JP2007104956A - 脱穀装置 - Google Patents

Abstract

【課題】扱室内の被処理物が扱室の外側に流れたり、搬送方向下手側へ安易に移送されることを防止し、コストを抑え、簡易な構成で穀粒の回収効率を向上させる脱穀装置の提供である。
【解決手段】扱室６６内の抵抗板８１と扱胴６９の間に、被処理物を扱室６６内方へ案内するガイド体８２を抵抗板８１と平行に設置する。ガイド体８２は、扱胴６９の被処理物の搬送方向始端部から中央部後方にかけては、搬送方向と直交する方向から見て扱歯６９ａと重なる櫛歯状部と、扱胴６９の中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては扱歯６９ａと重ならない平面部を有している。ガイド体８２と扱胴６９の間に、被処理物の搬送を制限する仕切板８３を設ける。仕切板８３は排塵処理胴連通口前部の中板９６の上部で中板９６とほぼ同じ平面上の位置に設けてもよく、中板９６上と、それよりも被処理物の搬送方向上手側にも設け、複数個の設置としてもよい。
【選択図】図３

Description

本発明は、コンバイン等に搭載される脱穀装置に関する。

コンバインは穀稈の刈取装置と、脱穀装置と、脱穀後一時的に貯留するグレンタンクと、グレンタンクに貯留されている穀粒を排出するオーガなどから構成される。

脱穀装置の主脱穀部である扱室には刈取装置で刈り取った穀稈が挿入され、穀稈は扱室に軸架された扱胴の表面に多数設けられた扱歯と扱網との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物（穀粒や藁くず）は扱網を通過して、選別室の揺動棚で受け止められ二番穀粒や藁屑などを分離して穀粒のみをグレンタンクに搬送する。二番穀粒は二番処理室に送られ二番処理胴により穀粒、枝梗粒などに分離され、再び揺動棚に落下して穀粒、二番穀粒、藁屑などに分離される。扱室で発生した藁くずなど短尺のものは排塵処理室に搬送され、排塵処理胴により処理される。

コンバイン等に搭載される脱穀装置による上記脱穀作業は、省力化、能率化され、脱穀装置の扱室の他に、二番処理室、排塵処理室を設け、脱穀の高能率化や穀粒回収の高効率化が図られている。しかし、扱室、二番処理室、排塵処理室における穀粒の処理量の調節を行うことは、容易ではないため、穀粒量検出手段などを設けた制御装置を設置して穀粒の回収効率の上昇させた脱穀装置が提案されている。
特開２０００−１８８９３８号公報

上記特許文献１記載の構成により、穀粒の回収効率は向上する。しかし、扱室内の被処理物が扱室の外側に流れたり、被処理物の大部分が扱胴における搬送方向下手側へ安易に移送される場合がある。このような場合は扱室において、穀稈から分離された被処理物（穀粒や藁くず）の扱網の通過がスムーズに行われず、二番穀粒や三番穀粒の分離回収の回収効率も低下し、上記制御装置のみでは回収効率の向上が期待できない。

本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、扱室内の被処理物が扱室の外側に流れたり、被処理物が扱胴における搬送方向下手側へ安易に移送されることを防止して、穀粒の回収効率を向上させる脱穀装置の提供である。
また、本発明の課題は、コストを抑え、より簡易な構成で穀粒の回収効率を向上させる脱穀装置の提供である。

上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項１記載の発明は、穀桿から穀粒を分離処理するための扱歯（６９ａ）を設けた扱胴（６９）を軸架した扱室（６６）と、被処理物が扱室（６６）外に洩れないようにするために、扱胴（６９）の側方で扱室（６６）内への被処理物の供給口近傍に、扱胴（６９）の軸方向と平行に設けた板状平面部を有する抵抗板（８１）と、被処理物を扱室（６６）内方へ案内するために、前記抵抗板（８１）と扱胴（６９）の間に配置し、前記抵抗板（８１）と平行に設けた板状平面部を有し、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部後方にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重なる櫛歯状部と、扱胴（６９）の中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重ならない平面部とを有するガイド体（８２）と、前記ガイド体（８２）と被処理物搬送方向の終端部側の扱胴（６９）の間に配置し、ガイド体（８２）に直交する方向に板状平面部を有し、扱胴（６９）における搬送方向下手側への被処理物の搬送を制限する仕切板（８３）とを設けた脱穀装置である。

請求項２記載の発明は、穀桿から穀粒を分離処理するための扱歯（６９ａ）を設けた扱胴（６９）を軸架した扱室（６６）と、扱胴（６９）から落下する被処理物をろ過する扱網（７４）と、扱胴（６９）の搬送方向終端部に達した被処理物を搬送処理する排塵処理胴（７１）を軸架し、該扱室（６６）の後方下部に設けた排塵処理室（６８）と、被処理物が扱室（６６）外に洩れないようにするために、扱胴（６９）の側方で扱室（６６）内への被処理物の供給口近傍に、扱胴（６９）の軸方向と平行に設けた板状平面部を有する抵抗板（８１）と、被処理物を扱室（６６）内方へ案内するために、前記抵抗板（８１）と扱胴（６９）の間に配置し、前記抵抗板（８１）と平行に設けた板状平面部を有し、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重なる櫛歯状部と、扱胴（６９）のほぼ中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重ならない平面部とを有するガイド体（８２）と、前記ガイド体（８２）と被処理物搬送方向の終端部側の扱胴（６９）の間に配置し、ガイド体（８２）に直交する方向に板状平面部を有し、扱胴（６９）における搬送方向終端部から排塵処理室（６８）への被処理物の搬送を制限する仕切板（８３）と、扱室（６６）から排塵処理室（６８）への穀粒の連通口（１０１）の搬送方向手前であって、扱胴（６９）の軸心方向と直交する方向に向けて仕切板（８３）の下部で仕切り板（８３）とほぼ同じ平面上に配置した前記扱網（７４）の搬送方向終端部側を支える中板（９６）とを備えた脱穀装置である。
請求項３記載の発明は、前記仕切板（８３）を、前記中板（９６）の上部のほぼ同じ平面上の位置と、該ほぼ同じ平面上の位置よりも被処理物の搬送方向上手側に設置した請求項２記載の脱穀装置である。

本発明により、扱室（６６）内の被処理物が扱室（６６）の外側に流れたり、被処理物が扱胴（６９）における搬送方向下手側へ安易に移送されることを防止でき、穀粒の回収効率を向上させることができる。また、コストを抑え、より簡易な構成で穀粒の回収効率を向上させる脱穀装置の提供が可能である。

具体的には請求項１記載の発明によれば、抵抗板（８１）の内側にガイド体（８２）を設置することで扱室（６６）内の被処理物を扱室（６６）内方に導き、株元にささり込む穀粒を低減する。
また、ガイド体（８２）は、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重なる櫛歯状部を有しており、更にガイド体（８２）の内側に仕切板（８３）を設けることで扱胴（６９）の搬送方向下手側に移送される被処理物を制限するので、仕切板（８３）後方でのササリ粒の回収が良好となると共に、扱室（６６）での被処理物の濾過も促進され、三番穀粒の回収ロスも低減する。

請求項２記載の発明によれば、仕切板（８３）を排塵処理胴（７１）の連通口（１０１）前部で扱網（７４）の搬送方向終端部側を支える中板（９６）上に設けることで、排塵処理室（６８）へと導かれる被処理物の流入を制限し、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向上手側（搬送方向始端部側）の扱網（７４）を設けた部位で被処理物を濾過できるので、枝梗やカギ又などの分離も促進される。

また、請求項３記載の発明によれば、上記請求項２記載の発明の効果に加えて、排塵処理胴（７１）の連通口（１０１）の処理歯（７１ａ）の株元側はささり粒回収が良好に行われるようになるので、四番穀粒の回収ロスの低減効果も高まる。また、仕切板（８３）を穀粒の搬送方向の前後に分けて設けることで、一度に排塵処理胴（７１）の連通口（１０１）付近に穀粒が流入し、負荷が増大することなく、扱室（６６）内の前方（被処理物の搬送方向始端部側）〜中間部位においても扱網（７４）からの濾過が促進されるので、扱室（６６）内の濾過効率が高まり、三番、四番穀粒の回収ロスの低減効果が高まる。

図１には本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、図２にはコンバインの平面図を、図３にはコンバインの脱穀装置の一部切り欠き側面断面図を示す。なお、本実施の形態ではコンバインの前進方向に向かって前側と後側をそれぞれ前、後といい、左側と右側をそれぞれ左、右ということにする。

図１ないし図２に示すコンバイン１の走行フレーム２の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ４を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ４が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置３を備え、走行フレーム２の前部には刈取装置６を搭載し、走行フレーム２の上部には図示しないエンジンならびに脱穀装置１５、操縦席２０およびグレンタンク３０を搭載する。

刈取装置６は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置６全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置６の前端下部に分草具７を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置８を、その後方底部には刈刃（図示せず）を配置している。刈刃と脱穀装置１５のフィードチェン１４の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などを順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。

コンバイン１の刈取装置６の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して変速用、操向用などの操作レバーをコンバイン１が前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ（図示せず）を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム２を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置６の前端下部にある分草具７によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置８の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。

穀稈は供給搬送装置からフィードチェン１４の始端部に受け継がれ、脱穀装置１５に供給される。脱穀装置１５は、上側に扱胴６９を軸架した扱室６６を配置し、扱室６６の下側に選別部５０を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。

脱穀装置１５に供給された穀稈は、後で詳細に説明するが、主脱穀部である扱室６６に挿入され、扱室６６に軸架され回転する扱胴６９の多数の扱歯６９ａと、フィードチェン１４による移送と、扱網７４との相互作用により脱穀され、被処理物（穀粒や藁くず）は脱穀装置１５内の選別部５０の揺動棚５１で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚５１上を移動しながら、唐箕７９からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒はシーブ５３および選別網６３を通過し、一番螺旋６５から、搬送螺旋（図示せず）を内蔵している一番揚穀筒（図示せず）を経てグレンタンク３０へ搬送され、グレンタンク３０に一時貯留される。一番揚穀筒の長手方向の軸芯上にグレンタンク３０の籾排出口を設けている。また、脱穀装置１５の側壁には唐箕７９への風を取り入れるための風取入口８０（図９）が設けられている。

脱穀装置１５の扱室６６の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、図示しない排藁チェーンおよび排藁穂先チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置１５の後部の藁用カッターに投入されて切断され、圃場に放出される。

グレンタンク３０内の底部に穀粒移送用のグレンタンク螺旋（図示せず）を設け、グレンタンク螺旋を駆動する螺旋駆動軸（図示せず）に縦オーガ１８および横オーガ１９からなる排出オーガを連接し、グレンタンク３０内に貯留した穀粒を排出オーガ排出口からコンバイン１の外部に排出する。グレンタンク螺旋、縦オーガ螺旋（図示せず）および横オーガ螺旋（図示せず）は、エンジンの動力の伝動を受けて回転駆動され、それぞれのラセン羽根のスクリュウコンベヤ作用により貯留穀粒を搬送する。

図４には図３の脱穀装置１５の扱胴６９付近の拡大図を示す。また、図５には図１のコンバインの脱穀装置１５の扱胴６９付近の平面図を示す。更に、図６には図３のＣ−Ｃ線矢視の脱穀装置１５の立面断面図を示す。

刈取装置６で刈り取った穀稈は刈取装置６に装着された穀稈搬送、調節装置で扱深さが調節され、脱穀装置１５の主脱穀部である扱室６６内に挿入される。扱室６６に軸架された扱胴６９は、その表面に多数の扱歯６９ａが設けられており、図示しない駆動機構により、エンジンからの動力により、図５ないし図６の矢印Ｂ方向に回転する。扱室６６に挿入された穀粒の付いた穀稈は、移動するフィードチェン１４により図５の矢印Ａ方向に移送されながら、矢印Ｂ方向に回転する扱胴６９の扱歯６９ａと扱網７４との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物（穀粒や藁くず）は扱網７４を矢印Ｃ１方向（図６）に通過して、揺動棚５１で受け止められる。

揺動棚５１は扱室６６の扱網７４の下方に配置した移送棚とその後方に配置した上方のシーブ５３とその下方の選別網６３と最後端部に配置したストローラック６２から構成されている。そして揺動棚５１には複数個の三角形状の選別板５１ａを備えており、揺動棚５１はシーブ５３の前方に配置されている。そして揺動棚５１は後述する二番処理室６７の下方に配置して二番処理物を受け止め得る構成になっている。

扱網７４（図３）の前方の領域で漏下する脱穀初期に脱粒した穀粒は単粒であり夾雑物も含んでいないのでシーブ５３上で粗選別する必要が無く、直接選別網６３で後述する唐箕７９からの送風により風選することができ、シーブ５３の負荷を軽くし、能率的な脱穀が可能となる。

また、揺動棚５１は図示しない揺動棚駆動機構の作動により上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印Ｄ方向（図３）に移動しながら、揺動棚５１上に漏下した比重の重い穀粒は選別網６３を矢印Ｅ方向に通過し、一番棚板６４で集積され、一番螺旋６５から一番揚穀筒を経てグレンタンク３０へ搬送される。グレンタンク３０に貯留された穀粒は、オーガ１８、１９を経由してコンバイン１の外部へ搬送される。

揺動棚５１の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚５１の揺動作用と唐箕７９のファン７９ａによる送風に吹き飛ばされて揺動棚５１からシーブ５３に向けて矢印Ｄ方向に移動し、ストローラック６２の上で大きさの小さい二番穀粒は矢印Ｇ方向に漏下して二番棚板８５に集められ、二番螺旋８６で二番揚穀筒（図示せず）へ搬送される（図３）。

二番穀粒（二番物ということがある）は、正常な穀粒、枝梗粒、藁くずおよび藁くずの中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番揚穀筒の中を二番揚穀筒ラセン（図示せず）により揚送されて、二番処理室入口から二番処理室６７の上方へ放出される。二番処理室６７の下部に軸架する二番処理胴７０は図示しない駆動装置により矢印Ｊ方向（図５、図６）に回転する。二番穀粒は二番処理胴７０に植設してある多数の処理歯７０ａに衝突しながら矢印Ｉ方向（図３、図５）に進行する間に二番穀粒の分離と枝梗粒の枝梗の除去を行い、被処理物の一部は二番処理胴７０の下方に設けられた二番処理胴受樋７５（図６）を通り抜けて選別室５０に漏下し、被処理物の大部分は揺動棚５１からシーブ５３方向に送られ、穀粒はシーブ５３と選別網６３を通り、一番螺旋６５に集められる。
このように二番物を揺動棚５１上に回収してシーブ５３による再処理をすることにより、穀粒と藁くずとの分離が良好になる。

扱室６６を図５の矢印Ａ方向に進行し、扱室６６の終端に到達した被処理物の中の脱穀された穀稈で長尺のままのものは、図５に示す矢印Ａ１方向に搬送され、排藁処理室９５に投入される。

また、扱室６６の被処理物搬送方向終端部に到達した被処理物の中で、藁くずなど短尺のものは、排塵処理室入口６８ａから矢印Ａ２（図５）方向に投入されて、扱室６６からの取り込みを良好にする螺旋７１ｂの作用により排塵処理室６８に入り、排塵処理室６８では回転する排塵処理胴７１の処理歯７１ａにより矢印Ｋ方向（図３、図５）に搬送されながら処理される。なお、排塵処理胴７１の上手側に螺旋７１ｂが設けられ、排塵処理胴７１の下手側に処理歯７１ａが設けられている。

排塵処理室６８に入った少量の穀粒を含む藁くずを主体とする被処理物の中の漏下物（穀粒）は受け網７６（図３）から揺動棚５１上に漏下し、揺動棚５１に設けられたストローラック６２に誘導されて二番棚板８５から二番揚穀筒８７を経由して二番処理室６７に送られる。
なお、同軸上にある二番処理胴７０と排塵処理胴７１の駆動は図示しないがエンジンから駆動力をプーリを介して行われる。

図３に示すように、脱穀装置１５の後部に横断流ファン９１を設け、排塵処理室６８を含む脱穀装置１５内で発生する排塵のうち、比重の軽い藁くず、枝梗および塵埃を含む空気を横断流ファン９１の回転による送風で吸引し、横断流ファン出口から矢印Ｌ方向へ吹き出して、コンバイン１の外部へ放出する。
排塵処理室６８から揺動棚５１の終端部に矢印Ｍ（図３）のように落ちた排塵のうち二番穀粒、三番穀粒など小径で比重の重いものは、揺動棚５１の終端部のストローラック６２あるいはシーブ５３を矢印Ｇ方向へ通過して二番棚板８５に漏下し、再び二番処理室６７において処理される。

図７には図３のＺ−Ｚ線矢視の脱穀装置１５の立面断面図を示し、図８には図３のＴ−Ｔ線矢視の脱穀装置１５の立面断面図を示す。また、図９には図１のコンバインの脱穀装置１５の扱胴６９付近の構造を示した概略斜視図を示す。
図３から図９に示すように、被処理物が扱室６６の外に洩れないようにするために、扱胴６９の側方で、扱室６６内へフィードチェン１４から搬入される被処理物の供給口近傍に、開閉自在の扱胴カバー１０２に取り付けられた抵抗板８１が扱胴６９の軸方向と平行に設けられている。また、前記抵抗板８１と扱胴６９の間に、被処理物を扱室６６内方へ案内するためのガイド体８２を抵抗板８１と平行に配置している。更に、図５に示すように、該ガイド体８２は、扱胴６９の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴６９のほぼ中央部にかけては、搬送方向と直交する方向から見て扱歯６９ａと重なる櫛歯状部と、扱胴６９のほぼ中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向と直交する方向から見て扱歯６９ａと重ならない平面部とを有した構成である。

図７では、ガイド体８２が扱胴６９の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴６９の中央部後方にかけて扱歯６９ａと重なっている状態を示し、図８では扱胴６９の中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては扱歯６９ａと重なっていない状態を示している。そして図３から図６及び図９に示すように、ガイド体８２と扱胴６９の間に、ガイド体８２に直交する方向に板状平面部を有し、扱胴６９における搬送方向下手側への被処理物の搬送を制限する仕切板８３を設けている。
抵抗板８１の内側にガイド体８２を設置することで扱室６６内の被処理物を扱室６６内方に導き、株元にささり込む穀粒を低減すると共に、図９に示すように、ガイド体８２を、前板９７と後板９８を連結した連結フレーム１００上に設けることでフレーム構成が強固となりガイド体８２の取付も安定する。

また、図５に示すように、ガイド体８２は、扱胴６９の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴６９のほぼ中央部にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯６９ａと重なる櫛歯状部を有しており、更にガイド体８２の内側に仕切板８３を搬送方向と直交させて、しかも扱胴６９の扱歯６９ａと重ねて設けることで扱胴６９の搬送方向下手側に移送される被処理物を制限するので、仕切板８３後方でのササリ粒の回収が良好となると共に、扱室６６での被処理物の濾過も促進され、三番穀粒の回収ロスも低減する。

また、図３、図４に示すように、ガイド体８２の内面側に設けた仕切板８３は、排塵処理胴連通口１０１（図５）前部の中板９６と略同じ前後位置に設けてもよい。すなわち、仕切板８３を、扱室６６から排塵処理室６８への被処理物の連通口１０１手前に設けた中板９６の上部で、中板９６とほぼ同じ平面上の位置に設けた構成である。中板９６は、図９に示すように、扱胴６９の軸心方向と直交する方向で配置しており、前記扱網７４（図３）の搬送方向終端部側を支えている板である。

仕切板８３を排塵処理胴連通口１０１前部の中板９６上に設けることで、排塵処理室６８へと導かれる被処理物の流入を制限し、搬送方向上手側（搬送方向始端部側）の扱網７４を設けた部位で被処理物を濾過できるので、枝梗やカギ又などの分離も促進される。また、排塵処理胴連通口１０１の処理歯７１ａの株元側は、ささり粒回収が良好に行われるようになるので、四番穀粒の回収ロスの低減効果も高まる。

また、図３、図４に示すように、ガイド体８２の内面側に設けた仕切板８３を中板９６上と、それよりも被処理物の搬送方向上手側にも設け、複数個の設置としても良い。
このように仕切板８３を、被処理物の搬送方向の前後に分けて設けることで、一度に排塵処理胴連通口１０１付近に穀粒が流入して負荷が増大することを防ぎ、扱室６６内の被処理物の搬送方向始端部〜中間部位においても扱網７４からの濾過が促進されるので、扱室６６内の濾過効率が高まり、三番、四番穀粒の回収ロスの低減効果が高まる。

更に、図４、図５に示すように、扱胴カバー１０２の内面に送塵量を調整する排塵調整板８４を矢印Ｐ方向に角度調整可能として、中板９６の近傍まで設け、平面視において、ガイド体８２内面側の一部の仕切板８３と略同じ前後位置としてもよい。
図４では、排塵調整板８４のうちの１枚を中板９６近傍上の仕切板８３と同じ前後位置とした例を示している。排塵調整板８４が、図５の（Ｆ）位置では被処理物を送る作用をし、（Ｏ）位置では被処理物を若干戻す作用をする。扱胴６９の処理能力を超えた場合に排塵調整板８４を（Ｆ）位置にして被処理物があふれるのを防止し、反対に被処理物の投入量が非常に少ない場合は排塵調整板８４を（Ｏ）位置にして被処理物の搬送を抑止できる。 圃場において、穀稈が横に倒れている倒伏稲や雨が降って刈り取りにくい湿材等の悪条件下では、扱室６６内で被処理物の搬送に対する抵抗が多くなり、送り作用に支障をきたす。しかし、このように排塵調整板８４を角度調整可能としたことで、ガイド体８２の内面側の仕切板８３を越えて送塵可能となるので、送塵量の過負荷による扱室６６内の異常音の発生やコンバインの馬力の損失過多による脱穀処理の能率低下を防止できる。

反対に、脱穀されにくい品種（湿材の場合を除く）等では被処理物の送塵量を抑制するように排塵調整板８４の角度を調整することで、単粒の回収ロスの増加や枝梗、カギ又などの低減が可能となる。

また、図６に示すように、開閉自在の扱胴カバー１０２の回動中心側の内面にも仕切板８３ａを設けても良い。そして、図４に示すように、上記仕切板８３ａを排塵処理胴連通口１０１の前面の中板９６上に設けても良い。
上記のように構成することで、扱胴６９の軸心より右側方（図５）での排塵処理室６８への被処理物の容易な流入を阻止できるので、扱室６６内での処理が更に向上し、回収物のロスの低減能力が高まる。

圃場における上記倒伏稲や湿材等の悪条件下においては、排塵調整板８４の角度調整により、被処理物の送塵度合は容易に変更可能であるので、被処理物の送塵量の過負荷による扱室６６内の異常な音等の不具合が続くことはない。

図１０には本発明の他の実施例によるコンバインの脱穀装置１５の一部切り欠き側面断面図を示し、図１１には図１０のコンバインの脱穀装置１５の扱胴６９付近の平面図を示す。更に、図１２には図１０のＣ−Ｃ線矢視の脱穀装置１５の立面断面図を示し、図１３には図１０のＴ−Ｔ線矢視の脱穀装置１５の立面断面図を示す。

図１０、図１１に示すように、排塵処理胴７１への連通口１０１上の扱胴カバー１０２の内面に、複数の逆リード板１０３（扱胴６９の搬送方向上手側に被処理物を送塵する板）を設け、逆リード板１０３の一方を扱胴６９軸心より右側方の被処理物の搬送方向上手側に設け、他方をフィードチェーン１４側の被処理物の搬送方向下手側に設けた構成としても良い。

排塵処理胴７１の連通口１０１に逆リード板１０３を幅広く大きく構成するのは公知であり、四番、三番穀粒のロス低減にも効果が高いが、その反面逆リード板１０３上を被処理物の搬送方向上手側に向かって送塵される被処理物の量が過大となり、被処理物が団子状になりやすく、脱穀作業の能率低下の原因となりやすい。

図１１に示すように、逆リード板１０３を分割し、扱室６６右側の逆リード板１０３を前方に設けることで、排塵処理室６８に送塵されなかった被処理物や、容易に排塵処理室６８へ導かれようとする処理物を被処理物の搬送方向上手側に戻すことができる。一方、被処理物の搬送方向下手側の逆リード板１０３は容易に後板９８の後方から排出される被処理物を制限し、排塵処理室６８へ取り込みができるので、上記のような不具合を抑えつつ、回収物のロスの低減が図れる。

また、図１１に示すように、逆リード板１０３と排塵調整板８４の間には排塵調整板８４を設けていないスペース（Ｗ）を確保する。
近年の小型コンバインのように小型の扱室６６で穀粒の脱穀を高能率化した場合等に、フィードチェーン１４のスピードや扱胴６９の回転数などの周速は、従来と比較すると速まっており、排塵調整板８４も扱歯６９ａとほぼ水平の取付角度で取り付けられている。

そのため、中板９６の近傍まで排塵調整板８４を設置すると、逆リード板１０３より扱胴６９の被処理物の搬送方向上手側に送塵処理物や中板９６上の被処理物の流れを阻害することがあるため、排塵調整板８４を設けないスペース（Ｗ）を設けて、フィードチェーン１４や扱胴６９の回転により被処理物を送塵させ、逆リード板１０３あるいは仕切板８３により被処理物の濾過を促進させることで、扱室６６内の被処理物の送塵量の過大負荷や過大負荷による異常音を防止しつつ、脱穀の処理効率を高めることができる。

また、図１１、図１２に示すように、扱胴カバー１０２内面のフィードチェーン１４側に仕切板８３ｂを設け、被処理物の搬送方向の前後方向で中板９６と合わせて、中板９６とほぼ同じ平面上の位置に設置しても良い。
ガイド体８２の内側の仕切板８３よりも上方の扱胴カバー１０２の内面に中板９６と平行に仕切板８３ｂを設けることで、被処理物を容易に株元側の排塵処理胴連通口１０１に導くことがないので、四番穀粒の回収ロスの低減効果が高まる。

また、図１０に示すように、排塵処理胴連通口１０１上に設けた逆リード板１０３は、連通口１０１の前後にラップ代１０４を設けた２つの板から構成して、排塵処理胴連通口１０１の全幅に亘って設置してもよい。
排塵処理胴連通口１０１上に設けた逆リード板１０３は連通口１０１の前後にラップ代１０４を設けて連通口１０１の全幅に亘って設置しているので、被処理物を粗大に固めることなく前方（搬送方向の始端部側）に戻しつつも、株元側にササリ込む量を抑制しつつ、排塵処理胴連通口１０１が被処理物によってオーバーフローしないように、扱胴６９の被処理物の搬送方向上手側に被処理物を導き、扱室６６内での被処理物の濾過効率を高めることができる。

そして、図１０から図１２に示すように、抵抗板８１内方のガイド体８２の内面に設けた仕切板８３と、扱胴カバー１０２内面のフィードチェーン１４側に設けた仕切板８３ｂは、ほぼ同じ前後位置（平面上の位置）としても良い。
株元側に設けた上下の仕切板８３により、排塵処理胴連通口１０１への株元側に導かれる被処理物を大きく制限できるので、四番穀粒の回収ロスの低減効果が向上する。

また、上方の仕切板８３ｂ（扱胴カバー１０２内面の仕切板８３ａ）は扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）とは重なっていないので、完全に扱胴６９の被処理物の搬送方向下手側への送塵を抑制するものではないため、極端に中板９６の近傍の被処理物の送塵量の負荷が増えるものではない。

本発明の脱穀装置はコンバインなどの収穫した穀粒の処理装置に利用できる。

本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図である。 図１のコンバインの平面図である。 図１のコンバインの脱穀装置の側面断面図である。 図３の脱穀装置の扱胴付近の拡大図である。 図１のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図である。 図３のＣ−Ｃ線矢視の脱穀装置の立面断面図である。 図３のＺ−Ｚ線矢視の脱穀装置の立面断面図である。 図３のＴ−Ｔ線矢視の脱穀装置の立面断面図である。 図１のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の構造を示した概略斜視図である。 本発明の他の実施例によるコンバインの脱穀装置の側面断面図である。 図１０のコンバインの脱穀装置の扱胴付近の平面図である。 図１０のＣ−Ｃ線矢視の脱穀装置の立面断面図である。 図１０のＴ−Ｔ線矢視の脱穀装置の立面断面図である。

符号の説明

１ コンバイン ２ 走行フレーム
３ 走行装置 ４ クローラ
６ 刈取装置 ７ 分草具
８ 穀稈引き起こし装置 １４ フィードチェン
１５ 脱穀装置 １８ 縦オーガ
１９ 横オーガ ２０ 操縦席
３０ グレンタンク ５０ 選別部
５１ 揺動棚 ５１ａ 選別板
５３ シーブ ６２ ストローラック
６３ 選別網 ６４ 一番棚板
６５ 一番螺旋 ６６ 扱室
６７ 二番処理室 ６８ 排塵処理室
６８ａ 排塵処理室入口 ６９ 扱胴
６９ａ 扱歯 ７０ 二番処理胴
７０ａ 処理歯 ７１ 排塵処理胴
７１ａ 処理歯 ７１ｂ螺旋
７４ 扱網 ７５ 二番処理胴受樋
７６ 受け網 ７９ 唐箕
７９ａ 唐箕ファン ８０ 風取入口
８１ 抵抗板 ８２ ガイド体
８３、８３ａ、８３ｂ 仕切板 ８４ 排塵調整板
８５ 二番棚板 ８６ 二番螺旋
９１ 横断流ファン ９５ 排藁処理室
９６ 中板 ９７ 前板
９８ 後板 １００ 連結フレーム
１０１ 連通口 １０２ 扱胴カバー
１０３ 逆リード板 １０４ ラップ代

Claims (3)

1. 穀桿から穀粒を分離処理するための扱歯（６９ａ）を設けた扱胴（６９）を軸架した扱室（６６）と、
   被処理物が扱室（６６）外に洩れないようにするために、扱胴（６９）の側方で扱室（６６）内への被処理物の供給口近傍に、扱胴（６９）の軸方向と平行に設けた板状平面部を有する抵抗板（８１）と、
   被処理物を扱室（６６）内方へ案内するために、前記抵抗板（８１）と扱胴（６９）の間に配置し、前記抵抗板（８１）と平行に設けた板状平面部を有し、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部後方にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重なる櫛歯状部と、扱胴（６９）の中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重ならない平面部とを有するガイド体（８２）と、
   前記ガイド体（８２）と被処理物搬送方向の終端部側の扱胴（６９）の間に配置し、ガイド体（８２）に直交する方向に板状平面部を有し、扱胴（６９）における搬送方向下手側への被処理物の搬送を制限する仕切板（８３）と
   を設けたことを特徴とする脱穀装置。
2. 穀桿から穀粒を分離処理するための扱歯（６９ａ）を設けた扱胴（６９）を軸架した扱室（６６）と、
   扱胴（６９）から落下する被処理物をろ過する扱網（７４）と、
   扱胴（６９）の搬送方向終端部に達した被処理物を搬送処理する排塵処理胴（７１）を軸架し、該扱室（６６）の後方下部に設けた排塵処理室（６８）と、
   被処理物が扱室（６６）外に洩れないようにするために、扱胴（６９）の側方で扱室（６６）内への被処理物の供給口近傍に、扱胴（６９）の軸方向と平行に設けた板状平面部を有する抵抗板（８１）と、
   被処理物を扱室（６６）内方へ案内するために、前記抵抗板（８１）と扱胴（６９）の間に配置し、前記抵抗板（８１）と平行に設けた板状平面部を有し、扱胴（６９）の被処理物の搬送方向の始端部から扱胴（６９）のほぼ中央部にかけて搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重なる櫛歯状部と、扱胴（６９）のほぼ中央部後方から被処理物の搬送方向終端部にかけては搬送方向と直交する方向から見て扱歯（６９ａ）と重ならない平面部とを有するガイド体（８２）と、
   前記ガイド体（８２）と被処理物搬送方向の終端部側の扱胴（６９）の間に配置し、ガイド体（８２）に直交する方向に板状平面部を有し、扱胴（６９）における搬送方向終端部から排塵処理室（６８）への被処理物の搬送を制限する仕切板（８３）と、
   扱室（６６）から排塵処理室（６８）への穀粒の連通口（１０１）の搬送方向手前であって、扱胴（６９）の軸心方向と直交する方向に向けて仕切板（８３）の下部で仕切り板（８３）とほぼ同じ平面上に配置した前記扱網（７４）の搬送方向終端部側を支える中板（９６）と
   を備えたことを特徴とする脱穀装置。
3. 前記仕切板（８３）を、前記中板（９６）の上部のほぼ同じ平面上の位置と、該ほぼ同じ平面上の位置よりも被処理物の搬送方向上手側に設置したことを特徴とする請求項２記載の脱穀装置。

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