JP2004291905A - 車両用車輪 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に低減できると共に、ホイールに対するタイヤの組付性を高められるようにする。
【解決手段】ホイール4のリム3とタイヤ5のインナーライナ7との間に形成される環状の密閉空間からなるタイヤ空気室A内には、中空の環状体からなるゴムチューブ8を収容して設ける。また、このゴムチューブ8は、その内部空気圧の膨張力を利用してインナーライナ7に強固に圧着する。そして、ゴムチューブ8を幅広部8C,8Cと幅狭部8D,8Dによって形成することにより、タイヤ空気室Aの横断面形状をタイヤ5の周方向に対して大きく変化させるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】ホイール4のリム3とタイヤ5のインナーライナ7との間に形成される環状の密閉空間からなるタイヤ空気室A内には、中空の環状体からなるゴムチューブ8を収容して設ける。また、このゴムチューブ8は、その内部空気圧の膨張力を利用してインナーライナ7に強固に圧着する。そして、ゴムチューブ8を幅広部8C,8Cと幅狭部8D,8Dによって形成することにより、タイヤ空気室Aの横断面形状をタイヤ5の周方向に対して大きく変化させるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に装備される車両用車輪(以下、車輪という)は、外周側にリムを有するホイールと、このホイールのリムに設けられたタイヤとによって構成されている。そして、これらホイールのリムとタイヤとの間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室が形成される。
【0003】
ところで、車両の走行時には、ホイールのリムとタイヤとの間で形成されるタイヤ空気室内で気柱共鳴が生じ、この気柱共鳴が車両から発生する騒音を大きくさせる原因となっていることが知られている。なお、気柱共鳴とは、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がタイヤ空気室内の空気を振動させ、その結果、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数付近で共鳴現象が起こり、共鳴音が発生する現象である。
【0004】
そこで、従来、このような気柱共鳴を低減するために、例えば特許文献1に記載された方法が知られている。この従来技術では、ホイールの外周面に周方向に間隔をおいて複数個のバルクヘッドを設け、これらのバルクヘッドを用いてタイヤ空気室の横断面形状をタイヤの周方向で変化させるようにしている。このように、タイヤ空気室の横断面形状を周方向で変化させると、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数が車輪の回転に伴って変化するので、単一の周波数で共鳴する時間が短縮できると共に、気柱共鳴周波数のピークを2つに分散してピークを小さく抑えることができ、気柱共鳴に伴う騒音を低減することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−113902号公報(第2〜3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1に記載の車輪では、ホイールに取り付けられるバルクヘッドを大きく形成すれば、タイヤ空気室の横断面形状を周方向に対してより大きく変化させることができ、気柱共鳴に伴う騒音をさらに効果的に低減することが可能である。
【0007】
しかし、この従来技術は、ホイールの外周面にバルクヘッドを一体に取り付ける構成としているから、前記のようにバルクヘッドを大きく形成すると、タイヤをホイールに組み付けるときに、タイヤがバルクヘッドと干渉してタイヤの組付性が低下するという不具合が生じる。
【0008】
このため、バルクヘッドを大きく形成することができず、このようなバルクヘッドを用いただけでは、タイヤ空気室の横断面形状を周方向で大きく変化させることができず、タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を必ずしも十分に低減することができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に低減できると共に、ホイールに対するタイヤの組付性を高められるようにした車両用車輪を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、外周側にリムを有するホイールと、前記ホイールのリムに設けられて内周側に全周に亘ってインナーライナが取り付けられたタイヤとからなり、前記ホイールと前記タイヤのインナーライナとの間には環状のタイヤ空気室が形成される車両用車輪において、前記タイヤ空気室内には、前記タイヤ空気室の横断面形状をタイヤの周方向で変化させるため、内部空気圧の膨張力によって外周側が前記インナーライナに圧着保持される中空の環状体からなるゴムチューブを設けたことを特徴とする車両用車輪である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ゴムチューブをその内部空気圧の膨張力を利用してタイヤのインナーライナに圧着して取り付けることができ、このゴムチューブによりホイールとタイヤのインナーライナとの間で形成されるタイヤ空気室の横断面形状を周方向で変化させることができる。また、タイヤをホイールに組み付けるときには、予めゴムチューブをタイヤに一体に取り付けた状態で、タイヤをホイールに組み付けることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、ゴムチューブを、タイヤの径方向に対して幅広となった幅広部と、タイヤの径方向に対して幅狭となった幅狭部とによって構成し、前記幅広部は薄肉に形成し、前記幅狭部は厚肉に形成したことを特徴とする車両用車輪である。
請求項2に記載の発明によれば、ゴムチューブの幅広部を薄肉に形成し、幅狭部を厚肉に形成したことにより、幅広部の重量と幅狭部の重量を均等に設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る車両用車輪の縦断面図であり、図2は、本実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示II−II方向からみた部分拡大断面図であり、図3は、本実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向からみた部分拡大断面図である。図4は、図1中のゴムチューブを単体で示す斜視図である。
【0015】
図1ないし図3に示すように、本実施の形態に係る車両用車輪1(以下、車輪1という)は、円板状のディスク2の外周側にリム3が設けられたホイール4と、このホイール4のリム3に設けられたタイヤ5とによって構成されている。そして、前記リム3の幅方向の両端側には、タイヤ5のビード部7Aが装着されるビードシート部3A,3Aと、L字状に折り曲げられたリムフランジ3B,3Bとが設けられている。
【0016】
また、タイヤ5は、路面(図示せず)に接地するタイヤ本体6と、このタイヤ本体6の内周側に全周に亘って取り付けられたインナーライナ7とによって構成されている。そして、インナーライナ7は、一対のビード部7A,7Aを有し、これら各ビード部7Aは、リム3のビードシート部3A,3Aに弾性的に密着した状態で取り付けられている。このため、リム3のビードシート部3Aとインナーライナ7のビード部7Aとの間は気密にシールされ、リム3とインナーライナ7との間に環状の密閉空間からなるタイヤ空気室Aが形成される。
【0017】
ここで、リム3とインナーライナ7との間に形成されるタイヤ空気室A内には、中空の環状体からなるゴムチューブ8が収納して設けられている。そして、このゴムチューブ8は、外周面8Aが円形状に形成され、内周面8Bが楕円形状に形成されている。また、ゴムチューブ8の外周面8Aは、インナーライナ7の内径よりも僅かに大きな径寸法をもって形成されている。これにより、ゴムチューブ8は、図2及び図3中に示す矢示aのように、その内部空気圧の膨張力によって外周面8Aがインナーライナ7の内周面に対して強固に圧着(固定)されている。
【0018】
また、ゴムチューブ8は、タイヤ5の径方向に対して幅広に形成されると共にリム3を挟んで互いに対向して配置された一対の幅広部8C,8C(図2参照)と、タイヤ5の径方向に対して幅狭に形成されると共に各幅広部8C間を連結した一対の幅狭部8D,8D(図3参照)とにより中空の弾性リングとして構成されている。そして、これら幅広部8Cと幅狭部8Dとによりタイヤ空気室Aの横断面形状(タイヤ空気室Aの長さ方向に対して直交する方向からみた断面形状)をタイヤ5の周方向で変化させている。つまり、図2に示すようにゴムチューブ8の幅広部8C側では、タイヤ空気室Aの横断面形状を小さく設定し、図3に示すようにゴムチューブ8の幅狭部8D側では、タイヤ空気室Aの横断面形状を大きく設定している。
【0019】
さらに、ゴムチューブ8のうち、幅狭部8Dの肉厚寸法d1は幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく(d1>d2)形成している。このため、幅広部8Cの重量と幅狭部8Dの重量はほぼ均等に設定される。
【0020】
このように構成される本実施の形態によれば、ゴムチューブ8の外周面8Aをインナーライナ7の内径よりも僅かに大きな径寸法をもって形成したので、ゴムチューブ8を、その内部空気圧の膨張力を利用してインナーライナ7の内周面に対して、強く押し付けた状態で圧着することができ、タイヤ5に対するゴムチューブ8の取付強度を高めることができる。なお、このようなタイヤ5に対するゴムチューブ8の押付力は低速走行時に必要となるものであり、高速走行時には遠心力によってゴムチューブ8がタイヤ5に強く押し付けられるため、高速走行時には内部空気圧の膨張力を利用した押圧力はさほど必要でない。
【0021】
このため、タイヤ5をホイール4に組み付けるときには、ゴムチューブ8を予めタイヤ5に一体に取り付けた状態で、タイヤ5をホイール4に組み付けることができ、ゴムチューブ8の幅広部8Cを大きく形成しても、タイヤ5がゴムチューブ8と干渉することがなくなり、タイヤ5の組付性を高めることができる。
【0022】
従って、本実施の形態によれば、ゴムチューブ8の幅広部8Cを幅狭部8Dに比べて十分に大きく形成することが可能となり、タイヤ空気室Aの横断面形状を、ゴムチューブ8を用いてタイヤ5の周方向で大きく変化させることができる。この結果、走行時にタイヤ空気室A内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に小さく抑えることができる。しかも、ゴムチューブ8は音に対する反射率が高いため、タイヤ空気室A内で生じる共鳴音をゴムチューブ8の外表面で効率よく反射することができ、この共鳴音が騒音となって車輪1の外部に伝わるのをより効果的に遮断することができる。
【0023】
また、ゴムチューブ8は、中空の環状体として形成したので、ゴムチューブ8を含めた車輪1全体の軽量化を図ることができる。さらに、ゴムチューブ8は、幅狭部8Dの肉厚寸法d1を幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく(d1>d2)形成することにより、幅広部8Cの重量と幅狭部8Dの重量をほぼ均等に設定することができる。このため、車輪1全体を静バランス的にも動バランス的にもバランスのとれた構造にすることができる。
【0024】
なお、実施の形態では、ゴムチューブ8の内周面8Bを楕円形状に形成する場合を例に挙げて説明したが、ゴムチューブの内周面は非円形状であればいずれの形状でもよく、例えば長円形、三角形、四角形等の形状に形成してもよい。
【0025】
また、実施の形態では、ゴムチューブ8は、幅狭部8Dの肉厚寸法d1を幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく形成するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、幅狭部の肉厚寸法と幅広部の肉厚寸法を等しく設定してもよい。この場合、幅狭部の密度を大きくなるように形成し、幅広部の密度を小さくなるように形成することにより、車輪のバランスを静バランス的にも動バランス的にもとることが可能となる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、タイヤをホイールに組み付けるときには、タイヤがゴムチューブと干渉することがなくなり、タイヤの組付性を高めることができる。従って、タイヤ空気室の横断面形状を、ゴムチューブを用いてタイヤの周方向で大きく変化させることができる。その結果、走行時にタイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に小さく抑えることができる。また、ゴムチューブは、中空の環状体として形成できるため、ゴムチューブを含めた車輪全体の軽量化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明は、ゴムチューブの幅広部を薄肉に形成し、幅狭部を厚肉に形成したので、幅広部の重量と幅狭部の重量を均等に設定することができ、車両用車輪全体を静バランス的にも動バランス的にもバランスのとれた構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用車輪の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示II−II方向からみた部分拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向からみた部分拡大断面図である。
【図4】図1中のゴムチューブを単体で示す斜視図である。
【符号の説明】
1 車両用車輪
2 ディスク
3 リム
4 ホイール
5 タイヤ
6 タイヤ本体
7 インナーライナ
8 ゴムチューブ
8A 外周面
8B 内周面
8C 幅広部
8D 幅狭部
A タイヤ空気室
d1,d2 肉厚寸法
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に装備される車両用車輪に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に装備される車両用車輪(以下、車輪という)は、外周側にリムを有するホイールと、このホイールのリムに設けられたタイヤとによって構成されている。そして、これらホイールのリムとタイヤとの間には環状の密閉空間からなるタイヤ空気室が形成される。
【0003】
ところで、車両の走行時には、ホイールのリムとタイヤとの間で形成されるタイヤ空気室内で気柱共鳴が生じ、この気柱共鳴が車両から発生する騒音を大きくさせる原因となっていることが知られている。なお、気柱共鳴とは、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がタイヤ空気室内の空気を振動させ、その結果、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数付近で共鳴現象が起こり、共鳴音が発生する現象である。
【0004】
そこで、従来、このような気柱共鳴を低減するために、例えば特許文献1に記載された方法が知られている。この従来技術では、ホイールの外周面に周方向に間隔をおいて複数個のバルクヘッドを設け、これらのバルクヘッドを用いてタイヤ空気室の横断面形状をタイヤの周方向で変化させるようにしている。このように、タイヤ空気室の横断面形状を周方向で変化させると、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数が車輪の回転に伴って変化するので、単一の周波数で共鳴する時間が短縮できると共に、気柱共鳴周波数のピークを2つに分散してピークを小さく抑えることができ、気柱共鳴に伴う騒音を低減することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−113902号公報(第2〜3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特許文献1に記載の車輪では、ホイールに取り付けられるバルクヘッドを大きく形成すれば、タイヤ空気室の横断面形状を周方向に対してより大きく変化させることができ、気柱共鳴に伴う騒音をさらに効果的に低減することが可能である。
【0007】
しかし、この従来技術は、ホイールの外周面にバルクヘッドを一体に取り付ける構成としているから、前記のようにバルクヘッドを大きく形成すると、タイヤをホイールに組み付けるときに、タイヤがバルクヘッドと干渉してタイヤの組付性が低下するという不具合が生じる。
【0008】
このため、バルクヘッドを大きく形成することができず、このようなバルクヘッドを用いただけでは、タイヤ空気室の横断面形状を周方向で大きく変化させることができず、タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を必ずしも十分に低減することができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に低減できると共に、ホイールに対するタイヤの組付性を高められるようにした車両用車輪を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、外周側にリムを有するホイールと、前記ホイールのリムに設けられて内周側に全周に亘ってインナーライナが取り付けられたタイヤとからなり、前記ホイールと前記タイヤのインナーライナとの間には環状のタイヤ空気室が形成される車両用車輪において、前記タイヤ空気室内には、前記タイヤ空気室の横断面形状をタイヤの周方向で変化させるため、内部空気圧の膨張力によって外周側が前記インナーライナに圧着保持される中空の環状体からなるゴムチューブを設けたことを特徴とする車両用車輪である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ゴムチューブをその内部空気圧の膨張力を利用してタイヤのインナーライナに圧着して取り付けることができ、このゴムチューブによりホイールとタイヤのインナーライナとの間で形成されるタイヤ空気室の横断面形状を周方向で変化させることができる。また、タイヤをホイールに組み付けるときには、予めゴムチューブをタイヤに一体に取り付けた状態で、タイヤをホイールに組み付けることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、ゴムチューブを、タイヤの径方向に対して幅広となった幅広部と、タイヤの径方向に対して幅狭となった幅狭部とによって構成し、前記幅広部は薄肉に形成し、前記幅狭部は厚肉に形成したことを特徴とする車両用車輪である。
請求項2に記載の発明によれば、ゴムチューブの幅広部を薄肉に形成し、幅狭部を厚肉に形成したことにより、幅広部の重量と幅狭部の重量を均等に設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る車両用車輪の縦断面図であり、図2は、本実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示II−II方向からみた部分拡大断面図であり、図3は、本実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向からみた部分拡大断面図である。図4は、図1中のゴムチューブを単体で示す斜視図である。
【0015】
図1ないし図3に示すように、本実施の形態に係る車両用車輪1(以下、車輪1という)は、円板状のディスク2の外周側にリム3が設けられたホイール4と、このホイール4のリム3に設けられたタイヤ5とによって構成されている。そして、前記リム3の幅方向の両端側には、タイヤ5のビード部7Aが装着されるビードシート部3A,3Aと、L字状に折り曲げられたリムフランジ3B,3Bとが設けられている。
【0016】
また、タイヤ5は、路面(図示せず)に接地するタイヤ本体6と、このタイヤ本体6の内周側に全周に亘って取り付けられたインナーライナ7とによって構成されている。そして、インナーライナ7は、一対のビード部7A,7Aを有し、これら各ビード部7Aは、リム3のビードシート部3A,3Aに弾性的に密着した状態で取り付けられている。このため、リム3のビードシート部3Aとインナーライナ7のビード部7Aとの間は気密にシールされ、リム3とインナーライナ7との間に環状の密閉空間からなるタイヤ空気室Aが形成される。
【0017】
ここで、リム3とインナーライナ7との間に形成されるタイヤ空気室A内には、中空の環状体からなるゴムチューブ8が収納して設けられている。そして、このゴムチューブ8は、外周面8Aが円形状に形成され、内周面8Bが楕円形状に形成されている。また、ゴムチューブ8の外周面8Aは、インナーライナ7の内径よりも僅かに大きな径寸法をもって形成されている。これにより、ゴムチューブ8は、図2及び図3中に示す矢示aのように、その内部空気圧の膨張力によって外周面8Aがインナーライナ7の内周面に対して強固に圧着(固定)されている。
【0018】
また、ゴムチューブ8は、タイヤ5の径方向に対して幅広に形成されると共にリム3を挟んで互いに対向して配置された一対の幅広部8C,8C(図2参照)と、タイヤ5の径方向に対して幅狭に形成されると共に各幅広部8C間を連結した一対の幅狭部8D,8D(図3参照)とにより中空の弾性リングとして構成されている。そして、これら幅広部8Cと幅狭部8Dとによりタイヤ空気室Aの横断面形状(タイヤ空気室Aの長さ方向に対して直交する方向からみた断面形状)をタイヤ5の周方向で変化させている。つまり、図2に示すようにゴムチューブ8の幅広部8C側では、タイヤ空気室Aの横断面形状を小さく設定し、図3に示すようにゴムチューブ8の幅狭部8D側では、タイヤ空気室Aの横断面形状を大きく設定している。
【0019】
さらに、ゴムチューブ8のうち、幅狭部8Dの肉厚寸法d1は幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく(d1>d2)形成している。このため、幅広部8Cの重量と幅狭部8Dの重量はほぼ均等に設定される。
【0020】
このように構成される本実施の形態によれば、ゴムチューブ8の外周面8Aをインナーライナ7の内径よりも僅かに大きな径寸法をもって形成したので、ゴムチューブ8を、その内部空気圧の膨張力を利用してインナーライナ7の内周面に対して、強く押し付けた状態で圧着することができ、タイヤ5に対するゴムチューブ8の取付強度を高めることができる。なお、このようなタイヤ5に対するゴムチューブ8の押付力は低速走行時に必要となるものであり、高速走行時には遠心力によってゴムチューブ8がタイヤ5に強く押し付けられるため、高速走行時には内部空気圧の膨張力を利用した押圧力はさほど必要でない。
【0021】
このため、タイヤ5をホイール4に組み付けるときには、ゴムチューブ8を予めタイヤ5に一体に取り付けた状態で、タイヤ5をホイール4に組み付けることができ、ゴムチューブ8の幅広部8Cを大きく形成しても、タイヤ5がゴムチューブ8と干渉することがなくなり、タイヤ5の組付性を高めることができる。
【0022】
従って、本実施の形態によれば、ゴムチューブ8の幅広部8Cを幅狭部8Dに比べて十分に大きく形成することが可能となり、タイヤ空気室Aの横断面形状を、ゴムチューブ8を用いてタイヤ5の周方向で大きく変化させることができる。この結果、走行時にタイヤ空気室A内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に小さく抑えることができる。しかも、ゴムチューブ8は音に対する反射率が高いため、タイヤ空気室A内で生じる共鳴音をゴムチューブ8の外表面で効率よく反射することができ、この共鳴音が騒音となって車輪1の外部に伝わるのをより効果的に遮断することができる。
【0023】
また、ゴムチューブ8は、中空の環状体として形成したので、ゴムチューブ8を含めた車輪1全体の軽量化を図ることができる。さらに、ゴムチューブ8は、幅狭部8Dの肉厚寸法d1を幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく(d1>d2)形成することにより、幅広部8Cの重量と幅狭部8Dの重量をほぼ均等に設定することができる。このため、車輪1全体を静バランス的にも動バランス的にもバランスのとれた構造にすることができる。
【0024】
なお、実施の形態では、ゴムチューブ8の内周面8Bを楕円形状に形成する場合を例に挙げて説明したが、ゴムチューブの内周面は非円形状であればいずれの形状でもよく、例えば長円形、三角形、四角形等の形状に形成してもよい。
【0025】
また、実施の形態では、ゴムチューブ8は、幅狭部8Dの肉厚寸法d1を幅広部8Cの肉厚寸法d2よりも大きく形成するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限ることなく、幅狭部の肉厚寸法と幅広部の肉厚寸法を等しく設定してもよい。この場合、幅狭部の密度を大きくなるように形成し、幅広部の密度を小さくなるように形成することにより、車輪のバランスを静バランス的にも動バランス的にもとることが可能となる。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、タイヤをホイールに組み付けるときには、タイヤがゴムチューブと干渉することがなくなり、タイヤの組付性を高めることができる。従って、タイヤ空気室の横断面形状を、ゴムチューブを用いてタイヤの周方向で大きく変化させることができる。その結果、走行時にタイヤ空気室内で生じる気柱共鳴に伴う騒音を十分に小さく抑えることができる。また、ゴムチューブは、中空の環状体として形成できるため、ゴムチューブを含めた車輪全体の軽量化を図ることができる。
また、請求項2に記載の発明は、ゴムチューブの幅広部を薄肉に形成し、幅狭部を厚肉に形成したので、幅広部の重量と幅狭部の重量を均等に設定することができ、車両用車輪全体を静バランス的にも動バランス的にもバランスのとれた構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用車輪の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示II−II方向からみた部分拡大断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用車輪を図1中の矢示III−III方向からみた部分拡大断面図である。
【図4】図1中のゴムチューブを単体で示す斜視図である。
【符号の説明】
1 車両用車輪
2 ディスク
3 リム
4 ホイール
5 タイヤ
6 タイヤ本体
7 インナーライナ
8 ゴムチューブ
8A 外周面
8B 内周面
8C 幅広部
8D 幅狭部
A タイヤ空気室
d1,d2 肉厚寸法
Claims (2)
- 外周側にリムを有するホイールと、前記ホイールのリムに設けられて内周側に全周に亘ってインナーライナが取り付けられたタイヤとからなり、前記ホイールと前記タイヤのインナーライナとの間には環状のタイヤ空気室が形成される車両用車輪において、
前記タイヤ空気室内には、前記タイヤ空気室の横断面形状をタイヤの周方向で変化させるため、内部空気圧の膨張力によって外周側が前記インナーライナに圧着保持される中空の環状体からなるゴムチューブを設けたことを特徴とする車両用車輪。 - 前記ゴムチューブは、前記タイヤの径方向に対して幅広となった幅広部と、前記タイヤの径方向に対して幅狭となった幅狭部とからなり、前記幅広部は薄肉に形成し、前記幅狭部は厚肉に形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用車輪。
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