JP6601655B2 - 再剥離性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再剥離性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートと、その製造方法に関する。
基材シートの表面に再剥離性を有する感圧接着剤層を備え、この接着剤層を介して基材シート同士を圧着させ、再剥離可能に接着させた再剥離性シートは、種々の用途で使用され、広く社会に普及している。
このような再剥離性シートの代表的なものとしては、感圧圧着ハガキが例示され、親展性を有するハガキシステムで汎用されている。
親展性を有するハガキシステムは、例えば、個人的用件、プリント情報、印刷情報等の各種情報が記載されたハガキを折り込み、切り重ね、あるいは別体同士を重ね合わせる等、各種の重ね合わせ態様で再剥離可能に接着し、各種情報を隠蔽した後、郵送し、受取人が重ね合わせ面を再剥離して、隠蔽情報を読み取るものである。このような親展性を有するハガキシステムは、その利便性から、必要不可欠なものとなっている。
このような再剥離性シートは、例えば、基材シートの目的とする箇所に印字や印刷を行って印刷層を形成しておき、さらにこれら基材シート及び印刷層の上で重ね合わせ面となる箇所に感圧接着剤層を形成し、この感圧接着剤層を介して基材シート同士を重ね合わせ面において圧着させることで、製造できる。
また、再剥離性シートは、例えば、基材シートの重ね合わせ面となる箇所に、感圧接着剤層を形成しておき、さらにこれら基材シート及び感圧接着剤層の上で重ね合わせ面となる箇所に、印字や印刷を行って印刷層を形成し、感圧接着剤層を介して基材シート同士を重ね合わせ面において圧着させることでも、製造できる。
感圧接着剤層は、通常、接着力を発現する接着剤基剤と接着力を弱める充填材とを含有する感圧接着剤組成物を用いて形成される。そして、接着させた後の基材シート同士を適切に再剥離させる再剥離性は、おもに前記組成物、換言すると感圧接着剤層の接着剤基剤及び充填材の種類並びに含有量によって、調節される。
上記のような、接着剤基剤及び充填材を含有する従来の感圧接着剤組成物のうち、感圧接着性の調節が容易なものとしては、例えば、天然ゴム系エマルジョン、ポリアクリル樹脂及び微粒子状充填材を含有するものが開示されている(特許文献1参照)。そして、この感圧接着剤組成物では、微粒子状充填材の含有量を調節することで、剥離強度を調節できることが開示されており、このような感圧接着剤組成物を塗工して、感圧接着剤層を形成することも具体的に開示されている。
また、同様の感圧接着剤組成物のうち、感圧接着剤層の空気や光等の外的影響による接着力の劣化を抑制できるものとしては、例えば、天然ゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤とを特定の割合で混合し、さらに微粒子状充填材を混合して得られたものが開示されている(特許文献2参照)。そして、この感圧接着剤組成物では、天然ゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤との混合比率を調節することで、剥離強度を調節できることが開示されており、さらにグラビアオフセット印刷法により、このような感圧接着剤組成物を塗工して、感圧接着剤層を形成することも開示されている。
特開2005−213467号公報 特開平9−208914号公報
しかし、特許文献1及び2で開示されている方法では、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層を形成する場合には、複数種の感圧接着剤組成物を塗工する必要があり、複数種の感圧接着剤組成物を用意する必要があるだけでなく、それに伴って、これら組成物を別々に塗工する必要もあり、工程数が増加して、再剥離性シートの製造方法が煩雑になるという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層を備えた再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層が感圧接着剤組成物を1種のみ用いて形成された再剥離性シート、及び前記再剥離性シートの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層は、微粒子状充填材を含有し、前記基材シートの表面の単位面積に相当する領域上において、前記微粒子状充填材の数を比較したときに、前記感圧接着剤層は、前記微粒子状充填材の数が多い第1領域と、前記微粒子状充填材の数が少ない第2領域と、を有し、前記第1領域の前記微粒子状充填材の数が、前記第2領域の前記微粒子状充填材の数に対して1.6倍以上である、再剥離性シートを提供する。
本発明の再剥離性シートは、前記基材シートと前記感圧接着剤層との間にさらに印刷層を備えたものが好ましい。
また、本発明は、前記再剥離性シートの製造方法であって、前記感圧接着剤層を形成するための、前記微粒子状充填材を含有する感圧接着剤組成物を、グラビアオフセット印刷法により、アニロックスロールを用いて前記基材シート上に塗工する工程を有し、前記アニロックスロールは、塗工する前記感圧接着剤組成物を充填するためのセルを表面に有し、前記セルは、同一の前記感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成可能な互いに異なるパターンを有する、再剥離性シートの製造方法を提供する。
本発明の再剥離性シートの製造方法においては、前記アニロックスロールは、前記セルの数を決定する線数が互いに異なる領域を表面に有し、そのうちの少なくとも一の領域は前記線数が200以下であることにより、前記セルが互いに異なるパターンを有することが好ましい。
本発明の再剥離性シートの製造方法においては、前記アニロックスロールは、前記セルの数を決定する線数がいずれも同じで、かつ前記セルの平均深さが互いに異なる領域を表面に有することにより、前記セルが互いに異なるパターンを有していてもよい。
本発明によれば、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層を備えた再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層が感圧接着剤組成物を1種のみ用いて形成された再剥離性シート、及び前記再剥離性シートの製造方法が提供される。
本発明の再剥離性シートの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 線数が互いに異なる領域を表面に有するアニロックスロールでのセルのパターンの一例を示す模式図である。 アニロックスロールでの深さが互いに異なるセルの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態である三つ折りハガキの表面展開図である。 図4に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。 実施例3における再剥離性シートの第1領域のSEMの撮像データである。 実施例3における再剥離性シートの第2領域のSEMの撮像データである。
<再剥離性シート>
本発明の再剥離性シートは、基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、前記感圧接着剤層は、微粒子状充填材を含有し、前記基材シートの表面の単位面積に相当する領域上において、前記微粒子状充填材の数を比較したときに、前記感圧接着剤層は、前記微粒子状充填材の数が多い第1領域と、前記微粒子状充填材の数が少ない第2領域と、を有し、前記第1領域の前記微粒子状充填材の数が、前記第2領域の前記微粒子状充填材の数に対して1.6倍以上のものである。
本発明の再剥離性シートは、基材シートの重ね合わせ面同士が、前記感圧接着剤層で接着された状態であってもよいし、前記感圧接着剤層で接着される前の剥離した状態であってもよい。再剥離性シートの全体構造については、後ほど詳細に説明する。
前記感圧接着剤層において、前記第1領域の前記微粒子状充填材の数が、前記第2領域の前記微粒子状充填材の数に対して1.6倍以上であることにより、感圧接着剤層の第1領域と第2領域とでは、接着させた基材シート同士を再剥離させるときの剥離強度が明確に互いに異なる。
より具体的には、感圧接着剤層の第1領域は、第2領域よりも微粒子状充填材の数が多いことによって、第2領域よりも剥離強度が小さくなる。すなわち、本発明の再剥離性シートにおいては、感圧接着剤層の第1領域は弱接着領域であり、感圧接着剤層の第2領域は強接着領域である。なお、ここで「弱接着」及び「強接着」とは、第1領域及び第2領域での接着の程度を相対的に比較して示すものであり、接着力又は剥離強度の絶対的な強弱を示すものではない。
感圧接着剤層の第1領域及び第2領域は、後述する製造方法により、感圧接着剤組成物を1種のみ用いて形成される。
図1は、本発明の再剥離性シートの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。なお、図1は、例えば、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す再剥離性シート1は、基材シート11上に印刷層12を備え、印刷層12上に感圧接着剤層13を備える。再剥離性シート1は、感圧接着剤層13を介して、基材シート11の重ね合わせ面同士、すなわち基材シート11の印刷層12を備えた側の表面11a同士を、印刷層12と共に再剥離可能に接着できるようになっている。ここに示す再剥離性シート1は、基材シート11の重ね合わせ面同士が、感圧接着剤層13で接着される前の剥離した状態である。
感圧接着剤層13は、微粒子状充填材14を含有する。そして、感圧接着剤層13の微粒子状充填材14以外の部位は、通常、感圧接着剤層13が接着力を発現するための接着剤基剤(図示略)や、必要に応じて接着剤基剤及び微粒子状充填材14のいずれにも該当しないその他の成分(図示略)で占められるか、又は微小な空隙部(図示略)を有して、概略構成されている。感圧接着剤層13の構成成分については、後ほど詳細に説明する。
再剥離性シート1において、印刷層12は、基材シート11の前記表面11aの一部の領域に設けられている。そして、感圧接着剤層13は、基材シート11の前記表面11aのうち、基材シート11の重ね合わせ面に対応した領域に設けられており、この領域内において、感圧接着剤層13は、印刷層12の基材シート11とは接触していない表面12aと、基材シート11の前記表面11aのうち、印刷層12が設けられていない領域と、を被覆している。
感圧接着剤層13の、基材シート11が設けられている側とは反対側の表面13aは、基材シート11の重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着するときの接着面となる。そして、感圧接着剤層13の前記表面13aからは、一部の粒子状充填材14が突出して存在可能である。
感圧接着剤層13は、微粒子状充填材14の数(含有量)が多い第1領域131と、微粒子状充填材14の数(含有量)が少ない第2領域132と、を有する。
第1領域131及び第2領域132は、これらを感圧接着剤層13側から見下ろして平面視したときの前記表面13aの単位面積で規定される部位、換言すると、基材シート11の表面11aの単位面積に相当する領域の上部にある感圧接着剤層13の部位であって、微粒子状充填材14の数を比較したときに、第1領域131の微粒子状充填材14の数は、第2領域132の微粒子状充填材14の数に対して1.6倍以上となっている。
再剥離性シート1において、例えば、基材シート11の重ね合わせ面に対応した領域全面に感圧接着剤層13が形成されている場合等では、図1に示すように、第1領域及び第2領域は互いに隣接する可能性がある。この場合、第1領域131及び第2領域132には、通常、見かけ上の明確な界面は存在しないが、微粒子状充填材14の分布の粗密、すなわち密度の違いによって、区分け可能である。例えば、図1に示すように、感圧接着剤層13の断面を観察することで、微粒子状充填材14の密度の違いは明確に区別でき、第1領域131及び第2領域132は明確に区分けできる。実際には、後述の製造方法のように、感圧接着剤層13の形成時に用いるアニロックスロールの表面におけるセルの分布に対応させて、第1領域131及び第2領域132は区分けできる。
感圧接着剤層13中の微粒子状充填材14の数は、感圧接着剤層13が透明である場合には、例えば、感圧接着剤層13の対象部位を外側から観察することで算出できる。また、感圧接着剤層13が透明ではない場合には、例えば、感圧接着剤層13の対象部位を再剥離性シート1から剥離させ、感圧接着剤層13の微粒子状充填材14以外の成分を溶解させて残存した微粒子状充填材14の数を算出すればよい。
本発明の再剥離性シートは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、印刷層12の形状は目的に応じて任意に選択でき、基材シート11の前記表面11aにおける重ね合わせ面の一部の領域ではなく、全面に設けられていてもよい。また、印刷層12は、一部又はすべての領域で、単層構造ではなく、二層以上の複数層構造であってもよく、これら複数層の形状は、互いに同一でも異なっていてもよい。また、印刷層12及び感圧接着剤層13は、基材シート11の前記表面11aだけではなく、その反対側の面(裏面)11bにも設けられていてもよい。この場合の前記裏面11bにおける、印刷層12及び感圧接着剤層13は、前記表面11aの場合と同様に設けることができる。
また、図1では、便宜上、感圧接着剤層において、第1領域及び第2領域が隣接している場合の再剥離性シートについて示しているが、本発明の再剥離性シートは、第1領域及び第2領域が必ずしも隣接しているとは限らない。例えば、本発明の再剥離性シートは、感圧接着剤層において、第1領域及び第2領域以外に、これらのいずれにも該当しない第3領域を有していてもよく、このような再剥離性シートにおいては、第1領域及び第2領域のいずれか一方又は両方が第3領域と隣接していてもよい。ここで第3領域とは、その中に含まれる微粒子状充填材の数が、第1領域の微粒子状充填材の数に対して1/1.6倍より大きく、かつ第2領域の微粒子状充填材の数に対して1.6倍未満の領域である。
さらに、本発明の再剥離性シートにおいては、感圧接着剤層が互いに隣接せずに、離間して設けられていてもよく、この場合、第1領域及び第2領域が互いに隣接していなくてもよい。
また、図1では、再剥離性シートとして、基材シートと感圧接着剤層との間にさらに印刷層を備えたものを示しているが、本発明の再剥離性シートは、基材シート上に感圧接着剤層を備え、感圧接着剤層上に印刷層を備えたものでもよいし、印刷層を有しないなど、印刷層及び感圧接着剤層の積層構造を有しないものでもよい。
ただし、感圧接着剤組成物を1種のみ用いて、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層が形成されており、これら感圧接着剤層の剥離強度が互いに明確に異なるという特徴が最も顕著となる点から、本発明の再剥離性シートは、図1に示すような、基材シートと感圧接着剤層との間に印刷層を備えたもの、及び印刷層を有しないものが好ましく、汎用性が高い点から、基材シートと感圧接着剤層との間に印刷層を備えたものがより好ましい。例えば、基材シート上に感圧接着剤層を備え、感圧接着剤層上に印刷層を備えた再剥離性シートは、感圧接着剤層上に印刷層が形成されていることにより、本発明の効果を損なわない程度に、感圧接着剤層の剥離強度が印刷層の影響を受ける可能性があり、第1領域及び第2領域の剥離強度の調節が煩雑になることがある。
次に、本発明の再剥離性シートにおける各層について、より詳細に説明する。
[基材シート]
前記基材シートは、再剥離性シートの使用目的に応じて任意に選択できる。例えば、再剥離性シートが感圧圧着ハガキである場合には、基材シートとして紙を用いることができる。
前記基材シートの材質は、後述する感圧接着剤組成物が塗工可能なものであれば特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。前記基材シートの好ましい材質としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が挙げられる。
基材シートの材質が前記合成樹脂である場合、この基材シートの表面はマット処理、コロナ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。
基材シートの厚さは特に限定されないが、通常は20〜300μmであることが好ましく、80〜200μmであることがより好ましい。
基材シートは、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。基材シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
基材シートが複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材シートの厚さとなるようにするとよい。
[感圧接着剤層]
感圧接着剤層は、上述のように、前記微粒子状充填材、接着剤基剤、並びに必要に応じて、前記微粒子状充填材及び接着剤基剤のいずれにも該当しないその他の成分を含有する。
(接着剤基剤)
前記接着剤基剤は公知のものでよく、例えば、天然ゴム、天然ゴムを変性させた変性ゴム、合成ゴム等が挙げられ、より具体的には、有機溶媒を用いる有機溶媒系のもの、水を媒体とする水系のもの、紫外線等の放射線の照射で硬化する放射線硬化系のもの、加熱で硬化する加熱硬化系のもの等が挙げられる。なお、本明細書において「接着剤基剤」とは、特に断りのない限り、前記天然ゴム等の固形のものを意味し、前記有機溶媒、水等の液状の媒体を含まないものとする。
これらの中でも、前記接着剤基剤は水系のものが好ましく、天然ゴム系水性エマルジョンタイプのものがより好ましい。水系の接着剤基剤を用いたエマルジョン等の組成物は、揮発性が低いため、塗工量の調節が容易であり、基材シートへの塗工適性がより高い。また、このような組成物は、媒体が水なので人体に無害であり、さらに引火性もなく、塗工工程や乾燥工程において、防爆設備等の特殊設備が不要である。
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤としては、天然ゴム系粘着剤の基剤として公知のものが例示でき、例えば、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス);酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス、グラフト化した天然ゴムラテックス等の、前記天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス;前記天然ゴムラテックス又は変性ラテックスに対して、スチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョン及びスチレン・アクリル共重合体エマルジョンからなる群から選択される1種以上を適当量配合した混合物等が挙げられる。天然ゴムのグラフト化に用いるモノマー又はオリゴマーは、重合性基を有するものであれば、目的に応じて任意に選択でき、例えば、モノマーであれば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン等の重合性不飽和二重結合を有するものが挙げられる。ここで、前記アルキルエステルは、メチルエステル又はエチルエステルであることが好ましい。
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤で好ましいものとしては、特に耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性等の観点から、天然ゴムにメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックスが挙げられる。
天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、メタクリル酸メチルを10〜40質量部グラフト重合させたものが挙げられる。
天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、スチレン及びメタクリル酸メチルを合計で30〜70質量部重合させたものが挙げられる。
前記接着剤基剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。ただし、2種以上を併用する場合には、互いに同じ系の接着剤基剤を用いることが好ましい。
感圧接着剤層の前記接着剤基剤の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。接着剤基剤の含有量が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の感圧接着性がより安定する。
感圧接着剤層の前記接着剤基剤の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。接着剤基剤の含有量が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の再剥離性がより安定する。
(微粒子状充填材)
前記微粒子状充填材は、感圧接着剤層の接着力(感圧接着性)や再剥離性を調節すると共に、感圧接着剤層の強度を向上させる。通常は、感圧接着剤層の微粒子状充填材の含有量が多いほど、感圧接着剤層は再剥離が容易となり、剥離強度が低下する。
前記微粒子状充填材は、有機微粒子状充填材及び無機微粒子状充填材のいずれでもよい。
前記有機微粒子状充填材の材質としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、「アクリル樹脂」及び「メタクリル樹脂」の両方を包含する概念とする。
前記無機微粒子状充填材の材質としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、活性白土、アルミナ、デンプン(スターチ)、シリカ、ガラス、シラスバルーン等が挙げられる。前記シリカは非晶質シリカであることが好ましく、前記非晶質シリカとしては、例えば、乾式シリカ及び湿式シリカ等の合成非晶質シリカが挙げられる。
前記微粒子状充填材の平均粒子径は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましい。
また、微粒子状充填材の平均粒子径は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。
平均粒子径がこのような範囲内であることで、感圧接着剤層の第1領域及び第2領域の剥離強度の差がより大きくなる。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
前記微粒子状充填材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
2種以上の微粒子状充填材を併用する場合には、例えば、材質が異なるものを併用してもよいし、材質が同じであるか又は異なるもので、平均粒子径が異なるものを併用してもよい。微粒子状充填材の粒度分布をレーザー回折法等により測定したときには、その微粒子状充填材に特有のピークが観測されるが、平均粒子径が異なる微粒子状充填材を併用する場合には、これら微粒子状充填材を混合した混合物の粒度分布を測定したときに、これら微粒子状充填材に特有の前記粒度分布のピークがそれぞれ分離して観察されるように、微粒子状充填材の組み合わせを選択することが好ましい。
感圧接着剤層において、前記接着剤基剤の含有量100質量部に対する、前記微粒子状充填材の含有量の割合は、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。微粒子状充填材の前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、微粒子状充填材を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
感圧接着剤層において、前記接着剤基剤の含有量100質量部に対する、前記微粒子状充填材の含有量の割合は、200質量部以下であることが好ましく、180質量部以下であることがより好ましく、160質量部以下であることが特に好ましい。微粒子状充填材の前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
(その他の成分)
感圧接着剤層が必要に応じて含有してもよい前記その他の成分は、特に限定されず、例えば、感圧接着剤分野で公知のものが挙げられ、好ましいものとしては、多価金属塩、カチオンポリマー、界面活性剤、密着剤、アンチブロッキング剤、安定剤等が挙げられる。
前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
感圧接着剤層の前記その他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に調節できる。
ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点から、感圧接着剤層の前記その他の成分の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
感圧接着剤層の厚さは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、0.1〜30μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましい。感圧接着剤層の厚さが前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の感圧接着性がより安定し、感圧接着剤層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
感圧接着剤層の厚さをこのように調節するためには、感圧接着剤層の積層量(塗工量)は、1〜15g/mであることが好ましく、2〜10g/mであることがより好ましい。
本発明の再剥離性シートにおいて、感圧接着剤層中の前記第1領域の数は、1でもよいし2以上でもよく、2以上である場合、これら2以上の第1領域は、すべて同じ組成であってもよいし、すべて異なる組成であってもよく、一部のみ同じ組成であってもよい。例えば、組成が互いに異なる第1領域の例としては、前記微粒子状充填材の数が互いに異なるものが挙げられる。これらの点は、第2領域及び第3領域の場合も同様である。
すなわち、感圧接着剤層中の前記第2領域及び第3領域の数は、それぞれ独立に1でもよいし2以上でもよく、2以上である場合、これら2以上の第2領域及び第3領域は、それぞれすべて同じ組成であってもよいし、すべて異なる組成であってもよく、一部のみ同じ組成であってもよい。
本発明の再剥離性シートにおいて、感圧接着剤層中の前記第1領域、第2領域及び第3領域の大きさ(広さ)は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、第1領域、第2領域及び第3領域を感圧接着剤層側から見下ろして平面視したときのこれら領域の表面積は、特に限定されず、これら領域の表面積の大小関係も特に限定されない。
本発明の再剥離性シートにおいて、感圧接着剤層中の前記第1領域及び第2領域の層数は、通常、共に1となる。前記第1領域及び第2領域の層数が同じとなるのは、後述する製造方法で説明するとおり、同一の感圧接着剤組成物を用いて、第1領域及び第2領域を同時に形成するためである。
[印刷層]
上述のように、本発明の再剥離性シートは、印刷層を備えていてもよい。
前記印刷層は、形状、色等を目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。例えば、印刷層は、文字のみで構成されていてもよいし、文字以外のパターン又は全面印刷のみで構成されていてもよく、文字と文字以外のパターン又は全面印刷との組み合わせで構成されていてもよい。
印刷層の厚さは特に限定されないが、通常は0.1〜50μmであることが好ましい。
印刷層は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。印刷層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、上述の基材シートの場合と同じである。
印刷層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい印刷層の厚さとなるようにするとよい。
本発明の再剥離性シートは、実施例において後述するように、剥離速度300mm/分でのT型剥離試験における、幅150mmの感圧接着剤層の剥離強度(接着力)が、0.8〜15N/150mmであることが好ましく、1〜5.5N/150mmであることがより好ましい。
また、本発明の再剥離性シートは、同様の剥離速度300mm/分でのT型剥離試験における、幅150mmの前記第1領域の剥離強度(接着力)が、0.8〜6N/150mmであることが好ましく、1〜5N/150mmであることがより好ましい。
また、本発明の再剥離性シートは、同様の剥離速度300mm/分でのT型剥離試験における、幅150mmの前記第2領域の剥離強度(接着力)が、1.3〜7N/150mmであることが好ましく、1.5〜6N/150mmであることがより好ましい。
そして、本発明の再剥離性シートは、上述の第2領域の剥離強度と第1領域の剥離強度との差([第2領域の剥離強度(N/150mm)]−[第1領域の剥離強度(N/150mm)])が、0.5N/150mm以上であることが好ましく、0.7N/150mm以上であることがより好ましい。前記剥離強度の差の上限値は、特に限定されないが、再剥離性シートの取り扱い易さの観点では、前記剥離強度の差は8N/150mm以下であることが好ましい。
なお、ここでは単位「N/150mm」で表される剥離強度(接着力)について説明しているが、剥離強度の測定対象部位が狭く、150mm幅の領域を確保できない場合等においては、150mm未満の幅(mm)の領域で上記と同様に剥離強度を測定し、この150mm未満の値(mm)の150mmに対する比率(幅の比率)を、測定したこの剥離強度に乗じて、剥離強度を150mm幅相当に換算した換算接着力を、単位「N/150mm」で表される接着力として採用できる。
前記剥離強度は、例えば、再剥離性シートを感圧接着剤層同士が接触するように折り曲げ、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたシール装置を用いて、折り曲げた再剥離性シートを、前記ロール面間を通過させることにより加圧して、基材シートの重ね合わせ面同士を接着させた後、再剥離性シートを剥離(再剥離)させたときに、発現するものであることが好ましい。この場合、再剥離性シートを加圧するときの圧力は、前記ロール面間の距離を調節することで、調節できる。
このときの再剥離性シートの折り曲げ方は、例えば、Z字状の三つ折りでもよいし、二つ折り等、他の折り曲げ方でもよく、任意に選択でき、特に限定されない。
本発明の再剥離性シートは、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層を備えているが、後述するように、感圧接着剤組成物を1種のみ用いて前記感圧接着剤層を形成できるため、安価に提供可能である。
<再剥離性シートの製造方法>
上述の本発明の再剥離性シートは、前記感圧接着剤層を形成するための、前記微粒子状充填材を含有する感圧接着剤組成物を、グラビアオフセット印刷法により、アニロックスロールを用いて前記基材シート上に塗工する工程を有し、前記アニロックスロールは、塗工する前記感圧接着剤組成物を充填するためのセルを表面に有し、前記セルは、同一の前記感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成可能な互いに異なるパターンを有する方法で製造できる。
[感圧接着剤層の形成]
アニロックスロールは、塗工する感圧接着剤組成物を充填するためのセルを表面に有し、前記セルに充填された感圧接着剤組成物は、基材シート上の目的とする箇所に接触して転写され、塗工される。
そして、前記セルは、基材シート上の目的とする箇所に感圧接着剤組成物を塗工(転写)できるように、アニロックスロールの表面に多数形成されている。
前記アニロックスロールは、線数によって前記セルの数が決定される。線数とは、アニロックスロールの表面における、1インチ(25.4mm)あたりのセルの数である。したがって、線数が大きいほどセルの1個あたりの開口面積は小さくなる。
本発明で用いるアニロックスロールにおいて、前記セルは、同一の感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成できるように、互いに異なるパターンを有している。
ここで、セルが互いに異なるパターンを有している、とは、例えば、セルの形状、開口面積及び容積等のいずれか一以上が、互いに異なった状態にあることを意味する。
このように、同一の感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成できるように、セルが互いに異なるパターンを有しているアニロックスロールで好ましいものとしては、例えば、線数の値が互いに異なる領域を表面に有し、前記線数の違いに基づいて、前記第1領域及び第2領域を同時に形成するものが挙げられる。
図2は、このような線数が互いに異なる領域を表面に有するアニロックスロールでの、前記セルのパターンの一例を示す模式図である。
ここに示すアニロックスロール2は、そのロール面である表面21に、第1セル22aを多数有する第1ロール面21aと、第2セル22bを多数有する第2ロール面21bと、を有する。
第1セル22a及び第2セル22bは、いずれもアニロックスロール2の表面21に凹状に形成されており、開口部は略正方形状であり、凹状部は直方体状である。第1セル22aは、第2セル22bよりも開口面積が大きく、かつ容積も大きいため、1個あたりの感圧接着剤組成物の充填可能量は、第1セル22aの方が第2セル22bよりも多い。
このように、第1ロール面21aの線数は、第2ロール面21bの線数よりも小さい。
一方、感圧接着剤組成物の充填時においては、微粒子状充填材は、その粒子径が大きくなるほど、容積が小さいセルには充填されにくくなる。したがって、粒子径が同じである微粒子状充填材は、セルの容積が一定値以上であれば、容積が大きいセルの方へ多く充填される。図2に示すアニロックスロール2においては、微粒子状充填材が第2セル22bよりも第1セル22aの方に多く充填される。
このように、1個の第1セル22aから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数は、1個の第2セル22bから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数よりも多くなる。したがって、同一の感圧接着剤組成物を用いた場合に、第1ロール面21aから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数は、第2ロール面21bから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数よりも多くなる。
すなわち、第1ロール面21aは、再剥離性シートの感圧接着剤層のうち、第1領域を形成するための領域であり、第2ロール面21bは、第2領域を形成するための領域である。
このように、同一の感圧接着剤組成物を用いて、第1領域及び第2領域を同時に形成する効果を高めるためには、少なくとも第1ロール面21aの線数が200以下であることが好ましい。
そして、上述の効果をより高めるためには、第1ロール面21aの線数は、例えば、190以下、180以下、及び170以下のいずれかであってもよい。第1ロール面21aの線数の下限値は、特に限定されないが、例えば、70であることが好ましい。
同様に、上述の効果をより高めるためには、第2ロール面21bの線数は、400以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましく、例えば、200以下、及び160以下のいずれかであってもよい。第2ロール面21bの線数の下限値は、特に限定されないが、例えば、100であることが好ましい。
また、本発明においては、第2ロール面21bの線数と第1ロール面21aの線数との差([第2ロール面21bの線数]−[第1ロール面21aの線数])は、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
なかでも、本発明においては、第1ロール面21aの線数が70〜200で、かつ第2ロール面21bの線数が100〜300であり、さらに、第2ロール面21bの線数と第1ロール面21aの線数との差([第2ロール面21bの線数]−[第1ロール面21aの線数])が15以上であるアニロックスロール2を用いることが好ましい。
同一の感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成できるように、セルが互いに異なるパターンを有している、図2に示すもの以外の好ましいアニロックスロールとしては、例えば、線数がいずれも同じで、かつ前記セルの平均深さが互いに異なる領域を表面に有し、前記セルの平均深さの違いに基づいて、前記第1領域及び第2領域を同時に形成するものが挙げられる。
図3は、深さが互いに異なるセルを模式的に示す断面図である。
ここに示す第1セル32a及び第2セル32bは、これらの開口面積と深さの関係が異なる点以外は、図2に示す第1セル22a及び第2セル22bと同様のものである。
アニロックスロールの第1セル32aが多数形成されているロール面と、第2セル32bが多数形成されているロール面とは、線数が同じであって、第1セル32a及び第2セル32bは、開口面積が同じとなっている。
一方、第1セル32aの深さDは、第2セル32bの深さDよりも深いため、1個あたりの感圧接着剤組成物の充填可能量は、第1セル32aの方が第2セル32bよりも多い。
粒子径が同じである微粒子状充填材は、セルの開口面積が一定値以上であれば、容積が大きいセルの方へ多く充填されるので、微粒子状充填材は第2セル32bよりも第1セル32aの方に多く充填される。
このように、1個の第1セル32aから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数は、1個の第2セル32bから基材シート上に転写される微粒子状充填材の数よりも多くなる。ここでは、微粒子状充填材が1個のセルで転写される場合について説明しているが、開口面積が同じで平均深さが異なる複数個のセルで微粒子状充填材が転写される場合も同様の結果となる。したがって、第1セル32aが多数形成されているロール面(第1ロール面)から基材シート上に転写される微粒子状充填材の数は、第2セル32bが多数形成されているロール面(第2ロール面)から基材シート上に転写される微粒子状充填材の数よりも多くなる。
すなわち、前記第1ロール面は、再剥離性シートの感圧接着剤層のうち、第1領域を形成するための領域であり、前記第2ロール面は、第2領域を形成するための領域である。
このように、同一の感圧接着剤組成物を用いて、第1領域及び第2領域を同時に形成する効果を高めるためには、第1ロール面における第1セル32aの平均深さと、第2ロール面における第2セル32bの平均深さとの差([第1セル32aの平均深さ]−[第2セル32bの平均深さ])は、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましい。
なかでも、本発明においては、第1ロール面及び第2ロール面の線数が70〜200であり、さらに、第1ロール面における第1セル32aの平均深さと、第2ロール面における第2セル32bの平均深さとの差([第1セル32aの平均深さ]−[第2セル32bの平均深さ])が5μm以上であるアニロックスロールを用いることが好ましい。
ここでは、セルが互いに異なるパターンを有しているアニロックスロールとして、線数の値が互いに異なる領域を表面に有するもの、及び、線数がいずれも同じで、かつセルの平均深さが互いに異なる領域を表面に有するもの、について説明したが、本発明においては、前記アニロックスロールとして、線数の値が互いに異なる領域を表面に有するものを用いることがより好ましい。
本発明の再剥離性シートの製造で用いるアニロックスロールにおいて、前記セルは、上述のものに限定されない。例えば、前記セルの開口部は、略正方形状以外の形状であってもよいし、凹状部の形状も直方体状以外であってもよい。さらに、図2及び3では、前記セルとして、対向する側面同士が平行である場合について示しているが、これら側面は非平行であってもよい。そして、前記セルの側面及び底面は、平面ではなく、曲面、凹凸面等の非平面であってもよい。
また、第1ロール面及び第2ロール面のいずれにおいても、前記セルはすべて同じ形状でなくてもよく、少なくとも一部が互いに異なる形状であってもよい。
また、図2では、アニロックスロールとして、第1ロール面及び第2ロール面が互いに隣接しているものについて示しているが、第1ロール面及び第2ロール面のいずれか一方又は両方が、第1セル及び第2セル以外の第3セルを多数有する第3ロール面と隣接していてもよい。ここで第3ロール面としては、上述の第3領域に相当する感圧接着剤層を形成するものが挙げられる。さらに、アニロックスロールのロール面には、第1セル、第2セル及び第3セルをいずれも有しない領域が存在していてもよく、この場合、第1ロール面及び第2ロール面が互いに隣接していなくてもよい。
本発明の再剥離性シートの製造で用いるアニロックスロールは、上記の点以外は、公知のアニロックスロールと同様のものである。例えば、本発明の再剥離性シートの製造で用いるアニロックスロールは、公知のアニロックスロールと同じ材質で構成できる。
(感圧接着剤組成物)
感圧接着剤層を形成するための前記感圧接着剤組成物は、前記微粒子状充填材を含有し、先に説明したように、さらに前記接着剤基剤、及び必要に応じて接着剤基剤及び微粒子状充填材のいずれにも該当しないその他の成分を含有する。
前記基材シートの目的とする箇所に感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで、感圧接着剤層を形成できる。
前記感圧接着剤組成物は、前記その他の成分として、感圧接着剤層におけるその他の成分として挙げたものに加えて、例えば、溶媒が配合されていてもよい。
前記溶媒は、例えば、前記感圧接着剤組成物における液状媒体であり、感圧接着剤組成物の調製時に粘度を調整するために用い、その例としては、水、有機溶媒等が挙げられる。
一方、先の説明の様に、感圧接着剤組成物の調製時には、上記の接着剤基剤等の固形状の各配合成分は、水や有機溶媒等の液状媒体に溶解又は分散させた状態で配合することがある。本発明においては、このような固形状の各配合成分を溶解又は分散させるのに用いる液状媒体も溶媒に含める。
前記有機溶媒は、配合成分を劣化させないものであれば特に限定されないが、高極性の有機溶媒が好ましく、その例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状又は環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状エーテル等が挙げられる。
前記感圧接着剤組成物における、常温で気化しない成分同士の配合量の比率は、感圧接着剤層中でのこれら成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度が好適である。
したがって、通常は、前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤(固形分)の配合量の割合が、30〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
また、前記感圧接着剤組成物において、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記微粒子状充填材の配合量の割合は、1〜200質量部であることが好ましく、5〜180質量部であることがより好ましく、10〜160質量部であることが特に好ましい。
また、前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記その他の成分の配合量の割合が、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
前記感圧接着剤組成物における、溶媒以外の前記その他の成分の総配合量は、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に調節できる。
ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点から、前記感圧接着剤組成物において、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤及び微粒子状充填材(すなわち必須成分)の総配合量の割合が、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記総配合量の割合の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよい。
塗工された感圧接着剤組成物の乾燥は、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。そして、乾燥時間等、その他の乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。
(感圧接着剤組成物の製造方法)
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤、微粒子状充填材、及び必要に応じて前記その他の成分を配合することで製造できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。また、固形状の成分は、少なくともその一部を溶媒に溶解させた溶液として、又は溶媒に分散させた分散物として添加してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。そして、溶解していない成分が存在する場合には、この成分が均一に分散するまで撹拌することが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10〜30℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜24時間であることが好ましい。
[印刷層の形成]
前記印刷層は、例えば、前記基材シート又は感圧接着剤層等の形成対象物の所定箇所に、印刷層を構成するための成分が配合されてなるインク組成物を印刷し、乾燥させることで形成できる。
前記インク組成物は、例えば、インクジェット式印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、電子写真印刷方式、ディップ式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等、公知の印刷法で印刷き、目的に応じて適宜選択すればよい。また、印刷法は、一の方法を単独で適用してもよいし、二以上の方法を組み合わせて適用してもよい。
例えば、再剥離性シートが、配布対象者が多数の、隠蔽情報が印刷された感圧圧着ハガキである場合には、すべての配布対象者に共通の固定情報を、オフセット印刷法等で印刷(印字)し、配布対象者ごとに異なる可変情報をインクジェット式印刷法等で印刷(印字)するという方法によって、印刷層を形成できる。ただし、これは一例であり、印刷層の形成方法はこれに限定されない。
以上のように、本発明の再剥離性シートは、上述のアニロックスロールを用いることで、感圧接着剤組成物を1種のみ用いて、同一の基材シート上に剥離強度が互いに異なる感圧接着剤層を形成できるため、例えば、複数種の感圧接着剤組成物を用いる必要が無く、工程数を削減できるなど、簡略化された工程で製造できる。
<再剥離性シートの具体例>
前記再剥離性シートとして好ましい感圧圧着ハガキの具体例について、以下、図面を引用しながら説明する。図4は本発明の一実施形態に係る三つ折りハガキの表面展開図であり、図5は図4に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。
図4〜5に示す三つ折りハガキ91は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基材シート92から構成され、折り線93(93a、93b)によって三つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷94が施されている。そして、基材シート92の左側区画領域Aの裏面、中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面の上には、隠蔽情報印刷95が施されており、さらに、中央区画領域B及び右側区画領域Cの表面全体と、左側区画領域A及び中央区画領域Bの裏面全体には、隠蔽情報印刷95を被覆する様に、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層96が形成されている。このように構成された三つ折りハガキ91は、折り線93a、93bにおいてZ型に折り込んで、各区画の重ね合わせ面の感圧接着剤層96同士を対接させ、ドライシーラーで圧力を加えることにより、感圧接着剤層96を介して各区画の重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。ここで、図4〜5では感圧接着剤層96の形成領域が、基材シート92の中央区画領域B及び右側区画領域Cの表面、並びに基材シート92の左側区画領域A及び中央区画領域Bの裏面となっているが、左側区画領域Aの表面及び右側区画領域Cの裏面にも形成されていてもよい。
ドライシーラーとしては、例えば、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたシール装置を用いることができる。折り込んだ基材シート92を、前記ロール面間を通過させて加圧することにより、シートの重ね合わせ面同士を、感圧接着剤層96を介して再剥離可能に接着することができる。シール装置としては、例えば「プレッスルマルチ」(商品名、トッパンフォームズ社製)を好適に使用できる。
加圧時の圧力は、前記ロール面間の距離を変えることで調節でき、シートの厚さによって適宜選択すればよい。
なお、ここでは表裏二区画ずつ、合計四区画に感圧接着剤層を形成した場合について説明したが、感圧接着剤層をいかなる区画(面)に形成するかは、目的に応じて任意に設定でき、例えば、表裏全区画(面)の六区画に感圧接着剤層を形成してもよい。
感圧圧着ハガキの他の例としては、例えば、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する二つ折りハガキが挙げられ、この二つ折りハガキは、折り線で折り込み、重ね合わせ面となる領域の感圧接着剤層同士を対接させ、圧力を加えることにより、重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
図4〜5では、再剥離性シートとして、印刷層上に感圧接着剤層を備えた感圧圧着ハガキについて説明したが、感圧圧着ハガキは感圧接着剤層上に印刷層を備えたものでもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例で用いた原料を、以下に示す。
[接着剤基剤]
・天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させた、グラフト重合率25%の変性天然ゴム(以下、「変性天然ゴム(1)」と略記することがある。)
[充填材]
・アクリル樹脂微粒子(ポリメタクリル酸メチル製微粒子、平均粒子径4、11、22μm)
[その他の成分]
・スチレンブタジエンラテックス(以下、「SBR」と略記することがある。)
<再剥離性シートの製造>
[実施例1]
(感圧接着剤組成物の製造)
固形分濃度が49質量%の前記変性天然ゴム(1)の水性エマルジョン(204質量部、固形分100質量部)と、固形分濃度が40質量%の前記SBRの水性エマルジョン(108質量部、固形分43質量部)との混合物に、前記アクリル樹脂微粒子(平均粒子径4μm)(17質量部)を添加し、常温で1時間混合して、感圧接着剤組成物を製造した。
(再剥離性シートの製造)
グラビアオフセット印刷法により、上質紙シート(日本製紙社製、坪量128g/m、厚さ156μm)の両面に、上記で得られた感圧接着剤組成物を塗工した。このとき、塗工速度は10m/分とした。また、アニロックスロールとしては、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものを用いた。第1ロール面の第1セルの深さは25〜30μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは15〜20μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。
次いで、形成した塗膜を熱風乾燥器内において80℃で乾燥させ、感圧接着剤層を形成して、再剥離性シートを得た。感圧接着剤組成物の固形分の塗工量は、表1に示すように、第1ロール面に対応する第1領域は4.0g/m、第2ロール面に対応する第2領域は2.4g/mであった。
<再剥離性シートの評価>
(微粒子状充填材の数の測定)
走査型電子顕微鏡を用いて、500倍の倍率で、得られた再剥離性シートの感圧接着剤層を観察し、第1領域及び第2領域において、視野(約0.05m)に捉えられたアクリル樹脂微粒子の数の平均値を求め、粒子数とした。また、塗工前の感圧接着剤組成物について、同様に、視野(約0.05m)に捉えられたアクリル樹脂微粒子の数の平均値を求め、粒子数とし、上記の第1領域及び第2領域の粒子数を、この感圧接着剤組成物の粒子数で除して、塗工時のアクリル樹脂微粒子の転写率を算出した。結果を表2に示す。
(感圧接着剤層の剥離強度の評価)
感圧接着剤層同士が接触するように、得られた再剥離性シートをZ字状に三つ折りし、この三つ折りしたものをロールシーラー(トッパンフォームズ社製「プレッスルマルチ」)で加圧して、シートの重ね合わせ面同士を接着させ、試験片を得た。このときの加圧は、前記ロールシーラーのロールギャップ(ロール面間の距離)を430μmに設定して行った。前記ロールシーラーは、対向する2個の金属ロールをロール面同士が非接触となるようにして備えたものであり、三つ折りした再剥離性シートを、このロール面間を通過させることにより加圧した。
得られた試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下に置いて1時間調湿した後、二組の重ね合わせ面(加圧接着面)のうち、一方においてシート同士を剥離させ、残った他方の重ね合わせ面について、剥離試験機(島津製作所社製「オートグラフAGSH」)を用いて、剥離速度300mm/分でT型剥離を行い、このときの接着力を測定し、剥離強度とした。結果を表2に示す。
<再剥離性シートの製造及び評価>
[実施例2]
感圧接着剤組成物の製造時において、平均粒子径が4μmのアクリル樹脂微粒子に代えて、平均粒子径が11μmのアクリル樹脂微粒子を用いた点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が160の第1ロール面及び線数が175の第2ロール面を表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールの第1ロール面の第1セルの深さは36〜46μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは30〜36μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。結果を表2に示す。
[実施例3]
感圧接着剤組成物の製造時において、平均粒子径が4μmのアクリル樹脂微粒子に代えて、平均粒子径が11μmのアクリル樹脂微粒子を用いた点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が120の第1ロール面及び線数が175の第2ロール面を表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールの第1ロール面の第1セルの深さは56〜74μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは30〜36μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。結果を表2に示す。
また、得られた再剥離性シートの第1領域及び第2領域を、下記条件により走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、撮像データを取得した。第1領域の撮像データを図6に、第2領域の撮像データを図7に、それぞれ示す。
(SEMによる観察条件)
測定モード:LEI
加速電圧:1.0kV
倍率:140倍
[実施例4]
感圧接着剤組成物の製造時において、平均粒子径が4μmのアクリル樹脂微粒子に代えて、平均粒子径が11μmのアクリル樹脂微粒子を用いた点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が85の第1ロール面及び線数が175の第2ロール面を表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールの第1ロール面の第1セルの深さは76〜97μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは30〜36μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。結果を表2に示す。
[実施例5]
感圧接着剤組成物の製造時において、平均粒子径が4μmのアクリル樹脂微粒子に代えて、平均粒子径が22μmのアクリル樹脂微粒子を用いた点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が85の第1ロール面及び線数が120の第2ロール面を表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールの第1ロール面の第1セルの深さは76〜97μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは56〜74μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。結果を表2に示す。
[比較例1]
感圧接着剤組成物の製造時において、平均粒子径が4μmのアクリル樹脂微粒子に代えて、平均粒子径が11μmのアクリル樹脂微粒子を用いた点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が175のロール面のみを表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールのロール面のセルの深さは30〜36μmである。結果を表2に示す。
[比較例2]
感圧接着剤組成物の製造時において、アクリル樹脂微粒子を添加しなかった点、及び、再剥離性シートの製造時において、アニロックスロールとして、線数が200の第1ロール面及び線数が300の第2ロール面を表面に有するものに代えて、線数が175の第1ロール面及び線数が200の第2ロール面を表面に有するものを用いた点以外は、実施例1と同じ方法で再剥離性シートを製造及び評価した。前記アニロックスロールの第1ロール面の第1セルの深さは30〜36μmであり、第2ロール面の第2セルの深さは25〜30μmであって、第1セル及び第2セルは、平均深さも互いに異なる。結果を表2に示す。
[試験例1]
アニロックスロールの線数と、感圧接着剤組成物の塗工時におけるアクリル樹脂微粒子の転写率との関係を、上記の各実施例及び比較例以外の場合について、確認した。アニロックスロールの線数以外の感圧接着剤組成物の塗工条件と、用いる感圧接着剤組成物とは、上記の各実施例及び比較例の場合と同じとした。上記の各実施例及び比較例の場合もあわせて、結果を表3に示す。なお、線数が表3に示す場合のセルの平均深さは、線数がいずれの場合も互いに異なる。
上記結果から明らかなように、実施例1〜5の再剥離性シートは、感圧接着剤層が第1領域及び第2領域を有し、第1領域の微粒子状充填材の数が、第2領域の微粒子状充填材の数に対して1.6倍以上である、という条件を満たしていた。すなわち、これら再剥離性シートでは、第1ロール面及び第2ロール面を有するアニロックスロールと、同一の感圧接着剤組成物を用いて、剥離強度が明確に互いに異なる第1領域及び第2領域を形成できていた。
例えば、図7に示すように、実施例3で得られた再剥離性シートでは、感圧接着剤層の第1領域の表面に多数の微粒子状充填材が観察されたのに対し、第2領域の表面には少数の微粒子状充填材が観察されたに過ぎず、第1領域及び第2領域で剥離強度が明確に互いに異なることと整合していた。
これに対して、比較例1の再剥離性シートは、その製造時に、線数が同じでセルがすべて同一のパターンである従来のアニロックスロールを用いたことで、感圧接着剤層が第1領域及び第2領域を有していなかった。
また、比較例2の再剥離性シートは、感圧接着剤組成物の製造時に微粒子状充填材を用いなかったことで、第1ロール面及び第2ロール面を有するアニロックスロールを用いたにも関わらず、感圧接着剤層に剥離強度が明確に互いに異なる領域を形成できなかった。
表3に示すように、感圧接着剤組成物の塗工時におけるアクリル樹脂微粒子の転写率は、アニロックスロールの線数が小さくなるに従い増加すること、また、アニロックスロールの線数が同じである場合には、アクリル樹脂微粒子の平均粒子径が小さくなるに従い増加すること、がそれぞれ確認された。
本発明は、感圧圧着ハガキ等、秘匿情報記録シート等に利用可能である。
1・・・再剥離性シート、11・・・基材シート、11a・・・基材シートの表面、12・・・印刷層、12a・・・印刷層の表面、13・・・感圧接着剤層、13a・・・感圧接着剤層の表面、131・・・第1領域、132・・・第2領域、14・・・微粒子状充填材、
2・・・アニロックスロール、21・・・アニロックスロールの表面(ロール面)、21a・・・アニロックスロールの第1ロール面、21b・・・アニロックスロールの第2ロール面、22a,32a・・・アニロックスロールの第1セル、22b,32b・・・アニロックスロールの第2セル、
91・・・三つ折りハガキ、92・・・基材シート、93,93a,93b・・・折り線、94・・・宛て先情報印刷、95・・・隠蔽情報印刷、96・・・感圧接着剤層

Claims (4)

  1. 基材シート上に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士を、再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、
    前記感圧接着剤層は、前記基材シートの重ね合わせ面に対応した領域全面に形成されており、
    前記感圧接着剤層は、微粒子状充填材を含有し、
    前記基材シートの表面の単位面積に相当する領域上において、前記微粒子状充填材の数を比較したときに、前記感圧接着剤層は、前記微粒子状充填材の数が多い第1領域と、前記微粒子状充填材の数が少ない第2領域と、を有し、
    前記第1領域の前記微粒子状充填材の数が、前記第2領域の前記微粒子状充填材の数に対して1.6倍以上である、再剥離性シート。
  2. 前記基材シートと前記感圧接着剤層との間にさらに印刷層を備えた、請求項1に記載の再剥離性シート。
  3. 請求項1又は2に記載の再剥離性シートの製造方法であって、
    前記感圧接着剤層を形成するための、前記微粒子状充填材を含有する感圧接着剤組成物を、グラビアオフセット印刷法により、アニロックスロールを用いて前記基材シート上に塗工する工程を有し、
    前記アニロックスロールは、塗工する前記感圧接着剤組成物を充填するためのセルを表面に有し、
    前記アニロックスロールは、前記セルの数を決定する線数が互いに異なる領域として、第1ロール面及び第2ロール面を表面に有し、前記第1ロール面の線数が70〜200で、かつ前記第2ロール面の線数が100〜300であり、さらに、前記第2ロール面の線数と前記第1ロール面の線数との差([前記第2ロール面の線数]−[前記第1ロール面の線数])が15以上であることにより、前記セルが互いに異なるパターンを有し、
    前記セルは、同一の前記感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成可能な互いに異なるパターンを有する、再剥離性シートの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の再剥離性シートの製造方法であって、
    前記感圧接着剤層を形成するための、前記微粒子状充填材を含有する感圧接着剤組成物を、グラビアオフセット印刷法により、アニロックスロールを用いて前記基材シート上に塗工する工程を有し、
    前記アニロックスロールは、塗工する前記感圧接着剤組成物を充填するためのセルを表面に有し、
    前記アニロックスロールは、前記セルの数を決定する線数がいずれも同じで、かつ前記セルの平均深さが互いに異なる領域を表面に有することにより、前記セルが互いに異なるパターンを有し、
    前記セルは、同一の前記感圧接着剤組成物の塗工によって、前記第1領域及び第2領域を同時に形成可能な互いに異なるパターンを有する、再剥離性シートの製造方法。
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