JP2004233635A - 熱現像材料の製造方法 - Google Patents

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武 羽生
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Abstract

【課題】支持体への接着力が高く、且つ隣接層(感光層、AI層或いはBC層等)への接着力に優れるにもかかわらず悪影響のない下塗り層を支持体上に筋故障なく塗設する熱現像材料の製造方法を提供する。
【解決手段】下塗り層のないポリエステル支持体にコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理をした後、該支持体上に下塗り層を塗設し、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層を設ける熱現像材料の製造方法において、下塗り層塗布液中にオキセタン環を有する化合物を含有させて下塗り層の塗布を行い、該下塗り層の乾燥後に120℃〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする熱現像材料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する熱現像材料の製造方法に関するものであり、詳しくは、支持体への接着力が高く、且つ隣接層(感光層、AI層或いはBC層等)への接着力に優れるにもかかわらず悪影響のない下塗り層を支持体上に筋故障なく塗設する熱現像材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線撮影による医療画像診断の分野で、ドライ処理システムが普及している。
【0003】
このシステムは、被写体を透過したX線エネルギーをイメージングプレート中の輝尽性蛍光体に吸収させ、紫外線、可視光線、或いは赤外線等で時系列的に輝尽性蛍光体を励起し、蓄積されたX線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号を得、得られた電気信号をレーザー光の強度に変換し、このレーザー光で熱現像材料中のハロゲン化銀に潜像を形成させ、これを熱現像して被写体又は被検体のX線画像を可視画像として再生することを基本としている。
【0004】
前記ドライシステムに使用される熱現像材料は、ポリエチレンテレフタレート(PETと略す)やポリエチレンナフタレート(PENと略す)等の支持体上に色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止(AI)層或いはバッキング(BC)層から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷の付くのを防ぐための保護層が設けられている。BC層を設ける場合には、感光層の下にAI層を設けないこともあるが、両面に感光層を設ける場合には、両面の感光層下部にAI層を設けることが必要となる。
【0005】
上記熱現像材料の各層の結合剤は、各種の添加剤を保持し、熱現像時の酸化還元反応を適切に進行させる場を提供する。微量の水分でも保存性には悪影響を与えるので、できるだけ水分を含まない結合剤が要求される。そのため、スチレン−ブタジエン共重合体やポリビニルアセタール化合物が適用されている。しかし、このような結合剤を選択すると、支持体と感光層間或いは支持体とAI層の接着が弱くなり、剥離し易くなるという問題が生じていた。そこで支持体上に直接上記のAI層、BC層または感光層等を塗布せず、支持体に下塗り層を設けることで接着性を向上させている。下塗り層を塗布する工程では乾燥工程とこれに引き続く平滑性付与や寸法安定化の熱処理工程が行われる。ここで下塗り層の膜強度が弱かったり、支持体への接着性よりも搬送ローラーへの接着性が高いと搬送ローラーに下塗り膜が一部付着しローラーを汚染し、これが転写して下塗り層を汚染するという問題を引き起こす。支持体と下塗り層の接着性を強くするために、下塗り層の膜強度を上げた場合には、該下塗り層を施した支持体上に、AI層、感光層またはBC層等を塗布すると、これらの層と下塗り層との間の層間接着が弱くなり、次の塗布乾燥工程において、AI層、感光層またはBC層等が剥離して搬送ローラーを汚染するという問題を引き起こしていた。この解決方法として、エポキシ化合物を使用する方法があるが、(例えば、特許文献1参照)エポキシ化合物は、塗布液の保存性が悪く、長時間塗布を継続すると筋故障が発生するという問題を有していた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−156726号公報(第6頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、支持体への接着力が高く、且つ隣接層(感光層、AI層或いはBC層等)への接着力に優れるにもかかわらず悪影響のない下塗り層を支持体上に筋故障なく塗設する熱現像材料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0009】
1.下塗り層のないポリエステル支持体にコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理をした後、該支持体上に下塗り層を塗設し、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層を設ける熱現像材料の製造方法において、下塗り層塗布液中にオキセタン環を有する化合物を含有させて下塗り層の塗布を行い、該下塗り層の乾燥後に120℃〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする熱現像材料の製造方法。
【0010】
2.前記オキセタン環を有する化合物が前記一般式(1)または(2)で表されるオキセタン化合物であることを特徴とする前記1に記載の熱現像材料の製造方法。
【0011】
3.前記一般式(1)で表されるオキセタン環を有する化合物が分子内に2個のオキセタン環を有することを特徴とする前記1又は2に記載の熱現像材料の製造方法。
【0012】
4.プラズマ処理がマイクロ波プラズマ処理又はグロー放電処理であり、該処理の処理雰囲気ガス圧力が1Pa〜1MPaで、かつ処理雰囲気ガスがアルゴンガス又はヘリウムガスを70〜100%(体積%)含むことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像材料の製造方法。
【0013】
5.下塗り層が芳香族系又は脂肪族系の不飽和ビニル化合物を含んでなる共重合体を含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の熱現像材料の製造方法。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像材料の製造方法は、下塗り層のないポリエステル支持体にコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理をした後、該支持体上に下塗り層を塗設し、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層を設ける熱現像材料の製造方法において、下塗り層塗布液中にオキセタン環を有する化合物を含有させて下塗り層の塗布を行い、該下塗り層の乾燥後に120℃〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に用いられる支持体はポリエステル支持体であり、下塗り層のないポリエステル支持体の少なくとも一方の側をコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理及びX線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理をしてから、下塗り層、感光層、保護層、バッキング層等の諸層を重層同時塗布又は逐次塗布することが好ましい。
【0016】
コロナ放電処理は電極とロール間に交流または直流の高電圧を印荷してコロナ放電を発生させその中にポリエステル支持体のフィルム(以下単に、フィルムともいう)を通過させることによってフィルム表面を処理するものであり、通常ロールは金属ロール上にハイパロンゴム、エチレンプロピレンターポリマーゴム(EPT)、シリコンゴム等の誘電体やセラミックを被覆した誘電体ロールが用いられるが、ポリエステル支持体では誘電体を介さずに直接金属ロールを用いることも可能である。印荷する電力は、フィルムの厚み、ポリマー組成、表面特性等によっても異なり、必要な接着性に合わせて条件を選定する必要があるが、通常1μW/cm・分〜200mW/cm・分、好ましくは100μW/cm・分〜100mW/cm・分の電力密度の範囲が用いられる。印荷電力が高すぎるとフィルムの特性を損ねたり、しわの発生があったり、表面粗さを損ねるなどの問題が発生することがあり、注意する必要がある。
【0017】
プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理や低圧プラズマ処理等あるが、大気圧で可能な常圧プラズマ処理が好ましい。プラズマ処理では、雰囲気ガスとして、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン等が好ましい。特にヘリウムまたはアルゴンガスが好ましい。雰囲気ガス中に、酸素、メタン、二酸化炭素、窒素(窒素雰囲気の場合を除く)、アンモニアを1ppm〜30%(体積割合)含ませてもよい。アルゴンガス又はヘリウムガスが70〜100%(体積%)であることが好ましい。雰囲気ガス圧力は1Pa〜1MPaが好ましく、大気圧が作業性等から好ましい。しかし、開始電圧が上昇するのでこれを抑えるのに、放電極面に誘電体を挟むこと、雰囲気ガスとしてヘリウムまたはアルゴンであること、電源として交流や高周波を使用することが好ましい。周波数として交流周波数から電子レンジ相当の高周波まで選択することができ、50Hz〜100GHzが好ましい。印荷する電力は、コロナ放電処理と同様、支持体の厚み、ポリマー組成、表面特性等によっても異なり、必要な接着性に合わせて条件を選定する必要があるが、通常1μW/cm・分〜300mW/cm・分、好ましくは100μW/cm・分〜200mW/cm・分の電力密度の範囲が用いられる。印荷電力が高すぎると、表面の平滑性を損ねたり、放電による飛散物質汚染等の問題が発生することがあり、注意する必要がある。
【0018】
電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理に用いられる紫外線照射装置、電子線照射装置、及びX線照射装置としては、それぞれ紫外線、電子線およびX線を発生して照射可能な一般的な紫外線照射装置、X線照射装置及び電子線照射装置を用いればよい。
【0019】
紫外線照射の露光波長は、400nm以下、特に250nm以下が好ましい。250nm以下の露光波長の光を得るにはKrFエキシマレーザ(約248nm)やArFエキシマレーザ(約193nm)を用いる。従来の水銀ランプやエキシマレーザによる紫外線に加えて、波長7nm〜16nm付近の極紫外線(EUV:Extreme ultraviolet)を用いてもよい。紫外線の照射線量は1mJ〜1kJの範囲が好ましく、1mJ未満では紫外線照射のPET表面の改質効果が発現しないし、1kJ以上では、PETの物性的な劣化(脆弱する)を引き起こす。
【0020】
X線照射装置の場合、高輝度のX線を得るために、シンクロトロン放射光を用いて露光する方法がある。しかし、シンクロトロン放射光源は、大掛かりな設備を必要とするため、大規模量産においては有効であるが、試作等にも使用できる小型で強力なX線を発生させるX線源を使用してもよい。例えば、米国特許第4,896,341号に係る公報に示されるようにレーザプラズマ線源と呼ばれるもので、レーザからのレーザ光をターゲットに照射してプラズマを発生させ、プラズマから発生するX線を使用しようとするものであり、もう一つは、1981年版のジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクロノロジー・19巻4の11月/12月号1190頁(J.Vac.Sci.Tec.,19(4)Nov/Dec1190(1981))に示されるように、ガス中で放電によってピンチプラズマを発生させ、X線を発生させようとするものである。放電プラズマを用いたX線源は小型であり、X線量が多く、レーザー生成プラズマを用いたX線源に比べて投入電力のX線への変換効率が高く、低コストである。このため、放電プラズマをX線源に用いてもよい。このようなX線源として例えば、Dense Plasma Focus(DPF)と呼ばれるものがあり、その概要がcymer社のインターネットホームページ(http://www.cymer.com/)中の論文「EUV(13.5nm) Light generation Using Dense Plasma Focus Device」又は特開平10−319195号公報に開示されている方法でもよい。電子線又はX線照射にあたり照射環境は、できれば酸素不在下とするのが好ましい。放射線の照射環境の酸素不在下とは、実質的な真空中(1Pa以下)ないしは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下をいう。
【0021】
電子線又はX線の照射温度は通常0℃〜300℃、好ましくは室温℃〜250℃である。照射温度が、室温未満では支持体表面改質が進行しない。一方、照射温度が高くなりすぎるとPETの分解が進み、強度低下するため照射温度の上限は250℃とするのが好ましい。X線量は、1×10Gy〜1×10Gy程度とするのが好ましい。PETと下塗り層の接着性を有効にするために、放射線量は1×10Gy以上とするのが好ましい。一方、放射線量を多くしすぎるとPETの分解が進むため放射線量は1×10Gy以下とするのが好ましい。本発明に電子線を用いる場合には、PETと下塗り層の接着性を改良できる5×10電子ボルト以上、さらには7×10電子ボルト以上のものが好ましい。
【0022】
コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理後の加熱処理は好ましくは60℃以上230℃以下、より好ましくは80℃以上210℃以下、さらに好ましくは90℃以上200℃以下で加熱処理を行う。加熱処理時間は、好ましくは1時間以上1500時間以下、より好ましくは2時間以上1000時間以下、さらに好ましくは5時間以上400時間以下である。
【0023】
(オキセタン化合物)
本発明に用いられるオキセタン環を有する化合物(以下単に、オキセタン化合物ともいう)は、酸素原子を含む4員環基を含む化合物の総称で、該オキセタン基を分子内に1個から4個含む化合物が好ましく、ポリマーの場合は、繰り返し単位1単位当たり少なくとも1個有する化合物が好ましい。
【0024】
特に好ましいオキセタン化合物は前述の一般式(1)または(2)で表されるオキセタン化合物である。
【0025】
前記一般式(1)または(2)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝の鎖状アルキル基を表すが、該炭素数1〜6の直鎖又は分枝の鎖状アルキル基としては、置換されてもよい炭層数1〜6のアルキル基であり、例えば、置換されてもよい、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、フロロメチル基、フロロエチル基等が挙げられる。
【0026】
は1〜4価の基を表し、例えば、置換されてもよいアルキル基(例えば、置換されてもよい、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基等)、置換されてもよいアリール基(例えば、置換されてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等)、置換されてもよいヘテロ環基(例えば、置換されてもよい、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基等)、(且つ、これら上記の基は−O−、−S−、−N<、−P<、>Si<、アシルアミド基等を含んでいてもよい。)等の基から導かれる1〜4価の基が挙げられる。
【0027】
はポリマー残基を表し、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーからの任意の共重合体から導かれるn価のポリマー残基が挙げられる。
【0028】
nは10〜500の整数であり、20〜400であることが好ましく、30〜300であることがより好ましい。
【0029】
オキセタン環基を有する化合物の合成方法は、特開2000−327672号、同2002−264969号公報を参考にして合成することができる。ポリマーの場合はオキセタン基を含むアクリレートモノマーと他のモノマー、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート等のモノマーを公知ラジカル重合で製造することができる。
【0030】
下記に本発明に係るオキセタン化合物の好ましいものの例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0031】
【化3】
Figure 2004233635
【0032】
【化4】
Figure 2004233635
【0033】
【化5】
Figure 2004233635
【0034】
【化6】
Figure 2004233635
【0035】
上記化合物の添加する位置は、下塗り層であればどの層でもよく、下塗り第1層又は第2層目、更には第3層目のいずれでもよい。上記化合物を塗布液に添加する方法は公知の添加法に従って添加することができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。又、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。上記化合物の添加量はハロゲン化銀当たり、10ー6モルから10−2モルの範囲で添加することができる。ポリマーの場合は、オキセタン環基の繰り返し数(一般式(2)中のn)が10〜500の範囲が好ましく、添加量はモル数で表示するが、繰り返し数で除したモル数で計算される。
【0036】
(下塗り層)
次に表面処理した支持体と感光層の間に設ける下塗り層について述べる。下塗り層としては、第1層として支持体によく接着する層(以下、下塗り層第1層ともいう)を設け、その上に第2層(以下、下塗り層第2層ともいう)を塗布するいわゆる重層法と、支持体と感光層をよく接着する層を一層のみ塗布する単層法とがあるが、いずれの方法を用いてもよい。場合によっては3層以上塗設してもよい。
【0037】
本発明に使用する第1層目又は第2層目の下塗り層の共重合体(ラテックス)の具体例として、メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマー、アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘプチル、ヘキシル、ペンチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシルなど)アクリレート/アクリル酸コポリマー、アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘプチル、ヘキシル、ペンチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシルなど)アクリレート/メタクリル酸コポリマー、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマー、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマー、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーなどを挙げることができる。
【0038】
上記組成の共重合体(ラテックス)を10nm〜20μmの厚さの下塗り層で両面を被覆した支持体を用いることによって、PETと感光層の接着性を向上させることができる。下塗り第1層目又は第2層目に好ましい共重合体(ラテックス)の具体例を下記に示す。
【0039】
【化7】
Figure 2004233635
【0040】
【化8】
Figure 2004233635
【0041】
第1層目の共重合体の組成は、支持体との接着がよいものを第1層目、第2層目の共重合体は、感光層又は感光層下層のハレーション防止層との接着性がよいもを選択するのが好ましい。第1層及び第2層目の厚さはそれぞれ10nm〜20μmの厚さの範囲を適宜選択することができる。10nm未満では、共重合体の接着強度を得ることが難しくなり、20μmより厚いと寸法安定の点から好ましくない。
【0042】
本発明の熱現像材料の製造方法においては、下塗り層塗布液中にオキセタン環を有する化合物を含有させて下塗り層の塗布を行い、該下塗り層の乾燥後に120℃〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする。
【0043】
該加熱処理の温度は、120℃〜230℃であり、130℃〜200℃であることが好ましく、140℃〜180℃であることがより好ましい。120℃未満では下塗り層中のカブリを上げる成分が不活性化されず、保存性が劣化することがある。また、230℃を越えると支持体が軟化収縮して寸法安定性が劣化することがある。
【0044】
(乾燥および熱処理)
熱現像材料の支持体の一方の諸層を同時に乾燥する条件は、25℃〜70℃が好ましく、30℃〜60℃が特に好ましい。低い温度では架橋が進まないため、できるだけ高温にするのが好ましいが、60℃を越えると写真性能、画像保存性や支持体の寸法安定性の劣化が大きくなるので好ましくない。熱風乾燥の場合は熱現像材料の表面温度が低く、一定である恒率乾燥過程と熱風温度に徐々に近づく減率過程の条件を適宜選択するのが好ましい。できるだけ恒率乾燥過程の表面温度を下げて乾燥するのが、写真性能への影響が少なく、エネルギーロスも少ないので好ましい。
【0045】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明において、熱現像材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀粒子は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。感光性ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。又、感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。上記感光性ハロゲン化銀粒子の銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の銀の総量に対し通常50質量%以下、好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%である。
【0046】
(有機銀塩)
本発明において、熱現像材料の感光層に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、エルカ酸等の銀塩である。
【0047】
(還元剤)
本発明において、熱現像材料の感光層に含有される好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書に記載されており、好ましい還元剤として次のものが挙げられる。
【0048】
【化9】
Figure 2004233635
【0049】
上記に示される化合物は、水に分散したり、有機溶媒に溶解して使用する。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族類等を任意に選択することができる。還元剤の使用量は、銀1モル当り通常1×10−2〜1×10モル、好ましくは1×10−2〜1.5モルである。
【0050】
(結合剤)
本発明において、熱現像材料の感光層又は非感光層に用いられる結合剤としては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材が選択される。上記高分子結合剤としては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒等の親水性有機溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがある。
【0051】
親水性有機溶媒に溶解して用いられるポリマーとしては、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルヘキサナール等のポリビニルアルコール誘導体が挙げられる。
【0052】
水に分散や溶解して用いられる水分散系ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール(水溶性のものと有機溶媒用とがある)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。
【0053】
本発明では特にポリビニルアセタールが好ましく、ポリビニルアセタールは、ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるポリビニルアルコールの隣接する水酸基にアルデヒド化合物を反応させるアセタール化により合成される。アセタール化は公知の方法ですることができる。アセタール化に用いられるアルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒドまたはベンズアルデヒド等が挙げられ、中でも特にアセトアルヒドおよびブチルアルデヒドでアセタール化したポリビニルアセタールが好ましい。
【0054】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure 第17643IV−A項(1978年12月p.23)、同第1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0055】
(AI層又はBC層に使用される染料)
本発明において、熱現像材料は、必要により該熱現像材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは米国特許第5,384,237号等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が熱現像材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0056】
(色調剤)
本発明において、熱現像材料には、色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0057】
フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン等)、キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体、ベンズオキサジン−2,4−ジオン類、ピリミジン類、不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)等が挙げられる。
【0058】
(マット剤)
本発明において、熱現像材料に用いられるマット剤としてはシリカ微粒子やポリメタクリル酸メチル微粒子が好ましく使用される。マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、上記の両方の方法を併用してもよい。
【0059】
(支持体)
支持体は、ポリエステル支持体であるが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムなどの支持体が挙げられる。
【0060】
〈画像露光〉
本発明により製造される熱現像材料に画像形成を行う際の画像露光は例えば、発光波長が660nm、670nm、780nm、810nm、830nmの何れかのレーザー走査露光により行うことが好ましいが、熱現像材料の露光面と走査レーザー光のなす角が垂直になることがないレーザー走査露光機を用いることが好ましい。レーザー走査角度は、好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度である。熱現像材料にレーザー光が走査されるときの該熱現像材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦マルチモードのレーザー露光とすることにより縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、前記の方法の他、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がある。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が通常5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0061】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0062】
実施例1
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを0.435モル含む水溶液370mlをpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.03μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを321g得た。
【0063】
〈有機銀塩の調製〉
3980mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し(pH9.8)、濃硝酸6.9mlを加えた後(pH9.3)、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤Aの28g(銀0.038モルを含む)と純水390mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、最後に遠心分離脱水後40℃15分間で乾燥して、有機銀塩を調製した。
【0064】
《熱現像材料》
下記のようにしてBC層側塗布、感光層側の塗布を行って熱現像材料101〜123を作製した。
【0065】
〈BC層側塗布〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の塗布面に0.8mW/cm・分のコロナ放電処理を施し、下記の添加剤を加えて調製したメチルエチルケトン溶媒塗布液を下記の付き量になるように、下記のBC層およびBC層の保護層を2層同時塗布乾燥をした。
【0066】
BC層
結合剤:PVB−1 1.8g/m
染料:C 1.2×10−5モル/m
活性剤:ラウリルオキシグリシンナトリウム塩0.02g/m
BC層の保護層
セルロースアセテートブチレート 1.1g/m
活性剤:パーフロロノネニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02g/m
マット剤(シリカ:平均粒子径6μm) 0.12g/m
〈感光層側の塗布〉
感光層側の塗布は、BC層塗布の反対側の支持体面にそれぞれ表1記載の種類、処理量でコロナ放電処理(mW/cm・分)、プラズマ処理(2.45GHzのマイクロ波でヘリウムガス雰囲気下常温処理)(mW/cm・分)、紫外線照射処理(波長:193nm)(mJ/cm)、電子線照射処理(eV/cm)、X線照射処理(kGy/cm)を施した後、下記の添加剤を加えて調製したメチルエチルケトン溶媒塗布液を下記の付き量になるように、下記の下塗り層第1層及び第2層を塗布し、次いで表1記載の加熱処理後、下記の添加剤を加えて調製したメチルエチルケトン溶媒塗布液を下記の付き量になるように、下記のAI層、感光層および感光層の保護層を同時3層塗布し、50℃2分間乾燥した。
【0067】
下塗り層第1層
表1記載の共重合体 0.3g/m
表1記載のオキセタン化合物 1.2×10−4モル/m
下塗り層第2層
表1記載の共重合体 0.4g/m
表1記載のオキセタン化合物 1.5×10−4モル/m
AI層
結合剤:PVB−1 0.4g/m
染料:C(既出) 23mg/m
感光層
有機銀塩+ハロゲン化銀: 銀量として1.4g/m
結合剤:PVB−1(既出) 2.6g/m
分光増感色素:D 12mg/m
カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド0.3mg/m
カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m
トリブロモメチルスルホニルキノリン 10mg/m
還元剤:K−9 340mg/m
感光層の保護層
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m
4−メチルフタル酸 0.7g/m
テトラクロロフタル酸 0.2g/m
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m
活性剤:E 0.1g/m
【0068】
【化10】
Figure 2004233635
【0069】
【表1】
Figure 2004233635
【0070】
尚、本発明に係るオキセタン化合物の比較化合物として特開2002−156726のエポキシ化合物H−14を比較1(構造は下記)として使用した。
【0071】
【化11】
Figure 2004233635
【0072】
《写真性能の評価》
(カブリ、感度の評価)
熱現像材料を25℃で45%RHの雰囲気下に3日間保存したものを、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後熱現像装置を用いて(感光層側熱ドラム接触)120℃で8秒間加熱し、感度およびカブリをマクベス濃度計により測定した。カブリは未露光部の濃度を示す。感度はカブリより0.3高い濃度を与える露光量の逆数として求め試料101の感度を100(基準)とする相対感度(相対感度Sとする)で示す。
【0073】
(保存性の評価)
熱現像材料を、上記(カブリ、感度の評価)と同じに25℃で45%RHの雰囲気下に3日間保存したものを、更に該試料をアルミ蒸着ポリエステル袋に封入密閉し、55℃(45%RH)3日間保存した試料について、上記(カブリ、感度の評価)と同様にして相対感度(相対感度Sとする)を求め、下式より得られる値(ΔS)を保存性の評価の目安として示す。この値が小さい程保存性が優れる。
【0074】
ΔS=|相対感度S−相対感度S
《接着性の評価》
接着性の評価は、熱現像材料を、25℃相対湿度48%で10時間保存後、更に密封包装して33℃で3日間熱処理した後、感光層の保護層の上にカッターナイフの刃で(刃角45°)切り込みを入れ、100kPaの荷重を掛けてセロテープ(R)(接着広さ=2cm×2cm)を貼り、自動剥離試験機(アイコーエンジニアリング社製、MODEL−1367PN)を用いてセロテープ(R)を剥がしたときの膜の剥がれた面積状態で評価した。全く剥がれていないレベルを0%、最大に剥がれたレベルを100%と評価した。実用的に問題ないレベルは20%以下である。
【0075】
《塗布性(筋故障)の評価》
塗布性の評価は、熱現像材料の塗布された面を幅手方向に1m、塗布方向に1mの大きさに切断し、塗布膜厚を開口径10μmの蛍光X線分析装置で1cm間隔にスキャンして全面の膜厚を測定した。平均膜厚を求め、平均膜厚より15%以上差がある部分が連続して塗布方向に3cm以上続く領域を筋故障のある部分の1単位(1個)と判定し、筋故障のある部分の個数を求めた。
【0076】
結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
Figure 2004233635
【0078】
表2から、本発明の支持体にコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線処理、X線処理等の各処理を施し、下塗り層にオキセタン化合物を含有させ、加熱処理をするとカブリの増加、感度の低下及び保存性を劣化させず、膜面の接着強度のある熱現像材料試料が優れた塗布性で作製できたことがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、支持体への接着力が高く、且つ隣接層(感光層、AI層或いはBC層等)への接着力に優れるにもかかわらず悪影響のない下塗り層を支持体上に筋故障なく塗設する熱現像材料の製造方法を提供できた。

Claims (5)

  1. 下塗り層のないポリエステル支持体にコロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、電子線照射処理およびX線照射処理から選ばれる少なくとも1つの処理をした後、該支持体上に下塗り層を塗設し、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層を設ける熱現像材料の製造方法において、下塗り層塗布液中にオキセタン環を有する化合物を含有させて下塗り層の塗布を行い、該下塗り層の乾燥後に120℃〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする熱現像材料の製造方法。
  2. 前記オキセタン環を有する化合物が下記一般式(1)または(2)で表されるオキセタン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱現像材料の製造方法。
    Figure 2004233635
    (式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝の鎖状アルキル基を表し、Zは1〜4価の基を表し、mは1〜4の整数を表す。)
    Figure 2004233635
    (式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝の鎖状アルキル基を表し、Zはポリマー残基を表し、nは10〜500の整数を表す。)
  3. 前記一般式(1)で表されるオキセタン環を有する化合物が分子内に2個のオキセタン環を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像材料の製造方法。
  4. プラズマ処理がマイクロ波プラズマ処理又はグロー放電処理であり、該処理の処理雰囲気ガス圧力が1Pa〜1MPaで、かつ処理雰囲気ガスがアルゴンガス又はヘリウムガスを70〜100%(体積%)含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像材料の製造方法。
  5. 下塗り層が芳香族系又は脂肪族系の不飽和ビニル化合物を含んでなる共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱現像材料の製造方法。
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