JP2004217950A - めっき皮膜用表面処理剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】水栓などのめっき処理が施された面に対して、優れた撥水撥油性能を付与すると共に、水垢を代表とする汚れを付着し難くし、付着した汚れについても簡単に除去することを可能とする、めっき皮膜用表面処理剤及び処理方法を提供する。
【解決手段】フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とすることを特徴とするめっき皮膜用表面処理剤。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とすることを特徴とするめっき皮膜用表面処理剤。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき皮膜用表面処理剤及びめっき皮膜の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道の蛇口に代表される水栓は、通常、銅合金等の金属やプラスチックを基材として用い、耐摩耗性、耐食性、平滑性等を向上させることや、優れた美観を付与すること等を目的として、該基材の表面にめっき処理が施されている。
【0003】
めっき皮膜の種類としては、例えば、外装部品については、外観を良くし、腐食し難くするために、ニッケルめっき皮膜を形成した後、クロムめっきが施される例が多い。また、内蔵部品については、スズニッケル合金めっきが施される場合がある。
【0004】
しかしながら、この様なめっき処理を施した場合であっても、水栓や各種外装部品の表面のめっき面に水や雨がかかると、これに含まれるカルシウムやシリカ等の水垢が、白っぽい汚れとしてめっき面に付着して外観が損なわれ易い。このため、表面を清潔で汚れのない状態に保つためには、めっき面を頻繁に手入れする必要があり、非常に煩雑である。また、長期間手入れを怠ると、汚れが硬くこびりついてしまい、その除去が困難になる。
【0005】
水栓などのめっき処理を施した部品について、防汚性を付与して水垢等を付着し難くするための処理方法としては、めっき層上に水垢の固着を抑制する機能を有する被膜を形成する方法が知られており、この様な被膜として、シリコーン被膜が開示されている(下記、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、処理方法がより簡単であって、しかも優れた防汚性能を付与できる防汚処理剤が要望されているのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−295334号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、水栓などのめっき処理が施された面に対して、優れた撥水撥油性能を付与すると共に、水垢を代表とする汚れを付着し難くし、付着した汚れについても容易に除去することを可能とできる、めっき皮膜用表面処理剤及び処理方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来めっき皮膜の防汚剤として用いられたことのない特定のフッ素含有化合物が、めっき皮膜に対する水垢などの汚れ付着防止剤として優れた性能を有することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記のめっき皮膜用表面処理剤及びめっき皮膜の表面処理方法を提供するものである。
1. フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とすることを特徴とするめっき皮膜用表面処理剤。
2. フッ素含有化合物が、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基、並びにカルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルホン酸基及びアミノ基から選ばれた少なくとも一種の基を含む化合物である上記項1に記載のめっき皮膜用表面処理剤。
3. フッ素含有化合物が、下記(1)〜(4)から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1又は2に記載のめっき皮膜用表面処理剤:
(1)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体、
(2)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、
(3)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体とアルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物とから得られるフッ素含有リン酸系エステル金属反応物、
(4)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するカルボン酸又はその塩。
4. めっき皮膜が形成された物品を上記項1〜3のいずれかに記載のめっき皮膜用表面処理剤に接触させることを特徴とするめっき皮膜の表面処理方法。
5. クロムめっきを行った後、上記項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤を含む水洗水に被めっき物を浸漬する工程を含むことを特徴とするクロムめっき処理品の表面処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤は、フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とするものである。この様な化合物は、各種のめっき皮膜に対して優れた付着能力を有すると共に、フッ素含有基の存在によって、めっき面に優れた撥水撥油性能を付与でき、各種の汚れについて優れた付着防止性能を発揮するものである。
【0012】
該フッ素含有化合物において、錯形成能を有する基としては、カルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルホン酸基、アミノ基等を例示できる。これらの基は、一種のみが含まれてもよく、或いは二種以上が同時に含まれてもよい。
【0013】
フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基等を例示できる。これらのフッ素含有基は、一種のみが含まれてもよく、二種以上が同時に含まれてもよい。これらのフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基の内で、好ましい基としては、炭素数3〜21程度の基を挙げることができる。
【0014】
上記したフッ素含有化合物の内で、好ましい化合物としては、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体;上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物とから得られるフッ素含有リン酸系エステル金属反応物;フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するカルボン酸又はその塩:などを挙げることができる。
【0015】
リン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体と反応させてフッ素含有リン酸系エステル金属反応物を形成するために用いる、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物は、リン酸基等との反応により錯化合物あるいは複塩を形成し得る金属化合物であればよく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物が全て該当し、例えば、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などの化合物が挙げられる。これらの化合物は、反応溶媒に可溶性のものならどのような化合物でもよく、例えば、酸化物、水酸化物、硫化物、ハロゲン化物、種々の塩などが含まれる。
【0016】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記リン酸エステルと金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(1)及び(2)で表される化合物を例示できる。
【0017】
【化1】
【0018】
(式中、Rfは、炭素数3〜21のフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基若しくはフルオロエーテル基を示し、R1は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、−CH2CH(OR5)CH2−(式中、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアシル基である)、−CH2CH(OH)−、−CONR6−(式中、R6は炭素数1〜5のアルキル基である)、−CH=CHCH2−又は−CH2CHXCH2−(式中、Xはハロゲン原子である)を示し、Mは金属原子又は置換基を有することのあるアンモニウム基を示す。また、jは1〜3の整数、yは(3−j)以下で0〜2の整数、kは3−(j+y)以下で0〜2の整数、tは3−(j+y+k)である)。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、Rf、R1、M、j、y、k及びtは、上記に同じであり、R3は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)。
【0021】
上記一般式(1)及び(2)で表される化合物において、Mで表される金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などを例示できる。アンモニウム基の置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などを例示できる。
【0022】
上記一般式(1)及び(2)で表される化合物の具体例を以下に挙げる。尚、下記具体例において、記号aを用いた化学式で表されるものは、a=1,2及び3の混合物であり、bは平均値として25である。
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
更に、上記(1)及び(2)で表される化合物の他に、下記の化合物も好適に用いることができる。これらの化合物において、c+d=2〜200であって、c:d=100:1〜1:100であるか、或いは、cとdのいずれか一方は0である。
【0026】
【化5】
【0027】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するホスホン酸誘導体;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記ホスホン酸誘導体と金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(3)及び(4)で表される化合物を例示できる。
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、Rf、R1、R2及びMは上記に同じ。wは1又は2、xは1又は2、mは0〜2の整数、nは(2−m)以下で0〜2の整数、uは2−(m+n)である。)
上記一般式(3)及び(4)で表される化合物の具体例を以下に挙げる。
【0030】
【化7】
【0031】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するホスフィン酸誘導体;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記ホスフィン酸誘導体と金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(5)及び(6)で表される化合物を例示できる。
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、Rf、R1、R2及びMは上記に同じ。pは1又は2、qは2−p、sは1又は0、rは(1−s)以下で1又は0、vは1−(s+r)である。)
上記一般式(5)及び(6)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0034】
【化9】
【0035】
フッ素含有基を有するカルボン酸としては、
式:Rf(CH2)nCOOH
(式中、Rfは、前記に同じ。nは0〜10の数を示す。)で表される化合物を例示できる。また、その塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、その他の金属、例えば、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などとの塩等を挙げることができる。
【0036】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤は、上記したフッ素含有化合物を有効成分として含有するものであり、各種のめっき皮膜に対して、優れた撥水撥油性を付与すると共に、汚れ付着防止剤として優れた性能を発揮し得るものである。
【0037】
処理対象とするめっき皮膜の種類については、特に限定的ではなく、例えば、Crめっき、Niめっき、Feめっき、Alめっき、Zrめっき、Tiめっき等のめっき面に対して特に優れた効果を発揮することができる。
【0038】
処理対象とする物品の種類についても、特に限定的ではなく、例えば、水道の蛇口に代表される水栓や、水栓以外の水廻り品、自転車、バイク、自動車、住宅部材などの水や雨にさらされる可能性がある物品等に適用することが好ましい。
【0039】
特に、本発明の表面処理剤は、クロムめっきの施された水栓を処理対象とする場合に、水垢やその他の汚れの付着を防止して、良好な外観を維持することが可能となり、更に、長期間使用時において、水栓の外観を損ねる汚れを容易に除去でき、水栓外面の良好な外観を長期間維持できる点において非常に有用である。
【0040】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤による処理方法については、特に限定は無く、通常、該表面処理剤を溶解乃至分散させた溶液を、処理対象となるめっき面に接触させればよい。具体的な処理方法については、処理対象となる物品の大きさ、形状等によって適宜決めれば良く、例えば、水栓などの比較的小さい物品については、該表面処理剤を溶解乃至分散させた溶液中に浸漬すればよく、住宅部材などの大型の物品については、該溶液を塗布することによって処理しても良い。
【0041】
該表面処理剤を溶解乃至分散させるために用いる溶媒については、特に限定はなく、水、有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いることが可能であり、該表面処理剤を均一に溶解乃至分散させることができ、且つ、該表面処理剤を変質させることのないものから適宜選択すればよい。
【0042】
処理溶液中の有効成分の濃度については、特に限定はなく、有効成分を均一に溶解乃至分散させることが可能な範囲内から適宜選択すればよい。通常は、上記した表面処理剤成分を0.005〜30重量%程度、好ましくは0.01〜10重量%程度含む溶液を用いればよい。処理液の温度については、例えば、20〜80℃程度とすればよい。処理時間については、特に限定的ではないが、浸漬によって処理する場合には、10秒〜60分間程度、好ましくは、30秒〜40分間程度の浸漬時間とすればよい。
【0043】
本発明では、特に、表面にクロムめっきを施した物品、例えば水栓等について防汚処理を施す場合には、クロムめっき後の最終的な乾燥仕上げを行う前に、クロムめっき後の水洗槽に本発明の表面処理剤を添加し、水洗処理と同時に表面処理を行うことが好ましい。この様な方法によれば、水垢等の汚れの付着防止について、特に優れた効果を発揮することができる。その理由については明確ではないが、クロムめっき皮膜を乾燥させる前に処理を行うことによって、めっき皮膜の表面に酸化皮膜が形成される前に表面処理を行うことができ、更に、クロムめっき後の水洗槽には、被めっき物に付着して持ち込まれたクロム酸が多量に存在しており、これと表面処理剤成分とが反応し、クロムめっき表面に対する優れた付着性能が発揮されること等が一因と推測される。
【0044】
クロムめっきの水洗槽に表面処理剤を添加する場合には、水洗水中における表面処理剤成分の添加量、処理条件などは、上記した処理条件と同様とすれば良い。使用できるクロムめっき浴の種類についても、特に限定はなく、例えば、クロム酸を主要成分として含む公知の各種のクロムめっき浴を用いる場合に有効に適用できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤を用いてめっき面を処理することにより、各種のめっき皮膜に対して優れた撥水撥油性能を付与でき、優れた汚れ付着防止効果を発揮することができる。
【0046】
特に、水栓等のクロムめっき皮膜が形成された物品については、本発明の表面処理剤で処理することによって、水垢を代表とする汚れを付着し難くし、付着した汚れについても容易に除去することができ、良好な美観を長期間維持することが可能となる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0048】
実施例1
鉄鋼素材上に半光沢ニッケルめっき及び光沢ニッケルめっきを施した後、クロムめっき皮膜を形成し、乾燥して得られた装飾クロムメッキ板(25×50mm,厚さ0.8mm)を被処理物として用い、化学式:F(CF2CF2CF2O)nCF2CF2CH2OP(=O)(OH)2(n=25(平均値))で表されるフッ素含有化合物をパーフルオロヘキサン中に0.1重量%の固形分濃度で溶解させた溶液50g中に該被処理物を浸漬し、30秒後に引き上げて室温で乾燥した。
【0049】
得られた処理品について、次の方法により各種性能を評価した。評価結果を表1に示す。
(1)外観
表面の均一性や光沢などの外観について目視により判定した。
(2)接触角
処理表面での水およびヘキサデカンの接触角を静的接触角計により計測した。
(3)水ぶき後の接触角
処理表面を水で湿らせた布で20回手ぶきして風乾後、水およびヘキサデカンの接触角を計測した。
(4)汚れふき取り性
処理表面に汚れ物質としてラー油を付着させ3分間放置した試料、及び処理表面に水道水の水滴を乗せ、室温で乾燥させて汚れ物質として水垢を付着させた試料のそれぞれについて、乾いた綿布で付着した汚れを軽くふき取り、表面に残った汚れの状態をつぎの評価基準に従って目視により判定した。
【0050】
A:汚れが非常に取れやすい。 B:汚れが取れる。 C:汚れが少し残る。
【0051】
D:汚れが半分程度残る。 E:汚れがほとんど残る。
【0052】
実施例2
式:(CF3CF2(CF2CF2)3CH2CH2O)2P(=O)ONH4で表されるフッ素含有化合物を水中に0.1重量%の固形分濃度で溶解させた水溶液50gを表面処理剤として用いる以外は、実施例1と同様にして装飾クロムメッキ板の表面処理を行い、その後水洗した。得られた処理品について各種性能を評価した。結果を下記表1に示す。
【0053】
比較例1
実施例1で使用した装飾クロムメッキ板について、表面処理を行うことなく、実施例1と同様の方法で各種性能を評価した。結果を下記表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例3
鉄鋼素材を被めっき物として用い、溶剤脱脂及び電解脱脂を行った後、半光沢ニッケルめっき及び光沢ニッケルめっきを順次行った。
【0056】
その後、水洗し、クロム酸200g/lを含むクロムめっき浴を用いて、浴温45℃、電流密度15A/dm2で5分間クロムめっきを行った。
【0057】
次いで、式:(CF3CF2(CF2CF2)3CH2CH2O)2P(=O)ONH4で表されるフッ素含有化合物を1重量%添加した水洗水に、クロムめっきを行った被めっき物を1分間浸漬して水洗し、更に、二回水洗処理を行った後、乾燥した。
【0058】
得られた被めっき物は、均一で良好な光沢を有するものであり、汚れのふき取り性は非常に良好であり、長期間経過後においても、良好な汚れふき取り性を維持できた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき皮膜用表面処理剤及びめっき皮膜の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道の蛇口に代表される水栓は、通常、銅合金等の金属やプラスチックを基材として用い、耐摩耗性、耐食性、平滑性等を向上させることや、優れた美観を付与すること等を目的として、該基材の表面にめっき処理が施されている。
【0003】
めっき皮膜の種類としては、例えば、外装部品については、外観を良くし、腐食し難くするために、ニッケルめっき皮膜を形成した後、クロムめっきが施される例が多い。また、内蔵部品については、スズニッケル合金めっきが施される場合がある。
【0004】
しかしながら、この様なめっき処理を施した場合であっても、水栓や各種外装部品の表面のめっき面に水や雨がかかると、これに含まれるカルシウムやシリカ等の水垢が、白っぽい汚れとしてめっき面に付着して外観が損なわれ易い。このため、表面を清潔で汚れのない状態に保つためには、めっき面を頻繁に手入れする必要があり、非常に煩雑である。また、長期間手入れを怠ると、汚れが硬くこびりついてしまい、その除去が困難になる。
【0005】
水栓などのめっき処理を施した部品について、防汚性を付与して水垢等を付着し難くするための処理方法としては、めっき層上に水垢の固着を抑制する機能を有する被膜を形成する方法が知られており、この様な被膜として、シリコーン被膜が開示されている(下記、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、処理方法がより簡単であって、しかも優れた防汚性能を付与できる防汚処理剤が要望されているのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−295334号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、水栓などのめっき処理が施された面に対して、優れた撥水撥油性能を付与すると共に、水垢を代表とする汚れを付着し難くし、付着した汚れについても容易に除去することを可能とできる、めっき皮膜用表面処理剤及び処理方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来めっき皮膜の防汚剤として用いられたことのない特定のフッ素含有化合物が、めっき皮膜に対する水垢などの汚れ付着防止剤として優れた性能を有することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記のめっき皮膜用表面処理剤及びめっき皮膜の表面処理方法を提供するものである。
1. フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とすることを特徴とするめっき皮膜用表面処理剤。
2. フッ素含有化合物が、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基、並びにカルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルホン酸基及びアミノ基から選ばれた少なくとも一種の基を含む化合物である上記項1に記載のめっき皮膜用表面処理剤。
3. フッ素含有化合物が、下記(1)〜(4)から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1又は2に記載のめっき皮膜用表面処理剤:
(1)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体、
(2)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、
(3)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体とアルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物とから得られるフッ素含有リン酸系エステル金属反応物、
(4)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するカルボン酸又はその塩。
4. めっき皮膜が形成された物品を上記項1〜3のいずれかに記載のめっき皮膜用表面処理剤に接触させることを特徴とするめっき皮膜の表面処理方法。
5. クロムめっきを行った後、上記項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤を含む水洗水に被めっき物を浸漬する工程を含むことを特徴とするクロムめっき処理品の表面処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤は、フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とするものである。この様な化合物は、各種のめっき皮膜に対して優れた付着能力を有すると共に、フッ素含有基の存在によって、めっき面に優れた撥水撥油性能を付与でき、各種の汚れについて優れた付着防止性能を発揮するものである。
【0012】
該フッ素含有化合物において、錯形成能を有する基としては、カルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルホン酸基、アミノ基等を例示できる。これらの基は、一種のみが含まれてもよく、或いは二種以上が同時に含まれてもよい。
【0013】
フッ素含有基としては、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基等を例示できる。これらのフッ素含有基は、一種のみが含まれてもよく、二種以上が同時に含まれてもよい。これらのフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基の内で、好ましい基としては、炭素数3〜21程度の基を挙げることができる。
【0014】
上記したフッ素含有化合物の内で、好ましい化合物としては、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体;上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物とから得られるフッ素含有リン酸系エステル金属反応物;フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するカルボン酸又はその塩:などを挙げることができる。
【0015】
リン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体と反応させてフッ素含有リン酸系エステル金属反応物を形成するために用いる、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物は、リン酸基等との反応により錯化合物あるいは複塩を形成し得る金属化合物であればよく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物が全て該当し、例えば、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などの化合物が挙げられる。これらの化合物は、反応溶媒に可溶性のものならどのような化合物でもよく、例えば、酸化物、水酸化物、硫化物、ハロゲン化物、種々の塩などが含まれる。
【0016】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記リン酸エステルと金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(1)及び(2)で表される化合物を例示できる。
【0017】
【化1】
【0018】
(式中、Rfは、炭素数3〜21のフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基若しくはフルオロエーテル基を示し、R1は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、−CH2CH(OR5)CH2−(式中、R5は水素原子又は炭素数1〜10のアシル基である)、−CH2CH(OH)−、−CONR6−(式中、R6は炭素数1〜5のアルキル基である)、−CH=CHCH2−又は−CH2CHXCH2−(式中、Xはハロゲン原子である)を示し、Mは金属原子又は置換基を有することのあるアンモニウム基を示す。また、jは1〜3の整数、yは(3−j)以下で0〜2の整数、kは3−(j+y)以下で0〜2の整数、tは3−(j+y+k)である)。
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、Rf、R1、M、j、y、k及びtは、上記に同じであり、R3は水素又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜10のアルキレン基を示す。)。
【0021】
上記一般式(1)及び(2)で表される化合物において、Mで表される金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などを例示できる。アンモニウム基の置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などを例示できる。
【0022】
上記一般式(1)及び(2)で表される化合物の具体例を以下に挙げる。尚、下記具体例において、記号aを用いた化学式で表されるものは、a=1,2及び3の混合物であり、bは平均値として25である。
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
更に、上記(1)及び(2)で表される化合物の他に、下記の化合物も好適に用いることができる。これらの化合物において、c+d=2〜200であって、c:d=100:1〜1:100であるか、或いは、cとdのいずれか一方は0である。
【0026】
【化5】
【0027】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するホスホン酸誘導体;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記ホスホン酸誘導体と金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(3)及び(4)で表される化合物を例示できる。
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、Rf、R1、R2及びMは上記に同じ。wは1又は2、xは1又は2、mは0〜2の整数、nは(2−m)以下で0〜2の整数、uは2−(m+n)である。)
上記一般式(3)及び(4)で表される化合物の具体例を以下に挙げる。
【0030】
【化7】
【0031】
フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するホスフィン酸誘導体;それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;上記ホスフィン酸誘導体と金属化合物との反応により形成される塩としては、下記一般式(5)及び(6)で表される化合物を例示できる。
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、Rf、R1、R2及びMは上記に同じ。pは1又は2、qは2−p、sは1又は0、rは(1−s)以下で1又は0、vは1−(s+r)である。)
上記一般式(5)及び(6)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0034】
【化9】
【0035】
フッ素含有基を有するカルボン酸としては、
式:Rf(CH2)nCOOH
(式中、Rfは、前記に同じ。nは0〜10の数を示す。)で表される化合物を例示できる。また、その塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、その他の金属、例えば、クロム、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、タリウム、亜鉛などとの塩等を挙げることができる。
【0036】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤は、上記したフッ素含有化合物を有効成分として含有するものであり、各種のめっき皮膜に対して、優れた撥水撥油性を付与すると共に、汚れ付着防止剤として優れた性能を発揮し得るものである。
【0037】
処理対象とするめっき皮膜の種類については、特に限定的ではなく、例えば、Crめっき、Niめっき、Feめっき、Alめっき、Zrめっき、Tiめっき等のめっき面に対して特に優れた効果を発揮することができる。
【0038】
処理対象とする物品の種類についても、特に限定的ではなく、例えば、水道の蛇口に代表される水栓や、水栓以外の水廻り品、自転車、バイク、自動車、住宅部材などの水や雨にさらされる可能性がある物品等に適用することが好ましい。
【0039】
特に、本発明の表面処理剤は、クロムめっきの施された水栓を処理対象とする場合に、水垢やその他の汚れの付着を防止して、良好な外観を維持することが可能となり、更に、長期間使用時において、水栓の外観を損ねる汚れを容易に除去でき、水栓外面の良好な外観を長期間維持できる点において非常に有用である。
【0040】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤による処理方法については、特に限定は無く、通常、該表面処理剤を溶解乃至分散させた溶液を、処理対象となるめっき面に接触させればよい。具体的な処理方法については、処理対象となる物品の大きさ、形状等によって適宜決めれば良く、例えば、水栓などの比較的小さい物品については、該表面処理剤を溶解乃至分散させた溶液中に浸漬すればよく、住宅部材などの大型の物品については、該溶液を塗布することによって処理しても良い。
【0041】
該表面処理剤を溶解乃至分散させるために用いる溶媒については、特に限定はなく、水、有機溶媒、これらの混合溶媒などを用いることが可能であり、該表面処理剤を均一に溶解乃至分散させることができ、且つ、該表面処理剤を変質させることのないものから適宜選択すればよい。
【0042】
処理溶液中の有効成分の濃度については、特に限定はなく、有効成分を均一に溶解乃至分散させることが可能な範囲内から適宜選択すればよい。通常は、上記した表面処理剤成分を0.005〜30重量%程度、好ましくは0.01〜10重量%程度含む溶液を用いればよい。処理液の温度については、例えば、20〜80℃程度とすればよい。処理時間については、特に限定的ではないが、浸漬によって処理する場合には、10秒〜60分間程度、好ましくは、30秒〜40分間程度の浸漬時間とすればよい。
【0043】
本発明では、特に、表面にクロムめっきを施した物品、例えば水栓等について防汚処理を施す場合には、クロムめっき後の最終的な乾燥仕上げを行う前に、クロムめっき後の水洗槽に本発明の表面処理剤を添加し、水洗処理と同時に表面処理を行うことが好ましい。この様な方法によれば、水垢等の汚れの付着防止について、特に優れた効果を発揮することができる。その理由については明確ではないが、クロムめっき皮膜を乾燥させる前に処理を行うことによって、めっき皮膜の表面に酸化皮膜が形成される前に表面処理を行うことができ、更に、クロムめっき後の水洗槽には、被めっき物に付着して持ち込まれたクロム酸が多量に存在しており、これと表面処理剤成分とが反応し、クロムめっき表面に対する優れた付着性能が発揮されること等が一因と推測される。
【0044】
クロムめっきの水洗槽に表面処理剤を添加する場合には、水洗水中における表面処理剤成分の添加量、処理条件などは、上記した処理条件と同様とすれば良い。使用できるクロムめっき浴の種類についても、特に限定はなく、例えば、クロム酸を主要成分として含む公知の各種のクロムめっき浴を用いる場合に有効に適用できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のめっき皮膜用表面処理剤を用いてめっき面を処理することにより、各種のめっき皮膜に対して優れた撥水撥油性能を付与でき、優れた汚れ付着防止効果を発揮することができる。
【0046】
特に、水栓等のクロムめっき皮膜が形成された物品については、本発明の表面処理剤で処理することによって、水垢を代表とする汚れを付着し難くし、付着した汚れについても容易に除去することができ、良好な美観を長期間維持することが可能となる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0048】
実施例1
鉄鋼素材上に半光沢ニッケルめっき及び光沢ニッケルめっきを施した後、クロムめっき皮膜を形成し、乾燥して得られた装飾クロムメッキ板(25×50mm,厚さ0.8mm)を被処理物として用い、化学式:F(CF2CF2CF2O)nCF2CF2CH2OP(=O)(OH)2(n=25(平均値))で表されるフッ素含有化合物をパーフルオロヘキサン中に0.1重量%の固形分濃度で溶解させた溶液50g中に該被処理物を浸漬し、30秒後に引き上げて室温で乾燥した。
【0049】
得られた処理品について、次の方法により各種性能を評価した。評価結果を表1に示す。
(1)外観
表面の均一性や光沢などの外観について目視により判定した。
(2)接触角
処理表面での水およびヘキサデカンの接触角を静的接触角計により計測した。
(3)水ぶき後の接触角
処理表面を水で湿らせた布で20回手ぶきして風乾後、水およびヘキサデカンの接触角を計測した。
(4)汚れふき取り性
処理表面に汚れ物質としてラー油を付着させ3分間放置した試料、及び処理表面に水道水の水滴を乗せ、室温で乾燥させて汚れ物質として水垢を付着させた試料のそれぞれについて、乾いた綿布で付着した汚れを軽くふき取り、表面に残った汚れの状態をつぎの評価基準に従って目視により判定した。
【0050】
A:汚れが非常に取れやすい。 B:汚れが取れる。 C:汚れが少し残る。
【0051】
D:汚れが半分程度残る。 E:汚れがほとんど残る。
【0052】
実施例2
式:(CF3CF2(CF2CF2)3CH2CH2O)2P(=O)ONH4で表されるフッ素含有化合物を水中に0.1重量%の固形分濃度で溶解させた水溶液50gを表面処理剤として用いる以外は、実施例1と同様にして装飾クロムメッキ板の表面処理を行い、その後水洗した。得られた処理品について各種性能を評価した。結果を下記表1に示す。
【0053】
比較例1
実施例1で使用した装飾クロムメッキ板について、表面処理を行うことなく、実施例1と同様の方法で各種性能を評価した。結果を下記表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例3
鉄鋼素材を被めっき物として用い、溶剤脱脂及び電解脱脂を行った後、半光沢ニッケルめっき及び光沢ニッケルめっきを順次行った。
【0056】
その後、水洗し、クロム酸200g/lを含むクロムめっき浴を用いて、浴温45℃、電流密度15A/dm2で5分間クロムめっきを行った。
【0057】
次いで、式:(CF3CF2(CF2CF2)3CH2CH2O)2P(=O)ONH4で表されるフッ素含有化合物を1重量%添加した水洗水に、クロムめっきを行った被めっき物を1分間浸漬して水洗し、更に、二回水洗処理を行った後、乾燥した。
【0058】
得られた被めっき物は、均一で良好な光沢を有するものであり、汚れのふき取り性は非常に良好であり、長期間経過後においても、良好な汚れふき取り性を維持できた。
Claims (5)
- フッ素含有基及び錯形成能を有する基を含むフッ素含有化合物を有効成分とすることを特徴とするめっき皮膜用表面処理剤。
- フッ素含有化合物が、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基、並びにカルボキシル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、亜硫酸基、スルホン酸基及びアミノ基から選ばれた少なくとも一種の基を含む化合物である請求項1に記載のめっき皮膜用表面処理剤。
- フッ素含有化合物が、下記(1)〜(4)から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項1又は2に記載のめっき皮膜用表面処理剤:
(1)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するリン酸エステル、ホスホン酸誘導体又はホスフィン酸誘導体、
(2)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、
(3)上記リン酸エステル、ホスホン酸誘導体若しくはホスフィン酸誘導体とアルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属化合物とから得られるフッ素含有リン酸系エステル金属反応物、
(4)フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基及びフルオロエーテル基から選ばれた少なくとも一種のフッ素含有基を有するカルボン酸又はその塩。 - めっき皮膜が形成された物品を請求項1〜3のいずれかに記載のめっき皮膜用表面処理剤に接触させることを特徴とするめっき皮膜の表面処理方法。
- クロムめっきを行った後、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤を含む水洗水に被めっき物を浸漬する工程を含むことを特徴とするクロムめっき処理品の表面処理方法。
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