JP2004269509A - ヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法 - Google Patents

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Yoichi Takagi
洋一 高木
Kazuya Oharu
一也 大春
Keiichi Onishi
啓一 大西
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Abstract

【課題】コスト面でも有利な、水、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素などの不純物が少ないヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法を提供する。
【解決手段】ヘキサフルオロプロピレンと酸素を反応させて得たヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物を、活性炭および下記金属酸化物から選ばれる少なくとも1種の吸着剤に接触させて精製する方法であって、上記金属酸化物が、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とするヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(以下、HFPOと略記することがある。)の製造方法に関するものである。
HFPOは、含フッ素の樹脂やゴム等の原料モノマーとして有用な化合物であり、工業的にはヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPと略記する。)の酸化反応によって製造されている。HFPO中には不純物として、未反応のHFP、水、フッ化水素(以下、HFと略記する。)、ヘキサフルオロアセトン(以下、HFAと略記する。)、ペルフルオロプロピオニルフルオリド(以下、PFPFと略記する。)やペルフルオロアセチルフルオリド等のペルフルオロ酸フルオリド、フッ化カルボニル等が含まれている。これらの不純物はHFPOの製造工程だけでなく、金属容器での保管中に生成するものもある。
前述の不純物の中でHFAとペルフルオロ酸フルオリドは、HFPOを重合させた場合に、連鎖移動剤として作用し、重合反応を阻害する。また、水やHFも重合反応の阻害物質として作用する。そのため、HFPOを重合反応に用いる場合には、不純物として含まれる水、HF、HFA、ペルフルオロ酸フルオリドを除去した後、使用することが必要である。
HFPO中の水を除去する方法としては、モレキュラーシーブスにHFPOを気相で流通させる方法が知られている(特許文献1参照)。また、HFPO中の水、HF、HFA、ペルフルオロ酸フルオリドを除去する方法としては、前段に金属水酸化物を、後段に金属水素化物を充填し、HFPOを気相で流通させる方法が知られている(特許文献2参照)。一方、HFPOの製造や保存の際に、HFPOからHFAへの転位を防止するため、水または水を含む化合物を共存させる方法も知られている(特許文献3参照)。
しかしながら上記の方法には種々の欠点がある。例えば、特許文献1に記載の方法では、モレキュラーシーブスの触媒作用によって、HFPOのHFAへの異性化が起こる。また、モレキュラーシーブスがHFによってフッ素化されることで、異性化が加速されるだけでなく、HFPOの分解が進行するという問題がある。
一方、特許文献2に記載の方法では、前段の金属水酸化物で水が副生することから、これを除去するため、後段に金属水素化物を組み合わせる必要がある。そのため、装置が大型化して設備費が高くなるだけでなく、前段と後段の両方の充填物を交換するのに手間がかかる。また、金属水素化物は高価であるためランニングコストが高くなるのに加え、水素を副生するという欠点がある。
さらに、特許文献3に記載の方法では、石川延男, 有機合成化学第35巻第2号,p.133(1977)に記載されるように、HFPOと水が反応してピルビン酸のヒドラートとHFを生成する。生成したHFは、特公平1−61090号公報に記載されるように、HFPOをHFAへ異性化させるため、結果的にはHFAを増加させることになるという欠点がある。
米国特許第3,412,148号明細書 特開昭57−175185号公報 特許第3306957号公報
従来の方法の問題を解決し、コスト面でも有利であり、水、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素などの不純物が少ない優れたヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法を提供する。
本発明者等は、鋭意検討した結果、HFPと酸素とを反応させて得たHFPOを含む反応生成物を、特定の物質を用いて精製することにより、前述の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(10)に存する。なお、本発明において量比を表す「ppm」は、特に言及しない限り、容量比である「容量ppm(volppm)」を表す。
(1)ヘキサフルオロプロピレンと酸素を反応させて得たヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物を、活性炭および金属酸化物から選ばれる少なくとも1種の吸着剤に接触させて精製する方法であって、前記金属酸化物が、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とするヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法。
(2)金属酸化物が、Mg、Ca、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物である、(1)に記載の製造方法。
(3)吸着剤が、比表面積が10m2/g以上の吸着剤である、(1)または2に記載の製造方法。
(4)吸着剤が、吸着された水分をあらかじめ除去した吸着剤である、(1)、(2)または(3)に記載の製造方法。
(5)吸着された水分をあらかじめ除去した吸着剤が、水分を吸着した吸着剤に水分を実質的に含まない不活性ガスを流通させることによって水分を除去してなる吸着剤である、(4)に記載の製造方法。
(6)ヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物を気相で吸着剤に接触させる、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)ヘキサフルオロプロピレンと酸素を反応させて得たヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物に蒸留、アルカリ洗浄および脱水剤による脱水処理から選ばれる少なくとも1つの前処理を施し、当該前処理された反応生成物を吸着剤に接触させて精製する、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)吸着剤に接触させる反応生成物が、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素および水分の少なくとも1種を300volppm以上含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)吸着剤に接触させる反応生成物が、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素および水分の少なくとも1種を500volppm以上含み、精製されたヘキサフルオロプロピレンオキシドが当該500volppm以上含む成分が100volppm以下のヘキサフルオロプロピレンオキシドである、(1)〜(8)のいずれか一項のいずれかに記載の製造方法。
(10)精製されたヘキサフルオロプロピレンオキシドが、水分量100volppm以下、ヘキサフルオロアセトン量100volppm以下、かつ、フッ化水素量100volppm以下のヘキサフルオロプロピレンオキシドである、(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
本発明においては、HFPと酸素とを反応させて得たHFPOを含む反応生成物を、吸着剤として、活性炭、ならびに、周期表の1族、2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物の少なくとも一つを用いて精製処理するので、純度の高いHFPOを製造することが可能であり、精製設備の小型化も可能となるため、ランニングコストと設備費が安くなる。また、水素の副生といった問題も起こらない。
本発明において吸着剤として使用される活性炭または金属酸化物の表面には、多くの場合、水酸基が存在している。この水酸基は水、HF、HFA、ペルフルオロ酸フルオリドを吸着除去する活性点として作用し、吸着剤がHFやペルフルオロ酸フルオリドを吸着した場合にはこの水酸基と反応して水が生成する。しかしながら、本発明における活性炭または金属酸化物は、脱水剤として作用し、生成した水を再吸着して除去するため、後段に高価な金属水素化物を組み合わせることが不要となる。また、精製装置の小型化も可能となるため、ランニングコストと設備費が安くなる。さらに、水素の副生といった問題も起こらない。
吸着剤としては異性化触媒として作用する金属酸化物成分を実質的に含まないことが必要である。異性化触媒として作用する金属酸化物としては、Fe、Cr、Ni等の遷移金属の酸化物やアルミニウムの酸化物がある。したがって、本発明における吸着剤は、特にこれら遷移金属酸化物および酸化アルミニウムを実質的に含まない吸着剤であることが好ましい。
また、Fe、Cr、Ni等の遷移金属酸化物や、シリカ−アルミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ等の酸性度の高い酸化物を用いると、HFPOの異性化が起こる。特に、これらの金属酸化物がHFによってフッ素化されてフッ素化金属酸化物に変換されると、酸性度が高くなり、特開昭58−62131号公報に記載されているように、高活性な異性化触媒として作用する。しかしながら、本発明の周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物は、それ自身異性化能を有さず、HFによってフッ素化されても酸性度が高くならないため、HFPOの異性化も抑えられるものと考えられる。
即ち、HFPの酸化工程で得られるHFPOを含む反応生成物の中には、前述したように、HF、HFA、ペルフルオロ酸フルオリド等の重合阻害物質が含まれており、それを除去するために通常は、アルカリとの接触による洗浄工程、モレキュラーシーブスでの乾燥工程を必要とする。しかし、この除去方法においては、モレキュラーシーブスで吸着しきれない水が残存するのに加え、水とHFPOが反応してHFが生成するという問題や、モレキュラーシーブスによってHFPOが異性化し、HFAが生成するという問題があった。
しかしながら、本発明においては、上記の吸着剤を用いて精製処理を行うので、水、HF、HFAの含有量が非常に少ない優れたHFPOを製造することが可能となったのである。
本発明の上記した方法によれば、好ましくは水分量が100ppm以下、より好ましくは20ppm以下のHFPOを得ることができる。また、本発明の上記した方法によれば、好ましくはHFA量が100ppm以下、より好ましくは20ppm以下のHFPOを得ることができる。さらには、本発明の上記した方法によれば、好ましくはHF量が100ppm以下、より好ましくは20ppm以下のHFPOを得ることができる。
特に、本発明の上記した方法によれば、水分量100ppm以下、HFA量100ppm以下、かつ、HF量100ppm以下のHFPOを得ることができる。特にこれら3者を含め吸着剤で除去される不純物の合計量が200ppm以下のHFPOを得ることができる。さらに、水分量20ppm以下、HFA量20ppm以下、かつ、HF量20ppm以下のHFPOを得ることができる。特にこれら3者を含め吸着剤で除去される不純物の合計量が100ppm以下のHFPOを得ることができる。
本発明の方法は、HFPと酸素とを反応させて得たHFPOを含む反応生成物を、活性炭ならびに周期表の1族、周期表の2族、Zr、およびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物の少なくとも一つの吸着剤で処理することにより精製することを特徴とする。
本発明の方法で使用し得る活性炭は、特に限定されるものではないが、HFPOの異性化を促進するようなFe、Cr、Ni、Al等の金属分の含有量が少ないものが好ましい。活性炭としては、木材、木炭、果実ガラ、ヤシガラ、泥炭、亜炭、石炭等のいずれから調製したものも使用し得るが、鉱物質原料よりも植物質原料から得られる活性炭が好ましい。特にヤシガラ活性炭が、比表面積が高く、金属不純物が少なく、耐酸性が高いという点で最適の活性炭である。
本発明の方法において吸着剤として使用し得る金属酸化物は、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であれば特に限定されるものではないが、Mg、Ca、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が好ましく、入手の容易さ、価格、不純物の除去性能の点でSiの酸化物が特に好ましい。
また、本発明で使用し得る金属酸化物として、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を担体とし、これに周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の塩を水や有機溶媒等に溶解させた溶液を含浸させ、乾燥させた後、焼成することにより、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を担持したCaO/MgO、MgO/ZrO2、MgO/SiO2、CaO/ZrO2、CaO/SiO2、SiO2/ZrO2、Na2O/SiO2、BaO/SiO2等も用い得る。
さらに、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の塩を水や有機溶媒等に溶解させた溶液から、共沈法で調製したCaO−MgO、MgO−ZrO2、MgO−SiO2、CaO−ZrO2、CaO−SiO2、SiO2−ZrO2、SiO2−MgO−CaO、Na2O−SiO2、BaO−SiO2等の複合酸化物も用いることができる。
本発明で使用し得る吸着剤の比表面積は、不純物の除去性能の点で10m2/g以上が好ましく、100m2/g以上が特に好ましく、300m2/g以上がとりわけ好ましい。上限については、特に限定されるものではないが通常2000m2/gである。本発明における吸着剤の比表面積は、窒素吸着法により求めた比表面積である。
また、本発明で使用し得る吸着剤は、好適な脱水剤として作用することから、常温で長期間保存しておくと、空気中の水分が表面に吸着し、不純物の除去性能が低下する可能性がある。従って、精製処理に供する前に水分除去処理を行い、不純物の除去性能を高くした状態にしておくことが好ましい。即ち、本発明で使用し得る吸着剤としては、水分除去処理を行った活性炭、または、水分除去処理を行った金属酸化物を用いることが好ましい。
水分除去処理の方法としては、減圧(真空)乾燥や不活性なガスを流通させる方法等が挙げられるが、好ましくは、水分を実質的に含まない不活性ガスを、特に好ましくは窒素ガスを流通させる方法が用いられる。
不活性ガスを流通させる温度は、水分除去処理ができる温度であれば特に限定されないが、低すぎると水分除去が充分ではなく、高すぎると吸着剤の表面水酸基が消失して不純物の除去性能が低下することから、50〜250℃が好ましく、80〜150℃が特に好ましい。
本発明の方法においては、HFPの酸化工程で得られた反応生成物をそのまま吸着剤による精製処理に供することができ、また適当な前処理をした反応生成物を吸着剤による精製処理に供することができる。反応生成物中の不純物量が多すぎる場合、吸着剤の寿命が低下し、頻繁に吸着剤の交換が必要となり経済性を損ねる。HFPの酸化工程で得られた直後の反応生成物は、通常、反応溶媒や多量の酸性不純物を含む。したがって、適当な前処理を行い、不純物量をある程度以下とした反応生成物を本発明の吸着処理に供することが好ましい。
上記前処理としては、蒸留、アルカリ洗浄、本発明における前記吸着剤以外のモレキュラーシーブ等の脱水剤による処理などがあり、これらを組み合わせてもよい。例えば蒸留の場合、ある程度の量の不純物を除去することができるが、HFPOと同程度の沸点を有する不純物やHFPOよりも低沸点の不純物を充分に除去することは困難である。例えばアルカリ洗浄の場合、酸性度の高い不純物の除去は可能であるがHFAや水分の除去は困難であり、特にアルカリ水溶液による洗浄の場合は逆にHFPO中の水分が増加する。例えば、アルカリ洗浄後にモレキュラーシーブで脱水を行っても、水分は除去されるがアルカリ洗浄で一旦除去されたHF、HFA、PFPFなどが新たに生成してこれらの量が増加する。つまり、これら前処理のみによっては本発明が目的とする不純物が充分に少ないHFPOを得ることは困難である。したがって、これら前処理によって除去しきれない不純物を本発明の吸着処理により除去することが好ましい。
特に、蒸留やアルカリ水溶液による前処理を行っても反応生成物中に多量の水が存在する場合には、新たにHFやHFAが生成してもモレキュラーシーブスで乾燥させた後に本発明による精製処理を行うほうが、本発明による精製処理後により純度の高いHFPOを得ることができるため好ましい。
アルカリ洗浄としては、限定されるものではないが、アルカリ水溶液、アルカリ有機溶媒による洗浄、固体アルカリを通過させることによる洗浄等があり、アルカリ水溶液による洗浄が好ましい。洗浄に使用されるアルカリ水溶液としては、例えば、KOH、NaOH、K2CO3、または、Na2CO3の水溶液が挙げられ、操作性と効果の点で、特にKOHの水溶液が好ましい。
HFPと酸素を反応させて得たHFPOを含む反応生成物をアルカリ水溶液と接触させることにより、HF、HFA、PFPFなどが除去され、これらの不純物の少ない反応生成物が得られる。しかし、水分量は著しく増大し、この水分を除去する必要性が生じる。したがって、この反応生成物をHF、HFA、PFPFなどを増大させることなく脱水するためには、前記本発明における吸着剤と接触させて水分を除去することが好ましい。この水分量の多い反応生成物を前記本発明における吸着剤と接触させて得られるHFPOとしては、水分量が100ppm以下のHFPOであることが好ましい。
本発明の吸着剤に接触させる反応生成物(上記前処理後の反応生成物も意味する)としては、吸着剤によって除去される成分、特にHFA、HF、水分の少なくとも1種を300ppm以上、特に500ppm以上、含む反応生成物であることが好ましい。本発明の吸着処理によって、当該300ppm以上、特に500ppm以上、の成分が100ppm以下となった精製されたHFPOを得ることができる。
本発明の吸着剤に接触させる反応生成物は、HFPOに対して、HFA量が10vol%以下、HF量が10vol%以下かつ水分量が20vol%以下であって、これらの少なくともいずれかが300ppm以上の反応生成物が好ましい。また、PFPFは10vol%以下が好ましい。吸着剤の寿命と本発明の目的を考慮すると、特に、HFA量が1vol%以下、HF量が1vol%以下かつ水分量が2vol%以下(さらにPFPFを含む場合は1vol%以下)であって、これらの少なくともいずれかが500ppm以上の反応生成物が好ましい。また、本発明の吸着剤に接触させる反応生成物としては、上記以外の不純物を含めても不純物の合計量が20vol%以下、特に5vol%以下、の反応生成物が好ましい。吸着剤の寿命を考慮すると、不純物の合計量が2vol%以下が最も好ましい。なお、上記不純物とは吸着剤で除去される酸性物質や有機物をいう。この不純物とは窒素ガスや未反応HFPなどの不活性ガスを意味しないものであり、例え吸着処理に供するHFPOが不活性ガスや未反応HFPを含んでいたとしても不純物量の計算には考慮しないものとする。通常、精製処理に供するHFPOは未反応HFPなどの不活性ガスを実質的な量含有していない。
上記反応生成物を吸着剤で精製処理して得られた精製されたHFPOとしては、HFA量が100ppm以下のHFPOであることが好ましく、また、HF量が100ppm以下のHFPOであることが好ましい。さらに、HFA量が100ppm以下かつHF量が100ppm以下のHFPOであることが好ましい。また上記反応生成物が比較的水分量の少ないHFPOであっても、上記精製されたHFPOとしては、さらに水分が除去されたHFPOであることが好ましく、その水分量は100ppm以下であることが好ましい。上記精製されたHFPOとしては、さらにPFPFが除去されたHFPOであることが好ましく、そのPFPF量は100ppm以下、特に20ppm以下、であることが好ましい。
本発明において、吸着剤による精製処理の方法は、限定されるものではない。好ましくは、吸着剤を充填した吸着塔に、HFPOをバッチまたは連続で導入し、気相または液相で接触させることにより実施される。
気相法と液相法では最適な接触条件が異なるが、気相法の場合、吸着塔の温度は、低すぎるとHFPOの液化が起こりやすくなり、高すぎると不純物の除去性能が低下することから、0〜50℃が好ましく、20〜40℃が特に好ましい。吸着塔の圧力は、HFPOが液化しない圧力であれば特に限定されるものではなく、減圧〜1MPa(ゲージ)が好適に用いられる。吸着塔における接触時間は、短すぎると不純物の除去性能が充分ではなく、長すぎると生産効率が悪くなることから、0.5〜30分が好ましく、1〜10分が特に好ましい。
液相法の場合は、吸着塔の温度は、低すぎると冷却能力の高い冷却機やドライアイス等が必要となり、高すぎると不純物の除去性能が低下するのに加え、HFPOを液化させるのに高圧が必要となることから、−70〜+30℃が好ましく、−30〜0℃が特に好ましい。吸着塔の圧力は、HFPOが液化する圧力であれば特に限定されるものではなく、減圧〜1MPa(ゲージ)が好適に用いられる。吸着塔における接触時間は、短かすぎると不純物の除去性能が充分ではなく、長すぎると生産効率が悪くなることから、1〜100時間が好ましく、10〜40時間が特に好ましい。液相法では、HFPO1000mlに対して、吸着剤を好ましくは10〜500ml、より好ましくは50〜200ml使用する。
なお、気相法は液相法に比べて常温付近での精製処理が可能であるため、冷却等に使用する電力が少なく、さらに、接触時間が短いため生産効率が高いという長所があるので、本発明においては、HFPOを含む反応生成物を気相で精製処理することが好ましい。
以下に本発明の具体的態様を実施例および比較例により説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
実施例1
ヤシガラ活性炭(比表面積=900m2/g)100mlを、内径16mm、長さ1mのインコネル製の吸着塔に充填してオイルバスで100℃に加熱し、これに水分量10ppm以下の窒素ガスを接触時間10秒で導入して24時間の乾燥を行った。24時間後、排出された窒素ガス中の水分量は導入した乾燥窒素ガス中の水分量と同等以下であることを確認した。その後、吸着塔を冷却して30℃に保ち、常圧下、接触時間3分で、不純物として水、HF、HFA、PFPFを含むHFPOを吸着塔に導入し処理を行った。処理を20時間行った後、吸着塔出口のHFPOを採取し、露点計で水分を、ガス検知管でHFを、19F−NMRでHFAおよびPFPFを分析した。なお、上記不純物を含むHFPOはHFPの酸化工程から得られる反応生成物を蒸留処理して得られたHFPOである。
実施例2
実施例1のヤシガラ活性炭をMgO(比表面積=120m2/g)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例3
実施例1のヤシガラ活性炭をZrO2(比表面積=90m2/g)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例4
実施例1のヤシガラ活性炭を共沈法で合成したMgO−SiO2複合酸化物(MgO/SiO2モル比=0.05,比表面積=150m2/g)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例5
実施例1のヤシガラ活性炭をシリカゲル(比表面積=500m2/g)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例6
1000mlのオートクレーブにシリカゲル(比表面積=500m2/g)100mlを投入し、オイルバスで100℃に加熱した。これに窒素ガスを接触時間10秒で導入し、24時間の乾燥を行った。その後、オートクレーブを冷却して−20℃に保ち、HFPOを500g導入した。20時間経過後に、オートクレーブ内のHFPOを採取し、実施例1と同様の方法で分析を行った。
比較例1
実施例1のヤシガラ活性炭をモレキュラーシーブス(比表面積=100m2/g)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1〜6および比較例1における精製処理前後のHFPO中の不純物濃度を表1に示す。
Figure 2004269509
実施例7
実施例1において、ヤシガラ活性炭をシリカゲル(比表面積=500m2/g)に変更し、実施例1〜6に用いたものと同じ不純物を含むHFPOをさらにアルカリ水で洗浄して得たHFPOを使用する以外は、実施例1と同様に行った。精製処理前後のHFPO中の不純物濃度を表2に示す。
Figure 2004269509

Claims (10)

  1. ヘキサフルオロプロピレンと酸素を反応させて得たヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物を、活性炭および金属酸化物から選ばれる少なくとも1種の吸着剤に接触させて精製する方法であって、前記金属酸化物が、周期表の1族、周期表の2族、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とするヘキサフルオロプロピレンオキシドの製造方法。
  2. 金属酸化物が、Mg、Ca、ZrおよびSiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 吸着剤が、比表面積が10m2/g以上の吸着剤である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 吸着剤が、吸着された水分をあらかじめ除去した吸着剤である、請求項1、2または3に記載の製造方法。
  5. 吸着された水分をあらかじめ除去した吸着剤が、水分を吸着した吸着剤に水分を実質的に含まない不活性ガスを流通させることによって水分を除去してなる吸着剤である、請求項4に記載の製造方法。
  6. ヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物を気相で吸着剤に接触させる、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. ヘキサフルオロプロピレンと酸素を反応させて得たヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む反応生成物に蒸留、アルカリ洗浄および脱水剤による脱水処理から選ばれる少なくとも1つの前処理を施し、当該前処理された反応生成物を吸着剤に接触させて精製する、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 吸着剤に接触させる反応生成物が、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素および水分の少なくとも1種を300volppm以上含む、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 吸着剤に接触させる反応生成物が、ヘキサフルオロアセトン、フッ化水素および水分の少なくとも1種を500volppm以上含み、精製されたヘキサフルオロプロピレンオキシドが当該500volppm以上含む成分が100volppm以下のヘキサフルオロプロピレンオキシドである、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 精製されたヘキサフルオロプロピレンオキシドが、水分量100volppm以下、ヘキサフルオロアセトン量100volppm以下、かつ、フッ化水素量100volppm以下のヘキサフルオロプロピレンオキシドである、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
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