JP2004216360A - 圧力波発生装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる圧力波発生装置は、基板1と、基板1上に設けられた熱絶縁層2と、熱絶縁層2上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜3を備えている。さらに、この圧力波発生装置は、熱絶縁層2の周辺の基板1上にマスク層6が設けられている。そして、入力端子4が発熱体薄膜3に接続されるとともに、マスク層6の上まで延在している。この入力端子4上にワイヤボンディングされる。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、超音波などの圧力波を発生させる圧力波発生装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波等の圧力波を発生させる圧力波発生装置は、圧電素子等を用いてこの圧電素子の機械的な振動により、圧力波を発生させていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような機械的振動を用いた圧力波発生装置は外部からの振動や外気圧の変動によって影響を受けやすいため安定した圧力波を発生させることが困難であった。また、固有の共振周波数をもつため、周波数範囲を広げることが困難であった。そして、この圧力波発生装置は単品でしか製造できないため生産性が低く、また装置の小型化が困難であった。
【0004】
このような問題点を解決するために熱絶縁層上に発熱体薄膜を形成し、この発熱体薄膜を電気的に駆動する圧力波発生装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この熱誘起式の圧力波発生装置は、特に超音波領域でフラットな周波数特性を持つことから、これまでの圧電素子による超音波計測よりも、高い分解能を持つ距離計、気流系、人検知に利用することができる。また広帯域のツィーターとしての応用も期待できる。
【0005】
この圧力波発生装置の構成について図10を用いて説明する。図10(a)は圧力波発生装置の断面図であり、図10(b)は装置の上面図である。ここで101は基板、102は熱絶縁層、103は発熱体薄膜、104は入力端子、105はワイヤ、108は信号源である。
【0006】
この圧力波発生装置はSiの基板101上に多孔質のポーラスシリコン(以下、PSと称す。)からなる熱絶縁層102が形成されている。熱絶縁層102の上には発熱体薄膜103が形成されている。この熱絶縁層102及び発熱体薄膜103は図10(b)に示すような形状となっている。
【0007】
発熱体薄膜103の両端にはワイヤ105a、105bが接続され、ワイヤ105a、105bの先には入力端子104a、104bが設けられている。従って、信号源108で発生した信号は入力端子104a、104bからワイヤ105a、105bを通って発熱体薄膜103の両端に入力される。
【0008】
本件出願の発明者は、この圧力波発生装置をウェハ上に形成し、複数個製造することについて検討した。そこで、通常の半導体製造技術を用いて、当該圧力波発生装置を製造した場合について説明する。まず、基板101の裏面にAl電極の一例を成膜した後、アニールすることでオーミックコンタクトを作成する。次に熱絶縁層102を形成しない部分にマスキングを施す。続いてHF水溶液中に基板101を沈着して、陽極酸化させる。陽極酸化工程では陽極酸化バスにHF水溶液が入れられている。陽極酸化させたい面以外の面がHF水溶液に触れないように基板101を陽極酸化バスに沈着する。またHFに耐性があるPtの網目電極が陰極として、HF陽極バス中に沈着されている。そして基板101を陽極として、電極間に電流を流せば、ある条件でシリコン表面からPS層(熱絶縁層102)が形成される。最後にAlの発熱体薄膜103を形成する。
【0009】
また、Siのウェハ上で以上のような製造工程を一括して施した後にダイシングして、個々の圧力波発生装置を形成することが生産性の面では望ましい。しかし従来のウェハ上にマスキングする工程で以下のような問題点があった。
【0010】
マスキングにはHF水溶液への耐性等が考慮され、その材質にはテフロン(登録商標、以下同じ)が用いられていた。テフロンによるマスキングにはテフロンテープを用いる方法とテフロン板及びOリングを用いる方法がある。しかしテフロンテープを用いた方法では精度よくテフロンテープを貼ることが困難であった。そのため、精度よくPS層(熱絶縁層102)を形成することが困難であった。特にチップサイズ数mm□程度のチップをウェハ上に多数設けた後にダイシングして製造するには適していない。
【0011】
他方、テフロン板とOリングを使った方法は、チップ毎に熱絶縁層102を形成するのは困難なので、ウェハの大部分にPS層(熱絶縁層102)を形成する方法が考えられる。さらにこの上にAl電極(発熱体薄膜103)を形成して、ダイシング工程でチップ化を行う。その後パッケージを施せば、図10で示した従来例とは異なり、周辺のシリコンは無くなる。従って全面が熱絶縁層102(PS層)になるがこのような構成では、全面にPS層があるため、ダイシング工程で機械的な強度が強くないPS層(熱絶縁層102)が壊れてしまう。従って、熱絶縁性が劣化してしまい、熱逃げが生じるという問題点があった。
【0012】
また入力端子104a、104bが多孔質のPS層(熱絶縁層102)上に設けられていると、ワイヤボンディング時に印加される超音波が逃げてしまうため、信頼性の高いボンディングができないという問題点もあった。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−140972号公報
【特許文献2】
特開平11−300274号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の熱誘起式の圧力波発生装置では、ウェハ状態で一括に形成した場合にダイシング時に、熱絶縁層が損傷してしまうという問題点があった。また入力端子が熱絶縁層上に設けられているとワイヤボンディングの信頼性が非常に低いという問題点もあった。
【0015】
本発明は上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、第1にウェハより多数個の圧力波発生装置を製造するのに適した構造を備えた圧力波発生装置及びその製造方法を提供することを目的とするものである。また、第2に入力端子に対するワイヤボンディングを行った場合に、超音波が逃げることを防止することが可能な圧力波発生装置及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる圧力波発生装置は、基板と、前記基板上に設けられた熱絶縁層と、前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、前記熱絶縁層の周辺の基板上に設けられた高抵抗層と、前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在する入力端子を備えたものである。このような構成において、高抵抗層上の入力端子にワイヤボンディングすることによって、ボンディングの信頼性を確保している。
【0017】
本発明にかかる他の圧力波発生装置は、ウェハよりダイシングされて形成される基板と、前記基板上に設けられた熱絶縁層と、前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、前記熱絶縁層の周辺であって前記基板上のダイシング領域に接して設けられた高抵抗層とを備えたものである。このような構成では、ダイシング領域には高抵抗層が接しており、熱絶縁層が設けられていないため、熱絶縁層が破壊することを効果的に防止できる。
【0018】
上述の圧力波発生装置における高抵抗層を、前記熱絶縁層を形成するためのマスク層とするとよい。これにより、熱絶縁層を形成するためのマスク層を別に形成する必要がないため、製造工程を簡略化することができる。
【0019】
好適な実施の形態では、前記熱絶縁層が多孔質層より形成される。多孔質層の場合は、特に強度が低いため、上述のような構造とする効果が高い。
【0020】
また、高抵抗層として適した材料は、SiC又はシリコンナイトライドである。
【0021】
本発明にかかるウェハは、圧力波発生装置用チップにダイシングされる前のウェハであって、前記ウェハ上に設けられた熱絶縁層と、前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、前記熱絶縁層の周辺に設けられた高抵抗層と、前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在する入力端子を備えたものである。このような構成において、圧力発生装置用チップにダイシングした後、高抵抗層上の入力端子にワイヤボンディングすることによって、信頼性のあるボンディングを達成している。
【0022】
本発明にかかる他のウェハは、圧力波発生装置用チップにダイシングされる前のウェハであって、前記ウェハ上に設けられた熱絶縁層と、前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、前記熱絶縁層の周辺のダイシング領域に設けられた高抵抗層とを備えたものである。このような構成では、ダイシング領域には高抵抗層が設けられており、熱絶縁層が設けられていないため、熱絶縁層が破壊することを効果的に防止できる。
【0023】
本発明にかかる圧力波発生装置の製造方法は、ウェハ上のダイシング領域にマスク層を形成するステップと、前記マスク層の内側に熱絶縁層を形成するステップと、前記熱絶縁層に発熱体薄膜を設けるステップと、前記発熱体薄膜に接続され前記マスク層の上まで延在された入力端子を形成するステップと、前記ウェハをダイシングするステップを有するものである。
【0024】
本発明にかかる他の圧力波発生装置の製造方法は、ウェハ上のダイシング領域にマスク層を形成するステップと、前記マスク層の内側に熱絶縁層を形成するステップと、前記熱絶縁層に発熱体薄膜を設けるステップと、前記マスク層を除去するステップと、前記熱絶縁層の周囲の基板上に高抵抗層を形成するステップと、前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在された入力端子を形成するステップと、前記ウェハをダイシングするステップを有するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態1.
本発明にかかる圧力波発生装置の構成について図1を用いて説明する。図1(a)は装置の構成の断面図であり、図1(b)はその上面図である。ここで1は基板、2は熱絶縁層、3は発熱体薄膜、4は入力端子、5はワイヤ、6はマスク層である。
【0026】
基板1は、ウェハよりダイシングされることにより形成され、Siより構成される。基板1上には、マスク層6が設けられている。このマスク層6は高抵抗の材料が用いられた高抵抗層であり、この例では、SiCが設けられている。この高抵抗層は、超音波の逃げを防止する材質の層、即ち超音波を吸収しない材質の層である。マスク層6は、シリコンナイトライド(窒化シリコン)であってもよい。また、マスク層6は、基板1の4辺の周辺部に設けられている。このマスク層6は、ウェハ上では、ダイシング領域にも設けられている。
【0027】
マスク層6で囲われている部分の内側に熱絶縁層2が設けられている。熱絶縁層2は、多孔質層を構成するポーラスシリコン(PS)からなり、基板1の表面を陽極酸化させて形成される。この熱絶縁層2は、高分子材料やガラス系材料から構成することも可能である。
【0028】
熱絶縁層2の上に発熱体薄膜3が設けられている。この例における発熱体薄膜3は、30nmの厚さを有する。また、発熱体薄膜3はAl等の金属材料から形成される。
【0029】
この発熱体薄膜3の両端部分に電気的に接触するようにして、入力端子4が形成されている。そして、この入力端子4はマスク層6の上まで延在している。この例における入力端子4は、1μmの厚さを有する。本発明にかかる圧力波発生装置用チップはこのような構成で構成されている。そして入力端子4にはワイヤ5がボンディングされ、このワイヤ5を通じて直流成分と交流成分が合成した入力信号が入力される。
【0030】
上述の構成では従来の圧力波発生装置とは異なり、ワイヤ5がボンディングされる入力端子4の下は、SiCからなるマスク層6及びSiからなる基板1である。即ち、PSからなる熱絶縁層2上の入力端子4の部分にはワイヤボンディングされていない。従って、ワイヤボンディング時に印加する超音波が逃げてしまうことがない。これにより、ボンディングの信頼性を高くすることができる。また、マスク層6は高抵抗層であるためその上に形成された入力端子4からシリコン基板に電流が流れ込むことが抑制されるため、発熱体薄膜3以外への電気的な漏れを防止できる。
【0031】
次に本発明にかかる圧力波発生装置の製造方法について図2、図3を用いて説明する。図2は本発明にかかる圧力波発生装置のチップが切り出される前のウェハの構成を示す平面図である。図3は本発明にかかる圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。図1で付した符号と同一の符号は同一の構成を示すため説明を省略する。ここで10はウェハ、61はレジストである。
【0032】
図2に示すように、圧力波発生装置の基板1はウェハ10上に多数形成されてダイシングされる。例えば4インチウェハに3mm□程度の圧力波発生装置のチップを400個程度製造することができる。従って、圧力波発生装置を一括して製造することができ、生産性を向上することができる。
【0033】
まず図3(a)に示す状態のSiからなるウェハ10上にマスク層6を形成する。マスク層6は例えば、SiCからなり、CVD法、スパッタ法などのPVD法により形成される。ここで、SiCは、後の工程で使用するHF水溶液に対する耐性及び絶縁性に優れていることを理由に、マスク層6の材料として用いられている。またSiCの他にはSiNxをマスク層6の材料として用いることができる。マスク層6が形成された状態を図3(b)に示す。
【0034】
マスク層6の上にレジスト61を塗布して、所定のパターンが形成されるように露光、現像する。さらに現像によってレジスト61が除去された部分のマスク層6をエッチングする。反応性のガスを用いて、マスク層をエッチングする場合、レジストではなくスパッタ法、蒸着法等で成膜したAl薄膜をエッチングマスクとすることが望ましい。その後、レジスト61を除去すると、図3(c)に示す状態となる。これにより、次の工程で熱絶縁層2が形成されるウィンドウを正確に作製することが出来る。
【0035】
さらにマスク層6が形成されていない領域に熱絶縁層2を形成する。HFを含む水溶液中にウェハ10の表面を浸し電流を印加して陽極酸化させることにより、多孔質層(PS層)からなる熱絶縁層2が形成される。
【0036】
さらにこの上から発熱体薄膜3を形成する。この発熱体薄膜3はAlからなる。Alの薄膜はスパッタ法、蒸着法により成膜され、その上からレジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト除去により所定のパターンに加工される。またスパッタ法を用いることにより、均一な厚さの発熱体薄膜3を容易に形成することができる。また全体の厚さの制御も容易に行うことができる。その後、AuやAl等からなる入力端子4を形成する。尚、発熱体薄膜3と入力端子4の膜厚がほぼ同じ場合には、マスク層6の上までAl層を形成することにより、発熱体薄膜3と同時に入力端子4を形成するようにしてもよい。これにより、入力端子4を形成する工程を省くことが出来るため、生産性を向上することができる。ここで図3(e)に示す状態となる。
【0037】
次にダイシング行い、図3(f)に示すようにウェハ1を個々のチップに切断する。図1(b)に示したようにマスク層6は基板の周辺部に形成されている。従って、ダイシングされる領域にはマスク層6が形成されている。よって、その下の基板は陽極酸化されることがないため、PS層になることがない。これにより、ダイシング時におけるPS層の損傷を防ぐことができる。このような工程により、ウェハレベルで圧力波発生装置に用いるチップを製造することができる。これにより、生産性を向上することができる。
【0038】
さらにダイシング後のチップをパッケージにダイボンドし、入力端子4からパッケージにワイヤボンディングして圧力波発生装置が完成する。
【0039】
ここで、熱絶縁膜2を形成する工程について図4を用いて詳細に説明する。図4は陽極酸化装置の構成を示す。この陽極酸化装置は、陽極酸化バス11内にHFを含む電解液13が充填されている。陽極酸化バス11の底面には、円状の貫通穴が設けられている。この円状の貫通穴は、ウェハ10よりも小さい直径を有する。陽極酸化バス11の外面であって当該貫通穴の周囲には、リング14が設けられている。そして、リング14を介してウェハ10が外側から圧接される。このように、ウェハ10が貫通穴を塞いた状態においては、HFを含む電解液13は、外側に漏れることはない。陽極酸化バス11の中であって、HFを含む電解液13の液面より下方に陰極12が設けられている。この陰極12は、例えば、Ptの網目電極が用いられる。また、陰極12は、ポテンショ/ガルバノスタット16に配線等を介して電気的に接続される。ウェハ10の下面には、Alのオーミック電極が形成されており、このAl電極は、ポテンショ/ガルバノスタット16と配線等を介して電気的に接続される。ポテンショ/ガルバノスタット16から陰極12及びウェハ10に電流を流すと、所定の条件により、ウェハ10のHFを含む電解液13と接する側にPS層が形成される。
【0040】
PS層を形成するために必要とされる電極間の電圧及び電流を説明するためのグラフを図5に示す。図5は、電極間に流す電流を縦軸、電極間に印加する電圧を横軸に示す。図5に示される領域Aは、PS層を形成するために適した電流及び電圧の範囲である。他方、領域Bは、電解エッチングを行なうために適した電流及び電圧の範囲である。
【0041】
以上、説明した通り、本発明の実施の形態1にかかる圧力波発生装置は、ウェハより複数個の圧力波発生装置を形成することができるため、生産性を向上させることができる。特に、ダイシング領域には、熱絶縁層(PS層)ではなく、高抵抗層を設けているため、熱絶縁層(PS層)が破壊されることがないため、より生産性を向上できる。また、ワイヤボンディングされる入力端子の下には、熱絶縁層が配置されていないため、ボンディング時に印加される超音波が逃げ出すことを防止でき、信頼性の高いボンディングが可能となる。
【0042】
本発明の実施の形態2.
本発明の実施の形態2にかかる圧力波発生装置は、発明の実施の形態1と構造は同じであるが、製造方法が異なる。そこで、本発明の実施の形態2にかかる圧力波発生装置の製造方法について以下に説明する。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。図1で付した符号と同一の符号は同一の構成を示すため説明を省略する。
【0044】
図6(a)に示すウェハ10上にマスク層6aを形成する。マスク層6aは例えば、SiCからなり、CVD法、スパッタ法、エピタキシャル成長法により形成される。ウェハ10上にマスク層6aを形成した状態を図6(b)に示す。
【0045】
マスク層6aの上にレジスト61を塗布して、所定のパターンが形成されるように露光、現像する。さらに現像によってレジスト61が除去された部分のマスク層をエッチングする。その後、レジスト61を除去すると、図6(c)に示す状態となる。
【0046】
さらにマスク層6aが形成されていない領域に熱絶縁層2を形成する。HFを含む水溶液中にウェハ10の表面を浸し電流を印加して陽極酸化させることにより、多孔質層(PS層)からなる熱絶縁層2が形成される。熱絶縁層2が形成された状態を図6(d)に示す。
【0047】
本発明の実施の形態2では、一旦、マスク層6aを除去する。除去後の状態を図6(d)’に示す。そして、さらに、絶縁層である酸化膜6bを形成する。この酸化膜6bは、高抵抗層であり、マスク膜6aと略同じ位置に形成される。酸化膜6bを形成した状態を図6(d)’’に示す。
【0048】
さらにこの上から発熱体薄膜3を形成する。この発熱体薄膜3はAlからなる。Alの薄膜はスパッタ法や蒸着法により成膜され、その上からレジスト塗布、露光、現像、エッチング、レジスト除去により所定のパターンに加工される。その後に、入力端子4を形成する。ここで図6(e)に示す状態となる。
【0049】
次にダイシング行い、図6(f)に示すようにウェハ1を個々のチップに切断する。図1(b)に示したようにマスク層6は基板の周辺部に形成されている。従って、ダイシングされる領域にはマスク層6が形成されている。よって、その下の基板は陽極酸化されることがないため、PS層になることがない。これにより、ダイシング時におけるPS層の損傷を防ぐことができる。このような工程により、ウェハレベルで圧力波発生装置に用いるチップを製造することができる。これにより、生産性を向上することができる。
【0050】
本発明の実施の形態3.
本発明の実施の形態3にかかる圧力波発生装置は、発明の実施の形態1と構造は同じであるが、製造方法が異なる。そこで、本発明の実施の形態3にかかる圧力波発生装置の製造方法について以下に説明する。
【0051】
図7は、本発明の実施の形態3にかかる圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。図1で付した符号と同一の符号は同一の構成を示すため説明を省略する。
【0052】
図7(a)に示すウェハ10上に後に熱絶縁層3が形成される位置にAl薄膜8を形成する。Al薄膜8は、次のようにして形成する。まず、スパッタ法又は蒸着法によりAlを全面に成膜する。さらに、レジストを塗布し、所望のパターンが形成できるように露光、現像してAlをエッチングする。その後、レジストを剥離することにより、図7(b)−1に示す構造を得る。
【0053】
続いて、図7(b)−1に示す構造の上にマスク層6となるSiCを形成する。このときの構造を図7(b)−2に示す。
【0054】
マスク層6の上にレジストを塗布して、所定のパターンが形成されるように露光、現像する。さらに現像によってレジストが除去された部分のマスク層6をAl薄膜8の面が露出するまでエッチングする。このときの構造を図7(b)−3に示す。尚、反応性のガスを用いて、マスク層をエッチングする場合、レジストではなくスパッタ法、蒸着法等で成膜したAl薄膜をエッチングマスクとすることが望ましい。
【0055】
その後、ウェットエッチングによりAl薄膜8を除去すると、図7(c)に示す状態となる。その後の製造工程は、発明の実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
発明の実施の形態1にかかる圧力波発生装置の製造方法では、反応性のドライエッチングによりSiCをエッチングした場合にSi基板の表面も少しエッチングする可能性がある。これは、PS層形成に望ましくない場合がある。これに対して、発明の実施の形態3にかかる圧力波発生装置の製造方法によれば、Alのウェットエッチャントは、Si基板に全くダメージを与えないので良好なPS層を得ることができる。
【0057】
発明の実施の形態4.
図8に示されるように、Siの基板1の上面であって、熱絶縁層2の外側の一部にSiNxのような高抵抗層7を生成し、発熱体薄膜3と高抵抗層7の双方に接するように入力端子4を設けるようにしてもよい。このように高抵抗層7は、熱絶縁層2の周辺に設けられている。このとき、ワイヤボンディング5を高抵抗層7の上方において実行することにより、ワイヤボンディングの信頼性を確保できる。
【0058】
発明の実施の形態5.
上述した構成を有する圧力波発生装置を一次元又は二次元に配列することにより、図9に示されるような超音波アレイ構造とすることも可能である。図9に示す構造では、複数の圧力波発生装置1a、1b、・・・・1iが二次元に配列されている。個々の圧力波発生装置の入力端子には、信号線が接続されており、圧力波発生装置1a、1d、1gが並列に接続されている。同様に圧力波発生装置1b、1e、1h及び圧力波発生装置1c、1f、1iがそれぞれ並列に接続されている。
【0059】
【発明の効果】
本発明により、第1にウェハより多数個の圧力波発生装置を製造するのに適した構造を備えた圧力波発生装置及びその製造方法を提供することができる。また、第2に入力端子に対するワイヤボンディングを行った場合に、超音波が逃げることを防止することが可能な圧力波発生装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる圧力波発生装置の構成を示す断面図及び上面図である。
【図2】本発明にかかる圧力波発生装置のチップが切り出される前のウェハの構成を示す平面図である。
【図3】本発明にかかる圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。
【図4】陽極酸化装置の構成例を示す図である。
【図5】陽極酸化工程における電極間に加える電圧及び電流を説明するためのグラフである。
【図6】本発明にかかる他の圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。
【図7】本発明にかかる他の圧力波発生装置のチップが製造される工程を示した断面図である。
【図8】本発明にかかる他の圧力波発生装置の構成を示す断面図である。
【図9】本発明にかかる圧力波発生装置により構成される超音波アレイを示す図である。
【図10】従来の圧力波発生装置の構成を示す断面図及びで上面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 熱絶縁層
3 発熱体薄膜
4 入力端子
5 ワイヤ
6 マスク層
7 高抵抗層
8 Al薄膜
10 ウェハ
101 基板
102 熱絶縁層
103 発熱体薄膜
104a 信号端子
105a ワイヤ
108a 信号源
Claims (14)
- 基板と、
前記基板上に設けられた熱絶縁層と、
前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、
前記熱絶縁層の周辺の基板上に設けられた高抵抗層と、
前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在する入力端子を備えた圧力波発生装置。 - ウェハよりダイシングされて形成される基板と、
前記基板上に設けられた熱絶縁層と、
前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、
前記熱絶縁層の周辺であって前記基板上のダイシング領域に接して設けられた高抵抗層とを備えた圧力波発生装置。 - 前記高抵抗層が前記熱絶縁層を形成するためのマスク層であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力波発生装置。
- 前記熱絶縁層が多孔質層より形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力波発生装置。
- 前記高抵抗層がSiC又はシリコンナイトライドにより形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の圧力波発生装置。
- 圧力波発生装置用チップにダイシングされる前のウェハであって、
前記ウェハ上に設けられた熱絶縁層と、
前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、
前記熱絶縁層の周辺に設けられた高抵抗層と、
前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在する入力端子を備えたウェハ。 - 圧力波発生装置用チップにダイシングされる前のウェハであって、
前記ウェハ上に設けられた熱絶縁層と、
前記熱絶縁層上に設けられ、電気的に駆動される発熱体薄膜と、
前記熱絶縁層の周辺のダイシング領域に設けられた高抵抗層とを備えたウェハ。 - 前記高抵抗層が前記熱絶縁層を形成するためのマスク層であることを特徴とする請求項6又は7記載のウェハ。
- 前記熱絶縁層が多孔質層より形成されることを特徴とする請求項6又は7記載のウェハ。
- 前記高抵抗層がSiC又はシリコンナイトライドにより形成されることを特徴とする請求項6又は7記載のウェハ。
- ウェハ上のダイシング領域にマスク層を形成するステップと、
前記マスク層の内側に熱絶縁層を形成するステップと、
前記熱絶縁層に発熱体薄膜を設けるステップと、
前記発熱体薄膜に接続され、前記マスク層の上まで延在された入力端子を形成するステップと、
前記ウェハをダイシングするステップを有する圧力波発生装置の製造方法。 - ウェハ上のダイシング領域にマスク層を形成するステップと、
前記マスク層の内側に熱絶縁層を形成するステップと、
前記熱絶縁層に発熱体薄膜を設けるステップと、
前記マスク層を除去するステップと、
前記熱絶縁層の周囲の基板上に高抵抗層を形成するステップと、
前記発熱体薄膜に接続され、前記高抵抗層の上まで延在された入力端子を形成するステップと、
前記ウェハをダイシングするステップを有する圧力波発生装置の製造方法。 - 前記熱絶縁層が多孔質層から形成されることを特徴とする請求項11又は12記載の圧力波発生装置の製造方法。
- 前記マスク層がSiC又はシリコンナイトライドで形成されることを特徴とする請求項11又は12記載の圧力波発生装置の製造方法。
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