JP2004283112A - ハトムギ若葉含有健康食品 - Google Patents

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政次 前田
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Abstract

【課題】苦味やエグ味などがなく美味しく飲食することができるとともに、ハトムギの実(ヨクイニン)と同等、或いはそれ以上の効果を奏することができるハトムギ若葉含有健康食品を提供すること。
【解決手段】ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉を含有することを特徴とする健康食品及びハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉に加えて、オリゴ糖類及び/又はビタミン類を含有することを特徴とする健康食品とする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハトムギ若葉含有健康食品に関し、その目的は、苦味やエグ味などがなく美味しく飲食することができるとともに、ハトムギの実(ヨクイニン)と同等、或いはそれ以上の効果を奏することができるハトムギ若葉含有健康食品を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
ヨクイニンとは漢方薬の一種で、イネ科に属するハトムギの種皮を除いた成熟種子を乾燥させたものであり、利尿、消炎、排膿、鎮痛などの薬効を有するとされる。
またヨクイニンには腫瘍抑制作用を有するコイックセノリドという成分が含まれており、イボ取り等の抗腫瘍作用を有するとされる。
この他、血糖値降下作用や抗炎症作用等を有する成分が含まれることが報告されている。
【0003】
ヨクイニンを含有する健康食品に関する発明としては、ヨクイニンの水または水性アルコール抽出エキスを有効成分とする皮膚賦活食品(特許文献1参照)や大豆サポニン、米酢モロミおよびヨクイニンを有効成分とする健康食品(特許文献2参照)などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−24号公報
【特許文献2】
特公平4−10448号公報
【0005】
しかしながら、ヨクイニンには3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドの配糖体などのエグ味成分が含まれており、ヨクイニンを食した場合、エグ味が強く、美味しく食することはできなかった。
またヨクイニンにはβ−シトステロール、カンペステロールなどのテルペノイド類やパルミチン酸、ミリスチン酸などの脂肪油が含まれている。このために、ヨクイニンを使用して健康食品を調製しようとした場合、空気中の酸素と反応して酸化劣化が生じ易いといった問題が存在した。
さらには、ヨクイニンに含まれる脂肪油や精油成分のために、ヨクイニンの乾燥が困難となり、ヨクイニンを十分に乾燥するには長時間必要となり、製造コストが増大するといった問題も存在した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エグ味などがなく美味しく食することができるとともに、ヨクイニンと同等或いはそれ以上の効果を奏することができるハトムギ若葉含有健康食品を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に係る発明は、ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉を含有することを特徴とする健康食品に関する。
請求項2に係る発明は、ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉の乾燥粉砕物を含有することを特徴とする健康食品に関する。
請求項3に係る発明は、ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉の溶媒抽出物を含有することを特徴とする健康食品に関する。
請求項4に係る発明は、オリゴ糖類及び/又はビタミン類を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の健康食品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係るハトムギ若葉含有食品は、有効成分としてハトムギ若葉を含有する。
ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)は、東南アジアを原産地とするイネ科ジェズダマ属に属する一年草であり、わが国には約260年ほど前に中国を経て伝来したと伝えられている。
ハトムギの種子は古くから薬用として用いられ、漢方で用いられるヨクイニンはハトムギの種子の殻を取り除いて乾燥したものである。ハトムギの種子はタンパク質、カルシウム、鉄、カリウム、ビタミンBなどを豊富に含み、中でも種子に含まれるタンパク質は、良質のアミノ酸からなり栄養価が高いことから、東南アジアではハトムギの種子を常食としているところもある。わが国においても、栄養補給にも役立つ健康食品として、健康茶、水飴、濃縮エキスなどに利用されている。
【0009】
本発明ではハトムギの若葉、具体的には葉の長さが10cm以下、好ましくは5〜10cmの若葉や新芽を使用する。ハトムギの種子は食用の前例が存在するが、ハトムギの若葉については食用の前例が存在しない。
ハトムギ若葉には、ビタミン類、ミネラル類、カロチン、食物繊維等が豊富にしかもバランス良く含まれており、有効成分としてハトムギ若葉を使用することにより、ハトムギに豊富に含まれる栄養成分を効率よく摂取することができる。またハトムギ若葉には、ハトムギの種子には含まれていないビタミン類、ミネラル類、カロチン等が含まれている。
ハトムギ若葉には上述したような成分が大量にしかもバランスよく含まれているから、有効成分としてハトムギ若葉を使用することにより、シミやソバカスの抑制作用、皮膚賦活作用、血圧降下作用、肥満防止作用、便秘改善作用、抗酸化作用などの様々な機能を有する健康食品を得ることができる。
尚、ハトムギ若葉にはハトムギの種子に含まれるエグ味成分が同じく含まれており、有効成分としてハトムギ若葉を使用する際、呈味性に優れた健康食品とする必要がある。
【0010】
ハトムギ若葉は、乾燥した後、粉砕して粉末化することが好ましい。ハトムギ若葉は、ハトムギの種子とは異なり、精油成分や脂肪油などの含有量は低く、乾燥・粉末化を容易に行うことができる。
ハトムギ若葉を乾燥する方法としては、天日乾燥、凍結乾燥などを例示することができるが特に限定はされない。
ハトムギ若葉を粉砕して粉末化する際のハトムギ若葉の粒径は特に限定されないが、10〜800メッシュ、好ましくは400〜800メッシュ、より好ましくは600〜800メッシュとされる。
【0011】
本発明ではハトムギ若葉の乾燥粉砕物を有効成分として配合することができるが、ハトムギ若葉の抽出物を有効成分として配合することもできる。ハトムギ若葉の抽出物を得る方法は特に限定されず、例えば、ハトムギ若葉の乾燥粉砕物に抽出溶媒を加えて、所要温度で、所要時間攪拌抽出する。
ハトムギ若葉の抽出物を得る際に使用される抽出溶媒としては、水或いはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができ、水又はエタノールを使用することが好ましい。
また温度は特に限定されないが、例えば室温から抽出溶媒の沸点程度の温度を例示することができる。
抽出時間も特に限定されず、使用する抽出溶媒や抽出温度に応じて、適宜設定すればよいが、例えば、室温程度の温度で抽出する場合、12時間から30日程度とされ、抽出溶媒をその沸点程度の温度に加熱する場合は、5時間から24時間程度とされる。
【0012】
抽出溶媒を濾過して残渣を除去する。その後、抽出溶媒を除去することにより、ハトムギ若葉の抽出物を得ることができる。抽出溶媒を除去する方法は特に限定されず、例えば、減圧濃縮、凍結乾燥、噴霧乾燥等を例示することができる。
【0013】
さらに本発明では、ハトムギ若葉に加えてオリゴ糖類及び/又はビタミン類を含有することもできる。
オリゴ糖は一般に腸内環境を整備すると考えられており、ハトムギ若葉に加えてオリゴ糖を同時に摂取することにより、ハトムギ若葉が本来有する機能を向上することができ、特に血圧降下作用、肥満防止作用、便秘改善作用などを飛躍的に向上することができる。またハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することができる。
ビタミン類は人間が成育するために欠かすことのできない微量成分であり、体内での栄養素の働きをスムーズにしたり、体調を整えたりする作用を有する。ハトムギ若葉に加えてビタミン類を同時に摂取することにより、ハトムギ若葉が本来有する機能を向上することができ、特にシミやソバカスの抑制作用、皮膚賦活作用、抗酸化作用などを飛躍的に向上することができる。またハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することができる。
【0014】
本発明で使用することができるオリゴ糖類は特に限定されないが、例えばラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、スタキオース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖などを例示することができる。
オリゴ糖類は一種を単独で配合することもでき、二種以上を混合して配合することもできる。
【0015】
オリゴ糖を含有する場合、オリゴ糖の含有量は特に限定されないが、ハトムギ若葉1重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは10〜20重量部とされる。
オリゴ糖の含有量がハトムギ若葉の含有量に対して0.01重量部未満の場合、及び20重量部を超える場合のいずれも、ハトムギ若葉が本来有する機能を飛躍的に高めることが困難となるばかりでなく、ハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することが困難となる。
【0016】
本発明で使用することができるビタミン類としては、例えばビタミンC、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンEなどを例示することができる。
ビタミン類は一種を単独で配合することもでき、二種以上を混合して配合することもできる。
特に本発明ではビタミン類としてビタミンCを用いることが好ましい。
【0017】
ビタミン類を含有する場合、ビタミン類の含有量は特に限定されないが、ハトムギ若葉1重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは5〜20重量部、より好ましくは10〜20重量部とされる。
ビタミンCの含有量がハトムギ若葉の含有量に対して0.01重量部未満の場合、及び20重量部を超える場合のいずれも、ハトムギ若葉が本来有する機能を飛躍的に高めることが困難となるばかりでなく、ハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することが困難となる。
【0018】
さらに本発明では、通常の食品に配合される成分を適宜任意に含有することができ、例えば、賦形剤、増量剤、乳化剤、甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、酸味料等を含有することができる。
【0019】
本発明に係る健康食品の形態は特に限定されず、粉末剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等を例示することができる。
【0020】
本発明に係る健康食品は、そのままサプリメントとして食することもできるが、例えば牛乳、豆乳、スープ、シチュー、味噌汁、洋菓子、和菓子、豆腐などの既存の食品に適宜混合して食することもできる。
本発明に係る健康食品を既存の食品に含有して食する場合、本発明に係る健康食品の含有量は特に限定されないが、既存の食品の5〜20重量%程度を混合すればよい。
【0021】
本発明に係る健康食品は有効成分としてハトムギ若葉を含有するから、カロチン類、ビタミン類、ミネラル類、葉緑素、食物繊維などの栄養素がバランスよく大量に含まれている。
そして、本発明に係る健康食品は、シミやソバカスの抑制作用、皮膚賦活作用、血圧降下作用、肥満防止作用、便秘改善作用、抗酸化作用等の様々な作用を示し、美容上及び健康上、極めて優れた健康食品である。
さらに、有効成分としてハトムギ若葉に加えて、オリゴ糖及び/又はビタミン類を配合することにより、前述のハトムギ若葉の作用を飛躍的に向上することができる。またハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(試料の調製)
ハトムギ若葉を天日乾燥した後、微粉砕した。このハトムギ若葉微粉末95重量%にオリゴ糖5重量%を加えて実施例の試料を調製した。
また上記実施例の試料の調製に使用したオリゴ糖を比較例の試料とした。
【0023】
(試験例1;皮膚賦活試験)
30〜50歳台の女性20名の被験者(A〜T)のうち、10名の被験者(A〜J)については上記実施例の試料を、10名の被験者(K〜T)については上記比較例の試料を一日当り三回(一回当り10g)ずつ4週間食してもらった。
試験開始前と試験終了後の肌(手の甲)の状態を光学顕微鏡で写真撮影し、試験開始と試験終了後の肌の状態を以下の評価基準に従い評価した。結果を表1に記載する。
【0024】
<評価基準>
1 皮溝が消え、広範囲にわたって角質がめくれている。
2 皮溝が不鮮明であり、角質が部分的にめくれている。
3 皮溝は認められるが平坦である。
4 皮溝が鮮明である。
5 皮溝が極めて鮮明である。
【0025】
【表1】
Figure 2004283112
【0026】
表1の結果に示されるように、実施例の試料を食したグループでは60%の被験者の肌の状態が向上し、実施例の試料は皮膚賦活作用を有することが確認された。一方、比較例の試料を食したグループでは全体の10%しか肌の状態が向上せず、比較例の試料は皮膚賦活作用を有することは確認できなかった。
【0027】
(試験例2;シミ改善試験)
顔や手のシミに悩む40歳台の女性の被験者に上記実施例の試料を一日当り三回(一回当り10g)ずつ4週間食してもらった。
試験開始前と試験終了後の肌(手の甲と頬)の状態をデジタルカメラで撮影し、試験開始と試験終了後のシミの状態を比較対比した。
その結果、手や頬のシミが試験開始前と試験終了後では、明らかに小さくなっており、実施例の試料はシミ改善効果を有することが確認された。
【0028】
(試験例3;血圧降下試験)
高血圧の40歳台の男性被験者に、上記実施例の試料を一日当り三回(一回当り10g)ずつ8週間食してもらった。試験開始前の1週間、一日朝晩の二回、被験者の血圧測定を行った。また8週間の試験期間の間、毎日、朝晩の二回、被験者の血圧測定を行った。
その結果、実施例の試料を食してから約10日間経過した後から徐々に血圧の低下が確認され、試験期間の終了時にはほぼ正常値に近い血圧にまで低下することが確認され、実施例の試料は血圧降下作用を有することが確認された。
【0029】
(試験例4;呈味試験)
上記調製した実施例の試料と、上記実施例の試料を調製する際に使用したハトムギ若葉とを食することにより、呈味試験を行った。
実施例の試料を食したところ、エグ味は全く感じられず、美味しく食することができた。一方、ハトムギ若葉を食したところ、エグ味が感じられ、美味しく食することはできなかった。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明に係る健康食品は有効成分としてはハトムギ若葉を含有するから、ハトムギの実(ヨクイニン)と同等、或いはそれ以上の効果を奏することができ、シミやソバカスの抑制作用、皮膚賦活作用、血圧降下作用、肥満防止作用、便秘改善作用、抗酸化作用等の様々な作用を示し、美容上及び健康上、極めて優れた健康食品である。
本発明に係る健康食品は、有効成分としてハトムギ若葉に加えてオリゴ糖及び/又はビタミン類を含有するから、ハトムギ若葉を単独で食した場合に比べて、格段に優れた効果を得ることができる。またハトムギ若葉の呈味、特にエグ味を改善することができる。

Claims (4)

  1. ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉を含有することを特徴とする健康食品。
  2. ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉の乾燥粉砕物を含有することを特徴とする健康食品。
  3. ハトムギ(Coix lachryma−jobi var. frumentacea Makino)若葉の溶媒抽出物を含有することを特徴とする健康食品。
  4. オリゴ糖類及び/又はビタミン類を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の健康食品。
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