JP3963993B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは、排気温度の変化に基づいて空燃比フィードバック補正係数或いは空燃比学習値を設定するエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンに供給される混合気の空燃比を理論空燃比に収束させる制御方式として、O2センサを用いて排気ガス中の空燃比を検出し、該空燃比が理論空燃比に対してリーンかリッチかを判定し、リーンのときは燃料噴射量を増量し、リッチのときは燃料噴射量を減量して、上記空燃比を理論空燃比に収束させる空燃比フィードバック制御が多く採用されている。
【0003】
しかし、上記空燃比フィードバック制御では、空燃比を理論空燃比に収束させる補正しか行うことができないため、比較的リッチな空燃比が要求される高回転領域、或いは高負荷運転領域においては空燃比フィードバック制御を行うことができない。その結果、インジェクタ等の各構成部品の製造上のばらつき、或いは劣化により生じる空燃比のずれを修正することができず、ある運転領域においてはエンジントルクが低下してしまったり、ノック限界が低下してノッキングが発生したり、空燃比が必要以上にリーン化して排気温度が上昇し、触媒等、排気系の各構成部品の耐久性を低下させてしまう問題が生じる。
【0004】
その対策として、例えば、特開昭58−98637号公報には、排気温度と空燃比との相関関係を予め求めて、エンジン回転数とエンジン負荷とで特定されるエンジン運転領域毎に目標排気温度を格納し、エンジン運転時、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づき目標排気温度を設定し、排気温度を上記目標排気温度に収束するようにして空燃比をフィードバック制御する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記先行技術では、全エンジン運転領域において排気温度が目標排気温度に収束するように空燃比フィードバック制御しているため、燃焼温度の変化しやすい低中回転領域、及び低中負荷領域においては良好な空燃比制御性能を得ることができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、理論空燃比制御を行う低中回転領域、及び低中負荷領域と、要求空燃比がリッチとなる高回転或いは高負荷運転領域の全ての運転領域において空燃比を適正に制御し、エンジンを構成する部品の製造上のばらつき、或いは劣化によって生じるエンジントルクの低下、ノックの発生、及び排気温度の必要以上の上昇を未然に防止することのできるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による第1のエンジンの空燃比制御装置は、排気系に空燃比検出手段と排気温度検出手段とを配設し、エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは上記空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較して空燃比フィードバック補正係数を設定し、又エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気温度検出手段で検出した排気温度と、このときのエンジン運転状態に基づき設定した目標排気温度とを比較して該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定し、上記エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数で補正して最終的な燃料噴射量を設定することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため本発明による第2のエンジンの空燃比制御装置は、排気系に空燃比検出手段と排気温度検出手段とを配設し、エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは上記空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較して空燃比フィードバック補正係数を設定し、又エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気温度検出手段で検出した排気温度と、このときのエンジン運転状態に基づき設定した目標排気温度とを比較して該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定し、定常状態における上記空燃比フィードバック補正係数の変化に基づき空燃比変化量を算出し、上記空燃比変化量で上記エンジン運転状態に基づいて特定したエンジン運転領域に格納されている空燃比学習値を更新し、上記エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数と上記空燃比学習値とに基づき補正して最終的な燃料噴射量を設定することを特徴とする。
【0009】
上記第1のエンジンの空燃比制御装置では、エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは、排気系に設けた空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較し、この比較結果に基づき該空燃比を上記目標空燃比に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定する。又、上記エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気系に設けた排気温度検出手段で検出した排気温度を読込み、且つ、このときのエンジン運転状態に基づき目標排気温度を設定する。そして、上記排気温度と上記目標排気温度とを比較し、この比較結果に基づき、該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定する。その後、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数で補正してインジェクタに対する最終的な燃料噴射量を設定する。
【0010】
上記第2のエンジンの空燃比制御装置では、エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは、排気系に設けた空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較し、この比較結果に基づき該空燃比を上記目標空燃比に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定する。又、上記エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気系に設けた排気温度検出手段で検出した排気温度を読込むと共に、このときのエンジン運転状態に基づき目標排気温度を設定する。そして、上記排気温度と上記目標排気温度とを比較し、この比較結果に基づき、該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定する。一方、エンジン運転状態が定常状態にあるときは上記空燃比フィードバック補正係数の変化に基づいて空燃比変化量を算出し、この空燃比変化量で、エンジン運転状態に基づいて特定した領域に格納されている空燃比学習値を更新する。その後、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数及び上記空燃比学習値に基づき補正してインジェクタに対する最終的な燃料噴射量を設定する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図11にエンジンの全体構成を示す。同図の符号1はエンジンで、本実施の形態では過給機付き水平対向エンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクに設けた各シリンダヘッド2の吸気ポート2aに吸気マニホルド3が連通され、この吸気マニホルド3の上流側集合部にエアチャンバ4を介してスロットル弁通路5が連通されている。このスロットル弁通路5の上流側には、吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7がエアインテークチャンバ8に連通されている。又、上記排気ポート2bに排気マニホルド9を介して排気管10が連通され、この排気管10に触媒コンバータ11が介装されてマフラ12に連通されている。
【0012】
一方、上記スロットル弁通路5に、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが設けられ、このスロットル弁通路5の直上流の上記吸気管6にインタークーラ13が介装され、更に、上記吸気管6の上記エアクリーナ7の下流側にレゾネータチャンバ14が介装されている。
【0013】
又、上記レゾネータチャンバ14と上記吸気マニホルド3とを連通して上記スロットル弁5aの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路15に、アイドル空気量を調整するISC(アイドル回転数制御)弁16が介装されている。更に、上記ISC弁16の直下流側に、吸気圧が負圧のとき開弁し、ターボチャージャ18により過給された正圧状態のとき閉弁するチェックバルブ17が介装されている。
【0014】
上記ターボチャージャ18のコンプレッサが、上記吸気管6の上記レゾネータチャンバ14の下流側に介装され、タービンが上記排気管10に介装されている。更に、上記ターボチャージャ18のタービンハウジング流入口には、ウエストゲート弁19が介装され、ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20に連設されている。
【0015】
このウエストゲート弁作動用アクチュエータ20は、ダイヤフラムにより2室に仕切られ、一方がウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21に連通する圧力室を形成し、他方が上記ウエストゲート弁19を閉方向に付勢するスプリングを収納したスプリング室を形成している。
【0016】
上記ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21は、上記レゾネータチャンバ14と、上記吸気管6の上記ターボチャージャ18のコンプレッサ下流とを連通する通路に介装されており、後述する電子制御装置50(図12参照)から出力される制御信号のデューティ比に応じて、上記レゾネータチャンバ14側の圧力と上記コンプレッサ下流側の圧力とを調圧して、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20の圧力室に供給する。
【0017】
すなわち、上記電子制御装置50によって上記ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21を制御し、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20を作動させて上記ウエストゲート弁19による排気ガスリリーフを調整することにより、上記ターボチャージャ18による過給圧を制御する。
【0018】
又、上記吸気マニホルド3の各気筒の各吸気ポート2aの直上流側にインジェクタ25が臨まされている。更に、上記シリンダヘッド2の各気筒毎に、その先端を燃焼室に露呈する点火プラグ26aが取付けられ、この点火プラグ26aに連設された点火コイル26bを介してイグナイタ27が接続されている。
【0019】
上記インジェクタ25には、燃料タンク28内に設けたインタンク式の燃料ポンプ29から燃料フィルタ30を経て燃料が圧送され、プレッシャレギュレータ31にてインジェクタ25への燃料圧力が調圧される。
【0020】
次に、センサ類の配置について説明する。符号22は絶対圧センサで、吸気管圧力/大気圧切換ソレノイド弁23により吸気管圧力(吸気マニホルド3内の吸気圧)と大気圧とを選択的に検出する。又、上記吸気管6の上記エアクリーナ7の直下流に、ホットワイヤ或はホットフィルム等を用いた熱式の吸入空気量センサ32が介装され、上記スロットル弁5aに、スロットル開度センサ33aとスロットル全閉でONするアイドルスイッチ33bとを内蔵したスロットルセンサ33が連設されている。又、上記エンジン1のシリンダブロック1aにノックセンサ34が取付けられると共に、このシリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路35に水温センサ36が臨まされ、上記排気管10の上記排気マニホルド9の集合部にO2センサ37が臨まされ、更に、このO2センサ37の下流に排気温度センサ38が配設されている。又、クランクシャフト1bに軸着するクランクロータ39の外周に、クランク角センサ40が対設され、更に、カムシャフト1cに連設するカムロータ41に、気筒判別用のカム角センサ42が対設されている。
【0021】
上記クランクロータ39は、その外周に突起(或いはスリット)が所定間隔で形成されており、上記電子制御装置50では、上記クランク角センサ40で検出した突起(或いはスリット)の入力間隔時間からエンジン回転数NEを算出し、又、上記カム角センサ42によってカムロータ41の外周に形成された気筒判別用の突起(或いはスリット)を検出したときの割り込み信号から、燃料噴射対象気筒、及び点火対象気筒の気筒判別を行う。
【0022】
燃料噴射制御、点火時期制御等のエンジン制御は、図12に示す電子制御装置50で実行される。この電子制御装置50は、燃料噴射制御、点火時期制御等を行なうメインコンピュータ51と、ノック検出処理専用のサブコンピュータ52との2つのコンピュータを中心として構成され、各部に所定の安定化電源を供給する定電圧回路53や各種の周辺回路が組込まれている。
【0023】
上記定電圧回路53は、2回路のリレー接点を備えるECUリレー54の第1のリレー接点を介してバッテリ55に接続されると共に、このバッテリ55に、直接接続され、イグニッションスイッチ56のON、OFFに拘わらず上記メインコンピュータ51のバックアップRAM61に常時バックアップ用電源を供給する。
【0024】
又、上記バッテリ55には、上記イグニッションスイッチ56を介して上記ECUリレー54のリレーコイルが接続されると共に、燃料ポンプリレー57のリレー接点を介して燃料ポンプ29が接続されている。更に、上記燃料ポンプリレー57のリレーコイルの一端が上記ECUリレー54の第2のリレー接点を介してバッテリ55に接続され、このリレーコイルの他端が上記駆動回路67に接続されている。尚、上記ECUリレー54の第2のリレー接点に各アクチュエータへの電源線が接続されている。
【0025】
上記メインコンピュータ51は、CPU58、ROM59、RAM60、バックアップRAM61、カウンタ・タイマ群62、シリアル通信インターフェースであるSCI63、及び、I/Oインターフェース64がバスライン65を介して接続されたマイクロコンピュータであり、上記バックアップRAM61には、上記イグニッションスイッチ56のON/OFFに拘らず、バッテリ55に直接接続する上記定電圧回路53からバックアップ用電源が常時供給されてデータが保持される。
【0026】
尚、上記カウンタ・タイマ群62は、フリーランカウンタ、カム角センサ信号の入力計数用カウンタなどの各種カウンタ、燃料噴射タイマ、点火タイマ、定期割込みを発生させるための定期割込みタイマ、クランク角センサ信号の入力間隔計時用タイマ、及び、システム異常監視用のウオッチドッグタイマなどの各種タイマを便宜上総称するものであり、上記メインコンピュータ51においては、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマが用いられる。
【0027】
又、上記サブコンピュータ52も、上記メインコンピュータ51と同様、CPU71、ROM72、RAM73、カウンタ・タイマ群74、SCI75、及び、I/Oインターフェース76がバスライン77を介して接続されたマイクロコンピュータであり、上記メインコンピュータ51とサブコンピュータ52とは、上記SCI63,75を介してシリアル通信ラインにより互いに接続されている。
【0028】
上記メインコンピュータ51のI/Oインターフェース64の入力ポートには、アイドルスイッチ33b、車速センサ43、クランク角センサ40、及びカム角センサ42が接続されると共に、吸入空気量センサ32、スロットル開度センサ33a、水温センサ36、O2センサ37、排気温度センサ38、及び絶対圧センサ22がA/D変換器66を介して接続され、更に、このA/D変換器66に、上記バッテリ55の電圧VBが入力されてモニタされる。
【0029】
又、上記I/Oインターフェース64の出力ポートには、イグナイタ27が接続されると共に、ISC弁16、インジェクタ25、燃料ポンプリレー57のリレーコイル、ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21、吸気管圧力/大気圧切換ソレノイド弁23が駆動回路67を介して接続される。
【0030】
一方、上記サブコンピュータ52のI/Oインターフェース76では、入力ポートに、クランク角センサ40、カム角センサ42が接続されると共に、A/D変換器78、周波数フィルタ79、アンプ80を介してノックセンサ34が接続されており、上記ノックセンサ34からのノック検出信号が上記アンプ80で所定のレベルに増幅された後に上記周波数フィルタ79により必要な周波数成分が抽出され、上記A/D変換器78にてデジタル信号に変換されて入力される。
【0031】
上記メインコンピュータ51では、各センサ・スイッチ類からの検出信号を処理し、燃料噴射制御、点火時期制御等を行い、一方、上記サブコンピュータ52では、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づいてノックセンサ34からの信号のサンプル区間を設定し、このサンプル区間でノックセンサ34からの信号を高速にA/D変換して振動波形を忠実にデジタルデータに変換し、このデータに基づきノッキング発生の有無を判定する。
【0032】
上記サブコンピュータ52のI/Oインターフェース76の出力ポートは、上記メインコンピュータ51のI/Oインターフェース64の入力ポートに接続されており、上記サブコンピュータ52でのノック判定結果がI/Oインターフェース76に出力される。そして、上記メインコンピュータ51では、上記サブコンピュータ52からノッキング発生有りの判定結果が出力されると、SCI63を介してシリアル通信ラインよりサブコンピュータ52からノックデータを読込み、ノッキングを回避するためのノック制御を行う。すなわち、このノック制御では、上記ノックデータに基づき上記サブコンピュータ52からノッキング発生なしの判定結果が出力されるまで点火時期遅角補正量を漸次的に増加させ、この点火時期遅角補正量の分だけ点火時期を遅角させてノッキングを回避する。
【0033】
このようなエンジン制御系において、イグニッションスイッチ56がONされると、ECUリレ−54がONし、上記メインコンピュータ51では、定電圧回路53を介して各部に定電圧が供給されて各種制御を実行する。すなわち、メインCPU58が、ROM59にメモリされているプログラムに基づき、I/Oインタ−フェイス64を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号、及びバッテリ電圧等を処理し、RAM60に格納される各種データ及びバックアップRAM61に格納されている各種学習値デ−タ、ROM59にメモリされている固定デ−タ等に基づき、各種制御量を演算する。そして、駆動回路67により燃料ポンプリレ−57をONし、燃料ポンプ29に通電して該燃料ポンプ29を駆動させると共に、駆動回路67を介して、ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21にデューティ信号を出力して過給圧制御を行い、又吸気管圧力/大気圧切換ソレノイド弁23にON,OFF信号を出力して絶対圧センサ22で大気圧と吸気管絶対圧力とを交互に検出し、又演算した燃料噴射量に相応する駆動パルス信号を所定のタイミングで該当気筒のインジェクタ25に出力して燃料噴射制御を行い、又、演算した点火時期に対応するタイミングでイグナイタ27に点火信号を出力して点火時期制御を実行し、更にはISC弁16に制御デューティ信号を出力してアイドル回転数制御等を実行する。尚、サブコンピュータ52はノック検出処理専用のコンピュータであるため、その動作説明を省略する。
【0034】
次に、上記メインコンピュータ51で実行する空燃比制御(燃料噴射制御)について、図1〜図5に示すフローチャートに従い説明する。図に示す各フローチャートは、イグニッションスイッチ56をONし、電子制御装置50に電源が投入され、システムがイニシャライズされた後、所定周期毎に実行される。
【0035】
ここで、図1にはO2センサ37の出力電圧VO2に基づき第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定する第1空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンが示され、又、図2には排気温度センサ38で検出した排気温度TEXに基づき第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定する第2の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンが示されている。
【0036】
図6に示すように、本実施の形態では、エンジンの運転領域をエンジン回転数NEとエンジン負荷の代表である基本燃料噴射量Tpとに基づき判別し、エンジン回転数NEが高回転数領域の下限を示す設定値NEH以下(NE≦NEH)で、且つ基本燃料噴射量Tpが高負荷運転領域の下限を示す設定値TpH以下(Tp≦TpH)のとき、O2センサ37の出力電圧VO2に基づいて第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定し、又、エンジン回転数NEが設定値NEHより高く(NE>NEH)、或いは基本燃料噴射量Tpが設定値TpHより大きい(Tp>TpH)とき、排気温度TEXに基づいて第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定する。従って、本実施の形態においては上記各空燃比フィードバック補正係数α1,α2が重複して設定されることはない。
【0037】
先ず、図1に示す第1の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンについて説明する。この第1の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンがスタートすると、ステップS1で、エンジンの運転領域を判別し、エンジン回転数NEが設定値NEH以下(NE≦NEH)で、且つ基本燃料噴射量Tpが設定値TpH以下(Tp≦TpH)の、すなわち現在のエンジン運転領域がO2センサ37の出力電圧VO2に基づく空燃比フィードバック制御領域にあるときは(図6参照)、ステップS2へ進む。又、NE>NEH、或いはTp>TpHのときは、エンジンの運転領域が排気温度TEXに基づく空燃比フィードバック制御領域にあるため、ステップS3へ分岐し、第1の空燃比フィードバック補正係数α1を1.0に設定してステップS6へ進み、第1の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B1をクリアしてルーチンを抜ける。
【0038】
上記ステップS1からステップS2へ進むと、O2センサ37が活性したか否かを判別し、不活性のときは上記ステップS3へ分岐し、活性したときはステップS4へ進む。O2センサ37が活性したか否かは、例えば、該O2センサの出力値VO2を検出し、或いは冷却水温Twに基づき、或いは始動後の経過時間に基づいて判別する。すなわち、O2センサ37の出力値VO2を検出する場合は、この出力値VO2のリーンからリッチ或いはリッチからリーンへ反転する周期が設定時間よりも短くなったときO2センサ37が活性したと判別し、冷却水温Twに基づく場合は、該冷却水温Twが設定温度に達したときO2センサ37が活性したと判別し、又、始動後の経過時間に基づく場合は、該経過時間が設定時間に達したときO2センサ37が活性したと判別する。
【0039】
その後、ステップS4へ進むと、第1の空燃比フィードバック補正係数α1のクランプ条件を判別する。例えば、第1の空燃比フィードバック補正係数α1のクランプ条件を車両走行状態に基づいて判別する場合、加減速走行などの過渡運転時のクランプ条件成立時にはステップS5へ進み、又、定常走行時のクランプ条件不成立時にはステップS7へ進む。上記ステップS5へ進むと、前回設定した第1の空燃比フィードバック補正係数α1をクランプして上記ステップS6へ進む。
【0040】
一方、ステップS7へ進むと、このステップS7以降で、O2センサ37の出力電圧VO2に基づき、周知の比例積分(PI)制御により第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定する。
【0041】
先ず、ステップS7で、O2センサ37の出力電圧VO2を読込み、ステップS8で、この出力電圧VO2と理論空燃比に対応するスライスレベルVS1とを比較し、VO2≧VS1の空燃比がリッチのときはステップS9へ進み、VO2<VS1の空燃比がリーンのときはステップS13へ分岐する。
【0042】
ステップS9へ進むと、空燃比リッチフラグFRの値を参照し、FR=0の前回の空燃比がリーンのときは、空燃比がリッチ側へ反転した後の初回のルーチンであるため、ステップS10へ進み、又、FR=1の前回の空燃比がリッチのときはステップS11へ進む。
【0043】
ステップS10へ進むと、前回設定した第1の空燃比フィードバック補正係数α1から予め設定した比例量Pを減算して新たな第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定し、ステップS12で上記空燃比リッチフラグFRをセットしてステップS17へ進み、上記第1の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B1をセットし、ルーチンを抜ける。
【0044】
又、ステップS9からステップS11へ分岐すると、前回設定した第1の空燃比フィードバック補正係数α1から予め設定した積分量Iを減算して新たな第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定し上記ステップS12へ戻る。
【0045】
一方、VO2<VS1の空燃比がリーンであるためステップS8からステップS13へ分岐すると、空燃比リッチフラグFRの値を参照し、FR=1の空燃比がリッチからリーンへ反転した後の初回ルーチン実行時にはステップS14へ進み、FR=0の前回の空燃比もリーンのときはステップS15へ進む。
【0046】
ステップS14へ進むと、前回設定した第1の空燃比フィードバック補正係数α1に予め設定した比例量Pを加算して新たな第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定し、ステップS16で上記空燃比リッチフラグFRをクリアして上記ステップS17へ進む。
【0047】
又、ステップS13からステップS15へ分岐すると、前回設定した第1の空燃比フィードバック補正係数α1に予め設定した積分量Iを加算して新たな第1の空燃比フィードバック補正係数α1を設定し上記ステップS16へ戻る。
【0048】
その結果、図6に示すO2センサ37の出力電圧VO2に基づく空燃比フィードバック制御領域では、図7に示すように、上記O2センサ37の出力電圧VO2に基づく通常の空燃比フィードバック制御が実行される。
【0049】
次に、図2に示す第2の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンについて説明する。この第2の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンがスタートすると、ステップS21で、エンジンの運転領域を判別する。エンジン回転数NEが設定値NEHより高く(NE>NEH)、或いは基本燃料噴射量Tpが設定値TpHより多い(Tp>TpH)状態の少なくとも一方にあるとき、すなわち現在のエンジン運転領域が、図6に示す排気温度TEXに基づく空燃比フィードバック制御領域にあるときは、ステップS22へ進む。又、NE≦NEH、且つTp≦TpHのときは、エンジンの運転領域がO2センサ37に基づく空燃比フィードバック制御領域にあるため、ステップS23へ分岐し、第2の空燃比フィードバック補正係数α2を1.0に設定してステップS24へ進み、第2の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B2をクリアしてルーチンを抜ける。
【0050】
上記ステップS21からステップS22へ進むと、冷却水温Twと暖機完了判定用設定値Twsとを比較し、Tw<Twsの暖機未完のときは上記ステップS23へ分岐し、又、Tw≧Twsの暖機完了のときはステップS25へ進む。
【0051】
上記ステップS25へ進むと、このステップS25以降で、排気温度TEXに基づき、比例積分(PI)制御により第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定する。
【0052】
先ず、ステップS25では、排気温度センサ38の出力電圧に基づき算出した排気温度TEXを読込む。次に、ステップS26で、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとに基づきマップ参照により目標排気温度TEXSを設定する。このマップの各領域には、予めエンジン運転領域毎に実験などから空燃比と排気温度との相関を求め、目標空燃比に対応する最適な目標排気温度が格納されている。尚、高回転、高負荷運転領域では要求空燃比がややリッチになるため、上記目標空燃比もリッチ側に設定されている。
【0053】
次いで、ステップS27で、上記排気温度TEXと上記目標排気温度TEXSとを比較し、TEX≧TEXSのときはステップS28へ進み、TEX<TEXSのときはステップS32へ分岐する。
【0054】
ステップS28へ進むと、排気温度高温フラグFEXの値を参照する。FEX=0のときは、排気温度TEXが目標排気温度TEXSに対して高温側へ反転した後の初回のルーチンであるため、ステップS29へ進み、FEX=1の前回の排気温度TEXも高温側にあるときはステップS30へ進む。
【0055】
ステップS29へ進むと、前回設定した第2の空燃比フィードバック補正係数α2に予め設定した比例量PEXを加算して新たな第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定する。そして、ステップS31で上記排気温度高温フラグFEXをセットしてステップS36へ進み、上記第2の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B2をセットし、ルーチンを抜ける。
【0056】
又、ステップS28からステップS30へ分岐すると、前回設定した第2の空燃比フィードバック補正係数α2に予め設定した積分量IEXを加算して新たな第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定し上記ステップS31へ戻る。上記ステップS29,S30で第2の空燃比フィードバック補正係数α2が増加されることで燃料噴射時には燃料噴射量が増量されるため排気温度が低温化補正される。
【0057】
一方、上記ステップS27で、TEX<TEXSと判別されてステップS32へ分岐すると、排気温度高温フラグFEXの値を参照する。そして、FEX=1の排気温度が目標排気温度TEXSに対して低温側へ反転した後の初回ルーチン実行時にはステップS33へ進み、FEX=0の前回の排気温度TEXも低温側にあるときはステップS34へ進む。
【0058】
ステップS33へ進むと、前回設定した第2の空燃比フィードバック補正係数α2から予め設定した比例量PEXを減算して新たな第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定し、ステップS35で上記排気温度高温フラグFEXをクリアして上記ステップS36へ進む。
【0059】
又、ステップS32からステップS34へ分岐すると、前回設定した第2の空燃比フィードバック補正係数α2から予め設定した積分量IEXを減算して新たな第2の空燃比フィードバック補正係数α2を設定し上記ステップS35へ戻る。上記ステップS33,S34で第2の空燃比フィードバック補正係数α2が減少されることで燃料噴射時の燃料噴射量が減量されるため排気温度が高温化補正される。
【0060】
その結果、図6に示す排気温度TEXに基づく空燃比フィードバック制御領域では、図8に示すように、排気温度TEXが目標排気温度TEXS以上のときは、第2の空燃比フィードバック補正係数α2を増加させることで燃料噴射量を増量し、又、排気温度TEXが目標排気温度TEXS未満のときは、第2の空燃比フィードバック補正係数α2を減少させることで燃料噴射量を減量して、排気温度TEXを目標排気温度TEXSに収束させるようにフィードバック制御することで、この目標排気温度TEXSと相関のある空燃比を適正に制御することができる。その結果、要求空燃比がリッチ側にあるためにO2センサ37による空燃比フィードバック制御を実行することの困難な、高回転領域、或いは高負荷運転領域においても、空燃比を良好に制御することができ、エンジンを構成する部品の製造上のばらつきや、劣化等の影響によるエンジントルクの低下、ノック限界の低下、或いは排気温度の上昇による排気系の耐久性の低下等を有効に回避することができる。
【0061】
又、本実施の形態では、空燃比学習制御を採用しており、空燃比学習値を上記各空燃比フィードバック補正係数α1,α2に基づいて更新することで、エンジンを構成する部品のばらつき、或いは劣化が予め補償され、従ってより安定した空燃比制御性能を得ることかできる。
【0062】
。図3に第1の空燃比フィードバック補正係数α1に基づいて設定される第1の空燃比学習値更新ルーチンを示し、図4に第2の空燃比フィードバック補正係数α2に基づいて設定される第2の空燃比学習値更新ルーチンを示す。
【0063】
先ず、図3に示す第1の空燃比学習値更新ルーチンについて説明する。この第1の空燃比学習値更新ルーチンがスターすると、ステップS41で、上記第1の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B1の値を参照する。そして、FF/B1=0の第1の空燃比フィードバック制御が中止されているときはステップS45へジャンプし、又、FF/B1=1の第1の空燃比フィードバック制御中のときはステップS42へ進む。
【0064】
ステップS42では、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとを読込み、続いてステップS43で、エンジン運転状態が定常状態にあるか否かを、前回のエンジン運転領域と今回のエンジン運転領域とが同じか否かにより判断する。エンジン運転領域は上記エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとに基づき、図9(a)に示す第1の定常状態判定マトリックスを参照し、当該エンジン運転領域に格納されている今回の区画値D1NEWを読込み、前回の区画値D1OLDと比較する。そして、D1NEW≠D1OLDのエンジン運転領域が変化しているときはステップS44へ進み、今回の区画値D1NEWにて前回の区画値D1OLDを設定し(D1NEW←D1OLD)、ステップS45でカウント値C1をクリアしてルーチンを抜ける。
【0065】
一方、上記ステップS43でD1NEW=D1OLDのエンジン運転領域が同一、すなわち定常状態のときは、ステップS46へ分岐し、O2センサ37の出力が所定時間(例えば、12sec)内においてリーン/リッチの切換わりがあったか否かを、図示しないO2センサ出力判定ルーチンでの判定結果に基づき判別する。上記O2センサ出力判定ルーチンでは、上記第1の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンにおいて設定される空燃比リッチフラグFRの値を設定演算周期(例えば、1sec)毎に参照し、設定時間内に空燃比リッチフラグFRの値が1→0、或いは0→1へ少なくとも1回切換わったか否かを判別する。
【0066】
そして、上記ステップS46で空燃比リッチフラグFRの値が切換わっていないとき、すなわちO2センサ37の出力電圧VO2がスライスレベルVS1に対して一方へ偏倚した状態のままのときは、第1の空燃比学習値を更新することなくステップS45へ戻り、又、空燃比リッチフラグFRの値が切換わっているときは、ステップS47へ進む。
【0067】
そして、ステップS47で、カウント値C1をカウントアップし(C1←C1+1)、ステップS48で、上記カウント値C1と設定値C1S(例えば、C1S=3)とを比較する。そして、C1<C1Sのときはそのままルーチンを抜け、C1≧C1S、すなわち、O2センサ37の出力電圧VO2が正常にリーン/リッチを繰り返している状態で、しかもエンジン運転状態が当該第1の空燃比学習値更新ルーチンがC1S回繰り返す間、定常状態を維持しているときは、ステップS49へ進み、上記カウント値C1をクリアし、ステップS50で、第1の空燃比変化量Δα1を次式に基づき算出する。
Δα1←{(α1MAX+α1MIN)/2}−1.0
ここで、α1MAXは当該第1の空燃比学習値更新ルーチンがC1S回繰り返す間に読込まれた空燃比フィードバック補正係数α1の極大値、α1MINは同じく極小値である(図7(b)参照)。
【0068】
そして、ステップS51で、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして、図9(b)に示す第1の空燃比学習値マップに格納されている第1の空燃比学習値KLR1を検索し、ステップS52で、当該第1の空燃比学習値KLR1を次式に基づき補正し、補正後の第1の空燃比学習値KLR1で上記第1の空燃比学習値マップに格納されている当該領域の空燃比学習値を更新し、ルーチンを抜ける。
KLR1←KLR1+M1・Δα1
ここで、M1は更新割合を設定する係数であり、エンジン運転領域毎に定められる。
【0069】
次に、図4に示す第2の空燃比学習値更新ルーチンについて説明する。この第2の空燃比学習値更新ルーチンがスタートすると、ステップS61で、上記第2の空燃比フィードバック制御開始フラグFF/B2の値を参照する。そして、FF/B2=0の第2の空燃比フィードバック制御が中止されているときはステップS65へジャンプし、又、FF/B2=1の第2の空燃比フィードバック制御中のときはステップS62へ進む。
【0070】
ステップS62では、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとを読込み、続いてステップS63で、エンジン運転状態が定常状態にあるか否かを、前回のエンジン運転領域と今回のエンジン運転領域とが同じか否かにより判断する。エンジン運転領域は上記エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとに基づき、図10(a)に示す第2の定常状態判定マトリックスを参照し、当該エンジン運転領域に格納されている今回の区画値D2NEWを読込み、前回の区画値D2OLDと比較する。そして、D2NEW≠D2OLDのエンジン運転領域が変化しているときはステップS64へ進み、今回の区画値D2NEWにて前回の区画値D2OLDを設定し(D2NEW←D2OLD)、ステップS65でカウント値C1をクリアしてルーチンを抜ける。
【0071】
一方、上記ステップS63でD2NEW=D2OLDのエンジン運転領域が今回と前回とで同一、すなわち定常状態にあるときは、ステップS66へ分岐し、排気温度TEXが所定時間(例えば、12sec)内において目標排気温度TEXSに対して大小関係の切換わりがあったか否かを、図示しない排気温度判定ルーチンでの判定結果に基づき判別する。この排気温度判定ルーチンでは、上記第2の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンにおいて設定される排気温度高温フラグFEXの値を設定演算周期(例えば、1sec)毎に参照し、該排気温度高温フラグFEXの値が設定時間内に0→1、或いは1→0へ少なくとも1回切換わったか否かを判別する。
【0072】
そして、排気温度高温フラグFEXの値が切換わっていないときは、第2の空燃比学習値を更新することなくステップS65へ戻り、又、排気温度高温フラグFEXの値が切換わっているときは、ステップS67へ進み、カウント値C2をカウントアップし(C2←C2+1)、ステップS68で、上記カウント値C2と設定値C2S(例えば、C2S=3)とを比較する。ここで、C2<C2Sのときはそのままルーチンを抜け、C2≧C2S、すなわち、排気温度TEXが正常に反転している状態で、しかもエンジン運転状態が当該第2の空燃比学習値更新ルーチンがC2S回繰り返す間、定常状態を維持しているときは、ステップS69へ進み、上記カウント値C2をクリアし、ステップS70で、第2の空燃比変化量Δα2を次式に基づき算出する。
Δα2←{(α2MAX+α2MIN)/2}−1.0
ここで、α2MAXは当該第2の空燃比学習値更新ルーチンがC2S回繰り返す間に読込まれた空燃比フィードバック補正係数α2の極大値、α2MINは同じく極小値である(図8(b)参照)。
【0073】
そして、ステップS71で、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして、図10(b)に示す第2の空燃比学習値マップに格納されている第2の空燃比学習値KLR2を検索し、ステップS72で、当該第2の空燃比学習値KLR2を次式に基づき補正し、補正後の第2の空燃比学習値KLR2で上記第2の空燃比学習値マップに格納されている当該領域の空燃比学習値を更新し、ルーチンを抜ける。
KLR2←KLR2+M2・Δα2
ここで、M2は更新割合を設定する係数であり、エンジン運転領域毎に定められる。
【0074】
このように、本実施の形態では、空燃比フィードバック補正係数α1,α2に加えて、空燃比学習値KLR1,KLR2を採用しているので、エンジンを構成する部品の製造上のばらつき、或いは劣化等が補償され、O2センサに基づく空燃比フィードバック制御領域は勿論、排気温度に基づく空燃比フィードバック制御領域においても空燃比を目標空燃比に直ちに収束させることができ良好な空燃比制御性能を得ることができる。特に、排気温度に基づく空燃比フィードバック制御領域においては、空燃比学習制御を採用することでエンジントルクの低下や、ノッキングの発生、更には排気温度の上昇による排気系の損傷を未然に回避することができる。
【0075】
上記各空燃比フィードバック補正係数α1,α2、及び各空燃比学習値KLR1,KLR2は、図5に示す燃料噴射量設定ルーチン実行時に読込まれる。
【0076】
この燃料噴射量設定ルーチンでは、先ず、ステップS81で、吸入空気量Qとエンジン回転数NEとに基づき基本燃料噴射量Tpを次式から算出する。
Tp←K・Q/NE
ここで、Kはインジェクタ特性補正定数である。
【0077】
次いで、ステップS82で、エンジン回転数NEと基本燃料噴射量Tpとに基づきエンジン運転領域を判別する。すなわち、エンジン回転数NEが設定値NEH以下(NE≦NEH)、且つ基本燃料噴射量Tpが設定値TpH以下(Tp≦TpH)のときは、現在のエンジン運転領域がO2センサ37に基づく空燃比フィードバック制御領域であるため、ステップS83へ進み、第1の空燃比フィードバック補正係数α1で空燃比フィードバック補正係数αを設定する。又、ステップS84で、上記エンジン回転数NEと上記基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして第1の空燃比学習値マップを参照して、第1の空燃比学習値KLR1を検索し、この第1の空燃比学習値KLR1に基づき補間計算により空燃比学習補正係数KBLRCを設定し、ステップS88へ進む。
【0078】
一方、上記ステップS82で、NE>NEHの高回転領域、或いはTp>TpHの高負荷運転領域の少なくとも一方のときは、現在のエンジン運転領域が排気温度TEXに基づく空燃比フィードバック制御領域であるため、ステップS85へ分岐し、第2の空燃比フィードバック補正係数α2で空燃比フィードバック補正係数αを設定する。又、ステップS86で、上記エンジン回転数NEと上記基本燃料噴射量Tpとをパラメータとして第2の空燃比学習値マップを参照して、第2の空燃比学習値KLR2を検索し、この第2の空燃比学習値KLR2に基づき補間計算により空燃比学習補正係数KBLRCを設定し、ステップS88へ進む。
【0079】
ステップS88では、水温センサ36で検出した冷却水温に基づく水温増量係数、スロットル開度センサ33aで検出したスロットル開度の変化量に基づく加減速補正係数等の各種増量係数COEFを設定する。更に、ステップS89で、インジェクタ25の無効時間を補間する電圧補正係数Tsをバッテリ電圧VBに基づき設定し、ステップS90へ進む。
【0080】
ステップS90では、上記基本燃料噴射量Tpを、上記空燃比フィードバック補正係数αで空燃比補正すると共に、空燃比学習補正係数KBLRCで学習補正し、更に各種増量係数COEFによりフィードフォワード補正し、その値に上記無効噴射時間Tsを加算して電圧補正してインジェクタ25に対する最終的な燃料噴射パルス幅(燃料噴射量)Tiを設定し、ルーチンを抜ける。
【0081】
そして、所定燃料噴射時期に達したとき、燃料噴射対象気筒のインジェクタ25に対して上記燃料噴射パルス幅Tiに相当する駆動信号を出力し、インジェクタ25を介して所定に計量された燃料をエンジンに供給する。
【0082】
このように本実施の形態では、エンジン運転領域を、理論空燃比による空燃比フィードバック制御領域と理論空燃比では制御の困難な空燃比フィードバック補正制御領域とに区分し、理論空燃比による空燃比フィードバック制御領域ではO2センサ37の出力電圧VO2に基づき空燃比フィードバック制御を実行すると共に、空燃比学習制御を実行し、一方、理論空燃比による制御が困難な高回転、高負荷運転領域では、排気温度TEXに基づいて空燃比フィードバック補正制御を行うと共に、空燃比学習制御を実行するので、全運転領域において、エンジンを構成する部品のばらつき、劣化等が補償され、空燃比の目標空燃比に対する収束性が良くなり、良好な空燃比制御性能を得ることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上、説明したように請求項1記載の発明によれば、エンジン運転領域が低中回転数、及び低中負荷領域にあるときは、排気系に設けた空燃比検出手段で検出した空燃比に基づき空燃比フィードバック制御を行い、又、エンジン運転領域が高回転或いは高負荷運転領域の少なくとも一方にあるときは、排気温度に基づいて空燃比フィードバック制御を行うようにしたので、理論空燃比制御を行う低中回転領域、及び低中負荷領域と、要求空燃比がリッチとなる高回転或いは高負荷運転領域の全ての運転領域において空燃比を適正に制御することができる。従って、全ての運転領域においてエンジンを構成する部品の製造上のばらつき、或いは劣化によって生じるエンジントルクの低下、ノックの発生、及び排気温度の必要以上の上昇を有効に防止し、良好な空燃比制御性能を得ることができる。
【0084】
加えて、請求項2記載の発明によれば、エンジン運転領域が低中回転数、及び低中負荷領域にあるときは空燃比検出手段で検出した空燃比に基づいて設定した空燃比フィードバック補正係数の変化量に基づき空燃比学習値を設定し、又、エンジン運転領域が高回転或いは高負荷運転領域の少なくとも一方にあるときは排気温度に基づいて設定した空燃比フィードバック補正係数の変化量に基づき空燃比学習値を設定し、燃料噴射量を設定する際に、空燃比フィードバック補正に加えて空燃比学習補正を行うようにしたので、空燃比の目標空燃比に対する収束性が良くなり、全運転領域における空燃比制御性がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンを示すフローチャート
【図2】第2の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンを示すフローチャート
【図3】第1の空燃比学習値更新ルーチンを示すフローチャート
【図4】第2の空燃比学習値更新ルーチンを示すフローチャート
【図5】燃料噴射量設定ルーチンを示すフローチャート
【図6】O2センサに基づく空燃比フィードバック制御領域と排気温度に基づく空燃比フィードバック制御領域とを示す説明図
【図7】O2センサの出力電圧と第1の空燃比フィードバック補正係数との関係を示すタイミングチャート
【図8】排気温度と第2の空燃比フィードバック補正係数との関係を示すタイミングチャート
【図9】第1の定常状態判定マトリックスと第1の空燃比学習値マップとの説明図
【図10】第2の定常状態判定マトリックスと第2の空燃比学習値マップとの説明図
【図11】エンジンの全体構成図
【図12】電子制御装置の回路図
【符号の説明】
1…エンジン
37…空燃比検出手段(O2センサ)
38…排気温度検出手段(排気温度センサ)
KLR…空燃比学習値
KLR1…第1の空燃比学習値
KLR2…第2の空燃比学習値
TEX…排気温度
TEXS…目標排気温度
Ti…燃料噴射量(燃料噴射パルス幅)
α…空燃比フィードバック補正係数
α1…第1の空燃比フィードバック補正係数
α2…第2の空燃比フィードバック補正係数

Claims (3)

  1. 排気系に空燃比検出手段と排気温度検出手段とを配設し、
    エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは上記空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較して空燃比フィードバック補正係数を設定し、
    又エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気温度検出手段で検出した排気温度と、このときのエンジン運転状態に基づき設定した目標排気温度とを比較して該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定し、
    上記エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数で補正して最終的な燃料噴射量を設定することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 排気系に空燃比検出手段と排気温度検出手段とを配設し、
    エンジン運転状態が低中回転及び低中負荷運転領域にあるときは上記空燃比検出手段で検出した空燃比と目標空燃比とを比較して空燃比フィードバック補正係数を設定し、
    又エンジン運転状態が高回転領域と高負荷運転領域との少なくとも一方にあるときは上記排気温度検出手段で検出した排気温度と、このときのエンジン運転状態に基づき設定した目標排気温度とを比較して該排気温度を上記目標排気温度に収束させる空燃比フィードバック補正係数を設定し、
    定常状態における上記空燃比フィードバック補正係数の変化に基づき空燃比変化量を算出し、
    上記空燃比変化量で上記エンジン運転状態に基づいて特定したエンジン運転領域に格納されている空燃比学習値を更新し、
    上記エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を少なくとも上記空燃比フィードバック補正係数と上記空燃比学習値とに基づき補正して最終的な燃料噴射量を設定することを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  3. 上記目標排気温度は、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて設定されることを特徴とする請求項1或いは2記載のエンジンの空燃比制御装置。
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