JP2004291450A - カラープリンタ及びその記録材料搬送方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャプスタンローラの周面の凹凸や軸の偏芯に起因するレジずれを防止する。
【解決手段】イエロー印画用サーマルヘッド19とマゼンタ印画用サーマルヘッド37との各記録位置間のカラー感熱記録紙2の搬送距離L1と、マゼンタ印画用サーマルヘッド37とシアン印画用サーマルヘッド52との各記録位置間のカラー感熱記録紙2の搬送距離L2をそれぞれキャプスタンローラ8の円周長(πd)の自然数倍にする。これにより、キャプスタンローラ8の周面の微細な凹凸や軸の偏芯によって、カラー感熱記録紙2の搬送速度に周期的な変動が生じても、各印画部の記録位置での搬送速度の位相が一致するため、カラーレジストレーションのずれの発生が抑えられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラープリンタ及びその記録材料搬送方法に関し、更に詳しくは、印画時のレジストレーションのずれを防止するカラープリンタ及びその記録材料搬送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタの種類として、カラー感熱記録紙の記録面にサーマルヘッドの発熱素子を押し当て、カラー感熱記録紙のイエロー,マゼンタ,シアンの各感熱発色層を発色させて画像を記録するカラーサーマルプリンタがある。また、カラーサーマルプリンタには、複数個のサーマルヘッドに対してカラー感熱記録紙を1回通過させ、その間に各サーマルヘッドでイエロー,マゼンタ,シアンの熱記録を行なう1パス方式がある。この1パス方式のサーマルプリンタでは、カラー感熱記録紙の搬送方向に沿って設けられた複数の記録エリアのそれぞれにフルカラー画像を連続して印画し、各記録エリアの間に生じる余白を切断して複数枚のカラープリントを作成する。
【0003】
1パス方式のカラーサーマルプリンタにおいて、各色の印画位置が合わない状態で印画が行われると、カラーレジストレーションのずれ(以下、レジずれと省略する)が発生する。このレジずれは、記録紙の搬送系の誤差や、各種温度依存(カラーサーマルプリンタが設置されている環境温度、搬送系の温度、サーマルヘッドの温度)に起因して発生し、プリント品質を悪化させる。
【0004】
そのため、従来のカラーサーマルプリンタでは、各色毎にレジずれの補正を行い印画位置を合わせている。このレジずれの補正は、上述のレジずれ要因を考慮して計算により求められていた。各機器固有の誤差は、プリンタ製造時の検査工程にて調整が行われていた。また、可変器の操作によって、各色印画開始位置の設定やインクシートテンションの調整・設定変更などを行なうことで、レジずれを調整するようにした熱転写プリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−234917号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のレジずれ補正は、キャプスタンローラの周面形状の微細な凹凸や軸の偏芯などにより生じるカラー感熱記録紙の搬送速度の周期的な変動が考慮されていない。図2(A)に示すように、カラー感熱記録紙2の搬送を行うキャプスタンローラ8は、周面が円形であっても微視的には細かい凹凸がある。また、図2(B)に示すように、キャプスタンローラ8の周面が真円であるならカラー感熱記録紙2の搬送速度は、図2(B)の理論値で示した通り一定の値になるはずである。しかしながら実際には、実測値で示すように周面の微細な凹凸や軸の偏芯などにより搬送速度に周期的な変動が生じる。このため、送り量が僅かに変動し、これに起因するレジずれが発生する。
【0007】
これに対しては、特許文献1に記載のように、使用者が目視によりレジずれ量を識別し、このレジずれ量に対応した補正量を設定することも考えられるが、人手によるため、面倒であるとともに、精度が出ないという問題がある。また、キャプスタンローラなどの寸法精度を上げることも考えられるが、寸法精度及び組み立て精度を上げることには限界があり、しかも、製造コストが高くなってしまうという新たな問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、簡単な構成でレジずれの発生を抑えるようにしたカラープリンタ及びその記録材料搬送方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、前記記録材料の搬送経路に沿って離して設けられ、異なる色の印画を行う複数のプリントヘッドとを用いて、搬送中の前記記録材料に画像を記録するカラープリンタの記録材料搬送方法において、前記各プリントヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離を、前記キャプスタンローラの円周長の自然数倍にして、前記記録材料を搬送するようにしている。
【0010】
また、本発明のカラープリンタでは、記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、前記記録材料の搬送経路に沿って離して設けられ、異なる色の印画を行う複数のプリントヘッドを用いて、搬送中の前記記録材料に画像を記録するカラープリンタにおいて、前記各プリントヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離を、前記キャプスタンローラの円周長の自然数倍にしている。
【0011】
なお、カラープリンタは、記録材料の搬送経路内に配置され、記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、搬送ローラ対の下流側に位置し、搬送中の記録材料を加熱して複数の色の一つをそれぞれ熱記録する複数のサーマルヘッドと、各サーマルヘッドの下流側または下方にそれぞれ位置し、前記搬送ローラ対にフロントテンションを付与しながら記録材料を搬送する複数のフロントテンション付与部材と、前記搬送ローラ対の上流側に位置し、搬送ローラ対にバックテンションを付与しながら記録材料を搬送するバックテンションローラ対と、各フロントテンション付与部材によるフロントテンション、及び前記バックテンションローラ対によるバックテンションを制御するテンション制御手段とを備えるカラープリンタであることが好ましい。この場合には、搬送ローラ対の前後にかかる記録材料のフロントテンションとバックテンションとを制御して搬送ローラ対にかかるテンションを安定域内に維持することができ、記録材料の搬送量の変動を抑えることができるので、より一層カラーレジストレーションのずれを防止することができる。また、前記テンション制御手段は、前記各フロントテンション付与部材によるフロントテンションの総和と等しいバックテンションを発生させることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を実施したカラー感熱プリンタの構成を示す概略図である。このプリンタでは、長尺のカラー感熱記録紙2をロール状に巻いた記録紙ロール3が記録媒体として使用される。記録紙ロール3は、カラー感熱プリンタの給紙部にセットされ、外周に給紙ローラ4が圧接する。
【0013】
給紙ローラ4は、ステッピングモータ(STM)5によって回転駆動され、記録紙ロール3を回転させてカラー感熱記録紙2を引き出し、給紙部から排紙口へと至る搬送経路内に送り込む。そして、プリント終了後には、カラー感熱記録紙2を記録紙ロール3に巻き戻し、光や湿度の影響を防止する。
【0014】
カラー感熱記録紙2は、周知のように、支持体上にシアン感熱発色層,マゼンタ感熱発色層,イエロー感熱発色層が順次層設されている。最上層となるイエロー感熱発色層は熱感度が最も高く、小さな熱エネルギーでイエローに発色する。最下層となるシアン感熱発色層は熱感度が最も低く、大きな熱エネルギーでシアンに発色する。また、イエロー感熱発色層は、420nmの近紫外線が照射されたときに、発色能力が消失する。マゼンタ感熱発色層は、イエロー感熱発色層とシアン感熱発色層との中間程度の熱エネルギーでマゼンタに発色し、365nmの紫外線が照射されたときに発色能力が消失する。なお、カラー感熱記録紙2に、例えばブラック感熱発色層を設けて4層構造にしてもよい。
【0015】
搬送経路内には、カラー感熱記録紙2を挟み込んで搬送する搬送ローラ対7が配置されている。この搬送ローラ対7は、ステッピングモータ5によって回転駆動されるキャプスタンローラ8と、このキャプスタンローラ8に圧接してカラー感熱記録紙2を挟み込むピンチローラ9とからなる。ピンチローラ9は、カムやソレノイド等からなる図示しないシフト機構によって、キャプスタンローラ8に圧接する位置と、キャプスタンローラ8から離れる位置との間で移動される。
【0016】
給紙方向における搬送ローラ対7の上流側には、カラー感熱記録紙2の幅方向のズレを補正する整列ローラ11が配置されている。この整列ローラ11の上流には、給紙方向に搬送されるカラー感熱記録紙2にバックテンションを付与するバックテンションローラ対12が配置されている。
【0017】
バックテンションローラ対12は、DCモータ(B−DCM)13によって回転駆動されるキャプスタンローラ14と、このキャプスタンローラ14に圧接してカラー感熱記録紙2を挟み込むピンチローラ15とからなる。ピンチローラ15は、図示しないシフト機構によって、キャプスタンローラ14に圧接する位置と、キャプスタンローラ14から離れる位置との間で移動される。
【0018】
搬送ローラ対7の給紙方向の下流側には、イエロー印画部18が配置されている。イエロー印画部18は、カラー感熱記録紙2に圧接してイエロー感熱発色層にイエロー画像を印画するイエロー印画用サーマルヘッド(Y用サーマルヘッド)19と、このY用サーマルヘッド19との間でカラー感熱記録紙2を挟み込むプラテンローラ20と、カラー感熱記録紙2を挟み込んで搬送するY用フロントテンションローラ対21とからなる。
【0019】
Y用サーマルヘッド19は、カラー感熱記録紙2に発熱素子アレイを圧接させて印画を行う記録位置と、カラー感熱記録紙2から離れてプラテンローラ20との間に隙間を形成する退避位置との間で移動自在とされている。この記録位置と退避位置との間の移動は、Y用ヘッド移動機構23によって行われる。Y用ヘッド移動機構23は、例えば、Y用サーマルヘッド19を押圧して移動させるカム等からなる。
【0020】
Y用ヘッド移動機構23は、Y用ヘッドモータ(Y−HM)25によって駆動される。Y用ヘッドモータ25には、例えばDCモータが用いられている。Y用サーマルヘッド19の位置は、Y用ヘッドセンサ(Y−HS)26によって検出される。このY用ヘッドセンサ26には、例えば反射式の光電センサ等が用いられる。
【0021】
Y用フロントテンションローラ対21は、Y用DCモータ(Y−DCM)28によって回転駆動されるキャプスタンローラ21aと、このキャプスタンローラ21aに圧接してカラー感熱記録紙2を挟み込むピンチローラ21bとからなる。ピンチローラ21bは、シフト機構29によってキャプスタンローラ21aに圧接する位置と、キャプスタンローラ21aから離れる位置との間で移動される。
【0022】
Y用シフト機構29は、例えば、ピンチローラ21bを押圧して移動させるカム等からなる。このY用シフト機構29は、Y用ピンチモータ(Y−PM)31によって駆動される。Y用ピンチモータ31には、例えばDCモータが用いられる。ピンチローラ21bの位置は、Y用ピンチセンサ(Y−PS)32によって検出される。Y用ピンチセンサ32には、例えば反射式の光電センサ等が用いられる。
【0023】
Y用フロントテンションローラ対21は、カラー感熱記録紙2を給紙方向の下流側に向けて搬送する。このY用フロントテンションローラ対21によるカラー感熱記録紙2の搬送速度は、搬送ローラ対7の搬送速度よりも速く設定されている。しかしながら、搬送ローラ対7によってY用フロントテンションローラ対21の搬送量が規制されるので、搬送ローラ対7の下流側は、搬送ローラ対7の搬送速度に保たれる。
【0024】
また、バックテンションローラ対12は、Y用フロントテンションローラ対21が発生するフロントテンションと同等のバックテンションを発生するため、搬送ローラ対7に掛かるテンションは小さくなる。そのため、搬送ローラ対7の搬送速度は常に安定する。
【0025】
イエロー印画部18の下流側には、イエロー用定着ランプ(Y用定着ランプ)34が配置されている。Y用定着ランプ34は、発光ピークが420nmの近紫外線を放出し、カラー感熱記録紙2のイエロー感熱発色層が加熱されても発色しないように定着する。
【0026】
Y用定着ランプ34の下流側には、マゼンタ印画部36が配置されている。マゼンタ印画部36は、イエロー印画部18と同様に、カラー感熱記録紙2に圧接してマゼンタ感熱発色層にマゼンタ画像を印画するマゼンタ印画用サーマルヘッド37(M用サーマルヘッド)と、このM用サーマルヘッド37との間でカラー感熱記録紙2を挟み込むプラテンローラ38と、カラー感熱記録紙2を挟み込んで搬送するM用フロントテンションローラ対39とからなる。M用DCモータ(M−DCM)40は、M用フロントテンションローラ対39のキャプスタンローラ39aを駆動する。
【0027】
M用サーマルヘッド37は、イエロー印画部18のY用ヘッド移動機構23と同構成のM用ヘッド移動機構41及びM用ヘッドモータ(M−HM)42によって、記録位置と退避位置との間で移動される。M用サーマルヘッド37の位置検出には、M用ヘッドセンサ(M−HS)43が使用される。
【0028】
M用フロントテンションローラ対39のピンチローラ39bは、イエロー印画部18のY用シフト機構29と同構成のM用シフト機構45によって、キャプスタンローラ39aに圧接する位置と、キャプスタンローラ39aから離れる位置との間で移動される。M用シフト機構45は、M用ピンチモータ(M−PM)46に駆動され、M用ピンチセンサ(M−PS)47によって、ピンチローラ39bの位置検出が行なわれる。
【0029】
マゼンタ印画部36の下流側には、マゼンタ定着ランプ(M用定着ランプ)49が配置されている。M用定着ランプ49は、発光ピークが365nmの紫外線を放出して、マゼンタ感熱発色層を定着する。
【0030】
M用定着ランプ49の下流側には、シアン印画部51が配置されている。シアン印画部51は、カラー感熱記録紙2に圧接してシアン感熱発色層にシアン画像を印画するシアン印画用サーマルヘッド(C用サーマルヘッド)52と、このC用サーマルヘッド52との間でカラー感熱記録紙2を挟み込むプラテンローラ53と、カラー感熱記録紙2を挟み込んで搬送するC用フロントテンションローラ対54とからなる。C用DCモータ(M−DCM)62は、C用フロントテンションローラ対54のキャプスタンローラ54aを駆動する。
【0031】
C用サーマルヘッド52とピンチローラ54bとは、イエロー印画部18及びマゼンタ印画部36で用いられているものと同じ構成のC用ヘッド移動機構56とC用シフト機構57とによって移動される。C用ヘッド移動機構56は、C用ヘッドモータ(C−HM)58に駆動され、C用ヘッドセンサ(C−HS)59により位置が検出される。C用シフト機構57は、C用ピンチモータ(C−PM)60に駆動され、C用ピンチセンサ(C−PS)61により位置が検出される。
【0032】
搬送経路の給紙方向の最下流には、印画済みのカラー感熱記録紙2が排出される排紙口64が設けられている。この排紙口64の奥には、長尺のカラー感熱記録紙2を所定の位置で切断してシート状にするカッタ65が配置されている。このカッタ65を挟むように、カラー感熱記録紙2を排紙口64から排出する排紙ローラ対66と、カラー感熱記録紙2をカッタ65に向けて搬送するカッタローラ対67とが配置されている。これら、排紙ローラ対66とカッタローラ対67とは、ステッピングモータ69によって駆動される。
【0033】
図3(A)は、図1において屈曲されているカラー感熱記録紙2の搬送線の経路を説明上水平に伸ばしたものである。この図3(A)から分かるように、Y用サーマルヘッド19とM用サーマルヘッド37の間隔をL1、M用サーマルヘッド37とC用サーマルヘッド52の間隔をL2とする。ここで、各サーマルヘッドの間隔L1,L2は、キャプスタンローラの円周長πdの自然数倍であり、本実施形態では2πdである。
【0034】
次に上記実施形態の作用を説明する。図1に示すように、プリント開始操作がなされるとステッピングモータ5は、給紙ローラ4を給紙方向に回転させ、記録紙ロール3からカラー感熱記録紙2を引き出し、給紙方向の下流側に向けて搬送する。また、DCモータ13が作動してキャプスタンローラ14を給紙方向に回転させ、カラー感熱記録紙2を給紙方向の下流側に搬送する。
【0035】
カラー感熱記録紙2は、整列ローラ11に巻き掛けられて幅方向のずれが修正される。搬送ローラ対7を通過したカラー感熱記録紙2の先端が、搬送ローラ対7の下流側に配置された図示しないセンサに検出されると、搬送ローラ対7のシフト機構が作動してピンチローラ9をキャプスタンローラ8に圧接させる。搬送ローラ対7は、キャプスタンローラ8を給紙方向に回転させてカラー感熱記録紙2をイエロー印画部18に搬送する。
【0036】
カラー感熱記録紙2が予め設定されている印画位置に達すると、Y用ヘッド移動機構23はY用サーマルヘッド19を記録位置に移動させ、カラー加熱記録紙2に圧接させる。それから、Y用サーマルヘッド19を発熱させ、カラー感熱記録紙2のイエロー感熱層に印画する。
【0037】
イエロー画像の印画時には、Y用フロントテンションローラ対21によって搬送ローラ対7にフロントテンションが加えられる。このテンションは、Y用サーマルヘッド19とカラー感熱記録紙2との間の摩擦力よりも大きく、搬送ローラ対7の搬送量よりも大きな搬送量を発生する。しかし、バックテンションローラ対12は、Y用フロントテンションローラ対21と同等のバックテンションを発生する。これにより、搬送ローラ対7に掛かるテンションは実質ゼロに近くなるので、搬送ローラ対7の下流側は、キャプスタンローラ8による搬送速度に保たれる。
【0038】
イエロー画像の印画と同時に、Y用定着ランプ34が点灯される。Y用定着ランプ34は、イエロー感熱発色層に発光ピークが420nmの近紫外線を照射して定着する。
【0039】
Y用定着ランプ34の定着が終了すると、Y用定着ランプ34は消灯される。キャプスタンローラ8は、カラー感熱記録紙2の先端をマゼンタ印画部36に搬送する。ここでY用サーマルヘッド19とM用サーマルヘッド37との間隔L1が2πdであるため、カラー感熱記録紙2の先端がイエロー印画部18に到達してからマゼンタ印画部36に到達するまでに、キャプスタンローラ8はちょうど2回転している。そのため、キャプスタンローラ8の周面の微細な凹凸や軸の偏芯などにより搬送速度に周期的な変動が生じても、図2(B)に示した搬送速度の実測値の波形を2周期繰り返すだけなので位相のずれは生じない。したがって、カラー感熱記録紙2の先端がマゼンタ印画部36に到達した時の搬送速度は、イエロー印画部18に到達した時の搬送速度と一致する。
【0040】
カラー感熱記録紙2が予め設定されているマゼンタ印画位置に達すると、上述のイエロー印画と同様に、M用ヘッド移動機構41はM用サーマルヘッド37を記録位置に移動させ、カラー感熱記録紙2に圧接させる。それから、M用サーマルヘッド37を発熱させ、カラー感熱記録紙2のマゼンタ感熱層に印画する。このマゼンタ画像の印画開始と同時に、カラー感熱記録紙2の2番目の記録エリアがイエロー印画位置に到達する。Y用サーマルヘッド19は、2番目の記録エリアのイエロー感熱層にイエロー画像を印画する。
【0041】
このイエロー画像及びマゼンタ画像の印画時にも、Y用フロントテンションローラ対21とM用フロントテンションローラ対39とによって、搬送ローラ対7にフロントテンションが加えられる。バックテンションローラ対12は、Y用フロントテンションローラ対21と、M用フロントテンションローラ対39とのテンションが加算されたフロントテンションと同等のバックテンションを発生するので、カラー感熱記録紙2の搬送速度はキャプスタンローラ8による搬送速度に保たれる。
【0042】
また、イエロー画像及びマゼンタ画像の印画と同時に、Y用定着ランプ34とM用定着ランプ49とが点灯され、イエロー感熱発色層とマゼンタ感熱発色層とが定着される。
【0043】
Y用定着ランプ34とM用定着ランプ49の定着が終了すると、Y用定着ランプ34とM用定着ランプ49は消灯される。キャプスタンローラ8は、カラー感熱記録紙2をシアン印画部51に搬送する。ここでも、M用サーマルヘッド37とC用サーマルヘッド52との間隔L2が2πdであるため、カラー感熱記録紙2の先端がマゼンタ印画部36に到達してからシアン印画部51に到達するまでに、キャプスタンローラ8はちょうど2回転している。そのため、カラー感熱記録紙2の先端がシアン印画部51に到達した時の搬送速度とマゼンタ印画部36に到達した時の搬送速度とでは、位相が一致しているため搬送速度は等しくなる。
【0044】
カラー感熱記録紙2が予め設定されているシアン印画位置に達すると、C用サーマルヘッド52は、カラー感熱記録紙2の先頭の記録エリアのシアン感熱層に印画する。このシアン画像の印画開始と同時に、カラー感熱記録紙2の2番目の記録エリアのマゼンタ感熱層にマゼンタ画像が印画され、3番目の記録エリアのイエロー感熱層にイエロー画像が印画される。
【0045】
このイエロー, マゼンタ及びシアン画像の印画時にも、バックテンションローラ対12は、フロントテンションと同等のバックテンションを発生し、カラー感熱記録紙2の搬送速度を安定させる。また、Y用定着ランプ34とM用定着ランプ49とが点灯され、イエロー感熱発色層とマゼンタ感熱発色層とが定着される。ここまでの作業において、カラー感熱記録紙2の先頭の記録エリアでは、イエロー印画時とマゼンタ印画時とシアン印画時とにおける搬送速度の位相が一致している。
【0046】
イエロー,マゼンタ及びシアンの各画像が印画されたカラー感熱記録紙2の先頭の記録エリアは、ステッピングモータ69によって駆動されるカッタローラ対67によりカッタ65に送り込まれる。そして、後端縁がカッタ65によって切断されて、1枚のシート状のカラープリントとなる。シート状のカラープリントは、排紙ローラ対66によって排紙口64からプリンタの外に排出される。
【0047】
なお、上記実施形態では、各サーマルヘッド間の間隔L1,L2をキャプスタンローラの円周長の2倍の距離としたが、L1,L2はキャプスタンローラの円周長の自然数倍の距離であればよい。また、L1,L2を同じ距離としたが、これは変えてもよい。
【0048】
上記実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンの3個のサーマルヘッドを持ったカラープリンタを例に説明したが、サーマルヘッドは複数個あればよく、適宜増減してよい。
【0049】
上記実施形態では、長尺のカラー感熱記録紙を使用する場合を例にとって説明したが、この他にカット紙を使用するカラープリンタに実施してもよい。
【0050】
上記実施形態は、感熱式のカラーサーマルプリンタを例に説明したが、本発明はこの印画方式に限られるものではなく、熱転写式,昇華式のサーマルプリンタやインクジェット方式のカラープリンタに実施してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のカラープリンタによれば、各サーマルヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離をキャプスタンローラの円周長の自然数倍としているため、キャプスタンローラの周面の微細な凹凸や軸の偏芯などに起因して搬送速度に周期的な変動が発生しても、各プリント位置で搬送速度の位相をあわせることができ、レジずれの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したカラーサーマルプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】同カラーサーマルプリンタのキャプスタンローラによって、カラー感熱記録紙の搬送速度が周期的に変動していることを誇張して示す説明図である。
【図3】カラー感熱記録紙の搬送経路を直線状に展開した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
2 カラー感熱記録紙
8 キャプスタンローラ
18 イエロー印画部
36 マゼンタ印画部
51 シアン印画部
19 イエロー印画用サーマルヘッド
37 マゼンタ印画用サーマルヘッド
52 シアン印画用サーマルヘッド

Claims (4)

  1. 記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、前記記録材料の搬送経路に沿って離して設けられ、異なる色の印画を行う複数のプリントヘッドとを用いて、搬送中の前記記録材料に画像を記録するカラープリンタの記録材料搬送方法において、
    前記各プリントヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離を、前記キャプスタンローラの円周長の自然数倍の距離にして前記記録材料を搬送することを特徴とするカラープリンタの記録材料搬送方法。
  2. 記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、前記記録材料の搬送経路に沿って離して設けられ、異なる色の印画を行う複数のプリントヘッドとを用いて、搬送中の前記記録材料に画像を記録するカラープリンタにおいて、
    前記各プリントヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離が、前記キャプスタンローラの円周長の自然数倍であることを特徴とするカラープリンタ。
  3. 記録材料の搬送経路内に配置され、記録材料を挟んで搬送するキャプスタンローラ及びピンチローラからなる搬送ローラ対と、
    搬送ローラ対の下流側に位置し、搬送中の記録材料を加熱して複数の色の一つをそれぞれ熱記録する複数のサーマルヘッドと、
    各サーマルヘッドの下流側または下方にそれぞれ位置し、前記搬送ローラ対にフロントテンションを付与しながら記録材料を搬送する複数のフロントテンション付与部材と、
    前記搬送ローラ対の上流側に位置し、搬送ローラ対にバックテンションを付与しながら記録材料を搬送するバックテンションローラ対と、
    各フロントテンション付与部材によるフロントテンション、及び前記バックテンションローラ対によるバックテンションを制御するテンション制御手段とを備え、
    前記各サーマルヘッドの記録位置間の記録材料搬送距離が、前記キャプスタンローラの円周長の自然数倍であることを特徴とするカラープリンタ。
  4. 前記テンション手段は、前記各フロントテンション付与部材によるフロントテンションの総和と等しいバックテンションを発生させることを特徴とする請求項3記載のカラープリンタ。
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