JP2004242477A - 掴線器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定側掴線部52を線状体W上に載せ、連結部材57に引っ張り手段からの引っ張り方向の力を加えることにより作動部54が回動して可動側掴線部53を押し上げて線状体Wを固定側掴線部52との間で掴持する。線状体Wを掴持した状態の作動部54の回動位置は、作動規制部55のノブ60を回転操作して当接キャップ59を作動部54に押圧させることで維持される。当接キャップ59による作動部54の押圧は、バネ座金75を介してなされているので、振動などによって掴持力に変化が生じることを防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線の振り分け工事などを行う際に電線を引っ張る装置に取り付けられて電線を掴持する用途に用いられる掴線器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電線の振り分け工事を行うに際しては、電線を引っ張って振り分け工事を行う部位に弛みを生じさせるために、伸縮自在の棒状本体の両端に掴線器を連結した張線装置が用いられる。張線装置は、両側の掴線器により電線を掴持させた後に、棒状本体の長さを縮小させて両端に連結した掴線器の間隔を縮めることにより、両側の掴線器によって掴持された間の電線を弛ませることができる。弛ませた電線は所要個所を切断して電線の振り分け工事を容易に行うことができる。このような電線を掴持もしくは把持する従来技術として、図5に示すような線状体把持器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図5(a)に示すように、固定側掴線部2を一体に備えた把持器本体1には、連結部材7に連結される引っ張り手段により一方向への作動力を付与される作動部材3が作動可能に取り付けられ、可動側掴線部4が前記作動部材3に対して、これの一方向への作動により前記固定側掴線部2に接近して固定側掴線部2と共に線状体Wを掴持すると共に、作動部材3の他方向への作動により固定側掴線部2から離隔するように配設されている。また、図5(b)に示すように、作動部材3と把持器本体1との間に架け渡して作動規制部材8が設けられている。この作動規制部材8は、作動部材3に対して相対位置から一方向への作動を許容し、且つ他方向への作動を阻止するように規制する。また、作動規制部材8は作動部材3と把持器本体1とに対し相対位置を調整可能に取り付けられている。
【0004】
この線状体把持器は、線状体Wを固定側掴線部2及び可動側掴線部4によって掴持し、線状体Wを引っ張った状態において、何らかの原因によって作動部材3を他方向に作動させるような衝撃が加わっても、作動規制部材8が作動部材3の他方向への作動を阻止するので、固定側掴線部2及び可動側掴線部4による線状体Wの掴持力が減少することがない。
【0005】
また、線状体Wの固定側掴線部2及び可動側掴線部4によって掴持されている箇所が圧潰されて変形した場合、作動部材3は作動規制部材8により一方向への作動のみ許容されると同時に引っ張り手段により常に一方向への引っ張り力を付与されていることから、線状体Wの変形に追従して固定側掴線部2側に変位するので、線状体Wに対する掴持力は常に一定に保たれる。このとき作動規制部材8は作動部材3が作動した分だけ作動部材3及び把持器本体1に対する相対位置が変化するが、それを補正するように調整することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−255547号公報(第2〜4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に係る線状体把持器は、これを線状体Wに装着する作業を行うときには、作業者は固定側掴線部2と可動側掴線部4との間に線状体Wが挿通するように線状体把持器を配置し、固定側掴線部2に形成された嵌合溝37に線状体Wの上部を嵌め込み、図5(a)に示すように、線状体把持器が線状体Wに吊り下げ状態となるように装着する作業を行う。次いで、連結部材7に張線装置等の引っ張り手段を連結する作業を行う。引っ張り手段により連結部材7が図示d方向に引っ張られると、作動部材3は支軸17を支点として回動して可動側掴線部4を押し上げるので、可動側掴線部4は固定側掴線部2側に移動して、その上面に形成された嵌合溝38を線状体Wの下部に嵌め込み、図6(a)に示すように、固定側掴線部2との間で線状体Wを掴持する。ここまでの作業を行うためには、作業者は図5(a)、図6(a)に示す正面側から線状体把持器を操作することになる。
【0008】
次に、固定側掴線部2と可動側掴線部4との間で線状体Wを掴持した状態を維持させるために、作業者は図6(b)に示すような状態にある作動規制部材8を操作する。即ち、作業者はリング体21により作動規制部材8をその雄ねじ部20が作動部材3に回動可能に取り付けられた軸体27の雌ねじ部28に対し図示f方向に螺進するように回転させ、作動規制部材8に設けられた鍔部22が把持器本体1に回動可能に取り付けられている保持ブロック体23に当接させる作業を行う。この作業は線状体把持器の裏面側にある作動規制部材8に対して行うので、作業者は正面側でそれまでの作業を実施していた場合に、前記鍔部22が保持ブロック体23に当接したか否かを確認することが困難であった。
【0009】
また、線状体から線状体把持器を取り外す際にも、まず、連結部材7に対する引っ張り手段の連結を解除する作業を行い、次に、作動規制部材8を初期状態に戻す作業を行って可動側掴線部4による固定側掴線部2との間での線状体Wの掴持を解除し、その後に線状体把持器を線状体Wから取り外す作業を実施する。このときにも作動規制部材8の操作は困難である。
【0010】
このように線状体Wに線状体把持器を取り付け、取り外す作業は正面側から行うのが確実であり、作動規制部材8を操作する作業は裏面側から行うのが確実であるため、いずれか一方の作業を優先すると、他方の作業が困難となる課題があった。
【0011】
線状体把持器の線状体Wに対する取り付けは、架設された電線路に対して実施される高所作業であり、活線部分に触れる恐れもある危険作業でもあるので、地上では容易に行い得る動作、例えば作動規制部材8の操作進行状態を裏面側を覗き込むようにして確認する動作も容易に行うことはできない。従って、線状体把持器を線状体Wに装着して線状体Wを掴持させる作業と、作動規制部材8を操作する作業とは、同一方向から実施できるようにするのが望ましく、作業性及び安全性を向上させる上からも望まれている。
【0012】
本発明が目的とするところは、線状体を掴持し、掴持状態を維持するための作業を作業性よく確実に行い得るようにした掴持器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る掴線器は、線状体の上部を収容する嵌合溝が形成された固定側掴線部が一体に形成された掴線器本体と、前記固定側掴線部の形成面側に一端側で回動可能に取り付けられて他端側に一方向への作動力が与えられることにより回動する作動部と、前記作動部の回動により前記固定側掴線部方向に移動して上面に形成された嵌合溝に線状体の下部を収容して固定側掴線部との間で線状体を掴持する可動側掴線部と、前記固定側掴線部及び可動側掴線部の取り付け面側に進退移動操作可能に設けられて進出移動操作により先端で前記作動部に当接して作動部の他方向への回動を規制する作動規制部と、を備えてなることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、掴線器を線状体に取り付けるときには、固定側掴線部を線状体上に載せ、作動部に対して引っ張り手段等から一方向への作動力を与えると作動部は一方向に回動し、可動側掴線部を固定側掴線部側に移動させるので、固定側掴線部と可動側掴線部との間で線状体を掴持することができ、線状体を掴持した状態は作動規制部の進出移動操作により作動部の他方向への回動を規制することにより維持される。掴線器を取り外すときには、作動部に与えられた一方向への作動力を解除し、作動規制部を後退移動操作して作動部の他方向への回動を解除すると、作動部は他方向に回動して可動側掴線部による線状体の掴持が解除されるので、線状体から固定側掴線部を外して掴線器を取り外すことができる。この掴線器を線状体に取り付け作業及び取り外し作業を行うための固定側掴線部及び可動側掴線部、作動部、作動規制部は同一方向面側に配設されているので、掴線器を線状体に取り付け、取り外す作業を同一方向面側から行うことができる。掴線器を用いた作業は高所作業、危険作業となりがちであるが、同一方向面側からの操作により作業を容易且つ安全に実施することができる。
【0015】
上記構成において、作動規制部は、その先端に進退移動可能に取り付けられた当接部と、この当接部を進出方向に付勢するバネ部材とを設けて構成すれば、掴線器の線状体への取り付け時に、先端が作動部に当接するように進出移動操作すると、当接部は作動部に当接した後に後退移動してバネ部材を圧縮する。このバネ部材が圧縮された状態が作動規制部により作動部の他方向への回動を規制した状態なので、作業者はバネ部材の圧縮状態を確認することにより作動規制部の操作を確認することができる。また、バネ部材を介して作動部の他方向への回動が規制されるので、掴線器に振動や衝撃が加わったときに作動部を他方向に回動させる力をバネ付勢による弾性によって吸収することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施の形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1〜図3は、本実施の形態に係る掴線器の全体構成を示すもので、仮想線で示す電線等の線状体Wを掴持できるように構成されている。この掴線器は、掴線器本体51と、この掴線器本体51と一体に形成されて線状体Wの上部を嵌合溝52a内に収容して線状体Wを上部から保持する固定側掴線部52と、固定側掴線部52側に移動して線状体Wの下部を嵌合溝53a内に収容して前記固定側掴線部52との間で線状体Wを掴持する可動側掴線部53と、掴線器本体51に回動可能に取り付けられて一方向への回動により前記可動側掴線部53を移動させる作動部54と、この作動部54の他方向への回動を規制する作動規制部55とを主要構成要素として構成されている。
【0018】
前記掴線器本体51には、上記構成要素の他に、前記作動規制部55を支持する支持板56がネジ固定され、前記作動部54に支軸63で回動可能に軸支された連結部材57を挿通させて保持するガイド部61が設けられ、固定側掴線部52の正面側に枢軸62で回動可能に脱落防止カバー58が取り付けられている。この脱落防止カバー58は、操作穴63に工具等を挿入して枢軸62を支点として図示状態から下方に押圧することにより、ガイドピン65が嵌挿するガイド穴64の長さ分だけ回動させることができる。
【0019】
また、前記作動部54は、掴線器本体51に設けられた台座66上に支軸67により一端部で回動自在に掴線器本体51に取り付けられ、他端部に前記連結部材57の一端を支軸63で回動可能に支持している。また、支軸67と隣り合う位置に取付ピン68により回動可能に可動側掴線部53が取り付けられている。この可動側掴線部53は、図3(b)に示すように、断面形状がコの字状に形成され、上面に線状体Wの下部を収容する嵌合溝53bが固定側掴線部52の下面に形成された嵌合溝52aと対向するように形成されている。この可動側掴線部53の回動範囲は、作動部54の回動により上面が固定側掴線部52の下面と平行となる状態からずれるのを補正する程度の回動でよく、回動範囲は規制されている。
【0020】
また、前記作動規制部55は、掴線器本体51に取り付けられた支持板56にネジ穴78が形成された基台69がネジ固定され、ネジ穴78に先端に当接キャップ(当接部)59を設けたネジ軸70を螺入して構成されている。前記ネジ軸70は、その後端側に固定されたノブ60を回転操作することによりネジ穴78との螺合によって進退移動させることができる。図4に拡大図示するように、ネジ軸70には、基台69のネジ穴78に螺合するネジ形成部71と、このネジ形成部71の後端側に前記ノブ60を固定ピン76を貫通させて固定するノブ固定部72と、ネジ形成部71の先端側に当接キャップ59を進退移動可能に取り付けた当接キャップ装着部73とが形成されている。
【0021】
前記当接キャップ装着部73は、先端部73aと基部73cとの間に直径を小さく形成した小径部73bが形成され、図4(a)に示すように、当接キャップ装填部73に平座金74、バネ座金(バネ部材)75、当接キャップ59の順に嵌め込み、当接キャップ59の側周面対向位置から係止ピン77を前記小径部73bに向けて螺入することにより、当接キャップ59はネジ軸70の先端に装着される。尚、係止ピン77の螺入は、当接キャップ59が当接キャップ装着部73上を小径部73bの形成範囲内で進退移動できるように装着するためのもので、係止ピン77の先端が小径部73bの外周に近接する位置まで螺入される。
【0022】
装着された当接キャップ59は、図4(a)に示すように、バネ座金75により先端側に付勢されるので、当接キャップ59は係止ピン77の先端が当接キャップ装着部73の先端部73aに当接する位置まで進出移動した状態となる。後述するように掴線器で線状体Wを掴持した状態で、ノブ60の回転操作によりネジ軸70を進出移動させ、先端の当接キャップ59を作動部54の縁部に当接させた状態から更に進出移動させると、図4(b)に示すように、当接キャップ59は後退移動してバネ座金75を圧縮した状態となる。
【0023】
上記構成になる掴線器を線状体Wに取り付け、取り外す手順について以下に説明する。まず、作動規制部55はノブ60を回転させ、図2に示すように、ネジ軸70を後退させた状態にして、作動部54の他方向への回動を許容した状態とし、可動側掴線部53が固定側掴線部52から充分に離れた状態にして、固定側掴線部52と可動側掴線部53との間に線状体Wを通しやすくしておく。
【0024】
図2に示すように、固定側掴線部52と可動側掴線部53との間を充分に離隔させた状態にした掴線器を線状体Wの所定部位に運び、固定側掴線部52と可動側掴線部53との間に線状体Wを挿通させ、固定側掴線部52の下面に形成された嵌合溝52aに線状体Wの上部を収容して掴線器が線状体Wに吊り下げられた状態に装着する。次いで、脱落防止カバー58の操作穴63にドライバ等の工具を差し込んで脱落防止カバー58を枢軸62を支点として下方に回動させる。脱落防止カバー58を下方に回動させると、固定側掴線部52と可動側掴線部53との間の正面側に開放された間隔部分に脱落防止カバー58が被さり、線状体Wは固定側掴線部52及び可動側掴線部53で上下が囲まれ、脱落防止カバー58及び掴線器本体51で前後が囲まれるので、掴線器は以降の作業中に線状体Wから脱落することがない状態になる。
【0025】
この掴線器の線状体Wへの取り付けを、電線の振り分け工事に適用する場合には、電線を両側から引き寄せる作用をなす張線装置の長さに対応する間隔で電線の2ヶ所にそれぞれ掴線器を取り付ける。前記張線装置の両端には連結部材57に形成された連結穴79を利用して掴線器に連結する連結手段が設けられている。張線装置は両端で両側の掴線器に連結した後、その長さを縮める操作がなされることにより、掴線器の連結部材57には、図3に示すa方向に引っ張る力が加わる。
【0026】
連結部材57が図示a方向に引っ張られると、連結部材57の一端側が連結された作動部54は支軸67を支点として図示b方向に回動する。この作動部54の回動により可動側掴線部53は固定側掴線部52の方向に押し上げられ、嵌合溝53aに線状体Wの下部を収容して、図3に示すように、固定側掴線部52との間で線状体Wを挟み込んで掴持する。張線装置により更にa方向への引っ張り力が加えられると、掴線器によって掴持された線状体Wはa方向に引かれるので、これが両側の掴線器が互いに引き寄せられるようになると、両側の掴線器の間にある線状体Wは弛みが生じた状態となり、振り分け工事を実施できる状態が得られる。
【0027】
連結部材57にa方向の安定した引っ張り力が加わっている状態では、作動部54により可動側掴線部53は固定側掴線部52との間で線状体Wを強力に掴持しているが、強い突風や電柱に何らかの衝撃が加わったような場合に、連結部材57に加わる引っ張り力に変動が生じて可動側掴線部53による掴持力が低下して掴線器による掴持位置にずれが生じることになる。このような状態を防止するために作動規制部55が設けられており、連結部材57に引っ張り力が加えられて可動側掴線部53により線状体Wが掴持された後、ノブ60を回転させてネジ軸70を進出移動させ、先端の当接キャップ59が作動部54の縁部に当接してからもネジ形成部71と当接キャップ59との間に配設されたバネ座金75が平らに圧縮されるようになる状態までノブ60を回転させるてネジ軸70を進出させる。
【0028】
このネジ軸70の進出移動は、図4(b)に示すように、ノブ60の回転によりネジ軸70を進出移動させると、先端に設けられた当接キャップ59が作動部54に当接するが、更にノブ60を回転させてネジ軸70を進出させる。当接キャップ59は図4(a)に示すように、バネ座金75の付勢により先端側に進出移動しているが、当接キャップ59が作動部54に当接してからもバネ軸70を進出させると、当接キャップ59はバネ座金75を圧縮させながら後退するので、バネ座金75が平らになるまでネジ軸70を進出させる。従って、作業者はバネ座金75が平らに圧縮される状態を目安にノブ60を回転させればよい。
【0029】
上記のように掴線器の取り付け作業は、作業者が行うべき▲1▼線状体Wに掴線器を装着させる作業、▲2▼連結部材57に張線装置等の引っ張り手段を連結する作業、▲3▼線状体Wを掴持した状態の作動部54の位置を規制する作動規制部55の調整作業、を全て正面側から実施することができるので、電線の振り分け工事など高所作業であり、危険作業でもある作業を容易且つ安全に行うことができる。
【0030】
また、線状体Wに掴線器を取り付けた状態のままで振り分け工事等を後日行うことになる場合も少なくなく、このときには線状体Wに掴線器を取り付けたまま所要日数放置されることになる。この間に突風などの風の影響、あるいは電柱に自動車が衝突するなどの衝撃の影響で連結部材57がa方向と反対の方向に押し戻されるような力が作用し、可動側掴線部53による線状体Wの掴持力を低下させるような方向の力が加わっても、作動部54に作動規制部55が当接しているため、可動側掴線部53が固定側掴線部52から離れる方向に力は作用せず、掴線器が線状体Wから外れることは防止される。
【0031】
また、風の影響などによって連結部材57に加わった振動により、作動部54が図示b方向に振動して可動側掴線部53による線状体Wの掴持力に変化を生じさせるような作用が及んだ場合でも、作動規制部55の当接キャップ59はバネ座金75の付勢により常に作動部54を押圧しているので、バネ座金75により振動が吸収され、可動側掴線部53による線状体Wの掴持力に変化を生じさせない。
【0032】
また、作動規制部55を構成するネジ軸70のように送りネジ機構を構成する場合、ネジ構造としてノブ60の回転に対する送り量を大きく設定できる台形ネジが適用される。しかし、台形ネジはネジ山どうしの面圧が小さくなるため、振動によって緩みが生じやすくなる短所があるが、バネ座金75によって送りネジ機構に伝わる振動が吸収され、送りネジ機構に緩みが発生しないため、作動規制部55による作動部54の位置規制が確実になされる。
【0033】
また、上述したように掴線器によって線状体Wを掴持した状態が長く継続したとき、線状体Wが絶縁被覆電線であるような場合に、線状体Wは固定側掴線部52と可動側掴線部53との間で締め付けられる力によって直径が小さくなるように変形する場合がある。このような場合にも連結部材57に図示a方向の引っ張り力が加わっていると、作動部54は可動側掴線部53を固定側掴線部52側に変位させるので、線状体Wの直径変化にも追従して掴持力に変化を生じさせない。このように初期に固定した状態から作動部54の回動角度に変化が生じた場合、作動規制部55はバネ座金75の付勢により当接キャップ59を進出移動させて作動部54に当接キャップ59が当接した状態を維持する。この作動部54の回動角度の変化はバネ座金75の変化として目視で検出できるので、作業者はバネ座金75に変化が生じているときは、ノブ60を回転させてネジ軸70を進出移動させ、バネ座金75が平らになるように調整すると、放置後の変化を初期状態に戻すことができる。
【0034】
線状体Wに取り付けた掴線器を取り外すときには、連結部材57に連結された張線装置などによる連結状態を解除し、作動規制部55のノブ60を回転させてネジ軸70を後退移動させて作動部54に対する押圧を解除すると、可動側掴線部53は線状体Wから離れるので、線状体Wの掴持を開放することができる。脱落防止カバー58を上方に回動させると、図2に示す状態で線状体Wに掴線器を吊り下げた状態に戻すことができるので、線状体Wから掴線器を簡単に取り外すことができる。この掴線器の取り外し作業を行うときにも、▲1▼連結部材57に連結された張線装置等を外す作業、▲2▼作動規制部55による作動部54の回動を規制を解除する作業、▲3▼脱落防止カバー58を回動させる作業、▲4▼線状体Wから掴線器を取り外す作業、の全てを同一方向から実施できる。従って、高所作業、危険作業が伴う掴線器の取り扱いを容易且つ安全に実施することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明の掴線器によれば、線状体への取り付け、取り外しを行うための作業の全てを同一方向から実施することができるので、高所作業や危険作業が伴う掴線器の取り扱いを容易且つ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る掴線器の全体構成を示す斜視図。
【図2】線状体に装着できる状態にした掴線器の正面図。
【図3】掴線器を線状体に取り付けた状態を示す(a)は正面図、(b)は側面図。
【図4】作動規制部の構成を示す(a)は断面図、(b)は作動部の回動を規制した状態を示す部分断面図。
【図5】従来技術に係る線状体把持器の構成を示す(a)は正面図、(b)は背面図。
【図6】同上線状体把持器を線状体に取り付けた状態を示す(a)は正面図、(b)は背面図。
【符号の説明】
51 掴線器本体
52 固定側掴線部
53 可動側掴線部
54 作動部
55 作動規制部
59 当接キャップ
75 バネ座金(バネ部材)
Claims (1)
- 線状体の上部を収容する嵌合溝が形成された固定側掴線部が一体に形成された掴線器本体と、
前記掴線器本体に一端側で回動可能に取り付けられて他端側に一方向への作動力が与えられることにより回動する作動部と、
前記作動部の回動により前記固定側掴線部方向に移動して上面に形成された嵌合溝に線状体の下部を収容して固定側掴線部との間で線状体を掴持する可動側掴線部と、
前記固定側掴線部及び可動側掴線部の取り付け面側に進退移動操作可能に設けられて進出移動操作により先端が前記作動部に当接して作動部の他方向への回動を規制する作動規制部と、
を備えてなることを特徴とする掴線器。
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