可処理は、図29に示した異
常判定処理(S1085)、すなわち、可変バルブタイ
ミング機構50L,50Rの応答性が異常な状態にある
と判定する処理を許可するものである。したがって、図
29に示すバルブタイミング異常検出処理にて、kVV
T<CVVT(S1075で「YES」)と判定されて
ステップS1085が実行されれば、例えば、実施の形
態8あるいは実施の形態9にて述べた強制進角抑制制御
などの異常時の処理の実行が可能となる。
【0272】一方、ステップS1158にて、CGA>
Fであれば(S1158で「YES」)、次に、吸入空
気量積算値CGAの値が¥FF以上であるか否かが判定
される(S1164)。CGA≧¥FFであれば(S1
164で「YES」)、吸入空気量積算値CGAに¥F
Fが設定される(S1166)。CGA<¥FFであれ
ば(S1164で「NO」)、ステップS1166は実
行されない。このことにより、吸入空気量積算値CGA
が¥FFを越えないようにガードされる。なお、判定許
容積算値Fは、¥00<F<¥FFなる範囲に設定され
ている。
【0273】次に、異常判定禁止処理がなされる(S1
168)。この異常判定禁止処理は、図29に示した異
常判定処理(S1085)を禁止するものである。した
がって、図29に示すバルブタイミング異常検出処理に
て、kVVT<CVVT(S1075で「YES」)と
判定されても、ステップS1085は実行されずにバル
ブタイミング異常検出処理は終了する。このことによ
り、実施の形態8あるいは実施の形態9にて述べた強制
進角抑制制御などの異常時の処理の実行も不可能とな
る。
【0274】本実施の形態において、ステップS115
2〜S1158,S1168が異常判定禁止手段として
の処理に相当する。以上説明した本実施の形態によれ
ば、以下の効果が得られる。
【0275】(イ).実施の形態3の(イ)、(ロ)、
(ハ)と同じ効果を有する。 (ロ).可変バルブタイミング機構50L,50Rの異
常の程度が大きければ、異常判定そのものを禁止してい
るので、可変バルブタイミング機構50L,50Rが駆
動不可能になっているような場合に余計なエネルギーを
費やすことがない。
【0276】(ハ).水温センサ43により検出される
冷却水温THWにより潤滑油の温度を推定し(S104
5)、異常判定時間kVVTを求めているので(S10
70,S1198)、油温センサ67を設けなくてもよ
くなり、製造コストを低減することができる。
【0277】[その他の実施の形態] ・前記各実施の形態において、バルブタイミング異常検
出処理は、時間周期で繰り返し実行されたが、クランク
角周期で繰り返し実行してもよい。この場合は、タイマ
ーカウンタCVVTは時間周期で実行される別ルーチン
にてカウントされるようしてもよい。
【0278】・前記実施の形態1〜7において、油温T
HOの代わりにエンジン10の冷却水温THWを用いて
もよい。油温THOは、エンジン10から発生する熱量
により決定されることから、同様にエンジン10の熱量
に影響される冷却水温THWは、油温THOを反映する
ものであり、この油温THOの代わりに用いても適切に
異常判定することが可能となる。この場合、水温センサ
43が液温検出手段に相当する。
【0279】このように冷却水温THWを利用すると、
既に冷却水温を検出する水温センサ43が存在している
ので、油温センサ67を備えなくてもよくなる。したが
って、部品数を増加させずに実施の形態1〜7が実現で
きるので、製造コストの上昇を抑制できる。
【0280】・前記実施の形態1において、ステップS
105〜ステップS130の処理は油温検出を除いて
は、すべてバルブタイミング制御処理においても行われ
ているので、バルブタイミング制御処理にて求められて
いる値をバルブタイミング異常検出処理に用いてもよ
い。
【0281】・前記実施の形態3において、過大なバル
ブオーバーラップ量となる異常と、過小なバルブオーバ
ーラップ量となる異常とで、基本検出時間kVTの設定
テーブルを切り替えることにより対処していたが、基本
検出時間kVTは予め定めた一定の値とし、図35
(a)に示すごとく、温度補正検出時間kTHOを設定
するのに、過小変位故障の場合は実線のごとくのテーブ
ルを使用し、過大変位故障の場合は一点鎖線のごとくの
テーブルを使用することで、実施の形態3と同様な効果
を生じさせてもよい。
【0282】また、同様に、前記実施の形態3におい
て、基本検出時間kVTは予め定めた一定の値とし、図
35(b)に示すごとく、回転数補正検出時間kNEを
設定するのに、過小変位故障の場合は実線のごとくのテ
ーブルを使用し、過大変位故障の場合は一点鎖線のごと
くのテーブルを使用することで、実施の形態3と同様な
効果を生じさせてもよい。
【0283】・前記実施の形態5のステップS597に
おいて、スロットル開度TAに応じた補正時間kTAを
求めて、ステップS598にて異常判定時間kVVTの
計算に用いているが、ステップS597において、吸入
空気量センサ25により検出する時間当たりの吸入空気
量Ga、あるいは吸気通路20に吸気圧センサを設けて
検出した吸気圧PMに応じた補正時間kGa,kPM
を、図20(a)と類似のテーブルから求めて、ステッ
プS598にて補正時間kTAの代わりに補正時間kG
a,kPMを用いて異常判定時間kVVTを計算しても
よい。このことによっても、実施の形態5と同様な効果
を生じる。
【0284】・また、前記実施の形態5のステップS5
97において、エンジン10の回転数NEに応じた補正
時間kNNEを、図20(a)と類似のテーブルから求
めて、ステップS598にて補正時間kTAの代わりに
補正時間kNNEを用いて異常判定時間kVVTを計算
してもよい。このようにしても図20(b)のkNE×
kTAと同様に、kNE×kNNEは、回転数NEの高
い側と低い側とが、中間部分に比較して短くなり、実施
の形態5と同様な効果を生じる。
【0285】・なお、前記実施の形態5のステップS5
97において、エンジン10の負荷を表すパラメータ
(スロットル開度TA,時間当たりの吸入空気量Ga,
吸気圧PM等)に応じた補正時間kTA,kGa,kP
Mとともに、エンジン10の回転数NEに応じた補正時
間kNNEを、それぞれ図20(a)と類似のテーブル
から求めて、ともにステップS598における異常判定
時間kVVTの計算に用いてもよい。このことによって
も、実施の形態5と同様な効果を生じる。
【0286】・前記実施の形態7においては、時間当た
りの吸入空気量Gaの大きさに応じて、異常判定時間k
VVTを求めたが、この時間当たりの吸入空気量Gaの
代わりに、エンジン10の負荷(スロットル開度TAあ
るいは1回転当たりの吸入空気量GN等)が大きいほど
異常判定時間kVVTを短くしてもよい。また、時間当
たりの吸入空気量Gaの代わりに、エンジン10の回転
数NEが大きいほど異常判定時間kVVTを短くしても
よい。あるいは、時間当たりの吸入空気量Gaの代わり
に、エンジン10の負荷と回転数NEとを共に用いて、
負荷が大きいほど異常判定時間kVVTを短くし、回転
数NEが大きいほど異常判定時間kVVTを短くするよ
うにしてもよい。
【0287】・前記実施の形態8,9において、実バル
ブタイミングVTが目標バルブタイミングVVTよりも
進角していて、かつ燃焼変動ΔNEが大きい場合に、強
制的にバルブオーバーラップ量を待避バルブオーバーラ
ップ量範囲内に待避し、あるいはバルブオーバーラップ
量を減少させていたが、これ以外に、異常判定があった
場合に、直ちに、バルブオーバーラップ量の待避あるい
は減少を行ってもよい。また、異常判定があった場合
に、燃焼変動ΔNEは判定せずに、実バルブタイミング
VTが目標バルブタイミングVVTよりも進角している
場合にバルブオーバーラップ量の待避あるいは減少を行
ってもよい。
【0288】・前記実施の形態10のステップS110
6においては、補正時間kCGAを加算することによ
り、異常判定時間kVVTを求めていたが、ステップS
1104にて補正時間kCGAを図36に示したテーブ
ルに基づいて求め、ステップS1106では、次式のご
とく乗算により求めてもよい。
【0289】
【数19】kVVT ← kVTM × kTHW ×
kNE × kCGA ・前記実施の形態10においては、ステップS1100
では、油温予測カウンター値kXGaは、時間当たりの
吸入空気量Gaに応じて設定されたが、時間当たりの吸
入空気量Ga以外に、負荷(1回転当たりの吸入空気量
GNあるいはスロットル開度TAなど)でもよく、ある
いは車速でもよい。
【0290】・前記実施の形態11において、ステップ
S1168により異常判定が禁止された場合は、ステッ
プS1085の実行が禁止されるとしたが、これ以外
に、バルブタイミング異常検出処理自体の実行を禁止し
てもよい。
【0291】・前記各実施の形態における可変バルブタ
イミング機構50L,50Rは、吸気バルブ21側の進
角量の調整によりバルブオーバーラップ量の変更を行う
ものであったが、この吸気バルブ21側によるバルブオ
ーバーラップ量の調整に代えて、排気カムシャフト33
L,33Rに可変バルブタイミング機構を設けることに
より、排気バルブ31側の遅角量の調整にてバルブオー
バーラップ量の変更を行ってもよい。あるいは吸気バル
ブ21側の進角量によるバルブオーバーラップ量の調整
に加えて、排気バルブ31側での遅角量の調整も行うこ
とで、吸気バルブ21と排気バルブ31とで協働してバ
ルブオーバーラップ量の調整を行ってもよい。
【0292】・前記各実施の形態においては、可変バル
ブタイミング機構50L,50Rとしては、ヘリカルス
プライン機構を備えて、回転軸方向にリングギヤ59が
移動することにより、吸気カムシャフト23がクランク
シャフト14に対して相対回動して回転位相差が調整さ
れるものであったが、これ以外に、吸気あるいは排気カ
ムシャフトに設けられたベーンが回転軸周りに回動する
ことにより、カムシャフトがクランクシャフトに対して
相対回動して回転位相差が調整されるベーンタイプのも
のでもよい。また、これ以外に、吸気あるいは排気カム
シャフトに設けられた3次元カムを、カムシャフトを軸
方向に移動させることで、バルブタイミングを調整する
ものであってもよい。また、これらの構成を組み合わせ
たものでもよい。
【0293】・前記各実施の形態において、実バルブタ
イミングVTおよび目標バルブタイミングVVTは吸気
バルブ21の進角量として表されていたが、これ以外
に、直接、バルブオーバーラップ量で表してもよく、ま
た、吸気バルブ21の遅角量、あるいは排気バルブ31
の回転位相差が調整可能で有れば排気バルブ31の進角
量や遅角量で表してもよい。すなわち、バルブタイミン
グは、直接、バルブオーバーラップ量にて表されている
必要はなく、吸気バルブ21や排気バルブ31の進角量
や遅角量にて表されたものでよく、バルブオーバーラッ
プ量と対応している物理量ならばよい。
【0294】・前記各実施の形態において、油温センサ
67はオイルパン65において潤滑油の温度を検出して
いたが、オイルパン65以外で潤滑油の温度を検出して
もよい。例えば、OCV80から可変バルブタイミング
機構50L,50Rへの油圧供給孔51a,51bへ設
けてもよい。
【0295】
【発明の効果】請求項1の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置の異常判定時間設定手段は、液温検出手段
にて検出された前記液体の温度と、回転数検出手段にて
検出された前記内燃機関の回転数とに応じて、異常判定
手段における異常判定時間を設定している。すなわち、
可変バルブタイミング機構を駆動している液体の温度
と、この液体に作用して液圧を発生させている内燃機関
の回転数とに応じて、異常判定時間を設定している。
【0296】このことにより、液体の温度と内燃機関の
回転数との両方の状態が異常判定時間の長さに反映され
ることになり、液体の温度および内燃機関の回転数が異
常判定手段における異常判定レベルに影響することにな
る。
【0297】前記液圧は、単に液体の温度により変化す
るのではなく、液圧を発生している内燃機関の回転数に
も大きく影響される。したがって、液体の温度ととも
に、内燃機関の回転数も加味して異常判定時間を設定す
ることにより、液圧に応じた可変バルブタイミング機構
の応答性の違いを考慮して、適切に異常判定することが
可能となる。また、内燃機関の運転状態に応じて、目標
バルブオーバーラップ量が実バルブオーバーラップ量か
ら近い値に設定された場合と、大きく離れた値に設定さ
れた場合とでは、可変バルブタイミング機構の応答性が
同じであっても、実バルブオーバーラップ量が目標バル
ブオーバーラップ量に収束するための時間は自ずと異な
る。したがって異常判定時間が同じでは目標バルブオー
バーラップ量と実バルブオーバーラップ量とが大きく離
れている方が異常と判定されやすくなる。このため、実
バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量
との偏差の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小
さい側に比較して、異常判定時間を長くすることで、目
標バルブオーバーラップ量と実バルブオーバーラップ量
とが大きく離れている場合でも、異常と判定されないよ
うにしている。このことにより適切に異常判定すること
が可能となる。
【0298】請求項2は、前記液温検出手段として、前
記液体の温度の代わりに、前記内燃機関の冷却水温を検
出している。前記液体の温度は、内燃機関から発生する
熱量により決定されることから、同様に内燃機関の熱量
に影響される冷却水温は、前記液体の温度を反映するも
のであり、液体の温度の代わりに用いても適切に異常判
定することが可能となる。このように冷却水温を利用す
ると、既に冷却水温を検出する手段が存在した場合に
は、特別に前記液体の温度を検出する手段を備えなくて
もよいので、部品数を増加させることがなく、製造コス
トの上昇を抑制できる。
【0299】請求項3は、前記異常判定時間設定手段
が、前記液温検出手段にて検出された温度に関しては、
該温度が許容温度範囲から離れるにしたがって、前記異
常判定時間を長くするようにしている。
【0300】許容温度範囲とは、例えば、フリクション
が高い低温領域および液体の漏れが大きい高温側領域を
排除した温度領域である。この許容温度範囲に液体の温
度が存在しない場合には、上述したごとくフリクション
が大きかったり液体の漏れが大きかったりして、可変バ
ルブタイミング機構の応答性が低下する。このため、液
体の温度が許容温度範囲から離れるにしたがって、異常
判定時間を長くすることで、低応答性でも、可変バルブ
タイミング機構に異常がない限り、異常と判定されない
ようにしている。このことにより適切に異常判定するこ
とが可能となる。
【0301】請求項4は、前記異常判定時間設定手段
が、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
回転数に関しては、該回転数が低い側では、高い側に比
較して、前記異常判定時間を長くするようにしている。
【0302】内燃機関の回転数は、直接、前記液体の圧
力に影響する。すなわち、内燃機関の回転数が低下すれ
ば、それだけ液圧は下降し、可変バルブタイミング機構
の応答性が低下する。このため、内燃機関の回転数が低
い側では、高い側に比較して、異常判定時間を長くする
ことで、低応答性でも、可変バルブタイミング機構に異
常がない限り、異常と判定されないようにしている。こ
のことにより適切に異常判定することが可能となる。
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】請求項の可変バルブタイミング機構の異
常検出装置は、異常判定するに際して、異常判定時間設
定手段により、実バルブオーバーラップ量が目標バルブ
オーバーラップ量よりも大きい場合は、実バルブオーバ
ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも小さい
場合に比較して、前記異常判定時間を短くしている。
【0307】実バルブオーバーラップ量が目標バルブオ
ーバーラップ量よりも小さくなる異常の場合、すなわち
必要なバルブオーバーラップ量よりも過小なバルブオー
バーラップ量となる異常の場合は、出力トルクの低下、
燃費やエミッションの悪化を招くおそれがある。しか
し、逆に、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオー
バーラップ量よりも大きくなる異常の場合、すなわち必
要なバルブオーバーラップ量よりも過大なバルブオーバ
ーラップ量となる異常の場合は、出力トルクの低下、燃
費やエミッションの悪化を招くばかりか、失火を招くお
それがある。このように失火が発生し、しかも頻繁に発
生するようになると、排気浄化のための触媒が過熱し、
溶損する可能性が生じる。
【0308】このように過大な実バルブオーバーラップ
量となる異常は、過小な実バルブオーバーラップ量とな
る異常よりも、特に早期に対策しなくてはならないた
め、過大な実バルブオーバーラップ量となっている場合
は、過小な実バルブオーバーラップ量となっている場合
に比較して、異常判定時間を短くすることで早期に異常
と判定でき、異常状態に迅速に対処できるようにしてい
る。このように適切に異常判定することが可能となる。
【0309】請求項は、請求項記載の可変バルブタ
イミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記異常
判定時間設定手段は、請求項記載の異常判定時間設定
手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ量が目標
バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、実バルブ
オーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏
差の絶対値に関しては、該偏差の絶対値が大きい側で
は、該偏差の絶対値が小さい側に比較して、前記異常判
定時間を短くしている。
【0310】実バルブオーバーラップ量が目標バルブオ
ーバーラップ量よりも大きい場合において、実バルブオ
ーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ量との偏差
の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小さい側に
比較して、前記異常判定時間を短くするように構成する
のは、実バルブオーバーラップ量が過大である状況下で
は、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラ
ップ量よりも大きければ大きいほど失火が生じやすく、
排気浄化のための触媒が過熱して溶損する可能性が高く
なるからである。したがって、実バルブオーバーラップ
量の過大の程度が大きいほど異常判定時間を短くするこ
とにより、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対
処できるようにしている。
【0311】請求項は、請求項または記載の可変
バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段を備え
るとともに、前記異常判定時間設定手段は、請求項
たは記載の異常判定時間設定手段の構成に加えて、実
バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量
よりも大きい場合は、前記回転数検出手段にて検出され
た前記内燃機関の回転数に関しては、該回転数が低い側
では、高い側に比較して、前記異常判定時間を短くして
いる。
【0312】これは、前述した請求項にて説明した失
火は、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバー
ラップ量よりも大きい場合では、内燃機関の高回転側で
は生じにくく、低回転側では生じやすいからである。し
たがって、内燃機関の回転数が低い側では異常判定時間
を短くすることにより早期に異常と判定でき、異常状態
に迅速に対処できるようにしている。このように適切に
異常判定することが可能となる。
【0313】請求項は、請求項記載の可変バルブタ
イミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃
機関の負荷を検出する負荷検出手段を備えるとともに、
前記異常判定時間設定手段は、請求項記載の異常判定
時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ
量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、
前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷に
関しては、該負荷が低い側では、高い側に比較して、前
記異常判定時間を短くしている。
【0314】前述した請求項にて説明した失火は、実
バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量
よりも大きい場合では、内燃機関の高負荷側では生じに
くく、低負荷側では生じやすいからである。したがっ
て、内燃機関の負荷が低い側では異常判定時間を短くす
ることにより早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に
対処できるようにしている。このように適切に異常判定
することが可能となる。
【0315】請求項は、請求項または記載の可変
バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、
前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段を備えると
ともに、前記異常判定時間設定手段は、請求項または
記載の異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バル
ブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量より
も大きい場合は、前記負荷検出手段にて検出された前記
内燃機関の負荷に関しては、該負荷が低い側では、高い
側に比較して、前記異常判定時間を短くしている。
【0316】このように、内燃機関の回転数と負荷との
組み合わせでなく、内燃機関の負荷のみの場合も、内燃
機関の負荷が低い側では異常判定時間を短くすることに
より早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処でき
るようにしている。このように適切に異常判定すること
が可能となる。
【0317】請求項10は、請求項または記載の可
変バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対し
て、前記内燃機関の燃焼変動を検出する燃焼変動検出手
段を備えるとともに、前記異常判定時間設定手段は、請
求項または記載の異常判定時間設定手段の構成に加
えて、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバー
ラップ量よりも大きい場合に、前記燃焼変動検出手段に
て検出された前記内燃機関の燃焼変動に関しては、該燃
焼変動が大きい側では、小さい側に比較して、前記異常
判定時間を短くしている。
【0318】前述した失火は燃焼変動として現れること
から、燃焼変動を検出することで失火が生じていること
を捉えることができる。この燃焼変動が大きい側では失
火の発生が頻繁であり、排気浄化のための触媒が過熱し
て溶損する可能性が高くなる。したがって、実バルブオ
ーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大
きい場合に、内燃機関の燃焼変動が大きい側では、小さ
い側に比較して、前記異常判定時間を短くすることによ
り、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処でき
るようにしている。このように適切に異常判定すること
が可能となる。
【0319】請求項11は、請求項10記載の可変バル
ブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記
内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段を備え、前記異
常判定時間設定手段は、請求項10記載の異常判定時間
設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、前記
負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷に関し
ては、該負荷が高い側では、低い側に比較して、前記異
常判定時間を短くしている。
【0320】すなわち、既に燃焼変動が大きくなってい
る場合には、内燃機関の負荷が高いほど、排気浄化触媒
に流れる未燃燃料と空気量とが多くなるので、排気浄化
触媒の温度上昇も急勾配となる。したがって、実バルブ
オーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも
大きい場合に、内燃機関の燃焼変動が大きい側では、小
さい側に比較して、前記異常判定時間を短くするととも
に、更に前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関
の負荷が高い側では、低い側に比較して、前記異常判定
時間を短くすることにより、早期に異常と判定でき、異
常状態に迅速に対処できるようにしている。このように
適切に異常判定することが可能となる。
【0321】請求項12は、請求項11記載の可変バル
ブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記
内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段を備え、前
記異常判定時間設定手段は、請求項11記載の異常判定
時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ
量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、
前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
数に関しては、該回転数が高い側では、低い側に比較し
て、前記異常判定時間を短くしている。
【0322】前述した請求項11にて説明した排気浄化
触媒の温度上昇は、更に、内燃機関の回転数が高い側で
も同じ現象を引き起こす。したがって、内燃機関の回転
数が高い側では低い側より異常判定時間を短くすること
により早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処で
きるようにしている。このように適切に異常判定するこ
とが可能となる。
【0323】請求項13は、請求項10記載の可変バル
ブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記
内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段を備え、前
記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の異常判定
時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ
量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、
前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
数に関しては、該回転数が高い側では、低い側に比較し
て、前記異常判定時間を短くしている。
【0324】このように、燃焼変動と回転数との組み合
わせにおいても、内燃機関の回転数が高い側では低い側
よりも異常判定時間を短くすることにより早期に異常と
判定でき、異常状態に迅速に対処できるようにしてい
る。したがって適切に異常判定することが可能となる。
【0325】請求項14は、請求項10記載の可変バル
ブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記
内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を
備え、前記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の
異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバ
ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい
場合に、前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内
燃機関の時間当たりの吸入空気量に関しては、該時間当
たりの吸入空気量が高い側では、低い側に比較して、前
記異常判定時間を短くしている。
【0326】時間当たりの吸入空気量が高い場合は、排
気浄化触媒に流れる排気量が多量になっている状態に対
応し、時間当たりの吸入空気量が低い場合は、排気浄化
触媒に流れる排気量が少量になっている状態に対応して
いる。このため、既に燃焼変動が大きくなっている場合
には、内燃機関への時間当たりの吸入空気量が高いほ
ど、排気浄化触媒に流れる未燃燃料と空気量とが多くな
るので、排気浄化触媒の温度上昇も急勾配となる。
【0327】したがって、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合に、内燃
機関の時間当たりの吸入空気量が大きい側では、小さい
側に比較して、前記異常判定時間を短くすることによ
り、早期に異常と判定でき、異常状態に迅速に対処でき
るようにしている。このように適切に異常判定すること
が可能となる。
【0328】請求項15の可変バルブタイミング機構の
異常検出装置は、請求項14のいずれか記載の可変
バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、
前記異常判定手段にて異常と判定された場合には、前記
可変バルブタイミング機構を駆動してバルブオーバーラ
ップ量を小さくなる方へ移動させる強制バルブオーバー
ラップ量減少手段を備える。
【0329】上述した請求項14の構成における異
常判定手段にて異常と判定された場合には、前述したご
とく失火を招くおそれがあり、排気浄化触媒が過熱し溶
損するおそれが生じる。したがって、このような触媒溶
損といった早期に対策しなくてはならない状況を発生さ
せないために、異常判定手段にて異常と判定された場合
には、強制バルブオーバーラップ量減少手段により、可
変バルブタイミング機構を駆動してバルブオーバーラッ
プ量を小さくする。このことにより、可変バルブタイミ
ング機構の駆動状態が異常であったとしても、とにかく
バルブオーバーラップ量を減少させて、触媒溶損の可能
性を低下させる。このようにして適切な判断に対して適
切に対処することができ、触媒溶損を未然に防止でき
る。
【0330】請求項16は、前記強制バルブオーバーラ
ップ量減少手段が、前記異常判定手段にて異常と判定さ
れた際に、実バルブオーバーラップ量が待避バルブオー
バーラップ量範囲にない場合には前記可変バルブタイミ
ング機構を駆動してバルブオーバーラップ量を前記待避
バルブオーバーラップ量範囲に移動させている。
【0331】このようにすることにより、確実に触媒溶
損を防止できる待避バルブオーバーラップ量範囲に、バ
ルブオーバーラップ量を誘導することができ、また、既
に待避バルブオーバーラップ量範囲に存在する場合は、
異常となっている可変バルブタイミング機構を無理に駆
動させる必要もなくなるので、余計なエネルギーの消費
を防止できる。したがって、適切な判断に対して適切に
対処することができ、触媒溶損を未然に防止できる。
【0332】請求項17は、前記強制バルブオーバーラ
ップ量減少手段が、前記異常判定手段にて異常と判定さ
れた場合において、実バルブオーバーラップ量が目標バ
ルブオーバーラップ量よりも大きい場合に機能してい
る。
【0333】特に、触媒溶損のおそれは、実バルブオー
バーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大き
い場合に生じることから、これ以外の異常時での可変バ
ルブタイミング機構の駆動を防止して、余計なエネルギ
ーの消費を防止できる。
【0334】請求項18は、前記強制バルブオーバーラ
ップ量減少手段が、前記異常判定手段にて異常と判定さ
れた場合において、実バルブオーバーラップ量が目標バ
ルブオーバーラップ量よりも大きく、かつ前記内燃機関
の燃焼変動が変動判定基準値よりも大きい場合に機能し
ている。
【0335】このことにより、異常の状況に応じて実バ
ルブオーバーラップ量を適切に減少させることができ、
異常の内容に応じた適切な処置を行うことができる。ま
た、触媒溶損のおそれは、実バルブオーバーラップ量が
目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合の内で
も、特に、内燃機関の燃焼変動が変動判定基準値よりも
大きい場合に生じることから、これ以外の異常時での可
変バルブタイミング機構の駆動を防止して、余計なエネ
ルギーの消費を、更に防止できる。
【0336】請求項19は、請求項1,2のように液圧
の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と高負荷
状態の継続時間とで液圧の状態を推定している。すなわ
ち、異常判定時間設定手段は、回転数検出手段にて検出
された内燃機関の回転数と、負荷検出手段にて検出され
た内燃機関の負荷が高負荷判定値よりも大きい状態が継
続している時間の長さとに応じて、異常判定手段におけ
る異常判定時間を設定する。
【0337】内燃機関の高負荷状態が継続すると、液体
の温度が上昇して液体の漏れが大きくなり、可変バルブ
タイミング機構の応答性が低下する。このため、内燃機
関の回転数と高負荷継続時間との組み合わせにより異常
判定時間を設定することで、請求項1,2と同様に適切
に異常判定することが可能となる。更に、油温センサな
どの液温検出手段を設けなくてもよいので、製造コスト
を低減できる。
【0338】請求項20は、前記異常判定時間設定手段
が、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
回転数、前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関
の負荷と高負荷判定値との差の大きさ、および前記負荷
が前記高負荷判定値よりも大きい状態が継続している時
間の長さに応じて、前記異常判定手段における前記異常
判定時間を設定している。
【0339】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高負荷継続時間の長さとともに、内
燃機関の負荷と高負荷判定値との差の大きさに応じて、
異常判定手段における異常判定時間を設定する。これ
は、高負荷の継続とともに、内燃機関の負荷の大きさ
も、液体の温度上昇に影響するからであり、このことに
より適切に異常判定することが可能となる。
【0340】請求項21は、請求項1,2のように液圧
の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と内燃機
関により駆動される車両の高速状態の継続時間とで液圧
の状態を推定している。すなわち、異常判定時間設定手
段は、内燃機関の回転数と車両の高速状態の継続時間の
長さとに応じて、前記異常判定手段における前記異常判
定時間を設定する。
【0341】高速状態が継続すると、液体の温度が上昇
して液体の漏れが大きくなり、可変バルブタイミング機
構の応答性が低下する。このため、内燃機関の回転数と
高速状態継続時間との組み合わせにより異常判定時間を
設定することで、請求項1,2と同様に適切に異常判定
することが可能となる。更に、油温センサなどの液温検
出手段を設けなくてもよいので、製造コストを低減でき
る。
【0342】請求項22は、前記異常判定時間設定手段
が、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
回転数、前記車速検出手段にて検出された前記車両の速
度と高速判定値との差の大きさ、および前記速度が前記
高速判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さ
に応じて、前記異常判定手段における前記異常判定時間
を設定している。
【0343】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高速状態継続時間とともに、車両の
速度と高速判定値との差の大きさに応じて、異常判定手
段における異常判定時間を設定する。高速状態の継続と
ともに、その速度の高さも、液体の温度上昇に影響する
からであり、このことにより適切に異常判定することが
可能となる。
【0344】請求項23は、請求項1,2のように液圧
の状態を推定する代わりに、内燃機関の回転数と内燃機
関の時間当たりの吸入空気量が高吸入空気量状態にある
継続時間とで液圧の状態を推定している。すなわち、異
常判定時間設定手段は、内燃機関の回転数と高吸入空気
量継続時間の長さとに応じて、異常判定手段における異
常判定時間を設定している。
【0345】高吸入空気量状態が継続すると、液体の温
度が上昇して液体の漏れが大きくなり、可変バルブタイ
ミング機構の応答性が低下する。このため、内燃機関の
回転数と高吸入空気量状態継続時間との組み合わせによ
り異常判定時間を設定することで、請求項1,2と同様
に適切に異常判定することが可能となる。更に、油温セ
ンサなどの液温検出手段を設けなくてもよいので、製造
コストを低減できる。
【0346】請求項24は、前記異常判定時間設定手段
が、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
回転数、前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内
燃機関の時間当たりの吸入空気量と高吸入空気量判定値
との差の大きさ、および前記時間当たりの吸入空気量が
前記高吸入空気量判定値よりも大きい状態が継続してい
る時間の長さに応じて、前記異常判定手段における前記
異常判定時間を設定している。
【0347】すなわち、異常判定時間設定手段は、内燃
機関の回転数および高吸入空気量状態継続時間ととも
に、内燃機関の時間当たりの吸入空気量と高吸入空気量
判定値との差の大きさに応じて、異常判定手段における
異常判定時間を設定する。高吸入空気量状態の継続とと
もに、その吸入空気量の大きさも、液体の温度上昇に影
響するからであり、このことにより適切に異常判定する
ことが可能となる。
【0348】請求項25は、請求項19と異なり、異常
判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を設け
て、負荷検出手段にて検出された内燃機関の負荷が高負
荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さに
応じて求められる負荷積算値が判定許容積算値より大き
くなった場合は、異常判定手段における異常判定を禁止
している。このように高負荷が継続することにより、液
体の温度が上昇して液体の漏れが大きくなり可変バルブ
タイミング機構の応答性が低下する状況下においては、
異常判定を禁止することによっても、全体として適切な
異常判定をすることが可能となる。また、可変バルブタ
イミング機構が完全に駆動不可能になっているような場
合に調整のために余計なエネルギーを費やすことがな
い。
【0349】請求項26は、前記異常判定禁止手段が、
前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷と
高負荷判定値との差の大きさ、および前記負荷が前記高
負荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さ
に応じて求められる負荷積算値が判定許容積算値より大
きくなった場合は、前記異常判定手段における異常判定
を禁止している。すなわち、異常判定禁止手段が、内燃
機関の負荷と高負荷判定値との差の大きさ、および負荷
が高負荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の
長さに応じて負荷積算値を求め、この負荷積算値が判定
許容積算値より大きくなった場合は、前記異常判定手段
における異常判定を禁止している。これは、高負荷の継
続とともに、内燃機関の負荷の大きさも、液体の温度上
昇に影響するからであり、このため、異常判定を禁止す
ることによって、全体として適切な異常判定をすること
が可能となる。
【0350】請求項27は、請求項21と異なり、異常
判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を設け
て、車速検出手段にて検出された車両の速度が高速判定
値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じて
求められる車速積算値が判定許容積算値より大きくなっ
た場合は、異常判定手段における異常判定を禁止してい
る。このように高速走行が継続することにより、液体の
温度が上昇して液体の漏れが大きくなり可変バルブタイ
ミング機構の応答性が低下する状況下においては、異常
判定を禁止することによっても、全体として適切な異常
判定をすることが可能となる。また、可変バルブタイミ
ング機構が完全に駆動不可能になっているような場合に
調整による余計なエネルギーを費やすことがない。
【0351】請求項28は、前記異常判定禁止手段が、
前記車速検出手段にて検出された前記車両の速度と高速
判定値との差の大きさ、および前記車速が前記高速判定
値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じて
求められる車速積算値が判定許容積算値より大きくなっ
た場合は、前記異常判定手段における異常判定を禁止し
ている。すなわち、異常判定禁止手段が、車両の速度と
高速判定値との差の大きさ、および車速が高速判定値よ
りも大きい状態が継続している時間の長さに応じて車速
積算値を求め、この車速積算値が判定許容積算値より大
きくなった場合は、前記異常判定手段における異常判定
を禁止している。これは、高速状態の継続とともに、そ
の速度の大きさも、液体の温度上昇に影響するからであ
り、このため、異常判定を禁止することによって、全体
として適切な異常判定をすることが可能となる。
【0352】請求項29は、請求項23と異なり、異常
判定時間設定手段の代わりに、異常判定禁止手段を設け
て、吸入空気量検出手段にて検出された時間当たりの吸
入空気量が高吸入空気量判定値よりも大きい状態が継続
している時間の長さに応じて求められる吸入空気量積算
値が判定許容積算値より大きくなった場合は、異常判定
手段における異常判定を禁止している。このように高吸
入空気量状態が継続することにより、液体の温度が上昇
して液体の漏れが大きくなり可変バルブタイミング機構
の応答性が低下する状況下においては、異常判定を禁止
することによっても、全体として適切な異常判定をする
ことが可能となる。また、可変バルブタイミング機構が
完全に駆動不可能になっているような場合に調整による
余計なエネルギーを費やすことがない。
【0353】請求項30は、前記異常判定禁止手段が、
前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内燃機関の
時間当たりの吸入空気量と高吸入空気量判定値との差の
大きさ、および前記時間当たりの吸入空気量が前記高吸
入空気量判定値よりも大きい状態が継続している時間の
長さに応じて求められる吸入空気量積算値が判定許容積
算値より大きくなった場合は、前記異常判定手段におけ
る異常判定を禁止している。すなわち、異常判定禁止手
段が、内燃機関の時間当たりの吸入空気量と高吸入空気
量判定値との差の大きさ、および前記時間当たりの吸入
空気量が前記高吸入空気量判定値よりも大きい状態が継
続している時間の長さに応じて吸入空気量積算値を求
め、この吸入空気量積算値が判定許容積算値より大きく
なった場合は、前記異常判定手段における異常判定を禁
止している。これは、高吸入空気量状態の継続ととも
に、その吸入空気量の大きさも、液体の温度上昇に影響
するからであり、このため、異常判定を禁止することに
よって、全体として適切な異常判定をすることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1におけるガソリンエンジンシス
テムの概略構成を示すシステム構成図。
【図2】 前記ガソリンエンジンシステムにおける可変
バルブタイミング機構システムの概略構成図。
【図3】 前記ガソリンエンジンシステムにおけるEC
Uの制御系統を示すブロック図。
【図4】 前記ECUにより実行されるバルブタイミン
グ異常検出処理を示すフローチャート。
【図5】 前記ECUにより実行されるバルブタイミン
グ異常検出処理を示すフローチャート。
【図6】 実施の形態1における油温とフリクションお
よび油圧との関係を示すグラフ。
【図7】 実施の形態1における油温とバルブタイミン
グの応答性との関係、および油温THOと温度補正検出
時間kTHOとの関係を示す説明図。
【図8】 実施の形態1におけるエンジン回転数NEと
バルブタイミングの応答性との関係、およびエンジン回
転数NEと回転数補正検出時間kNEとの関係を示す説
明図。
【図9】 実施の形態2におけるバルブタイミング異常
検出処理を示すフローチャート。
【図10】 実施の形態2におけるバルブタイミング変
位差ΔVVTと基本検出時間kVTとの関係を示す説明
図。
【図11】 実施の形態2の作用効果を示す説明図。
【図12】 実施の形態3におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図13】 実施の形態3におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図14】 実施の形態3におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図15】 実施の形態3におけるバルブタイミング変
位差ΔVVTの絶対値と基本検出時間kVTP,kVT
Mとの関係を示す説明図。
【図16】 実施の形態3における失火時間と触媒温度
との関係を示す説明図。
【図17】 実施の形態4におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図18】 実施の形態4におけるバルブタイミング変
位差ΔVVTの絶対値と補正時間kDVVTとの関係を
示す説明図。
【図19】 実施の形態5におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図20】 実施の形態5におけるスロットル開度TA
と補正時間kTAとの関係、およびエンジン回転数NE
と回転数補正検出時間kNEとの関係を示す説明図。
【図21】 実施の形態6におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図22】 実施の形態6における燃焼変動ΔNEと補
正時間kDNEとの関係を示す説明図。
【図23】 実施の形態7におけるバルブタイミング異
常検出処理を示すフローチャート。
【図24】 実施の形態7における時間当たりの吸入空
気量Gaと補正時間kDGaとの関係、およびエンジン
回転数NEと燃焼変動ΔNEと補正時間kDNEとの関
係を示す説明図。
【図25】 実施の形態7における作用効果を示す説明
図。
【図26】 実施の形態8における強制進角抑制制御処
理を示すフローチャート。
【図27】 実施の形態9における強制進角抑制制御処
理を示すフローチャート。
【図28】 実施の形態10におけるバルブタイミング
異常検出処理を示すフローチャート。
【図29】 実施の形態10におけるバルブタイミング
異常検出処理を示すフローチャート。
【図30】 実施の形態10におけるバルブタイミング
異常検出処理を示すフローチャート。
【図31】 実施の形態10における時間当たりの吸入
空気量Gaと油温予測カウンター値kXGaとの関係、
および吸入空気量積算値CGAと補正時間kCGAとの
関係を示す説明図。
【図32】 実施の形態10における車速と油温THO
および冷却水温THWとの関係を示す説明図。
【図33】 実施の形態11におけるバルブタイミング
異常検出処理を示すフローチャート。
【図34】 実施の形態11における異常判定禁止処理
を示すフローチャート。
【図35】 実施の形態3の変形例を示す説明図。
【図36】 実施の形態10の変形例を示す説明図。
【符号の説明】
10…エンジン、11…シリンダブロック、12…シリ
ンダヘッド、12L…左側シリンダヘッド、12R…右
側シリンダヘッド、13…ピストン、14…クランクシ
ャフト、15…燃焼室、16…点火プラグ、17…イン
ジェクタ、18…ディストリビュータ、19…イグナイ
タ、20…吸気通路、21…吸気バルブ、22…吸気ポ
ート、23…吸気カムシャフト、23L…左側吸気カム
シャフト、23R…右側吸気カムシャフト、24…エア
クリーナ、25…吸入空気量センサ、26…スロットル
バルブ、27…吸気側タイミングプーリ、27a…外
歯、28…触媒コンバータ、30…排気通路、31…排
気バルブ、32…排気ポート、33L…左側排気カムシ
ャフト、33R…右側排気カムシャフト、34…排気側
タイミングプーリ、35…タイミングベルト、40…ク
ランク角センサ、42…気筒判別センサ、43…水温セ
ンサ、44…カム角センサ、44L…左側カム角セン
サ、44R…右側カム角センサ、45…スロットルセン
サ、46…空燃比センサ、50…可変バルブタイミング
機構、50L,50R…可変バルブタイミング機構、5
1…ベアリングキャップ、51a…第1油圧供給孔、5
1b…第2油圧供給孔、52…インナキャップ、52a
…歯、53…中空ボルト、54…ピン、55…キャッ
プ、56…ハウジング、56b…歯、57…ボルト、5
8…ピン、59…リングギヤ、59a,59b…歯、6
0…第1油圧室、61…第2油圧室、62…第1油圧供
給路、63…第2油圧供給路、64… オイルポンプ、
64L,64R…オイルポンプ、65…オイルパン、6
6…オイルフィルタ、66L,66R…オイルフィル
タ、67…油温センサ、70…電子制御装置(EC
U)、71…ROM、72…CPU、73…RAM、7
4…バックアップRAM、75…双方向バス、76…入
力インターフェース、77…出力インターフェース、8
0…オイルコントロールバルブ(OCV)、80L,8
0R…OCV、81…電磁式アクチュエータ、82…コ
イルスプリング、83…プランジャ、84… スプー
ル、84a…ランド、84b,84c…パセージ、85
…ケーシング、85a…Aポート、85b…Bポート、
85r…リザーバポート、85t…タンクポート、91
…バイパス通路、92…アイドルスピードコントロール
バルブ(ISCV) 、LS…左側バンク(左側気筒
群)、RS…右側バンク(右側気筒群)、S…空間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−127407(JP,A) 特開 平8−232617(JP,A) 特開 平10−318002(JP,A) 特開 平11−2141(JP,A) 特開 平11−82080(JP,A)

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の駆動により発生する液圧の供
    給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブと
    のバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状態
    に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量に
    調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出装
    置であって、 前記液圧の媒体である液体の温度を検出する液温検出手
    段と、 前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記液温検出手段にて検出された前記液体の温度と、前
    記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数
    とに応じて、前記異常判定手段における前記異常判定時
    間を設定し、且つ、実バルブオーバーラップ量と目標バ
    ルブオーバーラップ量との偏差の絶対値に関しては、該
    偏差の絶対値が大きい側では、該偏差の絶対値が小さい
    側に比較して、同異常判定時間を長く設定する異常判定
    時間設定手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  2. 【請求項2】 前記液温検出手段は、前記液体の温度の
    代わりに、前記内燃機関の冷却水温を検出することを特
    徴とする請求項1記載の可変バルブタイミング機構の異
    常検出装置。
  3. 【請求項3】 前記異常判定時間設定手段は、前記液温
    検出手段にて検出された温度に関しては、該温度が許容
    温度範囲から離れるにしたがって、前記異常判定時間を
    長くすることを特徴とする請求項1または2記載の可変
    バルブタイミング機構の異常検出装置。
  4. 【請求項4】 前記異常判定時間設定手段は、前記回転
    数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数に関し
    ては、該回転数が低い側では、高い側に比較して、前記
    異常判定時間を長くすることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか記載の可変バルブタイミング機構の異常検出
    装置。
  5. 【請求項5】 内燃機関の駆動により発生する液圧の供
    給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブと
    のバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状態
    に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量に
    調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出装
    置であって、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバーラップ
    量よりも大きい場合は、実バルブオーバーラップ量が目
    標バルブオーバーラップ量よりも小さい場合に比較し
    て、前記異常判定時間を短くする異常判定時間設定手段
    と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項記載の可変バルブタイミング機
    構の異常検出装置の構成に対して、 前記異常判定時間設定手段は、請求項記載の異常判定
    時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ
    量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、
    実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値に関しては、該偏差の絶対値が大き
    い側では、該偏差の絶対値が小さい側に比較して、前記
    異常判定時間を短くすることを特徴とする可変バルブタ
    イミング機構の異常検出装置。
  7. 【請求項7】 請求項または記載の可変バルブタイ
    ミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機
    関の回転数を検出する回転数検出手段を備えるととも
    に、 前記異常判定時間設定手段は、請求項または記載の
    異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバ
    ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい
    場合は、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機
    関の回転数に関しては、該回転数が低い側では、高い側
    に比較して、前記異常判定時間を短くすることを特徴と
    する可変バルブタイミング機構の異常検出装置。
  8. 【請求項8】 請求項記載の可変バルブタイミング機
    構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機関の負荷
    を検出する負荷検出手段を備えるとともに、 前記異常判定時間設定手段は、請求項記載の異常判定
    時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラップ
    量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合は、
    前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷に
    関しては、該負荷が低い側では、高い側に比較して、前
    記異常判定時間を短くすることを特徴とする可変バルブ
    タイミング機構の異常検出装置。
  9. 【請求項9】 請求項または記載の可変バルブタイ
    ミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機
    関の負荷を検出する負荷検出手段を備えるとともに、 前記異常判定時間設定手段は、請求項または記載の
    異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバ
    ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい
    場合は、前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関
    の負荷に関しては、該負荷が低い側では、高い側に比較
    して、前記異常判定時間を短くすることを特徴とする可
    変バルブタイミング機構の異常検出装置。
  10. 【請求項10】 請求項または記載の可変バルブタ
    イミング機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃
    機関の燃焼変動を検出する燃焼変動検出手段を備えると
    ともに、 前記異常判定時間設定手段は、請求項または記載の
    異常判定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバ
    ーラップ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい
    場合に、前記燃焼変動検出手段にて検出された前記内燃
    機関の燃焼変動に関しては、該燃焼変動が大きい側で
    は、小さい側に比較して、前記異常判定時間を短くする
    ことを特徴とする可変バルブタイミング機構の異常検出
    装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機関の
    負荷を検出する負荷検出手段を備え、 前記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の異常判
    定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラッ
    プ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合
    に、前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負
    荷に関しては、該負荷が高い側では、低い側に比較し
    て、前記異常判定時間を短くすることを特徴とする可変
    バルブタイミング機構の異常検出装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機関の
    回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記異常判定時間設定手段は、請求項11記載の異常判
    定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラッ
    プ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合
    に、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
    回転数に関しては、該回転数が高い側では、低い側に比
    較して、前記異常判定時間を短くすることを特徴とする
    可変バルブタイミング機構の異常検出装置。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機関の
    回転数を検出する回転数検出手段を備え、 前記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の異常判
    定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラッ
    プ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合
    に、前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の
    回転数に関しては、該回転数が高い側では、低い側に比
    較して、前記異常判定時間を短くすることを特徴とする
    可変バルブタイミング機構の異常検出装置。
  14. 【請求項14】 請求項10記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置の構成に対して、前記内燃機関の
    吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、 前記異常判定時間設定手段は、請求項10記載の異常判
    定時間設定手段の構成に加えて、実バルブオーバーラッ
    プ量が目標バルブオーバーラップ量よりも大きい場合
    に、前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内燃機
    関の時間当たりの吸入空気量に関しては、該時間当たり
    の吸入空気量が高い側では、低い側に比較して、前記異
    常判定時間を短くすることを特徴とする可変バルブタイ
    ミング機構の異常検出装置。
  15. 【請求項15】 請求項14のいずれか記載の可変
    バルブタイミング機構の異常検出装置の構成に対して、 前記異常判定手段にて異常と判定された場合には、前記
    可変バルブタイミング機構を駆動してバルブオーバーラ
    ップ量を小さくなる方へ移動させる強制バルブオーバー
    ラップ量減少手段を備えたことを特徴とする可変バルブ
    タイミング機構の異常検出装置。
  16. 【請求項16】 前記強制バルブオーバーラップ量減少
    手段は、前記異常判定手段にて異常と判定された際に、
    実バルブオーバーラップ量が待避バルブオーバーラップ
    量範囲にない場合には前記可変バルブタイミング機構を
    駆動してバルブオーバーラップ量を前記待避バルブオー
    バーラップ量範囲に移動させることを特徴とする請求項
    15記載の可変バルブタイミング機構の異常検出装置。
  17. 【請求項17】 前記強制バルブオーバーラップ量減少
    手段は、前記異常判定手段にて異常と判定された場合に
    おいて、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバ
    ーラップ量よりも大きい場合に機能することを特徴とす
    る請求項15または16記載の可変バルブタイミング機
    構の異常検出装置。
  18. 【請求項18】 前記強制バルブオーバーラップ量減少
    手段は、前記異常判定手段にて異常と判定された場合に
    おいて、実バルブオーバーラップ量が目標バルブオーバ
    ーラップ量よりも大きく、かつ前記内燃機関の燃焼変動
    が変動判定基準値よりも大きい場合に機能することを特
    徴とする請求項15または16記載の可変バルブタイミ
    ング機構の異常検出装置。
  19. 【請求項19】 内燃機関の駆動により発生する液圧の
    供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
    とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
    態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
    に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
    装置であって、 前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
    数と、前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の
    負荷が高負荷判定値よりも大きい状態が継続している時
    間の長さとに応じて、前記異常判定手段における前記異
    常判定時間を設定する異常判定時間設定手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  20. 【請求項20】 前記異常判定時間設定手段は、前記回
    転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数、前
    記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷と高
    負荷判定値との差の大きさ、および前記負荷が前記高負
    荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さに
    応じて、前記異常判定手段における前記異常判定時間を
    設定することを特徴とする請求項19記載の可変バルブ
    タイミング機構の異常検出装置。
  21. 【請求項21】 車両用内燃機関の駆動により発生する
    液圧の供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気
    バルブとのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の
    運転状態に応じて設定されている目標バルブオーバーラ
    ップ量に調整する可変バルブタイミング機構に対する異
    常検出装置であって、 前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 前記内燃機関により駆動される車両の速度を検出する車
    速検出手段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
    数と、前記車速検出手段にて検出された前記車両の速度
    が高速判定値よりも大きい状態が継続している時間の長
    さとに応じて、前記異常判定手段における前記異常判定
    時間を設定する異常判定時間設定手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  22. 【請求項22】 前記異常判定時間設定手段は、前記回
    転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数、前
    記車速検出手段にて検出された前記車両の速度と高速判
    定値との差の大きさ、および前記速度が前記高速判定値
    よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じて、
    前記異常判定手段における前記異常判定時間を設定する
    ことを特徴とする請求項21記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置。
  23. 【請求項23】 内燃機関の駆動により発生する液圧の
    供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
    とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
    態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
    に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
    装置であって、 前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手
    段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記回転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転
    数と、前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内燃
    機関の時間当たりの吸入空気量が高吸入空気量判定値よ
    りも大きい状態が継続している時間の長さとに応じて、
    前記異常判定手段における前記異常判定時間を設定する
    異常判定時間設定手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  24. 【請求項24】 前記異常判定時間設定手段は、前記回
    転数検出手段にて検出された前記内燃機関の回転数、前
    記吸入空気量検出手段にて検出された前記内燃機関の時
    間当たりの吸入空気量と高吸入空気量判定値との差の大
    きさ、および前記時間当たりの吸入空気量が前記高吸入
    空気量判定値よりも大きい状態が継続している時間の長
    さに応じて、前記異常判定手段における前記異常判定時
    間を設定することを特徴とする請求項23記載の可変バ
    ルブタイミング機構の異常検出装置。
  25. 【請求項25】 内燃機関の駆動により発生する液圧の
    供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
    とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
    態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
    に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
    装置であって、 前記内燃機関の負荷を検出する負荷検出手段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記負荷検出手段にて検出された前記内燃機関の負荷が
    高負荷判定値よりも大きい状態が継続している時間の長
    さに応じて求められる負荷積算値が判定許容積算値より
    大きくなった場合は、前記異常判定手段における異常判
    定を禁止する異常判定禁止手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  26. 【請求項26】 前記異常判定禁止手段は、前記負荷検
    出手段にて検出された前記内燃機関の負荷と高負荷判定
    値との差の大きさ、および前記負荷が前記高負荷判定値
    よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じて求
    められる負荷積算値が判定許容積算値より大きくなった
    場合は、前記異常判定手段における異常判定を禁止する
    ことを特徴とする請求項25記載の可変バルブタイミン
    グ機構の異常検出装置。
  27. 【請求項27】 車両用内燃機関の駆動により発生する
    液圧の供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気
    バルブとのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の
    運転状態に応じて設定されている目標バルブオーバーラ
    ップ量に調整する可変バルブタイミング機構に対する異
    常検出装置であって、 前記内燃機関により駆動される車両の速度を検出する車
    速検出手段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記車速検出手段にて検出された前記車両の速度が高速
    判定値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応
    じて求められる車速積算値が判定許容積算値より大きく
    なった場合は、前記異常判定手段における異常判定を禁
    止する異常判定禁止手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  28. 【請求項28】 前記異常判定禁止手段は、前記車速検
    出手段にて検出された前記車両の速度と高速判定値との
    差の大きさ、および前記車速が前記高速判定値よりも大
    きい状態が継続している時間の長さに応じて求められる
    車速積算値が判定許容積算値より大きくなった場合は、
    前記異常判定手段における異常判定を禁止することを特
    徴とする請求項27記載の可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  29. 【請求項29】 内燃機関の駆動により発生する液圧の
    供給制御により、該内燃機関の吸気バルブと排気バルブ
    とのバルブオーバーラップ量を、前記内燃機関の運転状
    態に応じて設定されている目標バルブオーバーラップ量
    に調整する可変バルブタイミング機構に対する異常検出
    装置であって、 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手
    段と、 実バルブオーバーラップ量と目標バルブオーバーラップ
    量との偏差の絶対値が異常偏差判定値より大きい状態
    が、異常判定時間より長く継続した場合は、異常と判定
    する異常判定手段と、 前記吸入空気量検出手段にて検出された前記内燃機関の
    時間当たりの吸入空気量が高吸入空気量判定値よりも大
    きい状態が継続している時間の長さに応じて求められる
    吸入空気量積算値が判定許容積算値より大きくなった場
    合は、前記異常判定手段における異常判定を禁止する異
    常判定禁止手段と、 を備えたことを特徴とする可変バルブタイミング機構の
    異常検出装置。
  30. 【請求項30】 前記異常判定禁止手段は、前記吸入空
    気量検出手段にて検出された前記内燃機関の時間当たり
    の吸入空気量と高吸入空気量判定値との差の大きさ、お
    よび前記時間当たりの吸入空気量が前記高吸入空気量判
    定値よりも大きい状態が継続している時間の長さに応じ
    て求められる吸入空気量積算値が判定許容積算値より大
    きくなった場合は、前記異常判定手段における異常判定
    を禁止することを特徴とする請求項29記載の可変バル
    ブタイミング機構の異常検出装置。
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