JP2004236748A - 車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】車室外で車椅子として使用され、車室内では乗員用の座席として使用されるシート装置と、これを車室内と車室外との間で移動させるためのシート移動装置を備えた車両用シートにおいて、従来シート装置をシート移動装置に連結するためにシート装置を後退させる際に、シート移動装置が見づらかった。本発明では、シート移動装置を楽な姿勢で見ながらシート装置を後退させることができる車両用シートを提供する。
【解決手段】シート装置10において、シート本体11を台車フレーム20に対して回転可能に設けることにより、着座者は横向きあるいは後ろ向きになって楽な姿勢でシート移動装置100を目で直接確認しながら当該シート装置10を後退させることができるようにする。
【選択図】 図10
【解決手段】シート装置10において、シート本体11を台車フレーム20に対して回転可能に設けることにより、着座者は横向きあるいは後ろ向きになって楽な姿勢でシート移動装置100を目で直接確認しながら当該シート装置10を後退させることができるようにする。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば身体障害者や老人等(以下、単に着座者という)が車両への乗降を楽に行えるようにした車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用シート200は、例えば図11に示すようにシート本体211と前後の車輪212,213を備え、車椅子として単独で使用することができるシート装置210と、車室内に設置され、このシート装置210を連結して車室内と車室外との間で移動させるためのシート移動装置220を備えたもので、着座者はシート本体211に着座したままの状態で車両への乗降を行うことができるとともに、シート装置210をシート移動装置220から分離すれば車室外においてそのまま車椅子として転用することができるので、車両への乗降だけでなく車室外における移動をも楽に行うことができた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−309175号公報
【特許文献2】
特開昭60−92757号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシート装置分離式の車両用シート200にも次のような改善すべき問題があった。すなわち、上記従来の車両用シート200は、図示するようにシート装置210をシート移動装置220に連結させる際に、シート装置210を後退させながらシート移動装置220に接近させる構成であるため、特に介護者がいない場合には着座者自身が後方を目で確認しながらシート装置210を後退させる必要があり、このため着座者は体を後ろ側へひねる等した窮屈な姿勢をとらなけらばならなかった。着座者自身がこの窮屈な姿勢をとれないために自身では後方を確認できず、介護者もいない場合にはシート装置210をシート移動装置220に連結することが困難な場合があった。
本発明は、この問題を解消するためになされたもので、楽な姿勢で着座者自身が自分の目で後方を確認しながらシート装置を後退させることができ、またシート装置の背面側における連結状態を確認することができる車両用シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、前記各請求項に記載した構成の車両用シートとした。
請求項1記載の車両用シートによれば、シート本体がシート台車に対して水平方向に回転可能に支持されているため、シート装置の連結時に着座者はシート本体をシート台車に対して回転させることにより従来のように背面側を振り返ることなく、シート装置とシート移動装置との連結状態を直接目で見て確認することができ、この点で当該車両用シートの使い勝手を向上させることができる。
シート本体のシート台車に対する回転位置は、例えば手動式のロック機構を用いることにより正面向き位置と左側または右側へ適当な角度だけ回転した横向き位置に位置決めし、その位置でロックすることができる。また、シート本体を、シート台車の前進方向に向いた正面向き位置から約180°回転させてシート台車の後退方向を向いた後ろ向き位置に位置決めロックすることもできる。
この明細書において、シート本体の向きに関して、正面向きとは、着座者がシート台車の前進方向を向いている場合におけるシート本体のシート台車に対する向きをいい、後ろ向きとは、着座者がシート台車の前進方向とは反対側(シート台車の後退方向)を向いている場合におけるシート本体のシート台車に対する向きをいう。
【0006】
請求項2記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えてシート本体をシート台車に対して楽に回転させることができる。電動モータの回転を適切に制御することにより、シート本体をシート台車に対して上記正面向き位置、横向き位置、後ろ向き位置に自動的に移動させることができる。また、電動モータの動力を伝えるための手段として例えばウォームホイールを用いれば、電動モータを停止させておくことによりシート本体の回転位置を固定することができ、別途ロック手段を省略することができる。
請求項3記載の車両用シートによれば、シート装置をシート移動装置に連結するために当該シート装置を後退させる際に、シート本体をシート台車に対して180°回転させて後ろ向き位置に移動させることにより、着座者はなんら窮屈な姿勢をとることなく後方を目で確認しながら、当該シート装置を後退させることができ、この点でシート装置連結作業を極めて楽に行うことができる。また、シート本体を後ろ向き位置に回転させることにより、シート台車の背面側に対するシート移動装置の連結状態を楽な姿勢で確認することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1は、本実施形態の車両用シート1を第2列席に備えた車両M(ワンボックスカー)を示している。図示するように本実施形態の車両用シート1の左側(図示下側)には、乗降用のスライドドアD(ドア開口部K)が配置されている。
この車両用シート1は、車輪を備えて車室外では車椅子として使用可能であり、車室内では乗員が着座するための座席として使用されるシート装置10と、このシート装置10を車室内から車室外へあるいはその逆に車室外から車室内へ移動させるシート移動装置100を備えている。シート装置10は、シート移動装置100に連結された状態で車室内に設置される。先ず、シート移動装置100について説明する。
図2〜図4にはシート移動装置100の詳細が示されている。このシート移動装置100は、シート装置10を車両前後方向へ移動させる前後スライド機構110と、シート装置10を着座者から見て車両正面向きの位置とドア開口部K側へ向いた位置との間で約90゜回転させる回転機構120と、この回転機構120によりドア開口部K側に向いたシート装置10を車室外側へ移動させる振り出し機構130を備えている。
【0008】
以下、このシート移動装置100の各機構110,120,130について説明する。先ず、前後スライド機構110について説明する。車両MのフロアFには、固定ベース111が取り付けられている。この固定ベース111の上面には、車両前後方向に相互に平行に取り付けたガイドレール112,112を介して前後方向スライドベース113が車両前後方向にスライド可能に設けられている。固定ベース111と前後方向スライドベース113との間には、前後スライドモータ114aとねじ軸114bおよびこれに噛み合うナット114cが介装されている。前後スライドモータ114aおよびねじ軸114bが固定ベース111側に取り付けられ、ナット114cが前後方向スライドベース113の下面側に取り付けられている。このため、前後スライドモータ114aが起動するとねじ軸114bが回転し、これにより前後方向スライドベース113が車両前方または後方(紙面に直交する方向)へ移動する。
回転機構120は、相互に同軸で回転自在に組み合わされた外輪121と内輪122を有している。外輪121が前後方向スライドベース113の上面に固定され、内輪122が振り出し機構130の回転ベース131の下面に固定されている。前後方向スライドベース113の上面には回転駆動用の電動モータ(回転モータ123)が取り付けられている。この回転モータ123の回転出力は、図示省略した歯車伝達機構を介して内輪122に伝達され、これにより回転ベース131ひいては振り出し機構130およびシート装置10が一体で回転する。
【0009】
次に、振り出し機構130および補助スライド機構140の詳細が図5に示されている。振り出し機構130は、上記回転ベース131とこの回転ベース131に対してスライドする車幅方向スライドベース132を備えている。この車幅方向スライドベース132は、回転ベース131に相互に平行に取り付けたスライドレール132a,132aを介してスライド可能に支持されている。スライドレール132a,132aは、シート装置10が車両正面向きの状態では車両前後方向に沿って相互に平行に位置され、シート装置10がドア開口部側に向けられた状態では車幅方向に沿って相互にほぼ平行に位置する状態となる。
また、車幅方向スライドベース132と回転ベース131との間には、車幅方向スライド用の電動モータ134bとねじ軸134aを有する車幅方向駆動装置134が介装されている。回転ベース131側に電動モータ134bが取り付けられるとともにねじ軸134aが回転可能に支持され、このねじ軸134aにかみ合うナット134cが車幅方向スライドベース132側に取り付けられている。このため、シート装置10がドア開口部側へ向けられた状態で電動モータ134bを正転または逆転させてねじ軸134aを回転させると、車幅方向スライドベース132が車幅方向(室外側または室内側、図2〜図4において左右方向)へスライドする。
【0010】
車幅方向スライドベース132の左右両側部には左右一対の四節リンク機構133,133が取り付けられている。両四節リンク機構133,133は、それぞれ上リンクアーム133aと下リンクアーム133bを備えている。両リンクアーム133a,133bは、それぞれ車幅方向スライドベース132の側部に支軸133c,133dを介して上下に回動可能に支持されている。また、左右の下リンクアーム133b,133bは、回転ベース131の先端側に取り付けたアーム受け部材139,139に乗せ掛けられており、車幅方向スライドベース132の移動に伴って両下リンクアーム133b,133bは常時アーム受け部材139,139によって受けられるようになっている。このため、車幅方向スライドベース132の移動により両四節リンク機構133,133が車室外側へ移動すると、その車室外側への移動距離が大きくなるほど下リンクアーム133bの支軸133dとアーム受け部材139との間隔が小さくなるので、上下リンクアーム133a,133bはそれぞれ支軸133c,133dを中心にして下方(図2〜図4において左回り方向)へ回動する。両四節リンク機構133,133が下方へ回動すると、後述する補助スライド機構140およびシート装置10が下方へ変位する。図4および図5は、この状態を示している。
【0011】
逆に、車幅方向スライドベース132が車室内側へ移動することにより両四節リンク機構133,133が車室内側へ移動すると、その車室内側への移動距離が大きくなるほど下リンクアーム133bの支軸133dとアーム受け部材139との間隔が大きくなるので、上下のリンクアーム133a,133bはそれぞれ支軸133c,133dを中心にして上方(図2〜図4において右回り方向)へ回動する。両四節リンク機構133,133が上方へ回動すると、補助スライド機構140およびシート装置10が上方へリフトされる。図2および図3はこの状態を示している。
なお、シート装置10を昇降動させる段階でその着座姿勢が保持されるよう、各リンクアーム133a,133bの支点間距離等が適切に設定されている。
この左右一対の四節リンク機構133,133の先端部間に上記補助スライド機構140が設けられている。この補助スライド機構140は、補助ベース135を備えている。この補助ベース135の側部に、両四節リンク機構133,133の上下のリンクアーム133a,133bの先端部が、それぞれ支軸133e,133fを介して回転可能に支持されている。
【0012】
この補助ベース135の上面側には、矩形に枠組みしたシート連結フレーム150がスライド可能に設けられている。シート連結フレーム150の下面に左右一対のスライドレール136,136が取り付けられている。スライドレール136,136は、シート装置10が車両正面向きの状態では車両前後方向に沿って相互に平行に位置され、シート装置10がドア開口部側に向けられた状態では車幅方向に沿って相互に平行に位置する状態となる。また、補助ベース135の上面には、補助スライド用の電動モータ(補助スライドモータ137)が取り付けられるとともに、ねじ軸138が回転可能に支持されている。ねじ軸138にかみ合うナット141は、シート連結フレーム150の後端部に取り付けられている。このため、シート装置10がドア開口部K側へ向けられた状態で補助スライドモータ137を起動してねじ軸138を回転させると、シート連結フレーム150が補助ベース135に対して車幅方向(図2〜図4において左右方向)へスライドする。このシート連結フレーム150にシート装置10が載置される。従って、シート装置10は、振り出し機構130と補助スライド機構140により2段階で車幅方向に移動する。
しかも、前記したように振り出し機構130により両四節リンク機構133,133が車室外側へ移動すると、上下リンクアーム133a,133bがその先端側を下方へ変位させる方向に回動するので、補助スライド機構140ひいてはシート装置10が車室外側へ移動しつつ下方すなわち路面へ接近する方向へ変位する。
逆に、車幅方向スライド用の電動モータ134bを逆転させると、車幅方向スライドベース132が車室内側へ後退し、これにより両四節リンク機構133,133がその先端側を上方へ変位させる方向に回動する。このため、シート装置10は、円弧状の軌跡を描きながら上方へ変位しつつ車室内側へ戻される。
【0013】
次に、シート装置10は上記シート連結フレーム150に対して分離可能に連結される。図6には、シート装置10が単独で(シート移動装置100から切り離して車椅子として使用する状態で)示されている。但し、図6では、シート本体11が二点鎖線で示されている。シート装置10は、シートクッション11aとシートバック11bを有するシート本体11と、このシート本体11を支持するシート台車24を備えている。シート台車24は、台車フレーム20と左右一対の前輪30,30と左右一対の後輪40,40を備えている。
シートバック11bの背面には、介護者が把持するためのハンドル23,23が取り付けられている。
台車フレーム20の上面には、相互に回転可能に組み付けられた外輪21aと内輪21bを有する回転盤21が取り付けられている。外輪21aが台車フレーム20側に固定され、内輪21aがシート本体11のシートクッション11aの下面に固定されている。この回転盤21を介してシート本体11が台車フレーム20の上面(シート台車24の上面)に回転可能に支持されている。
回転盤21の内輪21bの周面にはギヤ21cが形成されている。このギヤ21cには、電動モータ22の出力軸に取り付けたウォームギヤ22aが噛み合わされている。このため、電動モータ22が起動すると、ウォームギヤ22aとギヤ21cの噛み合いを経て内輪21bが回転し、ひいてはシート本体11がシート台車24に対して水平方向に回転する。
本実施形態では、シート本体11は正面向き位置と当該シート装置10の背面側を向いた後ろ向き位置との間を約180°の範囲で回転するように電動モータ22が制御される。電動モータ22の起動停止、回転方向はシート本体11の側部に配置した操作盤(図示省略)により操作される。
電動モータ22が停止した状態では、ウォームギヤ22aとギヤ21cとの噛み合いにより内輪21bの外輪21aに対する回転がロックされ、これによりシート本体11が正面向き位置と後ろ向き位置との間の任意の位置でロックされる。
【0014】
次に、前後の車輪30,30、40,40について説明する。前輪30,30および後輪40,40は、それぞれ左右対称に設けられている。図7には、着座者から見て左側の前後輪30,40の支持構造が示されている。先ず、台車フレーム20の前側角部に、回動支軸31を介して前輪ステー32が上下に回動可能に支持されている。この前輪ステー32の下端部に首振り自在な前輪ホルダー33が取り付けられている。この前輪ホルダー33に前輪30が回転自在に支持されている。左右の前輪ステー32,32は、連結バー34を介して相互に連結されている。このため、両前輪ステー32,32ひいては両前輪30,30は一体で取り出し、格納される。
一方、台車フレーム20の側部には、回動支軸41を介して後輪ステー42が上下に回動可能に支持されている。この後輪ステー42の下端部に後輪40が回転自在に支持されている。両後輪ステー42,42は連結バー44により連結されている。このため、両後輪ステー42,42ひいては両後輪40,40は一体で取り出し、格納される。後輪ステー42の回動支軸41は、台車フレーム20の側部に沿って移動可能に支持されている。これについては後述する。
後輪ステー42の長手方向ほぼ中間位置と前輪ステー32の上端部は連結リンク35により連結されている。連結リンク35の一端側は支軸35aを介して前輪ステー32の上端部に回転可能に連結され、他端側は支軸35bを介して後輪ステー42の長手方向ほぼ中間位置に回転可能に連結されている。
また、後輪ステー42には、上記支軸35bを介して固定リンク43の一端が回転可能に連結されている。この固定リンク43の他端側は、支軸43aを介して台車フレーム20の後部に回転可能に連結されている。
【0015】
次に、後輪ステー42を回動支持する回動支軸41は、前後輪格納装置50により台車フレーム20の側部に沿って移動可能に設けられている。前後輪格納装置50の詳細が図8に示されている。台車フレーム20の前部には駆動モータ51が取り付けられている。この駆動モータ51の前部および後部の双方から出力軸51a,51bが突き出されている。両出力軸51a,51bは一体で正転または逆転する。両出力軸51a,51bの出力する回転動力は、台車フレーム20の前角部に取り付けた中間伝達ブロック52,52を経てそれぞれねじ軸53に伝達される。両ねじ軸53,53の先端側は、台車フレーム20の左右側部に固定した支持ブロック54,54にそれぞれ回転自在に支持されている。また、両ねじ軸53,53にはそれぞれナットブロック55が噛み合い状態で装着されている。このナットブロック55に上記回動支軸41が固定されている。このため、駆動モータ51が起動すると、出力軸51a,51bおよびねじ軸53,53の回転により左右のナットブロック55,55が同じ方向へ同じ速度で同期して移動し、これにより両回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って移動する。
【0016】
後輪ステー42,42の回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って前側(図7において左側)へ同期して移動すると、両後輪ステー42,42の長手方向ほぼ中途位置にそれぞれ固定リンク43が連結されているため、両後輪ステー42,42は、図7中二点鎖線で示すようにそれぞれ当該回動支軸41に対して上方(図において左回り方向)に回動し、これにより後輪40,40が上方へ変位する。なお、この時、固定リンク43は、支軸43aを中心にして図示右回り方向に回動する。前後輪格納装置50により回動支軸41,41が前進端まで移動すると、後輪40,40は台車フレーム20の後端部付近(シートクッション11aの座面の後ろ側)に格納される。
一方、後輪ステー42,42が上方へ回動すると、連結リンク35が、支軸35aを中心にして図示左回り方向へ若干回転しながら前方へ変位する。このため、前輪ステー32,32がそれぞれ回動支軸31を中心にして図示左回り方向に回動し、これにより前輪30,30が上方へ変位する。後輪ステー42,42の回動支軸41,41が前進端まで移動すると、連結リンク35,35が図中二点鎖線で示す位置まで変位し、これにより前輪30,30が図中二点鎖線で示す位置に格納される。
【0017】
このように、前輪30,30のみならず、後輪40,40が後輪ステー42,42の回動支軸41,41に対して後ろ側へ格納されるので、前輪30,30および後輪40,40をそれぞれ台車フレーム20の前後方向中程から後ろ側に至る範囲に格納することができる。これによれば、着座者から見て比較的邪魔にならない部位に前輪30,30および後輪40,40を格納することができるので、これらを従来よりも高い位置まで変位させて格納することができ、これにより格納状態において、台車フレーム20の下方に必要な前後輪30,30、40,40の格納スペースを従来よりも小さくすることができる。従来、後輪は台車フレームの後部に回動可能に支持した後輪ステーを前方(図7において右回り方向)に回動させて格納する構成であったので、後輪は後輪ステーの回動支軸に対して前側すなわち台車フレームの前側へ格納される構成となっていた。このため、着座者の着座時および乗り移り時の邪魔にならないようにする必要から、後輪を台車フレームに対してあまり高い位置に格納することができず、従って台車フレームの下方へ大きく張り出した位置に留めて格納する必要があり、その結果台車フレームの下側に大きな格納スペースを必要としていた。また、通常は前輪よりも大径に設定される後輪が着座者から見て前側に格納される構成であったので、この点でも台車フレームの下側に大きな格納スペースを必要としていた。
【0018】
以上のようにして前後連動して格納された前輪30,30および後輪40,40は、前後輪格納装置50の駆動モータ51を逆転方向に起動することにより、下方へ取り出すことができる。駆動モータ51が逆転すると、両ナットブロック55,55が後ろ側へ移動し、これにより後輪ステー42,42の回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って前側から後ろ側へ変位する。両後輪ステー42,42の長手方向ほぼ中間位置には固定リンク43,43が連結されているので、回動支軸41,41が後ろ側へ移動すると、両後輪ステー42,42は、回動支軸41に対して右回り方向へ回動し、これにより両後輪40,40が下方へ取り出される。また、回動支軸41,41が後ろ側へ移動しながら両後輪ステー42,42が右回り方向に回動すると、連結リンク35,35がそれぞれ支軸35aを中心にして若干右回り方向に回転しながら後ろ側へ変位する。このため、前輪ステー32,32がそれぞれ回動支軸31を中心にして右回り方向に回動し、これにより両前輪30,30が下方へ取り出される。
左右の後輪40,40は、電動式の駆動モータ(ホイールインモータ)を内蔵している。このため、当該シート装置10は、自動可能となっている。左右後輪40,40の回転、停止、回転方向及び回転速度は、図示省略した操作スイッチにより着座者が自由に操作できるようになっている。このため、着座者は介護者を必要とすることなく、当該シート装置10を自走させて自由に移動することができる。
【0019】
以上のように構成したシート装置10の台車フレーム20の下面側に、前記したシート移動装置100のシート連結フレーム150が挿入されて、シート台車24ひいては当該シート装置10がシート移動装置100に連結される。図9に示すように台車フレーム20の後部には、連結プレート60が下方へ張り出すように設けられている。この連結プレート60には2つの逆V字形の連結凹部61,61が下方に開口する向きで形成されている。両連結凹部61,61の間隔は、シート連結フレーム150の左右幅に一致している。両連結凹部61,61の口元には、下側ほど間口が大きくなる向きに傾斜する案内傾斜部61aが設けられている。
シート連結フレーム150が台車フレーム20の後面側から下方に入り込むように当該シート装置10を後退させ、然る後シート移動装置100を上昇側に作動させると、シート連結フレーム150が両連結凹部61,61内に入り込むとともに台車フレーム20の下面側に当接され、これによりシート装置10がシート連結フレーム150ひいてはシート移動装置100に対して位置決めされた状態で連結される。シート移動装置100の上昇側への作動は、車幅方向スライド用の電動モータ134bを逆転させて四節リンク機構133,133を上方へ回動させることによりなされる。
【0020】
その後、シート移動装置100がさらに上昇側に作動することにより、シート装置10の前後輪30,30、40,40が路面から浮き上がり、然る後、前後の車輪30,30、40,40が前記したように前後輪格納装置50の作動により格納される。
前後の車輪30,30、40,40を格納した後、車幅方向スライド用の電動モータ134bが再度逆転して両四節リンク機構133,133が車室内側へ後退しつつ上昇し、これによりシート装置10が上昇しつつ室内側へ戻される。この状態が図4→図3に示されている。
次に、補助スライドモータ137が逆転してシート連結フレーム150およびシート装置10が室内側へスライドされ、これにより補助スライド機構140が原位置に戻される。この状態が図3→図2に示されている。こうしてシート装置10が車室内に戻された後、回転機構120および前後スライド機構110によりシート装置10が車両後方へ移動しながらドア開口部Kに向いた位置から車両正面向きの位置まで回転する。以上で、シート装置10は車椅子として使用する車室外から車室内の所定位置まで移動され、これにより車室内の乗員用座席として使用される。この間、着座者はシート装置10に着座した状態のままでよいので、車両への乗降を極めて楽に行うことができる。逆に、シート装置10を車室内から車室外へ移動させる際には上記と逆の手順により行われる。
【0021】
以上説明した本実施形態の車両用シート1によれば、車室外において車椅子として使用したシート装置10を車室内に移動させる(着座者が車両に乗り込む)ために当該シート装置10をシート移動装置100に連結する場合には、先ずシート移動装置100において図5に示すようにシート連結フレーム150を車室外に移動させた状態とする。この状態においてシート連結フレーム150は、シート装置10の台車フレーム20の下方であって、図9において二点鎖線で示す高さに位置されている。
シート移動装置100を上記状態とした後、シート装置10をシート連結フレーム150に接近させる。ここで、シート装置10は、図9に示すようにシート連結フレーム150を台車フレーム20の後面側から当該台車フレーム20の下面側に挿入させることによりシート移動装置100に連結される。このため、シート装置10をシート移動装置100に連結するためには、車室外に取り出されたシート連結フレーム150に向けてシート装置10を後退させる必要がある。
【0022】
そこで、図10に示すように、シート本体11の向きを着座者から見て右側へ約90°回転させた状態(横向き位置)でシート装置10を後退させることにより、着座者は右側方を向く程度でシート連結フレーム150の位置を目で確認することができる。つまり、着座者は横を向く程度の楽な姿勢でシート連結フレーム150の位置を目で確認しながらシート装置10を後退させることができる。このことから、着座者はシート装置10がシート連結フレーム150に向けて正しい進路で後退していることを目で確認しながら当該シート装置10を後退させることができるので、結果的に安心して迅速にシート装置10を後退させ、台車フレーム20の下方へシート連結フレーム150を進入させることができる。
また、図10に示すように横向きではなく、シート本体11を正面向き位置から約180°回転させて後ろ向きに位置させることにより、着座者は正面にシート連結フレーム150を見ながらシート装置10を後退させることができる。この場合は、より一層楽な姿勢で(通常の着座姿勢のまま)シート連結フレーム150の位置を目で確認しながらシート装置10を後退させることができる。このため、着座者は、より一層迅速にシート装置10を後退させてシート連結フレーム150を台車フレーム20の下方に進入させることができ、かつこの連結作業を安心して行うことができる。
【0023】
シート台車24に対するシート本体11の回転は、着座者自身が手元の操作パネルを操作することにより、右側または左側へ任意の角度だけ回転させることができる。操作パネルの右回転側の起動スイッチをオン操作することにより電動モータ22が起動し、これにより内輪21bがウォームギヤ22aとギヤ21cとの噛み合いを経て回転してシート本体11が着座者から見て右側へ回転し始める。シート本体11(着座者自身)が正面向き位置から横向きあるいは後ろ向き位置まで回転した後、上記起動スイッチのオン操作を解除することによりシート本体11の回転動作を停止させることができる。
着座者が横向きまたは後ろ向きの状態でシート装置10を後退させて、台車フレーム20の下方へシート連結フレーム150を進入させ、然る後シート移動装置100側の作動によりシート連結フレーム150を若干上昇させて当該シート装置10をシート移動装置100側に連結した状態とした後、着座者自身の操作によりシート本体11を正面向き位置に戻すことができる。シート本体11を横向き位置または後ろ向き位置から正面向き位置に戻すには、着座者が操作パネルの左回転側の起動スイッチをオン操作して、電動モータ22を逆転させることにより行う。シート本体11の正面向き位置は、センサにより検知され、このセンサが出力する信号に基づいて電動モータ22が自動的に停止される。
【0024】
以上のようにしてシート移動装置100にシート装置10を連結した状態で、シート移動装置100側の作動により再びシート装置10が上昇される。シート装置10の上昇により前後輪30,40が路面から浮き上がった時点で、この前後輪30,40が自動的に格納される。その後、シート移動装置100の作動によりシート装置10が引き続き車室内側へ移動して振り出し機構130および補助スライド機構140が原位置に戻され、然る後前後スライド機構110及び回転機構120によりシート本体10は車両後方へ後退しつつ車両正面向き位置に戻される。
以上説明したように本実施形態の車両用シート1によれば、車室外で車椅子として使用した後、シート装置10を車室内に移動させるために、当該シート装置10をシート移動装置100に連結する段階で、シート本体11をシート台車24に対して水平方向に回転させて横向き位置あるいは後ろ向き位置に位置させることにより、着座者は後退方向に対して横向きあるいは後退方向に向かって着座した状態で当該シート装置10をシート連結フレーム150に向けて後退させることができる。このため、着座者は後退方向に対して横向きに着座していれば首を横に向ける程度で、後退方向に向かって着座していれば正面を向いたままシート連結フレーム150の位置を目で確認することができる。このことから、従来のように体を後ろ側(シート装置10が後退する方向)へひねって窮屈な姿勢を取ることなくシート装置10の後退方向及びシート連結フレーム150に対する相対位置を目で楽に確認することができるので、着座者は介護者の手を借りることなく自身だけで安心してシート装置10をシート移動装置100に連結することができる。
【0025】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、シート台車24に対してシート本体11を回転させるための手段として、内輪21bの周面に設けたギヤ21cとウォームギヤ22aとの噛み合い機構を利用する構成を例示したが、これに代えて例えばラック・ピニオン機構を用いることもできる。
また、電動モータ22を駆動源とする回転機構を例示したが、これら駆動機構を省略して手動操作によりシート本体11をシート台車24に対して回転させる構成としてもよい。この場合、シート本体11を車両正面向き位置、横向き位置および後ろ向き位置に固定するための回転ロック装置をシート台車24との間に介装することができる。
さらに、車室内においてシート本体11をシート台車24に対して回転させることにより、車室内において着座者は車両正面向きだけでなく、横向きあるいは車両後ろ向きに着座することもでき、この点で車室内における回転対面シートとしての機能を付加させることができる。
また、シート移動装置100において、左右一対の四節リンク機構133,133をその支点133c,133dを移動させることにより上下に傾動させる構成としたが、この種のリンク機構に代えて水平方向移動機構と昇降機構を組み合わせることによりシート装置10に対して車幅方向の移動および上下動を与える構成としてもよい。
また、前後輪30,30、40,40の取り出し格納を前後輪格納装置50により行う電動式で説明したが、手動により回動支軸41,41を台車フレーム20の前側へ移動させながら後輪ステー42,42を上方へ回動させる手動式としてもよい。この場合は、当該シート装置10のコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用シートを第2列席に備えた車両の平面図である。
【図2】図1において矢印(2)方向から見た車両用シートの後面図である。本図は、シート本体がドア開口部側に向けられた状態を示している。
【図3】同じく車両用シートの後面図である。本図は、シート装置が補助スライド機構により車室外側へ移動した状態を示している。
【図4】同じく車両用シートの後面図である。本図は、シート装置が振り出し機構により車室外側へ移動し、かつ路面に近い位置に下降した状態を示している。
【図5】振り出し機構および補助スライド機構の斜視図である。
【図6】シート装置を単独で示す斜視図である。本図では、シート本体が二点鎖線で示されている。
【図7】シート装置の側面図であって、第1実施形態の前後輪の格納構造を示す図である。
【図8】シート台車の平面図であって、回転盤および前後輪格納装置の平面図である。
【図9】シート装置の後面図である。
【図10】本願発明に係る車両用シートの斜視図であって、シート本体を横向き位置に回転させた状態でシート装置を後退させてシート移動装置に連結する状態を示す斜視図である。
【図11】従来の車両用シートの斜視図であって、シート本体を正面向き位置に位置させた状態のままシート装置を後退させてシート移動装置に連結する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
M…車両
1…車両用シート
10…シート装置
11…シート本体
20…台車フレーム
21…回転盤、21a…外輪、21b…内輪
22…電動モータ、22a…ウォームギヤ
24…シート台車
30…前輪
40…後輪
50…前後輪格納装置
100…シート移動装置
110…前後スライド機構
120…回転機構
130…振り出し機構
133…四節リンク機構
140…補助スライド機構
150…シート連結フレーム
200…従来の車両用シート
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば身体障害者や老人等(以下、単に着座者という)が車両への乗降を楽に行えるようにした車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用シート200は、例えば図11に示すようにシート本体211と前後の車輪212,213を備え、車椅子として単独で使用することができるシート装置210と、車室内に設置され、このシート装置210を連結して車室内と車室外との間で移動させるためのシート移動装置220を備えたもので、着座者はシート本体211に着座したままの状態で車両への乗降を行うことができるとともに、シート装置210をシート移動装置220から分離すれば車室外においてそのまま車椅子として転用することができるので、車両への乗降だけでなく車室外における移動をも楽に行うことができた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−309175号公報
【特許文献2】
特開昭60−92757号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシート装置分離式の車両用シート200にも次のような改善すべき問題があった。すなわち、上記従来の車両用シート200は、図示するようにシート装置210をシート移動装置220に連結させる際に、シート装置210を後退させながらシート移動装置220に接近させる構成であるため、特に介護者がいない場合には着座者自身が後方を目で確認しながらシート装置210を後退させる必要があり、このため着座者は体を後ろ側へひねる等した窮屈な姿勢をとらなけらばならなかった。着座者自身がこの窮屈な姿勢をとれないために自身では後方を確認できず、介護者もいない場合にはシート装置210をシート移動装置220に連結することが困難な場合があった。
本発明は、この問題を解消するためになされたもので、楽な姿勢で着座者自身が自分の目で後方を確認しながらシート装置を後退させることができ、またシート装置の背面側における連結状態を確認することができる車両用シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、前記各請求項に記載した構成の車両用シートとした。
請求項1記載の車両用シートによれば、シート本体がシート台車に対して水平方向に回転可能に支持されているため、シート装置の連結時に着座者はシート本体をシート台車に対して回転させることにより従来のように背面側を振り返ることなく、シート装置とシート移動装置との連結状態を直接目で見て確認することができ、この点で当該車両用シートの使い勝手を向上させることができる。
シート本体のシート台車に対する回転位置は、例えば手動式のロック機構を用いることにより正面向き位置と左側または右側へ適当な角度だけ回転した横向き位置に位置決めし、その位置でロックすることができる。また、シート本体を、シート台車の前進方向に向いた正面向き位置から約180°回転させてシート台車の後退方向を向いた後ろ向き位置に位置決めロックすることもできる。
この明細書において、シート本体の向きに関して、正面向きとは、着座者がシート台車の前進方向を向いている場合におけるシート本体のシート台車に対する向きをいい、後ろ向きとは、着座者がシート台車の前進方向とは反対側(シート台車の後退方向)を向いている場合におけるシート本体のシート台車に対する向きをいう。
【0006】
請求項2記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えてシート本体をシート台車に対して楽に回転させることができる。電動モータの回転を適切に制御することにより、シート本体をシート台車に対して上記正面向き位置、横向き位置、後ろ向き位置に自動的に移動させることができる。また、電動モータの動力を伝えるための手段として例えばウォームホイールを用いれば、電動モータを停止させておくことによりシート本体の回転位置を固定することができ、別途ロック手段を省略することができる。
請求項3記載の車両用シートによれば、シート装置をシート移動装置に連結するために当該シート装置を後退させる際に、シート本体をシート台車に対して180°回転させて後ろ向き位置に移動させることにより、着座者はなんら窮屈な姿勢をとることなく後方を目で確認しながら、当該シート装置を後退させることができ、この点でシート装置連結作業を極めて楽に行うことができる。また、シート本体を後ろ向き位置に回転させることにより、シート台車の背面側に対するシート移動装置の連結状態を楽な姿勢で確認することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1は、本実施形態の車両用シート1を第2列席に備えた車両M(ワンボックスカー)を示している。図示するように本実施形態の車両用シート1の左側(図示下側)には、乗降用のスライドドアD(ドア開口部K)が配置されている。
この車両用シート1は、車輪を備えて車室外では車椅子として使用可能であり、車室内では乗員が着座するための座席として使用されるシート装置10と、このシート装置10を車室内から車室外へあるいはその逆に車室外から車室内へ移動させるシート移動装置100を備えている。シート装置10は、シート移動装置100に連結された状態で車室内に設置される。先ず、シート移動装置100について説明する。
図2〜図4にはシート移動装置100の詳細が示されている。このシート移動装置100は、シート装置10を車両前後方向へ移動させる前後スライド機構110と、シート装置10を着座者から見て車両正面向きの位置とドア開口部K側へ向いた位置との間で約90゜回転させる回転機構120と、この回転機構120によりドア開口部K側に向いたシート装置10を車室外側へ移動させる振り出し機構130を備えている。
【0008】
以下、このシート移動装置100の各機構110,120,130について説明する。先ず、前後スライド機構110について説明する。車両MのフロアFには、固定ベース111が取り付けられている。この固定ベース111の上面には、車両前後方向に相互に平行に取り付けたガイドレール112,112を介して前後方向スライドベース113が車両前後方向にスライド可能に設けられている。固定ベース111と前後方向スライドベース113との間には、前後スライドモータ114aとねじ軸114bおよびこれに噛み合うナット114cが介装されている。前後スライドモータ114aおよびねじ軸114bが固定ベース111側に取り付けられ、ナット114cが前後方向スライドベース113の下面側に取り付けられている。このため、前後スライドモータ114aが起動するとねじ軸114bが回転し、これにより前後方向スライドベース113が車両前方または後方(紙面に直交する方向)へ移動する。
回転機構120は、相互に同軸で回転自在に組み合わされた外輪121と内輪122を有している。外輪121が前後方向スライドベース113の上面に固定され、内輪122が振り出し機構130の回転ベース131の下面に固定されている。前後方向スライドベース113の上面には回転駆動用の電動モータ(回転モータ123)が取り付けられている。この回転モータ123の回転出力は、図示省略した歯車伝達機構を介して内輪122に伝達され、これにより回転ベース131ひいては振り出し機構130およびシート装置10が一体で回転する。
【0009】
次に、振り出し機構130および補助スライド機構140の詳細が図5に示されている。振り出し機構130は、上記回転ベース131とこの回転ベース131に対してスライドする車幅方向スライドベース132を備えている。この車幅方向スライドベース132は、回転ベース131に相互に平行に取り付けたスライドレール132a,132aを介してスライド可能に支持されている。スライドレール132a,132aは、シート装置10が車両正面向きの状態では車両前後方向に沿って相互に平行に位置され、シート装置10がドア開口部側に向けられた状態では車幅方向に沿って相互にほぼ平行に位置する状態となる。
また、車幅方向スライドベース132と回転ベース131との間には、車幅方向スライド用の電動モータ134bとねじ軸134aを有する車幅方向駆動装置134が介装されている。回転ベース131側に電動モータ134bが取り付けられるとともにねじ軸134aが回転可能に支持され、このねじ軸134aにかみ合うナット134cが車幅方向スライドベース132側に取り付けられている。このため、シート装置10がドア開口部側へ向けられた状態で電動モータ134bを正転または逆転させてねじ軸134aを回転させると、車幅方向スライドベース132が車幅方向(室外側または室内側、図2〜図4において左右方向)へスライドする。
【0010】
車幅方向スライドベース132の左右両側部には左右一対の四節リンク機構133,133が取り付けられている。両四節リンク機構133,133は、それぞれ上リンクアーム133aと下リンクアーム133bを備えている。両リンクアーム133a,133bは、それぞれ車幅方向スライドベース132の側部に支軸133c,133dを介して上下に回動可能に支持されている。また、左右の下リンクアーム133b,133bは、回転ベース131の先端側に取り付けたアーム受け部材139,139に乗せ掛けられており、車幅方向スライドベース132の移動に伴って両下リンクアーム133b,133bは常時アーム受け部材139,139によって受けられるようになっている。このため、車幅方向スライドベース132の移動により両四節リンク機構133,133が車室外側へ移動すると、その車室外側への移動距離が大きくなるほど下リンクアーム133bの支軸133dとアーム受け部材139との間隔が小さくなるので、上下リンクアーム133a,133bはそれぞれ支軸133c,133dを中心にして下方(図2〜図4において左回り方向)へ回動する。両四節リンク機構133,133が下方へ回動すると、後述する補助スライド機構140およびシート装置10が下方へ変位する。図4および図5は、この状態を示している。
【0011】
逆に、車幅方向スライドベース132が車室内側へ移動することにより両四節リンク機構133,133が車室内側へ移動すると、その車室内側への移動距離が大きくなるほど下リンクアーム133bの支軸133dとアーム受け部材139との間隔が大きくなるので、上下のリンクアーム133a,133bはそれぞれ支軸133c,133dを中心にして上方(図2〜図4において右回り方向)へ回動する。両四節リンク機構133,133が上方へ回動すると、補助スライド機構140およびシート装置10が上方へリフトされる。図2および図3はこの状態を示している。
なお、シート装置10を昇降動させる段階でその着座姿勢が保持されるよう、各リンクアーム133a,133bの支点間距離等が適切に設定されている。
この左右一対の四節リンク機構133,133の先端部間に上記補助スライド機構140が設けられている。この補助スライド機構140は、補助ベース135を備えている。この補助ベース135の側部に、両四節リンク機構133,133の上下のリンクアーム133a,133bの先端部が、それぞれ支軸133e,133fを介して回転可能に支持されている。
【0012】
この補助ベース135の上面側には、矩形に枠組みしたシート連結フレーム150がスライド可能に設けられている。シート連結フレーム150の下面に左右一対のスライドレール136,136が取り付けられている。スライドレール136,136は、シート装置10が車両正面向きの状態では車両前後方向に沿って相互に平行に位置され、シート装置10がドア開口部側に向けられた状態では車幅方向に沿って相互に平行に位置する状態となる。また、補助ベース135の上面には、補助スライド用の電動モータ(補助スライドモータ137)が取り付けられるとともに、ねじ軸138が回転可能に支持されている。ねじ軸138にかみ合うナット141は、シート連結フレーム150の後端部に取り付けられている。このため、シート装置10がドア開口部K側へ向けられた状態で補助スライドモータ137を起動してねじ軸138を回転させると、シート連結フレーム150が補助ベース135に対して車幅方向(図2〜図4において左右方向)へスライドする。このシート連結フレーム150にシート装置10が載置される。従って、シート装置10は、振り出し機構130と補助スライド機構140により2段階で車幅方向に移動する。
しかも、前記したように振り出し機構130により両四節リンク機構133,133が車室外側へ移動すると、上下リンクアーム133a,133bがその先端側を下方へ変位させる方向に回動するので、補助スライド機構140ひいてはシート装置10が車室外側へ移動しつつ下方すなわち路面へ接近する方向へ変位する。
逆に、車幅方向スライド用の電動モータ134bを逆転させると、車幅方向スライドベース132が車室内側へ後退し、これにより両四節リンク機構133,133がその先端側を上方へ変位させる方向に回動する。このため、シート装置10は、円弧状の軌跡を描きながら上方へ変位しつつ車室内側へ戻される。
【0013】
次に、シート装置10は上記シート連結フレーム150に対して分離可能に連結される。図6には、シート装置10が単独で(シート移動装置100から切り離して車椅子として使用する状態で)示されている。但し、図6では、シート本体11が二点鎖線で示されている。シート装置10は、シートクッション11aとシートバック11bを有するシート本体11と、このシート本体11を支持するシート台車24を備えている。シート台車24は、台車フレーム20と左右一対の前輪30,30と左右一対の後輪40,40を備えている。
シートバック11bの背面には、介護者が把持するためのハンドル23,23が取り付けられている。
台車フレーム20の上面には、相互に回転可能に組み付けられた外輪21aと内輪21bを有する回転盤21が取り付けられている。外輪21aが台車フレーム20側に固定され、内輪21aがシート本体11のシートクッション11aの下面に固定されている。この回転盤21を介してシート本体11が台車フレーム20の上面(シート台車24の上面)に回転可能に支持されている。
回転盤21の内輪21bの周面にはギヤ21cが形成されている。このギヤ21cには、電動モータ22の出力軸に取り付けたウォームギヤ22aが噛み合わされている。このため、電動モータ22が起動すると、ウォームギヤ22aとギヤ21cの噛み合いを経て内輪21bが回転し、ひいてはシート本体11がシート台車24に対して水平方向に回転する。
本実施形態では、シート本体11は正面向き位置と当該シート装置10の背面側を向いた後ろ向き位置との間を約180°の範囲で回転するように電動モータ22が制御される。電動モータ22の起動停止、回転方向はシート本体11の側部に配置した操作盤(図示省略)により操作される。
電動モータ22が停止した状態では、ウォームギヤ22aとギヤ21cとの噛み合いにより内輪21bの外輪21aに対する回転がロックされ、これによりシート本体11が正面向き位置と後ろ向き位置との間の任意の位置でロックされる。
【0014】
次に、前後の車輪30,30、40,40について説明する。前輪30,30および後輪40,40は、それぞれ左右対称に設けられている。図7には、着座者から見て左側の前後輪30,40の支持構造が示されている。先ず、台車フレーム20の前側角部に、回動支軸31を介して前輪ステー32が上下に回動可能に支持されている。この前輪ステー32の下端部に首振り自在な前輪ホルダー33が取り付けられている。この前輪ホルダー33に前輪30が回転自在に支持されている。左右の前輪ステー32,32は、連結バー34を介して相互に連結されている。このため、両前輪ステー32,32ひいては両前輪30,30は一体で取り出し、格納される。
一方、台車フレーム20の側部には、回動支軸41を介して後輪ステー42が上下に回動可能に支持されている。この後輪ステー42の下端部に後輪40が回転自在に支持されている。両後輪ステー42,42は連結バー44により連結されている。このため、両後輪ステー42,42ひいては両後輪40,40は一体で取り出し、格納される。後輪ステー42の回動支軸41は、台車フレーム20の側部に沿って移動可能に支持されている。これについては後述する。
後輪ステー42の長手方向ほぼ中間位置と前輪ステー32の上端部は連結リンク35により連結されている。連結リンク35の一端側は支軸35aを介して前輪ステー32の上端部に回転可能に連結され、他端側は支軸35bを介して後輪ステー42の長手方向ほぼ中間位置に回転可能に連結されている。
また、後輪ステー42には、上記支軸35bを介して固定リンク43の一端が回転可能に連結されている。この固定リンク43の他端側は、支軸43aを介して台車フレーム20の後部に回転可能に連結されている。
【0015】
次に、後輪ステー42を回動支持する回動支軸41は、前後輪格納装置50により台車フレーム20の側部に沿って移動可能に設けられている。前後輪格納装置50の詳細が図8に示されている。台車フレーム20の前部には駆動モータ51が取り付けられている。この駆動モータ51の前部および後部の双方から出力軸51a,51bが突き出されている。両出力軸51a,51bは一体で正転または逆転する。両出力軸51a,51bの出力する回転動力は、台車フレーム20の前角部に取り付けた中間伝達ブロック52,52を経てそれぞれねじ軸53に伝達される。両ねじ軸53,53の先端側は、台車フレーム20の左右側部に固定した支持ブロック54,54にそれぞれ回転自在に支持されている。また、両ねじ軸53,53にはそれぞれナットブロック55が噛み合い状態で装着されている。このナットブロック55に上記回動支軸41が固定されている。このため、駆動モータ51が起動すると、出力軸51a,51bおよびねじ軸53,53の回転により左右のナットブロック55,55が同じ方向へ同じ速度で同期して移動し、これにより両回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って移動する。
【0016】
後輪ステー42,42の回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って前側(図7において左側)へ同期して移動すると、両後輪ステー42,42の長手方向ほぼ中途位置にそれぞれ固定リンク43が連結されているため、両後輪ステー42,42は、図7中二点鎖線で示すようにそれぞれ当該回動支軸41に対して上方(図において左回り方向)に回動し、これにより後輪40,40が上方へ変位する。なお、この時、固定リンク43は、支軸43aを中心にして図示右回り方向に回動する。前後輪格納装置50により回動支軸41,41が前進端まで移動すると、後輪40,40は台車フレーム20の後端部付近(シートクッション11aの座面の後ろ側)に格納される。
一方、後輪ステー42,42が上方へ回動すると、連結リンク35が、支軸35aを中心にして図示左回り方向へ若干回転しながら前方へ変位する。このため、前輪ステー32,32がそれぞれ回動支軸31を中心にして図示左回り方向に回動し、これにより前輪30,30が上方へ変位する。後輪ステー42,42の回動支軸41,41が前進端まで移動すると、連結リンク35,35が図中二点鎖線で示す位置まで変位し、これにより前輪30,30が図中二点鎖線で示す位置に格納される。
【0017】
このように、前輪30,30のみならず、後輪40,40が後輪ステー42,42の回動支軸41,41に対して後ろ側へ格納されるので、前輪30,30および後輪40,40をそれぞれ台車フレーム20の前後方向中程から後ろ側に至る範囲に格納することができる。これによれば、着座者から見て比較的邪魔にならない部位に前輪30,30および後輪40,40を格納することができるので、これらを従来よりも高い位置まで変位させて格納することができ、これにより格納状態において、台車フレーム20の下方に必要な前後輪30,30、40,40の格納スペースを従来よりも小さくすることができる。従来、後輪は台車フレームの後部に回動可能に支持した後輪ステーを前方(図7において右回り方向)に回動させて格納する構成であったので、後輪は後輪ステーの回動支軸に対して前側すなわち台車フレームの前側へ格納される構成となっていた。このため、着座者の着座時および乗り移り時の邪魔にならないようにする必要から、後輪を台車フレームに対してあまり高い位置に格納することができず、従って台車フレームの下方へ大きく張り出した位置に留めて格納する必要があり、その結果台車フレームの下側に大きな格納スペースを必要としていた。また、通常は前輪よりも大径に設定される後輪が着座者から見て前側に格納される構成であったので、この点でも台車フレームの下側に大きな格納スペースを必要としていた。
【0018】
以上のようにして前後連動して格納された前輪30,30および後輪40,40は、前後輪格納装置50の駆動モータ51を逆転方向に起動することにより、下方へ取り出すことができる。駆動モータ51が逆転すると、両ナットブロック55,55が後ろ側へ移動し、これにより後輪ステー42,42の回動支軸41,41が台車フレーム20の側部に沿って前側から後ろ側へ変位する。両後輪ステー42,42の長手方向ほぼ中間位置には固定リンク43,43が連結されているので、回動支軸41,41が後ろ側へ移動すると、両後輪ステー42,42は、回動支軸41に対して右回り方向へ回動し、これにより両後輪40,40が下方へ取り出される。また、回動支軸41,41が後ろ側へ移動しながら両後輪ステー42,42が右回り方向に回動すると、連結リンク35,35がそれぞれ支軸35aを中心にして若干右回り方向に回転しながら後ろ側へ変位する。このため、前輪ステー32,32がそれぞれ回動支軸31を中心にして右回り方向に回動し、これにより両前輪30,30が下方へ取り出される。
左右の後輪40,40は、電動式の駆動モータ(ホイールインモータ)を内蔵している。このため、当該シート装置10は、自動可能となっている。左右後輪40,40の回転、停止、回転方向及び回転速度は、図示省略した操作スイッチにより着座者が自由に操作できるようになっている。このため、着座者は介護者を必要とすることなく、当該シート装置10を自走させて自由に移動することができる。
【0019】
以上のように構成したシート装置10の台車フレーム20の下面側に、前記したシート移動装置100のシート連結フレーム150が挿入されて、シート台車24ひいては当該シート装置10がシート移動装置100に連結される。図9に示すように台車フレーム20の後部には、連結プレート60が下方へ張り出すように設けられている。この連結プレート60には2つの逆V字形の連結凹部61,61が下方に開口する向きで形成されている。両連結凹部61,61の間隔は、シート連結フレーム150の左右幅に一致している。両連結凹部61,61の口元には、下側ほど間口が大きくなる向きに傾斜する案内傾斜部61aが設けられている。
シート連結フレーム150が台車フレーム20の後面側から下方に入り込むように当該シート装置10を後退させ、然る後シート移動装置100を上昇側に作動させると、シート連結フレーム150が両連結凹部61,61内に入り込むとともに台車フレーム20の下面側に当接され、これによりシート装置10がシート連結フレーム150ひいてはシート移動装置100に対して位置決めされた状態で連結される。シート移動装置100の上昇側への作動は、車幅方向スライド用の電動モータ134bを逆転させて四節リンク機構133,133を上方へ回動させることによりなされる。
【0020】
その後、シート移動装置100がさらに上昇側に作動することにより、シート装置10の前後輪30,30、40,40が路面から浮き上がり、然る後、前後の車輪30,30、40,40が前記したように前後輪格納装置50の作動により格納される。
前後の車輪30,30、40,40を格納した後、車幅方向スライド用の電動モータ134bが再度逆転して両四節リンク機構133,133が車室内側へ後退しつつ上昇し、これによりシート装置10が上昇しつつ室内側へ戻される。この状態が図4→図3に示されている。
次に、補助スライドモータ137が逆転してシート連結フレーム150およびシート装置10が室内側へスライドされ、これにより補助スライド機構140が原位置に戻される。この状態が図3→図2に示されている。こうしてシート装置10が車室内に戻された後、回転機構120および前後スライド機構110によりシート装置10が車両後方へ移動しながらドア開口部Kに向いた位置から車両正面向きの位置まで回転する。以上で、シート装置10は車椅子として使用する車室外から車室内の所定位置まで移動され、これにより車室内の乗員用座席として使用される。この間、着座者はシート装置10に着座した状態のままでよいので、車両への乗降を極めて楽に行うことができる。逆に、シート装置10を車室内から車室外へ移動させる際には上記と逆の手順により行われる。
【0021】
以上説明した本実施形態の車両用シート1によれば、車室外において車椅子として使用したシート装置10を車室内に移動させる(着座者が車両に乗り込む)ために当該シート装置10をシート移動装置100に連結する場合には、先ずシート移動装置100において図5に示すようにシート連結フレーム150を車室外に移動させた状態とする。この状態においてシート連結フレーム150は、シート装置10の台車フレーム20の下方であって、図9において二点鎖線で示す高さに位置されている。
シート移動装置100を上記状態とした後、シート装置10をシート連結フレーム150に接近させる。ここで、シート装置10は、図9に示すようにシート連結フレーム150を台車フレーム20の後面側から当該台車フレーム20の下面側に挿入させることによりシート移動装置100に連結される。このため、シート装置10をシート移動装置100に連結するためには、車室外に取り出されたシート連結フレーム150に向けてシート装置10を後退させる必要がある。
【0022】
そこで、図10に示すように、シート本体11の向きを着座者から見て右側へ約90°回転させた状態(横向き位置)でシート装置10を後退させることにより、着座者は右側方を向く程度でシート連結フレーム150の位置を目で確認することができる。つまり、着座者は横を向く程度の楽な姿勢でシート連結フレーム150の位置を目で確認しながらシート装置10を後退させることができる。このことから、着座者はシート装置10がシート連結フレーム150に向けて正しい進路で後退していることを目で確認しながら当該シート装置10を後退させることができるので、結果的に安心して迅速にシート装置10を後退させ、台車フレーム20の下方へシート連結フレーム150を進入させることができる。
また、図10に示すように横向きではなく、シート本体11を正面向き位置から約180°回転させて後ろ向きに位置させることにより、着座者は正面にシート連結フレーム150を見ながらシート装置10を後退させることができる。この場合は、より一層楽な姿勢で(通常の着座姿勢のまま)シート連結フレーム150の位置を目で確認しながらシート装置10を後退させることができる。このため、着座者は、より一層迅速にシート装置10を後退させてシート連結フレーム150を台車フレーム20の下方に進入させることができ、かつこの連結作業を安心して行うことができる。
【0023】
シート台車24に対するシート本体11の回転は、着座者自身が手元の操作パネルを操作することにより、右側または左側へ任意の角度だけ回転させることができる。操作パネルの右回転側の起動スイッチをオン操作することにより電動モータ22が起動し、これにより内輪21bがウォームギヤ22aとギヤ21cとの噛み合いを経て回転してシート本体11が着座者から見て右側へ回転し始める。シート本体11(着座者自身)が正面向き位置から横向きあるいは後ろ向き位置まで回転した後、上記起動スイッチのオン操作を解除することによりシート本体11の回転動作を停止させることができる。
着座者が横向きまたは後ろ向きの状態でシート装置10を後退させて、台車フレーム20の下方へシート連結フレーム150を進入させ、然る後シート移動装置100側の作動によりシート連結フレーム150を若干上昇させて当該シート装置10をシート移動装置100側に連結した状態とした後、着座者自身の操作によりシート本体11を正面向き位置に戻すことができる。シート本体11を横向き位置または後ろ向き位置から正面向き位置に戻すには、着座者が操作パネルの左回転側の起動スイッチをオン操作して、電動モータ22を逆転させることにより行う。シート本体11の正面向き位置は、センサにより検知され、このセンサが出力する信号に基づいて電動モータ22が自動的に停止される。
【0024】
以上のようにしてシート移動装置100にシート装置10を連結した状態で、シート移動装置100側の作動により再びシート装置10が上昇される。シート装置10の上昇により前後輪30,40が路面から浮き上がった時点で、この前後輪30,40が自動的に格納される。その後、シート移動装置100の作動によりシート装置10が引き続き車室内側へ移動して振り出し機構130および補助スライド機構140が原位置に戻され、然る後前後スライド機構110及び回転機構120によりシート本体10は車両後方へ後退しつつ車両正面向き位置に戻される。
以上説明したように本実施形態の車両用シート1によれば、車室外で車椅子として使用した後、シート装置10を車室内に移動させるために、当該シート装置10をシート移動装置100に連結する段階で、シート本体11をシート台車24に対して水平方向に回転させて横向き位置あるいは後ろ向き位置に位置させることにより、着座者は後退方向に対して横向きあるいは後退方向に向かって着座した状態で当該シート装置10をシート連結フレーム150に向けて後退させることができる。このため、着座者は後退方向に対して横向きに着座していれば首を横に向ける程度で、後退方向に向かって着座していれば正面を向いたままシート連結フレーム150の位置を目で確認することができる。このことから、従来のように体を後ろ側(シート装置10が後退する方向)へひねって窮屈な姿勢を取ることなくシート装置10の後退方向及びシート連結フレーム150に対する相対位置を目で楽に確認することができるので、着座者は介護者の手を借りることなく自身だけで安心してシート装置10をシート移動装置100に連結することができる。
【0025】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、シート台車24に対してシート本体11を回転させるための手段として、内輪21bの周面に設けたギヤ21cとウォームギヤ22aとの噛み合い機構を利用する構成を例示したが、これに代えて例えばラック・ピニオン機構を用いることもできる。
また、電動モータ22を駆動源とする回転機構を例示したが、これら駆動機構を省略して手動操作によりシート本体11をシート台車24に対して回転させる構成としてもよい。この場合、シート本体11を車両正面向き位置、横向き位置および後ろ向き位置に固定するための回転ロック装置をシート台車24との間に介装することができる。
さらに、車室内においてシート本体11をシート台車24に対して回転させることにより、車室内において着座者は車両正面向きだけでなく、横向きあるいは車両後ろ向きに着座することもでき、この点で車室内における回転対面シートとしての機能を付加させることができる。
また、シート移動装置100において、左右一対の四節リンク機構133,133をその支点133c,133dを移動させることにより上下に傾動させる構成としたが、この種のリンク機構に代えて水平方向移動機構と昇降機構を組み合わせることによりシート装置10に対して車幅方向の移動および上下動を与える構成としてもよい。
また、前後輪30,30、40,40の取り出し格納を前後輪格納装置50により行う電動式で説明したが、手動により回動支軸41,41を台車フレーム20の前側へ移動させながら後輪ステー42,42を上方へ回動させる手動式としてもよい。この場合は、当該シート装置10のコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用シートを第2列席に備えた車両の平面図である。
【図2】図1において矢印(2)方向から見た車両用シートの後面図である。本図は、シート本体がドア開口部側に向けられた状態を示している。
【図3】同じく車両用シートの後面図である。本図は、シート装置が補助スライド機構により車室外側へ移動した状態を示している。
【図4】同じく車両用シートの後面図である。本図は、シート装置が振り出し機構により車室外側へ移動し、かつ路面に近い位置に下降した状態を示している。
【図5】振り出し機構および補助スライド機構の斜視図である。
【図6】シート装置を単独で示す斜視図である。本図では、シート本体が二点鎖線で示されている。
【図7】シート装置の側面図であって、第1実施形態の前後輪の格納構造を示す図である。
【図8】シート台車の平面図であって、回転盤および前後輪格納装置の平面図である。
【図9】シート装置の後面図である。
【図10】本願発明に係る車両用シートの斜視図であって、シート本体を横向き位置に回転させた状態でシート装置を後退させてシート移動装置に連結する状態を示す斜視図である。
【図11】従来の車両用シートの斜視図であって、シート本体を正面向き位置に位置させた状態のままシート装置を後退させてシート移動装置に連結する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
M…車両
1…車両用シート
10…シート装置
11…シート本体
20…台車フレーム
21…回転盤、21a…外輪、21b…内輪
22…電動モータ、22a…ウォームギヤ
24…シート台車
30…前輪
40…後輪
50…前後輪格納装置
100…シート移動装置
110…前後スライド機構
120…回転機構
130…振り出し機構
133…四節リンク機構
140…補助スライド機構
150…シート連結フレーム
200…従来の車両用シート
Claims (3)
- シート本体と、該シート本体を支持するシート台車を有し、車室外では車椅子として使用され、車室内では乗員が着座する座席として使用されるシート装置と、該シート装置を前記シート台車にその背面側から連結し、該連結状態で該シート装置を車室内と車室外との間で移動させるシート移動装置を備え、
前記シート本体が、前記シート台車に対して水平方向に回転可能に支持された構成とした車両用シート。 - 請求項1記載の車両用シートであって、シート本体が、相互に回転自在な内輪と外輪を有する回転盤を介してシート台車に回転可能に支持され、前記内輪または前記外輪の一方を電動モータを駆動源として回転させて前記シート本体を前記シート台車に対して回転させる構成とした車両用シート。
- 請求項1または2に記載した車両用シートであって、シート本体はシート台車に対して正面向き位置と後ろ向き位置との間で回転可能な構成とした車両用シート。
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2003
- 2003-02-04 JP JP2003027263A patent/JP2004236748A/ja active Pending
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