JP4758722B2 - 塩化水素ガスの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クロロジフルオロメタンの製造において、副生成物として排出されるフッ素系化合物を含む塩化水素ガスを精製する新規な方法である。詳しくは、該塩化水素ガスより、不純物を効率よく除去でき、純度の高い塩化水素ガスを精製する方法である。
塩化水素は広範囲の用途を持つ工業基礎原料であり、通常、塩素と水素とを反応させて得られる合成塩化水素を精製することにより製造される。さらに、塩化水素は、塩化ビニル製造工程、塩化メチル製造工程、フルオロカーボン製造工程、ウレタン製造工程、ポリカーボネート製造工程等において副生として排出されている。
一般に、上記工程での副生塩化水素は不純物として、有機塩素化合物、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、フッ素系化合物、硫黄化合物等含んでいることが良く知られている。特に、フルオロカーボン製造工程で排出される塩化水素ガス中には、不純物としてフッ素系化合物等、具体的には、フッ化水素、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル等を含んでいる。
このため、特に前記フッ素系化合物を含む副生塩化水素を、エチレンジクロライド製造工程、塩化メチル製造工程または、塩化水素の酸化反応により塩素にする製造工程等に使用する際には、著しい触媒劣化があり、触媒活性の低下と反応性を大きく低下させる問題があった。
こうした理由から、これまで副生塩化水素を精製して有効利用する技術が提案されている。中でも、フッ素系化合物を含有する塩化水素ガスを精製する方法としては、以下に示す方法が提案されている。
例えば、塩化水素中のフッ素化合物を除去する方法として、一般的に蒸留方式が考えられており、蒸留方式による塩化水素中のフッ素化合物を除去する方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、塩化水素の精製方式の一つである蒸留方式においては、塩化水素とフッ素系化合物が共沸しやすいため、沸点の近い化合物を除去するには多量の抽出剤を添加するか、大きな蒸留装置が必要であった。また、高純度の塩化水素ガスを使用しなければならない用途、例えば、前記の通り、エチレンジクロライド製造工程、塩化メチル製造工程または、塩化水素の酸化反応により塩素を製造する工程等に使用する場合には、更なる塩化水素ガスの精製が求められていた。
また、塩酸水溶液より、塩化水素ガスを放散せしめ、ガス状で回収する方法が古くから知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法を使用すれば、フッ素系化合物と塩化水素ガスとを分離することができる。
しかしながら、この方法においては、高沸化合物中のフッ素系化合物も同時に放散し、回収したガス状の塩化水素中にフッ化水素等が残存する場合があり、塩化水素の純度を低下させる原因となる。しかも、該フッ素系化合物は塩化水素と沸点が近いがために、塩化水素ガスの純度を高めることができないといった点で改善の余地があった。
また、パーフルオロオクタンスルフォン酸等のパーフルオロフッ素系界面活性剤を含む塩化ビニル樹脂を熱分解し、得られるフッ素系化合物と塩化水素ガスを含む混合ガスから、塩化水素ガスを回収する方法も知られている。例えば、フッ素系界面活性剤を含む該樹脂を熱分解して得られたガスに含まれるフッ素系化合物を、燃焼させてフッ化水素に転化せしめ、得られた燃焼ガスを、水或いは塩酸水溶液により吸収させた後、得られた塩酸水溶液から塩化水素を放散させる精製方法が開示されている(特許文献3参照)。また、熱分解ガスを冷却して高沸化合物を分離した後、得られたガスを水或いは塩酸水溶液により吸収させた後、得られた塩酸水溶液から塩化水素を放散させる精製方法が開示されている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献3に記載された方法では、フッ素系界面活性剤をフッ化水素に転化させるためにガスを燃焼させなければならず、燃焼のための燃料が必要となる。このため、上記方法では設備費のコストアップと経済性、環境問題といった点で改善の余地があった。また、これら特許文献3、4に記載された方法において、燃焼工程、高沸化合物除去工程以降の塩化水素ガスの精製方法を、クロロジフルオロメタンの製造の際に副生成物として排出される、塩化水素ガスの精製に適用したところ、フッ化水素、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニルとフッ化カルボニルの加水分解で生成するフッ化水素等のフッ素系化合物の低減においては未だ不十分であり、更なる精製が必要であった。
特表平10−506107号公報 特公昭44−10094号公報 特開2002−12411号公報 特開2001−163604号公報
クロロジフルオロメタン製造工程で副生として排出される塩化水素ガスは、フッ素系化合物としてクロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化水素、フッ化カルボニル等の不純物を含有しており、フッ素系界面活性剤を含む塩化ビニル樹脂を熱分解した際に生じる塩化水素ガスとは、その種類、成分の比が異なるものと考えられる。そのため、特許文献3、4の方法を利用した場合においては、これら上記の不純物の除去が十分ではなかったものと考えられる。
特に、クロロジフルオロメタン製造工程で副生として排出される塩化水素ガスは、沸点の近いトリフルオロメタン、フッ化カルボニルが存在し、これらの除去が難しい。また、推定ではあるが、フッ化カルボニルのような精製工程の途中で、特に塩酸酸性水溶液の酸性溶液中で徐々に加水分解してしまうものを含むため、特許文献3、4の方法を利用しただけでは、上記のような他の原料に使用可能な高純度の塩化水素ガスを得ることはできなかったものと考えられる。
以上の通り、クロロジフルオロメタン製造工程において、副生成物として排出されるフッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスから、他の塩素化製品の製造工程に原料として再利用可能なレベルまで精製された状態で塩化水素をガス状で回収して再利用する技術については殆ど検討されておらず、ましてや、課題すら開示がないのが現状である
従って、本発明の目的は、クロロジフルオロメタン製造工程において、副生成物として排出される、少なくともフッ化カルボニルを含むフッ素系化合物を不純物とする塩化水素ガスを、該フッ素系化合物の含有量の極めて低い、高純度の塩化水素とする精製方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために研究を重ねた。その結果、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスを水或いは塩酸水溶液よりなる吸収液に吸収させ、次いで、エアレーション工程にて精製し、さらに、得られた塩酸水溶液は放散工程にて塩化水素ガスとした後、塩化水素ガス精製工程にてフッ素系化合物を除去せしめることにより、かかる副生塩化水素中のフッ素系化合物濃度を著しく減少させ、高純度の塩化水素ガスとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の(a)〜(d)工程
(a)クロロジフルオロメタンの製造において、副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスを、水又は塩酸水溶液よりなる吸収液と接触せしめて、該塩化水素ガスを塩酸水溶液とする塩化水素吸収工程
(b)前記塩化水素吸収工程より得られる塩酸水溶液を、空気および/または不活性ガスによりエアレーションするエアレーション工程
(c)前記エアレーション工程より得られる塩酸水溶液を放散塔に導き、該放散塔の塔頂より塩化水素をガス状で回収する塩化水素ガス放散工程、及び
(d)前記塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガスを、該塩化水素ガスに含まれるフッ素系化合物との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と接触させる塩化水素ガス精製工程
を含んでなり、かつ、上記(d)塩化水素ガス精製工程において、除去剤または吸着剤として、塩化水素を用いる酸化反応に使用される反応触媒、塩化水素の塩素化反応に使用される反応触媒のいずれか1種類の触媒または2種類以上の触媒を使用することを特徴とする塩化水素ガスの精製方法である。
本発明の精製方法によれば、クロロジフルオロメタン製造工程において、副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスから、不純物の濃度が極めて低い、高度に精製された塩化水素ガスを長期間安定して回収することが可能となる。特に、本発明の精製方法により得られる塩化水素ガスは、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物の含有量が極端に少なく、エチレンジクロライド製造工程、塩化メチル製造工程または、塩化水素の酸化反応により塩素を製造する工程等の原料として使用したとしても、触媒の劣化が少なく、高い反応性を維持することができる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明において、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される塩化水素には、少なくともフッ化カルボニルが不純物として含有されるものであり、その製造方法にもよるが、その他のフッ素系化合物として、具体的には、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化水素等が含まれる。そして、それぞれの濃度は、塩化水素に対するクロロジフルオロメタンの重量比10ppm〜50ppm、トリフルオロメタンの重量比5000ppm〜20000ppm、フッ化水素の重量比20ppm〜100ppm、フッ化カルボニルの重量比20ppm〜100ppm程度である。また、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される塩化水素には、その他、フッ素元素を含まない有機ハロゲン化合物も少量含有される。
前記フッ素系化合物の不純物の中、トリフルオロメタン、フッ化カルボニルは、塩化水素に近い沸点を有しており、蒸留等の公知の方法で分離精製するには多大なコストがかかり極めて困難である。
また、フッ化カルボニルは、水またはアルカリ水溶液中で速やかに加水分解し、フッ化水素と炭酸ガスになることが知られているが、フッ化カルボニルは酸性水溶液中では、加水分解速度が低下する。このため、フッ化カルボニルは、塩化水素を精製する各工程に残存することもある。以上のことから、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される塩化水素を精製するに際し、フッ化カルボニルは、その精製工程の途中で一部、フッ化水素になるものも存在すると考えられ、従来の技術を利用しただけでは、フッ化カルボニルやフッ化カルボニルの加水分解物であるフッ化水素を十分に低減することができなかったものと推定される。
本発明の精製方法は、クロロジフルオロメタン製造工程において、副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスの精製方法であり、塩化水素吸収工程、塩酸水溶液のエアレーション工程、塩化水素ガス放散工程、および塩化水素ガス精製工程により、該塩化水素ガスを精製させることが最大の特徴である。また、必要に応じて、エアレーション工程と塩化水素ガス放散工程との間に、塩酸水溶液精製工程を設けることも可能である。
本発明は、かかる工程の組合せにより、クロロジフルオロメタン製造工程から排出される塩化水素ガス中には、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物のほか、フッ素元素を含まない有機ハロゲン化合物も含まれるが、後記に詳述する精製方法に従えば、これらフッ素元素を含まない有機ハロゲン化合物をも低減することが可能である。
以下、これらの工程についてより詳細に説明する。
(a)塩化水素吸収工程
本発明において、塩化水素吸収工程は、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスを、水又は塩酸よりなる吸収液に吸収させて、該塩化水素ガスを塩酸水溶液とする工程である。
また、本発明において、前記塩化水素ガスに含まれるフッ素系化合物のうち、フッ化水素、フッ化カルボニルは、塩化水素ガスと同様に吸収液に吸収される。また、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタンは、水または塩酸水溶液の吸収液に溶解する濃度分だけが該吸収液に吸収される。従って、上記塩化水素吸収工程で得られる塩酸水溶液は、フッ化水素、フッ化カルボニルはほぼ全量含有されるが、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン等の水または塩酸水溶液に難溶な不純物は、この塩化水素吸収工程にて低減される。
本発明の塩化水素吸収工程において、前記吸収液は、塩化水素を溶解可能な水又は塩酸水溶液が使用される。前記吸収液として塩酸水溶液を使用する場合、その吸収効率を考慮すれば、塩化水素の初期濃度が25質量%以下、好ましくは22質量%以下のものを使用することが好ましい。
本発明において、前記塩化水素吸収工程における吸収条件は、特に限定されず、公知の条件が制限なく採用される。例えば、塩化水素ガスを吸収させる際の温度は20〜80℃であって、その際の圧力は、大気圧近傍が一般的である。
本発明において、前記塩化水素ガスを吸収させる際に使用する装置も、公知の吸収塔が特に制限なく使用される。一般には、充填塔やキャップトレー等の棚段塔形式の吸収部を持ち、冷却器を通して液相を循環させる多段の吸収塔や、濡れ壁形式の吸収塔等が挙げられる。
本発明において、前記塩化水素吸収工程より取り出される塩酸中の塩化水素濃度は、可及的に高い方が好ましいが、吸収効率等を考慮すれば、前記吸収液の初期の塩化水素濃度より高く、且つ、10〜40質量%の塩化水素濃度で取り出すことが好ましい。特に、続く塩化水素放散工程の設備費を勘案すると、塩化水素と水の共沸組成以上の濃度で取り出すことが好ましい。かかる共沸組成は、操作圧力によっても異なるが、常圧下では20.2質量%、500Kパスカルゲージでは16質量%である。
(b)エアレーション工程
本発明において、前記(a)塩化水素吸収工程で得られた塩酸水溶液は、次いで、エアレーション処理される。連続して前記塩酸水溶液を処理する場合には、該塩酸水溶液をエアレーション塔に導き、空気および/または不活性ガスを使用してエアレーションすることが好ましい。前記(a)塩化水素吸収工程で得られた塩酸水溶液をエアレーションすることにより、塩酸水溶液中に含まれるクロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン含有量をさらに低減することができる。この工程でクロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン等をさらに低減できるため、最終的に得られる塩化水素ガスの純度を高めることができる。
本発明において、前記エアレーションの条件は、使用する装置の構造、塩酸水溶液の濃
度等によって一概に限定することはできないが、一般には、温度20〜60℃、圧力50〜200Kパスカルゲージ下で、塩酸水溶液1m/h当り、1〜200m/hの不活性ガスを供給して行うことが好ましい。
(e)塩酸水溶液精製工程
また、本発明においては、前記(b)エアレーション工程より得られる塩酸水溶液を、後記に詳述する(c)塩化水素ガス放散工程で処理することも可能であるが、より高純度の塩化水素ガスを回収するためには、前記(b)エアレーション工程と(c)塩化水素ガス放散工程との間に、塩酸水溶液からフッ化水素を含むフッ素系化合物を除去する(e)塩酸水溶液精製工程を設けることが好ましい。該塩酸水溶液精製工程を設けることにより、最終的に得られる塩化水素ガスをより高純度なものとすることができる。
本発明において、前記塩酸水溶液精製工程は、前記エアレーション工程より得られる塩酸水溶液中のフッ化水素およびフッ化カルボニルの加水分解物として生成するフッ化水素を低減し、塩酸水溶液を精製するものである。連続して精製を行う際には、エアレーション工程より得られる塩酸水溶液を、別途、塩酸水溶液精製塔を設けて、該精製塔で処理することが好ましい。
本発明の塩酸水溶液精製工程において、塩酸水溶液中のフッ化水素を低減する方法は、フッ化水素との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と、エアレーション工程より得られる塩酸水溶液とを接触させる方法を採用することにより、塩化水素のロスを少なくすることができる。
本発明において、前記塩酸水溶液精製工程において使用する除去剤または吸着剤は、塩化水素と実質的に反応せず、フッ化水素と反応またはフッ化水素を吸着して、固体となる公知のものが何等制限なく使用することができる。具体的には、シリカ、シリカゲル、塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩類、担体にアルカリ土類金属塩類を担持させたもの、シリカアルミナ、ゼオライト、活性炭、活性白土、アルミナ等の固体酸化物、塩化アルミ、トリメチルクロロシラン等の塩化金属類、フッ化カルシウム等が挙げられる。尚、これら除去剤または吸着剤は、フッ化水素以外のフッ素系化合物、具体的には、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタフッ化カルボニル等も除去または吸着する能力がある。
こうした除去剤または吸着剤は、固体状、水に溶解または分散させた状態のいずれでも使用することができる。さらに、固体状の除去剤または吸着剤は、粒状、破砕状、または成形体のいずれでも使用することができる。
(c)塩化水素ガス放散工程
本発明において、前記エアレーション工程より得られる塩酸水溶液、または前記塩酸水溶液精製工程より得られる塩酸水溶液は、次いで放散塔に送られ、該放散塔の塔頂より塩化水素をガス状で回収する塩化水素ガス放散工程で処理される。
本発明の塩化水素ガス放散工程において、放散塔に供給する塩酸水溶液中にフッ化水素およびフッ化カルボニルの加水分解により生成するフッ化水素が含有される場合、該放散塔に、供給液供給段の上部に蒸留段を設けることが、得られる塩化水素ガス中のフッ化水素(フッ素系化合物)の量を一層低減せしめるために好ましい。より具体的には、塩酸水溶液中のフッ化水素の濃度が塩化水素に対する重量比で300ppm未満の場合、放散塔への供給液供給段上部に0段を超える理論段の蒸留塔を、また、該フッ化水素の濃度が300ppm以上である場合、1段以上の理論段の蒸留段を設けることにより、フッ化水素濃度を塩化水素に対する重量比で100〜40ppmの範囲に制御した精製塩化水素ガスが回収可能となる。但し、上記理論段の上限は、経済性を考慮して10段以下とすることが好ましい。
また、前記したように、放散塔の塔頂部において、還流操作を行うことにより、塩化水素ガス中のフッ化水素濃度を塩化水素に対する重量比で40ppm未満、場合によっては、5〜15ppm程度、フッ化カルボニル濃度1ppm以下、トリフルオロメタン濃度が2〜10ppmおよびモノクロロジフルオロメタン2〜10ppmと低減された塩化水素ガスを得ることができる。
上記還流操作において、凝縮器の冷却温度は、凝縮器出口ガス温度が−90〜40℃、好ましくは−20〜10℃となるように調整することが好ましい。上記凝縮器にて得られる凝縮液は、その一部或いは全量を放散塔に還流することが好ましい。また、この場合、操作を円滑に行うために、凝縮水の氷点以下とならない温度に上記冷却温度を設定することが好ましい。
本発明において、前記放散塔の形式としては、公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、底部にリボイラーを有した充填塔形式や棚段形式等の放散塔を使用して行うことができる。
本発明の塩化水素ガス放散工程において、塩化水素ガスの放散条件は、公知の条件が何等制限されずに適用できるが、温度90〜150℃、圧力50〜500Kパスカルゲージが一般的である。また、塩化水素ガスの用途において、その濃度が低くても良い場合、かかる用途に悪影響を及ぼさないキャリアーガスを供給して放散を行うことも可能である。
また、前記塩化水素ガス放散工程において、放散塔塔底の塩酸水溶液は、その一部又は全部を前記塩化水素吸収工程に循環する塩酸水溶液ラインを設け、吸収液の一部又は全部として使用することが好ましい。以下、この循環する工程を塩酸水溶液循環工程とする。
この場合、循環液中のフッ化水素等の濃度が循環とともに高濃度となるため、該循環液を一部パージするか、該循環液をフッ素系化合物との反応生成物が固体となる除去剤または吸着剤とを接触させて、特にフッ化水素を除去し、循環用塩酸水溶液を精製することが好ましい。
本発明の塩酸水溶液循環工程において、循環用塩酸水溶液の精製においては、特に、循環液の塩酸水溶液を、フッ化水素、加水分解反応しなかったフッ化カルボニル等のフッ素系化合物との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と接触させることが好ましい。前記除去剤または吸着剤は、(c)塩酸水溶液精製工程で使用する除去剤または吸着剤から選択すればよく、中でも、シリカゲル、塩化カルシウム等の除去剤または吸着剤を使用することにより、塩化水素のロスが少なくなるため好ましい。
本発明の塩酸水溶液循環工程において、循環用塩酸水溶液の濃度は、循環時の放散効率等を考慮すれば、塩化水素濃度15質量%以上が好ましく、特に、前記大気圧下における塩化水素と水の共沸組成に可及的に近い塩化水素濃度となるように放散条件を調整することが好ましい。
(d)塩化水素ガス精製工程
本発明においては、前記塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガスを精製する、塩化水素ガス精製工程を含んでなる。この塩化水素ガス精製工程を含むことにより、フッ化水素ガス等のフッ素系化合物を分離除去することができ、より高純度の塩化水素ガスを得ることが可能となる。特に、得られる塩化水素ガスは、エチレンジクロライド製造工程、塩化メチル製造工程、塩化水素酸化による塩化水素ガス製造工程において、原料として使用することができる。
本発明において、前記塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガスを、更に精製しなければならない理由は、明らかではないが、以下の通り推定している。
クロロジフルオロメタン製造工程で副生として排出される塩化水素ガスは、フッ化カルボニルのような精製工程の途中で加水分解してしまうものを含む。そして、このフッ化カルボニルは、水またはアルカリ水溶液中で速やかに加水分解しフッ化水素と炭酸ガスになることが知られているが、フッ化カルボニルは酸性水溶液中では、加水分解速度が低下する。そのため、前記した(a)塩化水素吸収工程、(b)エアレーション工程、(c)塩化水素ガス放散工程、(e)塩酸水溶液精製工程において、不純物としてフッ化水素とフッ化カルボニルが存在するものと考えられ、前記工程だけでは、フッ化カルボニルを十分に除去することができないものと推定される。そして、前記(c)塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガス中に、フッ化カルボニルが加水分解されたフッ化水素が残存するものと考えられる。さらに、塩化水素ガス放散工程で得られた塩化水素ガス中には、少量ではあるが、その他のフッ素系化合物が残存する。このような理由から、クロロジフルオロメタン製造工程で副生として排出される塩化水素ガスの精製においては、塩化水素ガス精製工程が重要になる。
また、(a)塩化水素吸収工程、(b)エアレーション工程、必要に応じて(e)塩酸水溶液精製工程、(c)塩化水素ガス放散工程で処理したものを、更に、(d)塩化水素ガス精製工程で精製することが重要である。このような(a)、(b)、必要に応じて(e)、(c)工程を経ることにより、塩化水素に含まれるフッ化カルボニルが殆んどフッ化水素に加水分解しているものと考えられ、(d)塩化水素ガス精製工程において、塩化水素ガスから容易にフッ化水素としてフッ素系化合物を低減できるものと考えられる。
本発明において、前記塩化水素ガス精製工程は、前記の通り、前記放散塔より得られた塩化水素ガス中に残存するトリフルオロメタン、フッ化水素、フッ化カルボニルおよびフッ化カルボニルの加水分解物であるフッ化水素等のフッ素系化合物を分離除去する工程であり、前記(e)塩酸水溶液精製工程で示した除去剤および吸着剤を使用することができる。
中でも、塩化水素ガス精製工程に使用する除去剤または吸着剤としては、塩化水素の酸化反応、塩化水素の塩素化反応の反応触媒として使用している金属化合物含有アルミナ、金属化合物含有酸化チタンが好ましい。より具体的にはナトリウム化合物含有活性アルミナ、銅化合物含有活性アルミナ、ルテニウム化合物含有酸化チタン、酸化チタンがあげられる。前記塩化水素の酸化反応、塩化水素の塩素化反応の反応触媒を除去剤または吸着剤に使用して塩化水素ガスを精製することにより、得られる精製塩化水素ガスは、該反応の原料として使用した場合、触媒の劣化が少なく、高い反応性を維持することができる。
本発明の塩化水素ガス精製工程において、塩化水素ガスと上記除去剤または吸着剤との接触方法は、公知の方法が何等制限なく採用可能である。例えば、触媒との反応には充填塔形式、固定床方式、流動床形式等を挙げることができる。
本発明の塩化水素ガス精製工程において、塩化水素ガスと除去剤または吸着剤との接触温度は、150℃〜350℃の範囲が好ましく、より好ましくは170℃〜300℃の範囲であることがフッ素系化合物をより低減するのに好適である。流速等の接触条件は、各々の除去剤または吸着剤と、フッ素系化合物の反応速度や吸着速度等を測定し、制御したい出口塩化水素ガス中のフッ素系化合物濃度を勘案して決定することができる。
本発明の塩化水素ガス精製工程において、前記塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガスを精製することにより、塩化水素ガス中のフッ化水素濃度は、5ppm以下、より好ましくは1ppm以下とすることが可能となる。最終的に、フッ化カルボニルを含むフッ素系化合物の全濃度は、塩化水素ガス中5ppm以下好ましくは2ppm以下にすることが可能となる。その結果、多量の回収塩化水素ガスをエチレンジクロライド製造工程、塩化メチル製造工程、塩酸酸化による塩素製造工程等に好適に利用できる。
以上の通り、本発明は、(a)前記塩化水素吸収工程、(b)前記エアレーション工程、必要に応じて、(e)塩酸水溶液精製工程、(c)塩化水素ガス放散工程、および、(d)塩化水素ガス精製工程で処理することにより、クロロジフルオロメタンの製造において、副生成物として排出されるフッ素系化合物を含む塩化水素ガスを、高純度な塩化水素ガスとして回収することが可能となる。
本発明においては、更に、前記塩化水素ガス精製工程より得られた塩化水素ガスを脱水工程で脱水することもできる。該塩化水素ガスの脱水には、ガスに対して適用される公知の脱水手段が特に制限なく採用される。例えば、該ガス相を冷却して脱水する深冷分離法、濃硫酸水溶液等の液状脱水剤、モレキュラーシープ、塩化カルシウム等の固体状脱水剤などの脱水剤と接触せしめる方法等が挙げられる。脱水工程より取り出される塩化水素ガスの水分含有量は、30ppm以下、好ましくは、5ppm以下となるように実施することが好ましい。
以下、本発明の方法を、添付図面に従って更に具体的に説明するが、本発明はこれらの添付図面に限定されるものではない。
図1は、本発明の方法の代表的な態様を示すフローチャートである。即ち、図1は、塩化水素吸収工程、エアレーション工程、塩酸水溶液精製工程、塩化水素ガス放散工程および塩化水素ガス精製工程を含む方法を示したものである。以下、各図について更に詳細に説明する。
図1において、クロロジフルオロメタン製造工程で副生成物として排出される不純物を含む塩化水素ガスは、塩化水素吸収工程としての吸収塔1に供給される。吸収塔1では、吸収液の散布により、塩化水素とともに不純物も吸収され、塩酸水溶液として取り出される。
次いで、取り出された塩酸水溶液は、エアレーション塔2に供給される。吸収塔1で除去できなかったクロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン等をさらに分離除去する。その後、必要に応じて、エアレーション処理された塩酸水溶液を、塩酸水溶液精製塔3に導き、フッ化水素との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と接触させ、該塩酸水溶液中のフッ化水素等を除去する。
また、塩酸水溶液精製塔より得られた塩酸水溶液は、塩化水素ガス放散工程として設けられた、例えば、放散段19段及び蒸留段18段よりなる放散塔4に散布され精製される。放散塔4の塔頂から精製された塩化水素ガスが回収される。尚、ここで、取り出された放散塔4の底部から排出される塩酸水溶液の一部は循環用塩酸水溶液精製塔7を通過して吸収塔1にて循環使用することもできる。
この時、放散塔に供給される液中のフッ化水素の濃度が塩化水素に対する重量比で300ppm未満の場合蒸留段18段を0段以上の理論段に、また、300ppm以上の場合1段以上の理論段となるように蒸留段を設けることにより、フッ化水素濃度を塩化水素に対する重量比で70ppm以下の低濃度の範囲に制御した塩化水素ガスとすることができる。
更に、前記塩化水素ガス放散工程の放散塔4の塔頂から得られる塩化水素ガスを塩化水素ガス精製塔5に供給して精製された塩化水素ガスとして回収される。得られた塩化水素ガスは、フッ化カルボニルを含むフッ素化合物全濃度が塩化水素に対する重量比で2ppm以下に精製される。次いで、必要に応じて脱水塔6に塩化水素ガスを導き脱水することもできる。
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示す工程に従って、クロロジフルオロメタン製造工程において、副生成物として排出されるフッ素系化合物を含む塩化水素ガスの精製を実施した。実施例1においては、図1に示した塩酸水溶液精製工程を行なわず、エアレーション工程により得られた塩酸水溶液を、そのまま塩化水素ガス放散工程で処理を行った。尚、塩化水素ガス中の組成は、水分計、ガスクロマトグラフ、イオンクロマトグラフおよび赤外吸収スペクトル測定装置(IR)等で分析した。
クロロジフルオロメタン製造工程から排出された塩化水素ガス中の不純物と濃度は、クロロジフルオロメタン15ppm、トリフルオロメタン17000ppm、フッ化水素50ppm、フッ化カルボニル45ppm(塩化水素重量に対して)であった。
(a)塩化水素吸収工程
排出された塩化水素ガスを吸収塔に供給し、20質量%の塩酸水溶液を散布して、ガス中のフッ化カルボニルを少なくともふくむフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスを吸収させ、濃度23重量%塩酸水溶液を得た。この塩酸水溶液中の不純物と濃度は、クロロジフルオロメタン7ppm、トリフルオロメタン10ppm、フッ化水素53ppm、フッ化カルボニル30ppm(塩化水素重量に対して)であった。
(b)エアレーション工程
次いで、前記塩酸水溶液を、連続的にエアレーション塔に導き温度40℃、圧力100Kパスカルゲージ下で、塩酸水溶液1m/h当り、150m/h の空気を吹き込みエアレーションした。エアレーションして得られた塩酸水溶液中の不純物は、クロロジフルオロメタン4ppm、トリフルオロメタン5ppm、フッ化水素60ppm、フッ化カルボニル16ppmのであった。
(c)塩化水素ガス放散工程
また、エアレーション塔から得られた塩酸水溶液を放散塔に導き、塩化水素ガスとして放散させた。放散塔としては、充填材を充填した充填層を有するものを使用し、供給段より上部が1理論段のものを用いた。放散条件は、塔底温度110℃、大気圧下とした。塔底より得られる20質量%の塩酸水溶液を吸収塔に循環供給した。放散塔より得られた塩化水素ガス中の不純物は、クロロジフルオロメタン4ppm、トリフルオロメタン7ppm、フッ化水素1.5ppmであり、フッ化カルボニル0.1ppmであった。
(d)塩化水素ガス精製工程
更に、前記放散塔塔頂から得られた塩化水素ガスを、210℃に加温した銅化合物含有アルミナ触媒(13%Cu/アルミナ触媒)を充填した塩化水素ガス精製塔に導き、塩化水素ガスと210℃に加温した吸着除去剤(13%Cu/アルミナ触媒)と接触させることによりフッ素系化合物濃度を低減させた。得られた精製塩化水素ガス中の不純物と濃度を測定した結果、フッ化水素0.3ppm、トリフルオロメタン1.2ppmであった。一方、フッ化カルボニル、クロロジフルオロメタンは検出されなかった。
得られた精製塩化水素ガスをエチレンジクロライド合成反応に使用した。13%Cu/アルミナ触媒25gを充填した触媒固定層に、得られた塩化水素ガスを塩化水素0.04モル/分、エチレン0.04モル/分、酸素0.02モル/分の速度で供給して、215℃の温度で行った。反応開始1時間後及び300時間後の塩化水素転化率は各々86%、84%であった。燃焼率は2.8%、2.7%であり触媒劣化はなかった。
また、前記精製塩化水素ガスとメタノールを、アルミナ触媒を用いて、250℃で反応させ塩化メチルの合成反応を1時間と、更に100時間連続して実施したところ、各々98%、97%でありメタノール転化率を維持しており触媒劣化はなかった。
実施例2
実施例1と同じ塩化水素ガスを使用し、図1に示す塩酸水溶液精製工程を追加して塩化水素ガスの生成を行なった。下記に示す以外の条件は、実施例1と同様に行なった。
排出された塩化水素ガスを吸収塔に供給し、20質量%の塩酸水溶液を散布して、濃度23重量%塩酸水溶液を得た。次いで、前記塩酸水溶液を、連続的にエアレーション塔に導き 150m/hの空気を吹き込みエアレーションした。
(e)塩酸水溶液精製工程
次いで、エアレーションして得られた塩酸水溶液を、シリカゲルを充填した50℃に加温した塩酸水溶液精製塔に導き精製した。得られた塩酸水溶液中の不純物と濃度は、クロロジフルオロメタン4ppm、トリフルオロメタン5ppm、フッ化水素2ppm、フッ化カルボニル1ppm(塩化水素重量に対して)であった。
次いで、塩酸水溶液精製工程で得られた塩酸水溶液を放散塔で処理し、更に、放散塔から得られた塩化水素ガスを270℃に加温した酸化ルテニウム含有酸化チタン触媒を充填した塩化水素ガス精製塔に導き精製した。
上記のようにして、得られた塩化水素ガス中の不純物と濃度を測定した結果、フッ化水素0.1ppm、トリフルオロメタン0.8ppmであった。一方、フッ化カルボニル、クロロジフルオロメタンは検出されなかった。
得られた精製塩化水素ガスをエチレンジクロライドの合成反応に使用した。13%Cu/アルミナ触媒25gを充填した触媒固定層に、得られた塩化水素ガスを塩化水素0.04モル/分、エチレン0.04モル/分、酸素0.02モル/分の速度で供給して、215℃の温度で行った。反応開始1時間後及び300時間後の塩化水素転化率は各々87%、85%であった。燃焼率は2.7%、2.7%であり触媒劣化はなかった。
実施例3
実施例2で得られた放散塔より得られた塩化水素ガスを、210℃に加温した銅化合物含有アルミナ触媒(13%Cu/アルミナ触媒)を充填した塩化水素ガス精製塔に導き、塩化水素ガス中の不純物を低減した以外は、実施例2と同様の操作を行なった。
塩化水素ガス精製塔出口の塩化水素ガス中の不純物と濃度を測定した結果、フッ化水素0.03ppm、トリフルオロメタン0.4ppmであった。一方、フッ化カルボニル、クロロジフルオロメタンは検出されなかった。
得られた精製塩化水素ガスをエチレンジクロライドの合成反応に使用した。13%Cu/アルミナ触媒25gを充填した触媒固定層に、得られた塩化水素ガスを塩化水素0.04モル/分、エチレン0.04モル/分、酸素0.02モル/分の速度で供給して、215℃の温度で行った。反応開始1時間後及び300時間後の塩化水素転化率は各々89%、88%であった。燃焼率は2.5%、2.7%であり触媒劣化はなかった。
実施例4
クロロジフルオロメタン製造工程から排出された塩化水素ガス中の不純物と濃度が、クロロジフルオロメタン17ppm、トリフルオロメタン10000ppm、フッ化水素10ppm、フッ化カルボニル15ppm(塩化水素重量に対して)の塩化水素ガスを使用した以外は実施例1と同様に実施した。
塩化水素ガス精製塔出口の塩化水素ガス中の組成は、フッ化水素0.02ppm、トリフルオロメタン0.3ppmであった。一方、フッ化カルボニル、クロロジフルオロメタンは検出されなかった。
比較例1
図1に示す工程のエアレーション工程、塩酸水溶液精製工程および塩化水素ガス精製工程を行なわず、塩化水素吸収工程および塩化水素ガス放散工程により、塩化水素ガスの精製を行なった。塩化水素吸収工程および塩化水素ガス放散工程での条件は、実施例1と同様に実施した。
塩化水素吸収工程から得られた塩酸水溶液を放散塔に導き得られた塩化水素ガスを測定した結果、塩化水素ガス中の不純物濃度は、クロロジフルオロメタン7ppm、トリフルオロメタン10ppm、フッ化水素7ppm、フッ化カルボニル2ppm(塩化水素重量に対して)であった。
得られた塩化水素ガスとメタノールで塩化メチルの生成をした。反応はアルミナ触媒を用いて、250℃で反応させ1時間と、更に100時間連続して実施したところ、メタノール転化率は各々85%、79%と低下し、触媒劣化が認められた。
比較例2
図1に示す工程のエアレーション工程を行なわなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。また、クロロジフルオロメタン製造工程から排出された塩化水素ガス中の不純物と濃度が、クロロジフルオロメタン15ppm、トリフルオロメタン16000ppm、フッ化水素50ppm、フッ化カルボニル45ppm(塩化水素重量に対して)であるものの精製を行なった。
排出された塩化水素ガスを吸収塔に供給し、濃度23重量%塩酸水溶液を得た。この塩酸水溶液中の不純物と濃度は、クロロジフルオロメタン9ppm、トリフルオロメタン7ppm、フッ化水素55ppm、フッ化カルボニル32ppm(塩化水素重量に対して)であった。
吸収塔から得られた塩酸水溶液を放散塔に導き、塩化水素ガスとして放散させた。放散塔より得られた塩化水素ガス中の不純物と濃度は、クロロジフルオロメタン9ppm、トリフルオロメタン7pm、フッ化水素5ppmであり、フッ化カルボニル1.5ppmであった。
更に、前記放散塔塔頂から得られた塩化水素ガスを、270℃に加温した酸化ルテニウム含有酸化チタンを充填した塩化水素ガス精製塔に導き、塩化水素ガスと270℃に加温した吸着除去剤(酸化ルテニウム含有酸化チタン)と接触させることによりフッ素系化合物濃度を低減させた。得られた精製塩化水素ガス中の不純物と濃度を測定した結果、クロロジフルオロメタン6ppm、トリフルオロメタン4ppm、フッ化水素2ppmであった。一方、フッ化カルボニルは検出されなかった。
また、得られた精製塩化水素ガスとメタノールを、アルミナ触媒を用いて、250℃で反応させ塩化メチルの合成反応を1時間と、更に100時間連続して実施したところ、各々89%、81%と低下し、触媒劣化が認められた。
本発明方法の代表的な態様を示すフローチャート
符号の説明
1.吸収塔
2.エアレーション塔
3.塩酸水溶液精製塔
4.放散塔
5.塩化水素ガス精製塔
6.脱水塔
7.循環塩酸水溶液精製塔

Claims (3)

  1. 下記の(a)〜(d)工程
    (a)クロロジフルオロメタンの製造において、副生成物として排出される、フッ化カルボニルを少なくとも含むフッ素系化合物を含有してなる塩化水素ガスを、水又は塩酸水溶液よりなる吸収液と接触せしめて、該塩化水素ガスを塩酸水溶液とする塩化水素吸収工程
    (b)前記塩化水素吸収工程より得られる塩酸水溶液を、空気および/または不活性ガスによりエアレーションするエアレーション工程
    (c)前記エアレーション工程より得られる塩酸水溶液を放散塔に導き、該放散塔の塔頂より塩化水素をガス状で回収する塩化水素ガス放散工程、及び
    (d)前記塩化水素ガス放散工程より得られる塩化水素ガスを、該塩化水素ガスに含まれるフッ素系化合物との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と接触させる塩化水素ガス精製工程
    を含んでなり、かつ、上記(d)塩化水素ガス精製工程において、除去剤または吸着剤として、塩化水素を用いる酸化反応に使用される反応触媒、塩化水素の塩素化反応に使用される反応触媒のいずれか1種類の触媒または2種類以上の触媒を使用することを特徴とする塩化水素ガスの精製方法。
  2. (e)前記エアレーション工程より得られる塩酸水溶液を、フッ化水素との反応生成物が固体である除去剤または吸着剤と接触させる塩酸水溶液精製工程を含んでなり、該塩酸水溶液精製工程より得られる塩酸水溶液を前記放散塔に導くことを特徴とする請求項1に記載の塩化水素ガスの精製方法。
  3. 前記塩化水素ガス精製工程において、塩化水素ガスを除去剤または吸着剤と接触させる際の温度を150〜350℃とする請求項1又は2記載の塩化水素ガスの精製方法。
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