JP2004254354A - リラクタンスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】d軸側の磁束の流れを減らすことなく、q軸側への磁束の流れをより効果的に阻止して、リラクタンスモータの出力トルク特性の向上を図る。
【解決手段】回転磁界を発生するステータの内側に配置されるロータ10に、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aを含むスリット部4を、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けるとともに、その隣接するスリット部4,4とロータ回転軸3との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸3側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリア11を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】回転磁界を発生するステータの内側に配置されるロータ10に、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aを含むスリット部4を、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けるとともに、その隣接するスリット部4,4とロータ回転軸3との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸3側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリア11を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機や電気自動車などに用いられるリラクタンスモータに関し、さらに詳しく言えば、ロータコアの構造に特徴を有するリラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、図6および図7を参照して、リラクタンスモータの基本的な構成を説明する。リラクタンスモータも、他のモータと同じく、回転磁界を発生するステータ1と、その内側に配置される電磁鋼板の積層体からなるロータ2とを備えているが、ロータ2には、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aを含むスリット部4がロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられている。
【0003】
この例において、ステータ1には分布巻線5が三相に施されており、これら分布巻線5によってステータ1は回転磁界を発生する。スリット部4の多層構造により、ステータ1からの磁束のうち、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れが阻止され、これに対して、スリット4aの間の鋼板リブにより、一方のd軸から他方のd軸への磁束が通り易くなっている。
【0004】
リラクタンスモータによれば、ステータ1の分布巻線の巻線インダクタンスが最大となるように、換言すれば磁気回路のリラクタンス(磁気抵抗)が最小となるように、ロータ2がその位置を変化させて回転が得られる。
【0005】
リラクタンスモータのトルクTは、
T=p・(Ld−Lq)・Id・Iq
で表される。pは極対数,Ldはd軸インダクタンス,Lqはq軸インダクタンス,Idはd軸電流,Iqはq軸電流である。
【0006】
したがって、d軸インダクタンス,q軸インダクタンスの差(Ld−Lq)を大きくすれば、トルクTが大きくなる。なお、この例では、ロータ2に3層構造のスリット部4を形成しているが、2層以上の多層構造の場合であっても同様である。
【0007】
リラクタンスモータにおいて、d軸インダクタンスおよびq軸インダクタンスは、ロータ2のスリット形状の影響を受け、モータのトルク特性を良くするために、スリット形状を図6および図7に示す逆円弧形状としているが、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差をより大きくすれば、出力トルク特性をより改善することができる。
【0008】
その一例として、下記の特許文献1に見られるように、ロータに形成する多層スリットのうち、ロータ回転軸側の1つのスリットの幅を広くして、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れをより多く阻止することにより、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差を大きくすることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−257732号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スリットの幅を広くすることは、相対的にスリット間の鋼板リブの幅が狭くなることを意味し、その分、d軸方向の磁束が減ることになり、出力トルク特性の向上の観点からは好ましくない。
【0011】
したがって、本発明の課題は、一方のd軸から他方のd軸への磁束の流れを減らすことなく、一方のq軸から他方のq軸への磁束の流れをより効果的に阻止して、リラクタンスモータの出力トルク特性の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、回転磁界を発生するステータと、その内側に配置されるロータとを備え、上記ロータには、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリットを含むスリット部が、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられているリラクタンスモータにおいて、上記ロータには、隣接する上記スリット部と上記ロータ回転軸との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリアが形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記フラックスバリアの形状としては、三角形もしくは台形が好ましく採用されるが、上記スリット部と対向する辺に、そのスリット部に沿った曲線が付けられてもよい。
【0014】
また、上記ロータは電磁鋼板の積層体よりなるが、電磁鋼板を自動プレス方式によって積層する際におけるバリなどの発生を抑えるうえで、上記フラックスバリアのロータ外周側端部に所定曲率の丸みを付けることが好ましい。
【0015】
本発明において、上記フラックスバリアは、d軸を挟んで一対として設けられてもよい。その好ましい形状は、二等辺三角形をd軸に沿って2等分した直角三角形であり、この場合においても、その斜辺に上記スリット部に沿った曲線が付けられてもよい。
【0016】
また、上記ロータを電磁鋼板を積層して得る際に、その積層ごとに一方向に所定量ずらしてスキューを施すことにより、トルクリップルが低減され、コギングトルクに対しても良好な結果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1ないし図5を参照して詳しく説明する。なお、先に説明した図6および図7と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、ステータの構成については、先に説明した図6のものと同じであってよいため、ここでは特に図示しない。
【0018】
図1に、本発明のリラクタンスモータが備える第1実施形態としてのロータ10を示す。ロータ10には、先に説明したのと同じく、スリット部4がロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられているが、本発明では、隣接するスリット部4,4と、ロータ回転軸3との間の領域内でd軸上に補助スリットとしてのフラックスバリア11が形成されている。
【0019】
なお、各スリット部4には、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aが含まれている。
【0020】
各フラックスバリア11は、ロータ回転軸3側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状であるが、この第1実施形態において、各フラックスバリア11は二等辺三角形であり、その頂点をd軸上でロータ10の外周側とし、その底辺をロータ回転軸3側としている。
【0021】
フラックスバリア11は、基本的に二等辺三角形であることが好ましいが、その頂点を丸めたりあるいは平らにして、縦に長くて先細のほぼ台形状としてもよく、このようにすることにより、後述するロータ製造時にバリなどの発生を抑えることができる。
【0022】
スリット部4とは別に、補助的なフラックスバリア11を追加的に設けることにより、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れがより多く阻止される一方で、スリット部4とフラックスバリア11との間に、鋼板リブよりなる明確な磁路が形成されるため、一方のd軸から他方のd軸に向けて磁束がより通りやすくなる。したがって、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差をより大きくすることができ、出力トルク特性の向上が図れる。
【0023】
本発明において、ロータ10は、図2に示すように、電磁鋼板より打ち抜かれたコアーシート10aを図示しない自動プレス方式による金型内で積層することにより製造される。その自動プレスにおいては、ロータ回転軸3を挿通する挿通孔3a,スリット4aおよびフラックスバリア11を打ち抜いて積層するが、その積層時に1枚ごとに一方向に所定量ずらして、各孔にスキューを施す(図2の破線参照)。これにより、トルクリップルが低減され、また、コギングトルクに対しても良好となる。
【0024】
図3に、上記第1実施形態の変形例としてのロータ20を示す。このロータ20においては、上記フラックスバリア11のスリット部4と対向する側辺をスリット4aの円弧に沿った形状としたフラックスバリア21を備えている。これより、一方のd軸から他方のd軸への磁束がより通り易くなり、出力トルク特性がより向上することになる。
【0025】
図4に、本発明の第2実施形態に係るロータ30を示す。このロータ30においては、上記第1実施形態のフラックスバリア11をd軸に沿って分割して対としたフラックスバリア31a,31bを含むフラックスバリア31を備えている。
【0026】
各フラックスバリア31a,31bは直角三角形であり、その斜辺をスリット部4と対向させ、直角を挟む一辺をd軸対称に背中合わせに配置されている。なお、フラックスバリア31a,31bの間隔は、ロータ30を自動プレス方式で製造する際に、強度やバリ発生などを考慮して適宜決められる。また、このフラックスバリア31a,31bについても、ロータ外周側の頂点を丸めたりあるいは平らにして、先細の台形状としてもよい。
【0027】
図5に、上記第2実施形態の実施例としてのロータ40を示す。このロータ40においては、上記対のフラックスバリア31a,31bのスリット部4と対向する斜辺をスリット4aの円弧に沿った形状とした対のフラックスバリア41a,41bを含むフラックスバリア41を備えている。これより、一方のd軸から他方のd軸への磁束がより通り易くなり、出力トルク特性がより向上することになる。
【0028】
上記ロータ20,30,40の製造は、ロータ10と同じでよいことから、その説明を省略する。また、ロータ20,30,40の製造に際して、各コアシートの積層ごとに円周方向に所定量ずらして、フラックスバリア21,31a,31b,41a,41bにスキューを施すことが好ましい。
【0029】
本発明によれば、モータの出力トルク特性がより増大するだけなく、コストアップを招くことなく、安価で高効率、高出力のモータを実現することができる。また、ロータにスキューを施すことにより、モータのトルクリップルを低減して高効率、低振動、低騒音のモータを実現することができる。
【0030】
なお、上記の各実施形態では、スリット部4に含まれているスリット4aを3層としているが、その層数やスリット4aの幅などは任意に選択することができる。また、上記リラクタンスモータは三相四極モータであるが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転磁界を発生するステータの内側に配置されるロータに、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリットを含むスリット部を、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けるとともに、その隣接するスリット部とロータ回転軸との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリアを形成したことにより、一方のq軸から他方のq軸への磁束の流れがより多く阻止されるため、q軸インダクタンスが小さくなるとともに、一方のd軸から他方のd軸への磁束が通し易くなるため、d軸インダクタンスが大きくなり、出力トルク特性をより増大させることができ、安価で高効率、高出力のモータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロータを示す概略的平面図。
【図2】上記第1実施形態に係るロータを示す概略的斜視図。
【図3】上記第1実施形態の変形例を示す概略的平面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るロータを示す概略的平面図。
【図5】上記第2実施形態の変形例を示す概略的平面図。
【図6】従来のリラクタンスモータを説明する概略的平面図。
【図7】図6に示すリラクタンスモータのロータを説明する概略的平面。
【符号の説明】
1 ステータ
2,10,20,30,40 ロータ
3 ロータ回転軸
3a ロータ回転軸の挿通孔
4 スリット部
4a スリット
5 分布巻線
10a コアシート
11,21,31,41 フラックスバリア
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機や電気自動車などに用いられるリラクタンスモータに関し、さらに詳しく言えば、ロータコアの構造に特徴を有するリラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、図6および図7を参照して、リラクタンスモータの基本的な構成を説明する。リラクタンスモータも、他のモータと同じく、回転磁界を発生するステータ1と、その内側に配置される電磁鋼板の積層体からなるロータ2とを備えているが、ロータ2には、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aを含むスリット部4がロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられている。
【0003】
この例において、ステータ1には分布巻線5が三相に施されており、これら分布巻線5によってステータ1は回転磁界を発生する。スリット部4の多層構造により、ステータ1からの磁束のうち、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れが阻止され、これに対して、スリット4aの間の鋼板リブにより、一方のd軸から他方のd軸への磁束が通り易くなっている。
【0004】
リラクタンスモータによれば、ステータ1の分布巻線の巻線インダクタンスが最大となるように、換言すれば磁気回路のリラクタンス(磁気抵抗)が最小となるように、ロータ2がその位置を変化させて回転が得られる。
【0005】
リラクタンスモータのトルクTは、
T=p・(Ld−Lq)・Id・Iq
で表される。pは極対数,Ldはd軸インダクタンス,Lqはq軸インダクタンス,Idはd軸電流,Iqはq軸電流である。
【0006】
したがって、d軸インダクタンス,q軸インダクタンスの差(Ld−Lq)を大きくすれば、トルクTが大きくなる。なお、この例では、ロータ2に3層構造のスリット部4を形成しているが、2層以上の多層構造の場合であっても同様である。
【0007】
リラクタンスモータにおいて、d軸インダクタンスおよびq軸インダクタンスは、ロータ2のスリット形状の影響を受け、モータのトルク特性を良くするために、スリット形状を図6および図7に示す逆円弧形状としているが、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差をより大きくすれば、出力トルク特性をより改善することができる。
【0008】
その一例として、下記の特許文献1に見られるように、ロータに形成する多層スリットのうち、ロータ回転軸側の1つのスリットの幅を広くして、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れをより多く阻止することにより、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差を大きくすることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−257732号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スリットの幅を広くすることは、相対的にスリット間の鋼板リブの幅が狭くなることを意味し、その分、d軸方向の磁束が減ることになり、出力トルク特性の向上の観点からは好ましくない。
【0011】
したがって、本発明の課題は、一方のd軸から他方のd軸への磁束の流れを減らすことなく、一方のq軸から他方のq軸への磁束の流れをより効果的に阻止して、リラクタンスモータの出力トルク特性の向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、回転磁界を発生するステータと、その内側に配置されるロータとを備え、上記ロータには、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリットを含むスリット部が、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられているリラクタンスモータにおいて、上記ロータには、隣接する上記スリット部と上記ロータ回転軸との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリアが形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記フラックスバリアの形状としては、三角形もしくは台形が好ましく採用されるが、上記スリット部と対向する辺に、そのスリット部に沿った曲線が付けられてもよい。
【0014】
また、上記ロータは電磁鋼板の積層体よりなるが、電磁鋼板を自動プレス方式によって積層する際におけるバリなどの発生を抑えるうえで、上記フラックスバリアのロータ外周側端部に所定曲率の丸みを付けることが好ましい。
【0015】
本発明において、上記フラックスバリアは、d軸を挟んで一対として設けられてもよい。その好ましい形状は、二等辺三角形をd軸に沿って2等分した直角三角形であり、この場合においても、その斜辺に上記スリット部に沿った曲線が付けられてもよい。
【0016】
また、上記ロータを電磁鋼板を積層して得る際に、その積層ごとに一方向に所定量ずらしてスキューを施すことにより、トルクリップルが低減され、コギングトルクに対しても良好な結果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1ないし図5を参照して詳しく説明する。なお、先に説明した図6および図7と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、ステータの構成については、先に説明した図6のものと同じであってよいため、ここでは特に図示しない。
【0018】
図1に、本発明のリラクタンスモータが備える第1実施形態としてのロータ10を示す。ロータ10には、先に説明したのと同じく、スリット部4がロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられているが、本発明では、隣接するスリット部4,4と、ロータ回転軸3との間の領域内でd軸上に補助スリットとしてのフラックスバリア11が形成されている。
【0019】
なお、各スリット部4には、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸3側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリット4aが含まれている。
【0020】
各フラックスバリア11は、ロータ回転軸3側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状であるが、この第1実施形態において、各フラックスバリア11は二等辺三角形であり、その頂点をd軸上でロータ10の外周側とし、その底辺をロータ回転軸3側としている。
【0021】
フラックスバリア11は、基本的に二等辺三角形であることが好ましいが、その頂点を丸めたりあるいは平らにして、縦に長くて先細のほぼ台形状としてもよく、このようにすることにより、後述するロータ製造時にバリなどの発生を抑えることができる。
【0022】
スリット部4とは別に、補助的なフラックスバリア11を追加的に設けることにより、一方のq軸から他方のq軸に向かう磁束の流れがより多く阻止される一方で、スリット部4とフラックスバリア11との間に、鋼板リブよりなる明確な磁路が形成されるため、一方のd軸から他方のd軸に向けて磁束がより通りやすくなる。したがって、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差をより大きくすることができ、出力トルク特性の向上が図れる。
【0023】
本発明において、ロータ10は、図2に示すように、電磁鋼板より打ち抜かれたコアーシート10aを図示しない自動プレス方式による金型内で積層することにより製造される。その自動プレスにおいては、ロータ回転軸3を挿通する挿通孔3a,スリット4aおよびフラックスバリア11を打ち抜いて積層するが、その積層時に1枚ごとに一方向に所定量ずらして、各孔にスキューを施す(図2の破線参照)。これにより、トルクリップルが低減され、また、コギングトルクに対しても良好となる。
【0024】
図3に、上記第1実施形態の変形例としてのロータ20を示す。このロータ20においては、上記フラックスバリア11のスリット部4と対向する側辺をスリット4aの円弧に沿った形状としたフラックスバリア21を備えている。これより、一方のd軸から他方のd軸への磁束がより通り易くなり、出力トルク特性がより向上することになる。
【0025】
図4に、本発明の第2実施形態に係るロータ30を示す。このロータ30においては、上記第1実施形態のフラックスバリア11をd軸に沿って分割して対としたフラックスバリア31a,31bを含むフラックスバリア31を備えている。
【0026】
各フラックスバリア31a,31bは直角三角形であり、その斜辺をスリット部4と対向させ、直角を挟む一辺をd軸対称に背中合わせに配置されている。なお、フラックスバリア31a,31bの間隔は、ロータ30を自動プレス方式で製造する際に、強度やバリ発生などを考慮して適宜決められる。また、このフラックスバリア31a,31bについても、ロータ外周側の頂点を丸めたりあるいは平らにして、先細の台形状としてもよい。
【0027】
図5に、上記第2実施形態の実施例としてのロータ40を示す。このロータ40においては、上記対のフラックスバリア31a,31bのスリット部4と対向する斜辺をスリット4aの円弧に沿った形状とした対のフラックスバリア41a,41bを含むフラックスバリア41を備えている。これより、一方のd軸から他方のd軸への磁束がより通り易くなり、出力トルク特性がより向上することになる。
【0028】
上記ロータ20,30,40の製造は、ロータ10と同じでよいことから、その説明を省略する。また、ロータ20,30,40の製造に際して、各コアシートの積層ごとに円周方向に所定量ずらして、フラックスバリア21,31a,31b,41a,41bにスキューを施すことが好ましい。
【0029】
本発明によれば、モータの出力トルク特性がより増大するだけなく、コストアップを招くことなく、安価で高効率、高出力のモータを実現することができる。また、ロータにスキューを施すことにより、モータのトルクリップルを低減して高効率、低振動、低騒音のモータを実現することができる。
【0030】
なお、上記の各実施形態では、スリット部4に含まれているスリット4aを3層としているが、その層数やスリット4aの幅などは任意に選択することができる。また、上記リラクタンスモータは三相四極モータであるが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転磁界を発生するステータの内側に配置されるロータに、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリットを含むスリット部を、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けるとともに、その隣接するスリット部とロータ回転軸との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリアを形成したことにより、一方のq軸から他方のq軸への磁束の流れがより多く阻止されるため、q軸インダクタンスが小さくなるとともに、一方のd軸から他方のd軸への磁束が通し易くなるため、d軸インダクタンスが大きくなり、出力トルク特性をより増大させることができ、安価で高効率、高出力のモータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロータを示す概略的平面図。
【図2】上記第1実施形態に係るロータを示す概略的斜視図。
【図3】上記第1実施形態の変形例を示す概略的平面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るロータを示す概略的平面図。
【図5】上記第2実施形態の変形例を示す概略的平面図。
【図6】従来のリラクタンスモータを説明する概略的平面図。
【図7】図6に示すリラクタンスモータのロータを説明する概略的平面。
【符号の説明】
1 ステータ
2,10,20,30,40 ロータ
3 ロータ回転軸
3a ロータ回転軸の挿通孔
4 スリット部
4a スリット
5 分布巻線
10a コアシート
11,21,31,41 フラックスバリア
Claims (8)
- 回転磁界を発生するステータと、その内側に配置されるロータとを備え、上記ロータには、ロータ半径方向に沿って多層に配置され、その各々が円弧の頂点をロータ回転軸側に向けて逆円弧形状に形成された複数のスリットを含むスリット部が、ロータ円周方向に沿って等間隔に所定の極数分だけ設けられているリラクタンスモータにおいて、
上記ロータには、隣接する上記スリット部と上記ロータ回転軸との間の領域内でd軸上に、ロータ回転軸側からロータ外周側に向けて幅が漸次狭くなる形状のフラックスバリアが形成されていることを特徴とするリラクタンスモータ。 - 上記フラックスバリアが三角形である請求項1に記載のリラクタンスモータ。
- 上記フラックスバリアが台形である請求項1に記載のリラクタンスモータ。
- 上記フラックスバリアのロータ外周側端部に所定曲率の丸みが付けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリラクタンスモータ。
- 上記フラックスバリアの上記スリット部と対向する辺には、上記スリット部に沿った曲線が付けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリラクタンスモータ。
- 上記フラックスバリアは、d軸を挟んで一対として設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリラクタンスモータ。
- 上記対をなす各フラックスバリアは、二等辺三角形をd軸に沿って2等分した直角三角形である請求項6に記載のリラクタンスモータ。
- 上記ロータは電磁鋼板の積層体からなり、上記電磁鋼板を積層する際に、その積層ごとに一方向に所定量ずらしてスキューが施されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリラクタンスモータ。
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2003
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