JP6984177B2 - 水性樹脂分散体及び水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents

水性樹脂分散体及び水性樹脂分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性樹脂分散体及び水性樹脂分散体の製造方法に関する。
プロピレン重合体やプロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンは安価であり、機械的物性、耐熱性、耐薬品性及び耐水性等に優れていることから、広い産業分野で使用されている。しかしながら、ポリオレフィンは、分子中に極性基がなく極性が低いため、ポリオレフィン基材に対しては塗装や接着が困難な場合が多く、塗装性や接着性の改善が望まれていた。
ポリオレフィン基材の表面改質方法としては、薬剤等で化学的に処理する方法や、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等によって基材表面を酸化処理する方法等が知られている。しかし、これらの方法では、特殊な装置が必要であるばかりでなく、塗装性や接着性の改良効果が必ずしも充分ではない。
ポリオレフィン基材の表面改質方法としては、基材表面に、表面処理剤、接着剤あるいは塗料等として、オレフィン系重合体又は変性ポリオレフィンに親水性高分子がグラフト結合されたグラフト共重合体を含む水性樹脂分散体を塗布する方法も知られている。変性ポリオレフィンとしては、塩素化ポリプロピレンや酸変性プロピレン−α−オレフィン共重合体、酸変性塩素化ポリプロピレン等が用いられている。
上記の水性樹脂分散体の塗料等としての性能、貯蔵安定性を向上させるため、オレフィン系重合体又は変性ポリオレフィンと、ラジカル重合性単量体を重合してなる重合体とを複合化する方法も提案されている。例えば、特許文献1,2には、オレフィン系重合体に親水性高分子や不飽和カルボン酸がグラフト結合されたグラフト共重合体の水性樹脂分散体中でビニル系単量体を乳化重合する方法が記載されている。また、特許文献3には変性ポリオレフィンの水性樹脂分散体中でビニル系単量体の重合を行う方法が記載されている。特許文献4,5にはオレフィン系重合体や変性ポリオレフィンを界面活性剤の存在下で水に分散させた後に、ビニル系単量体の乳化重合を行う方法が記載されている。
特開2011−46777号公報 特開2006−36920号公報 特開2004−91559号公報 特開2002−308921号公報 特開2013−133417号公報
しかし、特許文献1〜5に記載の方法では、ラジカル重合性単量体を重合するために、界面活性剤が水性樹脂分散体に含まれているので、得られる水性樹脂分散体を用いた塗料等のポリプロピレン基材への接着性及び耐水性が十分なものではなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性を有する水性樹脂分散体及びその製造方法を提供する。
本発明の発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、平均粒径が100nm以下のオレフィン重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)、又は平均粒径が100nm以下であってかつ、酸価が11〜25mgKOH/gであるオレフィン重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)により、前記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は下記に関する。
[1] 平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)。
[2] 前記水性樹脂分散体(A)の酸価が11〜25mgKOH/gである[1]に記載の水性樹脂分散体(C)。
[3] 平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法。
[4] 前記水性樹脂分散体(A)中の界面活性剤の含有量が、ラジカル重合性単量体(B)100質量部に対して2質量部以下である[3]に記載の水性樹脂分散体(C)の製造方法。
本発明の水性樹脂分散体及びその製造方法によれば、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性が得られる。
本発明において「分散」とは、水性媒体に固体粒子が極めて小さく、かつ単分子で存在している状態をいい、実質的には溶解といえるような状態をも含む概念である。
[水性樹脂分散体(C)]
本発明の水性樹脂分散体(C)(以下、「水性樹脂分散体(C)とも記す。」)は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体である。以下、本発明の水性樹脂分散体(C)について、「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」、「ラジカル重合性単量体(B)」、「水性樹脂分散体(C)」の順に説明する。
≪オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)≫
オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)(以下、「水性樹脂分散体(A)とも記す。」)とは、オレフィン系重合体(a1)(以下、「重合体(a1)」とも記す。)が水性媒体に分散している水性樹脂分散体を意味する。
水性樹脂分散体(A)に分散している重合体(a1)の平均粒径は、100nm以下であり、80nm以下が好ましい。前記平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減され、ポリプロピレン基材への接着性が阻害されにくくなる傾向がある。前記平均粒径の下限値は、理論的には0であり、特に制限されない。なお、前記平均粒径は光散乱光度計により計測したキュムラント平均粒子径(D50)を意味する。
水性樹脂分散体(A)の酸価は11〜25mgKOH/gであることが好ましく、13〜20KOHmg/gであることがより好ましい。前記酸価が11mgKOH/g以上であれば、水性樹脂分散体(A)とラジカル重合性単量体(B)が程よく相溶し、ラジカル重合性単量体(B)の重合後でもカレットが生成されない傾向がある。前記酸価が25mgKOH/g以下であれば、水性樹脂分散体(C)のポリプロピレン基材に対する接着性が優れる傾向がある。
<重合体(a1)>
重合体(a1)は、ポリプロピレン基材への接着性に優れる点から、プロピレン由来の構成単位を含むプロピレン系重合体が好ましい。
プロピレン系重合体中のプロピレン由来の構成単位の含有率は、全構成単位に対して、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
プロピレン系重合体の融点(Tm)は、125℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましい。また、プロピレン系重合体の融点は、60℃以上が好ましい。
重合体(a1)は、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
重合体(a1)としては、反応性基を有しないオレフィン系重合体(a11)(以下、「重合体(a11)」とも記す。)や、反応性基を有する変性オレフィン系重合体(a12)(以下、「重合体(a12)」とも記す。)等があげられる。
(重合体(a11))
重合体(a11)としては、特に限定されず、公知の各種オレフィン単独重合体及びオレフィン系共重合体を用いることができる。具体的には、例えば、以下のポリオレフィンが挙げられる。
エチレン又はプロピレンの単独重合体;エチレン及びプロピレンの共重合体;エチレン及びプロピレンの少なくとも一方と、エチレン及びプロピレンと共重合可能な単量体(例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の炭素数4以上のα−オレフィン)との共重合体;前記炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上からなる共重合体;炭素数2以上のα−オレフィンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のα−オレフィン以外の非芳香族系単量体との共重合体;炭素数2以上のα−オレフィンと、芳香族ビニルモノマー等の芳香族系単量体との共重合体又はその水素添加物;共役ジエンブロック共重合体又はその水素添加物等。
前記炭素数2以上のα−オレフィンとしては、炭素数2〜4のα−オレフィンが好ましい。なお、重合体(a11)としては、前記したポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンを使用してもよい。この場合、塩素化ポリオレフィンの塩素化度は、通常、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上である。また塩素化ポリオレフィンの塩素化度は、通常、40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。
なお、単に「共重合体」という場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
重合体(a11)の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS)等が挙げられる。これらの重合体(a11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合体(a11)は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
重合体(a11)としては、プロピレン単独重合体、又は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体がより好ましい。これらの重合体(a11)は塩素化されていてもよいが、含有する塩素原子が少ないことが好ましく、塩素化されていないことがより好ましい。
重合体(a11)の最も好ましい態様は、塩素原子を含まないプロピレン単独重合体、塩素原子を含まないエチレン−プロピレン共重合体、塩素原子を含まないプロピレン−ブテン共重合体、塩素原子を含まないエチレン−プロピレン−ブテン共重合体である。
これらの重合体(a11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(a11)としては、プロピレン由来の構成単位を含有するプロピレン系重合体が好ましい。プロピレン系重合体中のプロピレン由来の構成単位の含有率は、全構成単位に対して、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。プロピレン由来の構成単位の含量率が高いほど、ポリプロピレン基材への接着性が増す傾向にある。
重合体(a11)の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜500,000が好ましい。重合体(a11)のMwの下限値は、10,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、30,000が特に好ましい。重合体(a11)のMwの上限値は、300,000がより好ましい。重合体(a11)のMwが5,000以上であれば、塗膜のべたつき度合いが小さくなり、ポリプロピレン基材への接着性が増す傾向がある。重合体(a11)のMwが500,000以下であれば、水性散体樹脂分散体の粘度がより低下するため、水性散体樹脂分散体の調製が容易になる傾向がある。
なお、Mwは、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用い、各々の分子量既知の重合体で測定して得た検量線で換算した値である。GPC測定は、オルトジクロロベンゼン等を溶媒とし、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
重合体(a11)の融点(Tm)は、125℃以下が好ましい。重合体(a11)の融点が125℃以下であれば、得られる水性樹脂分散体(C)の塗布後の乾燥や焼付けに高い温度を必要としないため好ましい。重合体(a11)の融点の上限値は、100℃がより好ましく、90℃がさらに好ましい。
また、重合体(a11)のTmは、60℃以上が好ましい。重合体(a11)の融点が60℃以上であれば、重合体(a11)にベタツキが生じにくく、水性樹脂分散体(C)を塗料として用いる場合に取扱いが容易となる。
重合体(a11)の製造方法は、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合等が挙げられる。これらはリビング重合的であってもよい。
配位重合の場合は、例えばチーグラー・ナッタ触媒により重合する方法や、シングルサイト触媒により重合する方法が挙げられ、シングルサイト触媒により重合する方法が好ましい。この理由としては、一般にシングルサイト触媒が配位子のデザインにより分子量分布や立体規則性分布をシャープにできる点が挙げられる。
シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒、ブルックハート型触媒を用いることができる。メタロセン触媒としては、C1対称型、C2対称型、C2V対称型、CS対称型等の対称型を有するものが知られている。本発明においては、目的のオレフィン系重合体の立体規則性に応じて、適切な対称型のメタロセン触媒を選択して用いればよい。
また、重合は、溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合等いずれの重合形態であってもよい。溶液重合やスラリー重合の場合、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ハロゲン化炭化水素;エステル類;ケトン類;エーテル類等が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン、ヘプタン、シクロヘキサンがより好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(重合体(a12))
重合体(a12)としては、オレフィンと、反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した共重合体(a121)や、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をオレフィン系重合体にグラフト重合したグラフト重合体(a122)等が挙げられる。
重合体(a12)中の反応性基の含有量は、重合体(a12)に用いるオレフィン系重合体1g当たり0.01〜1mmol、すなわち0.01〜1mmol/gが好ましい。重合体(a12)中の反応性基の含有量の下限値は0.05mmol/gがより好ましく、0.1mmol/gがさらに好ましい。重合体(a12)中の反応性基の含有量の上限値は0.5mmol/gが好ましく、0.3mmol/gがより好ましい。反応性基の含有量が0.01mmol/g以上であれば、水性樹脂分散体(A)の酸価が増して、後述するラジカル重合性単量体(B)の重合性が良くなる傾向にある。また反応性基の含有量の上限値が1mmol/g以下であれば、ポリプロピレン系基材に対する接着性が増す傾向にある。
重合体(a12)中の反応性基が、カルボキシル基又はその無水物、スルホニル基のような酸性基である場合、該酸性基の含有率を増やすことにより水性樹脂分散体(A)の酸価をあげることができる。
また、該酸性基を塩基性化合物で中和することにより、本発明の水性樹脂分散体(C)の機械安定性が良好となる傾向にある。
塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基;トリエチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2−メチル−2−アミノ−プロパノール、トリエタノールアミン、モルフォリン、ピリジン等の有機塩基が挙げられる。
重合体(a12)の塩基性化合物による中和率は、水への分散性が得られれば1〜100モル%の範囲で特に限定はされず、50モル%以上が好ましい。中和率が高いほど重合体(a12)の水への分散性が向上する傾向がある。
共重合体(a121)は、オレフィンと、反応性基を有する不飽和化合物とを共重合して得られ、反応性基を有する不飽和化合物由来の構成単位が主鎖に挿入された共重合体である。
共重合体(a121)に用いるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等のα−オレフィンが挙げられる。オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(a121)に用いる反応性基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、無水マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸又は無水物が挙げられる。反応性基を有する不飽和化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(a121)の具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。共重合体(a121)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(a121)の製造方法には、重合体(a11)の製造方法として述べた方法と同様に適用することができる。
グラフト重合体(a122)はオレフィン系重合体に、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をグラフト重合することにより得られる。該オレフィン系重合体としては、上述の重合体(a11)を使用することができる。
反応性基としては、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、スルホニル基、水酸基等があげられる。これらの中でもカルボキシル基及びその無水物が好ましい。反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、イタコン酸又はその無水物、クロトン酸、等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸の総称であり、他の化合物もこれに準ずる。
グラフト重合体(a122)の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレン及びその塩素化物、アクリル酸変性エチレン−プロピレン共重合体及びその塩素化物、アクリル酸変性プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
グラフト重合体(a122)の製造方法は、本発明の要件を満たす重合体を製造できれば特に限定されず、いかなる製造方法であってもよい。製造方法としては、溶液中で加熱攪拌して製造する方法、無溶媒で溶融加熱攪拌して製造する方法、押し出し機で加熱混練して製造する方法等が挙げられる。溶液中で製造する場合の溶媒としては、重合体(a11)の製造方法として例示した溶媒を同様に用いることができる。
グラフト重合に用いるラジカル重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤から適宜選択して使用することができ、例えば有機過酸化物、アゾニトリル等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;ジ(t−ブチル)パーオキシド等のジアルキルパーオキシド類;ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド及びt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好ましい。
ラジカル重合開始剤と、グラフト重合体(a122)のグラフト共重合単位の使用割合は、ラジカル重合開始剤:グラフト共重合単位=1:100〜2:1(モル比)が好ましく、1:20〜1:1がより好ましい。
グラフト重合の反応温度は、通常50℃以上であり、好ましくは80〜200℃の範囲である。グラフト重合の反応時間は、通常2〜20時間程度である。
<水性媒体>
水性媒体は、水を含み、水以外の溶媒を含んでいてもよい。
水性樹脂分散体(A)における水以外の溶媒の含有率は、水性樹脂分散体(A)に対して、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が最も好ましい。
水以外の溶媒は水に対して、1質量%以上溶解する溶媒が好ましく、5質量%以上溶解する溶媒がより好ましい。水以外の溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール;テトラヒドロフラン等のエーテル;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール等のグリコールエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<任意成分>
水性樹脂分散体(A)は、重合体(a1)及び水性媒体以外の任意成分を含んでいてもよい。たとえば、本発明の水性樹脂分散体(C)の貯蔵安定性を向上させる目的で水性樹脂分散体(A)に界面活性剤を添加しておいてもよい。また水性樹脂分散体(C)から得られる塗膜の耐水性が高く、ブリードアウト等が少なく安定性に優れることから、ポリエーテル樹脂等の親水性の高分子を添加しておいてもよい。
任意成分の界面活性剤としては、各種のアニオン性、カチオン性、もしくはノニオン性の界面活性剤、又は高分子界面活性剤を用いることができる。さたに、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合をもつ、いわゆる反応性界面活性剤も使用することもできる。これらの中でも、本発明の水性樹脂分散体(C)の貯蔵安定性向上の点から、アニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、反応性界面活性剤であるアデカリアソープSR(商品名、株式会社ADEKA製)や、非反応性界面活性剤であるネオコールSW−C(商品名、第一工業製薬株式会社製)を用いることができる。
水性樹脂分散体(A)の界面活性剤の含有量は、ラジカル重合性単量体(B)100質量部に対して、2質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、含有されないことがさらに好ましい。前記界面活性剤の含有量が2質量部以下であれば、耐水性を損なうことなく塗料化配合時の安定性を維持することができる。
任意成分の親水性の高分子の詳細及びその好ましい態様については、後述する本発明の「水性樹脂分散体(C)の製造方法」における「水性樹脂分散体(A)の製造方法」の項で説明する。
以上説明した水性樹脂分散体(A)は、当該水性樹脂分散体中で後述するラジカル重合性単量体(B)を重合することによって、本発明の水性樹脂分散体(C)に変化する。すなわち、水性樹脂分散体(A)は本発明の水性樹脂分散体(C)の原材料である。
≪ラジカル重合性単量体(B)≫
ラジカル重合性単量体(B)は重合性に優れることからビニル系単量体が好ましい。ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体;スチレンやα−メチルスチレンなどの芳香族系単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも耐候性、耐溶剤性の点で(メタ)アクリル系単量体、芳香族系単量体が好ましい。
(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等又は炭素原子数6〜12のアリール基又はアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸ベンジル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレンオキシドの付加物等;炭素原子数1〜20のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類(例えば(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチルエチル等)等が挙げられる。
芳香族系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
またラジカル重合性単量体(B)は、水性樹脂分散体(C)とメラミン樹脂及びイソシアネート等の架橋剤とを混合した塗料組成物の塗膜性能が向上することから、水酸基含有ビニル系単量体を少なくとも1種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
水酸基含有ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。重合に用いる水酸基含有ビニル系単量体の量は、ラジカル重合性単量体(B)の混合物中のビニル系単量体に対して、5〜30質量部であることが好ましい。
ラジカル重合性単量体(B)は、上述した水性樹脂分散体(A)中で重合することによって、ラジカル重合性単量体(B)由来の構成単位を含む重合体(b1)(以下、「重合体(b1)」とも記す。)となる。すなわち、ラジカル重合性単量体(B)は、重合体(b1)の原材料であって、本発明の水性樹脂分散体(C)の原材料である。ラジカル重合性単量体(B)の重合の詳細及びその好ましい態様については、後述する本発明の「水性樹脂分散体(C)の製造方法」における「ラジカル重合性単量体(B)の重合」の項で詳細に説明する。
≪水性樹脂分散体(C)≫
水性樹脂分散体(C)は、重合体(a1)と、重合体(b1)が、水性媒体に分散している水性樹脂分散体である。なお、重合体(a1)と重合体(b1)の詳細及びその好ましい態様については、上述の本発明の「水性樹脂分散体(C)」における「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」及び「ラジカル重合性単量体(B)」の項でそれぞれ説明した内容と同様である。
本発明の水性樹脂分散体(C)中では、重合体(a1)及び重合体(b1)はそれぞれ別々の粒子として分散していてもよく、重合体(a1)と重合体(b1)との複合粒子として分散していてもよい。水性樹脂分散体(C)の安定性の観点から、重合体(a1)と重合体(b1)との複合粒子を含むことが好ましい。
水性樹脂分散体(C)に含まれる重合体(a1)に対する重合体(b1)の質量比(b1)/(a1)(固形分)は、0.5〜2が好ましい。質量比(b1)/(a1)が前記範囲内において大きくなるほど、水性樹脂分散体を安定に製造しやすく、また水性樹脂分散体の貯蔵安定性が向上する。また、質量比(b1)/(a1)が前記範囲内において小さくなるほど、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対する塗膜の初期接着性が良好となる。
<水性樹脂分散体(C)における水性媒体及び任意成分>
水性樹脂分散体(C)における水性媒体及び任意成分は、上述の「本発明の水性樹脂分散体(C)」における「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」の項で説明した水性媒体及び任意成分と同種類の水性媒体及び任意成分を含んでよい。
(用途)
本発明の水性樹脂分散体(C)は、プライマー、塗料、接着剤、インキバインダー、ポリオレフィンと異種材料の相溶化剤等に用いることができ、特に塗料、インク、接着剤などの組成物に好適に用いることができる。塗料の用途としては自動車内装用・外装用等の自動車用塗料、携帯電話・パソコン等の家電用塗料、建築材料用塗料、ヒートシール剤等に用いることができる。
また本発明の水性樹脂分散体(C)は、プラスチック基材、特にポリプロピレン基材用のプライマーおよび自動車内装1コート用塗料として特に好適に用いることができる。
(作用効果)
以上説明したように、本発明の水性樹脂分散体(C)は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)である。水性樹脂分散体(A)に分散しているオレフィン系重合体の平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減されるので、塗料として粒子安定性が向上し、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性が得られる。
[水性樹脂分散体(C)の製造方法]
本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法である。
以下、本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法について、「水性樹脂分散体(A)の製造方法」、「ラジカル重合性単量体(B)の重合」の順に説明する。なお、水性樹脂分散体(A)及びラジカル重合性単量体(B)の詳細及びその好ましい態様は、上述した本発明の「水性樹脂分散体(C)」の各々の項で述べた内容と同様である。
≪水性樹脂分散体(A)の製造方法≫
水性樹脂分散体(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、重合体(a1)、水性媒体(水、及び水以外の溶媒)の混合物を調整した後、該混合物から水以外の溶媒を除去して重合体(a1)の分散体とする方法、重合体(a1)に水以外の溶媒を加え、必要に応じて加熱して溶解させた後に水を添加して重合体(a1)の分散体とする方法等が挙げられる。
水性媒体に重合体(a1)を分散させる方法は、界面活性剤を配合して分散させる方法であってもよく、重合体(a1)に親水性の高分子をグラフト結合させたグラフト共重合体を用いて、界面活性剤を配合せずに分散させる方法であってもよいが、特に制限されない。本発明の水性樹脂分散体(C)から得られる塗膜の耐水性が高く、ブリードアウト等が少なく安定性に優れることから後者の方法が好ましい。
重合体(a1)にグラフト結合させる親水性の高分子は、25℃の水に10質量%の濃度で溶解させたときの不溶分が1質量%未満の高分子をいう。この親水性の高分子としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、合成高分子、半合成高分子、天然高分子等の各種の高分子を、特に制限なく用いることができる。水性樹脂分散体(A)の機械安定性に優れることから、数平均分子量Mnは300以上が好ましい。
親水性の高分子として使用できる合成高分子としては、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられるが、これらに制限されない。親水性の高分子として使用できる天然高分子としては、デンプン、アラビアゴム、トラガントゴム、カゼイン、ゼラチン、デキストリン等が挙げられるが、これらに制限されない。親水性の高分子として使用できる半合成高分子としては、カルボキシル化デンプン、カチオン化デンプン、デキストリン、エチルセルロース、カルボキシル化メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等が挙げられるが、これらに制限されない。
前記の親水性の高分子のなかでも、親水性の程度を制御しやすく、特性も安定していることから、合成高分子が好ましく、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂及びポリエーテル樹脂がより好ましい。オレフィン系重合体(a1)の水性樹脂分散体(A)の平均粒径を制御するために、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、親水性の高いポリエーテル樹脂が好ましい。
ポリエーテル樹脂は、通常、環状アルキレンオキシド又は環状アルキレンイミンを開環重合することで製造される。ポリエーテル樹脂は水性樹脂分散体(A)に含まれていればよく、重合体(a1)とポリエーテル樹脂が化学的に結合されていてもよい。ポリエーテル樹脂がブリードアウトしないことから好ましくは後者である。
ポリエーテル樹脂としては、HLBを調整するために、又は水性樹脂分散体(A)の平均粒径を制御するために、疎水性のポリエーテル樹脂を併用してもよい。ここで疎水性の高分子とは、25℃の水に10質量%の濃度で溶解させたときの不溶分が1質量%以上の高分子をいう。
ポリエーテル樹脂の構成単位は、親水性を示すポリエチレンオキシドやポリエチレンイミンと、疎水性を示すポリプロピレンオキシドやポリプロピレンイミンから構成されることが好ましい。さらに好ましくは、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドから構成されることである。ポリエーテル樹脂のHLBは、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの繰り返し単位数により調整され得る。
ポリエーテル樹脂は、GPCで測定し、ポリスチレンの検量線で換算した重量平均分子量(Mw)が200〜200,000であることが好ましい。Mwの下限値のより好ましい値は300、さらに好ましい値は500である。Mwの上限値のより好ましい値は100,000であり、より好ましい値は10,000、さらに好ましい値は3,000である。Mwが前記の下限値より高いほど水性樹脂分散体の表面エネルギーが低下し、濡れ性が良好になる傾向にある。またMwが前記の上限値より低いほど粘度が低く樹脂分散体を調製しやすい傾向にある。なおGPC測定は、テトラヒドロフラン等を溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
重合体(a1)は、ラジカル重合性単量体(B)の重合性の観点から、重合体(a1)とポリエーテル樹脂とが、重合体(a1):ポリエーテル樹脂=100:1〜100:100(質量比)の割合で結合したものが好ましい。この質量比は、より好ましくは100:5〜100:70であり、さらに好ましくは100:10〜100:50である。ポリエーテル樹脂の質量比が大きいほど、重合体(a1)の粒径が小さくなる傾向となる。またポリエーテル樹脂の質量比が小さいほど、水性樹脂分散体(A)の酸価が高くなり、また、ポリプロピレン基材に対する接着性が向上する傾向にある。
重合体(a1)とポリエーテル樹脂の結合の態様は特に限定されないが、例えば、重合体(a12)中で環状アルキレンオキシドを開環重合する方法、開環重合等により得られたポリエーテルポリオールやポリエーテルアミン等の反応性基と重合体(a12)の反応性基を反応させる方法等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールはポリエーテル骨格を有する樹脂の両末端に、反応性基としての水酸基を有する。
ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する樹脂の片末端又は両末端に、反応性基としての1級アミノ基を有する。結合させるポリエーテル樹脂としては、ポリエーテルアミンが好ましい。ポリエーテルアミンとしては、例えば、ハンツマン社製「ジェファーミン」Mシリーズ、Dシリーズ、EDシリーズ、「サーフォナミン」Lシリーズ等が挙げられる。
ポリエーテル樹脂は重合体(a12)と結合する前に、重合体(a12)と反応しうる反応性基を1以上有していることが好ましい。反応性基としては、例えばカルボキシル基、ジカルボン酸無水物基、ジカルボン酸無水物モノエステル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、少なくともアミノ基を有することが好ましい。アミノ基はカルボン酸基、無水カルボン酸基、グリシジル基、イソシアネート基等の多種の反応性基と反応性が高いため、重合体(a12)とポリエーテル樹脂を結合させることが容易である。アミノ基は1級、2級、3級のいずれでもよいが、より好ましくは1級アミノ基である。
ポリエーテル樹脂中に反応性基は1以上あればよいが、より好ましい反応性基の数は1つである。反応性基が2つ以上あると、重合体(a12)と結合させる際に3次元網目構造となりゲル化してしまう可能性がある。ただし反応性基を複数有していても、他より反応性の高い反応性基が1つのみのポリエーテル樹脂の場合等、ゲル化しない場合もある。このようなポリエーテル樹脂としては、1つ又は複数の水酸基と、それより反応性の高い1つのアミノ基を有するポリエーテル樹脂が挙げられる。ここで反応性とは重合体(a12)の有する反応基との反応性である。
重合体(a1)に親水性の高分子をグラフト結合させたグラフト共重合体を水に分散させて、水性樹脂分散体(A)を得る方法としては、水以外の溶媒を加え、必要に応じて加熱して溶解させた後に水を添加する方法等が挙げられる。
水以外の溶媒を加え、必要に応じ加熱して溶解させた後に水を添加する方法を採用すると、粒径の細かい水性樹脂分散体(A)を製造することがいくぶん容易になる。水以外の溶媒への溶解時、又は水の添加時の温度は、通常30〜150℃であり、好ましくは50℃〜100℃である。また水以外の溶媒に一旦溶解する場合は、水を添加した後に溶媒を留去してもよい。
溶媒に溶解させた後、水を添加する水性樹脂分散体(A)の製造方法で用いる装置としては、特に限定されないが、例えば、撹拌装置付き反応釜、一軸又は二軸の混練機などが使用できる。その際の攪拌速度は装置の選択に伴い多少異なるが、通常、10〜1000rpmの範囲である。撹拌速度が下限値より高いと水性樹脂分散体(A)の粒径が大きくなる傾向となる。
≪ラジカル重合性単量体(B)の重合≫
本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法としては、水性樹脂分散体(A)を得た後に、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる方法(1)、オレフィン系重合体(a1)とラジカル重合性単量体(B)を水性媒体に分散させてから重合させる方法(2)等が挙げられるが、これらに制限されない。ラジカル重合性単量体(B)の重合性の観点から、方法(1)が好ましい。
ラジカル重合性単量体(B)の重合においては、本発明の効果を損なわない限り、一括重合及び滴下重合のいずれを用いることもできる。ここで、一括重合とは、一度にラジカル重合性単量体(B)の全量を仕込んで重合する方法である。方法(1)に一括重合を採用する場合は、例えば、水性樹脂分散体(A)に、ラジカル重合性単量体(B)の全量を混合した後に、水溶性の開始剤や有機過酸化物とチオ硫酸ナトリウム等の還元剤を含むレドックス開始剤等を添加して重合を行う。また、滴下重合とは、単量体を少しずつ滴下しながら重合する方法である。方法(1)に滴下重合を採用する場合は、例えば、水性樹脂分散体(A)に、ラジカル重合性単量体(B)を滴下しながら重合を行う。
重合安定性及びプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対する接着性の観点から、方法(1)に一括重合を採用することが好ましく、方法(1)に一括重合を採用したうえで、ラジカル重合性単量体(B)の全量に対して80〜100質量%のビニル系単量体を含むラジカル重合性単量体(B)を一括で供給して重合することがより好ましい。
重合に用いる開始剤としては、一般的にラジカル重合に使用されるものを使用することができる。具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩;2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩;2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩;2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらの開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合の温度は、得られる水性樹脂分散体(C)の重合率の点から50℃以上が好ましい。この場合、開始剤として重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、イソアスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を水溶性の重合触媒と組み合わせて用いることが好ましい。
重合時間は30分間以上が好ましい。重合時間が30分間以上であれば、ラジカル重合性単量体(B)が十分に重合し、重合率が優れる傾向にある。また、重合時間は3時間以下とすることが好ましい。重合時間が3時間以下であれば、重合時にカレットが発生しにくく、製造安定性が優れる傾向にある。
重合を行う際は、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いてもよい。
重合反応が完結した後、冷却し、水性樹脂分散体(C)を取り出す際には、異物やカレットの混入を防止するため濾過操作を行うことが好ましい。濾過方法については公知の方法を使用することができ、例えばナイロンメッシュ、バグフィルター、濾紙、金属メッシュ等を用いることができる。
(用途)
本発明の製造方法によって得られる水性樹脂分散体(C)は、上述の「水性樹脂分散体(C)の「用途)の項」で説明したように、プライマー、塗料、接着剤、インキバインダー、ポリオレフィンと異種材料の相溶化剤等に用いることができ、特に塗料、インク、接着剤に好適に用いることができる。
(塗料組成物)
本発明の水性樹脂分散体(C)は、塗料組成物に用いることができる。塗料組成物の構成成分としては、水性樹脂分散体(C)の他に、無機充填剤、樹脂ビーズ、造膜助剤、基材濡れ剤、基材湿潤剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、着色剤、消泡剤、増粘剤などの各種添加剤が必要に応じて含まれてもよい。これら添加剤としては、公知のものを用いることができる。
乾燥速度を上げる目的、又は仕上がり感の良好な表面を得る目的で配合する造膜助剤としては、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトン等のケトン;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール及びそのエーテル等が挙げられる。
(作用効果)
以上説明したように、本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法である。水性樹脂分散体(A)に分散しているオレフィン系重合体の平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減される。さらに、ラジカル重合性単量体の重合時に界面活性剤を使用しなくてもよいので、塗料として粒子安定性が向上し、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
[水性樹脂分散体(A)の性状]
1.平均粒径
水性樹脂分散体(A)の平均粒径は、光散乱光度計「濃厚系粒径アナライザー FPAR‐1000」(商品名、大塚電子社製)で計測したキュムラント平均粒子径(D50)を用いた。
2.酸価
水性樹脂分散体(A)をトルエン/エタノールに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1NのKOHエタノール溶液を用いて滴定して求めた値を水性樹脂分散体(A)の固形分で除して求めた。
[水性樹脂分散体(C)の評価]
1.ラジカル重合性単量体の重合率
ラジカル重合性単量体の重合後に得られる水性樹脂分散体の固形分から下記1式でラジカル重合性単量体の重合時における重合率(質量%)を算出した。
重合率(質量%)=(固形分総量―オレフィン系重合体固形分量)/(ラジカル重合性単量体の仕込み量)・・・・(1式)
○:重合率が96質量%以上
△:重合率が90質量%以上96質量%未満
×:重合率が90質量%未満
2.初期接着性
水性樹脂分散体の固形分に対し、基材濡れ剤としてTEGO WET KL−245(EVONIK社製)を3質量部加え、ホモディスパー攪拌機(ポリトロンPT−3100)で、700rpm5分間攪拌した。1日室温で放置し、300メッシュで濾過したものを水性塗料とした。
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製)「TSOP−6」から成形した厚さ3mmの基板表面をイソプロピルアルコールで清拭した。この基板に得られた水性塗料を乾燥膜厚20μとなるようにスプレー塗布し、10分間室温でセッティングした後、セーフベンドライヤー中80℃の雰囲気中で30分間乾燥させて塗膜を形成させ、これを1日室温で静置して、試験片を得た。
作成した試験片の塗膜面に、基材に達するように縦横1mm間隔で各11本の切り込みを入れ100個の碁盤目を作り、この上にセロハン粘着テープを貼りつけた後、該粘着テープを急激に剥がした後の塗膜の状態を観察し、剥離せずに塗膜面に残ったマスの数を確認した。基板に対する塗膜の初期接着性は、以下の評価基準に基づき評価した。
○:100マス中、91〜100マスが塗膜面に残っている。
△:100マス中、81〜90マスが塗膜面に残っている。
×:100マス中、80マス未満が塗膜面に残っている。
3.耐水接着性
「初期接着性」の評価方法と同様にして試験片を得た後、該試験片を60℃の温水中に1日浸漬した。次いで、温水から試験片を取り出して乾燥した。
次いで、試験片の塗膜面に、基材に達するように縦横1mm間隔で各11本の切り込みを入れ100個の碁盤目を作り、この上にセロハン粘着テープを貼りつけた後、該粘着テープを急激に剥がした後の塗膜の状態を観察し、剥離せずに塗膜面に残ったマスの数を確認した。耐水接着性は、初期接着性と同様の評価基準に基づき評価した。
[無水マレイン酸変性プロピレン系共重合体の製造]
メタロセン触媒によって重合されたプロピレン−ブテン共重合体である「タフマーXM−7070」(三井化学社製、融点75℃、プロピレン含有量74モル%、重量平均分子量(Mw)250,000(ポリプロピレン換算)、分子量分布(Mw/Mn)2.2)の200kgと無水マレイン酸5kgをスーパーミキサーでドライブレンドした後、2軸押出機(日本製鋼所社製「TEX54αII」)を用い、プロピレン−ブテン共重合体100質量部に対して1質量部となるようにt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製「パーブチルI」)を液添ポンプで途中フィードしながら、ニーディング部のシリンダー温度200℃、スクリュー回転数125rpm、吐出量80kg/時間の条件下で混練し、ペレット状の無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体を得た。
このようにして得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含有量(グラフト率)は1.0質量%(無水マレイン酸基として0.1mmol/g、カルボン酸基として0.2mmol/g)であった。また重量平均分子量(ポリスチレン換算)(Mw)は156,000、数平均分子量(Mn)は84,000であった。
[製造例1:水性樹脂分散体(A1)の製造]
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例1で得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100gとトルエン50gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸2.0gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日油社製「パーブチルI」)1gを加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。
得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含有量(グラフト率)は2.0質量%(無水マレイン酸基として0.2mmol/g、カルボン酸基として0.4mmol/g)であった。
反応終了後、系を室温付近まで冷却し、トルエン70gを加え、次いで、2−プロパノール90gに溶解した「ジェファーミンM−2005」を20g(HLB3 数平均分子量2000 無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100質量部に対し20質量部に相当)加え70℃で1時間反応させた。その後、2−プロパノール90gに溶解させた「ジェファーミンM−1000」を10g(HLB17 数平均分子量1000 無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体100質量部に対し10質量部に相当)加え、70℃で1時間反応させた。
その後、ジメチルエタノールアミン2g、水54gを加えて系内を中和した。得られた反応液の温度を45℃に保ち、加熱・撹拌し、水300gを滴下しながら、系内の減圧度を下げてポリマー濃度30質量%になるまでトルエンと2−プロパノールを減圧留去し、平均粒径70nmの乳白色の水性樹脂分散体(A1)を得た。なお、水性樹脂分散体(A1)には界面活性剤が添加されていない。
[製造例2:水性樹脂分散体(A2)の製造]
製造例2の粒径を90nmに調節するために、撹拌速度を下げた以外は、製造例1と同様にして水性樹脂分散体(A2)を得た。
[製造例3〜5:水性樹脂分散体(A3)〜(A5)の製造]
製造例1の無水マレイン酸とジェファーミンM−2005、M−1000を表1に示す組成のように変更した以外は、製造例2と同様にして水性樹脂分散体(A3)〜(A5)を得た。
Figure 0006984177
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置を備えたフラスコに、水性樹脂分散体(A1)を333部(固形分で100部)、脱イオン水を119.6部仕込み、30℃で保管した。
次いで、ビニル系単量体として、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)10.4部、アクリル酸ブチル(BA)44.8部、メタクリル酸イソブチル(iBMA)44.8部を入れ、50℃で1時間保管した。
開始剤としてパーブチルH69(日本油脂製)0.02部及び、脱イオン水を1.0部、硫酸鉄・7水和物0.002部、エチレンジアミン四酢酸0.00027部、エリソルビン酸ナトリウム0.08部を投入し、重合を開始した。
重合の発熱ピークを検出後、パーブチルH69 0.03部及び、脱イオン水10.0部を15分間かけて、滴下を行った。
滴下終了後、60℃で30分間熟成し、平均粒径80nmの水性樹脂分散体(C)を得た。
[実施例2〜5]
実施例1において水性樹脂分散体(A1)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性樹脂分散体(C)を得た。
[比較例1,2]
実施例1において水性樹脂分散体(A1)を三菱化学社製アプトロックBW−5550、東洋紡社製ハードレンNZ−1015にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1,2のエマルションを得た。得られたエマルションの評価結果を表2に示した。
Figure 0006984177
表2に示すように、平均粒径が100nm以下の水性樹脂分散体(A1)〜(A5)中でビニル系単量体を重合させて得られる、実施例1〜5の水性樹脂分散体(C)は、平均粒径が105nmの水性樹脂分散体を用いた比較例1のエマルションに比べて耐水接着性に優れていた。
また平均粒径が165nmのハードレンNZ−1015中でビニル系単量体を重合させると、反応物の分散性が不良で、評価不能であった。
以上の実施例で説明したように、水性樹脂分散体(C)の製造方法は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる方法であって、かつ、前記水性樹脂分散体(A)には界面活性剤が含まれていないため、ポリプロピレン基材への初期接着性と耐水付着性に優れた水性樹脂分散体を提供できた。

Claims (4)

  1. 平均粒径が100nm以下の塩素化されていないオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)であり、
    前記オレフィン系重合体が、親水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位及び疎水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位を有し、
    ラジカル重合性単量体(B)が、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有ビニル系単量体を含む、水性樹脂分散体(C)
  2. 前記水性樹脂分散体(A)の酸価が11〜25mgKOH/gである請求項1に記載の水性樹脂分散体(C)。
  3. 平均粒径が100nm以下の塩素化されていないオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法であり、
    前記オレフィン系重合体が、親水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位及び疎水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位を有し、
    ラジカル重合性単量体(B)が、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有ビニル系単量体を含む、水性樹脂分散体(C)の製造方法
  4. 前記水性樹脂分散体(A)中の界面活性剤の含有量が、ラジカル重合性単量体(B)100質量部に対して2質量部以下である請求項3に記載の水性樹脂分散体(C)の製造方法。
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