JP2004217464A - 過酸化マグネシウムの製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、特定の反応温度と、それに対応した過酸化水素添加時間の条件下で反応させる。
【効果】高有効酸素含有の過酸化マグネシウムを安定して生産できる。
【効果】高有効酸素含有の過酸化マグネシウムを安定して生産できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、過酸化マグネシウムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
過酸化マグネシウムは、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを多量の水を介在させたスラリー系で反応させることによって得ることができるが、その保存安定性が悪いことから、遅効型酸素発生剤や土壌改良剤としての用途が期待されながらも、その製造方法について十分な検討が行われてこなかった。
特公平4−2521号公報は、過酸化マグネシウムに二酸化炭素、炭酸又はその水溶性塩を作用させて安定化を計る方法を提案し、前記問題点を解決しているが、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物との反応自体については、13.2%〜14.6%の過酸化マグネシウムが得られたと記載するのみで、その反応条件についての記載がないため、反応の詳細な条件は不明である。
本発明者が過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とをスラリー系で単に反応させても、高い有効酸素を持つ過酸化マグネシウムを安定して得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、高い有効酸素(10%以上を意味する)を持った過酸化マグネシウムを安定して製造できる方法を見出すことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、反応温度と過酸化水素の添加時間との間に特定の関係があることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、
yを過酸化水素の添加時間(hr)、xを反応温度(℃)とした時、
xが、5≦x≦40の範囲では、
0<y≦ −0.0006x3 + 0.0282x2 − 0.508x + 16.056
xが、40<x≦60の範囲では、
0<y≦ 0.0055x2 − 0.645x + 19.0
で示される反応温度と添加時間の条件領域で反応を行うことを特徴とする過酸化マグネシウムの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明におけるマグネシウム原料としては、マグネシウムの水酸化物または酸化物が使用される。
本発明で使用する過酸化水素は、工業薬品としてJIS等の規格を満足しているものであれば良い。濃度としては、35〜76重量%のものが使用出来るが、通常45〜60重量%のものを使用する。
マグネシウムの水酸化物または酸化物に対する過酸化水素のモル比は、1.0〜2.0の範囲が良く、さらには、1.2〜1.8、特には、1.4〜1.7の範囲が好ましい。
【0007】
本発明は、基本的にはマグネシウムの水酸化物または酸化物のスラリーに過酸化水素を添加して行く方法であるが、マグネシウムの水酸化物または酸化物は、過酸化水素と同時に添加することが出来る。その場合、水の使用量を少なくすることが出来るので、反応器の体積効率が上がり、また、ろ液の廃棄量を少なくすることが出来るという利点がある。
【0008】
マグネシウムの水酸化物または酸化物を過酸化水素と同時に添加する場合、通常、仕込み全量のマグネシウムの水酸化物または酸化物の内、その0〜55%、好ましくは、30〜55%を最初にスラリーにしておき、そこに残りのマグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加していく。仕込み時は水のみを入れておき、マグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加することも可能である。
【0009】
反応開始時のスラリー濃度は30〜50%の範囲が良く、さらには35〜45%の範囲が好ましい。30%以下では体積効率が悪く、また、ろ液の量が多くなり、その結果として廃液処理量が多くなる。50%以上では、スラリー化が困難である。
【0010】
本発明の反応は、固体と液体の接触によって起こる反応であり、基本的にマグネシウムの水酸化物または酸化物の水媒体スラリーと過酸化水素の反応によって起こり、系内は反応の開始から終了までスラリー系である。
【0011】
本発明の方法において反応温度と、それに対応する過酸化水素の添加時間は極めて重要である。
yを過酸化水素の添加時間(hr)、xを反応温度(℃)とした時、
xが、5≦x≦40の範囲では、
0<y≦ −0.0006x3 + 0.0282x2 − 0.508x + 16.056
xが、40<x≦60の範囲では、
0<y≦ 0.0055x2 − 0.645x + 19.0
で示される反応温度と添加時間の条件領域で反応を行うことが必要である。
具体的には、例えば20℃で反応させる場合、添加時間の上限値は12.3hrである。
【0012】
反応終了後、濾過することにより過酸化マグネシウムの湿潤ケーキを得ることが出来る。これを乾燥して行けば製品とすることが出来るが、スラリーのままスプレードライヤー等によって乾燥して製品化する事も可能である。
濾過によって湿潤ケーキを得る場合には、濾液が出てくる。この濾液は、次の反応の水媒体として使用する事が可能であり、その分廃液量を少なくする事が出来る。
【0013】
湿潤ケーキを得て乾燥する、あるいはスラリーを直接乾燥して、乾燥品あるいは部分乾燥品を得るが、最終製品にする前に炭酸化して安定化することが重要である。炭酸化しない場合には、製品としての保存安定性は悪い。炭酸化する方法は、特公平4−2521号公報に記載されている。
本発明の方法によって得られたスラリーから過酸化マグネシウムを取り出す際に、スラリー中に二酸化炭素を吹き込むと、より有利に製品を得ることが出来る。二酸化炭素の量は、原料であるマグネシウム化合物に対して5〜30重量%の範囲が良く、さらには10〜25重量%の範囲が良い。
【0014】
二酸化炭素の吹き込み無しに、通常の乾燥機で乾燥した場合には、有効酸素の低下が見られる。例えば、ろ過器としてフィルタープレスを使用した場合、湿潤ケーキの厚みが3〜5センチ、大きさ約10〜20センチであり、乾燥時の蒸発面積が小さい。この大きな湿潤ケーキをそのまま乾燥機に入れ乾燥した場合には、有効酸素の低下が起こる。これを回避する方法として、反応後のスラリーに二酸化炭素を吹き込む方法が極めて有効である。
【0015】
二酸化炭素により安定化された過酸化マグネシウム湿潤ケーキは、乾燥工程においてより有効酸素の残存率が高い。二酸化炭素を吹き込む際の温度は、10〜30℃が良く、さらには20〜28℃の範囲が良い。二酸化炭素を吹き込む時間は、15〜120minの範囲が良く、さらには30〜60minの範囲が良い。
以下に実施例を示す。
【0016】
【実施例】
実施例1
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水205.2gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウム116.7g(2.0モル)を加えてスラリー化する。45%の過酸化水素241.8g(水酸化マグネシウムに対して1.6倍モル)を5hrで添加し、その間の液温度を30℃に保つ。過酸化水素添加後、30min間30℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキ(重量 約228g)を得た。この湿潤ケーキの一部、約5gを取り、赤外線式水分計(温度90℃、時間30min)で乾燥し、乾燥品過酸化マグネシウムを得た。(赤外線式水分計は、ケーキ厚さが薄く短時間で乾燥できる)1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、15.1%であった。
【0017】
実施例2〜11及び比較例1〜6
反応温度、過酸化水素の添加時間を変更した他は実施例1と同様にして過酸化マグネシウムを得た。いずれも過酸化水素添加後、30min間反応温度と同じ温度を保った後ろ過している。得られた結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例12
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水269.8gを入れ、撹拌を開始する。酸化マグネシウム80.64gを加えてスラリー化する。60%の過酸化水素113.3g(酸化マグネシウムに対して1.0倍モル)を5hrで添加し、その間の液温度を30℃に保つ。過酸化水素添加後、30minの間30℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキを得た。これをバット上に広げ、105℃の乾燥機で6hr乾燥し、約116gの乾燥品過酸化マグネシウムを得た。1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、13.7%であった。
【0020】
実施例13
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水76.8gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウムを116.7g(2.0モル)用意し、この内の51.2gを添加してスラリー化する。45%H2O2 241.8g(対水酸化マグネシウム1.6倍モル)を、反応温度30℃で添加時間5hrで添加する。それと同時に、残りの水酸化マグネシウム65.5gを平行して添加する。添加終了後30min間30℃を保ち、25℃まで冷却後、ろ過し、湿潤ケーキをバット上に広げて乾燥した。115.1gの過酸化マグネシウムが得られ、有効酸素は12.9%であった。
【0021】
実施例14
水の代わりに、実施例13で得られた「ろ液」を使用した他は、実施例13と同様にして115.3gの過酸化マグネシウムを得た。有効酸素は、12.8%であった。
【0022】
実施例15
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水205.2gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウム116.7g(2.0モル)を加え、スラリー化する。45%H2O2 241.8gを反応温度30℃、添加時間5hrで添加する。添加終了後30min間30℃に保った後、反応スラリーに二酸化炭素23.3g(対水酸化マグネシウム20重量%)を45minで吹き込んだ。(その間、温度を30℃に保つ。)直径9センチのヌッチェでろ過し、ヌッチェごと120℃の乾燥機に1hr入れた。ケーキをヌッチェから取り出し、バット上に広げさらに120℃で1.5hr乾燥した。122.8gの過酸化マグネシウムが得られ、有効酸素は12.4%であった。(ヌッチェごと乾燥する事は、実機における厚みのある湿潤ケーキを想定したもので、実際の乾燥に近い状態を実験で確かめようとしている。)
【0023】
実施例16〜18、比較例7
二酸化炭素の添加量を変えた他は実施例15と同様にして実施例16〜18,及び比較例7を行った。得られた結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明方法によれば、安定して高有効酸素含有の過酸化マグネシウムを得る事が可能となる。
【産業上の利用分野】
本発明は、過酸化マグネシウムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
過酸化マグネシウムは、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを多量の水を介在させたスラリー系で反応させることによって得ることができるが、その保存安定性が悪いことから、遅効型酸素発生剤や土壌改良剤としての用途が期待されながらも、その製造方法について十分な検討が行われてこなかった。
特公平4−2521号公報は、過酸化マグネシウムに二酸化炭素、炭酸又はその水溶性塩を作用させて安定化を計る方法を提案し、前記問題点を解決しているが、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物との反応自体については、13.2%〜14.6%の過酸化マグネシウムが得られたと記載するのみで、その反応条件についての記載がないため、反応の詳細な条件は不明である。
本発明者が過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とをスラリー系で単に反応させても、高い有効酸素を持つ過酸化マグネシウムを安定して得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、高い有効酸素(10%以上を意味する)を持った過酸化マグネシウムを安定して製造できる方法を見出すことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、反応温度と過酸化水素の添加時間との間に特定の関係があることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、
yを過酸化水素の添加時間(hr)、xを反応温度(℃)とした時、
xが、5≦x≦40の範囲では、
0<y≦ −0.0006x3 + 0.0282x2 − 0.508x + 16.056
xが、40<x≦60の範囲では、
0<y≦ 0.0055x2 − 0.645x + 19.0
で示される反応温度と添加時間の条件領域で反応を行うことを特徴とする過酸化マグネシウムの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明におけるマグネシウム原料としては、マグネシウムの水酸化物または酸化物が使用される。
本発明で使用する過酸化水素は、工業薬品としてJIS等の規格を満足しているものであれば良い。濃度としては、35〜76重量%のものが使用出来るが、通常45〜60重量%のものを使用する。
マグネシウムの水酸化物または酸化物に対する過酸化水素のモル比は、1.0〜2.0の範囲が良く、さらには、1.2〜1.8、特には、1.4〜1.7の範囲が好ましい。
【0007】
本発明は、基本的にはマグネシウムの水酸化物または酸化物のスラリーに過酸化水素を添加して行く方法であるが、マグネシウムの水酸化物または酸化物は、過酸化水素と同時に添加することが出来る。その場合、水の使用量を少なくすることが出来るので、反応器の体積効率が上がり、また、ろ液の廃棄量を少なくすることが出来るという利点がある。
【0008】
マグネシウムの水酸化物または酸化物を過酸化水素と同時に添加する場合、通常、仕込み全量のマグネシウムの水酸化物または酸化物の内、その0〜55%、好ましくは、30〜55%を最初にスラリーにしておき、そこに残りのマグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加していく。仕込み時は水のみを入れておき、マグネシウムの水酸化物または酸化物と、過酸化水素を同時に添加することも可能である。
【0009】
反応開始時のスラリー濃度は30〜50%の範囲が良く、さらには35〜45%の範囲が好ましい。30%以下では体積効率が悪く、また、ろ液の量が多くなり、その結果として廃液処理量が多くなる。50%以上では、スラリー化が困難である。
【0010】
本発明の反応は、固体と液体の接触によって起こる反応であり、基本的にマグネシウムの水酸化物または酸化物の水媒体スラリーと過酸化水素の反応によって起こり、系内は反応の開始から終了までスラリー系である。
【0011】
本発明の方法において反応温度と、それに対応する過酸化水素の添加時間は極めて重要である。
yを過酸化水素の添加時間(hr)、xを反応温度(℃)とした時、
xが、5≦x≦40の範囲では、
0<y≦ −0.0006x3 + 0.0282x2 − 0.508x + 16.056
xが、40<x≦60の範囲では、
0<y≦ 0.0055x2 − 0.645x + 19.0
で示される反応温度と添加時間の条件領域で反応を行うことが必要である。
具体的には、例えば20℃で反応させる場合、添加時間の上限値は12.3hrである。
【0012】
反応終了後、濾過することにより過酸化マグネシウムの湿潤ケーキを得ることが出来る。これを乾燥して行けば製品とすることが出来るが、スラリーのままスプレードライヤー等によって乾燥して製品化する事も可能である。
濾過によって湿潤ケーキを得る場合には、濾液が出てくる。この濾液は、次の反応の水媒体として使用する事が可能であり、その分廃液量を少なくする事が出来る。
【0013】
湿潤ケーキを得て乾燥する、あるいはスラリーを直接乾燥して、乾燥品あるいは部分乾燥品を得るが、最終製品にする前に炭酸化して安定化することが重要である。炭酸化しない場合には、製品としての保存安定性は悪い。炭酸化する方法は、特公平4−2521号公報に記載されている。
本発明の方法によって得られたスラリーから過酸化マグネシウムを取り出す際に、スラリー中に二酸化炭素を吹き込むと、より有利に製品を得ることが出来る。二酸化炭素の量は、原料であるマグネシウム化合物に対して5〜30重量%の範囲が良く、さらには10〜25重量%の範囲が良い。
【0014】
二酸化炭素の吹き込み無しに、通常の乾燥機で乾燥した場合には、有効酸素の低下が見られる。例えば、ろ過器としてフィルタープレスを使用した場合、湿潤ケーキの厚みが3〜5センチ、大きさ約10〜20センチであり、乾燥時の蒸発面積が小さい。この大きな湿潤ケーキをそのまま乾燥機に入れ乾燥した場合には、有効酸素の低下が起こる。これを回避する方法として、反応後のスラリーに二酸化炭素を吹き込む方法が極めて有効である。
【0015】
二酸化炭素により安定化された過酸化マグネシウム湿潤ケーキは、乾燥工程においてより有効酸素の残存率が高い。二酸化炭素を吹き込む際の温度は、10〜30℃が良く、さらには20〜28℃の範囲が良い。二酸化炭素を吹き込む時間は、15〜120minの範囲が良く、さらには30〜60minの範囲が良い。
以下に実施例を示す。
【0016】
【実施例】
実施例1
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水205.2gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウム116.7g(2.0モル)を加えてスラリー化する。45%の過酸化水素241.8g(水酸化マグネシウムに対して1.6倍モル)を5hrで添加し、その間の液温度を30℃に保つ。過酸化水素添加後、30min間30℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキ(重量 約228g)を得た。この湿潤ケーキの一部、約5gを取り、赤外線式水分計(温度90℃、時間30min)で乾燥し、乾燥品過酸化マグネシウムを得た。(赤外線式水分計は、ケーキ厚さが薄く短時間で乾燥できる)1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、15.1%であった。
【0017】
実施例2〜11及び比較例1〜6
反応温度、過酸化水素の添加時間を変更した他は実施例1と同様にして過酸化マグネシウムを得た。いずれも過酸化水素添加後、30min間反応温度と同じ温度を保った後ろ過している。得られた結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例12
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水269.8gを入れ、撹拌を開始する。酸化マグネシウム80.64gを加えてスラリー化する。60%の過酸化水素113.3g(酸化マグネシウムに対して1.0倍モル)を5hrで添加し、その間の液温度を30℃に保つ。過酸化水素添加後、30minの間30℃を保ちながら撹拌を続ける。冷却して液温度を25℃まで下げ、固形分を濾過して湿潤ケーキを得た。これをバット上に広げ、105℃の乾燥機で6hr乾燥し、約116gの乾燥品過酸化マグネシウムを得た。1Nの過マンガン酸カリ標準液で滴定し、有効酸素を求めたところ、13.7%であった。
【0020】
実施例13
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水76.8gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウムを116.7g(2.0モル)用意し、この内の51.2gを添加してスラリー化する。45%H2O2 241.8g(対水酸化マグネシウム1.6倍モル)を、反応温度30℃で添加時間5hrで添加する。それと同時に、残りの水酸化マグネシウム65.5gを平行して添加する。添加終了後30min間30℃を保ち、25℃まで冷却後、ろ過し、湿潤ケーキをバット上に広げて乾燥した。115.1gの過酸化マグネシウムが得られ、有効酸素は12.9%であった。
【0021】
実施例14
水の代わりに、実施例13で得られた「ろ液」を使用した他は、実施例13と同様にして115.3gの過酸化マグネシウムを得た。有効酸素は、12.8%であった。
【0022】
実施例15
撹拌羽根、温度計を具備した500ml容量のフラスコに、水205.2gを入れ、撹拌を開始する。水酸化マグネシウム116.7g(2.0モル)を加え、スラリー化する。45%H2O2 241.8gを反応温度30℃、添加時間5hrで添加する。添加終了後30min間30℃に保った後、反応スラリーに二酸化炭素23.3g(対水酸化マグネシウム20重量%)を45minで吹き込んだ。(その間、温度を30℃に保つ。)直径9センチのヌッチェでろ過し、ヌッチェごと120℃の乾燥機に1hr入れた。ケーキをヌッチェから取り出し、バット上に広げさらに120℃で1.5hr乾燥した。122.8gの過酸化マグネシウムが得られ、有効酸素は12.4%であった。(ヌッチェごと乾燥する事は、実機における厚みのある湿潤ケーキを想定したもので、実際の乾燥に近い状態を実験で確かめようとしている。)
【0023】
実施例16〜18、比較例7
二酸化炭素の添加量を変えた他は実施例15と同様にして実施例16〜18,及び比較例7を行った。得られた結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明方法によれば、安定して高有効酸素含有の過酸化マグネシウムを得る事が可能となる。
Claims (5)
- 過酸化水素と、マグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させて過酸化マグネシウムを製造する方法において、
yを過酸化水素の添加時間(hr)、xを反応温度(℃)とした時、
xが、5≦x≦40の範囲では、
0<y≦ −0.0006x3 + 0.0282x2 − 0.508x + 16.056
xが、40<x≦60の範囲では、
0<y≦ 0.0055x2 − 0.645x + 19.0
で示される反応温度と添加時間の条件領域で反応を行うことを特徴とする過酸化マグネシウムの製造法。 - マグネシウムの水酸化物または酸化物に対する過酸化水素のモル比が、1.0〜2.0である請求項1の方法。
- マグネシウムの水酸化物または酸化物の使用全量の内、0〜55%を仕込み時に使用し、残りは過酸化水素の添加と平行して添加する請求項1〜2の方法。
- 過酸化水素とマグネシウムの水酸化物または酸化物とを反応させ、得られた過酸化マグネシウムを濾過した後、濾液の一部または全部を次ぎの反応の水媒体として使用する請求項1〜3の方法。
- 反応後、反応スラリー中に二酸化炭素を、用いた原料であるマグネシウムの水酸化物または酸化物に対して5〜30重量%吹き込む、請求項1〜4の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006558A JP2004217464A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 過酸化マグネシウムの製造法 |
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JP2003006558A JP2004217464A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 過酸化マグネシウムの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004217464A true JP2004217464A (ja) | 2004-08-05 |
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JP2003006558A Pending JP2004217464A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | 過酸化マグネシウムの製造法 |
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JP (1) | JP2004217464A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102220034A (zh) * | 2011-04-15 | 2011-10-19 | 上海实业振泰化工有限公司 | 防发黑添加剂及防发黑高温氧化镁的制作方法 |
JP2016016995A (ja) * | 2014-07-04 | 2016-02-01 | 保土谷化学工業株式会社 | 過酸化マグネシウム粒剤の製造方法 |
-
2003
- 2003-01-15 JP JP2003006558A patent/JP2004217464A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102220034A (zh) * | 2011-04-15 | 2011-10-19 | 上海实业振泰化工有限公司 | 防发黑添加剂及防发黑高温氧化镁的制作方法 |
JP2016016995A (ja) * | 2014-07-04 | 2016-02-01 | 保土谷化学工業株式会社 | 過酸化マグネシウム粒剤の製造方法 |
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