JP2004229595A - コンバインの脱穀装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脱穀用フィードチェン4の搬送速度が変速可能な構成とし、コンバインの車速が大なるほど前記フィードチェン4の搬送速度が大となるように構成したコンバインの脱穀装置であって、車速が所定値以下のときはフィードチェン4の搬送速度を所定速度で伝動可能な構成とし、フィードチェン4後方の排稈チェン38の搬送速度は、フィードチェン4の最高搬送速度よりも速くなるように構成し、さらに、フィードチェン4の搬送速度は、穀稈長さが短稈よりも長稈の方が速くなるように構成したコンバインの脱穀装置の構成とする。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、農業機械であるコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、コンバインの車速が大なるほどフィードチェンの搬送速度も大となるようにする構成である。このような構成において、コンバインの車速が所定速度以下の時は、フィードチェンの搬送速度を所定速度に維持し、また、フィードチェンの最高搬送速度よりも、フィードチェン後方の排稈チェンの搬送速度が速くなり、さらに、穀稈の長さが長くなるほどフィードチェンの搬送速度を速くする構成にはなっていない(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2554200号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようなコンバインでは、次のような欠点がある。即ち、フィードチェン後方の排稈チェンで搬送される排稈の層厚が薄くなることは期待できないので、排稈チェンで搬送される排稈から穀粒(ササリ粒)が落下する量が少なくなり、4番ロスの低下を防止することができない。また、穀稈の長さが長くなると扱胴で脱穀される際に藁屑類が多く発生してしまい、その結果、選別性能が低下するようになる。
【0005】
本発明の課題は、前述のような不具合を防止するコンバインを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、脱穀用フィードチェン4の搬送速度が変速可能な構成とし、コンバインの車速が大なるほど前記フィードチェン4の搬送速度が大となるように構成したコンバインの脱穀装置であって、車速が所定値以下のときはフィードチェン4の搬送速度を所定速度で伝動可能な構成とし、フィードチェン4後方の排稈チェン38の搬送速度は、フィードチェン4の最高搬送速度よりも速くなるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置としたものである。
【0007】
請求項1の作用は、コンバインの車速が速くなると、フィードチェンの搬送速度も速くなる。また、コンバインの車速が所定以下の速度になると、フィードチェンは一定の搬送速度で駆動される。そして、フィードチェンの搬送速度が最高速度になっても、フィードチェン後方の排稈チェンの搬送速度の方が速い。従って、フィードチェンから排稈チェンへと引継ぎ搬送された排稈の層厚は薄くなり、穀粒(ササリ粒)が落下し易くなる。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記フィードチェン4の搬送速度は、穀稈長さが短稈よりも長稈の方が速くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの脱穀装置としたものである。
請求項2の作用は、請求項1の作用とともに、搬送される穀稈の長さが長い場合には、短い場合に比べてフィードチェン4の搬送速度を速くする。従って、脱穀される時間が短くなる。
【0009】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、排稈チェン38にて搬送される排稈の層厚は、フィードチェン4に挾持されていた時よりも薄くなるので、搬送される排稈の中に存在する穀粒(ササリ粒)は、搬送中に下方に落ち易くなり、下方に落下した穀粒は回収されて、4番ロスが少なくなる。
【0010】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果とともに、穀稈が長いときには、フィードチェン4の搬送速度を速くし、穀稈が脱穀作用を受ける時間を短くして藁屑類の発生を少なくなるようにする。藁屑の発生が少なくなると、被処理物の選別性能が向上するようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の脱穀装置5を搭載したコンバインが示されている。
走行装置1を有する車台2の前方には植立穀稈を刈り取る刈取装置3を設け、車台2上には前記刈取装置3で刈り取った穀稈をフィードチェン4にて挾持搬送しながら脱穀選別する脱穀装置5と、コンバインを操作する操作部6と、前記脱穀装置5にて脱穀選別した穀粒を一時貯溜するグレンタンク7とを設けている。
【0012】
また、グレンタンク7内下方には、一時貯溜している穀粒を機外へ排出する下部ラセン(図示せず)があり、該下部ラセンから搬送されてきた穀粒を引き継いでコンバインの機体上方へと搬送する縦オーガ8が車台2に対して旋回可能に設けられ、さらに、縦オーガ8には横オーガ9が昇降可能に設けられている。
【0013】
前記脱穀装置5について、図2〜図4に基づいて説明する。
図2は脱穀装置5の側面図、図3は脱穀装置5の平面図である。
脱穀装置5内には、扱網10を有する扱胴11を扱胴軸12で軸架した扱室13と、該扱室13の一側には、扱室13の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網14を有する排塵処理胴15を排塵処理胴軸16で軸架した排塵処理室17が設けられている。そして、扱室13と排塵処理室17の下方には揺動選別棚18を設けている。
【0014】
また、排塵処理胴15の前方には、二番処理胴19と二番処理胴受樋20(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室21が構成されている。二番処理胴19は、本実施例では扱胴11の一側(グレンタンク7側)であって、排塵処理胴15の前方に排塵処理胴15と一体的に構成されている。この二番処理胴19は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴19は二番処理胴軸22にて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴15と二番処理胴19とは一体的に排塵処理胴軸16と二番処理胴軸22とで支持されている構成である。
【0015】
さらに、図4は図3にて示すAーA断面図であるが、扱網10から漏れた被処理物は二番処理室21内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴19は二番物の他に、扱室13内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網10と二番処理胴受樋20(網や格子状でもよい)と排塵処理網14は、それぞれ扱胴11と二番処理胴19と排塵処理胴15の下方に設けられている。
【0016】
前記扱室11と二番処理室21と排塵処理室17の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚18が設置されていて、該揺動選別棚18の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕23を設け、該唐箕23から送風される選別風の送り方向下手側には一番ラセン25を設け、該一番ラセン25の選別風送り方向下手側には二番ラセン26を設けている。この二番ラセン26にて収集された二番物を前記二番処理室21へ揚穀するための二番揚穀筒27が設けられている。
【0017】
前記揺動選別棚18の構成について説明する。揺動選別棚18は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚18a,脱穀物を選別するグレンシーブ18b,二番物を選別するチャフシーブ18c,排塵を機外に移送して放出するストローラック18dとから構成されている。該ストローラック18dの下方は、二番物を二番ラセン26内へ案内する二番棚先26aで構成されていて、この二番棚先26aの終端部近傍まで前記排塵処理胴15が延出している構成である。吸引ファン28は、選別室29内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴11に対して排塵処理胴15と対向する位置に設けられている。
【0018】
このような脱穀装置5を搭載したコンバインにおいて、エンジン30(図5に図示)からの動力を走行伝動装置31に入力して、任意の速度に変速して走行装置1を駆動する。すると、コンバインは前進を開始する。刈取脱穀作業を行なうには、さらに、刈取装置3,供給搬送装置32及び脱穀装置5に、エンジンからの動力を伝達駆動して作業を行なう。このような状態でコンバインが前進すると、植立穀稈は分草具33により分草されて、引起しケース34の引起しラグ35にて引き起こされ、その後、刈刃36にて刈り取られ、刈り取られた穀稈は、株元搬送装置37により後方の供給搬送装置32の始端部に向かって搬送されていく構成である。
【0019】
株元搬送装置37の終端部まで搬送された穀稈は、後方の供給搬送装置32の始端部に引き継がれ、その後、供給搬送装置32の終端部まで搬送された穀稈は、脱穀装置5のフィードチェン4の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン4に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴11と扱網10により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚18上に落下して、該揺動選別棚18の揺動作用と唐箕23からの風選作用により選別され、一番ラセン25内へと取り込まれていき、該一番ラセン25に取り込まれた穀粒は、グレンタンク7内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン4の終端部から、排稈チェン38の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター39に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0020】
扱室11の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室21内に取り込まれていく。該二番処理室21内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴19と二番処理胴受樋20との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚18上に落下していく。扱胴11と二番処理胴19と排塵処理胴15は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置5の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴19の処理歯19aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0021】
即ち、該処理歯19aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯19aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋20との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴19の搬送終端部に設けられている羽根19bは、被処理物を揺動選別棚18上に強制的に送り出すものである。
【0022】
前記排塵処理胴15の排塵処理歯15bは、扱室13の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯15bは、排塵処理胴15の外周面に巻回いされているラセン形状となっている。
【0023】
しかし、本実施例では、排塵処理網14の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚18上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室17の終端部まで搬送されて、排塵処理胴15の終端部の羽根40にてストローラック18d上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室17内にて搬送される間に、排塵処理胴15と排塵処理網14との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚18上に落下し、さらに、二番ラセン26内へと回収されていく構成である。
【0024】
前述のように、扱室13内の脱穀物で、揺動選別棚18上に落下せず、二番処理室21内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室13の終端部まで搬送される。この扱室13の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室17内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室13の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室17内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚18上に落下していく構成である。
【0025】
扱室13内の終端部から排塵処理室17内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室13から排塵処理室17への引継ぎ部分においても、排塵処理胴15の外周にラセン形状の排塵処理歯15bを設けていて、該排塵処理歯15bの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0026】
このような、揺動選別棚18の揺動作用と唐箕23からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン25内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン26内へと取り込まれていく。該二番ラセン26内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒27にて前記二番処理室21の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室13からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋20との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根19bにより下方の揺動選別棚18上に強制的に落下していく構成である。
【0027】
次に、図5について説明する。
この図はコンバイン全体の伝動機構線図を示している。エンジン30の動力は出力軸41から各々刈取部B,脱穀部C,走行部Dへと伝達されていく構成である。エンジン30の出力軸41の端部にはプーリ42が固定されていてベルト43,プーリ44を介して脱穀入力軸45へ動力伝達されていく構成である。この脱穀入力軸45の他端にはベベルギヤ46が固定されていて、このベベルギヤ46と噛み合っているベベルギヤ47から二番処理胴軸22へ動力が伝達され、二番処理胴19と排塵処理胴15が回転駆動する構成である。
【0028】
前記二番処理胴軸22には歯車48が固定されていて、この歯車48からカウンタ歯車49,歯車50,軸51へと動力が伝達されていき、さらに、この軸51に固定のプーリ52からベルト53,プーリ54を介して扱胴軸12と扱胴11が回転駆動される構成である。また、扱胴軸12の後部から排稈チェン38が駆動される構成である。
【0029】
前記脱穀入力軸45にはプーリ55が固定されていて、このプーリ55からベルト56,プーリ57を介して唐箕軸58が回転駆動され、さらに、唐箕軸58に固定のプーリ59からベルト60,プーリ61を介して揺動選別棚18を揺動する揺動軸62に動力伝達される構成である。揺動軸62にはプーリ63が固定されていて、このプーリ63からベルト64,プーリ65を介して軸66が回転駆動され、さらに、この軸69に固定の歯車67から歯車68を介して軸69に動力伝達され、この軸69に固定のスプロケット70から脱穀装置5のフィードチェン4が回転駆動される構成である。前記プーリ65にはワンウェイクラッチ66aが設けられている。
【0030】
前記唐箕軸58の他端にはプーリ71が固定されていて、このプーリ71から一番ラセン25,二番ラセン26,吸引ファン28及びカッター39が駆動される構成である。
一方、前記エンジン出力軸41には別のプーリ72が固定されていて、このプーリ72からグレンタンク7下部の下部ラセン73が回転駆動され、この下部ラセン73に連結する縦オーガ8と横オーガ9とが回転駆動されてグレンタンク7内の穀粒が機外へと排出されていく構成である。
【0031】
さらに、前記エンジン出力軸41には別のプーリ74が固定されていて、このプーリ74から走行部Dが回転駆動される構成である。前記プーリ74からベルト75,プーリ76を介して油圧無段変速装置77の入力軸77aが回転駆動する構成で、この回転駆動力は可変油圧ポンプ77bの斜板の傾斜角の量に応じて定量モータ77cへの送油量が決定され、この送油量に応じて出力軸77dが回転する構成である。この出力軸77dの他端には歯車78が固定されていて、この歯車78からカウンタ歯車79,歯車80を介して軸81が回転駆動される構成である。
【0032】
前記カウンタ歯車79を支持する軸79aの他端にはプーリ82が固定されていて、このプーリ82からベルト83,プーリ84を介して前記軸66が駆動される構成である。そして、プーリ84にはワンウェイクラッチ84aが設けられている。前述のごとく、軸66にはプーリ65も設けられており、従って、脱穀装置5のフィードチェン4は、プーリ65に伝達される動力とプーリ84に伝達される動力の二系統から回転駆動される構成である。コンバインの場合、エンジン30は一定の回転数で駆動するので、プーリ65に伝達される動力は所定回転数で駆動され、一方、プーリ84に伝達される動力は油圧無段変速装置77を経由しているので、コンバインの車速に応じて可変された回転数で駆動される構成である。また、コンバインの車速が所定値以下の低速状態になると、油圧無段変速装置77からプーリ84に伝達されてくる回転数よりも、揺動選別棚18の軸62からプーリ65に伝達されてくる回転数の方が速くなる構成としている。即ち、コンバインの車速が所定値以下の低速のときには、フィードチェン4は揺動選別棚18から伝達されてくる一定回転で回転駆動される構成である。
【0033】
前記油圧無段変速装置77からプーリ84に伝達されてきた回転数でフィードチェン4を駆動すると、このフィードチェン4の回転数はコンバインの車速に比例して増減速する。また、刈取部Bの回転数もコンバインの車速に比例して増減速するので、コンバインの車速にかかわらず刈取部B側の回転数とフィードチェン4の回転数との差が少なくなり、穀稈はスムーズに刈取部Bからフィードチェン4へと引き継ぎ搬送されていく。また、フィードチェン4の駆動を走行伝動装置31から取り出す構成としているので、フィードチェン4を変速するために別の装置が不要となりコストダウンとなる。
【0034】
前記軸81は走行伝動装置31を貫通して他側に延出し、プーリ85が固定されている。この軸81の中間部であって走行伝動装置31内には副変速部86が設けられ、動力伝達方向下手側の左右のサイドクラッチブレーキ部87L,87Rを通過して走行装置1が駆動される構成である。
【0035】
前記プーリ85の回転駆動は刈取部Bへ伝達される構成である。即ち、プーリ85からベルト88,プーリ89を介して刈取入力軸90が駆動され、さらに、刈取入力軸90の中間部に設けるベベルギヤ91からベベルギヤ92を介して刈刃36,引起し装置34,株元搬送装置37などが駆動される。また、前記刈取入力軸90の他端には歯車93が固定されていて、この歯車93から歯車94,軸95,ベベルギヤ96,ベベルギヤ97,軸98を介して供給搬送装置32が駆動される構成である。
【0036】
供給搬送装置32は、搬送穀稈の株元側を挾持して搬送する株元チェン32aと穀稈の穂先側を搬送する穂先ラグ32bとから構成されるいる。この供給搬送装置32は油圧無段変速装置77を介して駆動しているので、コンバインの車速の変化に対応して搬送速度が可変する構成である。もちろん、刈取部B全体も油圧無段変速装置77を介して駆動しているので、コンバインの車速の変化に対応して回転数が可変する構成である。
【0037】
前述のごとく、供給搬送装置32と脱穀装置5のフィードチェン4の搬送速度にあっては、共にコンバインの車速の変化に対応して可変可能な構成としていて、具体的にはコンバインの車速が速くなるほど供給搬送装置32とフィードチェン4の搬送速度は速くなるように構成している。
【0038】
次に、図6に示すグラフについて説明する。
このグラフは、前述したフィードチェン4の駆動速度の変化を示している。横軸はコンバインの車速を示し、縦軸は駆動速度を示している。ラインEは、揺動軸62から伝動される一定速度を示し、ラインFは、軸79a、即ち、走行伝動装置31から駆動されるシンクロ速度を示している。一方、ラインGは、前述した排稈チェン38の駆動速度を示している。このように、排稈チェン38の駆動速度は、フィードチェン4の最高速度よりも速い一定速度で駆動するように構成している。これにより、排稈チェン38にて搬送される排稈の層厚は、フィードチェン4に挾持されていた時よりも薄くなるので、搬送される排稈の中に存在する穀粒(ササリ粒)は、搬送中に下方に落ち易くなり、下方に落下した穀粒は選別室29内へと回収されていき、4番ロスが少なくなる。
【0039】
次に、図7のグラフについて説明する。
このグラフも横軸はコンバインの車速を示し、縦軸はフィードチェン4の駆動速度を示している。ラインHは脱穀装置5に投入される穀稈の長さが短稈の場合を示し、ラインIは脱穀装置5に投入される穀稈の長さが長稈の場合を示している。また、ラインJは穀稈の長さが標準の状態を示している。穀稈の長さの短稈,長稈,標準に判別は、図1に示す扱深さセンサ99にて行う構成である。この扱深さセンサ99は、従来から知られている扱深さ制御に用いるものであり、フィードチェン4側よりの浅扱ぎセンサ99aと、扱胴11側よりの深扱ぎセンサ99bとから構成されている。そして、前記浅扱ぎセンサ99aと深扱ぎセンサ99bのいずれも穀稈を検出しない場合は短稈と判断し、浅扱ぎセンサ99aと深扱ぎセンサ99bの両方が穀稈を検出する場合は長稈と判断し、浅扱ぎセンサ99aのみが穀稈を検出する場合は標準と判断する構成としている。
【0040】
また、フィードチェン4の変速は、図5に示すプーリ82,ベルト83,プーリ84を、ベルト式無段変速装置にするようにする。
前述のように、穀稈が長くなるほどフィードチェン4の駆動速度を速くするように構成する。これは、穀稈が長いほど扱胴11で脱穀されるときに藁屑が多く発生してしまうので、穀稈が長いときにはフィードチェン4の搬送速度を速くして穀稈が扱胴11に作用する時間を短くし、藁屑類の発生を少なくなるようにする。藁屑の発生が少なくなると、選別室29内での被処理物の選別性能が向上するようになる。
【0041】
次に、図8について説明する。
走行伝動装置31からフィードチェン4を駆動するプーリ82,ベルト83,プーリ84のベルトラインは、影響の無い程度に極力フィードチェン4側寄りに配置するように構成する。これにより、ベルト83の交換や保守管理が実行し易くなる。また、ベルト83とエンジン30の出力軸41に設けられているファン99との干渉を防止できると共に、エンジン30から排風の熱の影響が少なくなる。また、図に示すように、ファン9とベルト83との間の空間部101が広くなるので、伝動ケース100の着脱が実行し易くなる。
【0042】
さらに、図8に示すように、揺動軸62,スプロケット63,チェン64,スプロケット65,プーリ82,ベルト83,プーリ84等のフィードチェン4を駆動するための伝動系102は、フィードチェン4の穀稈を搬送しない側に設ける構成としているので、穀稈の搬送に影響を与えることなく、穀稈はスムーズに搬送されていく。
【0043】
次に、図9について説明する。
この図は、図4で説明した脱穀装置の正面断面図の詳細を示している。103はフィードチェン4を上方から押圧している挾持杆であり、この挾持杆103は、圧縮バネ104で押圧されている構成である。そして、フィードチェン4で搬送される穀稈は、挾持杆103にて挾持されるので、穀稈の搬送乱れを防止できる構成としている。一方、扱室13内においては、脱穀された被処理物が回転しているので、この回転している被処理物は、フィードチェン4近傍の隙間から吹き出すことがある。そこで、ゴム材からなるシール材105を、ボルト106で固定して上方から垂らすように構成する。さらに、シール効果を高めるために、板バネ106でフィードチェン4側よりに寄せるように構成する。これにより、扱室13内の被処理物が外に吹き出すのを防止できるようになる。また、穀稈は搬送されてシール材105の下方がめくれ上がっても、シール効果の低減を防止できるようになる。
【0044】
次に、図10と図11について説明する。
図10は、刈取装置3から脱穀装置5への引継ぎ部分を示している。32は穀稈の扱深さを調節する供給搬送装置である。この供給搬送装置32の終端部と扱室13との間には、搬送される穀稈を受ける支持部107が構成されている。この支持部107は、脱穀装置5側に固定のプレート108と、該プレート108に載置されている案内ガイドゴム109とから構成されている。そして、該案内ガイドゴム109のフィードチェン4側端部においては、下方に曲げて2組のボルトナット110で止めるように構成している。
【0045】
穀稈が供給搬送装置32からフィードチェン4へ引継ぎ搬送されると、穀稈の穂先側は前記案内ガイドゴム109で支持され、その後、扱室13へと搬送されていく。穀稈が案内ガイドゴム109上で支持されながら搬送される時には、一部の穀粒が脱粒することがあり、この脱粒した穀粒は、案内ガイドゴム109の底部109aで滞留するので、後から回収できるようになる。従来、案内ガイドゴム109のフィードチェン4側端部においては、前述のような曲げる構成にしていなかったので、脱粒した穀粒はこぼれてしまう構成であったが、このような不具合を防止できるようになる。
【0046】
また、多量の穀稈が搬送されてくると、前記底部109aで滞留している穀粒は、搬送される穀稈と共に扱室13内へと送られていき、選別室29内で選別されて回収されるようになる。
前述のように、案内ガイドゴム109は上方ではなく、下方に曲げる構成としているので、搬送される穀稈に影響を与えることなく、搬送乱れを防止できるようになる。
【0047】
さらに、案内ガイドゴム109の曲げの中心部分のラインLと、フィードチェン4のラインKを略平行状態となるように構成した。これにより、搬送される穀稈と案内ガイドゴム109との接触部分は、線接触となるので、搬送抵抗が少なくなってスムーズに搬送されるようになる。
【0048】
次に、図12について説明する。
前記案内ガイドゴム109を下方に曲げるにあたり、この曲げの始端部は供給搬送装置32の根元チェン32aの搬送終端部近傍とし、案内ガイドゴム109の曲げの終端部は、扱室13の入口部とフィードチェン4との交点112近傍となるように構成する。これにより、フィードチェン4の始端部と供給搬送装置32の搬送終端部において、案内ガイドゴム109の曲げによる穀稈層厚が厚くなるのを防止でき、詰り等の不具合を防止できるようになる。また、案内ガイドゴム109の底部109aの範囲が狭くなるので、脱粒した穀粒の回収効率が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】脱穀装置の左側面図
【図3】脱穀装置の平面図
【図4】脱穀装置の正面の断面図
【図5】伝動機構線図
【図6】車速と搬送チェン速度の関係図
【図7】車速と搬送チェン速度の関係図
【図8】斜視図
【図9】脱穀装置の正面の断面図
【図10】斜視図
【図11】断面図
【図12】平面図
【符号の説明】
4…フィードチェン、5…脱穀装置、38…排稈チェン。
Claims (2)
- 脱穀用フィードチェン4の搬送速度が変速可能な構成とし、コンバインの車速が大なるほど前記フィードチェン4の搬送速度が大となるように構成したコンバインの脱穀装置であって、車速が所定値以下のときはフィードチェン4の搬送速度を所定速度で伝動可能な構成とし、フィードチェン4後方の排稈チェン38の搬送速度は、フィードチェン4の最高搬送速度よりも速くなるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
- 前記フィードチェン4の搬送速度は、穀稈長さが短稈よりも長稈の方が速くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの脱穀装置。
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