JP2004241647A - プリント配線板用長尺積層体及びその製造法 - Google Patents

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直也 北村
Koichi Hiraoka
宏一 平岡
Shigeru Kurumaya
茂 車谷
Goichi Tatsumi
五一 巽
Masayuki Noda
雅之 野田
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Abstract

【課題】TABテープ、銅張り積層板による両面タイプを含むフレキシブルプリント配線板の低価格化と高密度配線を可能にするプリント配線板用長尺積層体を提供する。
【解決手段】アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に熱硬化性樹脂硬化物を保持している。その両面又は片面に金属箔を一体化してあり、前記金属箔を一体化していない面には離型性樹脂フィルムを貼り付けてある。そして、この長尺積層体は、ロール状の巻き物形態となっている。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TABテープやフレキシブルプリント配線板の製造に有用な長尺積層体とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の軽薄短小化に対応するため、折り曲げたり撓ませて実装することで筐体内のスペースを有効に使えるフレキシブルプリント配線板の使用量が増えている。この流れは、さらなるフレキシブルプリント配線板の薄形化、配線密度の高密度化を求めている。特に、フレキシブルプリント配線板の配線密度に関する製造技術の発達はめざましく、TABテープとの配線ルール上の区別も明確ではなくなってきている。このようなフレキシブルプリント配線板用のテープ材料は、ポリイミドやポリエステルフィルムに接着剤を介して又は介さずに銅箔を一体に貼り合せた構造となっている。特殊なフレキシブルプリント配線板と言えるTABテープは、ポリイミドフィルムの片面に銅箔を一体に貼り合せた構造である(例えば、特許文献1参照)。
一方、テープ材料ではないが、30〜50μm厚の極薄ガラスクロスを支持体にしたプリプレグを使用し、フレキシブル性をもたせた銅張り積層板による両面タイプもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、ポリイミドフィルムを用いるフレキシブルプリント配線板は、材料価格が高い上、配線ルール上は高密度なTABテープも、両面にプリント配線を形成することが困難で、プリント配線の多層化もできない欠点を抱えている。銅張り積層板による両面タイプは、安価であるものの、短尺でありガラスクロス特有の穴明け加工性の悪さや表面平滑性の低さで高密度配線に限界がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−177200号公報
【特許文献2】
特開2001−329080号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、以上のような従来技術の問題点に鑑み、TABテープ、銅張り積層板による両面タイプを含むフレキシブルプリント配線板の低価格化と高密度配線を可能にするプリント配線板用長尺積層体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るプリント配線板用長尺積層体は、アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に熱硬化性樹脂硬化物が保持されている。その両面又は片面に金属箔が一体化され、前記金属箔が一体化されていない面には離型性樹脂フィルムが貼り付けられている。そして、ロール状の巻き物形態となっていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、不織布を支持体として熱硬化性樹脂を保持していることから、充分な強度と寸法精度を確保しつつ、ポリイミドフィルムより安価な不織布と熱硬化性樹脂を用いることにより低価格化が可能である。
また、不織布を支持体とすることにより、ガラスクロスを支持体にした場合に比べて表面が平滑になり、ホトリソ工程やエッチング工程におけるプリント配線微細化と高精度化に適している。また、ドリル加工穴、レーザ加工穴もガラスクロスが突出したような歪な形状ではなくなり、めっき析出、導電ペースト充填等の導通化工程に適した形状となるので、高密度配線に好適なものとなる。
さらに、ロール状の巻き物形態であることから、表面に打痕ができたり粉落ち樹脂片が混入する機会が減り、高歩留りで後工程へ供給することができる。
【0008】
次に、本発明に係るプリント配線板用長尺積層体の製造法は、アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に予め熱硬化性樹脂を含浸し、当該熱硬化性樹脂含浸不織布の両面又は片面に、巻き物形態から繰り出す金属箔を重ね、前記金属箔のない面には離型性樹脂フィルムを重ねる。これらを移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させる。そして、最後の工程でロール状に巻き取ることを特徴とする。
【0009】
上記のように製造したプリント配線板用長尺積層体(1)は、次に述べる本発明に係るプリント配線板用長尺積層体の製造に供される。
すなわち、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体(1)を繰り出して所定のプリント配線パターンを付与し、再びロール状に巻き取ってプリント配線板用長尺積層体(2)とする。
【0010】
さらに、プリント配線板用長尺積層体(2)は、次に述べる本発明に係るプリント配線板用長尺積層体の製造に供される。
すなわち、アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に予め熱硬化性樹脂を含浸し、当該熱硬化性樹脂含浸不織布を介して、巻き物形態から繰り出す金属箔と上記プリント配線用長尺積層体(2)とを重ねる。これらを移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させる。そして、最後の工程でロール状に巻き取ってプリント配線板用長尺積層体(3)とする。
【0011】
このように、本発明に係る方法は、巻き物形態から材料を繰り出し、加工を施して再び巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とする製造法であり、フレキシブルプリント配線板やTABテープを、リールトゥリール(Reel to Reel)で効率と歩留り良く製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
本発明を実施するに当り、不織布を支持体とし当該不織布に保持させる熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル等である。これらの熱硬化性樹脂には、シリカ、アルミナ、セラミックから選ばれるフィラを含有させることができる。これにより、充分な強度と寸法精度を保ったまま、さらなる低価格化、任意の誘電特性や放熱性の向上といった付加価値を付与できる。
本発明では、長尺積層体のフレキシビリティを引き出すために、熱硬化性樹脂硬化物を保持させた不織布厚さを5〜100μmの範囲とすることが望ましい。
【0014】
熱硬化性樹脂硬化物を保持させた不織布に一体化される金属箔は、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔等である。これら金属の組合せからなる多層構成の金属箔も、必要に応じ採用される。導体抵抗を小さくすることと低コストの観点からは、銅箔が望ましいが、アルミニウム箔も好適である。一方、ニッケル箔は抵抗材料として有用である。表面を銅とする銅/ニッケルの多層箔の採用は、プリント配線に抵抗機能を組み込むのに都合がよい。
【0015】
本発明に係るプリント配線板用長尺積層体(1)の製造は、熱硬化性樹脂を含浸した長尺の不織布の両面又は片面に、巻き物形態から繰り出す金属箔を重ね、前記金属箔のない面には離型性樹脂フィルムを重ねて、これらを移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させる。そして、最後の工程でロール状に巻き取るものである。
不織布に含浸した熱硬化性樹脂は、速硬化性であることが望ましい。180℃におけるゲルタイムは、望ましくは、15秒以上60秒以内で、さらに望ましくは30秒以内である。こうすることにより、上記の加熱加圧成形で、実用上問題ないレベルで金属箔のピール強度を確保できる。上記加熱加圧成形からロール状に巻き取る工程までの間に、必要に応じて、熱硬化性樹脂を加熱炉で完全硬化する工程を付加してもよい。
さらに、積層体中に微小なボイドが残存するのを防ぐために、上記加熱加圧成形は減圧雰囲気で実施し、加熱炉内は加圧雰囲気とすることが望ましい。
【0016】
上述した熱硬化性樹脂には、アミン系硬化剤、アミン系硬化触媒、有機過酸化物を含むことが望ましく、特に、アミン系硬化剤は、脂肪族アミンと芳香族アミンの混合物であるか、分子内に脂肪族アミノ基と芳香族アミノ基を含む化合物であることが望ましい。こうすることにより、上記加熱加圧成形で、実用上問題ないレベルで金属箔のピール強度を確保できる。
特に、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂は、上記加熱炉における加熱によって芳香族アミンあるいは芳香族アミノ基と反応し完全硬化し、絶縁材料としての物性が向上する。さらに、脂肪族アミンあるいは脂肪族アミノ基は、脂環構造を含むことが望ましい。この脂環構造は、少なくとも窒素、酸素、硫黄原子から選ばれる原子からなるものが好適で、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂と脂肪族アミンあるいは脂肪族アミノ基との反応性を低下させるので、加熱加圧成形における硬化反応をコントロールしやすくなる。また、このような熱硬化性樹脂組成物は、保存安定性が改善されたものとなる。
しかし、上記熱硬化性樹脂組成物は、本来反応性に富むものであるため、溶剤に希釈して不織布に含浸し、加熱乾燥により溶剤を除去すると共に熱硬化性樹脂の硬化反応をB−ステージまで進めようとすると、急激な反応とともに粘度が上昇し、溶剤の完全除去ができなかったり、C−ステージまで反応が進行する心配がある。そこで、熱硬化性樹脂組成物を無溶剤で不織布に含浸するか、微粉末の状態で不織布に固着させることが、加熱加圧成形における硬化反応をコントロールしやすく、好適である。
【0017】
上記のように製造したプリント配線板用長尺積層体(1)は、巻き物形態から繰り出してプリント配線回路の加工に供する。これは、金属箔のエッチングによるプリント配線加工や、離型性樹脂フィルムを剥した面へのめっき処理によるプリント配線付与やペースト印刷による抵抗やコンデンサ機能付与、さらにはチップ抵抗やチップコンデンサ等の機能部品の実装である。そして、このようなプリント配線回路を付与した後、再びロール状に巻き取ってプリント配線板用長尺積層体(2)とする。
【0018】
さらに、プリント配線板用長尺積層体(2)を用いた次のような発明の実施の形態もある。
すなわち、熱硬化性樹脂を含浸した不織布を介して、巻き物形態から繰り出す金属箔と上記プリント配線用長尺積層体(2)とを重ねる。そして、これら重ねた構成体を移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させる。最後の工程でロール状に巻き取ってプリント配線板用長尺積層体(3)とする。必要に応じ、ロール状に巻き取る前に、加熱炉で熱硬化性樹脂の硬化をさらに進める。
ここで、熱硬化性樹脂を含浸した不織布や金属箔は、上記プリント配線用長尺積層体(1)を製造するために用いたものと同等あるいはこれに準じたものである。
このようにして、多層プリント配線板用の長尺積層体をリールトゥリール(Reel to Reel)で効率と歩留り良く製造することができる。
【0019】
【実施例】
実施例1
多官能エポキシ樹脂(東都化成製「YDCN−704」)20質量部、二官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「Ep−828」)50質量部、ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン製「エピキュアDICY7」)6質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート5050」)30質量部、イミダゾール(ジャパンエポキシレジン製「エピキュアP200」)12質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。ロール状の巻き物形態から繰り出したアラミド繊維不織布(王子製紙製,幅:500mm,単位質量:18g/m)を移送しながら、順次これに前記エポキシ樹脂組成物を含浸する。
そのまま、前記不織布の両面に、ロール状の巻き物形態から繰り出した電解銅箔(福田金属箔粉工業製「CF−T9C」,幅:525mm,厚み:18μm)のマット面を重ね、これらを相対するエンドレスベルト(Hymmen社製)の間隙に移送速度5m/分で送り込み、温度160℃、圧力5MPaで2分間加熱加圧成形して一体化した。続いて、再びロール状に巻き取り、両面を銅箔で被覆され、アラミド繊維不織布を支持体としてエポキシ樹脂硬化物を保持した巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは60μmであった。
【0020】
実施例2
多官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート1031S」)30質量部、二官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「Ep−828」)40質量部、変性アミノアニリン(ジャパンエポキシレジン製「エピキュアW」)25質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(大日本インキ製「エピクロン152」)30質量部、イミダゾール(ジャパンエポキシレジン製「エピキュアUIZ2」)12質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。前記エポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、実施例1と同様に、エポキシ樹脂組成物を含浸した不織布の両面に銅箔を重ねエンドレスベルトの間隙で加熱加圧成形した。続いて、雰囲気温度180℃、有効炉長150mの加熱炉に移送速度5m/分で送り込み、エポキシ樹脂を完全硬化した後、ロール状に巻き取って、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは58μmであった。
【0021】
実施例3
実施例1のエポキシ樹脂組成物を含浸したアラミド繊維不織布の両面に、35μm厚キャリア銅箔に担持した3μm厚銅箔(古河サーキットフォイル製)を巻き物形態から繰り出して重ね、これらをローラプレス(Hymmen社製)の間隙に移送速度2m/分で送り込み、1kPaで加熱加圧成形して一体化した。続いて、実施例2と同様に加熱炉に送り込み(但し、移送速度:2m/分)、その後、ロール状に巻き取って、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは61μmであった。
【0022】
実施例4
実施例1において、電解銅箔の代わりに抵抗層付銅箔(オサダコーポレーション製「オメガプライ」)を使用し、抵抗層が内側となるように適用した以外は実施例1と同様にして、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは60μmであった。
【0023】
実施例5
実施例1において、アラミド繊維不織布の代わりに液晶ポリマ繊維不織布(クラレ製「ベクルス」,単位質量39.5g/m)を用い、以下、実施例1と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。エポキシ樹脂硬化物を保持した液晶ポリマ繊維不織布の厚みは97μmであった。
【0024】
実施例6
ガラス繊維50体積%とアラミド繊維(帝人製「テクノーラ」)50体積%を混抄し、樹脂バインダとして水溶性エポキシ樹脂を固形分で10質量%となるようにスプレーして加熱乾燥し、さらに、線圧力200kg/cm、温度300℃の一対の熱ロール間隙に移送速度10m/分で通し加熱圧縮することにより、単位質量56g/mのガラス繊維・アラミド繊維混抄不織布を作製した。
実施例5において、液晶ポリマ繊維不織布の代わりに上記ガラス繊維・アラミド繊維混抄不織布を用い、以下、実施例5と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。エポキシ樹脂硬化物を保持したガラス繊維・アラミド繊維混抄不織布の厚みは73μmであった。
【0025】
実施例7
実施例1のエポキシ樹脂組成物にフィラとしてシリカ(電気化学工業製「FB−5SDC」)を20質量%配合したエポキシ樹脂組成物を調製した。巻き物形態から繰り出した実施例1のアラミド繊維不織布を移送しながら、順次これに前記エポキシ樹脂組成物を含浸する。
そのまま、前記不織布の両面に、ロール状の巻き物形態から繰り出した実施例1の電解銅箔のマット面を重ね、実施例3と同様に、ローラプレスに送り込み加熱加圧成形して一体化する(但し、ローラプレスは減圧チャンバに設置されている)。続いて、実施例2と同様に加熱炉に送り込みエポキシ樹脂を完全硬化させる。尚、加熱炉内は、窒素ガス充填による2MPaの加圧雰囲気とした。
その後、ロール状に巻き取って、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは63μmであった。
【0026】
実施例8
多官能エポキシ樹脂(三井化学製「VG−3101」)25質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成製「YDPN−638P」)15質量部、二官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「Ep−828」)50質量部、複素環式変性アミン(ジャパンエポキシレジン製「エポメートRX2」)30質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート5050」)40質量部、4,4’−ジアミノジフェニルメタン13質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。前記エポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、実施例1と同様に、エポキシ樹脂組成物を含浸した不織布の両面に銅箔を重ねエンドレスベルトの間隙で加熱加圧成形した。続いて、雰囲気温度200℃、有効炉長150mの加熱炉に移送速度3m/分で送り込み、エポキシ樹脂を完全硬化した後、ロール状に巻き取って、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは68μmであった。
【0027】
実施例9
多官能エポキシ樹脂(三井化学製「VG−3101」)50質量部、二官能エピスルフィド樹脂(ジャパンエポキシレジン製「YL7000」)50質量部、ビスフェノール類ノボラック樹脂(ジャパンエポキシレジン製「YLH−129」)40質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート5050」)40質量部、トリフェニルフォスフィン3質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。前記エポキシ樹脂組成物を、実施例7と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、以下、実施例7と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは58μmであった。
【0028】
実施例10
多官能エポキシ樹脂(東都化成製「YDCN−704」)20質量部、二官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「Ep−807」)50質量部、アミンアダクト系硬化剤(味の素製「アミキュアPN40」)20質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート5050」)30質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。前記エポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、以下、実施例1と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは57μmであった。
【0029】
実施例11
多官能エポキシ樹脂(東都化成製「YDCN−704」)20質量部、二官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「Ep−828」)50質量部、カチオン重合開始剤(三新化学工業製「サンエイドSI−100L」)2質量部、ビスフェノールA型テトラブロモエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「エピコート5050」)30質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を調製する。前記エポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、以下、実施例1と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは56μmであった。
【0030】
実施例12
2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリドン(三國製薬工業製「M−20」)67質量部、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(三井化学製「MDA−220」)31質量部、n−オクチルブロマイド(三國製薬工業製)2質量部からなるエポキシ樹脂組成物(無溶剤)を120℃で溶融させ、これを実施例1と同様にアラミド繊維不織布に適用する。
そして、以下、実施例1と同様に実施して、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは68μmであった。
【0031】
実施例13
2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(ロンザ社製「PRIMASET BADCy」)のオリゴマ(数平均分子量2500)1000質量部とその重合触媒であるナフテン酸コバルト0.6質量部、ポリフェニレンエーテル300質量部、難燃剤としてトリ(2,4,6−トリブロモフェノキシ)トリアジン100質量部、シルカフィラ(アドマテックス製「アドマファインSO−E5」)350質量部を、メチルエチルケトン(MEK):トルエン=40:60体積%の混合溶媒1000質量部に溶解してエポキシ樹脂ワニスを調製する。前記ワニスを、ロール状の巻き物形態から繰り出した実施例1のアラミド繊維不織布に含浸し145℃で12分間乾燥してプリプレグとする。そして、再びロール状に巻き取って巻き物形態とする。
前記巻き物形態から繰り出したプリプレグの両面に、実施例1と同様に電解銅箔を重ねて相対するエンドレスベルトの間隙に送り込み、温度200℃、圧力5MPaで2分間加熱加圧成形して一体化した。続いて、再びロール状に巻き取り、両面を銅箔で被覆され、アラミド繊維不織布を支持体としてエポキシ樹脂硬化物を保持した巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体とした。前記エポキシ樹脂硬化物を保持したアラミド繊維不織布の厚みは62μmであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、プリント配線板用長尺積層体を巻き物形態で提供することができる。これは、不織布を支持体にして熱硬化性樹脂の硬化物を保持し、両面を金属箔で被覆したフレキシブルプリント配線板材料であり、不織布を支持体とすることで、充分な強度と寸法精度を有すると共にポリイミドより安価である。また、ガラスクロスを支持体にした場合に比べ表面が平滑になり、ホトリソ工程やエッチング工程におけるプリント配線微細化と高精度化に適したものである。ドリル加工穴、レーザ加工穴もガラスクロスが突出したような歪な形状ではなく、めっき析出、導電ペースト充填等の導通化工程に適した形状である。従って、高密度配線に好適である。
【0033】
本発明によれば、巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体を、リールトゥリール(Reel to Reel)工法で製造するので、表面に打痕ができたり、粉落ち樹脂片が混入する機会が減り、高歩留りでフレキシブルプリント配線板材料を準備できる。リールトゥリールで流すので、フレキシブルプリント配線板やTABテープの量産性を上げることができる。
【0034】
上記の熱硬化性樹脂の硬化物中に、シリカ、アルミナ、セラミックから選ばれるフィラを含有させると、充分な強度と寸法精度を保ったまま、さらなる低価格化、任意の誘電特性や放熱性といった付加価値を付与できる。

Claims (15)

  1. アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に熱硬化性樹脂硬化物が保持され、その両面又は片面に金属箔が一体化され、前記金属箔が一体化されていない面には離型性樹脂フィルムが貼り付けられ、ロール状の巻き物形態となっていることを特徴とするプリント配線板用長尺積層体。
  2. 熱硬化性樹脂硬化物中に、シリカ、アルミナ、セラミックから選ばれるフィラが充填されている請求項1記載のプリント配線板用長尺積層体。
  3. 熱硬化性樹脂硬化物が保持された不織布の厚さが5〜100μmである請求項1又は2記載のプリント配線板用長尺積層体。
  4. アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に予め熱硬化性樹脂を含浸し、当該熱硬化性樹脂含浸不織布の両面又は片面に、巻き物形態から繰り出す金属箔を重ね、前記金属箔を重ねない面には離型性樹脂フィルムを重ねて、これらを移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させ、最後の工程でロール状に巻き取ることを特徴とするプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  5. 不織布に含浸した熱硬化性樹脂の180℃におけるゲルタイムを15秒以上60秒以内にすることを特徴とする請求項4記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  6. 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル、熱硬化性ポリフェニレンエーテルから選ばれる少なくとも1成分を含むことを特徴とする請求項5記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  7. 熱硬化性樹脂が、アミン系硬化剤、アミン系硬化触媒、有機過酸化物の少なくとも1成分を含むことを特徴とする請求項6記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  8. アミン系硬化剤が、脂肪族アミンと芳香族アミンの混合物であることを特徴とする請求項7記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  9. 脂肪族アミンが、脂環構造を含むことを特徴とする請求項8記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  10. アミン系硬化剤が、分子内に脂肪族アミノ基と芳香族アミノ基を含むことを特徴とする請求項7記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  11. 脂肪族アミノ基が、脂環構造を含むことを特徴とする請求項10記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  12. 脂環構造が少なくとも窒素、酸素、硫黄原子から選ばれる原子からなることを特徴とする請求項9又は11記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  13. 不織布に含浸した熱硬化性樹脂の完全硬化を、熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙における加熱加圧成形後に加熱炉にて行なうことを特徴とする請求項4〜12のいずれかに記載のプリント配線板用長尺積層体の製造法。
  14. 請求項4〜13のいずれかに記載された巻き物形態のプリント配線板用長尺積層体を繰り出して所定のプリント配線パターンを付与し、再びロール状に巻き取ることを特徴とするプリント配線用長尺積層体の製造法。
  15. アラミド繊維、ポリアミド繊維、液晶ポリマ繊維、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ガラス繊維、ホウ酸アルミナ短繊維、ホウ酸マグネシウム短繊維から選ばれる繊維を少なくとも構成材とする長尺の不織布に予め熱硬化性樹脂を含浸し、当該熱硬化性樹脂含浸不織布を介して、巻き物形態から繰り出す金属箔と請求項14記載の方法により得たプリント配線用長尺積層体とを重ね、これらを移送しながら熱ロール間隙又は相対するエンドレスベルト間隙で加熱加圧成形し、前記熱硬化性樹脂を硬化させ、最後の工程でロール状に巻き取ることを特徴とするプリント配線板用長尺積層体の製造法。
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