JP2004292512A - 水性被覆組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】密着性、耐水性、耐油脂性に優れた塗膜を形成する水性被覆組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるビニル系単量体(A)単位5〜30質量%、
CH=CH−O−CO−R1 (I)
(R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
炭素数が1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)単位70質量%以上、その他の共重合可能なビニル系単量体(C)単位0〜25質量%からなる共重合体と、塩素化ポリオレフィン樹脂からなり、共重合体(A+B+C)/塩素化ポリオレフィン樹脂の質量比が95/5〜50/50の範囲にあることを特徴とする水性被覆組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難塗装性プラスチック素材に直接塗装可能で、外観、密着性、耐水性、耐油脂性等を大幅に向上させたプラスチック用塗料用樹脂組成物に関する。ここで難塗装性プラスチック素材とはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド樹脂等塗膜の密着性が悪く塗装が困難なプラスチック類を指す。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック素材の工業材料への用途はますます拡大しており、中でもポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は成形性、軽量性、低コスト、リサイクル性等を特徴に自動車部品用途、家庭電化製品用途等に対しての使用量が増加している。しかし、ポリオレフィン系樹脂は一般に結晶性が高く極性も小さいことから、塗料、印刷インキ、接着剤等が付着しにくいという欠点を有している。一方、プラスチック素材の被覆には、各種の溶剤型被覆剤が多く用いられてきている。しかし、最近では、環境への影響がより少なく、安全性にも優れた水性被覆材への移行が望まれている。しかし、水性被覆材は、溶剤型被覆材に比べてプラスチック素材への浸透性が劣るため、皮膜のプラスチック素材に対する密着性が低いという問題点があり、さらに、形成される皮膜の耐水性やプラスチック素材への密着性を向上させる手段として使用される塩素化ポリオレフィン類等の影響により耐油脂性に劣るという傾向にあった。
【0003】
水性被覆剤の性能を向上させる検討は、これまで数多く行われてきており、例えば、特定比率の塩素化ポリオレフィンエマルションとアクリルエマルションから配合して得られるエマルション成分により、密着性や耐水性、耐薬品性等に優れた皮膜を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特定量の塩素化ポリオレフィンエマルションを(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量体等と乳化重合することによって得られる変性塩素化ポリオレフィン系エマルションが、皮膜の耐水性、耐薬品性が向上することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−2977号公報
【特許文献2】
特開2001−213922号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術において塩素化ポリオレフィンエマルションのようなエマルションから形成される皮膜は、いずれも耐油脂性が低位にあり、難塗装性プラスチック素材用の水性被覆剤として充分なものではなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やナイロン樹脂等塗膜の密着性が悪く塗装が困難な難塗装性プラスチック素材に、前処理やプライマー塗装等の工程を必要とすることなく塗装でき、かつ、密着性、耐水性、耐油脂性が両立した塗膜を形成する水性被覆組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定組成のビニル系単量体からなる共重合体と塩素化ポリオレフィン樹脂からなる水性被覆組成物が、上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の水性被覆組成物は、下記一般式(I)で表されるビニル系単量体(A)単位2〜30質量%、
CH=CH−O−CO−R1 (I)
(R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
炭素数が1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)単位70質量%以上、その他の共重合可能なビニル系単量体(C)単位0〜25質量%((A)、(B)、(C)合計で100質量%)からなる共重合体と、塩素化ポリオレフィン樹脂からなり、共重合体(A+B+C)/塩素化ポリオレフィン樹脂の質量比が95/5〜50/50の範囲にあることを特徴とする水性被覆組成物にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の水性被覆組成物が含有する下記一般式(I)で表されるビニル系単量体(A)は、
CH=CH−O−CO−R1 (I)
(R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができるが、好ましくはR1が炭素数1〜3のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルである。
上記一般式(I)で表されるビニル系単量体は、本発明水性被覆組成物の構成成分として2〜30質量%有する必要がある。これは2質量%未満であると、形成される被膜の耐油脂性が低下傾向にある。好ましくは5〜20質量%である。一方、30質量%を超えると形成される被膜の耐水性が低下傾向にある。
【0010】
本発明の水性被覆組成物は、炭素数1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)からなる単量体単位を構成成分として70質量%以上有する必要がある。炭素数が1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは必要に応じて1種以上を適宜選択して使用することができる。これらは水性被覆組成物の構成成分として70質量%以上有する必要がある。70質量%未満であると、難塗装性プラスチック素材に対しての密着性、形成される皮膜の耐油脂性が低下傾向にあるためである。
【0011】
本発明の水性被覆組成物を構成する他の成分である塩素化ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されるものではないが、具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、天然ゴム、オレフィン系ゴム等のポリオレフィン類にカルボキシル基、水酸基、酸無水物基等を導入した変性ポリオレフィン類を公知の方法で塩素化させた塩素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
上記塩素化ポリオレフィン樹脂の製造方法としては特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリオレフィン類を適当な媒体に溶解又は分散させた後、塩素ガスと反応させることによって、容易に所望する塩素化ポリオレフィン樹脂を得ることができる。
媒体としては、環境への配慮から水を用いることが好ましい。これら塩素化ポリオレフィンの中でも、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを塩素化することによって得られる塩素化ポリオレフィン樹脂が好ましい。さらに塩素化ポリオレフィン樹脂の好ましい例として上述した塩素化ポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で等で変性した酸無水物変性塩素化ポリオレフィンも挙げられる。また、塩素化ポリオレフィン樹脂の市販品としては、例えば、スーパークロン(商品名;日本製紙ケミカル(株)製)、ハードレン(商品名;東洋化成(株)製)等が挙げられる。
【0012】
塩素化ポリオレフィン樹脂は、固形、溶液や分散体など種々の形態で用いることができる。これらは特に限定されるものではなく、例えば固形物を可溶な媒体で溶解させた溶液状の塩素化ポリオレフィン樹脂や、水性媒体中に分散させる方法により得られる塩素化ポリオレフィンエマルションが挙げられ、好ましい例として、市販品としては、ハードレンEW−5002(東洋化成(株)製、有効成分30%、塩素含有量16質量%)、スーパークロンS−4161(日本製紙(株)製、有効成分30質量%、塩素含有量20質量%)等を挙げることができる。これらは必要に応じて1種以上を適宜選択して用いることができる。
【0013】
塩素化ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず適宜用いてもよいが、水性被覆組成物自体の安定性や難塗装性プラスチック素材に対しての密着性の点で、塩素含有量が10〜30質量%のものが好ましい。特に好ましくは15〜20質量%である。塩素含有量が10質量%以上で難塗装性プラスチック素材に対しての密着性、耐水性が良好になり、30質量%以下で耐油脂性が良好になる。また、塩素化ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は5万〜15万のものが用いられる。好ましくは5万〜12万である。5万以上で耐水性が良好になり、15万以下で共重合体との相溶性が良好となる。
【0014】
前記一般式(I)で表されるビニル系単量体(A)、炭素数1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)及びその他の共重合可能なビニル系単量体(C)からなる共重合体(以下、共重合体(A+B+C)と記す。)と、塩素化ポリオレフィン樹脂は、共重合体(A+B+C)/塩素化ポリオレフィン樹脂の質量比が95/5〜50/50の範囲で水性被覆組成物を構成する。好ましくは90/10〜60/40の範囲であり、より好ましくは80/20〜70/30の範囲である。水性被覆組成物中、共重合体(A+B+C)が95%以下で難塗装性プラスチック素材に対しての密着性、耐水性が良好になり、50%以上で耐油脂性が良好になるためである。
【0015】
なお、前記共重合体(A+B+C)の中その他共重合可能なビニル系単量体(C)の使用割合は0〜25質量%(A、B、C合計で100質量%)に設定しなければならない。
【0016】
その他共重合可能なビニル系単量体(C)の例としては、次のものが挙げられる。
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数が5個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有単量体、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加物等の水酸基含有ビニル系単量体、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体、
アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケトン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド等のアルデヒド基又はカルボニル基を有するビニル単量体、
スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体、
ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等のアルキルビニルベンゼン、ビニルナフタレン等の多環芳香族ビニル化合物等の芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有ビニル性単量体、
アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル性単量体、
アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル性単量体、ブタジエン等のオレフィン系単量体、
1モルのイソシアネートエチルメタクリレートと1モルのブチルアミン、1モルのベンジルアミン、1モルのブタノール、1モルの2−エチルヘキサノール、及び1モルのメタノールのそれぞれの反応生成物のような1以上のウレア又はウレタン基を含む単量体等。本発明は、これら単量体を必要に応じて1種以上を適宜選択して使用する。
【0017】
本発明の水性被覆組成物は、使用する前記共重合体(A+B+C)の平均粒子径は、20〜1000nmの範囲であるものが好ましい。これは、平均粒子径を20nm以上とすることによって、塗装化時の塗料固形分向上となる傾向にあるためである。より好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは80nm以上である。また、平均粒子径を1000nm以下とすることによって、塗膜の外観向上となる傾向にあるためである。より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。
【0018】
本発明で使用する前記共重合体(A+B+C)は、単量体混合物を乳化重合によって製造されたものが用いられる。
共重合体(A+B+C)を得るための乳化重合に当っては、単量体混合物合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の界面活性剤の存在下で乳化重合して得られたものであるのが好ましい。これは、界面活性剤の使用量を0.1質量部以上とすることによって、塗料配合時の安定性、経時的安定性等が良好となる傾向にあり、使用量を10質量部以下とすることによって、形成される皮膜の耐水性が良好になる傾向にあるためである。
【0019】
乳化重合時に使用できる界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アニオン性、カチオン性、及びノニオン性の界面活性剤、高分子乳化剤を挙げることができ、エチレン性不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤を使用することもできる。
【0020】
また、乳化重合時に使用できる重合開始剤としては、例えば、水溶性開始剤や、無機過酸化物とチオ硫酸ナトリウム等の還元剤からなるレドックス系開始剤を使用することができる。
【0021】
さらに、重合中に重合体の分子量を調節する必要がある場合には、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を適宜使用することができる。
【0022】
また、本発明で使用する共重合体を中性〜弱アルカリ性とする、すなわちpHを6.5〜10.0の範囲とすることによって、安定性を高めることができる。pHは、例えば乳化重合後に塩基性化合物を添加することによって調整することができる。ここで使用できる塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
【0023】
上記構成からなる本発明の水性被覆組成物は、被覆材料としての高度な性能を発現させるために、必要に応じて、各種の顔料、消泡剤、造膜助剤、増粘剤、顔料分散剤、スリップ剤、防腐剤等を添加して使用することもできる。
【0024】
本発明の水性被覆組成物は、従来公知の種々の塗装方法で難塗装性プラスチック等の基材に塗布することができる。本発明の水性被覆組成物は、基材への塗布後、例えば、具体的には60〜90℃程度での温度条件で、10分〜30分間加熱することによって、密着性、耐水性、耐油脂性に優れた塗膜を形成することができる。
【0025】
【実施例】
本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中の「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。実施例及び比較例における性能の評価は、以下に示す方法を用いて行った。
【0026】
(1)基材密着性試験
表2の実施例1〜4、比較例1〜5により得られた水性被覆組成物39.4g(固形分基準(共重合体と塩素化ポリオレフィンの固形分比率は表2記載))に2−ジメチルアミノエタノールを添加して、そのpHを8.0に調整した、さらに、造膜助剤としてN−メチルピロリドン9.9gを添加した後、ディスパーで攪拌し、水性被覆組成物を製造した。この水性被覆組成物を日本ポリケム(株)製ポリプロピレン樹脂「TX−1810A」から成形した厚さ3mmの板に、乾燥膜厚20μとなるようにスプレー塗布し、80℃の雰囲気中で30分間乾燥させて塗膜を形成させ、試験片を得た。
次いで、試験片の塗膜面に、基材に達するように縦横1mm間隔で各11本の切り込みを入れ100個の碁盤目を作り、この上にセロハン粘着テープを貼りつけた後、該粘着テープを急激に剥がした後の塗膜の状態を観察し、基材密着性を下記の評価基準で評価した。
○:碁盤目の剥がれがない
△:碁盤目の一部が剥がれている
×:全ての碁盤目が剥がれている
【0027】
(2)耐水性試験
上記の基材密着性試験(1)で作製した試験片を40℃の温水に1日間浸漬した後、塗膜の外観状態を観察し、下記の評価基準で評価した。
・外観状態
◎:異常なし
○:極わずかにふくれがある
△:一部ふくれ、白化等がある
×:全面にふくれ、白化等がある
【0028】
(3)耐油脂性
上記の基材密着性試験(1)で作製した試験片の塗膜上に、牛脂(和光純薬工業社製)1gを量り取り、塗板上にのせ、続いてガーゼを牛脂部にかぶせた後ガラスシャーレに入れ蓋をし、80℃の雰囲気温度にて7日間放置後、台所用洗剤にて洗浄、乾燥後の表面状態を目視により、下記の評価基準で評価した。
・外観状態
◎:異常なし
○:極わずかにふくれがある
△:一部ふくれが認められる
×:全体にふくれが認められる
【0029】
(4)平均粒子径
動的光散乱粒子径測定器DLS−600〔大塚電子(株)製〕にて水性分散体中の樹脂粒子径(重量平均粒子径)を測定した。
【0030】
(実施例1)
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水90部を加え、次いで、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)1.0部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製、80%溶液)0.8部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム1.2部、及び脱イオン水30部からなる開始剤溶液を投入し、80℃を維持しながら、酢酸ビニル10部、メチルメタクリレート45部、n−ブチルメタクリレート25部、n−ブチルアクリレート7部、2−エチルヘキシルメタクリレート9部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、メタクリル酸2部、アクアロンHS−10を0.3部、及び脱イオン水10部からなる単量体乳化物と、過硫酸アンモニウム0.06部、及び脱イオン水20部からなる開始剤溶液とを4時間かけて定量ポンプを用いて反応器内に滴下した。滴下終了後1時間同温度で熟成を行った。
次いで、1質量%ジメチルアミノエタノール水溶液10部を加えながら40℃まで冷却し、300メッシュのナイロンクロスでろ過し、平均粒子径120nm、不揮発分が40質量%である共重合体水分散液を得た。得られた共重合体水分散液25部(固形分基準)と塩素化ポリオレフィンエマルション(塩素化度、メーカー、商品名等を記載して下さい。)75質量部を混合して水性被覆組成物を得た。前記評価方法で評価した結果を表2に示す。
【0031】
(実施例2〜4、比較例1〜5)
開始剤や重合温度等を実施例1と同様にして、表1に示した組成の共重合体を製造した。これらを含有する表2に示した組成の水性被覆組成物の評価結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004292512
【0033】
【表2】
Figure 2004292512
【0034】
実施例から明らかなように、本発明の水性被覆組成物から形成される塗膜は、密着性、耐水性、及び、耐油脂性に優れていた。
これに対して、本発明の要件を満たさない比較例は、実施例に比べて性能が劣っていた。
【0035】
【発明の効果】
本発明の水性被覆組成物は、密着性、耐水性、耐油脂性に優れた塗膜を形成するものであり、特に難塗装性プラスチック素材に好適に使用することができ、工業上極めて有用である。

Claims (1)

  1. 下記一般式(I)で表されるビニル系単量体(A)単位2〜30質量%、
    CH=CH−O−CO−R1 (I)
    (R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    炭素数が1〜4個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B)単位70質量%以上、その他の共重合可能なビニル系単量体(C)単位0〜25質量%((A)、(B)、(C)合計で100質量%)からなる共重合体と、塩素化ポリオレフィン樹脂からなり、共重合体(A+B+C)/塩素化ポリオレフィン樹脂の質量比が95/5〜50/50の範囲にあることを特徴とする水性被覆組成物。
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