JP2015094038A - 手袋の製造方法 - Google Patents

手袋の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015094038A
JP2015094038A JP2013233115A JP2013233115A JP2015094038A JP 2015094038 A JP2015094038 A JP 2015094038A JP 2013233115 A JP2013233115 A JP 2013233115A JP 2013233115 A JP2013233115 A JP 2013233115A JP 2015094038 A JP2015094038 A JP 2015094038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
latex composition
rubber
mold
glove
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013233115A
Other languages
English (en)
Inventor
菜実 正尾
Nami Masao
菜実 正尾
高井 淳
Atsushi Takai
淳 高井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2013233115A priority Critical patent/JP2015094038A/ja
Publication of JP2015094038A publication Critical patent/JP2015094038A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gloves (AREA)

Abstract

【課題】全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、厚みのムラ等がない上、指先が他の部位と比べて極端に厚肉にならず作業性やフィット感に優れた手袋を、ゴムや樹脂の種類にかかわらずより簡易に、浸漬成形によって製造するための製造方法を提供する。【解決手段】ゴムまたは樹脂を含み、かつバイオマスナノファイバを配合したラテックス組成物中に、手袋の立体形状に対応する型を浸漬したのち引き上げて、前記型に付着したラテックス組成物を乾燥、固化させる工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成された手袋を、浸漬成形によって製造するための製造方法に関するものである。
一般家庭や工場、あるいは医療現場といった様々な場面において人の手肌を保護したり、食中毒や感染症等を防止したり、あるいは取り扱う対象物(半導体や精密機器等)を手肌の皮脂等から保護したりするために、特に全体がゴムまたは樹脂の皮膜によって一体に形成された、使いやすくしかも安価な手袋が広く用いられる。
かかる手袋は、いわゆる浸漬成形によって製造するのが一般的である。
例えば全体がゴムの膜によって一体に形成された手袋を製造する場合は、まずゴムのラテックスに加硫剤等の各種添加剤を配合して未加硫もしくは前加硫状態の、液状のラテックス組成物を調製する。また、手袋の立体形状に対応した、例えば陶器製の型を用意し、その表面を凝固剤(主に硫酸カルシウム水溶液)で処理する。
次いで、ラテックス組成物中に型を一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、当該型の表面にラテックス組成物を付着させる。
そして引き上げた型ごと加熱してラテックス組成物を乾燥させるとともにゴムを加硫させるか、あるいは一旦乾燥させた後に型ごと加熱してゴムを加硫させたのち脱型させることにより、全体がゴムの膜によって一体に形成された手袋が製造される。
また、全体が樹脂の膜によって一体に形成された手袋は、ゴムのラテックスを含むラテックス組成物に代えて、樹脂のエマルションに各種添加剤を配合して調製したラテックス組成物(厳密にはラテックスではないが、便宜上、ゴムのラテックスを含むものに合わせてこのように記載する)を用いること以外はゴムの手袋と同様にして製造できる。
かかるゴムや樹脂の膜からなる手袋には、当該手袋を装着した状態での作業性に優れることが求められる。薄肉で柔軟性に優れ、指先の細かい作業等にも適すること、すなわち作業性に優れることは、ゴムや樹脂の膜からなる手袋の重要な性能であるといえる。
ところが浸漬成形で製造した手袋は、特に指先が他の部位よりも厚肉でかつ硬くなって作業性が低下したり、手袋のフィット感が低下したりする傾向がある。
すなわち浸漬成形では、型を、指先を下にしてラテックス組成物に浸漬したのち引き上げるのが一般的であり、引き上げ後に、型の表面に付着したもののいまだ凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下して、指先に液だまりを形成する。
そしてこの液だまりが大きいと、指先が他の部位よりも厚肉でかつ硬くなって作業性が低下してしまう。
また形成した手袋は、袖口側から反転させながら脱型するのが一般的であるが、液だまりが大きく、指先が厚肉でかつ硬い場合には、当該指先の部分が反転されずに凹んだままの状態となって、手袋のフィット感が低下してしまう。
そこで引き上げた型に振動を与えて凝固していないラテックス組成物をふるい落としたり、引き上げた型を上下反転させて凝固していないラテックス組成物が指先にたまるのを防止したりすることが考えられるが、その場合には浸漬成形に用いる装置の大幅な改造が必要となるなどの問題があり、いずれも有効な手段とは言えない。
ラテックス組成物に、例えばカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(タイロース)等の増粘剤を配合して粘度を上昇させて、流下を抑制することが考えられる。
しかしその場合、型をラテックス組成物に浸漬する際やラテックス組成物から引き上げる際にも、当該ラテックス組成物は高粘度で流動性が低い状態を呈することになる。そのためラテックス組成物を型の表面に良好に付着させることができず、付着させたラテックス組成物の膜、ひいては手袋を形成するゴムや樹脂の膜に厚みのムラ等を生じやすくなるという問題がある。
増粘剤の配合割合を少なくすれば、これらの問題が生じるのを防止することができる。しかしその場合には、ラテックス組成物の粘度を上昇させて流下を抑制する効果が得られなくなってしまう。
特許文献1には、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和酸単量体、およびエチレン性不飽和単量体を水中で共重合させて製造される共重合体のラテックスのタレを防止するために、当該ラテックスのTI(チキソトロピックインデックス)値を所定の範囲内に規定してラテックスにチキソトロピック性を付与すること、そのために単量体混合物の組成、重合開始剤の種類、ラテックスの粒径等を調整することが記載されている。
特開2001−123015号公報
しかし特許文献1に記載のTI値の調整方法は、上記の特殊な共重合体にのみ適用可能な方法であって、かかる調整方法を、天然ゴムや各種の合成ゴム等の一般的なゴムのラテックス、あるいは塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、硬化性アクリル系樹脂等の一般的な樹脂のラテックスに適用することはできない。
本発明の目的は、全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、厚みのムラ等がない上、指先が他の部位と比べて極端に厚肉にならず作業性やフィット感に優れた手袋を、ゴムや樹脂の種類にかかわらずより簡易に、浸漬成形によって製造するための製造方法を提供することにある。
本発明は、全体がゴムまたは樹脂の膜からなる手袋を製造するための手袋の製造方法であって、前記ゴムまたは樹脂を含み、かつバイオマスナノファイバを配合したラテックス組成物中に、手袋の立体形状に対応する型を浸漬したのち引き上げて、前記型に付着したラテックス組成物を乾燥、固化させる工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ラテックス組成物に配合したバイオマスナノファイバの機能によって、ゴムまたは樹脂の種類にかかわらず、当該ラテックス組成物に良好なチキソトロピック性を付与できる。
そのため型をラテックス組成物に浸漬する際やラテックス組成物から引き上げる際には、当該型から加えられるせん断力によってラテックス組成物を低粘度化し、良好に流動させて、型の表面に、ムラ等を生じることなく良好に付着させることができる。
また型をラテックス組成物から引き上げた後は、当該型の表面に付着させたラテックス組成物にチキソトロピック性を発現させて、型の表面に付着したものの凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下するのを抑制できる。
したがって全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、厚みのムラ等がない上、指先が他の部位と比べて極端に厚肉にならず、作業性やフィット感に優れた手袋を、装置の改造等を必要とせず、より簡易に、浸漬成形によって製造することが可能となる。
ラテックス組成物としては、ゴムまたは樹脂100質量部あたり0.05質量部以上、2質量部以下のバイオマスナノファイバを配合してなるものを用いるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、型の表面に付着させたラテックス組成物に十分なチキソトロピック性を発現させることができないおそれがある。そのため、当該型の表面に付着したものの凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下するのを十分に抑制できず、ラテックス組成物の流下によって指先が他の部位と比べて厚肉になって、手袋の作業性やフィット感が低下するおそれがある。
また範囲を超える場合には、型からせん断力が加えられた際のラテックス組成物の粘度が高くなりすぎて、型の表面に良好に付着させることができず、厚みのムラ等を生じやすくなるおそれがある。
バイオマスナノファイバとしては、セルロースナノファイバ、キチンナノファイバ、およびキトサンナノファイバからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
これらのバイオマスナノファイバは、分子中に多量の水酸基を備えるため、より少量の添加で、ラテックス組成物に良好なチキソトロピック性を付与できる。
本発明は、全体がゴムまたは樹脂の膜からなる手袋を製造するための製造方法であって、前記ゴムまたは樹脂を含み、かつバイオマスナノファイバを配合したラテックス組成物中に、手袋の立体形状に対応する型を浸漬したのち引き上げて、前記型に付着したラテックス組成物を乾燥、固化させる工程を含むことを特徴とする。
〈バイオマスナノファイバ〉
バイオマスナノファイバとしては、生物由来で直径がナノレベルの種々の繊維質がいずれも使用可能である。
かかるバイオマスナノファイバとしては、例えばセルロースナノファイバ、キチンナノファイバ、およびキトサンナノファイバからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
これらのバイオマスナノファイバは、分子中に多量の水酸基を備えるため、より少量の添加で、ラテックス組成物に良好なチキソトロピック性を付与できる。
バイオマスナノファイバの具体例としては、例えばセルロース、キチン、キトサンを超高圧処理によって解繊して製造された、(株)スギノマシン製のBiNFi−s(ビンフィス、登録商標)シリーズのバイオマスナノファイバ等が挙げられる。
このうちセルロース起源のセルロースナノファイバ(BiNFi−sセルロース)は、直径:約0.02μm(=20nm)、長さ:2μm、比表面積:100〜200m/g、重合度:200〜550であるものの、濃度2質量%、5質量%、または10質量%の水溶液として供給される。
またキチン起源のキチンナノファイバ(BiNFi−sキチン)は、直径:約0.02μm(=20nm)、長さ:2μm、比表面積:200m/g、重合度:300であるものの、濃度2質量%、5質量%、または10質量%の水溶液として供給される。
さらにキトサン起源のキトサンナノファイバ(BiNFi−sキトサン)は、直径:約0.02μm(=20nm)、長さ:2μm、比表面積:80m/g、重合度:400であるものの、濃度2質量%、5質量%、または10質量%の水溶液として供給される。
バイオマスナノファイバの配合割合は、ラテックス中に含まれる固形分、すなわちゴムまたは樹脂100質量部あたり0.05質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
配合割合がこの範囲未満では、型の表面に付着させたラテックス組成物に十分なチキソトロピック性を発現させることができないおそれがある。そのため、当該型の表面に付着したものの凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下するのを十分に抑制できず、ラテックス組成物の流下によって指先が他の部位と比べて厚肉になって、手袋の作業性やフィット感が低下するおそれがある。
また範囲を超える場合には、型からせん断力が加えられた際のラテックス組成物の粘度が高くなりすぎて、型の表面に良好に付着させることができず、厚みのムラ等を生じやすくなるおそれがある。
なおバイオマスナノファイバとして、先に説明したビンフィスシリーズの、水溶液状のものを使用する場合、上記配合割合は、当該水溶液中に含まれる有効成分としてのセルロースナノファイバ、キチンナノファイバ、またはキトサンナノファイバ自体の配合割合である。
〈ゴム系ラテックス組成物〉
固形分としてゴムを含むラテックス組成物は、従来同様に、ゴムのラテックスに加硫剤等の各種添加剤を配合するとともに、バイオマスナノファイバを配合して調製される。
ゴムとしては天然ゴム、および合成ゴムの中からラテックス化が可能な種々のゴムがいずれも使用可能であり、かかるゴムとしては、例えば天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等の1種または2種以上が挙げられる。
ゴムを加硫させる加硫剤としては硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。特に硫黄が好ましい。加硫剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム(固形分)100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
ゴムおよび加硫剤を含むラテックス組成物には、さらに加硫促進剤、熱安定剤、加硫促進助剤、老化防止剤、充填剤、pH調整剤、分散安定剤、増粘剤、発泡剤、消泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を配合してもよい。
このうち加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等の1種または2種以上が挙げられる。
加硫促進剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華(酸化亜鉛)、および/またはステアリン酸等が挙げられる。加硫促進助剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
老化防止剤としては、一般に非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の1種または2種以上が挙げられる。充填剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下であるのが好ましい。
pH調整剤としては、例えば水酸化カリウム等が挙げられる。pH調整剤の配合割合は、ラテックス組成物のpHを、ゴムの分散に適したpHとするために必要な任意量に設定すればよいが、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり0.05質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
分散安定剤は、以上で説明した各種添加剤をゴムラテックス中に良好に分散させるために配合されるものであり、当該分散安定剤としては、例えば陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。分散安定剤の配合割合は、ゴムラテックス中のゴム100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
増粘剤は、ラテックス組成物に適度な粘度を付与して、型の表面に良好に付着させたり、手袋を多孔質構造とするべく、ラテックス組成物を起泡させる際に、当該ラテックス組成物の粘性を高めて起泡を助けたりするためのものであり、かかる増粘剤としては、例えばポリアクリル酸等の水溶性高分子が挙げられる。増粘剤は、先に説明したようにラテックス組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止して、ムラ等のない手袋を製造するために省略するのが好ましいが、配合する場合は、ラテックス組成物に求められる粘度等に応じて、その配合割合を適宜設定すればよい。
〈樹脂系ラテックス組成物〉
固形分として樹脂を含むラテックス組成物は、従来同様に、樹脂のエマルションに各種添加剤を配合するとともに、バイオマスナノファイバを配合して調製される。
樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、硬化性アクリル系樹脂等の、エマルション化が可能な樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
樹脂を含むラテックス組成物には、さらに熱安定剤、老化防止剤、充填剤、分散安定剤、増粘剤、発泡剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を配合してもよい。
このうち老化防止剤としては、先に例示した非汚染性のフェノール類やアミン類等の1種または2種以上が挙げられる。老化防止剤の配合割合は、樹脂エマルション中の樹脂(固形分)100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、先に例示した充填剤の1種または2種以上が挙げられる。充填剤の配合割合は、樹脂エマルション中の樹脂100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下であるのが好ましい。
分散安定剤としては、先に例示した陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。分散安定剤の配合割合は、樹脂エマルション中の樹脂100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
増粘剤としては、先に説明したように水溶性高分子等の、ラテックス組成物に適度な粘度を付与したり、起泡を助けたりする機能を有する種々の増粘剤が使用可能である。増粘剤は、先に説明したようにラテックス組成物の粘度が高くなりすぎるのを防止して、ムラ等のない手袋を製造するために省略するのが好ましいが、配合する場合は、ラテックス組成物に求められる粘度等に応じて、その配合割合を適宜設定すればよい。
またラテックス組成物には、ウレタン系樹脂等を硬化反応させるための架橋剤、硬化剤等を、適宜の割合で配合してもよい。
〈手袋の製造〉
本発明の製造方法においては、まず手袋の立体形状に対応した、例えば陶器製の型を用意する。
次に、あらかじめ40〜80℃に加温した上記の型を凝固剤に浸漬したのち、引き上げて乾燥させる。
次いでこの型を、先に説明した、バイオマスナノファイバを配合したラテックス組成物中に一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、当該型の表面にラテックス組成物を付着させる。
そしてゴム系の場合は、引き上げた型ごと90〜120℃に加熱してラテックス組成物を乾燥させるとともにゴムを加硫させるか、あるいは一旦乾燥させた後に型ごと加熱してゴムを加硫させて膜を形成したのち、当該ゴムの膜を裏返しながら脱型する。
また樹脂系の場合は、引き上げた型ごと加熱してラテックス組成物を乾燥させるとともに、硬化性樹脂の場合は硬化反応させて膜を形成したのち、当該樹脂の膜を裏返しながら脱型する。また硬化性樹脂の場合は、一旦乾燥させた後に型ごと加熱して硬化させて膜を形成したのち、当該樹脂の膜を裏返しながら脱型してもよい。
この際、本発明によればラテックス組成物に、バイオマスナノファイバによるチキソトロピック性が付与されているため、型をラテックス組成物に浸漬する際やラテックス組成物から引き上げる際には、当該型から加えられるせん断力によってラテックス組成物を低粘度化し、良好に流動させて、型の表面に、ムラ等を生じることなく良好に付着させることができる。
また型をラテックス組成物から引き上げた後は、当該型の表面に付着させたラテックス組成物にチキソトロピック性を発現させて、型の表面に付着したものの凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下するのを抑制できる。
したがって全体がゴムまたは樹脂の膜によって一体に形成され、厚みのムラ等がない上、指先が他の部位と比べて極端に厚肉にならず、作業性やフィット感に優れた手袋を、装置の改造等を必要とせず、より簡易に、浸漬成形によって製造することが可能となる。
凝固剤としては、例えば硝酸カルシウムや塩化カルシウムなどの、各種の濃度の水溶液やメタノール溶液、エタノール溶液が使用可能である。
これらの、凝固作用が異なる種々の凝固剤を使用した場合でも、ラテックス組成物にバイオマスナノファイバを配合することによる、型の表面に付着したものの凝固していないラテックス組成物が指先の方に流下するのを抑制する効果によって、指先が他の部分と比べて極端に厚肉になるのを確実に防止できる。
〈手袋〉
本発明の製造方法によって製造される手袋は、先に説明したようにラテックス組成物を起泡させることで多孔質構造としてもよいし、起泡させずに非多孔質構造としてもよい。特に膜の強度を向上すること等を考慮すると、非多孔質構造とするのが好ましい。
また手袋は単層構造であってもよく、他の1層以上の層との積層構造を有していてもよい。積層してもよい他の層としては、例えばゴムまたは樹脂からなる、多孔質構造もしくは非多孔質構造の層や、いわゆるサポートタイプの手袋を構成する網手袋の層等が挙げられる。
ただし生産性や価格、あるいは手に装着して作業をする際の作業性等を向上すること等を考慮すると、単層であるのが好ましい。
単層で、かつ非多孔質構造の手袋の厚みは、当該手袋の用途等に応じて任意に設定できる。例えば細かい作業に適した極薄の手袋の厚みは、十分な強度を付与し、なおかつ作業性やフィット感を向上することを考慮すると0.40mm以上であるのが好ましく、0.55mm以下であるのが好ましい。
〈実施例1〉
(ラテックス組成物の調製)
天然ゴムラテックスに、下記表1に示す各成分を配合し、2日間熟成させてラテックス組成物を調製した。
バイオマスナノファイバとしては、セルロースナノファイバの水溶液〔(株)スギノマシン製のBiNFi−sセルロース、直径:約0.02μm(=20nm)、長さ:2μm、比表面積:100〜200m/g、重合度:200〜550であるものの水溶液〕を用いた。
表中の各成分の質量部は、天然ゴムラテックス中の天然ゴム(固形分)100質量部あたりの量部とした。
なおセルロースナノファイバは、上記のように水溶液として配合したが、表中の質量部は、有効成分としてのセルロースナノファイバ(固形分)の質量部とした。
また同様に水酸化カリウムは水溶液として配合したが、表中の質量部は、有効成分としての水酸化カリウム(固形分)の質量部とした。
Figure 2015094038
(手袋の製造)
型としては、手袋の立体形状に対応した陶器製の型を用意した。
この型を、まず60℃で20分間、加温したのち、凝固剤としての20%硝酸カルシウム水溶液に浸漬し、引き上げたのち60℃で1分間加熱して乾燥させた。
次いで型を、先に調製したラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例2〉
凝固剤として15%硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして処理をした型を、実施例1で調製したのと同じラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例3〉
凝固剤として40%硝酸カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして処理をした型を、実施例1で調製したのと同じラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例4〉
凝固剤として20%硝酸カルシウムメタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして処理をした型を、実施例1で調製したのと同じラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例5〉
凝固剤として20%硝酸カルシウムエタノール溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして処理をした型を、実施例1で調製したのと同じラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例6〉
凝固剤として20%塩化カルシウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして処理をした型を、実施例1で調製したのと同じラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例7〉
ラテックスとしてNBRラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。当該ラテックス組成物におけるセルロースナノファイバ(固形分)の配合割合は、NBR(固形分)100質量部あたり1質量部であった。
次いで、実施例1と同様にして処理をした型をこのラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例8〉
ラテックスとしてCRラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。当該ラテックス組成物におけるセルロースナノファイバ(固形分)の配合割合は、CR(固形分)100質量部あたり1質量部であった。
次いで、実施例1と同様にして処理をした型をこのラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例9〉
ラテックスとして天然ゴムラテックスとCRラテックスとを混合した混合ラテックスを用いたこと実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。当該ラテックス組成物における、固形分としての天然ゴムとCRの質量比は70:30であった。またセルロースナノファイバ(固形分)の配合割合は、天然ゴム+CR(固形分)100質量部あたり1質量部であった。
次いで実施例1と同様にして処理をした型を、このラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例10〉
セルロースナノファイバ(固形分)の配合割合を、天然ゴム(固形分)100質量部あたり0.05質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。
次いで実施例1と同様にして処理をした型を、このラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈実施例11〉
セルロースナノファイバ(固形分)の配合割合を、天然ゴム(固形分)100質量部あたり2質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。
次いで実施例1と同様にして処理をした型を、このラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先には液だまりが形成されていないことが確認された。
〈比較例1〉
セルロースナノファイバを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。
次いで実施例1と同様にして処理をした型を、このラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先に液だまりが形成されていることが確認された。
〈比較例2〉
セルロースナノファイバに代えて、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(タイロース)を、増粘剤として、天然ゴム(固形分)100質量部あたり0.05質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてラテックス組成物を調製した。
次いで実施例1と同様にして処理をした型を、このラテックス組成物に20秒間、浸漬したのち引き上げることで、その表面にラテックス組成物を付着させた。
そして引き上げた型を30秒間、指先を下にして静置して観察したところ、当該指先に液だまりが形成されていることが確認された。
以上の結果を表2〜表4にまとめた。
Figure 2015094038
Figure 2015094038
Figure 2015094038
表4の比較例1の結果より、ラテックス組成物にセルロースナノファイバを配合しない場合には、当該ラテックス組成物の流下と、それに伴う液だまりの発生を防止できないことが判った。
また比較例2の結果より、セルロースナノファイバに代えて増粘剤を配合しても、ムラ等の発生を防止すべくその配合割合を少なくすると効果が得られず、やはりラテックス組成物の流下と、それに伴う液だまりの発生を防止できないことが判った。
これに対し表2〜表4の実施例1〜11の結果より、ラテックス組成物にセルロースナノファイバを配合することで、当該ラテックス組成物の流下と、それに伴う液だまりの発生を確実に防止できることが判った。
また実施例1〜6の結果より、セルロースナノファイバを配合することによる効果は、種々の凝固剤を使用した場合に有効であることが判った。
さらに実施例1、7〜9の結果より、セルロースナノファイバを配合することによる効果は、種々のゴムラテックスを使用した場合に有効であることが判った。
そして実施例1、10、11の結果より、セルロースナノファイバの配合割合は、ゴム100質量部あたり0.05〜2質量部であるのが好ましいことが判った。

Claims (3)

  1. 全体がゴムまたは樹脂の膜からなる手袋を製造するための製造方法であって、前記ゴムまたは樹脂を含み、かつバイオマスナノファイバを配合したラテックス組成物中に、手袋の立体形状に対応する型を浸漬したのち引き上げて、前記型に付着したラテックス組成物を乾燥、固化させる工程を含むことを特徴とする手袋の製造方法。
  2. 前記ラテックス組成物は、ゴムまたは樹脂100質量部あたり0.05質量部以上、2質量部以下のバイオマスナノファイバを配合してなる請求項1に記載の手袋の製造方法。
  3. 前記バイオマスナノファイバは、セルロースナノファイバ、キチンナノファイバ、およびキトサンナノファイバからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の手袋の製造方法。
JP2013233115A 2013-11-11 2013-11-11 手袋の製造方法 Pending JP2015094038A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013233115A JP2015094038A (ja) 2013-11-11 2013-11-11 手袋の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013233115A JP2015094038A (ja) 2013-11-11 2013-11-11 手袋の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015094038A true JP2015094038A (ja) 2015-05-18

Family

ID=53196656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013233115A Pending JP2015094038A (ja) 2013-11-11 2013-11-11 手袋の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015094038A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018016898A (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 株式会社丸五 手袋及びその製造方法
CN108299696A (zh) * 2018-02-13 2018-07-20 山东星宇手套有限公司 甲壳素纳米纤维抗菌胶质手套及其制备方法
CN109021589A (zh) * 2018-07-23 2018-12-18 镇江华扬乳胶制品有限公司 一种吸汗防潮乳胶手套的制备方法
CN110093683A (zh) * 2019-05-08 2019-08-06 北京理工大学 一种壳聚糖纳米纤维的制备方法
WO2020218263A1 (ja) 2019-04-25 2020-10-29 日本製紙株式会社 ラテックス浸漬液、ゴム組成物およびそれらの製造方法
JP2022182936A (ja) * 2021-05-26 2022-12-08 プレシャス マウンテン エンタープライズ コーポレーション ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物
JP7346692B1 (ja) 2022-10-21 2023-09-19 株式会社スギノマシン ゴム複合物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018016898A (ja) * 2016-07-26 2018-02-01 株式会社丸五 手袋及びその製造方法
CN108299696A (zh) * 2018-02-13 2018-07-20 山东星宇手套有限公司 甲壳素纳米纤维抗菌胶质手套及其制备方法
CN109021589A (zh) * 2018-07-23 2018-12-18 镇江华扬乳胶制品有限公司 一种吸汗防潮乳胶手套的制备方法
WO2020218263A1 (ja) 2019-04-25 2020-10-29 日本製紙株式会社 ラテックス浸漬液、ゴム組成物およびそれらの製造方法
CN113677756A (zh) * 2019-04-25 2021-11-19 日本制纸株式会社 胶乳浸渍液、橡胶组合物以及它们的制备方法
CN110093683A (zh) * 2019-05-08 2019-08-06 北京理工大学 一种壳聚糖纳米纤维的制备方法
JP2022182936A (ja) * 2021-05-26 2022-12-08 プレシャス マウンテン エンタープライズ コーポレーション ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物
JP7250864B2 (ja) 2021-05-26 2023-04-03 プレシャス マウンテン エンタープライズ コーポレーション ラテックス溶液を製造するためのラテックス添加剤組成物
JP7346692B1 (ja) 2022-10-21 2023-09-19 株式会社スギノマシン ゴム複合物
JP2024061492A (ja) * 2022-10-21 2024-05-07 株式会社スギノマシン ゴム複合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2015094038A (ja) 手袋の製造方法
AU2009241426B2 (en) Dip-formed synthetic polyisoprene latex articles with improved intraparticle and interparticle crosslinks
US20150128329A1 (en) Polymeric compositions comprising polyisoprene
CN111253639B (zh) 一种环保热敏性丁腈防护手套的制备方法
TW201623398A (zh) 浸漬成形用乳膠組成物及浸漬成形品
CN210117348U (zh) 聚合物制品和避孕套
TW201627128A (zh) 浸漬成形品
JP6021198B2 (ja) ゴム手袋の製造方法
JP2018003210A (ja) 手袋
JP2014169517A (ja) ゴム手袋の製造方法
TW201615717A (zh) 浸漬成形體之製造方法、及浸漬成形體
CN114672082A (zh) 一种羧基丁腈乳液及其制备方法和应用
JP5323968B2 (ja) 手袋
JP4350831B2 (ja) 手袋
JP6308652B2 (ja) 薄膜製品の製造方法
JP5490190B2 (ja) 手袋およびその製造方法
JP2015028224A (ja) 透明ゴムコート手袋とその製造方法
JP2024026615A (ja) スリップ防止靴カバー
JP5481529B2 (ja) 手袋の製造方法
JP2004190164A (ja) 手袋
KR20200043378A (ko) 라텍스 조성물 및 그 성형체 및 해당 성형체의 제조 방법
JP2016017233A (ja) 手袋の製造方法