JP2016180065A - 再剥離性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】感圧接着剤組成物の高速塗工で、ゲル化を生じることなく形成され、且つ感圧接着性及びインクジェット印刷適性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートの提供。
【解決手段】基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層が、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなる感圧接着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記感圧接着剤組成物において、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部である、再剥離性シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、再剥離性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートに関する。
基材シートの表面に再剥離性を有する感圧接着剤層を備え、この接着剤層を介して基材シート同士を圧着させ、再剥離可能に接着させた再剥離性シートは、種々の用途で使用され、広く社会に普及している。
このような再剥離性シートの代表的なものとしては、感圧圧着ハガキが例示され、親展性を有するハガキシステムで汎用されている。
親展性を有するハガキシステムは、例えば、個人的用件、プリント情報、印刷情報等の各種情報が記載されたハガキを折り込み、切り重ね、あるいは別体同士を重ね合わせる等、各種の重ね合わせ態様で再剥離可能に接着し、各種情報を隠蔽した後、郵送し、受取人が重ね合わせ面を再剥離して、隠蔽情報を読み取るものである。このような親展性を有するハガキシステムは、その利便性から、必要不可欠なものとなっている。
このような再剥離性シートでは、その製造時に、基材シートの目的とする重ね合わせ面に感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで、感圧接着剤層を形成する。そして、感圧接着剤層に各種情報をインクジェット印刷する手法が汎用されている。そこで、インクジェット印刷適性を有する感圧接着剤層を基材シート上に備えた再剥離性シートの開発が進められている。
このような再剥離性シートとしては、第4級アンモニウム基を有するカチオン性化合物を、固形分換算で1〜50重量%の割合で含有する感圧接着層(感圧接着剤層)を備えたものが開示されており、この感圧接着層は、インクジェットインクの耐水性及び定着性に優れることが開示されている(特許文献1参照)。
また、基紙の少なくとも片面にカチオン性の塗工層を備え、この塗工層上に、比表面積と吸油量が特定範囲のシリカが添加されている接着剤層(感圧接着剤層)を備えた再剥離性シートが開示されており、この接着剤層は、感圧接着性を損なわずに、インクジェットインクの耐水性及び定着性を発揮することが開示されている(特許文献2参照)。
特許第3204878号明細書 特許第3392649号明細書
しかし、従来の再剥離性シートでは、感圧接着剤層の形成時に、基材シートに対して感圧接着剤組成物を高速で塗工することにより、この組成物がゲル化することがあるという問題点があった。感圧接着剤組成物の高速塗工は、グラビア印刷法等を利用した一部の塗工法で必要となる。そして、特許文献1及び2で開示されている再剥離性シートも、感圧接着剤組成物を高速で塗工することが考慮されたものではなく、このような高速塗工時での感圧接着剤組成物のゲル化の抑制に有効なものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、感圧接着剤組成物の高速塗工で、ゲル化を生じることなく形成され、且つ感圧接着性及びインクジェット印刷適性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層が、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなる感圧接着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記感圧接着剤組成物において、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部である、再剥離性シートを提供する。
本発明によれば、感圧接着剤組成物の高速塗工で、ゲル化を生じることなく形成され、且つ感圧接着性及びインクジェット印刷適性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートが提供される。
本発明の一実施形態である三つ折りハガキの表面展開図である。 図1に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。
<再剥離性シート>
本発明の再剥離性シートは、基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層が、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなる感圧接着剤組成物を用いて形成されたものであり、前記感圧接着剤組成物において、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部のものである。
前記感圧接着剤組成物として、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩を必須の配合成分とし、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量が、上記のような特定範囲にあるものを用いることにより、この感圧接着剤組成物は、高速塗工でもゲル化を生じることがなく、しかも形成される感圧接着剤層は、感圧接着性及びインクジェット印刷適性を損なうことがない。
[感圧接着剤組成物]
前記感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなる。以下、各成分について、詳細に説明する。
(接着剤基剤)
前記接着剤基剤は公知のものでよく、例えば、天然ゴム、天然ゴムを変性させた変性ゴム、合成ゴム等が挙げられ、より具体的には、有機溶媒を用いる有機溶媒系のもの、水を媒体とする水系のもの、紫外線等の放射線の照射で硬化する放射線硬化系のもの、加熱で硬化する加熱硬化系のもの等が挙げられる。なお、本明細書において「接着剤基剤」とは、特に断りのない限り、前記天然ゴム等の固形のものを意味し、前記有機溶媒、水等の液状の媒体を含まないものとする。
これらの中でも、前記接着剤基剤は水系のものが好ましく、天然ゴム系水性エマルジョンタイプのものがより好ましい。水系の接着剤基剤を用いたエマルジョン等の組成物は、揮発性が低いため、塗布量の調節が容易であり、基材シートへの塗工適性がより高い。また、このような組成物は、媒体が水なので人体に無害であり、さらに引火性もなく、塗工工程や乾燥工程において、防爆設備等の特殊設備が不要である。
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤としては、天然ゴム系粘着剤の基剤として公知のものが例示でき、例えば、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス);酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス、グラフト化した天然ゴムラテックス等の、前記天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス;前記天然ゴムラテックス又は変性ラテックスに対して、スチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョン及びスチレン・アクリル共重合体エマルジョンからなる群から選択される1種以上を適当量配合した混合物等が挙げられる。天然ゴムのグラフト化に用いるモノマー又はオリゴマーは、重合性基を有するものであれば、目的に応じて任意に選択でき、例えば、モノマーであれば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン等の重合性不飽和二重結合を有するものが挙げられる。ここで、前記アルキルエステルは、メチルエステル又はエチルエステルであることが好ましい。
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤で好ましいものとしては、特に耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性等の観点から、天然ゴムにメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックスが挙げられる。
天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、メタクリル酸メチルを10〜40質量部グラフト重合させたものが挙げられる。
天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、スチレン及びメタクリル酸メチルを合計で30〜70質量部重合させたものが挙げられる。
前記接着剤基剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。ただし、二種以上を併用する場合には、互いに同じ系の接着剤基剤を用いることが好ましい。
前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤(固形分)の配合量の割合が、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
なお、感圧接着剤組成物の調製時には、上記の接着剤基剤のように、水や有機溶媒等の液状媒体に溶解又は分散させた状態で配合する成分があるが、本明細書に記載のこれら成分の配合量は、特に断りのない限り、上記の様に「(固形分)」等との表記がなくても、固形分としての配合量を意味するものとする。
(非晶質シリカ)
前記非晶質シリカは、後述する感圧接着剤層の強度を向上させる共に、接着力(感圧接着性)や再剥離性の調節を容易にする。
前記非晶質シリカは、粒子状(微粒子)であるものが好ましい。
前記非晶質シリカとしては、例えば、乾式シリカ及び湿式シリカ等の合成非晶質シリカが挙げられる。
乾式シリカは、例えば、四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼させる燃焼法で得られる。
湿式シリカは、例えば、ケイ酸ナトリウムを無機酸で中和する沈殿法若しくはゲル法、又はアルコキシシランを加水分解するゾルゲル法等で得られる。
本発明において、前記非晶質シリカは湿式シリカであることが好ましい。
非晶質シリカの比表面積は、50〜500m/gであることが好ましく、100〜400m/gであることがより好ましい。非晶質シリカの比表面積が前記下限値以上であることで、インクの吸収量がより向上し、感圧接着剤層での印刷濃度がより向上する。また、非晶質シリカの比表面積が前記上限値以下であることで、シリカ内部への接着剤基材の取り込みが抑制されるため、感圧接着剤層の接着力がより向上する。非晶質シリカの比表面積は、例えば、透過法や窒素等の気体分子を利用する気体吸着法等、公知の方法で測定できる。
前記非晶質シリカは、平均粒子径が0.5〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。前記平均粒子径が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層における非晶質シリカの粒子間の空隙部が適度な広さに保たれ、インクの吸収量及び吸収速度がより向上し、印刷濃度がより向上する。また、前記平均粒子径が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の表面における凹凸の程度が低減され、印刷品質がより向上する。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
前記非晶質シリカは、吸油量が100〜350mL/100gであることが好ましく、150〜300mL/100gであることがより好ましい。前記吸油量が前記下限値以上であることで、インクの吸収量がより向上し、前記吸油量が前記上限値以下であることで、前記感圧接着剤組成物の流動性がより向上する。
前記非晶質シリカは、細孔容積が0.5mL/g以上であることが好ましい。前記細孔容積が前記下限値以上であることで、インクの吸収量がより向上し、感圧接着剤層での印刷濃度がより向上する。前記細孔容積の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記非晶質シリカは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。なお、本明細書においては、非晶質シリカの前記比表面積、平均粒子径、吸油量及び細孔容積、並びにこれら以外の物性の一以上が互いに明らかに相違する場合、非晶質シリカの種類が互いに異なるものとする。
前記非晶質シリカは、溶媒、好ましくは極性溶媒を分散媒とする分散物として配合することが好ましい。
好ましい前記極性溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状又は環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル等が挙げられる。
前記溶媒(分散媒)は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
溶媒(分散媒)は、水又は水を含む極性溶媒であることが好ましく、水であることがより好ましい。
前記分散物での非晶質シリカの含有量(配合量)は、特に限定されず、適宜調節すればよいが、例えば、取り扱い性等を考慮すると、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
2種以上の前記非晶質シリカを分散物として配合する場合には、非晶質シリカは1種ずつ分散物として配合してもよいし、2種以上が同じ分散物中で分散された分散物を配合してもよい。
前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記非晶質シリカの配合量の割合が、1〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。非晶質シリカの前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層でのインクの印刷濃度をより良好な範囲に調節でき、非晶質シリカの前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
(多価金属塩)
前記多価金属塩は、イオンとなったときにその価数が2以上(2価、3価、・・・)となる金属を構成元素とする塩であれば、特に限定されない。
好ましい前記多価金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
これらの中でも、感圧接着剤層において、インクジェット印刷適性を向上させることができ、水への溶解度と安全性が高い点から、より好ましい前記多価金属塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが挙げられる。
前記多価金属塩は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記多価金属塩の配合量の割合が、5〜60質量部であることが好ましく、7〜56質量部であることがより好ましく、9〜53質量部であることが特に好ましい。
(ジシアンジアミド系カチオンポリマー)
前記ジシアンジアミド系カチオンポリマーは、感圧接着剤層のインクの定着性を向上させる成分である。
ジシアンジアミド系カチオンポリマー公知のものでよく、例えば、ジシアンジアミドを縮合成分とするカチオン性のポリマーが挙げられる。
ジシアンジアミド系カチオンポリマーとして、より具体的には、例えば、ポリアルキレンポリアミン−ジシアンジアミド縮合物、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン縮合物、ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
前記ジシアンジアミド系カチオンポリマーは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ジシアンジアミド系カチオンポリマーの配合量の割合が、12.5〜40質量部であることが好ましく、12.5〜25質量部であることがより好ましい。ジシアンジアミド系カチオンポリマーの前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層はインクジェットインクの定着性がより向上する。また、ジシアンジアミド系カチオンポリマーの前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層はインクジェットインクの定着性、その他のインクジェット印刷適性(インク乾燥性、発色濃度、耐水性、耐擦過性等)及び接着力のバランスがより向上する。
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記多価金属塩及びジシアンジアミド系カチオンポリマーの総配合量の割合が、25質量部以上であることが好ましく、25〜75質量部であることがより好ましく、25〜70質量部であることがさらに好ましく、27〜67質量部であることが特に好ましい。
(ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩)
前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、界面活性剤として作用する成分であり、前記感圧接着剤組成物に、適度な流動性(粘度、塗工性)と、高速塗工時の安定性(ゲル化抑制性)を付与する。
また、前記接着剤基剤は、アニオン性であるか又は容易にアニオン化する特性を有しているが、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、このような接着剤基剤に対して優先的に作用すると推測される。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、ポリオキシアルキレン基の末端の酸素原子にスルホ基(−SOH)が結合している基(スルホオキシアルキレンポリオキシアルキレン基)の末端の炭素原子と、ヒドロカルビル基の炭素原子とが、酸素原子(−O−)を介して結合したエーテル化合物において、前記スルホ基が塩を形成した化合物である。ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、このようなものであれば、特に限定されない。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩において、これを構成するポリオキシアルキレン基中のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
また、前記アルキレン基の炭素数は1〜7であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
ポリオキシアルキレン基中のアルキレン基は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ、比率及び結合順序は、任意に選択できる。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩において、これを構成するヒドロカルビル基(炭化水素基)は、脂肪族ヒドロカルビル基(脂肪族炭化水素基)及び芳香族ヒドロカルビル基(芳香族炭化水素基)のいずれでもよく、脂肪族ヒドロカルビル基の場合、飽和脂肪族ヒドロカルビル基(飽和脂肪族炭化水素基)及び不飽和脂肪族ヒドロカルビル基(不飽和脂肪族炭化水素基)のいずれでもよい。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩を構成する前記飽和脂肪族ヒドロカルビル基としては、直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
環状のアルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が3〜20であることが好ましく、このようなアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、飽和脂肪族ヒドロカルビル基として説明した上記のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩を構成する前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基は、炭素数が2〜20であることが好ましい。
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基としては、前記アルキル基中の、炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、不飽和結合である二重結合(C=C)又は三重結合(C≡C)で置換されてなる基が例示できる。
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基において、不飽和結合の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら不飽和結合は二重結合のみでもよいし、三重結合のみでもよく、二重結合及び三重結合が混在していてもよい。
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基は、不飽和結合の数が1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましい。
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基において、不飽和結合の位置は特に限定されない。
前記不飽和脂肪族ヒドロカルビル基で好ましいものとしては、前記不飽和結合が1個のものに相当する、直鎖状又は分岐鎖状のものであるアルケニル基及びアルキニル基、並びに環状のものであるシクロアルケニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基は、炭素数が2〜20であることが好ましく、このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、1−ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
環状のアルケニル基は、炭素数が4〜20であることが好ましく、このようなアルケニル基としては、例えば、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基は、炭素数が2〜20であることが好ましく、このようなアルケニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
環状のアルキニル基としては、例えば、2−シクロオクチニル基、3−シクロオクチニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩を構成する前記芳香族ヒドロカルビル基としては、アリール基が挙げられる。
前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜20であることが好ましく、このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、前記アルキル基で置換されたものが挙げられるが、これらに限定されない。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜20であることが好ましい。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩において、これを構成するヒドロカルビル基(炭化水素基)としては、上記のもの以外に、アラルキル基も挙げられる。
前記アラルキル基は、炭素数が7〜20であることが好ましく、このようなアラルキル基としては、例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等、前記アルキル基の1個の水素原子が前記アリール基で置換されてなるものが挙げられる。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、上述のように、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸のスルホ基(−SOH)がアニオン(−SO )となって塩を形成しているものであり、このアニオンと共に塩を形成しているカチオンは、有機カチオン(有機化合物がカチオンとなったもの)及び無機カチオン(無機化合物がカチオンとなったもの)のいずれでもよい。
前記有機カチオンとしては、例えば、非イオン性の含窒素有機化合物の窒素原子に水素イオン(H)が付加してなるカチオン、及び第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
前記含窒素有機化合物としては、例えば、アルキルアミン(モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン)、アリールアミン(モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン)、アルキルアリールアミン(モノアルキルジアリールアミン、ジアルキルモノアリールアミン、モノアルキルモノアリールアミン)等の、アンモニアの1個以上の水素原子が有機基で置換されてなるアミン化合物(第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミン);ピリジン等の含窒素芳香族環を有する含窒素化合物;ピペリジン等の含窒素脂肪族環を有する含窒素化合物等が挙げられる。
前記第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、前記含窒素有機化合物として挙げたトリアルキルアミン、トリアリールアミン、モノアルキルジアリールアミン、ジアルキルモノアリールアミン等の、第3級アミンの窒素原子に、さらにアルキル基又はアリール基が結合してなるカチオン;前記含窒素有機化合物として挙げた含窒素芳香族環を有する含窒素化合物の環骨格中の窒素原子に、さらにアルキル基又はアリール基が結合してなるカチオン;前記含窒素有機化合物として挙げた含窒素脂肪族環を有する含窒素化合物の環骨格中の窒素原子に、さらにアルキル基又はアリール基が結合してなるカチオン等が挙げられる。
前記無機カチオンとしては、例えば、水素イオン、アンモニウムイオン等の非金属のカチオン;ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン(Cu、Cu2+)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン(Sn2+、Sn4+)等の金属のカチオン等が挙げられる。
前記無機カチオンが金属のカチオン等、2価以上のカチオンである場合、その価数に応じて、1個のカチオンと共に、2個以上のスルホ基のアニオン(−SO )が、塩を形成していてもよい。
ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩において、塩を形成している前記カチオンは、1価のカチオンであることが好ましく、無機カチオンであることが好ましく、1価の無機カチオンであることがより好ましい。
好ましいポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム)等のポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部であり、2.1〜6質量部であることが好ましく、2.1〜5質量部であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、前記感圧接着剤組成物は、塗工に適した流動性を有し、且つ安定性に優れて、高速塗工でゲル化を生じないものとなる。また、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、前記感圧接着剤組成物は、優れた接着力(感圧接着力)を有するものとなる。
(その他の成分)
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩以外に、これらに該当しないその他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記その他の成分は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
前記その他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、感圧接着剤分野で公知のものが挙げられ、好ましいものとしてはバインダー、密着剤、アンチブロッキング剤、安定剤、溶媒等が挙げられる。
前記バインダーは、前記感圧接着剤層の強度を向上させるものであり、好ましいものとしては、例えば、水溶性高分子が挙げられ、より具体的には、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール;カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC)等のカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。
前記バインダーは、これらの中でも、前記感圧接着剤層での印刷濃度の低下がより抑制され、耐オフセット性も良好である点から、ポリビニルアルコールであることがより好ましい。
前記密着剤は、前記接着剤基剤と、前記基材シートとの密着性を向上させるものであり、好ましいものとしては、例えば、スチレンブタジエンラテックス、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリウレタンゴム等が挙げられる。
前記アンチブロッキング剤は、天然ゴムとの親和性が小さいものが好ましく、微粒子であるものがより好ましい。このようなアンチブロッキング剤としては、例えば、デンプン(スターチ)、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状ポリエチレン、アルミナ、酸化チタン、カオリン、タルク等が挙げられる。
アンチブロッキング剤は、これらの中でも、天然ゴムとの親和性がより小さく、より高いアンチブロッキング効果を実現できることから、デンプンであることが好ましい。
前記安定剤は、天然ゴムラテックスを分散安定化させるためのものであり、具体的にはカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤や、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
前記溶媒は、前記感圧接着剤組成物における液状媒体である。
前記溶媒は、例えば、後述する感圧接着剤組成物の調製時に、粘度を調整するために用い、その例としては、水、有機溶媒等が挙げられる。
一方、先の説明の様に、また後述するように、感圧接着剤組成物の調製時には、上記の接着剤基剤等の固形状の各配合成分は、水や有機溶媒等の液状媒体に溶解又は分散させた状態で配合することがある。本発明においては、このような固形状の各配合成分を溶解又は分散させるのに用いる液状媒体も溶媒に含める。
前記有機溶媒は、配合成分を劣化させないものであれば特に限定されないが、高極性の有機溶媒が好ましく、その例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状又は環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル等が挙げられる。
前記溶媒は水、又は水と高極性の有機溶媒との混合溶媒であることが好ましく、前記混合溶媒は、水の比率が高いほど好ましい。そして、前記溶媒としては、水が特に好ましい。
前記感圧接着剤組成物における、前記溶媒の配合量は、配合成分の種類を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記感圧接着剤組成物における、溶媒以外の前記その他の成分の総配合量は、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に調節できる。
ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点から、前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の総配合量(必須成分の総配合量)の割合が、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記必須成分の総配合量の割合の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよいが、前記その他の成分の配合によって、感圧接着剤組成物の性状をより容易に調節できる点から、90質量%であることが好ましい。
[感圧接着剤組成物の製造方法]
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩、及び必要に応じて前記その他の成分を配合することで製造できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。また、固形状の成分は、少なくともその一部を溶媒に溶解させた溶液として、又は溶媒に分散させた分散物として添加してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。そして、溶解していない成分が存在する場合には、この成分が均一に分散するまで撹拌することが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10〜30℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜24時間であることが好ましい。
[再剥離性シート]
本発明の再剥離性シートは、基材シートの重ね合わせ面同士が、前記感圧接着剤組成物を用いて形成された前記感圧接着剤層を介して、再剥離可能とされたものであり、基材シートの重ね合わせ面同士が、前記感圧接着剤層で接着された状態であってもよいし、前記感圧接着剤層で接着される前の剥離した状態であってもよい。
前記感圧接着剤層は、例えば、前記基材シートの所定箇所に前記感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで形成できる。
前記基材シートは、再剥離性シートの使用目的に応じて任意に選択できる。例えば、再剥離性シートが感圧圧着ハガキである場合には、基材シートとして紙を用いることができる。
前記基材シートの材質は、前記感圧接着剤組成物が塗工可能なものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。前記基材シートの好ましい材質としては、例えば、原紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が挙げられる。
基材シートの材質が前記合成樹脂である場合、この基材シートの表面はマット処理、コロナ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。
基材シートは、少なくとも感圧接着剤組成物の塗工面の材質が紙類であるものが好ましい。
基材シートの厚さは特に限定されないが、通常は50〜200μmであることが好ましく、80〜150μmであることがより好ましい。
基材シートは、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。基材シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
基材シートが複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材シートの厚さとなるようにするとよい。
前記感圧接着剤組成物の基材シートへの塗工方法は特に限定されず、公知の方法が適宜利用可能であり、好ましい方法としては、例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターを用いて塗布する方法;ワイヤーバー等の装置を用いて塗布する方法等が挙げられる。
本発明においては、高速で塗工する場合にも、上述のような特定の組成を有する感圧接着剤組成物は、従来の組成物とは異なり、ゲル化を生じることがなく、塗工時の安定性に優れている。高速での塗工は、例えば、グラビアロールに感圧接着剤組成物を載せて、この感圧接着剤組成物を基材シート上に転写することで塗工する方法など、ロールを用いる塗工方法等で行われるが、これに限定されない。
感圧接着剤組成物の高速塗工時におけるゲル化の発生の有無は、実機での感圧接着剤組成物の高速塗工以外でも、例えば、少なくとも100g程度の少量の感圧接着剤組成物を、所定時間高速撹拌した後の粘度(高速撹拌後の粘度)の大きさによって、判断することも可能である。例えば、上記のような少量の感圧接着剤組成物を、4000rpmの撹拌速度で、9〜11分間撹拌した後に、B型粘度計を用いてその粘度(高速撹拌後の粘度)を20℃で測定し、その値が2000mPa・s未満である場合には、この感圧接着剤組成物は高速塗工時にゲル化を生じないと判断できる。
前記感圧接着剤組成物の塗工は、1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。塗工を複数回に分けて行う場合には、乾燥させた塗膜上にさらに感圧接着剤組成物を塗工してもよいし、乾燥していない塗膜上にさらに感圧接着剤組成物を塗工してもよい。
前記感圧接着剤組成物の塗工量は、この組成物の固形分濃度等を考慮して、適宜調節すればよい。通常は、固形分の塗工量が好ましくは1〜30g/m、より好ましくは1.5〜20g/m、特に好ましくは2〜15g/mとなるように、感圧接着剤組成物の塗工量を調節するとよいが、これらに限定されない。感圧接着剤組成物の固形分の塗工量が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の接着力がより向上し、感圧接着剤組成物の固形分の塗工量が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の再剥離性がより良好となる。
塗工された感圧接着剤組成物の乾燥は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。そして、乾燥時間等、その他の乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい
前記感圧接着剤層は、厚さが3〜40μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。このような範囲であることで、上記のように感圧接着剤組成物の固形分の塗工量を限定した場合と同様の効果が得られる。
再剥離性シートにおける、印刷が行われていない前記感圧接着剤層の接着力、すなわち、印刷が行われていない前記感圧接着剤層によって、基材シートの重ね合わせ面同士を互いに接触させて接着させた状態から剥離させたときの、前記基材シートの重ね合わせ面同士の接着力は、0.68N/25mm(70gf/25mm)以上であることが好ましく、0.88N/25mm(90gf/25mm)以上であることがより好ましい。また、前記接着力は、2.75N/25mm(280gf/25mm)以下であることが好ましく、2.45N/25mm(250gf/25mm)以下であることがより好ましい。前記接着力は前記上限値以下であることで、高過ぎることがなく、基材シートの破れ等の破損が抑制される。なお、ここで「印刷」とは、文字等の情報記録のことを意味する。
なお、ここでは単位「N/25mm」で表される接着力について説明しているが、接着力の測定対象部位が狭く、25mm幅の領域を確保できない場合等においては、25mm未満の幅(mm)の領域で上記と同様に接着力を測定し、この25mm未満の値(mm)の25mmに対する比率(幅の比率)を、測定したこの接着力に乗じて、接着力を25mm幅相当に換算した換算接着力を、単位「N/25mm」で表される接着力として採用できる。
前記接着力は、例えば、再剥離性シートを非印刷領域において感圧接着剤層同士が接触するように折り曲げ、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたシール装置を用いて、折り曲げた再剥離性シートを、前記ロール面間を通過させることにより加圧して、基材シートの重ね合わせ面同士を接着させた後、再剥離性シートを剥離(再剥離)させたときに、発現するものであることが好ましい。この場合、再剥離性シートを加圧するときの圧力は、前記ロール面間の距離を調節することで、調節できる。
このときの再剥離性シートの折り曲げ方は、例えば、Z字状の三つ折りでもよいし、二つ折り等、他の折り曲げ方でもよく、任意に選択でき、特に限定されない。
前記再剥離性シートとして好ましい感圧圧着ハガキの具体例について、以下、図面を引用しながら説明する。図1は本発明の一実施形態である三つ折りハガキの表面展開図であり、図2は図1に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。
図1〜2に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基材シート2から構成され、折り線3(3a、3b)によって三つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が施されている。そして、基材シート2の中央区画領域B及び右側区画領域Cの表面全体と、左側区画領域A及び中央区画領域Bの裏面全体には、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層6が形成されている。そして、左側区画領域Aの裏面、中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面の感圧接着剤層6の上には、隠蔽情報印刷5が施されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、折り線3a、3bにおいてZ型に折り込んで、各区画の重ね合わせ面の感圧接着剤層6同士を対接させ、ドライシーラーで圧力を加えることにより、感圧接着剤層6を介して各区画の重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。ここで、図1〜2では感圧接着剤層6の形成領域が、基材シート2の中央区画領域B及び右側区画領域Cの表面、並びに基材シート2の左側区画領域A及び中央区画領域Bの裏面となっているが、左側区画領域Aの表面及び右側区画領域Cの裏面にも形成されていてもよい。
ドライシーラーとしては、例えば、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたシール装置を用いることができる。折り込んだ基材シート2を、前記ロール面間を通過させて加圧することにより、シートの重ね合わせ面同士を、感圧接着剤層6を介して再剥離可能に接着することができる。シール装置としては、例えば「プレッスルマルチ」(商品名、トッパン・フォームズ社製)を好適に使用できる。
加圧時の圧力は、前記ロール面間の距離を変えることで調節でき、シートの厚さによって適宜選択すればよい。
なお、ここでは表裏二区画ずつ、合計四区画に感圧接着剤層を形成した場合について説明したが、感圧接着剤層をいかなる区画(面)に形成するかは、目的に応じて任意に設定でき、例えば、表裏全区画(面)の六区画に感圧接着剤層を形成してもよい。
感圧圧着ハガキの他の例としては、例えば、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する二つ折りハガキが挙げられ、この二つ折りハガキは、折り線で折り込み、重ね合わせ面となる領域の感圧接着剤層同士を対接させ、圧力を加えることにより、重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
本発明の再剥離性シートにおいて、前記感圧接着剤層は、感圧接着剤組成物の高速塗工でもゲル化を生じることなく形成でき、しかも、接着力(感圧接着性)が良好であり、インク乾燥性、発色濃度、耐水性及び耐擦過性等のインクジェット印刷適性にも優れている。
例えば、「特許第3392649号明細書」(特許文献2)には、接着剤層(感圧接着剤層)を形成するための塗工液において、ゲル化を抑制できることが開示されている。しかし、本文献には、高速塗工時において塗工液のゲル化を抑制できることは開示されていない。また、本文献の手法では、カチオン性の塗工層上に接着剤層を形成することが必須となっており、カチオン性の塗工層の形成が必要となる。これに対して、本発明の再剥離性シートは、このカチオン性の塗工層のような下地層は不要であり、少ない工程数で製造でき、しかも感圧接着剤組成物は、高速塗工時のゲル化が抑制されるという、顕著な効果を奏する。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例で用いた原料を、以下に示す。
[接着剤基剤]
・天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させた変性ラテックス(以下、「変性ラテックス(1)」と略記することがある。)
[界面活性剤]
(ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩)
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム(以下、「POA(1)」と略記することがある。)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(以下、「POA(2)」と略記することがある。)
・ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート(以下、「POA(3)」と略記することがある。)
(ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩以外のもの)
・ポリカルボン酸(以下、「PCA」と略記することがある。)
[非晶質シリカ]
・非晶質シリカ(1)(東ソー・シリカ社製「AY−8A2」及び「E200」の混合物)
[ジシアンジアミド系カチオンポリマー]
・ポリアルキレンポリアミン−ジシアンジアミド縮合物(日華化学社製「NEOFIX E117」、以下、「CP(1)」と略記することがある。)
[多価金属塩]
・塩化カルシウム(CaCl
[バインダー]
・ポリビニルアルコール(クラレ社製「PVA117」、以下、「PVA」と略記することがある。)
[密着剤]
・スチレンブタジエンラテックス(以下、「SBR」と略記することがある。)
[アンチブロッキング剤]
・スターチ(ロケット社製「アクチサイズCWH」)
上記の「AY−8A2」及び「E200」は、それぞれ以下に示すものである。
「AY−8A2」・・・ゲル法合成シリカ(D50:8μm、吸油量:250mL/100g、比表面積:350m/g)
「E200」・・・沈降法合成シリカ(D50:3μm、吸油量:260mL/100g、比表面積:130m/g)
<再剥離性シートの製造>
[実施例1]
(感圧接着剤組成物の製造)
前記変性ラテックス(1)(100質量部)に、POA(1)(2.16質量部)、非晶質シリカ(1)(31質量部)、PVA(7質量部)、CP(1)(20質量部)、塩化カルシウム(20質量部)、SBR(4質量部)、及びスターチ(46質量部)を添加し、25℃で2時間混合して、感圧接着剤組成物を製造した。各成分の配合量を表1に示す。
(再剥離性シートの製造)
ワイヤーバーコーターを用いて、厚さが135μmの上質紙シート(日本製紙社製)上に、上記で得られた感圧接着剤組成物を塗工した。このとき、感圧接着剤組成物は、その固形分の塗工量が5g/mとなるようにした。次いで、形成した塗膜を100〜150℃で乾燥させ、厚さが9〜12.5μmである感圧接着剤層を形成して、再剥離性シートを得た。
<感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層の評価>
(感圧接着剤層の接着力の評価)
得られた再剥離性シートを、温度23℃、相対湿度50%の環境下に置いて12時間調湿した後、感圧接着剤層同士が接触するようにこの再剥離性シートをZ字状に三つ折りして試験片とし、この試験片をロールシーラー(トッパン・フォームズ社製「プレッスルマルチ」)で加圧して、シートの重ね合わせ面同士を接着させた。このときの加圧は、前記ロールシーラーのロールギャップ(ロール面間の距離)を370μmに設定して行った。前記ロールシーラーは、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたものであり、再剥離性シートの試験片は、このロール面間を通過させることにより加圧した。
さらに、この加圧後にロールシーラーから排出された試験片について、二組の重ね合わせ面(接着面)のうち、一方においてシート同士を剥離させ、残った他方の重ね合わせ面について、剥離試験機(島津製作所社製「オートグラフAGSH」)を用いて、剥離速度300mm/分でT型剥離を行い、このときの接着力を測定し、下記評価基準に従って、感圧接着剤層の接着力(感圧接着性)を評価した。結果を表1に示す。
接着力が0.78N/25mm(80gf/25mm)以上である:○
接着力が0.53N/25mm(55gf/25mm)以上、0.78N/25mm未満である:△
接着力が0.53N/25mm未満である:×
(感圧接着剤組成物の流動性の評価)
B型粘度計(東機産業社製)を用いて、スピンドルNo.3、60rpmの条件で、上記で得られた感圧接着剤組成物の粘度を20℃で測定し、下記評価基準に従って、感圧接着剤組成物の流動性を評価した。結果を表1に示す。
粘度が1000mPa・s未満である:○
粘度が1000mPa・s以上、2000mPa・s未満である:△
粘度が2000mPa・s以上である:×
(感圧接着剤組成物の安定性の評価)
ハイスピード撹拌機(プライミックス社製)を用いて、4000rpm、10分の条件で、上記で得られた感圧接着剤組成物を高速で撹拌した。次いで、上記の「流動性の評価」の場合と同じ方法で、この高速撹拌後の感圧接着剤組成物の粘度を測定し、下記評価基準に従って、感圧接着剤組成物の安定性(高速塗工性)を評価した。結果を表1に示す。
高速撹拌後の粘度が1000mPa・s未満である:○
高速撹拌後の粘度が1000mPa・s以上、2000mPa・s未満である:△
高速撹拌後の粘度が2000mPa・s以上である:×
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(インク乾燥性)の評価)
インクジェットプリンタ(エプソン社製「PX−101」)に産業用黒色顔料インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して、2cm×2cmのサイズでべた印刷(単色印刷)を行った。次いで、排紙直後のインクの乾き具合を目視観察して、下記評価基準でインク乾燥性を評価した。結果を表1に示す。
インクが直ちに吸収乾燥した:○
インクが直ちには吸収乾燥せず、感圧接着剤層の表面が僅かに濡れた状態であった:△
インクが直ちには吸収乾燥せず、感圧接着剤層の表面にしばらくの間残った:×
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(発色濃度)の評価)
上記のインク乾燥性の評価の場合と同じ方法で、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対してべた印刷(単色印刷)を行い、反射濃度計(X−Rite)を用いて、乾燥後の前記印刷部位の発色濃度を測定し、下記評価基準で発色濃度を評価した。結果を表1に示す。
発色濃度が1.0以上である:○
発色濃度が0.9以上、1.0未満である:△
発色濃度が0.9未満である:×
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(耐水性)の評価)
インクジェットプリンタ(エプソン社製「PX−101」)に産業用黒色顔料インクを充填し、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対して、幅2mmでライン印刷(単色印刷)を行った。次いで、前記ライン上に10μLの水滴を滴下し、23℃の環境下で水滴が自然乾燥した後のインクの溶出度合いを目視観察して、下記評価基準で耐水性を評価した。結果を表1に示す。
インクの溶出がない:○
インクの溶出が僅かに生じている:△
インクの溶出がはっきりと生じている:×
(感圧接着剤層のインクジェット印刷適性(耐擦過性)の評価)
上記の耐水性の評価の場合と同じ方法で、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層に対してライン印刷(単色印刷)を行った。次いで、10μLの水滴を含ませたキムワイプで前記ラインを1回だけ擦り、インクの剥がれ具合を目視観察して、下記評価基準で耐擦過性を評価した。結果を表1に示す。
インクの剥がれがないか、又はインクの剥がれがほとんど目立たない:○
インクの剥がれが僅かに認められる:△
インクの剥がれがはっきりと認められる:×
(総合評価)
上記の感圧接着剤層の接着力及びインクジェット印刷適性(インク乾燥性、発色濃度、耐水性、耐擦過性)、並びに感圧接着剤組成物の流動性及び安定性の、合計で7つの評価項目について、評価結果に1つでも「×」がある場合、又は1つでも評価不可能なものがある場合は、総合評価を「×」とし、それ以外は総合評価を「○」とした。結果を表1に示す。
<再剥離性シートの製造、並びに感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層の評価>
[実施例2〜3、7〜9]
POA(1)の配合量を表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例4]
POA(1)の配合量と、塩化カルシウムの配合量とを、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。より具体的には、POA(1)の配合量を2.16質量部に代えて2.87質量部とし、塩化カルシウムの配合量を20質量部に代えて10質量部とした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、実施例1と同じ方法で感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5〜6]
POA(1)の配合量と、CP(1)の配合量と、塩化カルシウムの配合量とを、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
POA(1)(2.16質量部)に代えて、POA(2)(2.87質量部)を配合した点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
[実施例11]
POA(1)(2.16質量部)に代えて、POA(3)(2.87質量部)を配合した点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
POA(1)を配合しなかった点以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
[比較例2、4]
POA(1)の配合量を表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表3に示す。
[比較例3]
POA(1)の配合量と、塩化カルシウムの配合量とを、表3に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造し、感圧接着剤組成物及び感圧接着剤層を評価した。結果を表3に示す。
[比較例5]
POA(1)(2.16質量部)に代えて、ポリカルボン酸(2.87質量部)を配合した点以外は、実施例1と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
なお、表1〜3において、配合成分の欄の「−」との表記は、その成分が未配合であることを意味する。また、評価結果の欄の「−」との表記は、評価可能な再剥離性シート(感圧接着剤層)が得られず、その項目が未評価であることを意味する。
Figure 2016180065
Figure 2016180065
Figure 2016180065
上記結果から明らかなように、実施例1〜11において、感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなり、且つ接着剤基剤の配合量100質量部に対する、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部である、という条件を満たしており、いずれも流動性及び安定性に優れ、高速塗工でゲル化を生じないことが確認された。そして、これら実施例の感圧接着剤層はいずれも、接着力(感圧接着性)及びインクジェット印刷適性に優れていた。なお、実施例3と同じ条件で、実機で再剥離性シートを製造した場合でも、実施例3と同様に、感圧接着剤組成物は流動性及び安定性に優れ、高速塗工でゲル化を生じないこと、これから形成した感圧接着剤層も接着力及びインクジェット印刷適性に優れていることを、それぞれ確認した。
これに対して、比較例1における感圧接着剤組成物は、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されておらず、流動性が極めて悪く、塗工不能であって、感圧接着剤層を形成できなかった。したがって、比較例1では、感圧接着剤組成物の安定性、並びに感圧接着剤層の接着力及びインクジェット印刷適性は、評価できなかった。
一方、比較例2〜3の再剥離性シートにおいて、感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなるが、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の前記配合量の割合が、2.1質量部未満であり、これら感圧接着剤組成物はいずれも安定性が劣っており、高速塗工でゲル化を生じることが確認された。なお、比較例2と同じ条件で、実機で再剥離性シートを製造した場合でも、比較例2と同様に、感圧接着剤組成物は安定性が劣っており、高速塗工でゲル化を生じることを確認した。
比較例4の再剥離性シートにおいて、感圧接着剤組成物は、上記の必須成分が配合されてなり、流動性及び安定性に優れており、高速塗工でゲル化を生じないことが確認された。しかし、感圧接着剤組成物は、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の前記配合量の割合が10質量部と過剰であり、感圧接着剤層の接着力が劣っていた。
比較例5における感圧接着剤組成物は、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩に代えて、ポリカルボン酸が配合されており、流動性が極めて悪く、塗工不能であって、感圧接着剤層を形成できなかった。したがって、比較例5では、感圧接着剤組成物の安定性、並びに感圧接着剤層の接着力及びインクジェット印刷適性は、評価できなかった。このように、比較例5は、ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されていない比較例1と同様の結果となった。
本発明は、感圧圧着ハガキ等、秘匿情報記録シート等に利用可能である。
1・・・三つ折りハガキ、2・・・基材シート、3,3a,3b・・・折り線、4・・・宛て先情報印刷、5・・・隠蔽情報印刷、6・・・感圧接着剤層

Claims (1)

  1. 基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、
    前記感圧接着剤層が、接着剤基剤、非晶質シリカ、多価金属塩、ジシアンジアミド系カチオンポリマー及びポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩が配合されてなる感圧接着剤組成物を用いて形成されたものであり、
    前記感圧接着剤組成物において、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記ポリオキシアルキレンヒドロカルビルエーテル硫酸塩の配合量の割合が、2.1〜7質量部である、再剥離性シート。
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