JP2014210899A - ラテックスフォーム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記ラテックスフォームにおいて、前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有する官能基と、前記α−デンプンが有する水酸基とが、直接または間接的に化学結合していてもよい。
この場合に、前記官能基が、カルボキシル基又は水酸基であってもよい。
さらにこの場合に、前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有するカルボキシル基又は水酸基中の酸素原子と、前記α−デンプンが有する水酸基中の酸素原子とが、デンプン架橋剤を介して架橋されていてもよい。
また、前記ラテックスフォームにおいて、発泡倍率が、3倍以上20倍以下であることが好ましい。
また、前記ラテックスフォームにおいて、吸水倍率が、100%以上500%以下であることが好ましい。
また、本発明は、ゴムポリマーの粒子が分散されたゴムラテックスと、当該ゴムラテックス中に分散されたβ−デンプンとを含む混合物を発泡させ、マトリックスゴム中にβ−デンプンを含むラテックスフォームに成形するフォーム成形工程と、前記ラテックスフォームを水分の存在下で加熱処理することで、前記β−デンプンをα化させるとともに、前記α−デンプンを前記マトリックスゴムに化学結合させる湿熱処理工程と、を含む、ラテックスフォームの製造方法である。
前記ラテックスフォームの製造方法において、前記ゴムポリマーの少なくとも一部が、カルボキシル基又は水酸基を有していてもよい。
この場合に、前記混合物が、前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有するカルボキシル基又は水酸基中の酸素原子と、前記α−デンプンが有する水酸基中の酸素原子と、を架橋させるデンプン架橋剤を更に含んでいてもよい。
また、前記ラテックスフォームの製造方法において、前記β−デンプンの含有量が、前記ゴムポリマー100質量部に対して0.8質量部以上であることが好ましい。
また、前記ラテックスフォームの製造方法において、前記デンプン架橋剤の含有量が、前記ゴムポリマー100質量部に対して0.3質量部以上であることが好ましい。
また、前記ラテックスフォームの製造方法において、前記湿熱処理工程が、前記β−デンプンの全質量の30%以上の水分の存在下において、温度60℃以上で10分以上実施されることが好ましい。
また、前記ラテックスフォームの製造方法において、前記フォーム成形工程では、メカニカルフロス法により前記混合物を発泡させることが好ましい。
1 ラテックスフォームの製造方法
2 ラテックスフォームの構造
3 ラテックスフォームの用途
4 作用効果のまとめ
本発明に係るラテックスフォームの製造方法は、β−デンプンをゴムラテックス中に分散させた混合物を発泡させてマトリックスゴム中にβ−デンプンを含むラテックスフォームに成形した後に、湿熱処理を行うことで、β−デンプンをα化させるとともに、α−デンプンをマトリックスゴムに化学結合させる方法である。すなわち、本製造方法では、水不溶性のβ−デンプンをゴムラテックス中へ分散させ、このゴムポリマーの粒子及びβ−デンプンを含むラテックスを所定の手法により発泡させたラテックスフォームに対して所定の湿熱処理を施す。この湿熱処理により、デンプンをα化させて親水性を発現させるとともに、ラテックスフォームのマトリックスを構成するゴムポリマーにα化したデンプンを化学結合させることで、吸水剤(α−デンプン)のラテックスフォームからの脱落を抑制した吸水性ラテックスフォームを得ることができる。
具体的には、まず、フォーム成形工程S1は、ゴムポリマーの粒子が分散されたゴムラテックスと、当該ゴムラテックス中に分散されたβ−デンプンとを含む混合物を発泡させ、マトリックスゴム中にβ−デンプンを含むラテックスフォームに成形する工程であり、例えば、原料調製工程S11と、発泡・ゲル化工程S13と、加熱工程S15と、を含む。
原料調製工程S11では、ゴムラテックスと、当該ゴムラテックス中に分散されたβ−デンプンとを含む混合物を調製する。このゴムラテックス中には、必要に応じて、後述するデンプン架橋剤、副原料、その他の添加剤を添加してもよい。以下、上記混合物に含まれる各成分について詳述する。
本発明で用いられるゴムラテックスは、天然ゴム又は合成ゴムの未架橋又は部分架橋ポリマー(以下、「ゴムポリマー」と記載する。)が、架橋剤(加硫剤)及び起泡剤等とともに、粒子として水中に分散されたものである。ゴムポリマーが天然ゴムの場合、ゴム樹液、これを濃縮したもの、又はゴム樹液等に更に保存剤等を配合したものが用いられる。ゴムポリマーが合成ゴムの場合、ゴムラテックスは、一般に乳化重合によって調製される。あるいは、溶液重合等の方法によって得られたポリマーを、界面活性剤と水によって乳化し、必要に応じて溶媒を除去して調製することもできる。ラテックスフォームの原料としては、通常、ゴムポリマーの含有量が55〜70質量%のラテックスが用いられるが、安定な発泡体(フォーム)を形成し得ることから、好ましくは60〜68質量%のゴムポリマーを含有するラテックスが用いられる。ただし、本発明では、上記含有量範囲を外れるゴムラテックスを用いることは勿論差し支えなく、例えば、後述するようにカルボキシル変性されたゴムラテックスが用いられる場合、ゴムポリマーの含有量が上記範囲から外れたラテックスが用いられることもある。また、本発明に係るゴムラテックスは、乳化重合又はゴムポリマーの乳化に用いられた、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のような界面活性剤等を含有していてもよい。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法においては、ゴムラテックスの発泡時にはβ−デンプンの状態とし、発泡後に湿熱処理を施してβ−デンプンを吸水性(親水性)を有するα−デンプンに変化させる、すなわちα化(「糊化」ともいう。)させることで、ラテックスフォームに吸水性を持たせている。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法では、ゴムラテックス中にデンプン架橋剤をさらに添加してもよい。このデンプン架橋剤は、2つの分子に存在する酸素原子同士を架橋するものであり、具体的には、上述したゴムポリマーの少なくとも一部が有するカルボキシル基又は水酸基中の酸素原子と、デンプン(α−デンプン)が有する水酸基中の酸素原子と、を架橋させるものである。なお、このデンプン架橋剤によるゴムポリマーとデンプンとの架橋構造の詳細については、後述する。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法では、ゴムラテックス中に、上述した成分に加え、必要に応じて、ラテックスフォームの製造に慣用される副原料、例えば、架橋剤(ゴムポリマー同士を架橋するための添加剤であり、例えば、加硫剤)、架橋促進剤(架橋剤による架橋反応を促進するための添加剤であり、例えば、加硫促進剤)、老化防止剤等を添加してもよい。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法では、ゴムラテックス中に、上述した成分に加え、必要に応じて、ラテックスフォームの製造に慣用される起泡剤や気泡安定剤を副原料としてさらに添加してもよい。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法では、上述した成分に加えて、ゴムラテックス中に、必要に応じて、充填剤、顔料及び染料のような着色剤、香料、増粘剤、分散剤、安定剤、防黴剤等を添加してもよい。
原料調製工程S11では、以上説明したような各成分を混合することで、ラテックスフォームの原料混合物である液状のラテックスフォーム原料を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
発泡・ゲル化工程S13では、上記原料調製工程S11で得られた液状のラテックスフォーム原料に所定の発泡用ガス及びゲル化剤を添加し、これらを充分に混合させてラテックスフォーム原料中に気泡が多数存在する状態にすると共に、ゲル化されたラテックスフォーム原料を得る。この発泡・ゲル化工程S13は、通常は、原料調製工程S11で得られた液状のラテックス原料と、発泡用ガスと、ゲル化剤とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。なお、ここでいうゲル化したラテックスフォーム原料とは、完全にゲル化が完了したラテックスフォーム原料だけを指すものでなく、発泡・ゲル化工程S13により添加されたゲル化剤により、原料調製工程S11で得られる液状のラテックスフォーム原料から次第にゲル化している途上のラテックスフォーム原料及び完全にゲル化したラテックスフォーム原料の両方を指すものである。
ゲル化剤は、ラテックスフォーム原料中において、直径0.5〜5.0μm程度の粒子の懸濁液の状態、すなわちラテックスの状態で存在するゴムポリマーの粒子の化学的安定性を低下させると共に、この粒子を凝集させて、所謂ゲル化状態とするための物質である。このゲル化剤としては、例えば、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ケイフッ化カルシウムのようなヘキサフルオロケイ酸塩;またはシクロヘキシルアミンの酢酸塩、スルファミン酸塩のようなシクロヘキシルアミン塩等を使用でき、一般には、これらの化合物を水溶液状態とした液状物が使用される。これらのうち、特に、ケイフッ化ナトリウムが、ゲル化開始時間の制御等の反応制御が容易であることから好適に使用されている。
発泡・ゲル化工程S13で液状のラテックスフォーム原料に混合される発泡ガスは、ラテックスフォーム中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡ガスの混入量によって、得られるラテックスフォームの発泡倍率及び密度が決まる。ラテックスフォームの密度を調整するためには、所望のラテックスフォームの密度と、ラテックスフォーム原料の体積(例えば、ラテックスフォーム原料が注入される成形型の内容積)とから、必要なラテックスフォーム原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡ガスの量を決定すればよい。また、発泡ガスの種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
本発明に係るラテックスフォームの製造方法で使用される発泡方法としては、ラテックスフォームの製造で一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、例えば、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することができる。メカニカルフロス法は、ラテックスフォーム原料を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をラテックスフォーム原料に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、ラテックスフォーム原料と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度のラテックスフォームを得ることができる。
以上のようにして発泡及びゲル化したラテックスフォーム原料は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望のラテックスフォームの厚みに合わせたシート状等に成形される。
加熱工程S15では、成形型に注入されたラテックスフォーム原料の架橋が充分に進行するのに充分な加熱を行ない、ゴムポリマーの架橋(硬化)反応を進行及び完了させてラテックスフォームに成形する。具体的には、上述した架橋剤によりゴムポリマー同士が架橋され、硬化したゴムが形成される。この際の加熱手段としては、ラテックスフォーム原料に充分な加熱を施し、ゴムポリマーを架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、ゴムポリマーを架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80〜150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
湿熱処理工程S2は、フォーム成形工程S1で得られたラテックスフォームを水分の存在下で加熱処理することで、β−デンプンをα化させるとともに、α−デンプンをマトリックスゴムに化学結合させる工程であり、例えば、熱処理工程S21と、乾燥工程S23と、を含む。
熱処理工程S21では、β−デンプンをα化させるとともに、α−デンプンをマトリックスゴムに化学結合させるが、ここで、α化とは、β−デンプンを水分の存在下で加熱することで水素結合が切断され、ゲル状のα−デンプンとすることである。このα化によって、デンプンの吸水性(親水性)が増加し、粘度の上昇等が生ずる。この理由については上述した通りである。
ここで、例えば、特開平8−109278号公報(発泡成形体、発泡成形体用原料および発泡成形体の製造方法)には、デンプンとゴムラテックスと水を加熱発泡成形するに際して、デンプンをα化し増粘するとともにゴムラテックスとの分子親和力により均一分散を行い、強度と弾性のある発泡成形体を得る方法が開示されている。この方法は、本発明と同様にデンプンのα化をおこなっているが、α化のタイミングが異なる。すなわち、デンプンとラテックスの混和前または混和と同時にα化を行っている。これにより、デンプンとゴムラテックスとを均一に混和することができる。
乾燥工程S23では、上記熱処理工程S21でラテックスフォーム中に吸収された水分を除去する。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
以上、本発明に係るラテックスフォームの製造方法について詳細に説明したが、続いて、このような製造方法により得られる本発明に係るラテックスフォームの構成について詳細に説明する。
本発明に係るラテックスフォームは、上述したβ−デンプン及び必要に応じて副原料やその他の添加剤が分散されたゴムラテックスを発泡させたラテックスフォームであって、マトリックスゴムを構成するゴムポリマーの少なくとも一部に化学結合したα−デンプンを含むものであって、当該ラテックスフォーム中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡である、ラテックスフォームである。
次に、上述した構造を有する本発明に係るラテックスフォームの有する物性について説明する。本発明に係るラテックスフォームは、上述したように、α−デンプンを有することから、高い吸水性を有するものである。また、このα−デンプンがマトリックスゴムを構成するゴムポリマーに化学結合していることから、α−デンプンが脱離しにくいため、長期間の使用や繰り返しの使用によっても吸水性が低下しにくく、高い吸水性を長期間維持することができる。
また、上述したように、本発明に係るラテックスフォームは、α−デンプンを含んでいるが、発泡時にはβ−デンプンとして存在していたことから、水に不溶であり、増粘することもないことから、空気等の発泡ガスを多量に混入することができる。従って、本発明に係るラテックスフォームは、発泡倍率が高いものとなる。このように発泡倍率が高いことにより、フォームを軽く柔軟なものにしたり、吸水性を向上させるという効果を奏することができる。
発泡倍率=1000/A A:密度(kg/m3)
本発明に係るラテックスフォームは、発泡倍率が高いことと同じ理由で、密度が低いものとなる。このように密度が低いことにより、フォームを軽く柔軟なものにしたり、吸水性を向上させるという効果を奏することができる。
本発明に係るラテックスフォームは、α−デンプンを含むことにより、吸水倍率が高いものとなる。このように吸水倍率が高いことにより、高い吸水性が要求される、紙おむつ、化粧用パフ、結露防止用等の吸水性を有するシール材、止水材、ワイプ材等の用途に好適に使用することができる。
吸水倍率=(B−A)/A×100
A:イオン交換水に浸漬前のラテックスフォームの重量
B:イオン交換水に浸漬後のラテックスフォームの重量
以上説明したような本発明に係るラテックスフォームの用途としては、高い吸水性及び高い発泡倍率(低い密度)が要求される用途が好適である。具体的には、例えば、紙おむつ、化粧用パフ、結露防止用等の吸水性を有するシール材、止水材、ワイプ材等の用途が好適である。
以上説明したように、本発明に係るラテックスフォーム及びその製造方法によれば、親水性処理等の後処理工程を必要としないことから、簡易な工程で高吸水性且つ高発泡倍率のラテックスフォームを得ることができる。このように、簡易な工程で且つ工程数も減らすことができることから、低コスト化を図ることもできる(特に、排水処理等にかかるコストを削減することができる)。
まず、本実施例及び比較例においては、下記の原料を使用した。
・合成ラテックスゴム:
商品名 Nipol LX531B(アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス) ;日本ゼオン株式会社製
商品名 Nipol LX550L(カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス) ;日本ゼオン株式会社製
・加硫系ペースト:
商品名 硫黄(加硫剤)、商品名 ノクセラーMZ(加硫促進剤);大内新興化学工業株式会社製、商品名 酸化亜鉛2種(加硫促進剤);堺化学工業株式会社製、商品名 アデカスタブAO−60(老化防止剤);株式会社ADEKA
・起泡剤:
商品名 オレイン酸カリ石鹸;花王株式会社製
・気泡安定剤:
商品名 トリメンベース;ユニロイヤルケミカルカンパニー製
・β−デンプン:
商品名 ファインテックスS−1;王子コーンスターチ株式会社製
・デンプン架橋剤:
商品名 ジルコゾールAC−7;第一稀元素化学工業株式会社製
・ゲル化剤:
商品名 ケイフッ化ナトリウム;三井化学株式会社製
10質量部の加硫剤、6質量部のノクセラーMZ、18質量部の酸化亜鉛2種、13質量部の老化防止剤、および3質量部の分散剤を50質量部のイオン交換水中に加えてボールミルにて48時間分散して、加硫系ペーストを調製した。
ラテックスフォームをなす主原料である合成ラテックスゴムとして2種類のNBRラテックスゴムを使用し、ラテックス混合物に含まれるゴム系ポリマー100質量部に対し、表1に示す配合に従い、16質量部の加硫系ペースト、1.5質量部の起泡剤、2.0質量部の気泡安定剤、9.0質量部のβ−デンプンおよび3.0質量部のデンプン架橋剤を混合してラテックスフォーム原料を得た。この原料に対して7.6質量部のゲル化剤及びエアーを加え発泡させた後、注型により成形してから120℃、1時間加熱処理をして、実施例1の発泡体(湿熱処理工程前のラテックスフォーム)を得た。次いで、オートクレーブ(トミー工業株式会社製、BS−245)を用いて121℃、および発泡体に含有するデンプン重量の30%以上の水蒸気下で1時間処理し、含有した水を除去して実施例1のラテックスフォームを作製した。
表1に示す配合に従って、実施例1と同様にして、実施例2〜8、11〜14、16、17および比較例1のラテックスフォームを作製した。
オートクレーブ処理を105℃で1時間行った以外は、実施例1と同様にして、実施例9のラテックスフォームを作製した。
オートクレーブ処理を121℃で30分行った以外は、実施例1と同様にして、実施例10、15のラテックスフォームを作製した。
オートクレーブ処理を121℃で10分間行った以外は、実施例1と同様にして、実施例18のラテックスフォームを作製した。
オートクレーブ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2のラテックスフォームを作製した。
表1に示す配合に従って、α−デンプンを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3のラテックスフォームの作製を試みた。しかしながら、ラテックスフォーム原料が増粘したため上手く成形できなかった。
上記で作成した各実施例と比較例のラテックスフォームについて、吸水性、密度及び発泡倍率を評価した。
〔吸水速度〕
上記で作成した各実施例と比較例のラテックスフォームについて、吸水速度を評価するために、下記に示す方法に従い吸水時間の測定を行い、この測定結果から、吸水速度を評価した。イオン交換水1滴を試験片に滴下して、完全にしみ込むまでの時間を測定した。測定箇所は、フォームの4隅及び中央の計5点測定し、以下の基準で吸水速度を評価した。なお、下記評価において、評価が◎、○及び△のものが本発明における吸水速度の評価として良好なものと判断した。得られた結果を表1に示した。
測定箇所5点すべての吸水時間が10秒以内であった場合「◎」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒以内であった場合「○」
測定箇所5点のうち1〜4点において吸水時間が10秒超60秒以内であった場合「△」
測定箇所5点すべての吸水時間が60秒超であった場合「×」
〔吸水倍率〕
試験片をイオン交換水に浸漬させ、60分後に試験片を引き上げて、その重量を測定した。そして、下記式に従って吸水倍率(%)を求めた。
吸水倍率=(B−A)/A×100
A:浸漬前の試験片の重量 B:浸漬後の試験片の重量
上記で作成した各実施例と比較例のラテックスフォームについて、JIS K6400に準じて、見掛け密度として室温で測定した。
上記密度の値を用いて、密度の逆数として下記式のようにして、上記で作成した各実施例と比較例のラテックスフォームの発泡倍率を算出した。
発泡倍率=1000/A A:密度(kg/m3)
表1に示すように、実施例1〜18のラテックスフォームは、いずれも良好な吸水性(吸水速度)を有し、且つ発泡倍率が高いものであった。特に、カルボキシル基を有するゴムポリマーを含み、β−デンプンの含有量が2.3質量部以上であり、デンプン架橋剤の含有量が0.8質量部以上であり、湿熱処理温度が105℃以上であり、且つ湿熱処理時間が30分以上である実施例1〜10については、非常に吸水性(吸水速度及び吸水倍率)が高いものとなった。また、β−デンプンの含有量が2.3質量部未満の実施例11,12、デンプン架橋剤の含有量が0.8質量部未満の実施例13,14、及び、デンプン架橋剤を含まないが湿熱処理時間が短めの実施例15については、実施例1〜10に比べるとやや劣るものの良好な吸水性を有していた。さらに、カルボキシル基を有するゴムポリマーを含まない実施例16、デンプン架橋剤を含まず湿熱処理時間も長い実施例17、及び湿熱処理時間が30分未満である実施例18は、実施例11〜15と比べるとやや劣るものの良好な吸水性を有していた。
上記で作製した実施例2の試験片について、下記に示す方法に従い測定を行い、得られた結果を表2に示した。
(1)密度の測定:上述した通りである。
(2)引張強さ及び伸びの測定:JIS K6400に準じて、試験片を2号形のダンベル状に打ち抜いて測定した。
(3)硬さの測定:アスカー硬度計F型(高分子計器株式会社製)を用いて測定した。
(4)圧縮応力の測定:JIS K6400に準じて、25%及び65%圧縮時の圧縮応力を測定した。
表2に示すように、実施例2のラテックスフォームは、密度が高く、引張強さ及び伸びが適度な値であり、硬さが軟らかい(硬さの測定値及び圧縮応力が低く)ものとなっていることがわかる。
全自動洗濯機(株式会社東芝製、AW−421S)を準備し、洗濯水量を45Lに設定し、上記で作製した試験片(実施例2、13〜15)を入れた。洗い13分、脱水7分の洗濯工程を行った後、試験片を乾燥させた。試験片の耐久性(吸水性が維持できるかどうか)を評価するために、洗濯前のものと、上記洗濯工程を1〜4回繰り返したものの吸水性の評価を行った。得られた結果を表3に示した。吸水性の評価方法は上述した通りである。
表3に示すように、デンプン架橋剤を適量含む実施例2のラテックスフォームは、4回の洗濯工程後も非常に良好な吸水性を保っていた。このことから、適量の架橋剤の添加によりデンプンとゴムポリマーとの結合力が強くなり、デンプンの脱落が抑制され、ラテックスフォームが長期間高い吸水性を維持できることがわかった。また、デンプン架橋剤の添加量が少ない実施例13のラテックスフォームは、2回の洗濯工程後には吸水率がやや低下し、4回の洗濯工程後では吸水性が大きく低下し、さらにデンプン架橋剤の添加量が少ない実施例14のラテックスフォームは、1回の洗濯工程後には吸水率がやや低下し、3回の洗濯工程後では吸水性が大きく低下した。このことから、少量でもデンプン架橋剤を添加することで、ある程度デンプンの脱落が抑制されているものの、その効果は適量添加した場合よりも劣ることがわかった。一方、デンプン架橋剤を添加していない実施例15では、1回の洗濯工程後に吸水性が大きく低下した。このことから、デンプン架橋剤を添加しない場合には、デンプンが脱落しやすくなり、デンプン架橋剤を添加したものと比較して、長期間高い吸水性を維持することは難しいことがわかった。
Claims (13)
- マトリックスゴムを構成するゴムポリマーの少なくとも一部に化学結合したα−デンプンを含むラテックスフォームであって、
当該ラテックスフォーム中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡である、ラテックスフォーム。 - 前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有する官能基と、前記α−デンプンが有する水酸基とが、直接または間接的に化学結合している、請求項1に記載のラテックスフォーム。
- 前記官能基が、カルボキシル基又は水酸基である、請求項2に記載のラテックスフォーム。
- 前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有するカルボキシル基又は水酸基中の酸素原子と、前記α−デンプンが有する水酸基中の酸素原子とが、デンプン架橋剤を介して架橋されている、請求項3に記載のラテックスフォーム。
- 発泡倍率が、3倍以上20倍以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のラテックスフォーム。
- 吸水倍率が、100%以上500%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載したラテックスフォーム。
- ゴムポリマーの粒子が分散されたゴムラテックスと、当該ゴムラテックス中に分散されたβ−デンプンとを含む混合物を発泡させ、マトリックスゴム中にβ−デンプンを含むラテックスフォームに成形するフォーム成形工程と、
前記ラテックスフォームを水分の存在下で加熱処理することで、前記β−デンプンをα化させるとともに、前記α−デンプンを前記マトリックスゴムに化学結合させる湿熱処理工程と、
を含む、ラテックスフォームの製造方法。 - 前記ゴムポリマーの少なくとも一部が、カルボキシル基又は水酸基を有する、請求項7に記載のラテックスフォームの製造方法。
- 前記混合物が、前記ゴムポリマーの少なくとも一部が有するカルボキシル基又は水酸基中の酸素原子と、前記α−デンプンが有する水酸基中の酸素原子と、を架橋させるデンプン架橋剤を更に含む、請求項8に記載のラテックスフォームの製造方法。
- 前記β−デンプンの配合量が、前記ゴムポリマー100質量部に対して0.8質量部以上である、請求項7〜9のいずれか一項に記載のラテックスフォームの製造方法。
- 前記デンプン架橋剤の配合量が、前記ゴムポリマー100質量部に対して0.3質量部以上である、請求項7〜10のいずれ一項に記載のラテックスフォームの製造方法。
- 前記湿熱処理工程が、前記β−デンプンの全質量の30%以上の水分の存在下において、温度60℃以上で10分以上実施される、請求項7〜11のいずれか一項に記載のラテックスフォームの製造方法。
- 前記フォーム成形工程では、メカニカルフロス法により前記混合物を発泡させる、請求項7〜12のいずれか一項に記載のラテックスフォームの製造方法。
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WO2021053926A1 (ja) * | 2019-09-20 | 2021-03-25 | デンカ株式会社 | フォームラバー及びその製造方法並びに吸音材 |
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2013
- 2013-04-22 JP JP2013089246A patent/JP6113566B2/ja active Active
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