JP2004230960A - 不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法 - Google Patents

不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環状素材段階で溶接部を軸方向にトリミング可能な不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法の提供。
【解決手段】(1)リム成形後には軸方向R部A、B、C、D、E、Fとなる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、第2の素材部分に、板厚変化部14を形成し、該板厚変化部12の表面の傾斜角度を25度以下とした、不等厚リム用リム素材11。(2)リム素材11から製作した不等厚リム12。(3)リム素材11から不等厚リム12を製造する方法。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不等厚リム用リム素材と、該不等厚リム用リム素材から製作した不等厚リム、および該不等厚リム用リム素材を素材とする不等厚リムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラック、バス用ホイールのリムには、従来、図1に示す平板形状素材1、および図2に示す形鋼形状素材2の、2種類の素材の何れかの素材が使用されている。さらに、特開平8−91005号公報に示す不等厚材料素材3(図3)などの素材の使用も知られている。
それらの素材からのリムの製造工程を図4に示す。これらの製造工程において、平板については、図4(イ)に示すように、巻き4、溶接5、トリミング6後、主にロール成形7によりリム形状を形成している。特開平8−91005号公報の不等厚材料については、図4(ロ)に示すように、トリミング工程を除き、平板からのリム成形と同じ工程を想定している。想定としたのは、特開平8−91005号の工程による製作が未実施であるためである。形鋼については、形鋼が最終形状に近い断面形状となっているため、図4(ハ)に示すように、巻き、溶接後、分割型を用いた主に径方向への拡大成形(サイジング)8となる。
また、リム溶接後のトリミング(バリ取り)については、平板素材では、図5(イ)、(ロ)に示すように、刃具9を環状素材の軸方向に動かして加工している。また、形鋼では、凹凸があるため、図6(イ)、(ロ)に示すように、セクションと同じ形状がついた刃具10を周方向に動かして加工している。特開平8−91005号の不等厚素材については、形鋼の場合に準じるトリミングとなることが想定される。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−91005号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術には、以下の問題がある。
平板素材では、巻き、加工時の肉減りを除いて一定板厚であるため、発生応力に比例した肉厚配分は期待できず、剛性や疲労強度が最も必要となる部位に合わせ一様に厚い板厚になってしまう。その結果、重く、余分な材料分のコストがかさむ材料となり、時代の要請である軽量化、コストダウンが困難な素材となる。
形鋼素材は必要部分に必要板厚配分をすることで軽量化することが可能である。反面、素材がリム軸方向に大きなうねりと凹凸をもち、巻き、溶接、成形の各工程での加工歪み、型当たり等が発生しやすく、製品も外観的に見劣りがする。とくに、溶接部トリミングは、図6に示したように周方向に刃具を走らせることでしか対応できない。また、平滑加工も困難である。その結果、外観品質、意匠面で評価が低く、トリミング後に外観を美しくするための追加工を必要とする。それでも外観的には充分でなく、低価格化も難しい。
【0005】
平板、形鋼のそれぞれ上記の欠点を有し、これらを克服するために、特開平8−91005号(図3)が提案された。しかし、特開平8−91005号提案では、図3に示すように、リムのコーナー厚肉部は基本的にRで結んだ形状となっている。Rで結んだ形状では、図8に示すように、急傾斜部位23が生じ、急傾斜部位23の最大傾斜角度が大きくなり過ぎて(30度を越える角度になって)、図4(ロ)のトリミング6において軸方向トリミングが不可能であり、図7の周方向トリミングを採用せざるを得ない。しかし、周方向トリミングは、図7に示すように、切除素材20の取り残し21が後工程(成形工程等)で押し込まれてできるカブリ22の発生を伴い、それを放置すると切欠き効果による亀裂発生や、外観不十分の問題を生じ、それを除去しようとすると、形鋼同様、後加工に多大のコストを要する。
さらに別の問題として、圧延時搬送ローラコンベアー上を素材が搬送されるが、平滑のままであると板厚が薄くなるに従い、先端部がロール間で重力により垂れ下がり平滑度を保ちにくくなり、下方に曲がり、コンベアー搬送にも支障をきたすおそれが出る。
また、リム製造巻き工程においてフラットだと巻きロールへの投入ピンチ力が不足し投入不具合が発生しやすい。ピンチロールのギャップを狭くする対策で無理に押し込もうとするとスリップで傷が発生する。
【0006】
本発明の目的は、環状リム素材にした時に溶接部を軸方向にトリミングすることが可能な、不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、必要な部位に必要な厚さをもたせることができる不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、外観品質を改善できる不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明はつぎの通りである。
(1) 不等厚リム用のリム素材であって、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
不等厚リム用リム素材。
(2) 不等厚のリム素材から作製され、リム軸方向にリムの厚さが変化する不等厚リムであって、
前記リム素材が、リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
不等厚リム。
(3) 不等厚リム素材を作製し、該不等厚リム素材を巻き加工し両端を突き合わせ溶接して環状素材とし、溶接部をトリミングし、環状素材の軸方向両端をフレアー加工し、ついでリム形状にロール成形する工程を有する不等厚リムの製造方法であって、
前記不等厚リム素材を作製する工程において、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
リム素材を作製し、
前記トリミング工程において、前記溶接部を前記環状素材の軸方向にトリミングする、
不等厚リムの製造方法。
【0008】
上記(1)の不等厚リム用リム素材、上記(2)の不等厚リム、上記(3)の不等厚リムの製造方法では、リム素材の板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下としたので、25度以上の逃げ角をもつ刃具を素材形状に倣って送りつつ環状素材の突き合わせ溶接部を環状素材の軸方向にトリミングすることが可能になる。その結果、周方向トリミングで問題となるカブリの発生や外観不十分を解消できる。
また、R部対応部に平行部を形成し、R部間対応部に板厚変化部を形成したので、強度が必要な部分を厚肉とし強度が余っている部分を減肉することができ、軽量化、材料節減をはかることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の不等厚リム用リム素材、不等厚リム、不等厚リムの製造方法を図9〜図12を参照して説明する。
本発明の不等厚リム用リム素材11は、バス、トラック用ホイールの、不等厚リム12用のリム素材である。
【0010】
リム素材11は、リム成形後には軸方向R部(リム軸方向に湾曲するR部で、図7にA、B、C、D、E、Fで示す部位)となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有する。ここで、「R部」とは「湾曲部」という意味である。
第1の素材部分には、厚肉で表裏面が互いに平行な平行部13が形成される。各平行部13の幅(リムにした時にリム軸方向に対応する方向における幅)は、対応するR部A、B、C、D、E、Fの成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保されている。平行部13の幅は、たとえば2〜10mm程度確保する。各平行部13の厚さは互いに異なってもよい。
第2の素材部分には、板厚変化部14が形成される。板厚変化部14の表面は、該板厚変化部14の両側の平行部13の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状となっている。
【0011】
環状リム素材(平板リム素材を巻き加工し、端部を突き合わせ溶接して得た環状リム素材)の段階で溶接部を軸方向にトリミングするには、図9に示すような軸方向トリミング用刃具15を環状リム素材の素材形状に倣って移動させ環状素材を切削加工する。その場合の軸方向トリミング用刃具15の逃げ角θの最適角度は最大30度程度までである。リム素材11(巻き加工した後では環状リム素材)の板厚変化部14の傾斜角度θは軸方向トリミング用刃具15の逃げ角θ以下でなければならず、また、刃の寿命やトリミング仕上がり外観から、板厚変化部14の傾斜角度θは25度程度以下とされる。刃の寿命やトリミング仕上がり外観からは、より望ましくは、板厚変化部14の傾斜角度θは15度以下である。
【0012】
リム素材11において、平行部13の表面と板厚変化部14の表面とは、Rで結んでもよい。ただし、Rで結ぶか否かは任意である。Rで結ぶとロール成形等においてロールを素材の角で傷つけにくい。また、Rで結ぶ方が素材の応力集中を緩和する面で有利である。
板厚変化部14の表面は、板厚変化部14の両側の平行部13の表面の端点が直線で結ばれる場合は、傾斜角度が付いており、傾斜面となる。
【0013】
リム素材11は、図10に示すように、片面を平らにし、もう一方の片面に凹凸、傾斜を設けたものであってもよい。このようにすることによって、溶接電極の低価格化、巻き形状の安定化、トリミング精度の確保が可能となり、量産上望ましい。
ただし、図11に示すように、当然、両面に凹凸、傾斜を設けたものであってもよい。
また、図12に示すように、リム素材11は、リム成形後リム軸方向に対応する方向になだらかに湾曲させたものであってもよい。こうすることによって、素材搬送時の素材の垂れ下がりなどを抑制でき、有利である。
【0014】
本発明の不等厚リム12は、バス、トラック用ホイールのリムであり、上記リム素材11を用いて製作したリムである。その結果、リム12の板厚は、図10に示すように、リム軸方向に変化する。とくに強度が必要となるR部A、B、C、D、E、Fは、強度上必要部位に強度上必要な厚さを維持する。また、素材11の平行部13が所定幅をもっているので、リム成形時にずれても、強度上必要部位には、必要厚さが維持されている。また、トリミングで軸方向にトリミングされて製作されるので、リム12には溶接部またはその近傍にカブリのノッチがなく、また、外観上も良好である。
【0015】
本発明の不等厚リム12の製造方法は、不等厚リム素材11を作製し、該不等厚リム素材11を巻き加工し両端を突き合わせ溶接して環状素材とし、溶接部をトリミングし、環状素材の軸方向両端をフレアー加工し、ついでリム形状にロール成形する工程を有する不等厚リムの製造方法である。巻き加工、両端を突き合わせ溶接、溶接部のトリミング、環状素材の軸方向両端のフレアー加工、リム形状へのロール成形、の各工程は、図4(ロ)の不等厚リム成形の工程と同じである。ただし、リム素材を作製する工程では、前述した、図7〜図9に示した何れかの不等厚リム素材11を作製する。また、トリミングでは刃具15を環状素材の軸方向に送り、かつ、素材の形状に倣って送り、軸方向トリミングが行われる。逃げ角θが素材の板厚変化部14の表面の傾斜角θより大の刃具15を用いて軸方向トリミングが行われる。
【0016】
つぎに、本発明の不等厚リム素材11、不等厚リム12、不等厚リム12の製造方法の作用を説明する。
図10、図11、図12の何れの不等厚リム素材11も、従来主流となっている平板成形リム(図1)の強度を維持しつつ、強度の余った部分の板厚を減肉できることから、従来の平板成形リムと比較した場合必ず省素材化できる、すなわち、比較上常に軽量化されたリムが製作できる。
また、図10、図11、図12の何れの不等厚リム素材11においても、板厚変化部14の傾斜角度を25度以下、望ましくは15度以下としたので、刃具15の上下動倣い機構をもった設備と組み合わせることにより、環状リム素材の段階での溶接部の軸方向トリミングが可能になる。その結果、不等厚素材を用いたリムの溶接部の外観品質が格段に向上し、カブリ除去、仕上げのための工数が減少し、グラインダー、バフの消耗も抑えられ、コスト低減が可能になる。
さらに、カブリ発生がなくなることから、リム強度が安定化し、板厚をさらに薄くでき、更なる軽量化をはかることができる。
【0017】
さらに、図2に示す形鋼に比較した場合、ほぼ平らな形状となるため高額な圧延ロールが単純な形状で済み、摩耗時の改削も容易になることから、素材の原価低減にもつながる。
さらに、リム成形工程においては、従来主流である平板素材からのリム成形設備の一部分を改善することで、充分成形寸法、外観など必要品質を確保でき、大きな投資を必要としない。このこともコスト競争力を保ち、本発明品および本発明方法の優位性確保につながる。
【0018】
他に、以下の作用、効果がある。
図7の片面平滑素材は、素管成形時の溶接工程において、平らな面を通電のための電極側にすることで電極が平らな形状で済み、電蝕による電極の消耗が減少し、コスト低減、溶接品質の安定化の面で有利である。片面が平らなため、巻きの安定化、トリミング精度の向上、素材表面の平滑性の確保などに寄与できる。
図8の両面凹凸形状素材は、凹凸が成形金型との位置決めに利用できるため、成形時に素材の幅方向のズレが発生しにくく、寸法精度が安定化する。
図9のなだらかなうねりを持たせた素材は、素材厚み方向の剛性が高くなることから、素材圧延時の搬送や圧延機投入時の位置精度が安定するため、素材寸法精度の向上、生産性向上によるコスト低減に効果がある。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の不等厚リム用リム素材、請求項2の不等厚リム、請求項3の不等厚リムの製造方法によれば、リム素材の板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下としたので、25度以上の逃げ角をもつ刃具を素材形状に倣って送りつつ環状素材の突き合わせ溶接部を環状素材の軸方向にトリミングすることが可能になる。その結果、周方向トリミングで問題となるカブリの発生や外観不十分を解消できる。
また、R部対応部に平行部を形成し、R部間対応部に板厚変化部を形成したので、強度が必要な部分を厚肉とし強度が余っている部分を減肉することができ、軽量化、材料節減をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の平板素材の斜視図である。
【図2】従来の形鋼素材の斜視図である。
【図3】特開平8−91005号に開示の不等板厚素材の斜視図である。
【図4】(イ)は平板素材からのリム成形工程図、(ロ)は特開平8−91005号に開示の不等厚素材からのリム成形工程図、(ハ)は形鋼素材からのリム成形工程図である。
【図5】(イ)は軸方向トリミングの正面図、(ロ)は軸方向トリミングの断面図である。
【図6】(イ)は周方向トリミングの側面図、(ロ)は周方向トリミングの正面図である。
【図7】(イ)は周方向トリミングにおける溶接部のトリミング前の断面図、(ロ)は周方向トリミング実施中の溶接部の断面図、(ハ)は周方向トリミング実施後の取り残しを有する溶接部の断面図、(ニ)は成形時等で取り残し部が押しつぶされてカブリとなった部分の断面図である。
【図8】特開平8−91005号に開示の不等厚素材の断面の形状基本図である。
【図9】(イ)は本発明における軸方向トリミングで用いる刃具の正面図、(ロ)は本発明における軸方向トリミングで用いる刃具の側面図である。
【図10】(イ)は本発明の不等厚リム素材から製作した不等厚リムの半断面図、(ロ)は本発明のリム素材(片面のみに凹凸を有する場合)の断面図である。
【図11】本発明のリム素材(両面に凹凸を有する場合)の断面図である。
【図12】本発明のリム素材(凹凸以外になだらかなうねりも持つ場合)の断面図である。
【符号の説明】
11 不等厚リム用リム素材
12 不等厚リム
13 平行部
14 板厚変化部
A、B、C、D、E、F R部(軸方向に湾曲するR部)

Claims (3)

  1. 不等厚リム用のリム素材であって、
    リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
    前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
    不等厚リム用リム素材。
  2. 不等厚のリム素材から作製され、リム軸方向にリムの厚さが変化する不等厚リムであって、
    前記リム素材が、リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
    前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
    不等厚リム。
  3. 不等厚リム素材を作製し、該不等厚リム素材を巻き加工し両端を突き合わせ溶接して環状素材とし、溶接部をトリミングし、環状素材の軸方向両端をフレアー加工し、ついでリム形状にロール成形する工程を有する不等厚リムの製造方法であって、
    前記不等厚リム素材を作製する工程において、
    リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
    前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面の傾斜角度を25度以下とした、
    リム素材を作製し、
    前記トリミング工程において、前記溶接部を前記環状素材の軸方向にトリミングする、
    不等厚リムの製造方法。
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