JP2003088019A

JP2003088019A - 永久磁石電動機

Info

Publication number: JP2003088019A
Application number: JP2001273355A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Tsukamoto; 聡塚本; Shigeru Okuma; 繁大熊; Shinichi Yamada; 伸一山田; Kenji Narita; 憲治成田; Takushi Fujioka; 琢志藤岡
Original assignee: Fujitsu General Ltd
Current assignee: Fujitsu General Ltd
Priority date: 2001-09-10
Filing date: 2001-09-10
Publication date: 2003-03-20

Abstract

(57)【要約】【課題】ＩＰＭ型回転子を有する永久磁石電動機で、
トルク変動を小さくして振動騒音を低減し、平均トルク
を大きくしてモータの効率向上を図ることを目的とす
る。【解決手段】６スロット構造の各歯１０ａに集中巻の
巻線２を施して回転磁界を発生する固定子１０の内側
に、複数の永久磁石によって４極数分だけ埋め込んだ回
転子３を配置してなる三相四極の永久磁石電動機であっ
て、固定子１０の歯１０ａの両端部のうち、回転子３の
回転方向（反時計方向）側端部と反対の端部ｂの内周側
を切り欠いて切欠部１０ｂを形成し、切欠部１０ｂによ
って端部ｂの厚さを薄くし、この薄くした端部における
エアギャップを他の分よりも反回転方向ほど大きくす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家電機器（空気調
和機等）に用いるブラシレスＤＣモータの永久磁石電動
機に係り、特に詳しくは、効率の向上を図るように固定
子の構造に工夫を施した永久磁石電動機に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】永久磁石電動機は、一般的には、固定子
（電機子ステータ）の内側にＩＰＭ型の回転子（界磁ロ
ータ）を配置してなり、例えば、三相四極モータの場合
では、図８に示す構成のものがある。固定子１は、３ｎ
個（ｎ；正の整数、例えば２）の歯１ａに集中巻２が施
され、回転子３は、一対の永久磁石（例えばフェライト
磁石）４ａ，４ｂおよび永久磁石（例えば希土類磁石）
５が当該円周方向に等間隔に埋め込まれ２ｎ極とされて
いる。

【０００３】上記一対の永久磁石４ａ，４ｂは、断面長
方形とされて当該外周からシャフト６側に向けられると
ともに、当該極（４極）分だけ埋め込まれる。永久磁石
５は、断面長方形とされ、それら永久磁石４ａ，４ｂと
の間でシャフト３側端部間に埋め込まれている。すなわ
ち、永久磁石４ａ，４ｂはｑ軸に平行に埋め込まれ、永
久磁石５は断面長方形の長辺をｄ軸に直角になるように
埋め込まれており、一対の永久磁石４ａ，４ｂと永久磁
石５の間には、磁束の漏洩、短絡を防止するためのフラ
ックスバリア７ａ，７ｂがそれぞれ設けられている。

【０００４】一対の永久磁石４ａ，４ｂは、断面長方形
の長辺側を極とし、かつ、それらの内側を同一極とし、
永久磁石５は、シャフト６に対して反対側の長辺を極と
し、当該回転子３の磁極を形成してしている。また、一
対の永久磁石４ａ，４ｂおよび永久磁石５の極と隣接す
る他の一対の永久磁石４ａ，４ｂおよび永久磁石５とは
異極とされ、回転子３に４極の磁極を形成している。

【０００５】上記構成の永久磁石電動機によれば、ステ
ータコアの内径寸法は同一で均一なエアギャップを有
し、回転子のｄ軸には、リラクタンストルクを発生させ
るための電磁鋼板からなる磁極を有することになる。

【０００６】また、上記回転子３において、回転力とな
るマグネットトルクを発生させる一方、永久磁石４ａ，
４ｂと永久磁石５との内側領域（電磁鋼板）には、固定
子１からの磁束のうち、一方のｑ軸から他方のｑ軸への
磁束の路（磁路）が確保される。しかも、一方のｄ軸か
ら他方のｄ軸への磁束の路が、特に永久磁石４ａ，４ｂ
で阻害されるため、ｄ軸、ｑ軸のインダクタンス差が大
きくなり、リラクタンストルクが発生する。したがっ
て、マグネットトルクとリラクタンストルクとを併せた
トータルトルクが大きくなり、効率の高いモータを実現
することができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記永久磁石電動機に
おいては、磁束がエアギャップを介して固定子１および
回転子３の内部を通過するが、固定子１の歯１ａの端部
を回転子３の極（電磁鋼板の磁極）が通過するとき（図
８に示す状態になったとき）には、大きなトルク変動が
起こり、トルクの増大低下の現象が起こる。言い替える
と、トルク変動により振動および騒音が大きくなり、ト
ルクの落込みに伴って平均トルクが小さくなるため、モ
ータの効率が低下するという欠点がある。上記トルク変
動の原因としては、マグネットトルクが急激に変化する
だけでなく、リラクタンストルクの変化も大きく、か
つ、トルクの落込みも大きいことによるものと考えられ
る。

【０００８】すなわち、固定子１の歯１ａと回転子３と
の関係が図８に示す状態になると、固定子１および回転
子３を通過する磁束が大きくなり、特に歯１ａの端部
（反時計方向に回転している場合電磁鋼板の磁極が先に
来る方の端部）ａには磁束が集中し易いからである。こ
れは、電磁界解析のシミュレーション結果から判断する
ことができる（図８，図９参照）。

【０００９】図９のトルクグラフ図に示すように、上記
永久磁石電動機のトルクには、トルクの落込みの大きい
箇所（特に機械角３０度付近）が存在していることが明
かでもある。なお、図９のトルクグラフについて補足的
に説明すると、これは歯１ａの端部に切欠部を形成して
いない場合のトルク特性を表しており、曲線のそれぞれ
は、マグネットトルク、リラクタンストルク、トータル
トルクを表している。

【００１０】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、トルク変動を小さくして振動騒音を
低減し、平均トルクを大きくしてモータの効率を向上さ
せ、コストをアップさせることなく省エネルギ効果を発
揮することができるようにした永久磁石電動機を提供す
ることにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、集中巻を施した３ｎ（ｎ；正の整数）個
の歯を有して回転磁界を発生する固定子（電機子）と、
複数の永久磁石によって２ｎの極数を有する回転子（界
磁）とからなる永久磁石電動機であって、上記固定子の
歯の両端部のうち、回転子が接近する側の固定子の歯の
歯端の半径方向の厚さが薄くされていることを特徴とし
ている。

【００１２】本発明は、集中巻を施した３ｎ（ｎ；正の
整数）個の歯を有して回転磁界を発生する固定子（電機
子）と、複数の永久磁石によって２ｎの極数を有する回
転子（界磁）とからなる永久磁石電動機であって、上記
固定子の歯の両端部のうち、回転子が接近する側の固定
子の歯の端部の内周側は切り欠かれて切欠部が形成され
るとともに、この切欠部によりその端部の半径方向の厚
さは薄くされ、該薄くされた端部におけるエアギャップ
は、他の分よりも反回転方向ほど大きくされていること
を特徴としている。

【００１３】上記固定子には三相巻線の集中巻を施し、
上記回転子には、ＩＰＭ型回転子を用いるとよい。これ
により、実用的なモータが得られるとともに、ＩＰＭの
特徴を生かしたモータが得られる。

【００１４】上記回転子は、断面長方形の２つの永久磁
石がｑ軸に平行として上記回転子の外周側に埋め込ま
れ、その２つの永久磁石のシャフト側のそれぞれの端部
の間には、断面長方形の永久磁石が配置されるととも
に、同断面長方形の長辺がｄ軸に直角となるように埋め
込まれ、それら３つの永久磁石で１つの磁極を形成する
ように、３つの永久磁石を当該極数分だけ前記回転子の
円周方向に等間隔に埋め込み、前記ｑ軸に平行な永久磁
石と前記ｄ軸に直角な永久磁石とをそれぞれフェライト
磁石、希土類磁石とするとよい。フェライト磁石と希土
類磁石を効果的に用いることで、モータのコストを勘案
して大きなマグネットトルクの発生を見込むことができ
るだけでなく、永久磁石の配置によって、リラクタンス
トルクを大きくし、モータのトータルトルクを大きくす
ることができる。

【００１５】上記回転子は、断面長方形の永久磁石を円
周方向に等間隔に当該極数分だけ埋め込み、この永久磁
石の断面長方形の長辺をｄ軸に直角とするとともに、当
該シャフト側に配置して磁極を形成し、それら永久磁石
の断面長方形の両端部（短辺側端部）には、当該外周側
に延び、かつ、ｑ軸に平行なフラックスバリアを形成す
るとよい。これにより、永久磁石の磁束短絡、漏洩が防
止され、上記永久磁石の材質としては、希土類磁石を用
いれば、トータルトルクが大きくなるばかりでなく、高
効率、低騒音のモータを得ることができる。

【００１６】上記回転子は、断面長方形の永久磁石を円
周方向に等間隔に当該極数分だけ埋め込み、この永久磁
石の断面長方形の長辺をｄ軸に直角するとともに、当該
外周側に配置して磁極を形成し、それら永久磁石の断面
長方形の両端部（短辺側端部）側には、当該外周でｑ軸
付近に切り欠かれたフラックスバリアを形成するとよ
い。これにより、永久磁石の磁束短絡、漏洩が防止さ
れ、上記永久磁石の材質としては、希土類磁石あるいは
フェライト磁石を用い、トータルトルクの増大ならびに
効率の向上が図れる。

【００１７】上記回転子は、１層構造あるいは多層構造
とした断面円弧形状の永久磁石をｄ軸中心に当該極数分
だけ埋め込み、その断面円弧形状の頂点を当該シャフト
側に向け、かつ、その断面円弧形状の両端部をｑ軸に向
けるとよい。これにより、リラクタンストルクが大きく
なり、マグネットトルクと併せたトータルトルクが大き
くなることから、モータの効率向上が図ることができ
る。

【００１８】上記回転子は、断面長方形の永久磁石を逆
ハの字形状にしてｄ軸中心に配置し、あるいは、断面台
形の上辺および両斜辺に沿った形状の永久磁石をその上
辺を軸側にしてｄ軸中心に配置し、もしくは、断面円弧
形あるいは断面蒲鉾形の永久磁石をｄ軸中心に配置し、
それら永久磁石を当該極数分だけ円周方向に等間隔に埋
め込むとよい。これにより、リラクタンストルクとマグ
ネットトルクとを併せたトータルトルクが大きくなり、
モータ効率の向上を図ることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
ないし図７を参照して詳しく説明する。なお、図中、図
８と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略す
る。本発明の永久磁石電動機は、固定子と回転子の磁気
吸引力を利用したシンクロナスモータとし、固定子の歯
（例えば図１のｂ（ｂ１））と回転子の磁極（例えば図
１のｃ）との出会いがしらのトルクの急激な立ち上がり
を押さえ、かつ、その後のトルクの落込みを少なくして
｜ｄτ／ｄθ｜を小さくするように工夫を施して実現し
たものである（ここで、τはトルク、θは回転子の回転
角を表す）。

【００２０】図１および図２に示すように、永久磁石電
動機の固定子１０は、図８に示す固定子１と同様に、３
ｎ個（ｎ；正の整数、例えば２）の歯１０ａを有し、歯
１０ａの一端部ｂを切り欠いて切欠部１０ｂを形成し、
切欠部１０ｂによって端部ｂの厚さｔを薄くしている。
なお、回転子３は、図８と同様に、２ｎ個の磁極を構成
する永久磁石を有する構造であることからその説明を省
略する。

【００２１】上記固定子１０を具体的に説明すると、図
２から明かなように、回転子３が反時計方向に回転する
場合、上記切欠部１０ｂは歯１０ａの左側一端の内周面
を直線的に切り欠き、端部ｂの厚さＴ（例えば１．５ｍ
ｍ〜２ｍｍ）を薄くすることで、その箇所のエアギャッ
プを大きくしている。なお、Ｔは歯１０ａの右側端部の
厚さである。また、歯１０ａの一端部ｂの先端の厚さｔ
は０．４ｍｍ〜０．８ｍｍにすると好ましい。なお、隣
接する歯１０ａの端部間Ｓは例えば２ｍｍであり、歯１
０ａと回転子３との間隔は例えば０．６ｍｍである。

【００２２】これにより、回転子３の磁極の中心が固定
子の歯１０ａの中心（従来の幾何学的磁極の中心）に対
して角度θになったとき、上記切欠部１０ｂの効果によ
って固定子１０の磁極の中心（実質的磁極の中心）が反
時計方向に僅かな量Δθだけ偏ることになる。θ，Δθ
は当該永久磁石電動機の回転中心Ｏとしての磁極中心角
度である。なお、上記端部ｂの厚さｔは内周面を切り欠
いて薄くなっているが、例えばその端部ｂの両面をカッ
トするようにしてもよい。

【００２３】上記構成とした永久磁石電動機の作用を図
３のトルクグラフ図を参照して詳細に説明する。固定子
１０の歯１０ａの端部ｂの幅は従来よりも薄く、また、
回転子３の外周から離れるほど、かつ、端部ｂの先にな
るほど、その外周から離れることにより、エアギャップ
が大きくなる。このため、端部ｂにあっては磁束の集中
が緩和され、従来のような磁束の集中を起こすことな
く、回転子３の回転角に対して、マグネットトルクおよ
びリラクタンストルクの変化が小さくなり、トータルト
ルクのリップルも小さくなる。

【００２４】具体的には、図３に示すトルクと回転角θ
のグラフの機械角３０度付近におけるトルク落ち込みが
図９と比較して小さい。また、機械角５０度付近におけ
るトルクは、図９と比較して低く、図３に示すトルクの
変化が小さいことが分かる。なお、図３は図９に対応し
たトルクと回転角θのグラフであり、図３における曲線
それぞれは、マグネットトルク、リラクタンストルク、
トータルトルクである。

【００２５】表１および表２は、図３および図９のグラ
フのもととなる回転角とトルクの関係を表す詳細データ
である。

【表１】

【表２】

【００２６】また、本発明の回転子の歯の非対称形状解
析結果の一例を表３に示し、平均トルクについて従来品
と比較する。これによると、図３に示した結果（特にｔ
＝０．４の場合）が従来品よりもトルク変動が低減して
いることが分かる。

【００２７】

【表３】

【００２８】このように、図３と図９との比較および表
１と表２の比較ならびに表３から、トルク変動について
は従来よりも小さく、騒音が抑えられることが明かであ
る。また、図２に示すように、マグネットトルクは、上
述したように固定子１０の磁極の実質的中心の位置が回
転子３の回転方向に進むため、トルクの落込みが少なく
なり、平均トルクが大きくなる。

【００２９】この場合、トルクがほぼｓｉｎ（θ＋Δ
θ）に比例することから、０゜＜（θ＋Δθ）＜９０゜
の範囲においてはｓｉｎ（θ）よりもｓｉｎ（θ＋Δ
θ）の方が大きい。したがって、トルクは実質的磁極の
中心がΔθだけ進んでいる方（ｓｉｎ（θ＋Δθ）の
方）が大きくなる（ここで、θ，Δθは電気角を表
す。）。このように、平均トルクが大きくなることによ
り、モータの効率が向上する。

【００３０】ここで、固定子１０および回転子３の製造
について簡単に説明する。製造にあたっては、コアプレ
ス金型を用いて自動プレスで電磁鋼板を打ち抜き、同金
型内で一体的に形成するコア積層方式（自動積層方式）
を採用する。なお、回転子３にあっては、積層したコア
の両端側に蓋（端子板）を添えるとともに、リベットを
通すとよい。

【００３１】リベットは、一対の永久磁石４ａ，４ｂお
よび永久磁石５と回転子３の外周と間の領域でｄ軸上に
通す。また、一方のｑ軸から他方のｑ軸への磁束に対し
て悪影響（例えば磁気飽和）が起こらないようにするた
め、リベットの材質に透磁率のよい強磁性体を用いると
よい。

【００３２】なお、上述したモータを、例えば空気調和
機の圧縮機モータ等として利用すれば、空気調和機の低
コスト化、空気調和機の性能アップ（運転効率の上昇、
振動や騒音の低下）を図ることができる。

【００３３】また、図１においては、６スロットの固定
子１０にＵ相、Ｗ相、Ｖ相の集中巻の巻線１０ｂを施
し、４極構成とした回転子３を用いているが、例えば、
９スロットの固定子と６極の回転子とから構成し、ある
いは、１２スロットの固定子と８極の回転子とから構成
した場合に適用してもよい。

【００３４】図４ないし図７は、上述した回転子３の変
形例を示す概略的構造図である。なお、図中、図１と同
一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図４
において、この第１の変形例の回転子２０は、回転子１
０と同じＩＰＭ型ではあるが、断面長方形とした永久磁
石（例えば希土類磁石）２１は、当該円周方向に等間隔
に４個配置するとともに、その断面長方形の長辺をシャ
フト６側に向けｄ軸と直角として当該外周よりもシャフ
ト６に近い位置に埋め込まれている。この場合、隣接す
る永久磁石２１を異極とし、相対する永久磁石２１を同
極とし、各永久磁石２１の両端側には、当該外周に直線
的に延び、かつ、ｑ軸に平行なフラックスバリア２２
ａ，２２ｂが設けてられている。

【００３５】上記構成とした回転子２０を前実施例の固
定子１０の回転子とすれば、その回転子２０が回転子３
と同じ４極であることから、当該モータは前実施例と同
じ効果を発揮する。なお、永久磁石２１の磁石使用量が
図１の回転子３よりも少ないことから、マグネットトル
クが前実施例よりも小さくなり、リラタンストルクの効
果的な発生が期待でき、かつ、低コスト化を実現するこ
とができる。

【００３６】図５において、この第２の変形例の回転子
３０は、回転子１０と同じＩＰＭ型ではあるが、断面長
方形とした永久磁石３１を当該円周方向に等間隔に４個
配置するとともに、その長辺をシャフト６側に向けｄ軸
と直角としてシャフト６よりも当該外周に近い位置に埋
め込まれている。この場合、隣接する永久磁石３１を異
極とし、相対する永久磁石３１を同極としている。ま
た、各永久磁石３１の両端側には、当該外周を切り欠い
た切欠部１０ｂによってフラックスバリア３２が設けら
れている。なお、切欠部１０ｂは、各永久磁石３１の断
面長方形の短辺と平行にする。

【００３７】上記構成とした回転子３０を前実施例の固
定子１０の回転子とすれば、その回転子３０が回転子３
と同じ４極であることから、当該モータは、前実施例と
同じ効果を発揮する。また、永久磁石３１の材質とし
て、例えば、希土類磁石あるいはフェライト磁石等を用
い、永久磁石３１を当該外周に近く配置している。

【００３８】図６において、この第３の変形例の回転子
４０は、回転子１０と同じＩＰＭ型ではあるが、断面逆
円弧形状の永久磁石４１は、当該円周方向に等間隔に４
個配置し、その円弧の中心をｄ軸上とし、かつ、その円
弧の頂点をシャフト６側に向けるとともに、円弧の両短
部をｑ軸方向に向けて逆円弧状に埋め込まれている。こ
の場合、隣接する永久磁石４１を異極とし、相対する永
久磁石４１を同極としている。

【００３９】上記構成とした回転子４０を前実施例の固
定子１０の回転子とすれば、回転子４０が回転子３と同
じ４極であることから、当該モータは前実施例と同じ効
果を発揮する。永久磁石４１の材質としては、例えば、
フェライト磁石等を用いる。

【００４０】図７において、この第４の変形例の回転子
５０は、回転子１０と同じＩＰＭ型ではあるが、第３の
変形例の永久磁石４１に代え、多層構造（例えば二層構
造）とした断面逆円弧形状の永久磁石５１，５２は、当
該円周方向に等間隔に各４個配置され、その円弧の中心
をｄ軸上とし、かつ、その円弧の頂点をシャフト６側に
向けるとともに円弧の両短部をｑ軸方向に向けて逆円弧
状に埋め込まれている。この場合、多層構造の永久磁石
５１，５２の隣接同士を異極に、多層構造の永久磁石４
１，４２の相対する同士を同極としている。

【００４１】上記構成とした回転子５０を前実施例の固
定子１０の回転子とすれば、その回転子５０が回転子３
と同じ４極であることから、当該モータは前実施例と同
じ効果を発揮することになる。永久磁石５１の材質とし
ては、例えば、希土類磁石あるいはフェライト磁石等を
用い、永久磁石５１を逆断面円弧形状としていることか
ら、第３の変形例と同様の効果が得られる。さらに、回
転子の磁極が多層構造とした逆断面円弧形状の永久磁石
５１，５２で構成されることから、第３の変形例よりも
リラクタンストルクが大きくなるという効果もある。

【００４２】上述した第１ないし第４の変形例は、回転
子のほんの一部であり、例えば図１の回転子３の永久磁
石４ａ，４ａ，５を一体化した形状、つまり、台形の上
辺よび両斜辺に沿った断面形状とした永久磁石を埋め込
むようにしてもよい。また、ほぼ断面台形形状とした永
久磁石を用い、その上辺をシャフト６側に向けて埋め込
むようにしてもよい。あるいは、台形の底辺を回転子外
周に沿った形状（蒲鉾形形状）とした永久磁石を用い、
その上辺をシャフト６側に向けて埋め込むようにしても
よい。さらには、第３の変形例の逆円弧形状の永久磁石
４１を半分にし、かつ、その円弧を直線とした形状（ほ
ぼハの字の形状）とした永久磁石を用いるようにしても
よい。

【００４３】なお、第１ないし第４の変形例の回転子２
０，３０，４０，５０等の製造については、前実施例と
同様であることからその説明を省略する。また、それら
回転子２０，３０，４０，５０および他の回転子を、固
定子１０の回転子として空気調和機に用いれば、既に述
べたように、低コスト化、空気調和機の性能アップを図
ることができる。また、固定子を９スロットとして回転
子を６極とし、あるいは固定子を１２スロットとして回
転子を８極とする永久磁石電動機にも適用可能であるこ
とは明かである。

【００４４】

【発明の効果】以上説明した本発明によると、以下に述
べる効果を奏する。本発明の永久磁石電動機は、三相巻
線の集中巻を施した３ｎ（ｎ；正の整数）個の歯を有し
て回転磁界を発生する固定子（電機子）と、複数の永久
磁石によって２ｎの極数を有する回転子（界磁）とから
なり、固定子の歯の両端部のうち、固定子が接近する側
の固定子の歯の歯端の半径方向の厚さを薄くしているこ
とから、固定子の歯と回転子の磁極との出会いがしらの
トルクの急激な立ち上がりを押さえ、かつ、その後のト
ルクの落込みを少なくして、｜ｄτ／ｄθ｜を小さく
し、トルク変動を小さくして振動騒音を低減し、平均ト
ルクを大きくしてモータの効率向上を図ることができる
という効果がある（ここで、τはトルク、θは回転子の
回転角を表す。）。

【００４５】本発明の永久磁石は、集中巻を施した３ｎ
（ｎ；正の整数）個の歯を有して回転磁界を発生する固
定子（電機子）と、複数の永久磁石によって２ｎの極数
を有する回転子（界磁）とからなり、固定子の歯の両端
部のうち、回転子が接近する側の固定子の歯の端部の内
周側を切り欠いて切欠部を形成し、この切欠部によりそ
の端部の半径方向の厚さを薄くし、この薄くした端部に
おけるエアギャップが他の分よりも反回転方向ほど大き
くされていることから、固定子の歯と回転子の磁極との
出会いがしらのトルク変化がより小さくされ、かつ、ト
ルクの落込みがより小さくなる。したがって、トルク変
動を抑えて振動騒音を低減し、平均トルクを大きくして
効率を向上させ、コストをアップさせることなく省エネ
ルギ効果を発揮することができるという効果大なるもの
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す永久磁石電動機の
概略的構造図。

【図２】図１に示す永久磁石電動機を説明するための概
略的部分的拡大図。

【図３】図１に示す永久磁石電動機の特性を説明するた
めの概略的トルクグラフ図。

【図４】本発明の第１の変形例を示し、永久磁石電動機
の回転子を説明するための概略的構造図。

【図５】本発明の第２の変形例を示し、永久磁石電動機
の回転子を説明するための概略的構造図。

【図６】本発明の第３の変形例を示し、永久磁石電動機
の回転子を説明するための概略的構造図。

【図７】本発明の第４の変形例を示し、永久磁石電動機
の回転子を説明するための概略的構造図。

【図８】従来の永久磁石電動機の回転子を説明するため
の概略的構造図。

【図９】図８に示す永久磁石電動機の特性を説明するた
めの概略的トルクグラフ図。

【符号の説明】

２巻線（集中巻）３，２０，３０，４０，５０回転子４ａ，４ｂ一対の永久磁石（断面長方形）５，２１，３１永久磁石（断面長方形）６シャフト７ａ，７ｂフラックスバリア１０固定子１０ａ歯１０ｂ切欠部４１永久磁石（断面円弧形状）５１永久磁石（多層構造の断面円弧形状）ｂ端部（歯１０ａの）ｔ厚さ（切欠部１０ｂを形成した端部ｂの先端の）

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考） // Ｈ０２Ｋ 1/16 Ｈ０２Ｋ 1/16 Ｃ (72)発明者山田伸一神奈川県川崎市高津区末長1116番地株式会社富士通ゼネラル内 (72)発明者成田憲治神奈川県川崎市高津区末長1116番地株式会社富士通ゼネラル内 (72)発明者藤岡琢志神奈川県川崎市高津区末長1116番地株式会社富士通ゼネラル内Ｆターム(参考） 5H002 AA02 AA04 AB04 AB06 AB07 AE07 5H621 AA02 BB07 BB10 GA04 GA12 HH01 HH04 JK02 JK05 5H622 AA02 CA02 CA07 CA10 CA13 CB01 CB04 CB05 DD01 DD02 PP03 PP10

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】三相巻線の集中巻を施した３ｎ（ｎ；正
の整数）個の歯を有して回転磁界を発生する固定子（電
機子）と、毎極当たり単数または複数の永久磁石によっ
て２ｎの極数を有するＩＰＭ型回転子（界磁）とからな
る永久磁石電動機であって、前記固定子の歯の両端部の
うち、回転子が接近する側の固定子の歯の端部の内周側
は切り欠かれて切欠部が形成されるとともに、該切欠部
によりその端部の半径方向の厚さは薄くされ、該薄くさ
れた端部におけるエアギャップは、他の分よりも反回転
方向ほど大きくされていることを特徴とする永久磁石電
動機。
【請求項２】前記回転子は、断面長方形の２つの永久
磁石がｑ軸に平行として前記回転子の外周側に埋め込ま
れ、該２つの永久磁石のシャフト側のそれぞれの端部の
間には、断面長方形の永久磁石が配置されるとともに、
同断面長方形の長辺がｄ軸に直角となるように埋め込ま
れ、それら３つの永久磁石で１つの磁極を形成するよう
に、該３つの永久磁石が当該極数分だけ前記回転子の円
周方向に等間隔に埋め込まれ、前記ｑ軸に平行な永久磁
石と前記ｄ軸に直角な永久磁石とは、それぞれフェライ
ト磁石、希土類磁石とされる請求項１に記載の永久磁石
電動機。
【請求項３】前記回転子は、断面長方形の永久磁石が
当該極数分だけ前記回転子の円周方向に等間隔に埋め込
まれ、該永久磁石の断面長方形の長辺をｄ軸に直角とす
るとともに、当該シャフト側に配置することで磁極を形
成し、それら永久磁石の断面長方形の両端部（短辺側端
部）には、前記回転子の外周側方向に延び、かつ、ｑ軸
に平行なフラックスバリアを形成されている請求項１に
記載の永久磁石電動機。
【請求項４】前記回転子は、断面長方形の永久磁石が
当該極数分だけ前記回転子の円周方向に等間隔に埋め込
まれ、該永久磁石の断面長方形の長辺をｄ軸に直角とす
るとともに、前記回転子の外周側に配置することで磁極
を形成し、それら永久磁石の断面長方形の両端部（短辺
側端部）側には、前記回転子の外周ｑ軸付近が切り欠か
れてフラックスバリアが形成されている請求項１に記載
の永久磁石電動機。
【請求項５】前記回転子は、１層構造あるいは多層構
造とした断面円弧形状の永久磁石が当該極数分だけｄ軸
中心に埋め込まれ、その断面円弧形状の頂点が当該シャ
フトに向けられるとともに、断面円弧形状の両端部がｑ
軸に向けられている請求項１に記載の永久磁石電動機。
【請求項６】前記回転子は、断面長方形の永久磁石２
個が逆ハの字形状にされてｄ軸中心に配置され、あるい
は、断面台形の上辺および両斜辺に沿った形状の永久磁
石がその上辺を軸側にしてｄ軸中心に配置され、円弧あ
るいは断面蒲鉾形の永久磁石がｄ軸中心に配置され、そ
れら永久磁石が、当該極数分だけ円周方向に等間隔に埋
め込まれる請求項１に記載の永久磁石電動機。