JP2012218985A - フルオロスルホン酸リチウムの製造方法、およびフルオロスルホン酸リチウム - Google Patents

フルオロスルホン酸リチウムの製造方法、およびフルオロスルホン酸リチウム Download PDF

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Abstract

【課題】従来知られている方法では、反応性の高い三酸化硫黄(またはこれを含む発煙硫酸)を用いる必要があったり、加水分解によってフッ化水素を生成するガス状無機フッ化物の副生を伴う為、一般的な反応設備での実施は困難でその対策も必要であり、また、その他の方法でも生成物に酢酸が吸着する可能性が高く、その除去が問題となると考えられるため、本発明はこれらの問題に鑑みて、温和な条件で高純度のフルオロスルホン酸リチウムを安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】非水溶媒中で、ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸との反応工程を経て得ることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオロスルホン酸リチウムの製造方法、およびフルオロスルホン酸リチウムに関する。詳しくは、非水溶媒中において、ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸とを反応させることによる、フルオロスルホン酸リチウムの製造方法、およびフルオロスルホン酸リチウムに関する。
携帯電話、ノートパソコン等のいわゆる民生用の電源から自動車用等の駆動用車載電源や定置用大型電源等の広範な用途にリチウム二次電池等の非水系電解液二次電池が実用化されつつある。しかしながら、近年の非水系電解液二次電池に対する高性能化の要求はますます高くなっている。
これまで、非水電解液二次電池の特性を改善するための手段として、数多くの技術が検討されている。例えば特許文献1には、フルオロスルホン酸リチウムを電解質とすると、60℃充放電サイクル評価時の放電容量が高い電池が得られることが記載されている。
このフルオロスルホン酸リチウムを製造する方法については、以下の二法が報告されているのみである。
非特許文献1では、フルオロスルホン酸アンモニウムと水酸化リチウム水溶液を混合してフルオロスルホン酸リチウムの三水和物を得たと報告している。
しかしながら、この手法では、一旦アンモニウム塩を合成した後、改めてリチウム塩へのカチオン交換を実施している為、煩雑であり、かつ脱離するアンモニアの混入が懸念される。
また、同文献内ではフルオロスルホン酸カリウム塩が、加水分解性を有することと報告されており、リチウム塩もその可能性が高いことから、水和物が長期に安定に保存出来るかどうか懸念が残る。
さらには、電解液に溶解した際にこの水が六フッ化リン酸リチウムを分解してフッ化水素を副生するという悪影響を与えることからこの結晶水を予め取り除く必要があり、さらに操作が煩雑になる。
特許文献2では、各種溶液中で塩化リチウム又は硫酸リチウムと、各種ナトリウム塩・カリウム塩との塩交換反応により、各種リチウム塩を製造可能なことが記載されており、その中にフルオロスルホン酸リチウムも含まれている。しかしながら、本特許文献の実施例は、水溶液中にて、水に安定な硝酸リチウム、臭化リチウムを製造しているのみで、加水分解性の疑われるフルオロスルホン酸リチウムを製造する実施例は報告されていない。また、本特許文献においては、目的物である各種リチウム塩と、副生物であるナトリウム又はカリウムの塩化物塩又は硫酸塩の分離には、その溶解度差を利用している。溶液を濃縮することで溶解度の低い副生物を先に析出させ、これを濾別することで目的物の各種リチウム塩を溶解させた溶液を取り出すことにより、単離している。この手法では、目的物であるリチウム塩と副生物塩の溶解度の差が大きな溶媒を用いなければ高い回収率は望めず、フルオロスルホン酸リチウムの製造方法に適応した場合の回収率は未知数である。
一方、リチウムと同じアルカリ金属であり、リチウムよりも広く用いられることの多いナトリウム・カリウムの塩については、以下のような製造方法が知られている。
(1)フッ化ナトリウム・カリウムと、三酸化硫黄又は発煙硫酸を反応させる方法(特許文献3、4及び非特許文献2)
(2)無機フッ化物塩と三酸化硫黄との反応(非特許文献3(六フッ化ケイ酸塩)、非特許文献4(六フッ化リン酸塩))
(3)酢酸溶媒中、フルオロスルホン酸と酢酸カリウムとの塩交換反応(非特許文献5)
特開平7−296849号公報 WO1998013297公報 DE1010503公報 SU223070公報
Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft (1919), 52B 1272 Inorganic Chemistry (1967), 6(2), 416 Journal of Fluorine Chemistry (1984), 24(4), 399 Synthesis and Reactivity in Inorganic and Metal-Organic Chemistry (1992), 22(10), 1533 Journal of the Chemical Society [Section] A、(1967), (3), 355
しかしながら、上記(1)については、反応性が高い三酸化硫黄(またはこれを含む発煙硫酸)を用いる必要があり、(2)については、加水分解によってフッ化水素を生成するガス状無機フッ化物の副生を伴う為、双方とも一般的な反応設備での実施は難しく、それに伴う製造コストが増大する課題がある。(3)については、生成物に酢酸が吸着する可能性が高く、その除去が問題となると考えられる。そこで、本発明は、上記のような問題を鑑みて、温和な条件で高純度のフルオロスルホン酸リチウムを安定に製造する方法を提供する。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非水溶媒を用いると、強酸であるフルオロスルホン酸と、強酸の塩であるハロゲン化リチウムが常圧下室温において意外にも容易に反応し、温和な条件でフルオロスルホン酸リチウムを高い収率で製造することが可能であることを見出した。さらに、この方法において、水を含む非水溶媒にほぼ完溶させた後に固体として回収することにより、不純物として混入するハロゲン分を除去することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、非水溶媒中で、ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸との反応工程を経て得ることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムの製造方法、に関するものであり、
前記反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムを、非水溶媒中から固体として回収する固液分離工程を含むことが好ましく、
前記反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作を少なくとも一回行うことが好ましく、
前記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作により得られたフルオロスルホン酸リチウムを、非水溶媒溶液中から固体として回収する固液分離工程を少なくとも一回含むことが好ましく、
前記反応工程で用いる非水溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒であることが好ましく、
前記非プロトン性極性有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることが好ましく、
前記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作で用いる、当該水を含む非水溶媒溶液中の非水溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒であることが好ましく、
前記非プロトン性極性有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記フルオロスルホン酸リチウムの製造方法により得られたフルオロスルホン酸リチウムのハロゲン元素の含有量が0.01mol/kg以下であることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムに関し、また、ハロゲン元素の含有量が0.01mol/kg以下であることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウム、に関する。
本発明の製造方法を用いることにより、高純度なフルオロスルホン酸リチウムを、温和な条件で高い収率にて製造することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
<フルオロスルホン酸リチウムの製造方法>
<1.ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸との反応工程>
本発明は、非水溶媒中で、ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸との反応工程を経て得ることによりフルオロスルホン酸リチウムを製造する方法、に関するものである。
本発明にて用いられるハロゲン化リチウムは、特に限定はされないが、入手の容易さから、弗化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、沃化リチウムが好ましい。さらに、反応性の高さから、塩化リチウム、臭化リチウム、沃化リチウムが好ましい。さらに、安価であることから、塩化リチウム、臭化リチウムであることが好ましい。さらに、製造時の副生物の発生質量の少なさから塩化リチウムが最も好ましい。
これらのハロゲン化リチウムは単独で用いても組み合わせてもよいが、操作を複雑にしない為に単独で用いることが好ましい。
本発明の反応工程に用いられるハロゲン化リチウムは、市販のものをそのまま用いても精製して用いても良く、他の化合物から製造して用いてもよい。純度については特に限定はされないが、フルオロスルホン酸リチウム中にハロゲン化リチウム由来の不純物が残存することにより、電池等の性能が悪化することが懸念される為、より高純度であることが好ましく、好ましくは99質量%以上で有ることが好ましい。
本発明の反応工程に用いられるフルオロスルホン酸は、市販のものをそのまま用いても精製して用いても良く、他の化合物から製造して用いてもよい。純度については特に限定はされないが、フルオロスルホン酸リチウム中にフルオロスルホン酸由来の不純物が残存することにより、電池等の性能が悪化することが懸念される為、より高純度であることが好ましく、好ましくは99質量%以上で有ることが好ましい。
本発明の反応工程に用いられるフルオロスルホン酸とハロゲン化リチウムとの仕込み比は、特に限定はされないが、比率が1:1から大きく外れないことが、原料の消費効率の観点から好ましい。
本発明の反応工程に用いられるフルオロスルホン酸とハロゲン化リチウムとの比は、好ましくはフルオロスルホン酸に対するハロゲン化リチウムの比が、通常1モル倍以上、さらに好ましくは1.01モル倍以上、さらに好ましくは1.05モル倍以上である。一方、その上限値としては、通常、2モル倍以下、好ましくは1.5モル倍以下、さらに好ま
しくは1.2モル倍以下である。
フルオロスルホン酸に対するハロゲン化リチウムの量比を上記範囲内調整すると煩雑な精製工程を経ることなく高純度のフルオロスルホン酸リチウムが高収率で製造できるために好ましい。
本発明の反応工程に用いられる非水溶媒は、水以外であれば特に限定はされないが、フルオロスルホン酸が強いプロトン酸であることから、プロトン酸との反応性が低い非水溶媒が好ましい。また、生成したフルオロスルホン酸リチウムの溶解性が極端に低くないものは、安定して反応させられることから好ましい。反応工程に用いられる非水溶媒に対するフルオロスルホン酸リチウムの溶解度は、室温において好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
また、反応工程に用いられる非水溶媒の沸点は、常圧にて300℃以下が好ましく、さらに200℃以下が好ましく、さらに150℃以下が好ましい。沸点が上記範囲外にあると、用いる溶媒に依るが、得られるフルオロスルホン酸リチウム中に残留し、電池性能に悪影響を与える場合がある。
本発明の反応工程に用いられる非水溶媒は、具体的には、無水弗酸又は有機溶媒が好ましく、その中でも有機溶媒がより好ましく、特に、非プロトン性極性有機溶媒が好ましい。非プロトン性極性有機溶媒としては、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸メチル等の鎖状スルホン酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル等の鎖状ニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;等が挙げられる。
これらの中でも、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル等の鎖状ニトリル;が好ましく、さらにはその入手の容易性から、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチル、アセトニトリルが好ましい。
一方、残留した場合の電池特性等に与える影響から、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステルが好ましい。これらのことから、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルが最も好ましい。
これらの非水溶媒は単独で用いても組み合わせてもよいが、操作を複雑にしない為に単独で用いることが好ましい。
本発明の反応工程に用いる非水溶媒のフルオロスルホン酸に対する比率は、特に限定されないが、好ましくは体積比100倍以下、さらに好ましくは50倍以下、さらに好ましくは25倍以下である。また、反応に用いる溶媒のフルオロスルホン酸に対する比率は、好ましくは体積比2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、さらに好ましくは5倍以上である。上記範囲内にあると、製造の効率に優れ、得られるフルオロスルホン酸リチウムが反応中に過度に析出することなく、攪拌を阻害する等の問題が発生し難くなる。
また、本発明の反応工程を開始する際の温度は、特に限定されないが、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。また、反応を行う際の温度は、好ましくは−20℃以上、さらに好ましくは−10℃以上、さらに好ましくは0℃以上である。本発明の反応工程を開始する際の温度が上記範囲内にあると、溶媒の揮発や予測されざる副反応の発生等の問題が生じにくく、反応速度の低下等の問題も防ぐことができる。
本発明の反応工程における反応系への投入の順序は、特に限定はされず、フルオロスルホン酸の溶液を攪袢させながら固体のハロゲン化リチウムを投入しても、固体のハロゲン化リチウムを溶媒中に懸濁させながら、フルオロスルホン酸を滴下してもよい。また滴下するフルオロスルホン酸は溶媒に希釈してなくとも、希釈されていてもよい。ここで、フルオロスルホン酸を溶媒に希釈して滴下する場合、好ましくは体積比5倍以下、さらに好ましくは3倍以下、さらに好ましくは2倍以下である。希釈溶媒の量が上記範囲内であると、反応系内の溶媒の総量が適量となる。
本発明の反応工程における投入の時間は、特に限定はされないが、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。また、本発明の反応における投入の時間は、好ましくは1分以上、さらに好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分以上である。本発明の反応工程における投入の時間が上記範囲内にあることで、製造効率に優れる。
本発明の反応工程における投入時の温度は、特に限定されないが、好ましくは開始時の温度+20℃以下、さらに好ましくは+10℃以下、さらに好ましくは+5℃以下である。本発明の反応における投入時の温度は、好ましくは開始時の温度−20℃以上、より好ましくは−10℃以上、さらに好ましくは−5℃以上であり、開始時の温度前後に保つことが特に好ましい。本発明の反応工程における投入時の温度が上記範囲内にあると、溶媒の揮発や予測されざる副反応の発生等の問題や反応速度の低下等の問題が生じにくくなる。
本発明の反応工程においては投入後に熟成工程を経ることが好ましい。前記熟成工程での熟成中の温度は特に限定されないが、反応時の温度に対して+100℃以下が好ましく、さらに+80℃以下が好ましく、さらに+50℃以下が好ましい。また、熟成時の温度は、反応時の温度に対して+5℃以上が好ましく、さらに+10℃以上が好ましく、さらに+20℃以上が好ましい。熟成工程での熟成中の温度が上記範囲であると、溶媒の揮発や予測されざる副反応の発生等の問題や反応速度の低下等の問題が生じにくくなる。
また、投入時の温度より高くとも低くとも構わないが、熟成の効果を高める為には高い方が好ましい。
熟成工程の温度が上記範囲内であると、溶媒の揮発や副反応の発生等が抑制され、また製造の効率が良好となるために熟成の効果を十分に得ることができる。
本発明の反応工程における上記熟成工程の時間は、特に限定はされないが、好ましくは20時間以下、さらに好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。また、本発明の反応における反応の時間は、好ましくは1分以上、さらに好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上である。熟成工程の時間が上記範囲内であると、製造の効率が良好となり、熟成の効果を十分に得ることができる。
本発明の反応工程時の雰囲気は特に制限されないが、原料のフルオロスルホン酸や生成物のフルオロスルホン酸リチウムが水によって分解する懸念があることから、外気を遮断した雰囲気下で混合を行うことが好ましく、乾燥空気又は、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下で混合を行うことがより好ましい。これら気体は反応工程開始時に設備内に導入した後に密閉されてもよいし、連続的に装置内に供給・排出してもよい。
本発明の反応工程における反応の設備は、一般的な化学品製造に用いられる材質であれば特に限定はされないが、万が一大気中の水が混入してフルオロスルホン酸が加水分解した場合弗酸を生成する可能性が有る為、弗酸に腐蝕されにくい材質を使用することが好ましく、特に、反応槽等反応溶液と長時間接する部位に関して弗酸に腐蝕されない材質を使用することが好ましい。具体的には反応槽にガラス類以外を使用することが好ましい。
本発明の反応工程では、詳細は不明であるが、ハロゲン化水素を発生させながらフルオロスルホン酸リチウムを製造する。本発明に用いられる設備中に、副生して気化したハロゲン化水素を除去する設備を有する事が好ましい。ハロゲン化水素を除去する方法としては、固体塩基と反応や、固体吸着剤への吸着、水等の溶媒への吸収等を行った後に中和無害化する方法が挙げられるが、その中でも水等への吸収が最も簡便で好ましい。
水等の溶媒への吸収を実施する場合は、溶媒中に塩基を溶解させた溶液を用いる事で吸収と無害化を一段階で行っても良いし、後から塩基を投入する、イオン交換処理を行う等の二段の方法を用いても良い。溶媒としては特に限定はされないが、これらの処理の容易さから水を用いることが最も好ましい。吸着の方法としては、系内のハロゲン化水素を含む気体を溶媒中に吹き込んだり、溶媒が散布されている中に通したりすることが出来る。
系中のハロゲン化水素を含む気体は、反応容器に密閉された気体を加圧・減圧にて抜き出し処理を行うことが出来る。また連続的に気体が装置内に供給されている場合は、排出される気体が連続的に除去されることが好ましい。
<2.(粗)フルオロスルホン酸リチウムを、非水溶媒(溶液)中から固体として回収する固液分離工程>
反応工程後の溶液から、粗フルオロスルホン酸リチウム或いはフルオロスルホン酸リチウムを固体として回収する方法に関しては特に限定はされない。
反応工程時にハロゲン化リチウムを過剰に用いた場合は、過剰なハロゲン化リチウムの不溶分をはじめに分離しておくことが望ましい。ハロゲン化リチウムの不溶分の分離方法に関しては特に限定されず、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等の濾過、静置、遠心による沈降して上澄みを取り出す等を用いることが出来、さらにこれらの手法を組合せたり同一に手法を繰り返したりすることが出来る。
反応工程時に用いた溶媒を取り除く方法については、特に限定はされないが、濃縮留去等を用いることが出来る。濃縮留去を行う際の温度は特に限定されないが、反応時の温度を大きく超えない温度に制御することが好ましい。好ましくは熟成時の温度に対して+50℃以下が好ましく、さらに+40℃以下が好ましく、さらに+30℃以下が好ましい。濃縮留去を行う際の圧力は常圧、減圧のどちらでも構わないが、濃縮の際の好ましい温度に合わせて設定される必要がある。濃縮留去時の温度は、高過ぎない方が予測されざる副反応の発生等の問題を回避することが容易となる。
反応時に用いた溶媒を取り除く量については、特に限定されず、乾固させても一部残存させてもよいが、完全に乾固させない場合は、結晶化による精製効果が期待できる為好ましい。
反応時に用いた溶媒を残存させる量に関して、上限値としては、投入したフルオロスルホン酸の体積比で20倍以下が好ましく、さらに体積比で15倍以下が好ましく、さらに体積比で10倍以下が好ましい。上記範囲内であると、固体として回収する際の回収率が高くなる為、好ましい。一方で、下限値としては、投入したフルオロスルホン酸の体積比で1倍以上が好ましく、さらに体積比で3倍以上が好ましく、さらに体積比で5倍以上が好ましい。上記範囲内であると、粘稠なスラリー状態になり難く、取扱いが容易となる。但し、固体として取扱いが可能になるまで乾固させた場合はこの限りではない。
反応工程時に用いた溶媒を残存させた場合は、この溶媒と固体を分離する必要が有る。分離方法に関しては特に限定されず、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等の濾過、静置、遠心による沈降して上澄みを取り出す等の方法を採用することが出来る。
なお、本工程にて溶液中に残存するハロゲン化水素が気化して放出される可能性があるが、この放出された気体は反応工程中のハロゲン化水素の除去と同様、処理することが好ましい。処理の方法としては反応工程中の処理法の中から選ぶことが出来、方法が同一であっても異っていても良い。
<3.粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作>
本発明においては、1.の反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作を行うことが好ましく、当該粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作は、1.の反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムを固体として回収する前に行っても良く、非水溶媒中から固体として回収する固液分離工程を経て、得られた粗フルオロスルホン酸リチウムに対して、行ってもよい。
すなわち、反応工程後のいずれかの段階で、粗フルオロスルホン酸リチウムと水を含む非水溶媒溶液とを接触させる工程を行うことが好ましい。
本発明により得られたフルオロスルホン酸リチウムと本操作を経ないで得られたフルオロスルホン酸リチウムと比較すると、本発明により得られたフルオロスルホン酸リチウムの方が、含有するハロゲン元素の量が少なくなる。
本操作の効果は、詳細は詳らかではなく特に限定はされないが、フルオロスルホン酸とハロゲン化リチウムを反応させてフルオロスルホン酸リチウムを製造する工程にて、一部クロロスルホン酸及び/又はクロロスルホン酸リチウムが副生していると考えられる。
フルオロスルホン酸リチウムと比較し、クロロスルホン酸及びクロロスルホン酸リチウムは水との反応性が高く、少量の水によって優先的に加水分解し、比較的除去の容易なハロゲン化水素、ハロゲン化リチウムのいずれかを生成すると考えられる。一方で本工程を経ない場合は、構造に類似性の高いクロロスルホン酸及びクロロスルホン酸リチウムが、他の精製法では除去するのが困難であると推定される。
水を含む非水溶媒溶液とを接触させる方法については特に限定されないが、洗浄、再結晶、再沈殿等の精製の工程の内の一回以上において少量の水を混入させた非水溶媒を接触させる方法が好ましい。また、反応後の反応液へ少量の水を混入させた非水溶媒を導入してもよい。これらの中では、再結晶、再沈殿工程時の処理が精製効果を有する為好ましく、特に、再結晶時の処理が高い精製効果を有するためより好ましい。
洗浄の場合は予め水を混入させた溶媒を用いることが好ましい。一方、再結晶・再沈殿の場合は、水は予め混入させた溶媒を用いて溶解させても、溶解させた後に水を添加させてもよいが、反応の均一性を保つ為に、溶解させた後に水を添加させることが好ましい。また、溶解前の固体に水を添加した後に非水溶媒を加えて溶解させることは、水の効果が不均一になる為好ましくない。本工程を経ることによって加水分解により少量の不溶物が出ることが考えられる、非水溶媒中からフルオロスルホン酸リチウムを固体として回収する前に、不溶物を分離して置くことが好ましい。
水の添加量は、少な過ぎると、ハロゲン元素を十分に除去しきれない為好ましくない。推定される不純物であるクロロスルホン酸及び/又はクロロスルホン酸リチウムを十分に加水分解できないためと考えられる。一方、多すぎると収量が低下し好ましくない。クロロスルホン酸及び/又はクロロスルホン酸リチウムを分解した後に残った水がフルオロスルホン酸リチウムを加水分解する為と考えられる。水の添加量は、本工程を行う直前に分析して得られたハロゲン分とモル比1:1以上で有ることが好ましく、さらに好ましくは1:1.02以上で有ることが好ましく、さらに好ましくは1:1.05以上で有ることが好ましい。
また水の添加量は、本工程を行う直前に分析して得られたハロゲン分とモル比1:3以下で有ることが好ましく、さらに好ましくは1:2以下で有ることが好ましく、さらに好ましくは1:1.5以下で有ることが好ましい。
本工程を再結晶又は再沈殿の工程にて実施した場合は、そのまま結晶化・沈殿させたものを最終製品としてもよいが、再度水を含まない溶媒系から再結晶又は再沈殿にて精製を実施することが好ましい。
<4.精製工程>
本発明においては、フルオロスルホン酸リチウムの純度を更に上げるために、精製工程を経ることが好ましい。具体的には、(粗)フルオロスルホン酸リチウムを非水溶媒に接触させた後、洗浄、再結晶、再沈殿等の操作を経ることにより、高純度化できる。前記操作の中でも、再結晶法を用いることがより好ましい。さらには、再結晶法行った後に洗浄を行うことが好ましい。再結晶の回数としては特に限定されず、繰り返し実施してもよい。洗浄の回数としては特に限定されず、繰り返し実施してもよく、再結晶を繰り返した場合はその度毎に少なくとも一回以上実施することが好ましいが、特に限定されない。
精製工程に用いる溶媒としては水以外であれば特に限定はされないが、有機溶媒であることが好ましく、さらに非プロトン性極性有機溶媒であることがより好ましい。
非プロトン性極性有機溶媒としては、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸メチル等の鎖状スルホン酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル等の鎖状ニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、等が挙げられる。
これらの中でも、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル等の鎖状ニトリル、が好ましく、さらにはその入手の容易性から、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチル、アセトニトリルが好ましい。
一方、残留した場合の電池特性等に与える影響から、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステルが好ましい。
これらのことから、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルが最も好ましい。
これらの溶媒は単独で用いても組み合わせてもよい。
なお、再沈殿法を行う際に用いられる貧溶媒に関してはこの限りではなく、溶解せしめた溶媒より極性の低い溶媒であれば特に限定はされない。
精製工程に再結晶を行う際の溶媒量については特に限定はされないが、少なくとも一度は(粗)フルオロスルホン酸リチウムを溶解させる量が必要である一方、多すぎると再結晶時の回収効率が低下する為好ましくない。好ましい量は、フルオロスルホン酸リチウムの溶解度が用いる溶媒によって異なるため、一概には言えないが、例えば炭酸ジメチルの場合には、好ましくは粗製フルオロスルホン酸リチウム固体の質量に対して2倍量以上が好ましく、さらに好ましくは3倍量以上が好ましく、さらに好ましくは5倍量以上が好ましい。また、例えば炭酸ジメチルの場合には、好ましくは粗製フルオロスルホン酸リチウム固体の質量に対して20倍量以下が好ましく、さらに好ましくは15倍量以上が好ましく、さらに好ましくは10倍量以下が好ましい。
精製に再結晶を行う際の溶解時の温度は特に限定されないが、高すぎると加熱による分解が懸念される為好ましくなく、低すぎるとほぼ完溶させる為に多量の溶媒を必要とする
ため好ましくない。精製に再結晶を行う際の溶解時の温度は、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。
再結晶を行う際、溶解後結晶化させる前に不溶な不純物が残存している懸念が有る為、濾過等の方法にて不溶物を除去する操作を行うことが好ましい。
再結晶時の結晶化の温度については、溶解温度より低い温度であれば特に限定はされないが、回収効率を上げる為には低い方が好ましく、一方で回収効率を上げすぎると取り除きたい可溶性の不純物まで沈殿させてしまうおそれが有る。結晶化時の温度は、用いる再結晶溶媒によって好ましい温度が異なるため、特に限定されないが、例えば炭酸ジメチルの場合には、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下であり、また好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上、さらに好ましくは0℃以上である。
<5.上記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作を行った後に、固液分離工程を経た後の処理>
上記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作を行った後に、固液分離工程を経て得られたフルオロスルホン酸リチウムの固体には前記精製工程等で用いた非水溶媒が残存している為、乾燥により除去することが好ましい。除去の方法は特に限定はされないが、除去の操作にて高い温度をかけると熱分解が懸念される為好ましくない。一方、温度が低すぎると十分な除去が行われない可能性が有る為好ましくない。除去の温度は、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。また、好ましくは0℃以上、さらに好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。除去の時間は、長ければ長いほど除去効率があがり好ましい一方、生産効率が落ちる。このことから、適切な範囲の時間で実施することが好ましい。除去の時間は好ましくは、30分以上、さらに好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。また、除去の時間は好ましくは、24時間以下、さらに好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
<6.フルオロスルホン酸リチウム>
フルオロスルホン酸リチウムを電池等に用いた場合により高い性能を示す為に、純度は高いことが好ましいが、その中でも電池内で容易に酸化されるハロゲン化物イオン又は電池内に混入する微量の水で容易にハロゲン化物イオンを生成する化学種が電解液中に溶解しないように除去されていることが電池特性を制御する上で望ましい。これは、水に溶かした際のハロゲン化物イオン量を測定することで確認が出来る。一方、極微量のハロゲン化物塩を混入させると電池の性能が向上することも知られている。(例:非特許文献6)フルオロスルホン酸リチウムのハロゲン化物イオンの含有量は、上限値としては、0.05mol/kg以下であり、好ましくは0.03mol/kg以下、より好ましくは0.01mol/kg以下である。一方で、下限値としては、0.0001mol/kg以上であり、好ましくは0.0005mol/kg以上、より好ましくは0.001mol/kg以上である。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、任意に変形して実施することができる。
分析にはイオンイオンクロマトグラフィー測定と、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定
を用いた。
イオンイオンクロマトグラフィーはカラムとしてダイオネクス社のICS−3000を用い、公知の無機陰イオンの分析手法で実施した。測定サンプルの希釈溶媒は純水を用い
た。
NMRはジメチルスルホキシド−d6を測定溶媒に、ベンゾドリフルオリドを内部標準と
して用いて測定し、そのシグナルと積分値から、フルオロスルホン酸イオン分と溶媒の比を求めた。
(実施例1)
<反応>
乾燥窒素気流下、200mlのPFA製四口フラスコに塩化リチウム4.4g (103.5mmol)を量り取り、炭酸ジメチル125mlを加えた。この溶液を氷浴中で攪袢
しながらフルオロスルホン酸5ml(8.63g、86.24mmol)を約10分かけてと滴下した。滴下前に10℃であった液温は、酸の滴下により発熱し20℃まで昇温されたが、滴下終了後に速やかに元の温度に戻った。滴下に伴い、炭酸ジメチルに難溶である塩化リチウムが溶解した。氷水浴にて冷却しながら2時間撹拌した後、氷水浴を外し室温環境下にて1時間攪袢した。反応終了後の溶液からメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて過剰の塩化リチウムを濾別した。
<濃縮>
上記反応溶液から約10kPa、40℃で炭酸ジメチルを100ml蒸留留去し、この溶液を放置することで白色粉末を得た。
NMR分析結果から得られた粉末はフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.30mol/kg、塩化物イオン0.56mol/kgを含んでいた。
<再結晶1>
得られた、粗生物を乾燥不活性ガス雰囲気化、50mlの炭酸ジメチルに分散させ、60℃で30分間加熱撹拌することで溶解させた。溶け残った微量の粉末をメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて濾別した。得られた濾液を室温まで放冷の後、5℃にて10時間静置し。無色の結晶を得た。
NMR分析結果から得られた粉末はフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.12mol/kg、塩化物イオン0.11mol/kgを含んでいた。
フルオロスルホン酸リチウムの収量は4.9g。再結晶の収率は72%、操作全体を通しての収率は54%であった。
<再結晶2>
このフルオロスルホン酸リチウムを再度同様の方法で再結晶を実施したところ、硫酸イオン0.062mol/kg、塩化物イオン0.056mol/kgを含むフルオロスルホン酸リチウムを収量3.5g得た。この操作での収率は71%、操作全体を通しての収率は39%であった。
(実施例2)
<濃縮>工程までは実施例1記載の方法と同様に実施した。
<再結晶1>
得られた、粗生物を乾燥不活性ガス雰囲気化、50mlの炭酸ジメチルに分散させ、140μL(塩化物イオンに対して1.2mol倍量)の純水を加えた後、60℃で30分間加熱撹拌することで溶解させた。溶け残った微量の粉末をメンブレンフィルター(PTFE製、 公称孔径0.5μm)を用いて濾別した。得られた濾液を室温まで放冷の後、5℃にて10時間静置し。無色の結晶を得た。
NMR分析結果から得られた粉末は実施例1と同様にフルオロスルホン酸リチウムと炭酸ジメチルのモル比1:1の錯体であり、イオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオン0.083mol/kg、塩化物イオン0.0011mol/kgを含んでいた。
<再結晶2>
このフルオロスルホン酸リチウムを実施例1と同様の純水を添加しない方法で再度再結晶を実施したところ、硫酸イオン0.062mol/kg、塩化物イオン0.00056mol/kgを含むフルオロスルホン酸リチウムを収量2.58g得た。操作全体を通しての収率は29.8%であった。
<脱炭酸ジメチル>
得られたフルオロスルホン酸リチウムを真空容器内に入れ、100Paまで減圧後、40℃に加熱しながら4時間放置したところ、炭酸ジメチルの比率は1.3mol%であった。
<実施例3>
<反応>の溶媒に125mlの炭酸ジメチルに変えて50mlのアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様に<反応>操作を実施し、同程度の収率で反応が進行していることを確認した。さらに<濃縮>の際に溶媒を全量留去した以外は実施例1と同様に操作を実施した。
再結晶後、硫酸イオン0.62mol/kg、塩化物イオン0.056mol/kgを含むフルオロスルホン酸リチウム1.52gを固体として得た。
(比較例1)
溶媒に水を用いた以外は実施例1と同様に<反応>操作を行った。
得られた濃縮を実施例1の<濃縮>操作と同様に濃縮した所固体は析出しなかった。
イオンクロマトグラフィー分析の結果、フルオロスルホン酸が全量硫酸に加水分解していることが確認された。
(比較例2)
溶媒に水を、塩化リチウムに変えて水酸化リチウムを塩化リチウム・一水和物4.4g
(104.8mmol)用い、酸塩基の中和反応とした以外は実施例1と同様に<反応>
操作を行った。
得られた濃縮を実施例1の<濃縮>操作と同様に濃縮した所固体は析出しなかった。
イオンクロマトグラフィー分析の結果、フルオロスルホン酸が全量硫酸に加水分解していることが確認された。
(比較例3)
塩化リチウムに変えて、炭酸リチウムを3.3g(51.4mmol、リチウム量として102.8mmol)用いた以外は実施例1と同様に<反応>操作を行った。
イオンクロマトグラフィー分析の結果、フルオロスルホン酸が全量硫酸に加水分解していることが確認された。炭酸リチウムが中和した際に副生する水による加水分解と推定される。
(比較例4)
反応によって副生する水を除去する為、十分な量の硫酸マグネシウムを系中に懸濁させながら実施した以外は比較例3と同様に<反応>操作を行った。
イオンクロマトグラフィー分析の結果、フルオロスルホン酸が全量硫酸に分解していることが確認された。脱水剤を用いても加水分解は抑制されなかった。

Claims (10)

  1. 非水溶媒中で、ハロゲン化リチウムとフルオロスルホン酸との反応工程を経て得ることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  2. 前記反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムを、非水溶媒中から固体として回収する固液分離工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  3. 前記反応工程により得られた粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作を少なくとも一回行うことを特徴とする請求項1または2に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  4. 前記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作により得られたフルオロスルホン酸リチウムを、非水溶媒溶液中から固体として回収する固液分離工程を少なくとも一回含むことを特徴とする請求項3に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  5. 前記反応工程で用いる非水溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  6. 請求項5に記載の非プロトン性極性有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  7. 前記粗フルオロスルホン酸リチウムと、水を含む非水溶媒溶液とを接触させる操作で用いる、当該水を含む非水溶媒溶液中の非水溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  8. 請求項7に記載の前記非プロトン性極性有機溶媒が、鎖状炭酸エステルであることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウムの製造方法。
  9. 請求項1〜8に記載のフルオロスルホン酸リチウムの製造方法により得られたフルオロスルホン酸リチウムのハロゲン元素の含有量が0.01mol/kg以下であることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウム。
  10. ハロゲン元素の含有量が0.01mol/kg以下であることを特徴とするフルオロスルホン酸リチウム。
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