JP3725613B2 - 外用貼付剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は外用貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、貼付剤は、貼付時の皮膚低刺激性と薬物の皮膚透過性とが最重要な性能であり、どちらかの性能が欠如しても実用上問題を生じる。
貼付剤に使用される物質の中で皮膚刺激の原因となるものとしては、粘着剤(残存モノマー、残存溶媒等)とその他の添加剤(吸収促進剤、安定剤等)が挙げられる。粘着剤中の残存モノマーや残存溶媒は、製造方法によって皮膚刺激が起こらない程度に抑えることが可能である。
【0003】
上記吸収促進剤としては、例えば、特開昭58−79918号公報や特開昭64−56622号公報に開示されているように、一般的に界面活性剤が用いられている。しかし、これらの界面活性剤は、少なからず皮膚に作用し、皮膚表面のバリヤー性を低下させることにより粘着剤中の薬物の透過性を向上させるため、皮膚刺激の発生を皆無にすることはできなかった。
【0004】
上記以外に、長鎖脂肪酸エステルなどの油脂成分を粘着剤層中に配合し、粘着剤層中の薬物の流動性を高めることにより、皮膚への移行量を上昇させようとする方法もある。しかしながら、粘着剤層中の薬物拡散を向上させるだけでは、皮膚への透過が困難な薬物を十分に皮膚へ吸収させることはできなかった。
【0005】
また、皮膚刺激を抑えるという観点から、生体適合材料としてコラーゲンやケラチンが化粧品に用いられており、例えば、特開平5−158号公報には、生体適合材料として非炎症性のコラーゲン膜の製造方法が開示されている。
しかしながら、上記コラーゲンを貼付剤に使用して、皮膚低刺激性と薬物の皮膚透過性との両性能を同時に満足する粘着剤は、まだ得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点を解決するために、皮膚に対して親和性を有すると共に薬物の皮膚移行性が優れ、かつ皮膚刺激性が極めて小さい外用貼付剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明(以下、第1発明という)の外用貼付剤は、支持体の片面に薬物を含有する粘着剤層が設けられた外用貼付剤であって、該粘着剤層が、リン脂質とケラチンを含有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明(以下、第2発明という)の外用貼付剤は、第1発明で用いられるリン脂質が、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、フォスファチジン酸、フォスファチジルグリセロール及びフォスファチジルイノシトールからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明で用いられる粘着剤としては、薬物を溶解することができ、かつ常温で皮膚に対して長時間貼付し得る感圧接着性を有する(共)重合体であれば、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられ、特にアクリル系粘着剤が好適に使用される。
【0011】
上記アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキエステルを主体とする(共)重合体が好適に使用されるが、(メタ)アクリル酸アルキエステル及び該(メタ)アクリル酸アルキエステルと共重合可能な官能性モノマーの共重合体であってもよい。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらは単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。
【0013】
上記官能性モノマーとしては、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、ピロリドン環を有するモノマー等が挙げられる。
【0014】
上記水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が好適に使用される。
【0015】
また、上記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸;マレイン酸ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が好適に使用される。
【0016】
上記アミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド;ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ(メチル)アクリルアミド;ジアセトンアクリルアミドなどが好適に使用される。
【0017】
上記アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノアクリレート等が好適に使用される。
また、上記ピロリドン環を有するモノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン等が好適に使用される。
【0018】
上記アクリル系粘着剤としては、アルキル基の炭素数4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを25〜50重量%、アルキル基の炭素数3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを20〜70重量%及びN−ビニル−2−ピロリドン2〜40重量%を構成成分とするものが好ましい。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸アルキエステルを主体とする(共)重合体は、通常、重合開始剤の存在下で上述のモノマーを配合して溶液重合を行うことにより調製される。溶液重合を行う場合は、所定量の各種モノマーに酢酸エチル又はその他の重合溶媒を加え、攪拌装置及び冷却還流装置を備えた反応器中で、アゾビス系、過酸化物系等の重合開始剤の存在下、窒素雰囲気中で70〜90℃、8〜40時間反応させればよい。また、モノマーは一括投入又は分割投入のいずれの方法であってもよい。
【0020】
上記アゾビス系重合開始剤としては、2,2−アゾビス−イソ−ブチロニトリル、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4−ジメチルバレリニトリル)等が挙げられ、上記過酸化物系重合開始剤としては、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、ジ(tert−ブチル)パーオキサイド等が挙げられる。
【0021】
上記ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のゴム弾性体をベースポリマーとするものが挙げられる。
【0022】
上記ゴム系粘着剤には、必要に応じて、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレン、液状ポリアクリレート等の軟化剤;粘着付与樹脂などが配合されてもよい。
【0023】
上記シリコーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサン等を主成分とするものが挙げられる。
【0024】
上記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びシリコーン系粘着剤には、さらに、可塑剤、無水珪酸等の充填剤、老化防止剤等が配合されてもよい。
【0025】
本発明で使用される薬物としては、経皮的に生体膜を透過しうるものであれば特に限定されず、例えば、次のものが挙げられる。
薬物の例としては、全身麻酔剤、睡眠・鎮痛剤、抗癲癇剤;解熱消炎鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤、興奮・覚醒剤、鎮暈剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、鎮痙剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、動脈硬化用剤、呼吸促進剤、鎮咳去痰剤、消化性潰瘍治療剤、利胆剤、ホルモン剤、泌尿生殖器及び肛門用剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、ビタミン剤、無機質製剤、止血剤、血液凝固阻止剤、肝臓疾患用剤、習慣性中毒用剤、痛風治療剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、放射線医薬品、漢方製剤、抗生物質、化学療法剤、駆虫剤・抗原虫剤、麻薬などが挙げられる。
【0026】
解熱消炎鎮痛剤としては、アセトアミノフェノン、フェナセチン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、フルフェナム酸、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、アミノピリン、アルクロフェナック、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アンフェナックナトリウム、メピリゾール、インドメタシン、ペンタゾシン、ピロキシカム等;ステロイド系抗炎症剤としては、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン等が、それぞれ挙げられる。
【0027】
血管拡張剤としては、塩酸ジルチアゼム、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸イソソルビド、トラピジル、ニコランジル、ニトログリセリン、乳酸プレニラミン、モルシドミン、亜硝酸アミド、塩酸トラゾリン等;不整脈用剤としては、塩酸プロカインアミド、塩酸リドカイン、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、ナドロール、酒石酸メトプロロール、アジマリン、ジソピラミド、塩酸メキシチレン等;血圧降下剤としては、塩酸エカラジン、インダパミド、塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、塩酸ラベタロール、カプトプリル、酢酸グアナベンズ、メブタメート、硫酸ベタニジン等が、それぞれ挙げられる。
【0028】
鎮咳去痰剤としては、クエン酸カルベタペンタン、クロペラスチン、タンニン酸オキセラジン、塩酸クロブチノール、塩酸クロフェダノール、塩酸ノスカピン、塩酸エフェドリン、塩酸イソプロテレノール、塩酸クロルプレナリン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、塩酸クレンブテロール、フマル酸ケトチフェン等;抗悪性腫瘍剤としては、シクロフォスファミド、フルオロウラシル、デガフール、マイトマイシンC、塩酸プロカルバジン、ドキシフルリジン、ラニムスチン等;局所麻酔剤としては、アミノ安息香酸エチル、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸プロピトカイン等が、それぞれ挙げられる。
【0029】
ホルモン剤としては、プロピルチオウラシル、チアマゾール、酢酸メテノロン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン等;抗ヒスタミンとしては、塩酸ジフェノンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェニルピラリン等;血液凝固阻止剤としては、ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン等;鎮痙剤としては、臭化メチルアトロピン、スコポラミン等;全身麻酔剤としては、チオペンタールナトリウム、ペントバルビタールナトリウム等;催眠・鎮痛剤としては、ブロムワレリル尿素、アモバルビタール、フェノバルビタール等;抗癲癇剤としてはフェニトインナトリウム等;興奮剤・覚醒剤としては塩酸メタンフェタミン等が、それぞれ挙げられる。
【0030】
鎮暈剤としては、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等;精神神経用剤としては、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、メプロバメート、塩酸イミプラミン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等;骨格筋弛緩剤としては、塩酸スキサメトニウム、塩酸エペリゾン等;自律神経用剤としては、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等;抗パーキンソン剤としては塩酸アマンタジン等;利尿剤としては、ヒドロフルメチアジド、イソソルビド、フロセミド等;血管収縮剤としては塩酸フェニレフリン等;呼吸促進剤としては、塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等;消化性潰瘍治療剤としては、臭化グリコピロニウム、プログルミド、塩酸セトラキサート、シメチジン、スピゾフロン等が、それぞれ挙げられる。
【0031】
利胆剤としては、ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等;泌尿生殖器及び肛門用剤としては、ヘキサミン、スパルティン、ジノプロスト、塩酸リトドリン等;寄生性皮膚疾患用剤としては、サリチル酸、シクロピロクスオラミン、塩酸クロコナゾール等;皮膚軟化剤としては尿素等;ビタミン剤としては、カルシトリオール、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パンテノール、アスコルビン酸等;無機質製剤としては、塩化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等;止血剤としてはエタンシラート等が、それぞれ挙げられる。
【0032】
肝臓疾患用剤としてはチオプロニン等;習慣性中毒用剤としてはシアナミド等;痛風治療剤としては、コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等;糖尿病用剤としては、トルブタミド、クロルプロパミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン、インスリン等;抗生物質としては、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、セファロリジン、セフォキシチンナトリウム、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン等;化学療法剤としては、イソニアシド、ピラジナミド、エチオナミド等;麻薬としては、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等が、それぞれ挙げられる。
【0033】
上記薬物の配合量は、薬物の種類、外用貼付剤の使用目的等により異なるが、少なくなると薬物の高い放出性が得られず、多くなると粘着剤層の凝集力や粘着力が低下するので、通常、粘着剤層中0.01〜50重量%が好ましい。
【0034】
薬物の配合量は、上記範囲内で粘着剤の組成により適宜決められる。
薬物の粘着剤に対する飽和溶解度は粘着剤の組成により異なるが、薬物をその飽和溶解度に可能な限り近い濃度で粘着剤層中に相溶させ、結晶析出が起こらないようにすることにより、薬物の高い放出性が得られる。尚、粘着剤層中に薬物が過飽和量存在したり、薬物の結晶が析出していても、特に支障はない。
【0035】
本発明で用いられる粘着剤層には、リン脂質とケラチンが含有される。
【0037】
上記ケラチンは、種々の生物から得られるが、特にその由来は限定されない。
上記ケラチンの配合量は、粘着剤や薬物の種類によって異なるが、粘着剤層中0.1〜30重量%が好ましい。0.1重量%未満では、皮膚親和性や吸収促進の効果が十分に発揮されず、30重量%を超えると粘着力が低下し、皮膚への密着性が不十分となる。
【0038】
上記ケラチンは、粘着剤層の配合時に粉末状で分散させてもよく、一旦水中で膨潤させた後分散させてもよい。特に乾燥した皮膚に適用する場合は水中で膨潤させた方が効果を発揮する。
【0039】
上記リン脂質としては、卵黄レシチン、大豆レシチンのような脂質混合物もしくはこれらの水添加物;個別に精製して得られる、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、フォスファチジン酸、フォスファチジルグリセロール及びフォスファチジルイノシトールからなる群より選ばれた1種以上の成分が挙げられる。
【0040】
上記リン脂質としては、脂肪酸部分に側鎖があっても、不飽和結合があってもよく、さらに鎖長も特に限定されない。ただ、粘着剤や薬物との相溶性を考慮すると鎖長10〜25が好ましい。
【0041】
上記リン脂質は、薬物と混合した後、水、エチレングリコール等の溶媒中で超音波処理を施してリポソーム化して混合することにより、脂溶性の薬物を水溶性の粘着剤に溶解させることも可能である。また、水溶性の化合物の場合には、リポソーム内水相に含有させることにより、脂溶性の粘着剤に分散させることができる。
【0042】
上記リン脂質の配合量は、その種類により異なるが、粘着剤層中1〜30重量%が好ましく、粘着力、凝集力、吸収促進効果などを考慮すると1〜10重量%がより好ましい。1重量%未満では、吸収促進効果が小さくなり、30重量%を超えると、皮膚への粘着力が弱すぎたり、凝集力の低下により糊残りが生じる。
【0043】
本発明で使用される支持体としては、柔軟性を有すると共に外用貼付剤に自己支持性を付与し、かつ粘着剤層中の薬物の揮散や移行を防止する役目を果たすものが好ましい。このような支持体の素材としては、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、可塑化(酢酸ビニル−塩化ビニル)共重合体、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(以下、EMAという)、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルム:アルミニウムシート等が挙げられ、これらの素材は単層で用いられてもよく、2種以上の積層体として用いられてもよい。また、アルミニウムシート以外の素材は、織布や不織布として用いられてもよい。
【0044】
さらに、上記支持体としては、皮膚面に対して追従性を有する素材から形成されるものが好ましく、このような性質を有する素材としては、例えば、PETフィルム−ポリエステル不織布積層体、PETフィルムとエチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体とのラミネートフィルム、PETフィルムとエチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体とのラミネートフィルム、PETフィルムとエチレン−ビニルアクリレート共重合体とのラミネートフィルム等が挙げられる。
【0045】
上記支持体の厚みは、500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜150μmである。
【0046】
本発明の外用貼付剤には、使用時まで粘着剤層を保護するために、その表面に剥離紙が積層される。剥離紙としては、PETフィルムの表面をシリコン処理されたものが一般に用いられるが、これに限定されるものではない。
上記剥離紙の厚みは、1,000μm以下が好ましく、より好ましくは30〜200μmである。
【0047】
本発明の外用貼付剤の調製において、粘着剤層を形成するには通常の粘着テープの製造方法が適用でき、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工法等、従来公知の粘着テ−プの製造方法が使用可能であるが、特に溶剤塗工法が好適に使用される。
【0048】
上記溶剤塗工法では、上記粘着剤、薬物、高級脂肪酸、必要に応じて、その他の添加剤を、適当な溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液を支持体表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、支持体上に所定の厚みの粘着剤層を形成し外用貼付剤を作製する。
また、上記溶液又は分散液を剥離紙上に一旦塗工、乾燥した後、得られた粘着剤層を支持体に密着させてもよい。
【0049】
上記粘着剤層の厚さは、使用目的により異なるが、薄くなると外用貼付剤の単位面積当たりの薬物含有量が不足すると共に粘着力が不十分となり、厚くなると支持体付近の粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物放出率が低下するので、10〜200μmが好ましい。
【0050】
上記で得られた外用貼付剤は、通常は薬物を経皮的又は経粘膜的に体内循環器系へ投与する目的で、皮膚ないし粘膜の表面に直接貼付される。
さらに、該外用貼付剤は薬物を皮膚ないし粘膜の疾患部の治療を目的として皮膚ないし粘膜に貼付されることもある。本外用貼付剤の使用後、痛みを感じることなく皮膚から簡単に剥離することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
オクチルアクリレート80g(40重量%)、エチルアクリレート100g(50重量%)及びN−ビニル−2−ピロリドン20g(10重量%)をセパラブルフラスコに仕込み、酢酸エチル200gを加えて重合初期モノマー濃度が50重量%となるように調製した。この溶液を窒素雰囲気下で80℃に加熱し、重合開始剤として過酸化ラウロイルの酢酸エチル溶液を逐次、少量ずつ添加しながら、32時間重合を行い、アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0052】
得られたアクリル系粘着剤溶液から酢酸エチルを乾燥させて固形分32.5gを秤り取り、硝酸イソソルビド(薬物)7.5g、卵黄レシチン5.0g及びケラチン粉末5.0gを加え、さらにそれら全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルを加えた。
【0053】
次いで、この粘着剤溶液をボールミルを用いて一晩攪拌し、均一な塗工液を得た。この溶液を38μm厚のPETフィルムのシリコン処理面に適量展開し、ナイフコーターを用いて接着剤層の厚みが40μmとなるように塗工した。
これを60℃の加熱雰囲気下で30分間静置して溶媒を除去し、粘着剤層を形成した後、この粘着剤層上にPETフィルムとエチレン−ビニルアクリレート共重合体とのラミネートフィルムを、PETフィルム側と粘着剤層が接するようにローラーを用いて積層し外用貼付剤を得た。
【0064】
(比較例1)
アクリル系粘着剤の固形分42.5gを秤り取り、硝酸イソソルビド7.5gを加え、さらにそれら全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルを加えて塗工液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして外用貼付剤を作製した。
【0065】
(比較例2)
アクリル系粘着剤の固形分37.5gを秤り取り、硝酸イソソルビド7.5g、卵黄レシチン5.0gを加え、さらにそれら全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルを加えて塗工液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして外用貼付剤を作製した。
【0066】
(比較例3)
アクリル系粘着剤の固形分37.5gを秤り取り、硝酸イソソルビド7.5g、コラーゲン粉末5.0gを加え、さらにそれら全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルを加えて塗工液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして外用貼付剤を作製した。
【0067】
(比較例4)
アクリル系粘着剤の固形分37.25gを秤り取り、硝酸イソソルビド7.5g及びパルミチン酸イソプロピル5.0gを加え、さらにそれら全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルを加えて塗工液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして外用貼付剤を作製した。
【0069】
尚、表1に粘着剤層の組成を示した。
【0070】
【表1】
【0071】
上記実施例及び比較例で得られた外用貼付剤につき、下記の性能評価を行い、その結果を表2及び表3に示した。
(1)薬物の皮膚移行量
ウィスター系ラット(雄性、7週齢)の背部をエーテル麻酔下、バリカン及びシェーバーで脱毛処理し、翌日傷のない皮膚上に直径2cmの円形(面積3.14cm2 )に打ち抜いた外用貼付剤サンプルを貼付した後、上からガーゼを当て粘着性包帯で固定した。貼付24時間後に外用貼付剤サンプルを剥離し、10ミリリットルのメタノール中に浸漬し、外用貼付剤サンプル中の薬物残量を液体クロマトグラフィーにより定量した。外用貼付剤サンプル中の薬物の初期含有量から薬物残量を差し引いた値を皮膚移行量とした。
【0072】
(2)皮膚刺激性
ハートレイ系モルモット(雄性、5週齢)の腹部をバリカン及びシェーバーで除毛処理し、翌日傷のない皮膚上に直径2cmの円形(面積3.14cm2 )に打ち抜いた外用貼付剤サンプルを貼付した後、上からガーゼを当て粘着性包帯で固定した。貼付24時間後に外用貼付剤サンプルを剥離し、剥離直後(30分後)及び24時間後における紅斑の強度をドレイツ法により判定した。
【0073】
判定の方法は、繰り返し数n=6で、下記の基準に従って目視観察により紅斑の強度に対する評価点をつけ、合計評価点を6で割った平均値を表中に示した。
0点:紅斑が全く認められなかった
1点:かろうじて識別できる程度の軽度の紅斑が認められた
2点:明らかな紅斑が認められた
3点:中程度の紅斑が認められた
4点:深紅色の強い紅斑が認められた
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】
本発明の外用貼付剤の構成は、上述の通りであり、粘着剤層中にリン脂質とケラチンを含有することにより、皮膚刺激が極めて小さく、かつ優れた薬物の皮膚移行性を発現する。
Claims (2)
- 支持体の片面に薬物を含有する粘着剤層が設けられた外用貼付剤であって、該粘着剤層が、リン脂質とケラチンを含有することを特徴とする外用貼付剤。
- リン脂質が、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、フォスファチジン酸、フォスファチジルグリセロール及びフォスファチジルイノシトールからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記載の外用貼付剤。
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JP (1) | JP3725613B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1996
- 1996-06-13 JP JP15247496A patent/JP3725613B2/ja not_active Expired - Lifetime
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