JP2004276641A - 先行車追従制御装置 - Google Patents

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Kenta Kubota
賢太 窪田
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Abstract

【課題】先行車両に追従走行する追従走行制御手段を備えた車両において、運転者の心理負荷増大が検出されたとき、運転者の心理的負荷を軽減する処理を行う。
【解決手段】運転者の心理負荷増大が検出されたとき、先行車両との車間距離を目標車間距離とするための走行制御の制御特性を通常走行制御中の通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両と自車両との車間距離を目標車間距離に保ちつつ、当該先行車両に自車両を追従させる先行車追従制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の先行車追従制御装置としては、自車両と先行車両との車間距離と目標車間距離との差に第1のゲインを乗じた値と、自車両と先行車両との相対速度に第2のゲインを乗じた値との線形結合を含んで目標車速を設定し、当該目標車速に自車速が一致するように制駆動力を制御するレギュレータによって先行車両に自車両を追従走行させ、自車速よりも早い車両を目標車間距離よりも短い車間距離で先行車両として新たに認識した場合には、追従制御の応答性が遅くなるように前記第1のゲインおよび前記第2のゲインを変更するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−020503号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の先行車追従制御装置にあっては、運転者の心理状態を考慮して前記ゲインを変更するものではないので、走行状態によっては運転者が違和感を受けて心理的負荷を感じるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自車両を走行制御する場合に、運転者が感じる心理的負荷を抑制することが可能な先行車追従制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る先行車追従制御装置は、運転者心理負担検出手段で運転者の心理的負担を検出し、運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大が検出されたときに、制御特性変更手段で走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、走行制御中において、運転者の心理負荷増大を検出したときに、走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更することで、先行車両の動向等による運転者の心的ストレスを軽減できると共に、運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0008】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生する例えばディスクブレーキで構成されるブレーキアクチュエータ7が設けられていると共に、これらブレーキアクチュエータ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、後述する追従制御用コントローラ20からの制動圧指令値PBRに応じて制動油圧を発生し、これをブレーキアクチュエータ7に出力するように構成されている。
【0009】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置11が設けられている。このエンジン出力制御装置11では、図示しないアクセルペダルの踏込量及び後述する追従制御用コントローラ20からのスロットル開度指令値θに応じてエンジン2に設けられたスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ12を制御するように構成されている。また、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転速度を検出することにより、自車速Vsを検出する車速検出手段としての車速センサ13が配設されている。
【0010】
一方、車両の前方側の車体下部には、自車両と先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段としての、レーザ光を掃射して先行車両からの反射光を受光するレーダ方式の構成を有する車間距離センサ14が設けられている。
また、運転席のハンドルには、運転者の心理状態の変化を計測する心拍センサ16が設けられている。この心拍センサ16は、導電性の高いセンサを用いて運転手の手のひらから脈パルスを読み取り、例えば脈パルス間の時間を計測することにより、例えば1分間の心拍数Pを算出し、この心拍数Pが算出される毎に算出した心拍数Pを出力する。これにより、運転時に精神的ストレスを感じること等による心拍数の変化を検出する。
【0011】
また、運転席近傍には、追従走行制御スイッチ17が設けられており、この追従走行制御スイッチ17をオン状態とすることにより、追従走行制御モードで自車両の走行制御を行う。
そして、追従走行制御スイッチ17から出力されるスイッチ信号SSと車速センサ13から出力される自車速Vと車間距離センサ14から出力される車間距離Dと心拍センサ16から出力される単位時間当たりの心拍数Pが追従制御用コントローラ20に入力され、この追従制御用コントローラ20によって、先行車両を捕捉しているときに車間距離が目標車間距離となるように目標車速を設定して自車速を制御し、先行車両を捕捉していないときに自車速Vを運転者が設定した設定車速VSET に制御する制動圧指令値PBR及び目標スロットル開度θを制動制御装置8及びエンジン出力制御装置11に出力する。
【0012】
この追従制御用コントローラ20は、マイクロコンピュータとその周辺機器を備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。
この制御ブロックは、車間距離センサ14でレーザ光を掃射してから先行車両の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車両との車間距離Dを演算する測距信号処理部21と、測距信号処理部21で演算された車間距離D及び自車速Vに基づいて車間距離Dを目標車間距離Dに維持する目標車速V を演算する車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した目標車速V に基づいて目標駆動軸トルクT を演算する車速制御部50と、この車速制御部50で演算した目標駆動軸トルクT に基づいてスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に対するスロットル開度指令値θ及び制動圧指令値PBRを演算し、これらをスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に出力する駆動軸トルク制御部60とを備えている。
【0013】
車間距離制御部40は、測距信号処理部21から入力される車間距離Dに基づいて先行車両との相対速度ΔVを算出する相対速度演算部41と、車速センサ13から入力される自車速Vに基づいて先行車両と自車両との間の目標車間距離Dを算出する目標車間距離設定部42と、測距信号処理部21から入力される車間距離Dと、相対速度演算部41で算出された相対速度ΔVと、目標車間距離設定部42で算出された目標車間距離Dと、自車速Vとに基づいて車間距離Dを目標車間距離Dに一致させるための目標車速V を演算する車間距離制御演算部43とを備えている。
【0014】
次に、前記測距信号処理部21と車間距離制御部40とを詳細に説明する。まず、先行車両と自車両との相対速度ΔVの演算方法について説明する。相対速度ΔVは、図3及び図4に示すように、測距信号処理部21で算出された先行車両との車間距離Dを入力とし、バンドパスフィルタあるいはハイパスフィルタを用いて近似的に求めることができる。例えば、バンドパスフィルタは下記(1)式に示す伝達関数で実現できる。
【0015】
F(s)=ω s/(s+2ζωs+ω ) ………(1)
但し、ω=2πf、sはラプラス演算子である。なお、フィルタ伝達関数のカットオフ周波数fは、車間距離Dに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後G変動の許容値より決定する。
また、車間距離制御演算部43は、車間距離Dと相対速度ΔVとに基づいて、車間距離Dを目標車間距離Dに保ちながら先行車両に追従走行するための目標車速V を演算する。具体的には、図5に示すように、下記(2)式に従って、目標車間距離Dと車間距離Dとの偏差(D−D)に第1のゲインとしての車間距離制御ゲインfを乗じたものと、相対速度ΔVに第2のゲインとしての相対速度制御ゲインfを乗じたものとの加算値ΔVを先行車両の車速Vから減じて算出する。
【0016】
=V−ΔV ………(2)
ΔV=f(D−D)+f・ΔV
但し、Vは先行車速、制御ゲインf,fは先行車両に対する追従制御性能を決めるパラメータである。このシステムは2個の目標値(車間距離と相対速度)を1個の入力(目標車速)で制御する1入力2出力系であることから、制御法として状態フィードバック(レギュレータ)を用いて制御系を設計している。
【0017】
以下、制御系設計の手順を説明する。まず、システムの状態変数x、xを下記(3)式で定義する。
=V−V,x=D−D ………(3)
また、制御入力(コントローラの出力)ΔVを下記(4)式で定義する。
ΔV=V−V ………(4)
ここで、車間距離Dは下記(5)式のように記述できる。
【0018】
D=∫(V−V)dt+D ………(5)
但し、Dは車間距離の初期値である。
また、車速サーボ系は線形伝達関数によって、例えば下記(6)式のように目標車速V に対して自車速Vが一時遅れで近似的に表現できる。
=V /(1+τ・s)
dV/dt=1/τ(V−V) ………(6)
ここで、τは車速フィードバック制御の時定数である。
【0019】
それゆえ、先行車速Vが一定であるとすると、上記(3),(4)及び(6)式より、前記状態変数xは下記(7)式のように記述できる。
dx/dt=―1/τ・x+1/τ・ΔV ………(7)
また、目標車間距離Dが一定であるとすると、上記(3)及び(5)式より、前記状態変数xは下記(8)式のように記述できる。
=−(V−V)=−x ………(8)
したがって、上記(7),(8)式より、システムの状態方程式は下記(9)式のように記述できる。
【0020】
【数1】
Figure 2004276641
【0021】
また、状態フィードバックが施された全体システムの状態方程式は下記(10)式のように記述できる。
dX/dt=(A+BF)X ………(10)
但し、制御入力u=FX,F=[f
したがって、上記(10)式より、全体システムの特性方程式は下記(11)式のように記述できる。
|sI−A’|=s+(1−f)/τ・s+f/τ=0………(11)
但し、A’=A+BF
【0022】
【数2】
Figure 2004276641
【0023】
また、車速サーボ系は近似的に線形伝達関数で表現でき、この伝達特性に基づき車間距離Dが目標車間距離Dへ相対速度ΔVが0へそれぞれ収束する収束特性が、設計者の意図する特性となるように減衰係数ζ、固有振動数ωを変化し、下記(12)式に従って制御ゲインf,fを設定する。
=1−2ζω・τ
=ω ・τ………(12)
運転者の心理負荷増大が検出されているときには、低制御固有振動数ωnLを固有振動数ωとして適用する。ここで、低制御固有振動数ωnLは、下記(13)式示すように、通常固有振動数ωn0に補正係数K(例えば、0.9)を乗じた値として算出し、走行制御の制御特性を通常の走行制御中の通常制御特性よりも緩やかとなるように変更する。なお、減衰係数ζは通常減衰係数ζに設定する。
【0024】
ωnL=ωn0×K ………(13)
一方、上記以外の通常走行状況であるときには、通常固有振動数ωn0を固有振動数ωとして適用する。
なお、通常固有振動数ωn0は、車間距離偏差(=D−D)が大きくなるほど大となるよう、且つ相対速度ΔVが小さくなるほど大となるように設定する。また通常減衰係数ζは、車間距離偏差が大きくなるほど小さく且つ相対速度ΔVが大きくなるほど大となるように設定する。
【0025】
また、相対速度ΔVは先行車両と自車両との車速差であることから、図6に示すように、先行車速Vを自車速Vと車間距離データから得られた相対速度ΔVに基づいて下記(14)式に従って算出する。
=V+ΔV………(14)
したがって、上記(2),(14)式より、目標車速V は下記(15)式のように記述できる。
【0026】
=V−f(D−D)+(1−f)ΔV ………(15)
なお、目標車間距離Dは接近警報などで用いられる車間時間という概念を用いて設定してもよいが、ここでは制御の収束性にまったく影響を及ぼさないという観点から先行車速Vの関数とする。上記(14)式で定義した先行車速Vを用いて、下記(16)式に示すように設定する。
【0027】
=a・V+D=a(V+ΔV)+D ………(16)
但し、Dは車間距離の初期値、aは制御定数である。
あるいは、先行車速Vを自車速Vと相対速度ΔVから算出した値を用いると、相対速度検出値に重畳されるノイズの影響を受けるため、図7に示すように自車速Vの関数として、下記(17)式に示すように設定してもよい。
【0028】
=a・V+D ………(17)
また、車速制御部50は、追従制御状態であるときには、車間距離センサ14で先行車両を捕捉しているときには車間距離制御部40から入力される目標車速V と運転者が設定した設定車速VSET との何れか小さい値を目標車速Vとして設定し、先行車両を捕捉していないときには運転者が設定した設定車速VSET を目標車速Vとして設定する目標車速設定部51と、この目標車速設定部51で設定された目標車速Vに自車速Vを一致させるための目標駆動軸トルクT を演算する目標駆動軸トルク演算部53とを備えている。
【0029】
また、駆動軸トルク制御部60は、目標駆動トルクT を実現するためのスロットル開度指令値θとブレーキ液圧指令値PBRとを演算し、スロットル開度指令値θをエンジン出力制御装置11に出力すると共に、ブレーキ液圧指令値PBRを制動制御装置8に出力する。
なお、上述した車間距離制御部40、車速制御部50及び駆動軸トルク制御部60で車速制御手段を構成している。
【0030】
次に、第1の実施形態の動作を車間距離制御演算部43で実行する制御特性変更判断処理手順を示す図8を伴って説明する。
この制御特性変更判断処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、追従走行制御スイッチ17のスイッチ信号SS、車速センサ13で検出した自車速V、車間距離センサ14で検出した車間距離D(n)、目標車間距離設定部42から出力された目標車間距離D、心拍センサ16で検出した単位時間当たりの心拍数Pを読込む。
【0031】
次いでステップS2に移行して、追従走行制御モード中か否かを判定する。この判定は、運転席近傍に配設された追従走行制御スイッチ17のスイッチ信号SSがオン状態であるか否かによって行い、追従走行制御スイッチ17のスイッチ信号SSがオン状態であるときには、追従走行制御モード中であると判断してステップS3に移行する。
【0032】
一方、ステップS2の判定結果が、追従走行制御スイッチのスイッチ信号SSがオフ状態であり、追従走行制御モード中でないときには、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS3では、自車両が先行車両に追従走行しているか否かを判定する。この判定は、車間距離センサ14で検出した車間距離D(n)が予め設定された車間距離検出限界DMAX以下であるか否かによって行い、D(n)≦DMAXであるときには、先行車両を検出していると判断してステップS4に移行し、後述する制御特性変更処理を行ってからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0033】
ステップS3の判定結果が、D(n)>DMAXであるときには、自車両は先行車両を検出していない単独走行中であると判断して、ステップS5に移行する。
このステップS5では、自車速Vを微分するか単位時間当たりの変化量を算出することにより求めた加減速度Gの絶対値|G|が予め設定した所定値GSET(例えば、3km/H)以下であるか否かを判定し、|G|>GSETであるときにはステップS6に移行して、加減速度の絶対値|G|が所定値GSET以下である状態の継続時間を計測するソフトウェアタイマで構成される継続時間タイマのカウント値Nを“0”にクリアすると共に、|G|≦GSETである平常心での走行状態が継続している間の心拍数の移動平均値Pを“0”にクリアし、さらに心拍数閾値の設定が完了したか否かを表す心拍数閾値設定フラグSを、未完了を表す“0”にリセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0034】
一方、ステップS5の判定結果が|G|≦GSETであるときには、ステップS7に移行して継続時間タイマのカウント値NをインクリメントしてステップS8に移行し、心拍数の移動平均値Pを算出する。自車両の加減速度Gの絶対値|G|が所定値GSET以下の状態を平常心での走行状態であると判断し、その平常心走行状態での単位時間当たりの心拍数の移動平均値を移動平均心拍数Pとして、前回の移動平均心拍数Pと今回検出した心拍数Pとの平均値を算出することにより設定する。
【0035】
次いでステップS9に移行して、カウント値Nが継続時間Tに相当する設定値NS1以上であるか否かを判定する。継続時間Tは、自車両の加減速度の絶対値が所定値以下の平常心走行状態で単独走行しているときに、運転者の心拍数が安定するまでの十分な時間(例えば、3分間)となるように設定する。
ステップS9の判定結果が、N<NS1であるときには、運転者の安定した心拍数を検出するのに十分な時間が経過していないと判断してタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、N≧NS1であるときには、ステップS10に移行して、運転者の心理負荷を検出するための心拍数閾値PSETを設定する。心拍数閾値PSETは、移動平均心拍数Pを基準として、移動平均心拍数Pの120%の値に設定する。
【0036】
次いで、ステップS11に移行して心拍数閾値設定フラグSを心拍数閾値の設定完了を表す“1”にセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、ステップS4の制御特性変更処理は、図9に示すように、先ずステップS41で、心拍数閾値設定フラグSが“1”であるか否かを判定する。
【0037】
ステップS41の判定結果が、心拍数閾値設定フラグSが“0”にリセットされており、心拍数閾値PSETが設定されていないときには、運転者の心理的負荷の判定ができないため、ステップS42に移行して通常固有振動数ωn0を固有振動数ωとして設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0038】
一方、心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされており、心拍数閾値PSETが設定されているときには、ステップS41からステップS43に移行して現在の心拍数Pが心拍数閾値PSETを越えているか否かを判定し、P≦PSETであるときには、現在の心拍数Pが心拍数閾値PSETを超えておらず、運転者は心理的負荷を感じていないと判断してステップS44に移行して、心拍数Pが心拍数閾値PSETを超えている状態の継続時間を計測するソフトウェアタイマで構成される継続時間タイマのカウント値Nを“0”にクリアして前記ステップS42に移行する。
【0039】
ステップS43の判定結果が、P>PSETであるときには、ステップS45に移行して継続時間タイマのカウント値NをインクリメントしてステップS46に移行し、カウント値Nが継続時間Tに相当する設定値NS2以上であるか否かを判定する。継続時間Tは、先行車両に追従走行しているときに、運転者の単位時間当たりの心拍数が心拍数閾値を超えた状態が継続し、運転者が心理的負荷を感じていると判断できる時間(例えば、5秒間)となるように設定する。
【0040】
ステップS46の判定結果が、N<NS2であるときには、運転者の心理負荷増大を判断するのに十分な時間が経過していないと判断して前記ステップS42に移行する。一方、N≧NS2であるときには、運転者が心理的負荷を感じている可能性があるため、追従走行制御の制御特性を通常時より緩やかにする必要があると判断してステップS47に移行し、前記(13)式により低制御固有振動数ωnLを算出し、算出した低制御固有振動数ωnLを固有振動数ωとして設定することにより、固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に変更してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0041】
図8のステップS5〜S11及び図9のステップS43〜S46の処理が運転者心理負担検出手段に対応し、ステップS42及びS47の処理が制御特性変更手段に対応している。
したがって、今、自車両が追従走行制御スイッチをオフ状態として走行しているものとする。この場合には、追従走行制御処理が非制御状態であるため、図8の制御特性変更判断処理において、ステップS2を経て制御特性変更判断処理を終了し、運転者のアクセル及びブレーキ操作に応じた通常通りの走行を継続する。
【0042】
この通常走行状態から、追従走行制御スイッチをオン状態とすると、追従走行制御処理が開始され、先行車両を検出しない状態で、予め設定した所定値GSETより大きい加速度で運転者が設定した設定車速VSETまで加速する単独走行状態である場合には、ステップS3からステップS5を経てステップS6に移行し、継続時間タイマのカウント値Nを“0”にクリアすると共に移動平均心拍数Pを“0”にクリアし、さらに心拍数閾値設定フラグSを“0”にリセットして制御特性変更判断処理を終了し、単独加速走行制御を継続する。
【0043】
この加速状態で、自車両の車速Vが設定車速VSETに達して加減速度の絶対値が予め設定した所定値GSET以下となった場合には、ステップS5からステップS7に移行し、継続時間タイマのカウント値NをインクリメントしてからステップS8に移行して移動平均心拍数Pを算出し、次いでステップS9に移行して、継続時間タイマのカウント値Nは予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS1に達していないため、運転者の安定した心拍数を設定できないと判断して制御特性変更判断処理を終了し、設定車速VSETに基づく目標車速Vで単独定速走行制御を継続する。
【0044】
その後も自車両の加減速度の絶対値が予め設定した所定値GSET以下の状態を継続し、継続時間タイマのカウント値Nが予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS1に達すると、ステップS9からステップS10に移行して運転者の心理負荷増大を検出するための心拍数閾値PSETを設定し、ステップS11に移行して心拍数閾値設定フラグSを“1”にセットする。
【0045】
このように、自車両が、先行車両を検出しない状態で単独走行しており、且つ自車両の加減速度の絶対値が予め設定された所定値GSET以下の状態が一定時間継続しているとき、運転者の心拍数が安定している平常心での走行状態であると判断し、平常心走行状態の移動平均心拍数Pを基準値として心拍数閾値PSETを設定するので、先行車両に追従走行しているときの運転者の心理負荷増大による心拍数の変化を確実に検出することが可能となる。
【0046】
その後、先行車両を検出した状態となると、ステップS3からステップS4に移行し、心拍数閾値PSETが設定されており心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされているので、図9の制御特性変更処理において、ステップS41を経てステップS43に移行して現在の心拍数Pが心拍数閾値PSETを超えているか否かを判定する。このとき、図10に示すように、時点tで追従走行制御中に運転者が心理負荷を感じておらず、心拍センサ16で平常心走行状態に近い心拍数Pを検出しており、心拍数閾値PSETを超えていないときには、追従走行制御の制御特性を通常制御特性とするものと判断してステップS44に移行して継続時間タイマのカウント値Nを“0”にクリアし、次いでステップS42に移行して、通常固有振動数ωn0を固有振動数ωとして設定してから制御特性変更処理を終了し、通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
【0047】
この状態で、時点tで、先行車両の加減速に基づく自車両の加減速に違和感を生じたり、先行車両と自車両との間に他車線から別の先行車両が割り込んだときの自車両の加減速度に違和感を生じたりすることにより、心拍センサ16により心拍数閾値PSETを超える心拍数Pを検出したときには、ステップS43からステップS45に移行して継続時間タイマのカウント値NをインクリメントしてからステップS46に移行する。このとき継続時間タイマのカウント値Nは予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS2に達していないので、一時的な心拍数上昇の可能性があり、追従走行制御の制御特性を緩やかにする必要はないと判断して制御特性変更処理を終了し、通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
【0048】
その後も心拍数Pが心拍数閾値PSETを超える状態が継続され、時点tで、継続時間タイマのカウント値Nが予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS2に達すると、追従走行制御による心理的負荷が原因で心拍数が上昇しているものと判断してステップS46からステップS47に移行して固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値である低制御固有振動数ωnLに設定する。このため、車間距離制御演算部43で算出される車間距離制御ゲインfが大きく減少して車間距離フィードバック系の応答が遅くなり、相対速度制御ゲインfが僅かに増加して相対速度フィードバック系の応答が僅かに速くなる(前記(12)式参照)。このため、ΔVが減少することにより、目標車速V の変化が少なくなる。したがって、先行車両の急な加速による車間距離増大や割り込み車両があったときの車間距離急減に対する応答を緩やかにして運転者の心理的負担を抑制する。
【0049】
このように、上記第1の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合で、運転者の心理負荷増大を検出している場合には、固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定することにより追従走行制御特性の応答を通常時より遅め、先行車両との目標車間距離への収束を通常時より緩やかにすることができるため、自車両が先行車両へ接近する際や先行車両から遠ざかる際には接近速度や離間速度が小さくなり、運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図11は、第2の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図9に示す第1の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS47の処理が低制御減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するステップS411に置換され、さらにステップS42の処理が通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するステップS412に置換されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0051】
ここで、低制御減衰係数ζは、通常減衰係数ζに補正係数K(例えば、1.1)を乗じた値として算出し、算出した低制御減衰係数ζを減衰係数ζとして設定することにより、減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に変更する。
この第2の実施形態では、先行車両に追従走行しているときに、運転者の単位時間当たりの心拍数Pが図8のステップS10で設定した心拍数閾値PSETを超える状態を継続し、継続時間タイマのカウント値Nが予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS2に達したときには、ステップS46からステップS411に移行して低制御減衰係数ζを減衰係数ζとして設定することにより、減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に変更し、追従走行制御特性の減衰を大きくする処理を行って追従走行制御を継続する。
【0052】
このように、上記第2の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合で、運転者の心理負荷増大を検出している場合には、減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定することにより、例えば、自車速Vが先行車速Vより大きい場合は相対速度ΔVが負の値となり、前記(15)式の第3項が負値で大きい値となるので、目標車速V は通常走行制御時より低減され、自車両が先行車両に接近する際には先行車両に近づきすぎるような感じが抑制されて、運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0053】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図12は、第3の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図9に示す第1の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS47の処理が目標車間距離Dを目標車間距離設定部42で設定された目標車間距離Dより大きい値(例えば、10%増し)に補正するステップS421に置換され、さらにステップS42の処理が削除されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0054】
この第3の実施形態では、先行車両に追従走行しているときに、運転者の単位時間当たりの心拍数Pが図8のステップS10で設定した心拍数閾値PSETを超える状態を継続し、継続時間タイマのカウント値Nが予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS2に達したときには、ステップS46からステップS421に移行して目標車間距離Dを通常目標車間距離より大きい値に設定にする処理を行って追従走行制御を継続する。
【0055】
この図12の制御特性変更処理において、ステップS421の処理が目標車間距離補正手段に対応している。
このように、上記第3の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合で、運転者の心理負荷増大を検出している場合には、目標車間距離Dを通常目標車間距離Dより大きい値に変更することにより、先行車両との車間距離に余裕を持たせることができるため、先行車両の挙動が安定しない場合には運転者の心理的負担を抑制することができる。
【0056】
なお、上記第3の実施形態においては、ステップS421で目標車間距離Dに1以上の値を乗じる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標車間距離Dに所定距離αを加算するようにしてもよい。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13は、第4の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図9に示す第1の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS46の処理の後に、図12に示す第3の実施形態におけるステップS421と同様に目標車間距離Dを補正する処理が追加されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0057】
この第4の実施形態では、先行車両に追従走行しているときに、運転者の単位時間当たりの心拍数Pが図8のステップS10で設定した心拍数閾値PSETを超える状態を継続し、継続時間タイマのカウント値Nが予め設定された継続時間Tに相当する設定値NS2に達したときには、ステップS46からステップS47に移行して固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値である低制御固有振動数ωnLに設定した後、ステップS421に移行して目標車間距離Dを通常目標車間距離Dより大きい値に補正にする処理を行って追従走行制御を継続する。
【0058】
このように、上記第4の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合で、運転者の心理負荷増大を検出している場合には、固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定すると共に、目標車間距離Dを通常目標車間距離Dより大きい値に補正することにより、先行車両との車間距離を通常走行時より長めに設定された目標車間距離Dへ通常走行時より緩やかに収束させることができるため、自車両が先行車両へ接近する際には先行車両に近づきすぎるような感じが抑制されて、運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0059】
なお、上記第4の実施形態においては、ステップS47で固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS47で図11に示す第2の実施形態におけるステップS411と同様に減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定し、ステップS42で図11に示す第2の実施形態におけるステップS412と同様に通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するようにしてもよい。
【0060】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図14は、第5の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図9に示す第1の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS41の処理の後に先行車両の加減速頻度を判定するステップS431が追加されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0061】
この第5の実施形態では、心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされている状態で先行車両に追従走行しているときには、ステップS41からステップS431に移行して先行車両の加減速頻度を判定する。この判定は、自車速Vを微分するか単位時間当たりの変化量を算出することにより求めた加減速度Gの符号変換が頻繁に行われているか否かにより行い、加減速度の符号変換が単位時間に所定値以上(例えば、5秒間に1回以上)行われているときには運転者の心理負荷増大の原因となる可能性があると判断して前述したステップS43に移行する。
【0062】
一方、先行車両の加減速度の符号変換回数が所定値より少ないときには、前記ステップS42に移行して通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
この図14の制御特性変更処理において、ステップS431の処理が先行車加減速頻度検出手段に対応している。
このように、上記第5の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合に、先行車両の加減速頻度を検出することで、先行車両が加速と減速を小刻みに繰り返すことで自車両も加減速が頻繁に行われるような、運転者が違和感を覚える状況を確実に判断できると共に、先行車両の加減速が頻繁に行われることを検出し、且つ運転者の心拍数上昇が一定時間継続していることを検出している場合には、追従走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更することにより、運転者の心理的負担を抑制することができる。
【0063】
なお、上記第5の実施形態においては、ステップS47で固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS47で図11に示す第2の実施形態におけるステップS411と同様に減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定し、ステップS42で図11に示す第2の実施形態におけるステップS412と同様に通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するようにしてもよく、ステップS47で図12に示す第3の実施形態におけるステップS421と同様に目標車間距離Dを通常目標車間距離Dより大きい値に補正し、ステップS42の処理を削除するようにしてもよい。
【0064】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図15は、第6の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図9に示す第1の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS41の処理の後に自車両が加速中であるか否かを判定するステップS441が追加されていることを除いては図9と同様の処理を行い、図9と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0065】
この第6の実施形態によると、心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされている状態で先行車両に追従走行しているときには、ステップS41からステップS441に移行して自車両が加速中であるか否かを判定し、自車両が加速中であるときには、運転者の心理負荷増大の原因となる可能性があると判断して前述したステップS43に移行する。
【0066】
一方、自車両が加速中でないときには、前記ステップS42に移行して通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
この図15の制御特性変更処理において、ステップS441の処理が加速状態検出手段に対応している。
このように、上記第6の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合に、自車両が加速中であるか否かを判定することで、先行車両の急な加速に応じて自車両も加速されるような、運転者が違和感を覚える状況を確実に判断できると共に、自車両が加速中であることを検出し、且つ運転者の心拍数上昇が一定時間継続していることを検出している場合には、追従走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更することにより、運転者の心理的負担を抑制することができる。
【0067】
なお、上記第6の実施形態においては、ステップS47で固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS47で図11に示す第2の実施形態におけるステップS411と同様に減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定し、ステップS42で図11に示す第2の実施形態におけるステップS412と同様に通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するようにしてもよく、ステップS47で図12に示す第3の実施形態におけるステップS421と同様に目標車間距離Dを通常目標車間距離Dより大きい値に補正し、ステップS42の処理を削除するようにしてもよい。
【0068】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図16は、第7の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図13に示す第4の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS41の処理の後に先行車両の加減速頻度を判定するステップS451が追加されていることを除いては図13と同様の処理を行い、図13と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0069】
この第7の実施形態によると、心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされている状態で先行車両に追従走行しているときには、ステップS41からステップS451に移行して、前述した図14に示す第5の実施形態におけるステップS431と同様に先行車両の加減速頻度を判定する。ステップS451の判定結果が、加減速度の符号変換が所定値(例えば、5秒間に1回)以上行われているときには運転者の心理負荷増大の原因となる可能性があると判断して前述したステップS43に移行する。
【0070】
一方、先行車両の加減速度の符号変換回数が所定値より少ないときには、前記ステップS42に移行して通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
この図16の制御特性変更処理において、ステップS451の処理が先行車加減速頻度検出手段に対応している。
このように、上記第7の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合に、先行車両の加減速頻度を検出することで、先行車両が加速と減速を小刻みに繰り返すことで自車両も加減速が頻繁に行われるような、運転者が違和感を覚える状況を確実に判断できると共に、先行車両の加減速が頻繁に行われていることを検出し、且つ運転者の心拍数上昇が一定時間継続していることを検出した場合には、目標車間距離を通常目標車間距離より大きく設定すると共に、追従走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更することにより、運転者の心理的負荷を軽減でき、且つ運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0071】
なお、上記第7の実施形態においては、ステップS47で固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS47で図11に示す第2の実施形態におけるステップS411と同様に減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定し、ステップS42で図11に示す第2の実施形態におけるステップS412と同様に通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するようにしてもよい。
【0072】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
図17は、第8の実施形態における、車間距離制御演算部43において実行される制御特性変更処理手順のフローチャートであって、図13に示す第4の実施形態における制御特性変更処理において、ステップS41の処理の後に自車両が加速中であるか否かを判定するステップS461が追加されていることを除いては図13と同様の処理を行い、図13と同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0073】
この第8の実施形態によると、心拍数閾値設定フラグSが“1”にセットされている状態で先行車両に追従走行しているときには、ステップS41からステップS461に移行して前述した図15に示す第6の実施形態におけるステップS441と同様に自車両が加速中であるか否かを判定し、自車両が加速中であるときには、運転者の心理負荷増大の原因となる可能性があると判断して前述したステップS43に移行する。
【0074】
一方、自車両が加速中でないときには、前記ステップS42に移行して通常通りの制御特性で追従走行制御を継続する。
この図17の制御特性変更処理において、ステップS461の処理が加速状態検出手段に対応している。
このように、上記第8の実施形態では、自車両が先行車両に追従走行している場合に、自車両が加速中であるか否かを判定することで、先行車両の急な加速により自車両も加速されるような、運転者が違和感を覚える状況を確実に判断できると共に、自車両が加速中であることを検出し、且つ運転者の心拍数上昇が一定時間継続していることを検出している場合には、目標車間距離を通常目標車間距離より大きく設定すると共に、追従走行制御の制御特性を通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更することにより、運転者の心理負荷を軽減でき、且つ運転者に違和感のない走行制御を行うことができる。
【0075】
なお、上記第8の実施形態においては、ステップS47で固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステップS47で図11に示す第2の実施形態におけるステップS411と同様に減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値に設定し、ステップS42で図11に示す第2の実施形態におけるステップS412と同様に通常減衰係数ζを減衰係数ζとして設定するようにしてもよい。
【0076】
なお、上記各実施形態においては、運転者状態検出手段として、運転者の脈パルスを読み取って心拍数を計測する心拍センサ16を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単位時間当たりの心拍数、心拍パルス間隔のばらつき、心拍パルス間隔で判断するようにしてもよい。心電図を計測するセンサを適用して心拍パルスを解析する場合には、運転者が心理負荷を感じると心拍数は増加し、図18に示す心電図のR波とR波の間隔であるRRIと、心拍間隔RRIのばらつきを示すRRVは平常時に比べて小さい値となるため、RRI及びRRVの閾値を平常状態値より小さい値に設定することにより、運転者の心理負荷増大を検出することができる。また、運転者の掌の皮膚インピーダンス、瞬目波形等を計測するセンサを適用して運転者の精神状態を計測するようにしてもよい。
【0077】
また、上記各実施形態においては、先行車両を検出している場合に制御特性変更処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、先行車両を検出していない場合でも、下り坂を走行中の自車両の加速を制限するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、制御特性変更処理において、固有振動数ωを通常固有振動数ωn0より小さい値である低制御固有振動数ωnLに変更するか、若しくは減衰係数ζを通常減衰係数ζより大きい値である低制御減衰係数ζに変更する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、固有振動数ωを低制御固有振動数ωnLに変更し、且つ減衰係数ζ低制御減衰係数ζに変更するようにしてもよい。
【0078】
さらに、上記各実施形態においては、先行車両を捕捉していない場合を単独走行状態とし、この単独走行状態で加減速度が小さいときに心拍数閾値PSETを設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、先行車両を捕捉している追従走行状態で車間距離D>目標車間距離D+αであるとき(車間距離Dが目標車間距離Dより十分に広いとき)を含めて心拍数閾値PSETを設定するようにしてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態においては、追従制御用コントローラ20でソフトウェアによる演算処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、関数発生器、比較器、演算器等を組み合わせて構成した電子回路でなるハードウェアを適用して構成するようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車に本発明を適用することもでき、また回転駆動源としてエンジン2を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータを適用することもでき、さらには、エンジンと電動モータとを使用するハイブリッド仕様車にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の追従制御用コントローラの具体例を示すブロック図である。
【図3】図2の測距信号処理部を説明するためのブロック図である。
【図4】図2の相対速度演算部を説明するためのブロック図である。
【図5】図2の車間距離制御演算部を説明するためのブロック図である。
【図6】図2の車間距離制御演算部を説明するためのブロック図である。
【図7】図2の目標車間距離設定部を説明するためのブロック図である。
【図8】図2の車間距離制御部における制御特性変更判断処理を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態における制御特性変更処理の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図11】第2の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図14】第5の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図15】第6の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図16】第7の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図17】第8の実施形態における図8の制御特性変更判断処理の制御特性変更処理を示すフローチャートである。
【図18】心拍センサとして心電図を適用した場合の説明図である。
【符号の説明】
2 エンジン
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ
8 制動制御装置
11 エンジン出力制御装置
12 スロットルバルブ
13 車速センサ
14 車間距離センサ
16 心拍センサ
17 追従走行制御スイッチ
20 追従制御用コントローラ
50 車速制御部
51 目標車速設定部
53 目標駆動軸トルク演算部
60 駆動軸トルク制御部

Claims (8)

  1. 自車両の車速を検出する自車速検出手段と、自車両前方の追従制御対象車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、少なくとも車間距離検出値および目標車間距離に基づいて車間距離を目標車間距離とするための目標車速を演算する目標車速演算手段と、自車速検出値が前記目標車速となるように制駆動力を制御する車速制御手段とを備えた先行車追従制御装置において、
    運転者の心理的負担を検出する運転者心理負担検出手段と、該運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出したときに、前記車速制御手段の制御特性を通常走行制御中の通常制御特性より緩やかな低制御特性に変更する制御特性変更手段とを備えていることを特徴とする先行車追従制御装置。
  2. 先行車両と自車両との相対速度を検出する相対速度検出手段を備え、前記目標車速演算手段は、少なくとも目標車間距離と車間距離との偏差に第1のゲインを乗じた値と、前記相対速度検出手段で検出した相対速度に第2のゲインを乗じた値とをもとに目標車速を演算すると共に、前記第1のゲイン及び第2のゲインを走行状態に基づく固有振動数及び減衰係数をもとに算出し、前記制御特性変更手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出したときに、前記固有振動数を、それ以外の通常走行状態における通常制御特性を設定するときに用いる通常固有振動数より小さい値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の先行車追従制御装置。
  3. 先行車両と自車両との相対速度を検出する相対速度検出手段を備え、前記目標車速演算手段は、少なくとも目標車間距離と車間距離との偏差に第1のゲインを乗じた値と、前記相対速度検出手段で検出した相対速度に第2のゲインを乗じた値とをもとに目標車速を演算すると共に、前記第1のゲイン及び第2のゲインを走行状態に基づく固有振動数及び減衰係数をもとに算出し、前記制御特性変更手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出したときに、前記減衰係数を、それ以外の通常走行状態における通常制御特性を設定するときに用いる通常減衰係数より大きい値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の先行車追従制御装置。
  4. 前記目標車間距離を補正する目標車間距離補正手段を備え、前記目標車間距離補正手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出したときに、目標車間距離を通常走行制御中の通常目標車間距離より大きい値に補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の先行車追従制御装置。
  5. 先行車両の加減速頻度を検出する先行車加減速頻度検出手段を備え、前記制御特性変更手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出すると共に、前記車間距離検出手段で先行車両を検出し、且つ前記先行車加減速頻度検出手段で検出した加減速頻度が所定値以上のときに、追従走行制御の制御特性を通常制御特性から低制御特性に変更するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の先行車追従制御装置。
  6. 自車両の加速状態を検出する加速状態検出手段を備え、前記制御特性変更手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出し、且つ前記加速状態検出手段で自車両の加速状態を検出しているときに、走行制御の制御特性を通常制御特性から低制御特性に変更するように特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の先行車追従制御装置。
  7. 先行車両の加減速頻度を検出する先行車加減速頻度検出手段を備え、前記目標車間距離補正手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出すると共に、前記車間距離検出手段で先行車両を検出し、且つ前記先行車加減速頻度検出手段で検出した加減速頻度が所定値以上のときに、目標車間距離を通常目標車間距離より大きい値に補正するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の先行車追従制御装置。
  8. 自車両の加速状態を検出する加速状態検出手段を備え、前記目標車間距離補正手段は、前記運転者心理負担検出手段で運転者の心理負担増大を検出し、且つ前記加速状態検出手段で自車両の加速状態を検出しているときに、目標車間距離を通常目標車間距離より大きい値に補正するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の先行車追従制御装置。
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