JP6984177B2 - 水性樹脂分散体及び水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記に関する。
[1] 平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)。
[2] 前記水性樹脂分散体(A)の酸価が11〜25mgKOH/gである[1]に記載の水性樹脂分散体(C)。
[3] 平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法。
[4] 前記水性樹脂分散体(A)中の界面活性剤の含有量が、ラジカル重合性単量体(B)100質量部に対して2質量部以下である[3]に記載の水性樹脂分散体(C)の製造方法。
本発明の水性樹脂分散体(C)(以下、「水性樹脂分散体(C)とも記す。」)は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体である。以下、本発明の水性樹脂分散体(C)について、「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」、「ラジカル重合性単量体(B)」、「水性樹脂分散体(C)」の順に説明する。
オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)(以下、「水性樹脂分散体(A)とも記す。」)とは、オレフィン系重合体(a1)(以下、「重合体(a1)」とも記す。)が水性媒体に分散している水性樹脂分散体を意味する。
水性樹脂分散体(A)に分散している重合体(a1)の平均粒径は、100nm以下であり、80nm以下が好ましい。前記平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減され、ポリプロピレン基材への接着性が阻害されにくくなる傾向がある。前記平均粒径の下限値は、理論的には0であり、特に制限されない。なお、前記平均粒径は光散乱光度計により計測したキュムラント平均粒子径(D50)を意味する。
重合体(a1)は、ポリプロピレン基材への接着性に優れる点から、プロピレン由来の構成単位を含むプロピレン系重合体が好ましい。
プロピレン系重合体中のプロピレン由来の構成単位の含有率は、全構成単位に対して、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。
プロピレン系重合体の融点(Tm)は、125℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましい。また、プロピレン系重合体の融点は、60℃以上が好ましい。
重合体(a1)としては、反応性基を有しないオレフィン系重合体(a11)(以下、「重合体(a11)」とも記す。)や、反応性基を有する変性オレフィン系重合体(a12)(以下、「重合体(a12)」とも記す。)等があげられる。
重合体(a11)としては、特に限定されず、公知の各種オレフィン単独重合体及びオレフィン系共重合体を用いることができる。具体的には、例えば、以下のポリオレフィンが挙げられる。
エチレン又はプロピレンの単独重合体;エチレン及びプロピレンの共重合体;エチレン及びプロピレンの少なくとも一方と、エチレン及びプロピレンと共重合可能な単量体(例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の炭素数4以上のα−オレフィン)との共重合体;前記炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上からなる共重合体;炭素数2以上のα−オレフィンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のα−オレフィン以外の非芳香族系単量体との共重合体;炭素数2以上のα−オレフィンと、芳香族ビニルモノマー等の芳香族系単量体との共重合体又はその水素添加物;共役ジエンブロック共重合体又はその水素添加物等。
前記炭素数2以上のα−オレフィンとしては、炭素数2〜4のα−オレフィンが好ましい。なお、重合体(a11)としては、前記したポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンを使用してもよい。この場合、塩素化ポリオレフィンの塩素化度は、通常、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上である。また塩素化ポリオレフィンの塩素化度は、通常、40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。
なお、単に「共重合体」という場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
重合体(a11)の最も好ましい態様は、塩素原子を含まないプロピレン単独重合体、塩素原子を含まないエチレン−プロピレン共重合体、塩素原子を含まないプロピレン−ブテン共重合体、塩素原子を含まないエチレン−プロピレン−ブテン共重合体である。
これらの重合体(a11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、Mwは、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用い、各々の分子量既知の重合体で測定して得た検量線で換算した値である。GPC測定は、オルトジクロロベンゼン等を溶媒とし、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
また、重合体(a11)のTmは、60℃以上が好ましい。重合体(a11)の融点が60℃以上であれば、重合体(a11)にベタツキが生じにくく、水性樹脂分散体(C)を塗料として用いる場合に取扱いが容易となる。
シングルサイト触媒としては、例えばメタロセン触媒、ブルックハート型触媒を用いることができる。メタロセン触媒としては、C1対称型、C2対称型、C2V対称型、CS対称型等の対称型を有するものが知られている。本発明においては、目的のオレフィン系重合体の立体規則性に応じて、適切な対称型のメタロセン触媒を選択して用いればよい。
重合体(a12)としては、オレフィンと、反応性基を有する不飽和化合物とを共重合した共重合体(a121)や、反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物をオレフィン系重合体にグラフト重合したグラフト重合体(a122)等が挙げられる。
また、該酸性基を塩基性化合物で中和することにより、本発明の水性樹脂分散体(C)の機械安定性が良好となる傾向にある。
塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基;トリエチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2−メチル−2−アミノ−プロパノール、トリエタノールアミン、モルフォリン、ピリジン等の有機塩基が挙げられる。
重合体(a12)の塩基性化合物による中和率は、水への分散性が得られれば1〜100モル%の範囲で特に限定はされず、50モル%以上が好ましい。中和率が高いほど重合体(a12)の水への分散性が向上する傾向がある。
共重合体(a121)に用いるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等のα−オレフィンが挙げられる。オレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(a121)に用いる反応性基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、無水マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸又は無水物が挙げられる。反応性基を有する不飽和化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合体(a121)の製造方法には、重合体(a11)の製造方法として述べた方法と同様に適用することができる。
反応性基としては、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、スルホニル基、水酸基等があげられる。これらの中でもカルボキシル基及びその無水物が好ましい。反応性基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸又はその無水物、イタコン酸又はその無水物、クロトン酸、等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸の総称であり、他の化合物もこれに準ずる。
有機過酸化物としては、ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類;ジ(t−ブチル)パーオキシド等のジアルキルパーオキシド類;ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アゾニトリルとしてはアゾビスブチロニトリル、アゾビスイソプロピルニトリル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド及びt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好ましい。
グラフト重合の反応温度は、通常50℃以上であり、好ましくは80〜200℃の範囲である。グラフト重合の反応時間は、通常2〜20時間程度である。
水性媒体は、水を含み、水以外の溶媒を含んでいてもよい。
水性樹脂分散体(A)における水以外の溶媒の含有率は、水性樹脂分散体(A)に対して、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が最も好ましい。
水以外の溶媒は水に対して、1質量%以上溶解する溶媒が好ましく、5質量%以上溶解する溶媒がより好ましい。水以外の溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール;テトラヒドロフラン等のエーテル;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール等のグリコールエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水性樹脂分散体(A)は、重合体(a1)及び水性媒体以外の任意成分を含んでいてもよい。たとえば、本発明の水性樹脂分散体(C)の貯蔵安定性を向上させる目的で水性樹脂分散体(A)に界面活性剤を添加しておいてもよい。また水性樹脂分散体(C)から得られる塗膜の耐水性が高く、ブリードアウト等が少なく安定性に優れることから、ポリエーテル樹脂等の親水性の高分子を添加しておいてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、反応性界面活性剤であるアデカリアソープSR(商品名、株式会社ADEKA製)や、非反応性界面活性剤であるネオコールSW−C(商品名、第一工業製薬株式会社製)を用いることができる。
ラジカル重合性単量体(B)は重合性に優れることからビニル系単量体が好ましい。ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体;スチレンやα−メチルスチレンなどの芳香族系単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも耐候性、耐溶剤性の点で(メタ)アクリル系単量体、芳香族系単量体が好ましい。
芳香族系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
水酸基含有ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。重合に用いる水酸基含有ビニル系単量体の量は、ラジカル重合性単量体(B)の混合物中のビニル系単量体に対して、5〜30質量部であることが好ましい。
水性樹脂分散体(C)は、重合体(a1)と、重合体(b1)が、水性媒体に分散している水性樹脂分散体である。なお、重合体(a1)と重合体(b1)の詳細及びその好ましい態様については、上述の本発明の「水性樹脂分散体(C)」における「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」及び「ラジカル重合性単量体(B)」の項でそれぞれ説明した内容と同様である。
水性樹脂分散体(C)における水性媒体及び任意成分は、上述の「本発明の水性樹脂分散体(C)」における「オレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)」の項で説明した水性媒体及び任意成分と同種類の水性媒体及び任意成分を含んでよい。
本発明の水性樹脂分散体(C)は、プライマー、塗料、接着剤、インキバインダー、ポリオレフィンと異種材料の相溶化剤等に用いることができ、特に塗料、インク、接着剤などの組成物に好適に用いることができる。塗料の用途としては自動車内装用・外装用等の自動車用塗料、携帯電話・パソコン等の家電用塗料、建築材料用塗料、ヒートシール剤等に用いることができる。
また本発明の水性樹脂分散体(C)は、プラスチック基材、特にポリプロピレン基材用のプライマーおよび自動車内装1コート用塗料として特に好適に用いることができる。
以上説明したように、本発明の水性樹脂分散体(C)は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)である。水性樹脂分散体(A)に分散しているオレフィン系重合体の平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減されるので、塗料として粒子安定性が向上し、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性が得られる。
本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法である。
以下、本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法について、「水性樹脂分散体(A)の製造方法」、「ラジカル重合性単量体(B)の重合」の順に説明する。なお、水性樹脂分散体(A)及びラジカル重合性単量体(B)の詳細及びその好ましい態様は、上述した本発明の「水性樹脂分散体(C)」の各々の項で述べた内容と同様である。
水性樹脂分散体(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、重合体(a1)、水性媒体(水、及び水以外の溶媒)の混合物を調整した後、該混合物から水以外の溶媒を除去して重合体(a1)の分散体とする方法、重合体(a1)に水以外の溶媒を加え、必要に応じて加熱して溶解させた後に水を添加して重合体(a1)の分散体とする方法等が挙げられる。
ポリエーテル樹脂は、通常、環状アルキレンオキシド又は環状アルキレンイミンを開環重合することで製造される。ポリエーテル樹脂は水性樹脂分散体(A)に含まれていればよく、重合体(a1)とポリエーテル樹脂が化学的に結合されていてもよい。ポリエーテル樹脂がブリードアウトしないことから好ましくは後者である。
ポリエーテルアミンは、ポリエーテル骨格を有する樹脂の片末端又は両末端に、反応性基としての1級アミノ基を有する。結合させるポリエーテル樹脂としては、ポリエーテルアミンが好ましい。ポリエーテルアミンとしては、例えば、ハンツマン社製「ジェファーミン」Mシリーズ、Dシリーズ、EDシリーズ、「サーフォナミン」Lシリーズ等が挙げられる。
本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法としては、水性樹脂分散体(A)を得た後に、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる方法(1)、オレフィン系重合体(a1)とラジカル重合性単量体(B)を水性媒体に分散させてから重合させる方法(2)等が挙げられるが、これらに制限されない。ラジカル重合性単量体(B)の重合性の観点から、方法(1)が好ましい。
重合安定性及びプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対する接着性の観点から、方法(1)に一括重合を採用することが好ましく、方法(1)に一括重合を採用したうえで、ラジカル重合性単量体(B)の全量に対して80〜100質量%のビニル系単量体を含むラジカル重合性単量体(B)を一括で供給して重合することがより好ましい。
本発明の製造方法によって得られる水性樹脂分散体(C)は、上述の「水性樹脂分散体(C)の「用途)の項」で説明したように、プライマー、塗料、接着剤、インキバインダー、ポリオレフィンと異種材料の相溶化剤等に用いることができ、特に塗料、インク、接着剤に好適に用いることができる。
本発明の水性樹脂分散体(C)は、塗料組成物に用いることができる。塗料組成物の構成成分としては、水性樹脂分散体(C)の他に、無機充填剤、樹脂ビーズ、造膜助剤、基材濡れ剤、基材湿潤剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、着色剤、消泡剤、増粘剤などの各種添加剤が必要に応じて含まれてもよい。これら添加剤としては、公知のものを用いることができる。
以上説明したように、本発明の水性樹脂分散体(C)の製造方法は、平均粒径が100nm以下のオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法である。水性樹脂分散体(A)に分散しているオレフィン系重合体の平均粒径が100nm以下であれば、水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合する際に、水性樹脂分散体(A)の不安定化によるカレットの生成が低減される。さらに、ラジカル重合性単量体の重合時に界面活性剤を使用しなくてもよいので、塗料として粒子安定性が向上し、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材に対しても優れた接着性及び耐水性が得られる。
1.平均粒径
水性樹脂分散体(A)の平均粒径は、光散乱光度計「濃厚系粒径アナライザー FPAR‐1000」(商品名、大塚電子社製)で計測したキュムラント平均粒子径(D50)を用いた。
水性樹脂分散体(A)をトルエン/エタノールに溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、0.1NのKOHエタノール溶液を用いて滴定して求めた値を水性樹脂分散体(A)の固形分で除して求めた。
1.ラジカル重合性単量体の重合率
ラジカル重合性単量体の重合後に得られる水性樹脂分散体の固形分から下記1式でラジカル重合性単量体の重合時における重合率(質量%)を算出した。
重合率(質量%)=(固形分総量―オレフィン系重合体固形分量)/(ラジカル重合性単量体の仕込み量)・・・・(1式)
○:重合率が96質量%以上
△:重合率が90質量%以上96質量%未満
×:重合率が90質量%未満
水性樹脂分散体の固形分に対し、基材濡れ剤としてTEGO WET KL−245(EVONIK社製)を3質量部加え、ホモディスパー攪拌機(ポリトロンPT−3100)で、700rpm5分間攪拌した。1日室温で放置し、300メッシュで濾過したものを水性塗料とした。
○:100マス中、91〜100マスが塗膜面に残っている。
△:100マス中、81〜90マスが塗膜面に残っている。
×:100マス中、80マス未満が塗膜面に残っている。
「初期接着性」の評価方法と同様にして試験片を得た後、該試験片を60℃の温水中に1日浸漬した。次いで、温水から試験片を取り出して乾燥した。
次いで、試験片の塗膜面に、基材に達するように縦横1mm間隔で各11本の切り込みを入れ100個の碁盤目を作り、この上にセロハン粘着テープを貼りつけた後、該粘着テープを急激に剥がした後の塗膜の状態を観察し、剥離せずに塗膜面に残ったマスの数を確認した。耐水接着性は、初期接着性と同様の評価基準に基づき評価した。
メタロセン触媒によって重合されたプロピレン−ブテン共重合体である「タフマーXM−7070」(三井化学社製、融点75℃、プロピレン含有量74モル%、重量平均分子量(Mw)250,000(ポリプロピレン換算)、分子量分布(Mw/Mn)2.2)の200kgと無水マレイン酸5kgをスーパーミキサーでドライブレンドした後、2軸押出機(日本製鋼所社製「TEX54αII」)を用い、プロピレン−ブテン共重合体100質量部に対して1質量部となるようにt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日本油脂社製「パーブチルI」)を液添ポンプで途中フィードしながら、ニーディング部のシリンダー温度200℃、スクリュー回転数125rpm、吐出量80kg/時間の条件下で混練し、ペレット状の無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体を得た。
このようにして得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含有量(グラフト率)は1.0質量%(無水マレイン酸基として0.1mmol/g、カルボン酸基として0.2mmol/g)であった。また重量平均分子量(ポリスチレン換算)(Mw)は156,000、数平均分子量(Mn)は84,000であった。
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、製造例1で得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100gとトルエン50gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後、無水マレイン酸2.0gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(日油社製「パーブチルI」)1gを加え、7時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。
得られた無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸基の含有量(グラフト率)は2.0質量%(無水マレイン酸基として0.2mmol/g、カルボン酸基として0.4mmol/g)であった。
反応終了後、系を室温付近まで冷却し、トルエン70gを加え、次いで、2−プロパノール90gに溶解した「ジェファーミンM−2005」を20g(HLB3 数平均分子量2000 無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体100質量部に対し20質量部に相当)加え70℃で1時間反応させた。その後、2−プロパノール90gに溶解させた「ジェファーミンM−1000」を10g(HLB17 数平均分子量1000 無水マレイン酸変性プロピレンーブテン共重合体100質量部に対し10質量部に相当)加え、70℃で1時間反応させた。
その後、ジメチルエタノールアミン2g、水54gを加えて系内を中和した。得られた反応液の温度を45℃に保ち、加熱・撹拌し、水300gを滴下しながら、系内の減圧度を下げてポリマー濃度30質量%になるまでトルエンと2−プロパノールを減圧留去し、平均粒径70nmの乳白色の水性樹脂分散体(A1)を得た。なお、水性樹脂分散体(A1)には界面活性剤が添加されていない。
製造例2の粒径を90nmに調節するために、撹拌速度を下げた以外は、製造例1と同様にして水性樹脂分散体(A2)を得た。
製造例1の無水マレイン酸とジェファーミンM−2005、M−1000を表1に示す組成のように変更した以外は、製造例2と同様にして水性樹脂分散体(A3)〜(A5)を得た。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置を備えたフラスコに、水性樹脂分散体(A1)を333部(固形分で100部)、脱イオン水を119.6部仕込み、30℃で保管した。
次いで、ビニル系単量体として、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)10.4部、アクリル酸ブチル(BA)44.8部、メタクリル酸イソブチル(iBMA)44.8部を入れ、50℃で1時間保管した。
開始剤としてパーブチルH69(日本油脂製)0.02部及び、脱イオン水を1.0部、硫酸鉄・7水和物0.002部、エチレンジアミン四酢酸0.00027部、エリソルビン酸ナトリウム0.08部を投入し、重合を開始した。
重合の発熱ピークを検出後、パーブチルH69 0.03部及び、脱イオン水10.0部を15分間かけて、滴下を行った。
滴下終了後、60℃で30分間熟成し、平均粒径80nmの水性樹脂分散体(C)を得た。
実施例1において水性樹脂分散体(A1)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性樹脂分散体(C)を得た。
実施例1において水性樹脂分散体(A1)を三菱化学社製アプトロックBW−5550、東洋紡社製ハードレンNZ−1015にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1,2のエマルションを得た。得られたエマルションの評価結果を表2に示した。
また平均粒径が165nmのハードレンNZ−1015中でビニル系単量体を重合させると、反応物の分散性が不良で、評価不能であった。
Claims (4)
- 平均粒径が100nm以下の塩素化されていないオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合してなる水性樹脂分散体(C)であり、
前記オレフィン系重合体が、親水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位及び疎水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位を有し、
ラジカル重合性単量体(B)が、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有ビニル系単量体を含む、水性樹脂分散体(C)。 - 前記水性樹脂分散体(A)の酸価が11〜25mgKOH/gである請求項1に記載の水性樹脂分散体(C)。
- 平均粒径が100nm以下の塩素化されていないオレフィン系重合体の水性樹脂分散体(A)中でラジカル重合性単量体(B)を重合させる水性樹脂分散体(C)の製造方法であり、
前記オレフィン系重合体が、親水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位及び疎水性のポリエーテルアミン樹脂の構成単位を有し、
ラジカル重合性単量体(B)が、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有ビニル系単量体を含む、水性樹脂分散体(C)の製造方法。 - 前記水性樹脂分散体(A)中の界面活性剤の含有量が、ラジカル重合性単量体(B)100質量部に対して2質量部以下である請求項3に記載の水性樹脂分散体(C)の製造方法。
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