〔天然ゴム系微粒子〕
天然ゴム系微粒子は、圧着により接着力を発現する主成分である。本発明では、天然ゴム系微粒子として、天然ゴム系ゴム100質量部に対してアクリル系モノマーが15質量部以上30質量部以下グラフト重合された共重合体を用いる。
天然ゴム系ゴムとしては、天然ゴムの主成分であるイソプレン骨格を有し、自着性を有するものを適宜採用でき、天然ゴムおよび合成ゴムの何れでも構わない。その例としては天然ゴムやイソプレンゴムを挙げることができる。
アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ラウリル−トリデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル−ステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル及びメタクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド及び(メタ)アクリル酸メチロールアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の反応性アクリル系モノマー類;ジ(メタ)アクリル酸エチレン、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ブチレン、(メタ)アクリル酸アリル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール及びジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の架橋性アクリル系モノマー類などを使用でき、これらを2種以上併用することもできる。なかでも、接着剤組成物製造の容易さの観点から(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
また、必要に応じて、2種以上の天然ゴム系微粒子を併用することもできる。
天然ゴム系ゴムにアクリル系モノマーをグラフト重合すると、天然ゴム系ゴムのゴム的性質が樹脂的性質に変性され、天然ゴム系微粒子の放射線硬化性媒体への分散性が向上し、接着剤組成物の安定性が優れたものになる。この効果を優れて発揮させる観点から、天然ゴム系ゴム100質量部に対してアクリル系モノマーが15質量部以上グラフト重合された天然ゴム系微粒子を用いる。一方、接着剤組成物製造の容易さの観点から、また接着剤組成物の接着力の観点から、天然ゴム系ゴム100質量部に対して30質量部以下、好ましくは20質量部以下のアクリル系モノマーがグラフト重合された天然ゴム系微粒子を用いる。
〔放射線硬化性媒体、放射線硬化性化合物〕
放射線硬化性媒体は、天然ゴム系微粒子を分散させることのできる媒体であって、放射線によって硬化可能なものである。放射線硬化性媒体としては、放射線硬化性化合物を用いることができ、また放射線硬化性化合物に他の成分を混合したものを用いることができる。ここでいう他の成分としては例えば界面活性剤や分散剤などを挙げることができる。なお、本発明で言う硬化とは、網目構造の形成による硬化のみならず、重合反応の進行などに伴い流動性が低下することなども含むものとする。
放射線硬化性化合物としては、媒体置換(後に詳述する)を良好に行うことができ、放射線により良好に硬化するものを適宜使用できるが、媒体置換性、硬化性および得られる感圧接着剤層の性能の観点から、放射線硬化性アクリル化合物および含環状エーテル放射線硬化性化合物が好ましく、必要に応じて、これらを併用することもできる。
放射線硬化性アクリル化合物としては、接着剤組成物および感圧接着剤層の良好な性能を実現する観点から、少なくとも1以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーが好ましい。また、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2以上有するオリゴマーがより好ましい。更に、これらの(メタ)アクリロイル基に加え、ラジカル反応性の不飽和基を同時に有するオリゴマーを用いることもできる。この様な不飽和基としては、アリル基、メタリル基などを挙げることができる。
オリゴマーは、重量平均分子量が30〜1000であることが好ましく、オリゴエチレングリコール、エポキシ樹脂オリゴマー、ポリエステル樹脂オリゴマー、ポリアミド樹脂オリゴマー、ウレタン樹脂オリゴマー、オリゴビニルアルコール、フェノール樹脂オリゴマー等を使用することができる。
以上のような放射線硬化性アクリル化合物の好ましい具体例としては、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変成(n=4)アクリレート、エポキシ樹脂オリゴマーのアクリル酸エステル(例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート)、エポキシ樹脂オリゴマーとアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂オリゴマーと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、エポキシ樹脂オリゴマーのジグリシジルエーテルとジアリルアミンとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、オリゴエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物、オリゴビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、オリゴビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後グリシジルメタクリレートを付加させたもの、ピロメリット酸二無水物のジアリルエステル化物にp,p’−ジアミノジフェニルを反応させて得られるオリゴマー、エチレン−無水マレイン酸共重合体とアリルアミンとの反応生成物、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、これにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたもの、ウレタン結合を介してオリゴオキシアルキレンセグメント又は飽和オリゴエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系オリゴマー、末端アクリル変性イソプレンゴム又はブタジエンゴムを挙げることができ、中でも、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、必要に応じて、放射線硬化性アクリル化合物として、光重合性モノマーを用いることもできる。好ましい光重合性モノマーの例として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、例えばアルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、テトラヒドロフルフリル、アリル、グリシジル、ベンジル、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N’−アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドを挙げることができる。
また、特に硬化収縮が支障となる用途の場合には、放射線硬化性アクリル化合物として例えば、イソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、オリゴオキシエチレン又はオリゴプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−もしくはジアクリレート又はモノ−もしくはジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−もしくはジアクリレート、又はモノ−もしくはジメタアクリレート、又はこれらのモノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートを用いることが好ましい。
また、放射線硬化性アクリル化合物として、多官能性アクリル化合物を用いることもできる。多官能性アクリル化合物としては、例えば、共重合性のα,β−不飽和多価カルボン酸の(メタ)アクリルエステル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール等のジメタクリル酸アルキレングリコールエステル、トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレートを用いることができる。
また、必要に応じて、アクリル系モノマー、重合度2〜10のアクリル系オリゴマー、これらの混合物などを併用することもできる。
更に、パラクミルフェノールEO変成(n=1)アクリレートのように、放射線硬化性アクリル化合物のオリゴマー成分をモノマー成分に置き換えたものを放射線硬化性アクリル化合物として使用することもできる。
一方、含環状エーテル放射線硬化性化合物としては、接着剤組成物および感圧接着剤層の良好な性能を実現する観点から、また、環状エーテル構造の開環性の観点から、2〜12個の炭素と1〜6個の酸素とを含む環状エーテル構造を1以上含む含環状エーテル放射線硬化性化合物が好ましい。更に、上記炭素数は6以下がより好ましく、4以下が更に好ましく、酸素数は4以下が好ましく、2以下が更に好ましい。また、環状エーテル構造を2以上含む含環状エーテル放射線硬化性化合物がより好ましい。
より具体的には、環状エーテル構造として−O−を含む橋かけ構造が好ましく、グリシジル基などのエポキシ環を有する基を有する化合物が含環状エーテル放射線硬化性化合物として好ましい。
更に、環状エーテル構造に加え、ラジカル反応性の不飽和基を同時に有する化合物を用いることもできる。この様な不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、メタリル基などを挙げることができる。
また、以上のような環状エーテル構造を有する基や不飽和基は、接着剤組成物および感圧接着剤層の良好な性能を実現する観点から、モノマー成分およびオリゴマー成分に結合していることが好ましい。
このオリゴマー成分は、重量平均分子量が50〜1000であることが好ましく、オリゴエチレングリコール、エポキシ樹脂オリゴマー、ポリエステル樹脂オリゴマー、ポリアミド樹脂オリゴマー、ウレタン樹脂オリゴマー、オリゴビニルアルコール、フェノール樹脂オリゴマー等を使用することができる。
これらのオリゴマー成分に環状エーテル構造が結合した化合物としては、例えば、オリゴエチレングリコールジグリシジルエーテルを挙げることができる。
また、モノマー成分の種類としては、上記のようなオリゴマー成分のモノマーが好ましく、このようなモノマー成分に環状エーテル構造が結合した化合物としては、例えば、グリシジル基が2個の例としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジル基が3個の例としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルを挙げることができる。
以上に説明してきた放射線硬化性化合物の中でも、感圧接着剤組成物の重合性と得られる感圧接着剤層の接着性とのバランスの観点から、1分子中に2個の放射線重合性官能基を有するものを用いることが好ましい。なお、放射線重合性官能基としては、放射線硬化性化合物が放射線硬化性アクリル化合物の場合、(メタ)アクリロイル基などとすることができ、放射線硬化性化合物が含環状エーテル放射線硬化性化合物の場合、エポキシ基などとすることができる。
さらに、放射線硬化性化合物として、2官能の放射線硬化性化合物と、1官能の放射線硬化性化合物および3官能の放射線硬化性化合物の少なくとも一方とを用いることが好ましい。ここで、1官能、2官能、3官能とは、1分子中にそれぞれ1個、2個、3個の放射線重合性官能基が存在することを意味する。
2官能の放射線硬化性化合物に加えて1官能の放射線化合物を含む接着剤組成物が硬化した接着剤層においては、接着剤層の弾性が向上し、接着剤層が脆さに起因して情報担持用シートから剥がれることが抑制される。2官能の放射線硬化性化合物に加えて3官能の放射線化合物を含む接着剤組成物が硬化した接着剤層においては、接着剤層の表面硬度が向上し、接着剤層表面が破壊されることが抑制される。この結果、いずれの場合も、高速プリンターで情報担持用シートに情報を印刷するような場合でも、接着剤層が剥がれてカスが発生したりすることが抑制される。2官能の放射線硬化性化合物に加えて1官能の放射線化合物と3官能の放射線化合物を含む接着剤組成物が硬化した接着剤層においては、両者の効果があわせて発揮され、より好ましい。特に、2官能の放射線硬化性化合物としては親水性がより高いポリエチレングリコールジアクリレート(n=13〜14)などの2官能放射線硬化性モノマーが好ましく、1官能の放射線硬化性化合物としてはモルフォリンアクリレートなどの1官能放射線硬化性モノマーが好ましく、3官能の放射線硬化性化合物としてはトリメチロールプロパン(EO変性もしくはPO変性)トリアクリレートなどの3官能放射線硬化性モノマーが好ましい。なお、EOおよびPOはそれぞれエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを示す。
接着剤組成物において、放射線硬化性化合物の総量の、天然ゴム系微粒子100質量部に対する比率は、得られる接着剤組成物および接着剤層の性能の観点から、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、100質量部以上が更に好ましく、一方、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましく、200質量部以下が更に好ましい。なお、必要に応じて、2種以上の放射線硬化性化合物を併用することもでき、この場合、放射線硬化性化合物の総量が上記の範囲内であることが好ましい。
放射線硬化性化合物として、2官能の放射線硬化性化合物と、1官能の放射線硬化性化合物および3官能の放射線硬化性化合物の少なくとも一方とを用いる場合、1官能の放射線硬化性化合物は、天然ゴム系微粒子100質量部に対して、接着剤層の弾性を向上させる観点から20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、接着剤層のタック性の観点から60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。また、3官能の放射線硬化性化合物は、天然ゴム系微粒子100質量部に対して、接着剤層の表面硬度を向上させる観点から20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、接着剤層の接着力の観点から60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
使用する放射線硬化性化合物の種類によって、適宜重合開始剤を接着剤組成物に含ませることもできる。重合開始剤としては、例えば、ベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル−エーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、放射線硬化性化合物の合計量100質量部に対し、0.1〜30質量部とすることができる。
〔接着剤組成物の製造〕
ここで、本発明の接着剤組成物を製造する方法の一例につき、図1を用いて説明する。
先ず、図1(a)に示すように、放射線硬化性媒体32に、天然ゴム系微粒子30を例えば40質量%以上80質量%以下含有する水系エマルジョン31を添加する。水系エマルジョンは、分散媒が水であるエマルジョンであり、ここでは水に天然ゴム微粒子が分散したものである。
これを混合し、混合物33を攪拌しながら、図1(b)に示すように例えば温浴34等を用いて加熱する。加熱により、水系エマルジョンの媒体である水が気化し、混合物外に徐々に除去される。そして、水の減少に伴い、分散媒体が水から放射線硬化性媒体に置換される(図1(c))。
放射線硬化性媒体として放射線硬化性化合物をそのまま用いてもよいし、界面活性剤や分散剤など他の成分を含む接着剤組成物を製造する場合は、他の成分と放射線硬化性化合物とを混合して放射線硬化性媒体とし、これに必要に応じて充填材を分散させた上で、水系エマルジョンと混合し、媒体を置換することができる。場合によっては、放射線硬化性化合物と水系エマルジョンを混合し、媒体を置換した後に充填材や上記他の成分を分散あるいは混合することもできる。
この方法を実際に行うと、水の減少に伴い混合物の粘度が上昇し、分散媒体が置換されると混合物の粘度が急激に低下する。このような急激な粘度の変化は相転移に起因するものと考えられ、この方法を採用することにより、天然ゴム系微粒子の凝集などが発生することが抑制され、天然ゴム系微粒子が良好に分散した接着剤組成物を得ることができる。
また、天然ゴム系微粒子の分散性に加え、得られる接着剤組成物および接着剤層の性能の観点から、天然ゴム系微粒子の平均粒子径としては、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上が更に好ましく、一方、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。なお、平均粒子径は、光散乱法などを用いて重量基準により測定する。またこのような範囲の粒子径は例えば接着剤組成物をオフセット印刷する場合にも好適である。
また、上記のような方法を採用すると、天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョンから媒体である水を除去したり、天然ゴム系微粒子を乾燥させることなく、天然ゴム系微粒子の分散を良好に保ったまま、分散媒体を直接置換できる。この結果、得られる接着剤組成物の含水率を容易に低くすることもでき、具体的には好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下とすることができる。
所望の平均粒子径を有する天然ゴム系微粒子が優れて均一に分散され、含水率が優れて低い接着剤組成物を得る観点から、天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョン100質量部に対する、放射線硬化性媒体の比率を、25質量部以上とすることが好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましく、一方、250質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。
また、所望の平均粒子径を有する天然ゴム系微粒子が優れて均一に分散され、含水率が優れて低い接着剤組成物を得る観点から、天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョンの水分を気化させる温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましく、一方、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、50℃以下が更に好ましい。このために、送風の温度を上記範囲の温度とすることができる。また減圧の際には温浴等の加熱手段により、放射線硬化媒体と天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョンの混合物を加熱して上記温度範囲にすることもできる。
所望の平均粒子径を有する天然ゴム系微粒子が優れて均一に分散され、含水率が優れて低い接着剤組成物を高い生産性で得る観点から、天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョンの水分を気化させる際に、温浴に加え、温風を送風する、減圧する等により、気化した水分を強制的に除去し、30分〜5時間程度で分散媒体の置換を終了することが好ましい。温浴に替えて、温風を送風し、加熱とともに気化した水分を強制的に除去することもできる。
本発明では、天然ゴム系微粒子として、天然ゴム系ゴムとアクリル系モノマーとの共重合体を使用する。このために、水系エマルジョンと放射線硬化性媒体を混合して分散媒体を置換するに先立ち、共重合体を合成することができる。
このような共重合体は、天然ゴム系微粒子含有水系エマルジョンにアクリル系モノマーを添加し、天然ゴム系エマルジョン中でアクリル系モノマーをビニル重合して合成できる。
この場合、重合開始剤として、例えば、有機過酸化物系のものを使用でき、有機過酸化物およびエチレンジアミン類より成るレドックス系開始剤が好ましく、中でもt−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BHPO)及びテトラエチレンペンタアミン(TEPA)より成るレドックス系開始剤が好ましい。また、有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシカーボネート等が好ましく、エチレンジアミン類としては、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、テトラエチレンテトラアミン(TETA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)等が好ましい。
また、重合開始剤の使用量は、天然ゴム系微粒子の100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲とすることができる。
更に、必要に応じて、テルペン樹脂、ロジン、油溶性フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系炭化水素樹脂、テルペン樹脂の誘導体、ロジンの誘導体、油溶性フェノール樹脂の誘導体、クマロンインデン樹脂の誘導体、石油系炭化水素樹脂の誘導体などの粘着付与剤を共重合体に添加することもできる。
以上のようにして得られる共重合体を合成した直後のエマルジョンは、共重合体に加え未反応のモノマー等を含有している。このような共重合体を精製してもよいが、精製することなく、合成直後のエマルジョンに放射線硬化性媒体を混合し、分散媒体を置換することもできる。
分散媒体を置換後、接着剤層を形成する際に放射線硬化性媒体を硬化するための重合開始剤を、必要に応じて更に添加することができる。
また、得られる接着剤層の接着力と接着剤層の基材への定着性を向上させる観点から、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを天然ゴム系微粒子に添加することもできる。スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、接着剤組成物が塗布される基体と天然ゴム系微粒子との密着性を向上すると考えられる。
スチレン−ブタジエンゴムラテックスはスチレン−ブタジエンゴム(SBR)から主になり、SBRとしては、SBRドライバー及びSBRラテックス等の乳化重合SBR;ランダムSBR、ブロックSBR及び対称ブロックSBR等の溶液重合SBR等を用いることができる。
また、SBRの特性は、スチレン及びブタジエンの共重合比に大きく依存する。このような観点から、スチレン含有量が低い(30質量%以下)もの、スチレン含有量が中程度(30質量%より多く70質量%以下)のもの、スチレン含有量が高い(70質量%を超える)もの等から選択し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスにおいて使用することができる。
スチレン−ブタジエンゴムラテックスの主成分として使用されるSBRとしては、非変性タイプ、ビニルピリジン変性タイプ及びカルボキシ変性タイプル等を挙げることができる。中でも、基体シートとの密着性に優れ、天然ゴム系微粒子と基体シートとの接着力を優れて向上できるため、カルボキシ変性されたスチレン−ブタジエンゴムラテックスが好ましい。
天然ゴム系微粒子およびスチレン−ブタジエンゴムラテックスの混合比としては、天然ゴム系微粒子の接着力を向上させる観点から、天然ゴム系微粒子100質量部に対してスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、1質量部以上とすることが好ましく、5質量部以上がより好ましい。一方、天然ゴム系微粒子の他の特性を損なわないために、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
また、スチレン−ブタジエンゴムラテックスの含有量を適度な値とすることにより、得られる接着剤層とインク及びトナー等の印刷剤との優れた相互作用を実現できるため、印刷剤の優れた定着性を実現できる。更に、接着剤層を圧着した後の接着強度を適度とできるため、圧着後の不必要な時に接着剤層が剥離することを抑制でき、必要に応じて圧着後の所望時に接着剤層を容易に剥離することができる。
〔充填材〕
さらに、得られる感圧接着剤組成物の優れた耐ブロッキング性を実現するため、接着剤組成物に、天然ゴム系微粒子に対して非親和性の、つまり天然ゴム微粒子との間で化学反応を起こさない充填材を添加することが好ましい。充填材の添加により接着剤層の表面(接着面)に凹凸が形成されるため、接着面の圧着に先立ち接着面が他の面に接着することが抑制され、耐ブロッキング性が向上すると考えられる。
加えて、充填材を添加して接着剤層の表面(接着面)に凹凸を形成すれば、接着面の圧着後に接着面同士の融着が進行し、接着力が高進することも抑制できると考えられる。これらの結果、接着面の圧着後に接着面を剥離する必要がある場合、容易に接着面を剥離することができる。
充填材の幅は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上さらに好ましくは1μm以上で、オフセット印刷の転写性の観点から15μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の微粒子を用いることが好ましい。このような微粒子状充填材を用いることによって、接着層の耐ブロッキング性が特に優れたものとなるが、その理由は接着剤層の表面を凹凸状に形成し易いためである。
さらに、このような微粒子状充填材を用いることは、接着剤組成物をオフセット印刷によって基体シート上に塗工して接着剤層を形成するに好適である。オフセット印刷法は、版上のインキを一旦転写体(ゴム胴など)に転移させ、転写体上のインキを被印刷物に印刷する。つまり、インキの転写工程が存在し、例えば、インキを練る際のローラ間の転写、このローラから版胴への転写、版胴から転写用ゴム胴への転写、ゴム胴から紙などの被印刷物への転写など、転写を繰り返すことが多い。このとき、ローラもしくは胴間のニップ幅より大きな粒子は良好に転写されにくい。接着剤層に幅が0.1μm以上の充填材微粒子が存在することにより、充填材の耐ブロッキング性向上効果が優れて発揮され、幅が15μm以下であることにより、オフセット印刷の転写工程で充填材も良好に転写され、その結果、得られる接着剤層の耐ブロッキング性を優れたものにすることができる。
微粒子の幅とは、互いに平行な二つの面で微粒子を挟み、二つの面の間の距離が最小となるときのその距離を意味する。微粒子の幅は、例えば、微粒子が球形であれば直径であり、平板状であればその厚みを意味する。
充填材の材質としては、天然ゴム系微粒子に対して非親和性の材料から適宜選ぶことができる。例えば、充填材として、シリカ系充填材、タルク系充填材およびシリコン系充填材を挙げることができる。すなわち、充填材としてシリカ、タルクまたはシリコンを主成分とする微粒子(シリカ、タルクまたはシリコンからなる微粒子を含む)を用いることができる。接着剤層の透明性を阻害しないようにする必要がある場合には、充填材として、粒子形状が規則的に整ったものが好ましい。このようなものとしては、例えば、各種シリカ系充填材、各種デンプン系充填材、合成ゼオライト、微球状(メタ)アクリル樹脂、微球状ポリエチレン、球状アルミナ、ガラス粉末、シラスバルーン、活性白土、酸化チタン及び酸化亜鉛などが挙げられる。これらの充填材は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
シリカは、多孔性微粒子とするのが容易であり、多孔性のシリカ系充填材は、情報担持用シートに情報を印刷するプリンターにおいて定着器をクリーニングするために用いられるシリコンオイルなどを吸収することができ、その結果、情報担持用シートに印刷された画像の品質が良好となる。この観点でシリカ系充填材を用いることが好ましい。
タルクは、摩擦を低減させる滑り性を持たせることができ、表面の滑り性が上がることにより、接着剤が塗工された表面が向かい合っても、向かい合った表面同士が滑ることにより、耐ブロッキング性を向上させることができる。この観点でタルク系充填材を用いることが好ましい。
シリコンパウダーは、球状シリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した球状粉末であり、シリコーン自体がラベルなどの剥離剤として使用されており、それにより、表面上に存在すると接着剤同士の表面が向かい合っても、接着剤同士がくっつかない部分が存在してくることにより、耐ブロッキング性を向上させることができる。この観点でシリコン系充填材を用いることが好ましい。
シリカ系充填材の接着剤組成物中の含有量は、耐ブロッキング性向上の観点から、放射線硬化性化合物100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また接着剤組成物の接着性の観点から、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
タルクを主成分とする充填材の接着剤組成物中の含有量は、耐ブロッキング性向上の観点から、放射線硬化性化合物100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また接着剤組成物の接着性の観点から、40質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
シリコンを主成分とする充填材の接着剤組成物中の含有量は、耐ブロッキング性向上の観点から、放射線硬化性化合物100質量部に対して1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また接着剤組成物の接着性の観点から、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
以上のような添加剤に加え、耐紫外線性を向上するために、紫外線吸収剤(紫外線吸収剤)を接着剤組成物に添加することもできる。
このような紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、ブチルフェニルサリシレート及びオクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;ジヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、ヒドロキシドデシルオキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシスルホベンゾフェノン及びビス(メトキシヒドロキシベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン類;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(ヒドロキシブチルメチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、(ヒドロキシジアミルフェニル)ベンゾトリアゾール及び[ヒドロキシ(テトラヒドロフタルイミドメチル)メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;エチルヘキシルシアノジフェニルアクリレート及びエチルシアノジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;ヒンダードアミン類等を挙げることができる。
また、酸化防止剤を接着剤組成物に添加することもできる。酸化防止剤としては、アミン−ケトン系、ジフェニルアミン系、ジアリール−P−フェニレンジアミン系およびアルキルアリール−P−フェニレンジアミン系等の芳香族第2級アミン系を含むアミン類;モノフェノール系、ビスフェノール系およびヒドロキノン系を含むフェノール類;有機イオウ類;ホスファイト類;これらの複合系などを使用することができ、中でも、汚染性および着色性が少ないことからフェノール類が好ましい。
更に、必要に応じて、合成ゴムエマルジョンを併用して接着剤組成物を作製することもできる。合成ゴムエマルジョンとしては、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタンゴム、チオコールゴム及びアクリルゴム等の合成ゴムを水性媒体中に分散させたエマルジョンを例示することができる。
また、合成樹脂エマルジョンを併用して感圧接着剤組成物を作製することもできる。合成樹脂エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体系エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン及びポリ塩化ビニル系エマルジョン等を例示することができる。なお、これらの合成樹脂エマルジョンのなかでも、ガラス転移温度(Tg)が−30〜20℃のものが好適である。
また、天然ゴム系微粒子の分散を安定化させるために乳化剤を接着剤組成物に添加することもできる。このような乳化剤としては、ロジンセッケン、ナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸セッケン及びアルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン系やノニオン系の界面活性剤を用いることができる。
さらに、必要に応じて、接着剤組成物に、pH調整剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤および着色剤などを混合することもできる。
以上のようにして得られた接着剤組成物を、グラビアコーター、フレキソ、エアーナイフコーター、ワイヤーバー及びバーコーター、オフセット印刷機等の公知の塗布手段により、基体シート上に塗布し、塗膜を形成することができる。
なかでも、オフセット印刷は精度良く大量印刷ができ、この点で、オフセット印刷によって接着剤層を基体シート上に形成することが好ましい。
オフセット印刷の中でも、湿し水を用いる平版オフセット印刷より、湿し水を用いない印刷方法、特には湿し水をせず凸版を版面に用いるドライオフセット印刷が好ましい。接着剤組成物が水との相溶性を有する場合であっても、精度良く印刷できるからである。
なお、基体シートとしてはシート状などの形状を有し、通常の紙の他に、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面にマット処理およびコロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
また、基体シート面への接着剤組成物の塗布量は、接着剤層の接着性、剥離性および透明性を維持するため、1g/m2以上が好ましく、3g/m2以上がより好ましく、4g/m2以上が更に好ましく、一方、30g/m2以下が好ましく、20g/m2以下がより好ましく、7g/m2以下が更に好ましい。
本発明の接着剤組成物を基体シートに塗工し、紫外線、電子線、X線、i線、g線などの放射線を塗膜に照射して硬化し、感圧接着剤層を形成できる。この結果得られる情報担持用シートの断面構造の例を図2に示す。基体シート42の上に感圧接着剤層が形成されており、感圧接着剤層は、天然ゴム系微粒子40が分散された放射線硬化性媒体の放射線硬化物41である情報担持用シートを得ることができる。なお、分散媒体である放射線硬化性媒体の一部は、硬化前に基体中に拡散していると考えられ、放射線の照射により、放射線硬化性媒体の一部43は基体中で硬化したり、基体と反応していると考えられる。この結果、接着剤層と基体との高い接着強度を実現できる。
また、塗膜は硬化前に必要に応じて乾燥されるが、放射線の照射による硬化工程中に乾燥も同時に進行し、また分散媒体が放射線硬化性媒体であるため、短時間で乾燥を終了できるか、乾燥工程を別途に必要としない場合もある。
〔情報担持用シート〕
ここで、図3(a)に、接着剤層が剥離可能な情報担持用シートの例を、図4(a)に、接着剤層が剥離不能な情報担持用シートの例を、それぞれ示した。
図3(a)の場合、図3(b)に示すように、接着剤層10上に秘匿性および親展性などの情報12が印刷される。その後、図3(c)に示すように、接着剤層10が重合わされるように情報担持用シートを折り線11で折り曲げ、接着剤層10を圧着する。そして、図3(d)に示すように、必要な時に接着剤層10は剥離され情報12が読取られる。この場合、接着剤層は、圧着後の所望な時期に容易に剥離できることが要求される。また、接着剤組成物は全面塗工されている。
一方、図4(a)に示す情報担持用シートの場合、図4(b)に示すように、秘匿性および親展性などの情報22は接着剤層20が形成されていない位置に印刷される。その後、図4(c)に示すように、接着剤層20が重合わされるように情報担持用シートを折り線21で折り曲げ、接着剤層20を圧着する。そして、図4(d)に示すように、情報22の読取りは、接着剤層20を剥離することなく、基体シートの所定位置(例えば、ミシン目23)を切断する等して行われる。この場合、接着剤層は、圧着後において実質的に剥離しないことが要求される。また、接着剤組成物はパターン塗工されている。
なお、感圧接着剤組成物の構成物質の配合比率および圧着条件などを変化させることにより、接着剤層を剥離可能とすることもできるし、剥離不能とすることもできる。
接着剤層が剥離可能な場合、得られた接着剤層上に、必要な情報を印刷および印字することができる。印刷方式としては一般的な印刷機を用いる他、電子写真法、また、印字方式としてはインクジェット法などを採用することができる。インクジェット法の場合、印刷剤はインクであり、電子写真法の場合、印刷剤はトナーである。その後、印刷剤を乾燥および/または定着するため、紫外線を照射することができる。また、印刷剤を乾燥および/または定着するために加熱する場合もある。
以上に説明した情報情報担持用シートは、2つ折り、3つ折り、切り重ね及び各種の重ね合わせの形で接着でき、見開き面を有するハガキ、各種帳票、通知書および各種カード等として好適に利用できる。