JP2004256396A - 低皮膚刺激性硬膏剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル酸アルキルエステルエマルジョンに代表される、特にアクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンに代表される常温で皮膚に対して長時間貼付し得る感圧接着性を有するエマルジョン型粘着剤を主な基剤成分としたもの。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚に対する刺激性を低減させた貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
皮膚に貼付させる貼付剤としては、基剤の水分含有量が多く、持続的な冷却効果を期待できるパップ剤と、基剤の水分含有量が少なく患部を冷やさない硬膏剤とがある。硬膏剤は、粘着層に薬効成分を含むプラスター剤と、薬効成分を含まない絆創膏とに分けられる。尚、プラスター剤は、同じく薬効成分を含むパップ剤に比べて有効成分の効果持続性が高く、可動部位の関節などにも有効である。
【0003】
例えば、打ち身や捻挫の際に使用するパップ剤としては、支持体を伸縮性のあるものに変更して尚且つ裏じみの発生が少ない基剤を工夫する提案もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、薬効成分を接着成分中に分散させた感圧型プラスター剤は抗炎症成分を配合して感圧接着性の被覆により密封療法に利用することから開発が始まった(例えば、特許文献2参照)。更に、プラスター剤は皮膚には浸透吸収性があり、薬剤の浸透は皮膚と薬剤との密着性に依存するが、薄く皮膚密着性が強力で長時間の貼付が可能であるため、近年では薬成分を徐々に放出する経皮吸収剤としても利用されている(例えば、特許文献3参照)。また、救急絆創膏としては長手方向に伸張しうる支持体を備えた救急絆創膏が提案されている(特許文献4)。
【0005】
プラスター剤及び絆創膏などの感圧接着層を備えた硬膏剤においては、貼着された皮膚がかぶれるという問題が生じていた。その為、用いる粘着成分を種々検討して、アクリル酸アルキルエステルを用いる提案がなされている(例えば、特許文献5参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−161436号公報
【特許文献2】
特公昭52−31405号公報
【特許文献3】
特開昭56−100716号公報
【特許文献4】
実公昭52−039334号公報
【特許文献5】
特開平04−150865号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単にアクリル酸アルキルエステルに変更しても皮膚刺激に対して弱い肌を持つ者は存在し、更なる低刺激性の貼付剤を求める要望があった。
【0008】
本発明は、皮膚に対して低刺激性の硬膏剤を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る低皮膚刺激性硬膏剤は、エマルジョン型粘着剤を主な基剤成分としたものである。
【0010】
請求項2に記載された発明に係る低皮膚刺激性硬膏剤は、請求項1に記載のエマルジョン型粘着剤を全基剤成分の10〜30wt%含有したものである。
【0011】
請求項3に記載された発明に係る低皮膚刺激性硬膏剤は、請求項1又は2に記載のエマルジョン型粘着剤が、アクリル酸アルキルエステルエマルジョンであるものである。
【0012】
請求項4に記載された発明に係る低皮膚刺激性硬膏剤は、請求項3に記載のアクリル酸アルキルエステルエマルジョンが、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンであるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、エマルジョン型粘着剤を主な基剤成分としたものである。このため、皮膚に対して低刺激性の硬膏剤を得ることができる。即ち、本発明者らは、エマルジョン型粘着剤を基剤の主な基剤成分として用いることにより、皮膚低刺激性の硬膏剤が得られることを見出し、本発明に至った。
【0014】
本発明のエマルジョン型粘着剤の使用量は、その種類により異なるが、薬効成分を除いた全粘着基剤成分の10〜30wt%が好ましく、より好ましくは10〜25wt%である。使用量が、10wt%未満では低皮膚刺激性が得られず、30wt%を越えると粘着力が小さくなる。
【0015】
本発明のエマルジョン型粘着剤としては、常温で皮膚に対して長時間貼付し得る感圧接着性を有するエマルジョン型(共)重合体であれば、特に限定されず、例えば、エマルジョン型アクリル系粘着剤、エマルジョン型ゴム系粘着剤等が使用可能であるが、好ましくはエマルジョン型アクリル系粘着剤である。尚、プラスター剤として利用するのならば、有効薬剤を溶解又は徐放のために分散保持可能なものが選ばれる。
【0016】
前記エマルジョン型アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキエステルを主体とする(共)重合エマルジョンが好適に使用されるが、(メタ)アクリル酸アルキエステル及びこの(メタ)アクリル酸アルキエステルと共重合可能な官能性モノマーの共重合エマルジョンであってもよい。
【0017】
前記エマルジョン型(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の重合エマルジョン又は共重合エマルジョンが挙げられ、特にアクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンが良好である。
【0018】
前記エマルジョン型ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴムラテックス、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン等の合成ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合エマルジョン、スチレン−イソプレン共重合エマルジョン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合エマルジョン等が用いられる。
【0019】
前記エマルジョンは、界面活性剤と共に水に分散させるか、乳化重合を行うことで調製される。乳化重合は、通常、水を分散媒として、水に溶解しないモノマーと、界面活性剤を乳化剤として加えて乳濁液とし、水溶性重合開始剤によりラジカル重合を行うことにより調製される。具体的には、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンは、アクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルをポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを乳化剤として、水溶液中で重合して乳濁液状の共重合樹脂として得られる。
【0020】
本発明では、薬効成分を含むプラスター剤と薬効成分を含まない絆創膏とに適用可能である。プラスター剤に薬効成分として含まれる薬物としては、経皮的に生体膜を透過しうるもので、常温で固体のものであれば特に限定されず、例えば、次のものが挙げられる。
【0021】
薬物の例としては、解熱消炎鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤、興奮・覚醒剤、睡眠・鎮痛剤、抗癲癇剤、鎮暈剤、精神神経用剤、全身又は局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、鎮痙剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、動脈硬化用剤、冠状動脈拡張剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、消化性潰瘍治療剤、利胆剤、ホルモン剤、泌尿生殖器及び肛門用剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、ビタミン剤、無機質製剤、止血剤、血液凝固阻止剤、肝臓疾患用剤、習慣性中毒用剤、禁煙補助薬、痛風治療剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、放射線医薬品、漢方製剤、抗生物質、化学療法剤、駆虫剤・抗原虫剤、麻薬、癌疼痛治療薬などが挙げられる。
【0022】
解熱消炎鎮痛剤としては、アセトアミノフェノン、フェナセチン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、フルフェナム酸、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アミノピリン、アルクロフェナック、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アンフェナックナトリウム、メピリゾール、インドメタシン、ペンタゾシン、ピロキシカム等;ステロイド系抗炎症剤としては、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン等が、それぞれ挙げられる。
【0023】
血管拡張剤としては、塩酸ジルチアゼム、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸イソソルビド、トラピジル、ニコランジル、ニトログリセリン、乳酸プレニラミン、モルシドミン、亜硝酸アミド、塩酸トラゾリン等;不整脈用剤としては、塩酸プロカインアミド、塩酸リドカイン、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、ナドロール、酒石酸メトプロロール、アジマリン、ジソピラミド、塩酸メキシチレン等;血圧降下剤としては、塩酸エカラジン、インダパミド、塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、塩酸ラベタロール、カプトプリル、酢酸グアナベンズ、メブタメート、硫酸ベタニジン等が、それぞれ挙げられる。
【0024】
鎮咳去痰剤としては、クエン酸カルベタペンタン、クロペラスチン、タンニン酸オキセラジン、塩酸クロブチノール、塩酸クロフェダノール、塩酸ノスカピン、塩酸エフェドリン、塩酸イソプロテレノール、塩酸クロルプレナリン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、塩酸クレンブテロール、フマル酸ケトチフェン等;抗悪性腫瘍剤としては、シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、マイトマイシンC、塩酸プロカルバジン、ドキシフルリジン、ラニムスチン等;局所麻酔剤としては、アミノ安息香酸エチル、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸プロピトカイン等が、それぞれ挙げられる。
【0025】
ホルモン剤としては、プロピルチオウラシル、チアマゾール、酢酸メテノロン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン等;抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェノンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェニルピラリン等;血液凝固阻止剤としては、ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン等;鎮痙剤としては、臭化メチルアトロピン、スコポラミン等;全身麻酔剤としては、チオペンタールナトリウム、ペントバルビタールナトリウム等;催眠・鎮痛剤としては、ブロムワレリル尿素、アモバルビタール、フェノバルビタール等;抗癲癇剤としてはフェニトインナトリウム等;興奮剤・覚醒剤としては塩酸メタンフェタミン等が、それぞれ挙げられる。
【0026】
鎮暈剤としては、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等;精神神経用剤としては、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、メプロバメート、塩酸イミプラミン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等;骨格筋弛緩剤としては、塩酸スキサメトニウム、塩酸エペリゾン等;自律神経用剤としては、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等;抗パーキンソン剤としては塩酸アマンタジン等;利尿剤としては、ヒドロフルメチアジド、イソソルビド、フロセミド等;血管収縮剤としては塩酸フェニレフリン等;冠状動脈拡張剤としては、ニトログリセリン等;呼吸促進剤としては、塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等;消化性潰瘍治療剤としては、臭化グリコピロニウム、プログルミド、塩酸セトラキサート、シメチジン、スピゾフロン等が、それぞれ挙げられる。
【0027】
利胆剤としては、ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等;泌尿生殖器及び肛門用剤としては、ヘキサミン、スパルティン、ジノプロスト、塩酸リトドリン等;寄生性皮膚疾患用剤としては、サリチル酸、シクロピロクスオラミン、塩酸クロコナゾール等;皮膚軟化剤としては尿素等、ビタミン剤としては、カルシトリオール、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パンテノール、アスコルビン酸等;無機質製剤としては、塩化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等;血剤としてはエタンシラート等が、それぞれ挙げられる。
【0028】
肝臓疾患用剤としてはチオプロニン等;習慣性中毒用剤としてはシアナミド等;禁煙補助薬としてはニコチン等;痛風治療剤としては、コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等;糖尿病用剤としては、トルブタミド、クロルプロパミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン、インスリン等;抗生物質としては、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、セファロリジン、セフォキシチンナトリウム、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン等;化学療法剤としては、イソニアシド、ピラジナミド、エチオナミド等;麻薬としては、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン、クエン酸フェンタニル等が、それぞれ挙げられる。
【0029】
前記薬物は、粘着剤層中に前記粘着剤に対する飽和溶解度以下の量で含有される。
【0030】
本発明で使用される支持体としては、柔軟性を有すると共に外用貼付剤に自己支持性を付与し、かつ粘着剤層中の薬物の徐放や移行を防止する役目を果たすものが好ましい。このような支持体の素材としては、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、可塑化(酢酸ビニル−塩化ビニル)共重合体、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(以下、EMAという)、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルム:アルミニウムシート等が挙げられ、これらの素材は単層で用いられてもよく、2種以上の積層体として用いられてもよい。また、アルミニウムシート以外の素材は、織布や不織布の形態で用いられてもよい。
【0031】
さらに、前記支持体としては、皮膚面に対して追従性を有する素材から形成されるものが好ましく、このような性質を有する素材としては、例えば、レーヨン、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレート不織布との積層体(PET/PET不織布)、ポリエチレンテレフタレートとエチレン−酢酸ビニル共重合体とのラミネートフィルム(PET/EVA)、ポリエチレンテレフタレートとエチレン−メチルアクリレート共重合体とのラミネートフィルム(PET/EMA)等が挙げられるが、取扱い性を考慮するとPET/PET不織布の構成が好ましい。
【0032】
前記支持体の厚みは、500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜300μmである。
【0033】
溶剤塗工法では、粘着剤、該粘着剤に対して飽和溶解度以下の量の薬物、予め薬物が含浸されたポリマー微粒子、必要に応じて、その他の添加剤を、適当な溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液を支持体表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、支持体の上に所定の厚みの粘着剤層が形成され、該粘着剤層中に薬物を含浸したポリマー微粒子が分散された経皮吸収製剤を得ることができる。また、前記溶液又は分散液を剥離紙上に一旦塗工、乾燥した後、得られた粘着剤層を支持体表面にに密着させてもよい。
【0034】
前記剥離紙は、粘着剤層を保護するために使用時まで積層されてもよい。剥離紙としては、PETフィルムの表面をシリコーン処理したものが一般に用いられるが、これに限定されるものではない。前記剥離紙の厚みは、1,000μm以下が好ましく、より好ましくは30〜200μmである。
【0035】
前記粘着剤層の厚さは、使用目的により異なるが、薄くなると経皮吸収製剤の単位面積当たりの薬物含有量が不足すると共に粘着力が不十分となり、厚くなると支持体付近の粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物徐放性が低下するので、20〜500μmが好ましい。
【0036】
前記粘着剤層には、薬効成分以外の粘着基剤として、エマルジョン型粘着剤以外にも、粘着性の改善を目的として、必要に応じて、他の粘着剤、粘着付与剤又は軟化剤が加えられたり、薬物の吸収促進剤又は皮膚刺激性の低下に必要な添加剤が加えられてもよい。さらに、粘着剤層には架橋処理が施されてもよい。
【0037】
具体的な他の粘着剤としては、エマルジョン型粘着剤以外に、天然ゴムラテックス、ボリブテン、エステルガム、生ゴム、ポリイソブテン等が挙げられる。また、充填剤として酸化チタン、炭酸カルシウム等、軟化剤として流動パラフィン等を添加しても良い。
【0038】
前記薬剤の吸収促進剤としての添加剤としては、プロピレングリコール、(1) ,3−ブチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、クロタミトン、ナタネ油、ハッカ油、ひまし油、などが挙げられる。
【0039】
【実施例】
実施例1.プラスター剤の製造
図1は本発明の低皮膚刺激性硬膏剤の一実施例の製造工程を説明するフロー図である。図1に示す通り、ゴム基剤と粘着基剤と乳化基剤とを混合して硬膏基剤を作成し、スクリーン印刷方式により支持体上に塗布し、剥離紙を重ねて裁断することにより、製品を得る。尚、これに薬効成分を期待する薬剤は乳化基剤中に混合して添加する。
【0040】
図2は本発明の低皮膚刺激性硬膏剤の一実施例の製造工程を説明する工程図である。図2に示す通り、1つのニーダーでゴム基剤を作成した。具体的には、ニーダーの温度を60〜130℃の範囲で調整し、これに生ゴム、ポリイソブチレン、炭酸カルシウム、酸化チタンを投入し、10〜20分間混合してゴム基剤を得た。
【0041】
また、1つの混合機で粘着基剤を作成した。具体的には、室温状態の混合機(10〜30℃)にポリブテン、エステルガム、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョン、天然ゴムラテックスを投入し、2〜6時間混合して粘着基剤を得た。
【0042】
更に、1つの混合機で乳化基剤を作成した。具体的には、室温状態の混合機(10〜30℃)にエタノール、L−メントール、ノニル酸ワニリルアミドを互いに混ぜ合わせた溶液に、流動パラフィンとアクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンとを投入し、1〜6時間混合して乳化基剤を得た。
【0043】
こうして得られたゴム基剤、粘着基剤、乳化基剤を混合機でゴム基剤中に粘着基剤を投入し、更に、これに乳化基剤を混合して、硬膏基剤を作成した後、圧延ロールによる圧延塗布により支持体上に均一に塗布し、剥離紙を重ねて、所望の形状に裁断することにより、プラスター剤製品を得た。尚、これに薬効成分を期待する薬剤は乳化基剤中に混合して添加する。また、硬膏基剤は耐熱性の剥離紙上に圧延塗布した後、支持体を重ねて、所望の形状に裁断してもよい。
【0044】
尚、図2に示す通り、基剤の粘度に違いがあるため、ゴム基剤、粘着基剤、乳化基剤と分けて混合し、粘度の高い基剤に粘度の低い基剤を順に投入していくことで均一な基剤を得ることができる。
【0045】
粘着基剤を作成する際の個々の原料の添加量の一実施例を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2.プラスター剤の検証
得られたプラスター剤について、粘着性及び低皮膚刺激性を検証した。次の表2に示す実施例、比較例を実施例1に示した方法で作成し、(a) 皮膚への貼着性、(b) 剥離時の痛み、(c) 剥離後の皮膚の状態を検証した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示す通り、実施例としてアクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンを20%配合したもの、比較例としてアクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンを配合しないものを被験者10名に対して腕に2時間貼付して、(a) 皮膚への貼着性、(b) 剥離時の痛み、(c) 剥離後の皮膚の状態を観察した。結果を次の表3〜表5に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
以上のように、本発明の低皮膚刺激性硬膏剤(実施例)は従来のもの(比較例)と比較して、粘着性は殆ど変わらないのに対し、剥離時の痛みは少なく、剥離後の皮膚の状態は良好である。
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、皮膚に対して低刺激性の硬膏剤を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低皮膚刺激性硬膏剤の一実施例の製造工程を説明するフロー図である。
【図2】本発明の低皮膚刺激性硬膏剤の一実施例の製造工程を説明する工程図である。
Claims (4)
- エマルジョン型粘着剤を主な基剤成分としたことを特徴とする低皮膚刺激性硬膏剤。
- 前記エマルジョン型粘着剤を全基剤成分の10〜30wt%含有したことを特徴とする請求項1に記載の低皮膚刺激性硬膏剤。
- 前記エマルジョン型粘着剤が、アクリル酸アルキルエステルエマルジョンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の低皮膚刺激性硬膏剤。
- 前記アクリル酸アルキルエステルエマルジョンが、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合エマルジョンであることを特徴とする請求項3に記載の低皮膚刺激性硬膏剤。
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