JP2004168752A - 水酸化フラーレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱による水酸化フレーレン自身の変質が少なく、含水率の少ない水酸化フラーレンを得ることができる方法を提供する。
【解決手段】 フラーレンと発煙硫酸とを反応させ、その後加水分解により得られる生成物を、塩基性物質で処理してから乾燥させることを特徴とする水酸化フラーレンの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 フラーレンと発煙硫酸とを反応させ、その後加水分解により得られる生成物を、塩基性物質で処理してから乾燥させることを特徴とする水酸化フラーレンの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は水酸化フラーレンの製造方法に関するもので、特に、熱によっても変質しない水酸化フラーレンを得ることができる水酸化フラーレンの製造方法に関する。フラーレン骨格を有する化合物は、フラーレン骨格が閉殻構造であることから、柔軟性が小さく剛直で、分子サイズを制御しやすいが、本発明で得られる水酸化フラーレンは、更に、親水性があり、水系コーティング材やエマルションに配合して、電気電子部品の保護、絶縁材、接着剤及び塗料等に使用することが出来る。また、含水量が少ないため、水酸基を保護する等の更なる誘導体化反応を収率よくできる上に、アルカリ性水溶液に可溶なため、適当な緩衝剤と組み合わせることにより化粧品等の用途への適用が期待される。
従来より、水酸化フラーレンの製造方法としては、濃いアルカリ性水溶液を用いる方法(例えば、特許文献1参照。以下、濃アルカリ法という。)や、発煙硫酸を使用する方法(例えば、非特許文献1及び特許文献2参照。以下、発煙硫酸法という。)が知られている。
濃アルカリ法は、非常に多数の水酸基の導入が可能な方法として記載されているが、製品が水溶性のため、使用したアルカリ性無機物を中和した後の無機塩と製品の分離が容易に行えないという問題があった。また、本発明者らの検討によると、この方法で得た水酸化フラーレンは、イオンクロマト分析でシュウ酸が検出されたことから、フラーレン骨格が壊れているものが含まれていることがわかった。
濃アルカリ法は、非常に多数の水酸基の導入が可能な方法として記載されているが、製品が水溶性のため、使用したアルカリ性無機物を中和した後の無機塩と製品の分離が容易に行えないという問題があった。また、本発明者らの検討によると、この方法で得た水酸化フラーレンは、イオンクロマト分析でシュウ酸が検出されたことから、フラーレン骨格が壊れているものが含まれていることがわかった。
他方、発煙硫酸法は、水酸基の数が12個前後と前者の方法のものより少ないが、得られた製品は中性で、水に溶けないために製品を分離することが可能という利点がある。この方法では、硫酸の除去が必要となり、具体的には硫酸は水に溶けるので水での洗浄、例えば、製品と水を容器に入れて撹拌し、濾過やデカンテーションで水を除く懸濁洗浄方法や吸引濾過器などに濾紙などを置きその上に製品を敷き、上から水を掛けて洗浄し濾過する振掛洗浄方法によって除去することが知られている。
また、水酸化フラーレンの水酸基を更に誘導体化しようとする場合に水分が存在すると、水酸基の反応性が低くなってしまうことが予想されるが、発煙硫酸法が記載されている文献には、硫酸を除去して分離した製品を真空中、40℃で加熱乾燥して最終製品を得る旨の記載がなされている。しかしながら、本発明者らの検討によると、このような方法では、最終生成品中に3〜5wt%の水分が含まれていること、及び、この乾燥時間を4時間から8時間に延長しても生成品に含まれる含水率を2wt%以下に減らすことはできず、一方、加熱温度を100℃に上げると、含水率は2wt以下%まで減るが、アルカリ性水溶液に不溶になったことから、変質してしまうとことが分かった。
特開平7−48302号公報
Journal of Organic Chemistry,1994年、59巻,3960頁
特開2002−80414号公報
そのため、水酸化フラーレンを変質させずに含まれる水分量を減らす方法が要望されていた。
本発明の要旨は、フラーレンと発煙硫酸とを反応させ、その後加水分解により得られる生成物を、塩基性物質で処理することを特徴とする水酸化フラーレンの製造方法に関する。また、本発明の別の要旨は、含水率が2wt%以下で、且つ0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に1mg以上溶ける水酸化フラーレンに存する。
本発明の方法によると、熱による水酸化フレーレン自身の変質が少なく、含水率の少ない水酸化フラーレンを得ることができる。これにより得られる水酸化フラーレンは、親水性があり、水系コーティング材やエマルションに配合された後の乾燥工程による加熱によっても機能の発現が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法に使用するフラーレンは、炭素原子が球状又はラグビー状に配置して形成される炭素クラスターであり、その炭素数は通常60〜120である。具体的にはC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスターが挙げられる。これらは単一でも混合物であってもよい。これらのうち、製造時における反応原料の入手の容易さからC60又はC70が好ましい。
本発明の方法に使用するフラーレンは、炭素原子が球状又はラグビー状に配置して形成される炭素クラスターであり、その炭素数は通常60〜120である。具体的にはC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスターが挙げられる。これらは単一でも混合物であってもよい。これらのうち、製造時における反応原料の入手の容易さからC60又はC70が好ましい。
フラーレンと発煙硫酸との反応は、従来公知の方法が採用でき、具体的には、50〜60℃で、5〜7時間、窒素等の不活性雰囲気下などの条件で反応させる。不活性雰囲気は乾燥状態であることが好ましい。本発明の方法に使用する発煙硫酸は、従来公知の製品が使用でき、具体的には、市販品として三酸化硫黄含有量が10wt%、30wt%及び60wt%のものなどが挙げられるが、好ましくは30wt%及び60wt%のものである。三酸化硫黄含有量が少なすぎると反応が遅く、また多すぎると発煙が激しくなり取り扱いが困難となる。発煙硫酸の量は、フラーレン1g当たりに対して、3cm3以上で十分だが、反応懸濁液の粘度が高いため十分な撹拌が出来ないので5cm3以上が好ましい。但し、多すぎても反応はこれ以上には進行せず意味をなさないので、5cm3〜10cm3の範囲が好ましい。この反応により、硫酸エステル化フラーレンの懸濁液が得られる。
次に、得られた硫酸エステル化フラーレンを加水分解して水酸化フラーレンを合成する。加水分解方法は、従来公知の方法が採用できるが、フラーレンと発煙硫酸との反応により得られた懸濁液を、冷却した大量の水に移して希釈する方法が好ましい。懸濁液は、硫酸の濃度が高いため非常に危険であり、また濃度が高いため液の粘度が高く濾別が困難であったり、また分離するのに一般的に使用される濾紙や濾布を化学的に痛めてしまうからであり、例えば、懸濁液の中に水を加えると発熱が激しく、製品上余計な熱を与えてしまうため好ましくない。すなわち、この方法により、発煙硫酸に含まれている三酸化硫黄を水と反応させて硫酸にすると同時に、硫酸を希釈して取り扱いやすくできる。
水に移しただけでは硫酸エステル化フラーレンのままであるので、更に、85〜100℃で、好ましくは85〜90℃で、5〜7時間加熱して硫酸エステル部分を加水分解反応させる。加水分解により得られた生成物は、濾過又は遠心分離等を施し、水洗で硫酸を除去する。塩基性物質による処理は、アルカリ性水溶液による洗浄が好ましく、塩基性物質としては、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、アミン等の水に溶かしたときに弱塩基性を呈するものが好ましい。アミン水溶液の具体例としてはメチルアミン水溶液及びジメチルアミン水溶液が挙げられる。これらの中で、アンモニア水及びアミン水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液で洗浄を行う場合は、簡便なアルカリ性水溶液による振掛洗浄、又は効率の良いアルカリ性水溶液による懸濁洗浄等が採用できる。塩基性物質による処理は、処理したものを洗浄した濾液が、好ましくはpH3.0以上、更に好ましくはpH6.0以
上、特に好ましくはpH7.0以上になるまで行う。
不要な水分及び無機物があればこれを除去し、乾燥させる。これらの操作は、塩基性物質での処理後に行った方が不要な副反応がおこりにくいので好ましい。不要な水分の除去は、エバポレーターによる濃縮、濾紙による濾過やフィルタープレス、遠心分離等により行う。この内、濃縮による水の除去が好ましいが、濃縮後に水酸化フラーレン以外の不要な無機物が残っているため、濃縮する場合は、更に水で懸濁洗浄を行う。なお、本発明で使用する水は、脱塩水が好ましい。
上、特に好ましくはpH7.0以上になるまで行う。
不要な水分及び無機物があればこれを除去し、乾燥させる。これらの操作は、塩基性物質での処理後に行った方が不要な副反応がおこりにくいので好ましい。不要な水分の除去は、エバポレーターによる濃縮、濾紙による濾過やフィルタープレス、遠心分離等により行う。この内、濃縮による水の除去が好ましいが、濃縮後に水酸化フラーレン以外の不要な無機物が残っているため、濃縮する場合は、更に水で懸濁洗浄を行う。なお、本発明で使用する水は、脱塩水が好ましい。
不要な水分を除去後の乾燥は、水酸化フラーレンが分解しないように行う。具体的には、高温乾燥ほど効率が良く、乾燥不活性気体の気流下又は真空下で、30℃以上、100℃以下で行うのが好ましい。真空度は3kPa以下が好ましく、2kPa以下が更に好ましい。乾燥時間は、下限が30分、特に2時間、上限が12時間、特に10時間が好ましい。
得られた生成物が水酸化フラーレンであることは、赤外線吸収スペクトル分析において、水酸基が存在し、炭素−水素結合がないこと、及び元素分析で水素と酸素の元素数の値が近いことにより調べることができる。また、マススペクトル分析結果が水酸化体の分子量に一致するかどうか、例えば、C60を原料としたもののm/Z=890がメインピークであった場合、これが、水酸基が10個導入された水酸化体の分子量(12×60+(16+1)×10=890)に一致することから判断することができる。水酸化フラーレンが親水性を有することは、0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して、1mg以上溶解することで確認できる。また、イオンクロマト分析によるシュウ酸の検出から、濃アルカリ法で得られる水酸化フラーレンがフラーレン骨格が壊れたものを含んでいることがわかったが、本発明で得られる水酸化フラーレンからはシュウ酸は検出されない。具体的には、本発明では、イオンクロマト分析によるシュウ酸濃度が、好ましくは1wt%以下、更に好ましくは0.1wt%以下、特に好ましくは100ppm以下、最も好ましくは10ppm以下であるものが得られる。
本発明の方法により得られる水酸化フラーレン中は、好ましい条件で乾燥を行えば2wt%以下、更に好ましい条件では1wt%以下、特に好ましい条件では0.5wt%以下の含水率にすることが可能である。水酸化フラーレン中の含水率は、三菱化学製のカールフィッシャー試薬SS(力価2.5−3.5mgH2O/cm3)と三菱化学製の脱水溶剤CPを用いて、室温にて容量滴定法で定量される。また、本発明の方法により得られるアルカリ性水溶液に可溶な水酸化フラーレンは、例えば、0.1wt%水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して、1mg以上溶解し、更に好ましくは10mg以上溶解し、特に好ましくは40mg以上溶解する。
含水率が低く、アルカリ性水溶液に可溶な水酸化フラーレンは、水酸基を容易にアニオン化できるため、水酸基への保護基導入等が容易になり、各種フラーレン誘導体原料としての用途が期待される。例えば、フラーレンとしてC60を用いた場合には、C60(OH)n(n=8、10又は12)の水酸化フラーレンを得ることができるが、これらは、燃料電池のプロトン伝導性電解質、1次あるいは2次電池の電解液添加剤、極材添加剤あるいは極材表面処理剤などに使うことが出来る。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
30wt%発煙硫酸(和光純薬製)5cm3を、ガラス製50cm32口フラスコに入れ乾燥窒素を吹き込みながらC60(フロンティアカーボン(株)社製)1gを加え、内
温60℃で5時間加熱撹拌した。これを氷冷した脱塩水20cm3にゆっくり滴下し、濾紙を使って生成物を濾過した。濾紙に残った赤色固体は、脱塩水30cm3を使ってガラス製200cm34つ口フラスコに移し、内温100℃で5時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後濾紙を使って濾過し、さらに脱塩水30cm3で懸濁洗浄し、その後、2.5wt%アンモニア水をpHが7.30になるまで添加して15分間攪拌を行い、エバポレーターで濃縮、得られた固体を真空中(圧力1.5kPa)40℃で4時間乾燥し、赤褐色固体(水酸化フラーレン)1.2gを得た。
実施例1
30wt%発煙硫酸(和光純薬製)5cm3を、ガラス製50cm32口フラスコに入れ乾燥窒素を吹き込みながらC60(フロンティアカーボン(株)社製)1gを加え、内
温60℃で5時間加熱撹拌した。これを氷冷した脱塩水20cm3にゆっくり滴下し、濾紙を使って生成物を濾過した。濾紙に残った赤色固体は、脱塩水30cm3を使ってガラス製200cm34つ口フラスコに移し、内温100℃で5時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後濾紙を使って濾過し、さらに脱塩水30cm3で懸濁洗浄し、その後、2.5wt%アンモニア水をpHが7.30になるまで添加して15分間攪拌を行い、エバポレーターで濃縮、得られた固体を真空中(圧力1.5kPa)40℃で4時間乾燥し、赤褐色固体(水酸化フラーレン)1.2gを得た。
得られた赤褐色固体は、親水性を有し、赤外線吸収スペクトルで3400cm−1、1400cm−1及び1040cm−1に吸収があることより水酸基の存在が認められた。更には、炭素水素結合の吸収が現れる領域である、3050〜2900cm−1には吸収がなかったことから、水素は炭素ではなく酸素と結合しており、水酸化フラーレン(C60(OH)n)が生成していることが判明した。元素分析では、C:73.2wt%、H:1.1wt%、O:24.8wt%、N:0.3wt%、S:0.4wt%であり、元素組成比は、炭素を60.0とすると、H:11、O:15.3、S:0.1(H/C=11/60)と算出された。マススペクトルでは、m/Z=890のピークがもっとも強く、次に、m/Z=856と924のピークが強かった。これは、各々、水酸基が10、8、12個導入された水酸化フラーレンの分子量に相当することから、概ね導入された水酸基の数(n)が8と10と12の混合物であると考えられた。含水率は、三菱化学製のカールフィッシャー試薬SS(力価2.5−3.5mgH2O/cm3)と三菱化学製の脱水溶剤CPを用いて容量滴定法で測定したところ5.6wt%であった。また、0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して45mg溶解した。イオンクロマト分析(検出限界は10ppm)で、シュウ酸は検出されなかった。
実施例2
実施例1と同様の方法で得た赤褐色固体(水酸化フラーレン)に真空中(圧力1.5kPa)100℃で4時間乾燥処理を施し、熱による変質の有無と含水率を調べた。水酸化フラーレンの含水率は0.5wt%に減少した上、0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して40mgの溶解性を有するものであったことから、加熱乾燥により変質していないことが分かった。また、親水性を有しており、イオンクロマト分析(検出限界は10ppm)でシュウ酸は検出されなかった。
実施例1と同様の方法で得た赤褐色固体(水酸化フラーレン)に真空中(圧力1.5kPa)100℃で4時間乾燥処理を施し、熱による変質の有無と含水率を調べた。水酸化フラーレンの含水率は0.5wt%に減少した上、0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して40mgの溶解性を有するものであったことから、加熱乾燥により変質していないことが分かった。また、親水性を有しており、イオンクロマト分析(検出限界は10ppm)でシュウ酸は検出されなかった。
比較例1(発煙硫酸法)
実施例1の反応において、2.5wt%アンモニア水で濾液のpHが7.30になるまで洗浄を行う代わりに、その前の脱塩水洗浄を濾液のpHが2.0になるまで行った他は、実施例1と同様な方法で、赤褐色固体1.2gを得た。
得られた赤褐色固体は、元素分析を行ったところ、C:73.4wt%、H:1.3wt%、O:25.2wt%、N:0.5wt%、S:0.2wt%であり、元素組成比は、炭素を60.0とすると、H:13、O:15.5、S:0.1(H/C=13/60)と算出された。含水率は、三菱化学製のカールフィッシャー試薬SS(力価2.5−3.5mgH2O/cm3)と三菱化学製の脱水溶剤CPを用いて容量滴定法で測定したところ、4.5wt%であった。0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して46mg溶解した。
実施例1の反応において、2.5wt%アンモニア水で濾液のpHが7.30になるまで洗浄を行う代わりに、その前の脱塩水洗浄を濾液のpHが2.0になるまで行った他は、実施例1と同様な方法で、赤褐色固体1.2gを得た。
得られた赤褐色固体は、元素分析を行ったところ、C:73.4wt%、H:1.3wt%、O:25.2wt%、N:0.5wt%、S:0.2wt%であり、元素組成比は、炭素を60.0とすると、H:13、O:15.5、S:0.1(H/C=13/60)と算出された。含水率は、三菱化学製のカールフィッシャー試薬SS(力価2.5−3.5mgH2O/cm3)と三菱化学製の脱水溶剤CPを用いて容量滴定法で測定したところ、4.5wt%であった。0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して46mg溶解した。
熱による変質の有無と含水率については、この赤褐色固体を真空中(圧力1.5kPa)100℃で4時間乾燥処理後の含水率は、0.7wt%と低下したが、0.1wt%水酸化ナトリウム水溶液1cm3に対して1mg入れても明かな不溶分が認められ、殆ど溶解せず、水酸化フラーレンが変質していることが分かった。また、100℃乾燥の代わりに、40℃で乾燥を行ったところ、含水量の減少は認められなかった。
本発明の方法によると、熱による水酸化フレーレン自身の変質が少なく、含水率の少ない水酸化フラーレンを得ることができる。これにより得られる水酸化フラーレンは、親水性があり、水系コーティング材やエマルションに配合された後の乾燥工程による加熱によっても機能の発現が可能となる。
Claims (5)
- フラーレンと発煙硫酸とを反応させ、その後加水分解により得られる生成物を、塩基性物質で処理することを特徴とする水酸化フラーレンの製造方法。
- 塩基性物質による処理を、アルカリ性水溶液による洗浄で洗浄後の液がpH3.0以上となるまで行うことを特徴とする請求項1記載の水酸化フラーレンの製造方法。
- 加水分解が、フラーレンと発煙硫酸とを反応させた懸濁液を水の中に移して希釈した後、85〜100℃で、5〜7時間加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の水酸化フラーレンの製造方法。
- 塩基性物質で処理した後に乾燥を真空中、30〜100℃で行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の水酸化フラーレンの製造方法。
- 含水率が2wt%以下で、且つ0.1wt%の水酸化ナトリウム水溶液1cm3に1mg以上溶ける水酸化フラーレン。
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WO2008096763A1 (ja) * | 2007-02-09 | 2008-08-14 | Osaka University | 相間移動触媒およびポリ水酸化フラーレンの製造方法 |
WO2012011245A1 (ja) | 2010-07-20 | 2012-01-26 | キヤノン株式会社 | 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
US9085463B2 (en) | 2011-01-17 | 2015-07-21 | Marelle, Llc | Water-soluble functionalized fullerenes |
US10961414B2 (en) | 2018-07-23 | 2021-03-30 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Polishing slurry, method of manufacturing the same, and method of manufacturing semiconductor device |
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2003
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