JP2004216832A - インクジェット記録用圧着葉書用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧着葉書用紙としての基本的な接着特性を満たし、且つ圧着葉書用接着剤の保存中及び塗工時の分散状態が安定であり、得られた圧着葉書用紙をオフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に接着剤層が摩耗したり脱落したりすることが無く、次いでインクジェット方式のプリンターを使用した印字部の発色濃度が高く又水が付着してもインクが溶出することなく、次いで圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することがない、優れたインクジェット記録用圧着葉書用紙を提供する。
【解決手段】感圧接着剤にジルコニウム化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はアニオン性のインクを使用したインクジェット記録方式で情報を記録した後に、水滴などの影響により記録部分のインクがにじみ出ることがない耐水性を有し、かつ印刷適性とインクジェットプリント適性に優れた性能を有するインクジェット記録用圧着葉書用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
郵送コストの低減を目的として、封書に代わって「圧着葉書」が多方面で利用されている。この構成の一例として、圧力により接着可能な再剥離型の感圧接着剤を基紙に塗工し、固定情報をUV硬化型のインキを使用したオフセット方式の印刷機で印刷し、親展情報を静電記録方式(電子写真方式)のプリンターで印字した後に、2つ折り若しくは3つ折り等に折り畳んでから加圧ロール間に通して親展面同士を接着し、葉書大に切断して葉書を製造する方法がある。受取人は葉書を受け取った後に接着された親展面を剥離して親展情報を読み取る。剥離した後は通常の方法では再接着できない工夫をしており親展性を確保している。
【0003】
この「圧着葉書」には種々の方法が提案されている。例えば、特開平4−59395号(特許文献1参照)には、基紙面の少なくとも一部に、非剥離性接着剤基剤とその接着剤基剤に対し非親和性を示す微粒状充填剤とから成る接着剤組成物の層を設けたことを特徴とする情報担体用シートが提案されている。この提案では平均粒子径が10μm〜30μm、好ましくは1〜20μmのシリカと他の充填剤の組み合わせからなる微粒状充填剤を、感圧接着剤100重量部に対して100〜400、好ましくは130〜300、より好ましくは150〜250重量部添加することで、耐ブロッキング性を向上させ、静電記録時に使用するシリコンオイルを吸収し接着力の低下を無くしている。また、特開平7−18232号(特許文献2参照)には、支持体シートの少なくとも片面の一部に、ラテックスから成る感圧接着剤と、この感圧接着剤に対して非親和性を示す2種類以上の微粒子充填剤と、前記感圧接着剤と微粒子充填剤との両者に対して親和性を有する変性ポリビニルアルコールとからなる疑似接着剤の層を設けた情報担体用シートが提案されている。
【0004】
これらの圧着葉書用紙は静電記録方式のプリンターを対象にして開発されたものである。静電記録方式は記録ドラム表面に静電気を利用してトナーからなる文字や画像を形成し、これを記録用紙表面に転写後に加熱ロール間を通過させ、熱をかけてトナーに含まれる樹脂を溶融させ用紙に定着させる。加熱ロールはトナーのロールへの付着を防ぐためにその表面にシリコーンオイルを連続的に供給する。
【0005】
ところが近年、親展情報の印字がインクジェット方式のプリンターで行われることが多くなった。これは高速記録が可能でカラー化も容易なインクジェット方式のプリンターの技術的な進歩が著しいからである。インクジェット方式のプリンターは、インクを色々な手段で無数の液滴として飛翔させ記録シートに付着させて記録を行うものである。またインクジェット方式のプリンターの記録用インクには、印字ヘッドの保守の簡便さからアニオン性の直接染料若しくは酸性染料を使用する場合がほとんどである。
【0006】
そこで、従来の圧着葉書用紙に必要な静電記録方式(電子写真方式)特性に更にインクジェット記録適性を付与する必要が出てきた。具体的には以下のような適性が挙げられる。
【0007】
(1)インクジェット方式のプリンターによる印字部の吸収が速く、該プリンターのロールをインクで汚すことが無い(インクを吸収する速さがプリンターの速度に追いつかないような状態であると、用紙に吸収し切れなかったインクがロールを汚してしまい、これが蓄積されて用紙を汚すといったトラブルが発生する)。
【0008】
(2)印字部の発色濃度が高い(従来の静電記録方式に対応して実用化されている圧着葉書用紙は、接着力を発現させるために填料の接着剤基剤に対する比率を小さくせざるを得ず、そのため必然的にインクジェット方式のプリンターによる印字部の発色濃度は低くなる)。
【0009】
(3)水が付着してもインクが溶出することがない(配達途中で雨に濡れる可能性の高い葉書ではインクが雨にぬれてにじむと致命的な欠点となる)。
【0010】
(4)圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することがない(インクジェット方式のプリンターで印字した圧着葉書には、圧着して再剥離すると、印字部分が対向側の紙面に転写して紙面を汚してしまい、文字の判読を困難にしてしまうという問題がある)。
【0011】
そこでこれらの特性を付与するために、以下のような提案等がある。
【0012】
上記(1)及び(2)を解決するための提案等;インクの吸収を速くし、またインク発色濃度を高くするために、圧着葉書用接着剤中におけるシリカ等の吸油量の大きい微粒子充填剤を多く配合する方法が考えられる。しかし、本発明者等が検討した結果、充填剤の配合量が多い状態で圧着葉書用の接着剤を塗工した紙をオフセット印刷すると、印刷時に使用する湿し水により一時的に接着剤層の強度が低下し、その結果、接着剤層の一部分が塗工された紙の表面から剥がれ落ちてブランケットを汚染するという問題が発生した。また、印刷・フォーム加工ラインのターンバーにおいて、基紙に塗工され形成された接着剤層が摩耗したり脱落して、品質安定性に欠け、印刷機やフォーム加工ラインを汚し操業性が悪い等という問題が発生した。いずれにしても、本質的解決手段は提案されていないのが現状である。
【0013】
上記(3)を解決するための提案等;本発明者等は印字部に水が付着してもインクが溶出することがないように印字部に耐水性を付与するために、圧着葉書用接着剤層にカチオン性物質を併用する検討を行った。すなわちアニオン性のインクジェット記録用インクをカチオン性物質により水に溶け難くするということを基本原理のもと検討を行ったが、塗工液がゲル化してしまい塗工が不可能となった。この原因は、該接着剤の構成成分である天然ゴムラテックスやSBR等の合成ラテックス、シリカ等の微粒子充填剤がいずれもアニオン性であるため、カチオン性の前記耐水化剤と反応してゲル化や凝集を起こすためと考えられる。
【0014】
これらの問題を解決するために種々の提案がなされている。例えば、特開平9−71758号(特許文献3参照)には弱カチオン性のポリアミド樹脂系樹脂を圧着葉書用接着剤に配合し、凝集を防いで安定した接着剤組成物を得て、これを使用したインクジェット記録用擬似接着紙の提案がなされている。この提案の弱カチオン性とは、カチオン性であるがpH9以上のアニオン性を示す塗料に添加した際にカチオン性をほとんど示さず凝集しない性質をいう。しかしこの方法では、添加する高分子のカチオン性が弱いから、添加量が少ないと水性染料に十分な耐水性を付与することができない。そこで、弱カチオン性高分子の添加量を増加すると、接着力が低下してしまうという問題が発生した。
【0015】
特開平9−157611号(特許文献4参照)には、高pH域で電荷が零乃至負となるカチオン性ポリマーと、重合燐酸塩及び多価金属塩類を接着剤に配合してイオン的に安定な接着剤組成物を得て、これを使用したインクジェット用圧着紙の提案がなされている。しかし、この方法ではカチオン性ポリマー自体の添加量やそれを不溶化するための多価金属塩及び凝集を防止するための重合燐酸塩の総添加量が多くなり、高い接着力の確保が難しい。
【0016】
特開平10−52985号(特許文献5参照)には、接着剤に特定の量のポリジメチルアミンエピクロルヒドリン系ポリカチオン(PDMAE)を加えてイオン返しを起こし、イオン的に安定な接着剤組成物を得て、これを使用したインクジェット用圧着紙の提案がなされている。
【0017】
特開平10−337980号(特許文献6参照)には、天然ゴム系エマルジョンにポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂あるいは水溶性変性ポリアミン系樹脂を配合し、インクジェット用インクの耐水性を確保し、また特定量の非イオン系界面活性剤を配合することで塗工液の安定性を確保し、これを使用した再剥離性圧着葉書用記録紙の提案がなされている。
【0018】
特開2000−204339号(特許文献7参照)には、カチオン性単量体混合物及びアニオン性単量体混合物を含んで成る単量体を共重合した両性高分子と、従来の感圧接着剤の接着成分を含んでなる感圧接着剤が提案されており、これによってインクジェットプリンターによる印字の耐水性及び接着剤の分散安定性にも優れるという提案がなされている。
【0019】
特開2001−311065号(特許文献8参照)には、接着剤成分にアセトアセチル化PVA、両性高分子、カチオン性高分子を配合し、分散安定性に優れインクジェット記録された印字の耐水性に優れる感圧接着剤が提案されている。
【0020】
しかし、上述した特開平10−52985号(特許文献5参照)以下4件の提案における接着剤の粘度は揺変性が大きく経歴によって粘度の変化が否めず、特性が必ずしも安定するとは言えない。
【0021】
一方、特開2000−319339号(特許文献9参照)には、カチオン変性天然ゴムラテックスにカチオン性高分子及び/又は両性高分子を配合した接着剤が提案され、インクジェットプリンターによる印字の耐水性及び接着剤の分散安定性にも優れるとされる。また、特開2002−69423号(特許文献10参照)には、アニオン性を有さない変性天然ゴムと特定のカチオン物質からなる接着剤を施してなる感圧接着シートが提案され、接着剤の安定性とインクジェットプリンターによる印字の耐水性が優れるとされている。
【0022】
しかし、以上のような構成では接着剤層の成分にアニオン系成分がないため、基紙シートと接着剤層との密着性が悪くなるという問題があり、さらに、カチオン性およびアニオン性の両性官能基を有する両性樹脂等を該接着剤に配合しなければならなく、その結果接着力が低下するという問題が発生した。いずれにしても、本質的解決手段は提案されていないのが現状である。
【0023】
上記(4)を解決するための提案等;インクジェット方式のプリンターで印字した圧着葉書において、圧着して再剥離したときに、印字部分が対向側の紙面に転写して紙面を汚すという問題を解決するために、特開2001−192626号(特許文献11参照)には支持体シートが変性PVAおよび架橋剤を含有し、接着剤が微粒子充填剤とカチオン性水溶性高分子を含有し、印字部の耐水性に優れ、且つ印字面を擬似接着後剥離しても反対面に印字が転写することのない圧着ハガキ用紙の提案がなされている。
【0024】
また、特開2000−71655号(特許文献12参照)には感圧接着剤に水不溶性又は水難溶性のカチオン性重合体を配合し、インクジェットプリンターによる印字の耐水性が優れ、親展面を圧着した後に剥離しても親展面の印字が対抗面に転移することがなく、オフセット印刷によるプレ印刷において、インクジェットプリンターによる印字の耐水化剤の湿し水に対する溶出がわずかで印刷作業性に優れた圧着記録紙が提案されている。
【0025】
しかしこれら提案の接着剤の粘度は揺変性が大きく経歴によって粘度の変化が否めず、特性が必ずしも安定するとは言えない。
【0026】
また、上記(4)を解決するための別の方法として、感圧接着剤層の面強や凝集力を高めればよいとの考えから微粒子充填剤の配合量を減らしただけでは、上記したようにインクの吸収性や発色濃度が劣るという問題が残る。いずれにしても、本質的解決手段は提案されていないのが現状である。
【0027】
また、特願平8−220723号(特許文献13参照)において基紙の少なくとも一方の面の最外層を圧着葉書用の接着剤層とし、かつ該接着剤層の下層にカチオン性の塗工層を形成した構成で、インクジェット方式の印字部の耐水性に優れ、対向面への転写も無く、接着剤の凝集やゲル化の問題も解消され、さらに諸々の接着特性にも優れるインクジェット記録用圧着葉書用紙を提案しているが、接着剤層の更なる強度アップが求められていた。すなわち、オフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に、接着剤層が摩耗したり脱落したりすることがまったく無く、その結果ブランケット等をまったく汚すことがなく操業上安定な用紙が求められていた。
【0028】
【特許文献1】
特開平4−59395号
【特許文献2】
特開平7−18232号
【特許文献3】
特開平9−71758号
【特許文献4】
特開平9−157611号
【特許文献5】
特開平10−52985号
【特許文献6】
特開平10−337980号
【特許文献7】
特開2000−204339号
【特許文献8】
特開2001−311065号
【特許文献9】
特開2000−319339号
【特許文献10】
特開2002−69423号
【特許文献11】
特開2001−192626号
【特許文献12】
特開2000−71655号
【特許文献13】
特願平8−220723号
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記したような問題を解決することを課題とする。具体的には、圧着葉書用紙としての諸性能、すなわち用紙を保存中にブロッキングを起こさず、圧着強度が良好で、圧着後適度の力で剥離でき親展情報を読み取ることができ、通常の方法では再接着出来ない等の圧着葉書用紙としての基本的な要求性能を満たし、且つ、圧着葉書用接着剤が経時で増粘したり凝集したりすることなく、保存中の分散状態が安定であり且つ塗工時にも分散状態が安定であり、次いで得られた圧着葉書用紙をオフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に、接着剤層が摩耗したり脱落したりすることが無く、その結果ブランケット等を汚すことがなく操業上安定で、次いでインクジェット方式のプリンターを使用して印字した可変情報印字部の発色濃度が高く、また水が付着してもインクジェット記録用のインクが溶出することなく、次いで圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することがない、優れたインクジェット記録用圧着葉書用紙を提供することを課題とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討した結果、感圧接着剤にジルコニウム化合物を含有することにより前記課題をすべて解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0031】
すなわち本発明は、接着剤基剤と微粒子充填剤とを主成分としてなる感圧接着剤を基紙の少なくも一方に設けてなるインクジェット記録用圧着葉書用紙であって、該感圧接着剤がジルコニウム化合物を含有することを特徴とする。前記ジルコニウム化合物は、炭酸ジルコニウムアンモニウムであることが好ましい。また、前記感圧接着剤が、さらに、カチオン性物質を含有すると好ましく、該カチオン性物質が、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂のいずれか1種類以上であると特に好ましい。またジシアンジアミド系の樹脂であると特に好ましい。また、前記感圧接着剤が、さらに、澱粉及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、カゼインのいずれか1種類以上を含有すると好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感圧接着剤は、通常状態では接着することがなく加圧により接着し且つ必要時に剥離し得る接着剤、いわゆる粘着層を形成するものであって、接着剤基剤と微粒子充填剤とを主成分としてなり、これを基紙の少なくとも一方に設けることでインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。
【0033】
接着剤基剤は接着剤主剤と補助接着剤とからなる。接着剤主剤としては、水性高分子である天然ゴムラテックスやMGラテックスと呼ばれるメタクリル酸メチルグラフト重合天然ゴム系ラテックス、アクリル系ラテックス等が使用できる。これらはカチオン変性されているものも使用できる。また、補助接着剤として、SBRラテックスとその(カチオン又は両性)変性物やNBRラテックス、ウレタンエマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記)とその変性物やポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCと略記)、各種デンプンとその変性物、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ウレタン、ポリアクリルアミド等が使用できる。
【0034】
上記接着剤主剤(天然ゴムラテックス、MGラテックス、アクリル系ラテックス等)と補助接着剤(SBRラテックス、NBRラテックス、PVA等の水溶性バインダー)との配合割合は、感圧接着剤の接着力と、基紙への定着性や接着層皮膜の凝集力とのバランスに影響するため適度に調整する必要があり、接着剤主剤と補助接着剤とは質量比で97:3〜50:50であることが好ましい。補助接着剤が3質量部未満の場合は、感圧接着剤の基紙への定着性が低下し、逆に補助接着剤が50質量部を超える場合は、重ね合わせ面における接着層同士の接着力が低下し適切な剥離性能が得られない。
【0035】
本発明で使用できるジルコニウム化合物として、硫酸ジルコニウムや塩酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム等から、これらを1種類以上使用することができる。接着剤層にジルコニウム化合物が存在すると、圧着葉書用紙をオフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に、接着剤層が摩耗したり脱落したりすることが無く、また、圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することもない。また、特に、炭酸ジルコニウムアンモニウムを使用すると、インクジェット記録用のインクを耐水化するための後述するカチオン物質を接着剤中に併用しても、接着剤が経時で増粘したり凝集したりすることなく、保存中の分散状態が安定であり且つ塗工時にも分散状態が安定であり、インクジェット方式のプリンターを使用して印字した可変情報印字部に水が付着してもインクジェット記録用のインクが溶出することがない。
【0036】
ジルコニウム化合物の上記のような効果の理論的解明は明かではないが、本発明者等はこれらを使用することで接着剤が電荷的に安定化する効果があることと、架橋構造を形成するために接着剤層の基紙への密着性と接着剤層の凝集力が高くなるためと推測している。
【0037】
架橋構造を形成するためには、接着剤層中にジルコニウム化合物と反応して架橋構造を形成し得る物質を含有することが好ましく、具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、チオール基、エステル基、カルボニル基、ウレタン結合、活性オレフィン、複素環等の官能基の1種類以上を含む物質を含有することが好ましい。
【0038】
接着剤基剤の主剤として使用できるMGラテックスはメタクリル酸メチルに由来するエステル基を有し、アクリル系ラテックスはカルボキシル基やエステル基を有するので好ましく使用できる。また、補助接着剤として使用できるSBRラテックスやNBRラテックスは通常、カルボキシル基やエステル基を含有するので好ましく使用できる。また、ウレタンエマルジョンはウレタン結合を含有し、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンはカルボニル基を含有するので好ましく使用できる。PVAは水酸基を含有するので好ましく使用でき、その変性物はカルボキシル基変性やアセトアセチル基変性したもの等が好ましく使用できる。ポリビニルピロリドンは複素環とカルボニル基を含み、CMCや溶解デンプンは水酸基を含み、ゼラチンやカゼインはカルボキシル基や水酸基を含むので好ましく使用できる。スチレン・無水マレイン酸共重合体はカルボニル基を含み、ポリアクリルアミドはアミド基を有するので好ましく使用できる。
【0039】
これらのうち、澱粉及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、カゼインのいずれか1種類以上を使用すると特に好ましい。その理由は明確ではないが、それらが水溶性であるためと官能基の数を多く有するのでジルコニウム化合物と架橋構造を形成し易いからと本発明者等は推測している。
【0040】
接着剤層には、ホルマリンやグリオキザールのようなアルデヒド系化合物、ジアセチルやクロルペンタンジオンのようなケトン系化合物、反応性のオレフィンを持つ化合物、N−メチロール化合物、イソシアネート類、アジリジン化合物類、カルボジイミド系化合物類、エポキシ化合物、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、塩酸や硫酸、燐酸等の無機酸及びこれらのアンモニウム塩、クロム明ばん、ホウ酸及びホウ酸塩、硫酸亜鉛、蟻酸カルシウム等の架橋剤を1種以上ジルコニウム化合物と併用することもできる。
【0041】
ジルコニウム化合物の使用量は、接着剤基剤100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜30質量部である。使用量が0.5質量部より少ないと接着剤層の基紙への定着性や凝集力が不十分となりやすく、また後述するカチオン物質を併用する際には接着剤の分散安定性にやや劣る。50質量部を超えると重ね合わせ面における接着層同士の接着力が低下し、適切な剥離性能が得られない。
【0042】
本発明の感圧接着剤組成物においては微粒子充填剤を配合する。微粒子充填剤としては、接着剤との親和力が小さいものであって粒子形状が規則的に整ったものを用いるのがよい。このようなものとしては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、珪藻土、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土、穀物デンプン粒子及びその変性物、ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状メタクリル樹脂、微球状ポリエチレン、プラスチックピグメント等が挙げられる。これらの微粒子充填剤は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0043】
また、本発明の接着剤においては、接着剤基剤100質量部に対して、微粒子充填剤を30〜300質量部、好ましくは60〜250質量部の範囲で配合する。30質量部未満ではインクジェット方式のプリンター適性が劣り、耐ブロッキング性が低下したり接着力が強すぎて剥離しにくくなる。300質量部を超えると接着力が低くなりすぎたり、オフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に、接着剤層が摩耗したり脱落し、その結果ブランケット等を汚すという問題を発生する危険がある。
【0044】
このようにして得られる接着剤基剤には、必要に応じて粘着剤に慣用されている添加剤、例えば粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、UV吸収剤、安定剤、着色剤、防腐剤、消臭剤、消泡剤などを添加することができる。
【0045】
また、本発明のインクジェット記録用圧着葉書用紙では、インクジェット方式のプリンターのインクの耐水性を付与するために、すなわち、インクジェット方式のプリンターを使用して印字した可変情報印字部に水が付着してもインクジェット記録用のインクが溶出することがないようにするために、カチオン物質を感圧接着剤に含有するか、または基紙と感圧接着剤層との間にカチオン物質からなるの塗工層を設ける必要がある。
【0046】
カチオン物質を感圧接着剤に含有する場合、該感圧接着剤中にジルコニウム化合物、特に炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有すると、上述したように、接着剤が経時で増粘したり凝集したりすることなく、保存中の分散状態が安定であり且つ塗工時にも分散状態が安定である。
【0047】
一方、カチオン物質を基紙と感圧接着剤層との間に設ける場合、インクジェット記録方式で印字されたインクは接着剤層の下層のカチオン物質層で固定され、接着剤層はジルコニウム化合物による架橋構造のため一層強固になって、圧着葉書用紙をオフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に、接着剤層が摩耗したり脱落したりすることが無く、また、圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することもない。
【0048】
本発明の接着剤層中のカチオン性物質としては、公知のものを使用できる。即ち、ポリエチレンイミン、金属の水溶性塩、ポリビニルピリジウムブロマイド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン有機酸塩、カチオン性コロイダルシリカ、第4級アンモニウム塩型高分子電解質、ジアルカノールアミノ変性アルキレングリコール誘導体、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合体、2級アミンとエピハロヒドリンとを反応させて得られるカチオン性樹脂、ジシアンジアミド系カチオン樹脂等であり、これらの1種類以上を使用する。
【0049】
本発明者らが検討した結果では、その中でもカチオン性のエピハロヒドリン系樹脂が、耐水性を発現する効果に優れ、また耐光性にも優れるということを見いだした。本発明で使用するカチオン性のエピハロヒドリン系樹脂としては、ポリアミン類及び/またはポリアミド類とエピハロヒドリンを反応させて得られるカチオン性の樹脂が耐光性に優れるので好適に使用できる。例えばポリアミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ポリエチレンイミン、ピペリジン、ピロール、カルバゾール等の1種類以上を使用し、ポリアミド類としては、ポリアルキレンポリアミンと二塩基性カルボン酸を脱水縮合させたポリアルキレンポリアミドや、ポリアルキレンポリアミンと尿素を脱アンモニア縮合させたポリアミドポリ尿素、N−ビニルアミド系モノマー、エチレン−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド共重合体と塩酸を反応させた4級塩等の1種類以上を使用し、エピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等の1種類以上を使用し、公知手段を用いて重合してエピハロヒドリン系のカチオン樹脂を得る。
【0050】
本発明者が検討した結果、エピハロヒドリン系樹脂の中でも、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂からなる群のいずれか1種類以上であると特に好ましい。
【0051】
また、本発明者が検討した結果、ジシアンジアミド系の樹脂も耐水性を発現する効果に優れ、また耐光性にも優れ特に好ましく使用できる。
【0052】
本発明で、カチオン物質を感圧接着剤に含有する場合、その添加量は、接着剤基剤100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜30質量部である。カチオン物質の使用量が0.5質量部より少ないとインクジェット方式の印字部の耐水性が不十分となり、50質量部を超えると重ね合わせ面における接着層同士の接着力が低下し、適切な剥離性能が得られない。
【0053】
一方、カチオン物質を基紙と感圧接着剤層との間に設ける場合、このカチオン性の塗工層を形成する手段としては、抄紙機上の湿紙にサイズプレス装置、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター等を使用して塗工する方法や、基紙を抄造後にエアーナイフコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター等を使用して塗工する方法等を採用できる。塗工量は通常固形分で0.1〜10g/m、好ましくは2〜4g/mである。塗工量が0.1g/m未満であるとインクジェット記録方式の印字部の耐水性が不足し、10g/mを超えると効果がそれ以上期待できず、またコスト高となるので上記範囲が望ましい。
【0054】
本発明の感圧接着剤は、グラビアコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗工手段により基紙に塗工される。基紙への感圧接着剤の塗工量は、感圧接着剤層の接着性、剥離性などのため、1〜30g/m、好ましくは3〜15g/m、さらに好ましくは5〜10g/mとするのがよい。
【0055】
次に、本発明の感圧接着剤組成物が塗工される基紙としては、通常の紙が主として使用できる。これは通常、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の製紙用パルプを300〜600mlC.S.F.に叩解し、これにクレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタンなどのフィラー、澱粉、PVA等の紙力増強剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の湿潤紙力増強剤、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤等のサイズ剤、蛍光増白剤、着色染顔料、定着剤等を適宜添加し、円網抄紙機や長網抄紙機等の公知の抄紙機を使用して常法に基いて40〜150g/mで抄紙することで製造する。また、抄紙途中でサイズプレス装置を使用してサイズ剤、紙力増強剤等を塗工することも適宜行うことができる。また、その表面に、平滑性を向上するためのフィラーとバインダーからなる塗工層を設けることもできる。
【0056】
また、本発明の感圧接着剤組成物が塗工される基紙としては、通常の紙の他に、合成紙、あるいはポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基紙の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0057】
本発明の親展葉書用圧着用紙を使用した三つ折り葉書を製造する一例を図に基づいて説明する。図1は本発明の三つ折り葉書の表面展開図、図2はこの葉書の裏面展開図、図3は葉書を折り込む際の状態説明図である。本発明の親展葉書用紙圧着用紙は、先ず所定巾にスリットされ、ロール状に巻き取られ、その表裏面に所定情報がフォーム印刷機(オフセット輪転印刷機がほとんどである)で印刷される。ついでその両端にノンインパクトプリンターでの紙送りを正確にするためのスプロケット穴1が開けられる。次いで、コンピューターに蓄積された各種データより、宛名A、秘匿すべき情報B、C、E、Fがノンインパクトプリンターにより印字される。次いで用紙は、B面とC面が接するように、且つE面とF面が接するように、折り線部2a、2bで連続的に折り込まれ、シーラーのロール間を通過する際に高い圧力(通常は線圧で40kgf/cm以上)を掛けられることにより貼合され、次いで1枚ずつ葉書の形に切断される。これにより受取人は該圧着葉書を剥離することにより印字された秘匿情報を読むことができる。この際剥離を容易にするために端部に剥離剤を印刷しておく等の公知の方法を適宜施すこともできる。
【0058】
次に本発明の親展葉書用圧着用紙を使用した二つ折り葉書を製造する一例を図に基づいて説明する。図4は本発明の二つ折り葉書の表面展開図、図5はこの葉書の裏面展開図、図6は葉書を折り込む際の状態説明図である。本発明の親展葉書用紙圧着用紙は、先ず所定巾にスリットされ、ロール状に巻き取られ、その表裏面に所定情報がフォーム印刷機(オフセット輪転印刷機がほとんどである)で印刷される。ついでその両端にノンインパクトプリンターでの紙送りを正確にするためのスプロケット穴3が開けられる。次いで、コンピューターに蓄積された各種データより、宛名G、秘匿すべき情報I、Jがノンインパクトプリンターにより印字される。次いで用紙は、I面とJ面が接するように、折り線部2a、2bで連続的に折り込まれ、シーラーのロール間を通過する際に高い圧力(通常は線圧で40kgf/cm以上)を掛けられることにより貼合され、次いで1枚ずつ葉書の形に切断される。これにより受取人は該圧着葉書を剥離することにより印字された秘匿情報を読むことができる。この際剥離を容易にするために端部に剥離剤を印刷しておく等の公知の方法を適宜施すこともできる。なお、二つ折り葉書の場合、感圧接着剤は基紙の片面(I―J面)に設ければよい。
【0059】
本発明によって得られるインクジェット記録用圧着葉書用紙として、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなど、各種の重ね合わせの形で、一時的には接着するが、必要に応じて容易に剥離できる見開き面を有する葉書、各種帳票、通知書、各種カードなどを挙げることができる。
【0060】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の質量部は、固形分換算を意味する。
【0061】
基紙の製造:針葉樹晒クラフトパルプ20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ80質量部を430mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業(株)製)0.7質量部、硫酸バンド3.5質量部を添加して紙料を調整し、長網抄紙機を使用して坪量85g/mの紙を抄造し、カレンダーで厚さ0.11mmに調整して基紙を得た。
【0062】
(実施例1)メタクリル酸メチル(MMA)グラフト共重合天然ゴム系ラテックスとして、天然ゴム(NR)100質量部とMMA17.6重量部とを混合してグラフト共重合して得たMMAグラフト共重合天然ゴムエマルジョン100質量部に対して、SBRラテックス(商品名「Nipol LX430」、日本ゼオン(株)製)を10質量部となるように配合した接着剤基剤100質量部に対し、シリカゲル(商品名「ファインシールX37B」、トクヤマ(株)製)120質量部、スターチ(商品名「AS―225」、千葉製粉(株)製)30質量部、PVA(商品名「PVA117」、(株)クラレ製)3質量部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名「ベイコート20」、日本軽金属(株)製)15質量部、カチオン物質としてポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(商品名「WS−500」、日本PMC(株)製)15質量部を配合して本発明の感圧接着剤を調製した。得られた感圧接着剤を、上記基紙に、エアーナイフコーターを使用して塗工量7.0g/mずつ両面に塗工して親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0063】
(実施例2)カチオン物質をジシアンジアミド系樹脂(商品名「サンフィックス70」、三洋化成工業(株)製)とした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0064】
(実施例3)カチオン物質を塩化アルミニウムとした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0065】
(実施例4)ジルコニウム化合物を炭酸ジルコニウムカリウム(商品名「Zirgel K」、日本軽金属(株)製)とした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0066】
(実施例5)実施例1のPVAを、CMC(商品名「サンローズF30MC」、日本製紙ケミカル(株)製)とした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0067】
(実施例6)実施例1のPVAを、カゼインとした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0068】
(実施例7)実施例1のPVAを、澱粉(商品名「MS3800」、日本食品加工(株)製)とした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0069】
(実施例8)実施例1でPVAを除外した以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0070】
(実施例9)坪量110g/mの上質紙の両面にポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(商品名「WS−500」、日本PMC(株)製造)を2g/mずつブレードコーターを使用して塗工した。一方、メタクリル酸メチル(MMA)グラフト共重合天然ゴム系ラテックスとして、天然ゴム(NR)100質量部とMMA17.6重量部とを混合してグラフト共重合して得たMMAグラフト共重合天然ゴムエマルジョン100質量部に対して、SBRラテックス(商品名「Nipol LX430」、日本ゼオン(株)製)を10質量部となるように配合した接着剤基剤100質量部に対し、シリカ(商品名「アエロジル50」、日本アエロジル(株)製造)100質量部、小麦澱粉(商品名「AS―225」、千葉製粉(株)製)を80質量部、PVA(商品名「PVA117」、(株)クラレ製)3質量部、炭酸ジルコニウムアンモニウム(商品名「ベイコート20」本軽金属(株)製)15質量部を添加して調製した塗工液を、エアーナイフコーターを使用して4g/mずつ両面に塗工して親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0071】
(比較例1)実施例1でジルコニウム化合物を除外した以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0072】
(比較例2)実施例2でジルコニウム化合物を除外した以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0073】
(比較例3)実施例2でジルコニウム化合物をイソシアネート系架橋剤(商品名「CR−60N」、大日本インキ化学工業(株)製)とした以外は実施例1と同様にして親展葉書用圧着葉書用紙を得た。
【0074】
このようにして得た親展葉書用圧着用紙の製造直後のT型剥離接着力、印刷試験による表面強度、耐摩耗性等を下記の方法により評価し、評価結果を表1に示す。
【0075】
(1)T型剥離接着力の測定方法;得られた親展葉書用圧着用紙を、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ7MPaの荷重を加えて圧着した。接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、万能試験機(商品名「テンシロン」、(株)オリエンテック製)を用いてT型剥離接着力を測定した。
単位はgf/25mm
◎:100〜150、
○:150〜200あるいは50〜100、
△:200〜300あるいは30〜50、
×:300以上あるいは30以下
◎:優、○:良、△:可、×:不可
【0076】
(2)印刷試験による表面強度;RIテスターを使用し、上記実施例、比較例で得られた親展葉書用圧着用紙をインキタック20で印刷した際に、感圧接着剤層が転写ロールに付着するか否かを観察した。また、該転写ロールをA2コート紙に転写させその発色濃度を測定した。なお、前記親展葉書用紙の代わりにA2コート紙を使用して印刷し、このときの転写ロールをさらに別のA2コート紙に転写した際の発色濃度が1.5になるようにインキの盛り量を調整した。
転写ロールに塗工層が全く付着しない :2点
転写ロールに塗工層がルーペで見て付着:1点
転写ロールに塗工層が肉眼で見て付着 :0点
転写部の発色濃度が1.4を超える :2点
転写部の発色濃度が1.0〜1.4 :1点
転写部の発色濃度が1.0未満 :0点
転写ロールの付着物の評価結果の点数と、発色濃度の評価結果の点数との合計が、
4点:◎、 3点:○、 2点:△、 1〜0点:×。
【0077】
(3)耐摩耗性;板紙耐摩耗試験機を用い、30回摩耗した際の接着層表面を目視により判定し消耗度を調べた。その結果、試験した面積のうち破壊された面積の割合が、
10%以下の場合:◎、
30%以下の場合:○、
50%以下の場合:△、
51%以上の場合:×とした。
【0078】
(4)印字特性;インクジェットプリンター(商品名:BJC−820、キャノン(株)製)にサイテックス社製黒インク#1007を注入し、画像面積率が10〜100%の所定のパターンを印字し、以下の項目について評価した。
(4−1)インク吸収性:印字直後の吸収性を目視評価した。
面積率100%が完全に吸収:◎、
面積率90%が完全に吸収:○、
面積率80%が完全に吸収:△、
それ以下:×とした。
(4−2)インクの耐水性
印字1時間後、1分間用紙を水中に浸漬してインクが水中へ流れる出る状態を観察した。
面積率100%が流れ出ない:◎、
面積率90%が流れ出ない:△、
それ以下:×とした。
【0079】
(5)印字の対向面への転写性
上記(4)の印字後の用紙記録面を内側にして、上記(1)の条件で圧着後剥離して剥離面のインク転写具合を観察して評価した。
転写が無い:◎
ルーペで観察して転写が見つけられる:○、
肉眼で転写が観察される:×とした。
【0080】
(6)接着剤の安定性を観察した
ゲル化、増粘がない:◎、
やや増粘の傾向:○、
ゲル化または激しく増粘:×とした。
【0081】
【表1】
Figure 2004216832
【0082】
表1の結果より、以下のことがわかる。
(1)実施例1〜8からわかるように、架橋剤としてジルコニウム系化合物を使用すると印刷試験、磨耗試験、印字転写に優れる。
(2)実施例1〜7からわかるように、ジルコニウム系化合物と水溶性高分子を併用すると印刷試験、耐磨耗性、印字転写に一層優れる。
(3)実施例1、2、4〜8からわかるように、カチオン性物質としてポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂またはジシアンジアミド系を使用するとインク耐水性に特に優れる。
(4)実施例9からわかるように、カチオン物質を基紙と感圧接着剤層との間に設けた場合、感圧接着剤層にジルコニウム系化合物を含有すると、印刷試験、耐磨耗性、インク吸収性、インク耐水性、印字転写に優れる。
(5)比較例からわかるように、感圧接着剤にカチオン物質を含有する場合、ジルコニウム化合物を含有しないと、該接着剤がゲル化して塗工不能となる。
なお、評価結果では示さないが、各例において、用紙を保存中にブロッキングを起こさず、圧着強度が良好で、圧着後適度の力で剥離でき親展情報を読み取ることができ、通常の方法では再接着出来ないことは確認した。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の親展葉書用圧着用紙は製造され、圧着葉書用紙としての基本的な接着特性を満たし、且つ圧着葉書用接着剤の保存中及び塗工時の分散状態が安定であり、得られた圧着葉書用紙をオフセット印刷方式の印刷機で印刷しフォーム加工する際に接着剤層が摩耗したり脱落したりすることが無く、次いでインクジェット方式のプリンターを使用した印字部の発色濃度が高く又水が付着してもインクが溶出することなく、次いで圧着したのち剥離する際に印字部が対向面に転写することがない、優れたインクジェット記録用圧着葉書用紙が得られる。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三つ折り葉書の表面展開図
【図2】図1の葉書の裏面展開図
【図3】図1の葉書を折り込む際の状態説明図
【図4】本発明の二つ折り葉書の表面展開図
【図5】図4の葉書の裏面展開図
【図6】図4の葉書を折り込む際の状態説明図
【符号の説明】
1、3 スプロケット穴
2a、2b、4 折り線
A、G 宛名
B、C、E、F、I、J 秘匿すべき情報
D、H 折り畳んだあとの葉書裏面

Claims (6)

  1. 接着剤基剤と微粒子充填剤とを主成分としてなる感圧接着剤を基紙の少なくとも一方に設けてなるインクジェット記録用圧着葉書用紙であって、該感圧接着剤がジルコニウム化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用圧着葉書用紙。
  2. 前記ジルコニウム化合物が、炭酸ジルコニウムアンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用圧着葉書用紙。
  3. 前記感圧接着剤が、カチオン性物質を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のインクジェット記録用圧着葉書用紙。
  4. 前記カチオン性物質が、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用圧着葉書用紙。
  5. 前記カチオン性物質が、ジシアンジアミド系の樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用圧着葉書用紙。
  6. 前記感圧接着剤が、さらに、澱粉及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、カルボキシメチルセルロース、カゼインのいずれか1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用圧着葉書用紙。
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