JP4633781B2 - 不等厚リム用リム素材および不等厚リムの製造方法 - Google Patents
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Description
それらの素材からのリムの製造工程を図4に示す。これらの製造工程において、平板については、図4(イ)に示すように、巻き4、溶接5、トリミング6後、主にロール成形7によりリム形状を形成している。特開平8−91005号公報の不等厚材料については、図4(ロ)に示すように、トリミング工程を除き、平板からのリム成形と同じ工程を想定している。想定としたのは、特開平8−91005号の工程による製作が未実施であるためである。形鋼については、形鋼が最終形状に近い断面形状となっているため、図4(ハ)に示すように、巻き、溶接後、分割型を用いた主に径方向への拡大成形(サイジング)8となる。
また、リム溶接後のトリミング(バリ取り)については、平板素材では、図5(イ)、(ロ)に示すように、刃具9を環状素材の軸方向に動かして加工している。また、形鋼では、凹凸があるため、図6(イ)、(ロ)に示すように、セクションと同じ形状がついた刃具10を周方向に動かして加工している。特開平8−91005号の不等厚素材については、形鋼の場合に準じるトリミングとなる。
平板素材では、巻き、加工時の肉減りを除いて一定板厚であるため、発生応力に比例した肉厚配分は期待できず、剛性や疲労強度が最も必要となる部位に合わせ一様に厚い板厚になってしまう。その結果、重く、余分な材料分のコストがかさむ材料となり、時代の要請である軽量化、コストダウンが困難な素材となる。
形鋼素材は必要部分に必要板厚配分をすることで軽量化することが可能である。反面、素材がリム軸方向に大きなうねりと凹凸をもち、巻き、溶接、成形の各工程での加工歪み、型当たり等が発生しやすく、製品も外観的に見劣りがする。また、溶接部トリミングは、図6に示したように周方向に刃具を走らせることでしか対応できない。また、平滑加工も困難である。その結果、外観品質、意匠面で評価が低く、トリミング後に外観を美しくするための追加工を必要とする。それでも外観的には充分でなく、低価格化も難しい。
さらに別の問題として、圧延時搬送ローラコンベアー上を素材が搬送されるが、平滑のままであると板厚が薄くなるに従い、先端部がロール間で重力により垂れ下がり平滑度を保ちにくくなり、下方に曲がり、コンベアー搬送にも支障をきたすおそれが出る。
また、リム製造巻き工程においてフラットだと巻きロールへの投入ピンチ力が不足し投入不具合が発生しやすい。ピンチロールのギャップを狭くする対策で無理に押し込もうとするとスリップで傷が発生する。
本発明のもう一つの目的は、リム成形時に厚肉部が軸方向にずれても強度低下が生じない不等厚リム用リム素材、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、必要な強度を維持したまま軽量化をはかることができる不等厚リム用リム素材、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、外観品質を改善できる不等厚リム用リム素材、不等厚リムの製造方法を提供することにある。
(1) 不等厚リム用のリム素材であって、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第1の素材部分に、厚肉で表裏面が互いにほぼ平行な平行部を形成し、各平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面を、該板厚変化部の両側の平行部の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状とし、
前記不等厚リム素材が、リム素材圧延中またはリム素材圧延以後に、所定の断面形状を有し、
該所定の断面形状は、
リム素材の片面を平滑面とし、他面を前記片面に対して凹凸させてリム成形後のリム軸方向に対応する方向に板厚を変化させた形状であり、かつ、
前記リム素材がリム成形後の両端部のリムフランジ部からリムビードシート部への移行部に対応するリム素材部分で圧延搬送ローラコンベアー上に2点支持され該支持2点以外のリム素材部分が該支持2点よりも上方に位置し、リム素材の前記片面がリム成形後のリム軸方向に対応する方向に沿って上下方向になだらかに湾曲する形状である、
不等厚リム用リム素材。
(2) 不等厚リム素材を作製し、該不等厚リム素材を巻き加工し両端を突き合わせ溶接して環状素材とし、溶接部をトリミングし、環状素材の軸方向両端をフレアー加工し、ついでリム形状にロール成形する工程を有する不等厚リムの製造方法であって、
前記不等厚リム素材を作製する工程において、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第1の素材部分に、厚肉で表裏面が互いにほぼ平行な平行部を形成し、各平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面を、該板厚変化部の両側の平行部の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状とした、
リム素材を作製し、
前記不等厚リム素材が、リム素材圧延中またはリム素材圧延以後に、所定の断面形状を有し、
該所定の断面形状は、
リム素材の片面を平滑面とし、他面を前記片面に対して凹凸させてリム成形後のリム軸方向に対応する方向に板厚を変化させた形状であり、かつ、
前記リム素材がリム成形後の両端部のリムフランジ部からリムビードシート部への移行部に対応するリム素材部分で圧延搬送ローラコンベアー上に2点支持され該支持2点以外のリム素材部分が該支持2点よりも上方に位置し、リム素材の前記片面がリム成形後のリム軸方向に対応する方向に沿って上下方向になだらかに湾曲する形状である、
不等厚リムの製造方法。
上記(1)の不等厚リム用リム素材、上記(2)の不等厚リムの製造方法では、リム素材の平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保したので、リム成形時に素材がリム軸方向にずれても、平行部は依然R部に位置しており、強度が維持される。
また、R部対応部に平行部を形成し、R部間対応部に板厚変化部を形成したので、強度が必要な部分を厚肉とすることができ、強度が余っている部分を減肉することができ、必要な強度を確保したまま、軽量化、材料節約をはかることができる。
また、板厚を変化させ、本質的に形鋼ほど断面をうねらせ凹凸させたものを用いないので、トリミングなどが容易であり、外観品質を改善できる。
本発明の不等厚リム用リム素材11は、バス、トラック用ホイールの、不等厚リム12用のリム素材である。
リム素材11は、リム成形後には軸方向R部(リム軸方向に湾曲するR部で、図7にA、B、C、D、E、Fで示す部位)となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有する。ここで、「R部」とは「湾曲部」という意味である。
第1の素材部分に、厚肉で表裏面が互いにほぼ平行な平行部13を形成し、各平行部13の幅(リムにした時にリム軸方向に対応する方向における幅)は、対応するR部A、B、C、D、E、Fの成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保されている。各平行部13の厚さは互いに異なってもよい。
第2の素材部分に、板厚変化部14を形成し、板厚変化部14の表面は、該板厚変化部14の両側の平行部13の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状となっている。
平行部13の幅は、たとえば2〜10mm程度確保する。
板厚変化部14の表面は、板厚変化部14の両側の平行部13の表面が直線で結ばれる場合は、一面または両面に角度が付いており、テーパ面となる。
ただし、図8に示すように、当然、両面に凹凸、傾斜を設けてもよく、図8のものも有効である。
また、図9に示すように、リム素材11を、リム成形後リム軸方向に対応する方向になだらかに湾曲させてもよい。こうすることによって、素材搬送時の素材の垂れ下がりなどを抑制でき、有利である。
図7、図8、図9の何れの不等厚リム素材11も、従来主流となっている平板成形リム(図1)の強度を維持しつつ、機能上不必要な部分の板厚を減肉できることから、従来の平板成形リムと比較した場合必ず省素材化できる、すなわち、比較上常に軽量化されたリムが製作できる。
また、図7、図8、図9の何れの不等厚リム素材11も、リム成形後厚肉部となるリムR部A、B、C、D、E、Fに対応する素材部分に、厚肉の平行部(ほぼ等厚)13を、2〜10mm程度設けることで、成形時の幅方向ズレ(リム軸方向ズレ)が生じても強度、機能上必要とされるリム板厚が確保される。
さらに、リム成形工程においては、従来主流である平板素材からのリム成形設備の一部分を改善することで、充分成形寸法、外観など必要品質を確保でき、大きな投資を必要としない。このこともコスト競争力を保ち、本発明品および本発明方法の優位性確保につながる。
図7の片面平滑素材は、素管成形時の溶接工程において、平らな面を通電のための電極側にすることで電極が平らな形状で済み、電蝕による電極の消耗が減少し、コスト低減、溶接品質の安定化の面で有利である。片面が平らなため、巻きの安定化、トリミング精度の向上、素材表面の平滑性の確保などに寄与できる。
図8の両面凹凸形状素材は、凹凸が成形金型との位置決めに利用できるため、成形時に素材の幅方向のズレが発生しにくく、寸法精度が安定化する。
図9のなだらかなうねりを持たせた素材は、素材厚み方向の剛性が高くなることから、素材圧延時の搬送や圧延機投入時の位置精度が安定するため、素材寸法精度の向上、生産性向上によるコスト低減に効果がある。
請求項1の不等厚リム用リム素材、請求項2の不等厚リムの製造方法によれば、リム素材の平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保したので、リム成形時に素材がリム軸方向にずれても、平行部は依然R部に位置しており、強度が維持される。
また、R部に平行部を形成、R部間に板厚変化部を形成したので、強度が必要な部分を厚肉とすることができ、強度が余っている部分を減肉でき、必要な強度を確保したまま、軽量化、材料節減、コストダウンをはかることができる。
また、板厚を変化させ、本質的に形鋼ほど断面をうねらせ凹凸させたものを用いないので、トリミングなどが容易であり、外観品質を改善できる。
12 不等厚リム
13 平行部
14 板厚変化部
A、B、C、D、E、F R部(軸方向に湾曲するR部)
Claims (2)
- 不等厚リム用のリム素材であって、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第1の素材部分に、厚肉で表裏面が互いにほぼ平行な平行部を形成し、各平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面を、該板厚変化部の両側の平行部の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状とし、
前記不等厚リム素材が、リム素材圧延中またはリム素材圧延以後に、所定の断面形状を有し、
該所定の断面形状は、
リム素材の片面を平滑面とし、他面を前記片面に対して凹凸させてリム成形後のリム軸方向に対応する方向に板厚を変化させた形状であり、かつ、
前記リム素材がリム成形後の両端部のリムフランジ部からリムビードシート部への移行部に対応するリム素材部分で圧延搬送ローラコンベアー上に2点支持され該支持2点以外のリム素材部分が該支持2点よりも上方に位置し、リム素材の前記片面がリム成形後のリム軸方向に対応する方向に沿って上下方向になだらかに湾曲する形状である、
不等厚リム用リム素材。 - 不等厚リム素材を作製し、該不等厚リム素材を巻き加工し両端を突き合わせ溶接して環状素材とし、溶接部をトリミングし、環状素材の軸方向両端をフレアー加工し、ついでリム形状にロール成形する工程を有する不等厚リムの製造方法であって、
前記不等厚リム素材を作製する工程において、
リム成形後には軸方向R部となる第1の素材部分とリム成形後には隣り合う軸方向R部の間の部分となる第2の素材部分とを有し、
前記第1の素材部分に、厚肉で表裏面が互いにほぼ平行な平行部を形成し、各平行部の幅を、対応するR部の成形時リム軸方向ズレ最大量より広い幅で確保し、
前記第2の素材部分に、板厚変化部を形成し、該板厚変化部の表面を、該板厚変化部の両側の平行部の表面の軸方向端点を直線または緩やかな曲線で結んだ形状とした、
リム素材を作製し、
前記不等厚リム素材が、リム素材圧延中またはリム素材圧延以後に、所定の断面形状を有し、
該所定の断面形状は、
リム素材の片面を平滑面とし、他面を前記片面に対して凹凸させてリム成形後のリム軸方向に対応する方向に板厚を変化させた形状であり、かつ、
前記リム素材がリム成形後の両端部のリムフランジ部からリムビードシート部への移行部に対応するリム素材部分で圧延搬送ローラコンベアー上に2点支持され該支持2点以外のリム素材部分が該支持2点よりも上方に位置し、リム素材の前記片面がリム成形後のリム軸方向に対応する方向に沿って上下方向になだらかに湾曲する形状である、
不等厚リムの製造方法。
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