JP2011254281A - 容量型電気機械変換装置の作製方法、及び容量型電気機械変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解エッチングにより、拡散律速に依存せず比較的高速に犠牲層をエッチングできて、キャビティを良好に形成できる容量型電気機械変換装置の作製方法及び容量型電気機械変換装置を提供すること。
【解決手段】基板5上に犠牲層を形成し、犠牲層の上に振動膜3を形成し、外部から犠牲層に通じる複数のエッチング液導入用エッチング孔を形成する。キャビティ10に面する表面が露出した電極8を電解エッチング用の一方の電極として、外部に設けた他方の電極との間で通電し、犠牲層を電解エッチングすることで犠牲層を除去してキャビティを形成する。複数のエッチング孔は、エッチング工程で、隣接するエッチング孔を中心とする犠牲層のエッチングの前線が振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置される。
【選択図】図1
【解決手段】基板5上に犠牲層を形成し、犠牲層の上に振動膜3を形成し、外部から犠牲層に通じる複数のエッチング液導入用エッチング孔を形成する。キャビティ10に面する表面が露出した電極8を電解エッチング用の一方の電極として、外部に設けた他方の電極との間で通電し、犠牲層を電解エッチングすることで犠牲層を除去してキャビティを形成する。複数のエッチング孔は、エッチング工程で、隣接するエッチング孔を中心とする犠牲層のエッチングの前線が振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波トランスデューサなどとして用いられる容量型電気機械変換装置の作製方法、及び容量型電気機械変換装置に関する。
近年、マイクロマシンニング工程を用いて作製される容量型電気機械変換装置が研究されている。通常の容量型電気機械変換装置は、下部電極と間隔を保って可動に支持された振動膜と、該振動膜に配設される上部電極を有する。これは、例えば、容量型超音波トランスデューサ(Capacitive−Micromachined−Ultrasuound−Transducer:CMUT)などとして用いられる。容量型超音波トランスデューサは、軽量の振動膜を用いて超音波を送信、受信し、液中及び空気中でも優れた広帯域特性を持つものが容易に得られる。このCMUTを利用すると、従来の医療診断より高精度な診断が可能となる為、有望な技術として注目されつつある。
容量型超音波トランスデューサの動作原理について説明する。超音波を送信する際には、下部電極と上部電極間に、DC電圧に微小なAC電圧を重畳して印加する。これにより、振動膜が振動し超音波が発生する。超音波を受信する際には、振動膜が超音波により変形するので、変形に伴う下部電極と上部電極間の容量変化により信号を検出する。デバイスの理論的な感度は、その電極間の間隔(ギャップ)の平方に反比例する。高感度なデバイスを作製するには、100nm以下のギャップが必須と言われていて、近年、CMUTのギャップは、2μmから100nm程度以下の狭さまでに進展している。
一方、容量型電気機械変換装置のギャップの形成方法としては、目標の電極間隔と同等の厚さの犠牲層を設けて該犠牲層の上に振動膜を形成し、犠牲層を除去する方法が、一般に採用されている。こうした技術の一例が、特許文献1に開示されている。
上述した様に、前記感度即ち電気機械変換効率を高める為には、電極間隔を狭くすることが望ましい。その為の方法についても、特許文献1に提案がある。しかし、電極間ギャップを狭くできたとしても、ギャップが狭いほど、前記犠牲層(例えば、Si、SiO2、金属からなる)の除去は難しくなる。例えば、低温では、エッチング工程が数日から一週間程度かかるとも言われている。こうした場合、長時間エッチング液に浸漬すると、デバイスの振動膜が損傷して歩留まりが低くなってしまう。これに対して、エッチング速度を高くする為に、温度を高める手法があるが、柔らかい振動膜は、高温エッチング反応に伴って発生する泡で壊されて、歩留まりが低下する可能性がある。この様に、大面積且つ狭電極間隔の構造における犠牲層エッチングは、エッチング液の拡散律速により生産性が低いので、高速エッチングの実現が望まれている。そして、犠牲層エッチングの時間を短縮できれば、デバイス生産のスループットが向上する。
他方、犠牲層をエッチングする為には、エッチング液の入口を設ける必要があるが、エッチング液の入口が大きく、数が多いほど、即ち犠牲層の露出面積が多いほど、エッチング速度が速くなる。しかし、微小電気機械変換装置において、機械構造に大きな孔若しくは多数の孔をエッチング液の入口として設けると、デバイスの本来の性能に悪影響を与え、デバイスの設計性能、寿命、安定性、信頼性が損なわれる可能性がある。例えば、振動膜に大きな孔若しくは多数の孔を設けることは、振動質量、振動部の応力、振動周波数、振動節点、振動変位などに大きな影響を与える。この為、できるだけ、エッチング液の入口の大きさ及び数量を下げることが望ましい。
以上に述べた如く、容量型電気機械変換装置において、比較的大面積且つ薄い犠牲層の除去効率とデバイス性能、安定性、スループットなどの向上との間のトレードオフの関係を解決することは重要な課題である。
前記課題に鑑み、本発明の容量型電気機械変換装置の作製方法は、次の特徴を有する。基板と、該基板上に配置された支持部によって前記基板と所定の間隔を保って可動に保持される振動膜により形成される複数のキャビティと、前記支持部に形成されて前記複数のキャビティ間を連通する通路と、互いに対向して設けられ一方は前記キャビティに面する表面が露出し他方は前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われる2つの電極と、を有する容量型電気機械変換装置の作製方法であって、次の工程を有する。前記基板上に犠牲層を形成する工程。前記犠牲層の上に振動膜を含む層を形成する工程。外部から前記犠牲層に通じる複数のエッチング液導入用エッチング孔を形成するエッチング孔形成工程。前記キャビティに面する表面が露出した電極を電解エッチング用の一方の電極として、外部に設けた他方の電極との間で通電し、前記犠牲層を電解エッチングすることで前記犠牲層を除去して前記キャビティ及び通路を形成するエッチング工程。そして、前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、前記エッチング工程で、夫々のエッチング孔を中心とする前記犠牲層のエッチングの前線が前記振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置される。
また、前記課題に鑑み、本発明の容量型電気機械変換装置は、次の特徴を有する。基板と、該基板上に配置された支持部によって前記基板と所定の間隔を保って可動に保持された振動膜により形成された複数のキャビティと、前記支持部に形成されて前記複数のキャビティ間を連通する通路と、互いに対向して設けられ一方は前記キャビティに面する表面が露出し他方は前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われた2つの電極とを有する。当該装置の作製過程のエッチング工程で前記キャビティを形成するための犠牲層をエッチングする際に使用する複数のエッチング孔が、前記通路上の材料部と前記振動膜と前記基板のうちの少なくとも1つに設けられる。そして、前記複数のエッチング孔は、前記エッチング工程において、夫々のエッチング孔を中心とする前記犠牲層のエッチングの前線が前記振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置されている。
本発明によれば、上記の如くエッチング孔が特定の位置に形成されるので、電解エッチングにより、拡散律速に依存せず比較的高速に犠牲層をエッチングできて、キャビティを良好に形成できる。同時に、たとえ比較的狭ギャップ中の犠牲層であっても、振動膜により形成されるキャビティにおいて犠牲層酸化膜微粒子などの残渣が残る恐れを有効に回避ないし低減できる。より具体的には、たとえ残渣領域が発生したとしても、前記キャビティ内には形成されずにキャビティ間の通路などに形成されることになる。よって、大面積の容量型電気機械変換装置やアレイ容量型電気機械変換装置でも、その生産性(例えば、製造時間の短縮化、歩留まり)や性能(例えば、性能の均一性、高感度化)を向上させることができる。
本発明の特徴及び原理を説明する。本発明者らの研究によれば、電解エッチングにより、比較的狭ギャップ中の犠牲層でも比較的高速にエッチングすることができ、且つそのウェットエッチング過程で気泡が発生しない。電解エッチングにおいては、必要な電荷を犠牲層に供給する為、電解反応の陽極に犠牲層を電気的に接触させる。通常は、犠牲層の下方(典型的には真下)に、エッチング選択性を有する導電性金属層を前記陽極として配置して、電解エッチングを行う。この際、陽極層に接触する犠牲層の領域はエッチングが進むが、電解エッチング途中で犠牲層のエッチングの進行に伴って陽極に接触しなくなる犠牲層領域が生じると、その領域への電荷の供給が中断又は少なくなる。従って、その領域では、電解エッチングが停止又は反応が遅くなり、犠牲層酸化膜微粒子が残留する場合がある。この犠牲層酸化膜微粒子は、大き過ぎると、振動膜の振動を不安定にしたり、振動をできなくしたりする恐れがある。精査した結果、犠牲層酸化膜微粒子の形成メカニズムが解かり、本発明を成すに至った。ただし、本発明は、犠牲層の下方(典型的には真下)ではなく上方(典型的には真上)に、エッチング選択性を有する導電性金属層を前記陽極として配置する場合も含む。この場合には、振動膜と対向する部分に犠牲層酸化膜微粒子が残る可能性があり、この場合も、犠牲層の下方に導電性金属層を配置する場合ほどではないとしても、振動膜の振動に何らかの影響を与えると考えられる。
本発明者らの知見によれば、作製過程において、電解エッチングを複数のエッチング液導入用エッチング孔を介して行う際に、各孔から放射状にエッチングが進行し、各孔から進行したエッチング領域が交わるにつれてエッチングが終了する。この際、エッチング領域の交わった部分に前記エッチング残渣である酸化膜微粒子が生じる可能性がある。これは、エッチング領域が交わる領域(即ちエッチングの最終段階で残留する犠牲層領域)においては、先に説明したように犠牲層がエッチングによりなくなり始めるので、陽極に接触しなくなる犠牲層領域が生じ始める。従って、エッチングの進行と共に残留する犠牲層領域への電荷の供給が中断又は少なくなる。この結果、最終的にエッチング反応が進行せずに犠牲層の一部が残渣として残留する。この残渣が、振動膜により形成されるキャビティ中に生じると、デバイスの特性に悪影響を与える場合がある為、本発明では、エッチング領域の交わる部分をキャビティの外(振動膜のない領域)とする為の工夫をした。具体的には、各エッチング孔を中心とするエッチングの前線(本発明においては、エッチング領域と非エッチング領域とのの境界線を意味する)が、振動膜の存在する領域の外で交わる位置に、エッチング孔を配置する。つまり、複数のエッチング孔は、エッチング工程で、夫々のエッチング孔を中心とする犠牲層のエッチングの前線が振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置される。このような構成とすることで、少なくともエッチング残渣がキャビティ内には残り難くすることができる。その代わりに、複数のキャビティ間を連通するエッチングのための通路等にエッチング領域の交わる部分が形成され、このような位置に残渣が残留する。しかし、キャビティ間を連通するエッチングのための通路等に残渣が残ったとしても前記問題は生じない。なぜなら、通路部分は、完成したデバイスにおいて振動膜の振動特性や電気信号の変換に影響を与えないからである。このようにエッチング残渣が発生する場合に、エッチング残渣の発生領域を他に悪影響を与えない領域に設計することができる。
典型的には、後述する実施例で説明する様に、キャビティに面する表面が露出する電極を、基板に設けられる第1の電極とし、キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われる電極を、振動膜に設けられる第2の電極とするが、この逆としてもよい。即ち、キャビティに面する表面が露出する電極を、振動膜に設けられる第2の電極とし、キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われる電極を、基板に設けられる第1の電極としてもよい。いずれにせよ、これらの第1と第2の電極の間に所定の電界を印加することによりエッチング反応を起こさせる。
エッチング孔形成工程において、複数のエッチング孔は、後述する実施例で説明する様に、支持部に形成されてキャビティ間を連通する通路上の材料部又は振動膜の辺縁部に形成することができる。ただし、複数のエッチング孔は、上記の如き配置条件を満たしていれば、通路上の材料部と振動膜と基板のうちの少なくとも1つに形成することもできる。基板にエッチング孔を設ける場合、犠牲層を除去する前に、例えば、基板の裏面から深堀RIE(Reactive Ion Etching)でエッチング孔を設ける。その際、例えば、基板(例えば、Siウエハ)をSF6ガスのプラズマでエッチングして、絶縁膜(例えば、熱酸化膜)をエッチストップ層として利用しエッチングを終了する。そして、絶縁膜、第1の電極である下部電極(例えば、高濃度不純物ドープSi)などをCHF3、CF4などのガスを用いるプラズマエッチングにより、犠牲層までエッチングする。
キャビティが同形状で周期的に同一の間隔で設けられる場合、異なる形状のキャビティが不規則的に設けられる場合などで、犠牲層が均一に形成されていて極端に狭い通路がなく各エッチング孔から放射状に等速的にエッチングが進行するときは、次の様にできる。即ち、複数のエッチング孔は、隣接するエッチング孔を結ぶ線分の中点が振動膜の領域に存在しない位置に配置することができる。また、隣接するエッチング孔を結ぶ線分の垂直2等分線が振動膜を横切らない位置に配置することもできる。
犠牲層が不均一に形成されていたり極端に狭い通路があったりして各エッチング孔から非等速的にエッチングが進行するときなどは、次の様にするとよい。例えば、採用する各部とエッチング液の材料や各部の形状などを考慮に入れて、エッチング孔からのエッチングの進行具合を予めシミュレーションで調べる。そして、その結果に基づいて、エッチング孔を中心とする犠牲層のエッチングの前線が振動膜の存在する領域で交わることが無い位置にエッチング孔を配置する。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1に示す実施形態では、基板5の上に、第1の電極である低抵抗の下部電極8が設置される。その上の支持部2は、基板5に固定され、基板5と所定の間隔を保って振動膜3を可動に支持する。基板5と振動膜3と支持部2に囲まれてキャビティ(空間)10が形成される。下部電極8のキャビティに面する表面は、キャビティ10に露出する。振動膜3の上面には上部電極1が設置され、上部電極1のキャビティに面する表面は絶縁膜で覆われ、これを介して下部電極8と互いに対向して配置される。基板5が絶縁性材料(例えばガラス)である場合、図1に示す様に、基板貫通配線22及び基板裏面のパッド29を設置することが可能である。これにより、基板5の上にある上下電極1、8を、基板貫通配線22を経由して基板5の裏面から電気的に取り出すことができる。上下電極は、基板の表面から配線を取り出すこともできる。また、後述する様に、上部電極1の上には保護膜12が成膜され、エッチング孔を塞ぐ封止部20が形成され、基板貫通配線22と上部電極1を接続する接続配線部28が設けられている。ただし、図1の構造において、エッチング孔及びそれを封止した封止部20の位置は、本実施形態の実際のものと必ずしも一致するものではない。複数の封止部20の位置即ち複数のエッチング孔の位置は、課題を解決するための手段の所で述べた様な配置であるべきであるが、1つのキャビティ10を含むセルを図示する図1の都合上、図1の配置構造でもって本実施形態を説明する。
通常、容量型電気機械変換装置の電気機械変換係数を高くする為に、動作中は、上部電極1と下部電極8の間にDCバイアス電圧をかける必要がある。このDCバイアス電圧の働きにより、静電引力が上部電極1を引っ張って、振動膜3の中央部には下向きの変位が発生する。ただし、一旦DCバイアス電圧が一定の電圧を超えると、振動膜3が降伏して下部電極8に接触(コラプス)し、電気機械変換係数がかえって低下する恐れがある。よって、コラプス電圧と言われるこうした一定の電圧が発生しない様に、バイアス電圧を調整する。こうしたことから、上部電極1が振動膜3の下表面に設置される場合は、下部電極8上に絶縁膜を設ける必要がある。要するに、上下電極の短絡を防ぐ為に、上下電極間には何らかの絶縁誘電体を設ける必要がある。例えばSiO2膜、SiN膜等の絶縁膜を設けることができる。
以上に述べた様に、本実施形態は次の様な構成を有する。基板と、該基板上に配置された支持部で基板と所定の間隔を保って可動に保持される振動膜と、これらで囲まれたキャビティと、キャビティに露出した第1の電極と、絶縁膜を介してキャビティに面する第2の電極とを有する。典型的には、エッチング孔及びそれを封止した封止部20は、支持部2に形成されてキャビティ間を連通する通路上の材料部の箇所に設けられる。こうした構成の容量型電気機械変換装置は、次の作製方法で製造することができる。基板5に第1の電極8を形成し、第1の電極上に犠牲層を形成し、犠牲層上に、第2の電極1を持つ振動膜3を形成し、振動膜3又は前記通路上の材料部に開口をエッチング孔として設ける。そして、エッチング液で犠牲層をエッチングしてキャビティ10を形成し、エッチング孔としての開口を塞ぐ。本実施形態では、エッチングとしては、犠牲層とエッチング孔を介して、第1の電極8と外部に設けた対向電極との間で通電する電解エッチングを実行する。犠牲層の領域は、前記通電される第1の電極の領域に完全に含まれることが好ましい。
図1で示す1つのキャビティを持つセルを複数含むエレメントで構成された容量型電気機械変換装置は、次の作製方法で製造され得る。第1の電極と、複数のセルのキャビティとその間を連絡ないし連通する前記通路とに形成された犠牲層と、エッチング孔を介して、電解エッチングを行う。この電解エッチングは、第1の電極と外部対向電極との間で通電して行ない、犠牲層をエッチングして複数のキャビティと通路を一括的に形成する。ここでも、犠牲層の領域は、前記通電される第1の電極の領域に完全に含まれることが好ましい。
上記電解エッチングの際、例えば、互いに連通し隣接するエッチング孔(封止した後、図1の封止部20となる)から等距離の位置のキャビティ領域付近に酸化物からなる微粒子が形成される可能性がある。例えば、振動膜3のSiNx膜の下表面に犠牲層の酸化物からなる微粒子(群)が形成されることがある。振動膜3の振動に好ましくない影響を与えるこうした微粒子(群)の発生をなくす為、できれば、微粒子の形成場所を振動膜の振動部領域以外の場所に移したい。本発明は、例えば、前記連通し隣接する任意のエッチング孔の組を結ぶ線分の垂直2等分線が振動膜を横切らない位置にエッチング孔を配置することで微粒子(群)が振動部領域に形成されない様にするものである。
本実施形態の作製方法によれば、拡散律速に依存せず比較的高速に犠牲層をエッチングできて、キャビティを充分薄く良好に形成できる。特に気泡を発生させず、振動膜への損傷を防ぐことができる。また、犠牲層の酸化膜微粒子(群)が、振動膜の存在する領域で形成されない様にできる。より具体的には、エッチング孔となる開口の大きさや数をあまり増やさなくても、第1の電極のアノード電圧によって、等速ないし等高速且つ安定なエッチング速度を実現できる。
以下、図を用いて本発明のより具体的な実施例を説明するが、本発明の範囲は以下の構成には限定されない。
(第1実施例)
まず、電解エッチングにおける金属のいわゆる溶解電圧を説明する。例えば、パイレックス(登録商標)ガラス基板の上に、Al、Cu、Cr、Tiの4種類の金属膜(膜厚200nm)をEB(Electron Beam)法で蒸着する。金属膜付きの各基板を、濃度2Mの食塩水の電解液に局所的に浸漬し、電解液に浸漬されていない金属膜部分をポテンショスタットの作用電極に接続する。そして、Ag/AgClの参照電極と白金(Pt)の対向電極も、上記電解液に浸漬して設置する。説明を簡潔にする為に、以下の電解エッチングにおいて、同じポテンショスタット、参照電極、対向電極を使用するとする。
(第1実施例)
まず、電解エッチングにおける金属のいわゆる溶解電圧を説明する。例えば、パイレックス(登録商標)ガラス基板の上に、Al、Cu、Cr、Tiの4種類の金属膜(膜厚200nm)をEB(Electron Beam)法で蒸着する。金属膜付きの各基板を、濃度2Mの食塩水の電解液に局所的に浸漬し、電解液に浸漬されていない金属膜部分をポテンショスタットの作用電極に接続する。そして、Ag/AgClの参照電極と白金(Pt)の対向電極も、上記電解液に浸漬して設置する。説明を簡潔にする為に、以下の電解エッチングにおいて、同じポテンショスタット、参照電極、対向電極を使用するとする。
作用電極の電圧は、ダイナミック(Potential Dynamic Sweep)で掃引し、自然電位(OCP:Open-Circuit-Potential)から-1V、次に数Vとし、最後に自然電位に戻す。その結果、図2−1(a)乃至図2−2(d)に示す電解IV曲線が得られた。横軸は作用電極に印加する電圧、縦軸は作用電極から流れる電流である。図2−1(a)に示す様に、Alは、約-0.7V以下の範囲で電流がほぼなく、-0.7Vから電流が急激に上昇する。即ち、-0.7V以上の範囲で電解反応が発生し、Alがエッチングされる。よって、Alの溶解電圧は-0.7Vである。この溶解電圧は、動態電位を負値から正値へ掃引する際に自然電位での発生電流値より2桁以上大きい電流が発生する電位と定義する。
図2−1(b)に示す様に、Cuの溶解電圧は-0.25Vであって、-0.25V以上の電圧を加えると、Cu表面からの青いイオンの溶出が目視で見える。同様に図2−2(c)に示す様に、Crの溶解電圧は約+0.75Vであって、+0.75V以上の電圧を加えると、Cr表面からの黄緑色のイオン溶出が目視で見える。図2−2(c)の電解IV曲線には、最初はヒステリシスの様な現象があったが、30回ぐらい繰り返して掃引することでほぼ同じ曲線が再現され、約+0.75Vから溶解することが確認された。
Tiについては、掃引の最大電圧が+1Vである場合には電解IV曲線はほぼゼロであって、電解反応はなかった。最大電圧を+10Vに設定して掃引すると、図2−2(d)に示す様にヒステリシス現象があって、約+4Vから電解反応が発生し、Ti表面に茶色の物質が形成された。この際、テスタで表面の抵抗を測ると、抵抗が非常に高く、その茶色の物質がTiの酸化物であると推測された。最大電圧を更に高くすると、酸化物の色が紫色に変化するが、同じ様なヒステリシス現象が生じた。要するに、Tiの場合、約+4V以下の電圧を印加する場合、表面が溶解せず不動態の酸化物が形成されることが分かった。更に、前記室温食塩水(電解液)を用いる条件で、Auの溶解は約+1.1V以上の電圧印加で発生した(図は省略)。また、同じ様な条件で、単結晶Siの溶解は約-5V以下の電圧印加で発生した(図は省略)。
更に、前記ガラス基板上の各金属(Al、Cu、Cr)について、溶解電圧より高い電圧を印加したとき、金属が酸化反応により溶解する(エッチングされる)ことが確認された。しかし、電解液(食塩水)に浸漬される部分は完全にはエッチングされず、島状の未エッチング領域が散在した。その理由は、エッチング反応の面内バラツキによって、島状の金属領域が形成され、電解エッチング(酸化反応)に必要なホールの供給経路が中断されてエッチングが止まるからである。これに対する解決策として、Al、Cu、Crとガラス基板との間にTi膜(膜厚10nm〜1000nm)を設け、0.75V〜3Vの範囲の電解エッチング電圧で実験した。その結果、電解液(食塩水)に浸漬される部分は完全にエッチングされ、島状の未エッチング領域が生じないことが分かった。即ち、一層の導電体を完全に電解エッチングしたいとき、単にその導電体の溶解電圧より高い電圧を印加するだけでなく、酸化反応に必要なホールを提供する経路を設ける必要があることが分かった。例えば、もう一層の導電体を、エッチングしたい導電体に接して設置することが必要である。更に、この2層の導電体を選択的に電解エッチングする為には、エッチングしたい導電体の溶解電圧より大きく且つホールを提供する導電体の溶解電圧より小さい印加電位で電解エッチングすることが必須条件である。
更に確実にホールの経路を確保する為には、エッチングしたい導電体(導電性犠牲層)の領域は、ホールを提供する導電体の領域に完全に含まれることが好ましい。ホールを提供する導電体の対向電極Pt表面に、直径0.1mm〜1mm位の気泡が発生することも観察され、その気泡は還元反応による水素と考えられる。特に、作用電極に接続される導電体には、電解エッチング過程で気泡が発生しなかった。これにより、振動膜が泡で壊される様なことが無くなるので、本発明において、このことは非常に重要である。なお、上記電解エッチング実験は室温で行なった。
以上の電解エッチングに関する条件に基づいて、本実施例の製造工程を説明する。図3−1(a)乃至図3−3(k)は、本発明に係る容量型電気機械変換装置の作製方法の第1実施例の工程を説明する断面図である。ただし、ここでも、図示されたエッチング孔13及び封止部20の位置は、本実施例の実際のものとは必ずしも一致しない。孔13と封止部20の位置は、後述の位置であるべきであるが、こうした位置に設けた場合の問題点を指摘してから本実施例での孔13と封止部20の位置を説明する為に、図3−1乃至図3−3に図示の構造でもって本実施例の説明を始める。また、説明を簡潔にする為、“パターニング工程”は、基板上のフォトレジストの塗布、乾燥、露光、現像などのフォトリソグラフィ工程から、エッチング工程、フォトレジストの除去、基板の洗浄、乾燥工程の順に行なわれる全工程を意味するものとする。また、本実施例の基板4はSiを例として説明するが、他の材料の基板を使用することもできる。例えば、SiO2、サファイアなどの基板も使用可能である。
本実施例の作製方法において、まず、図3−1(a)に示す様に、Si基板4(例えば、p型、方位(100)、抵抗率1Ω-cm〜20Ω-cm、直径4インチ)を準備し、洗浄する。次に、図3−1(b)に示す様に、Si基板4の表面にスパッタリングで下部電極8とするTi層を成膜する。このTi層は、後述の電解エッチング反応においてホールを供給する役割を持ち、電解エッチング速度はTi層の抵抗に大きく依存する。Ti層は、下部電極として、特定の周波数領域の電流を流す役割も有し、下部電極8とするTi層の膜厚は10nm〜1000nmが好ましく、50nm〜500nmが更に好ましい。次に、フッ酸を含有するエッチング液、又は過酸化水素、リン酸、アンモニアを含有する混酸エッチング液でTi層をパターニングする。後の工程で、犠牲層を電解エッチングする際に、均一、安定、且つ高速なエッチング速度を得る為に、下部電極8による電位降下を減らすのが望ましい。よって、下部電極8のシート抵抗は、20.0Ω/□以下が望ましく、5.0Ω/□以下がより望ましく、1.0Ω/□以下が更に望ましい。
下部電極8の材料は、金属Tiに限らず、他の低抵抗材料でもよい。例えば、ドープした単結晶Si基板、ドープしたウェル領域を下部電極とする単結晶Si基板、ドープしたアモルファスSi、ドープした多結晶Si、後述の犠牲層11より溶解電圧が高い金属、酸化物半導体などでもよい。この場合のシート抵抗の条件も上記と同じである。Siを溶解する為には、-5V以下の電圧を印加する必要がある。従って、後述の金属犠牲層(例えばAl、Cu、Crなど)をエッチングする際に、単結晶Si基板自体を下部電極8とすることができる。実験により、これらの犠牲層の溶解電圧領域でSiの下部電極8はエッチングされないことを確認でき、Siも下部電極とすることができた。
基板4自体を下部電極8とする場合、デバイスとしての検出電流を高くする為に、デバイス回路内の直列の抵抗を低減することが望ましい。後述の電解エッチングの高速化及び電荷移動のし易さの観点からは、下部電極8とするSi基板に不純物をドープして、低抵抗の下部電極8を形成することが好ましい。この表面不純物濃度は、1014cm-3以上が望ましく、1016cm-3以上がより望ましく、1018cm-3以上が更に望ましい。更に、ホールを提供する為に、p型のSi基板が適する。この為、不純物ドープ源はホウ素、ガリウムなどが好適である。図3−1(b)には、基板4を下部電極8とする場合の下部電極8となる特定の領域は示していない。この領域は、完成後のデバイスのエレメント間を電気分離する為に基板4をDRIE(Deep Reactive Ion Etching)でエッチングして溝を形成することで形成可能である。
次に、図3−1(c)に示す様に、犠牲層11とする金属Cr膜(膜厚200 nm)をEB法で蒸着し、(NH4)2Ce(NO3)6を含有するエッチング液(例えば、関東化学製の混酸クロムエッチング液)でパターニングする。後で犠牲層11を電解エッチングする際に、均一且つ安定なエッチング速度が得られる様に犠牲層11内の電位降下を減らすことが望ましい。現在の微細化加工技術で作製できるデバイスの寸法を考慮に入れると、犠牲層11の抵抗率は10-1Ω-cm以下が望ましく、10-3Ω-cm以下がより望ましい。10-5Ω-cm以下が更に望ましい。従って、犠牲層11の材料には金属を用いるとよい。
次に、図3−1(d)に示す様に、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法で振動膜3とするSiNx膜(膜厚500 nm)を成膜する。犠牲層11の段差により、振動膜支持部2も同時に形成される。振動膜も、容量型電気機械変換装置の容量構造内の誘電体の一部である為、振動膜3の誘電率は高い方が望ましい。例えば、SixNy膜、SixOy膜、SiNxOy膜、Y2O3、HfO、HfAlO、BST[(Ba,Sr)TiO3]などの誘電材料の中から少なくとも一種を選択して使用することが可能である。
次に、図3−2(e)に示す様に、CF4ガスのプラズマによるRIEのドライエッチング法で振動膜3のSi3N4膜をパターニングし、犠牲層11へ通じる振動膜3の開口部、即ちエッチング孔13を形成する。本実施例では、エッチング孔13は、キャビティの縁部に対する箇所に設けるが、他の配置形態も可能である。例えば、エッチング孔13をキャビティから一定の距離の所に設け、エッチング孔13とキャビティとの間に別の通路(連絡路)を設けてもよい。図3−2(e)にある2つのエッチング孔13は、連通し隣接するエッチング孔である。エッチング孔13を形成する為のエッチングにおいてCrは難エッチング金属であるのでエッチングストップ層とでき、このエッチングプロセスが容易となる。
次に、図3−2(f)に示す様に、導電性基板4の裏面にポテンショスタット15の作用電極16を電気的に接続する。即ち、犠牲層11は、この下方に接する下部電極8と導電性基板4を介して、作用電極16に電気的に接続される。こうして、電気接続部35を形成する。電気接続35は、導電性基板4の裏面に限らず、特定の治具設計によって基板4の表面から取り出すことも可能であるが、説明を簡潔にする為に裏面の場合のみを説明する。電気接続35の接触抵抗を減らす為、基板4の裏面に一層の金属膜、例えばTi(膜厚20nm〜1000nm)を設けることが好ましいが、図3−2(f)では省略する。後述の電解エッチングの際に、この電気接続部がエッチングされない様にする為に電解エッチング部の外面には保護用の絶縁膜が必要である。例えば、シリコーン樹脂、フォトレジストなどを形成する。或いは、ウェットエッチング用の片面保護治具で基板4の裏面及び電気接続部35を保護してもよい。この様な保護手段、治具なども図3−2(f)では省略する。
対向電極18の材料は、例えば、Pt、Ni、Cなどの材料が好適である。犠牲層11が導電性材料なので、犠牲層11内の電位降下量が相対的に少ない為、犠牲層11の電位と下部電極8の電位はほぼ同じ値である。こうして、犠牲層11と下部電極8がアノードであり、対向電極18がカソードである電気回路が確立される。本実施例では、参照電極17は基板4の表面から約1mmの距離に設置し、対向電極18は基板4から約10mmの距離の対向位置に設置する。
以上の様な回路構成を設けた後に、図3−2(f)に示す様に、裏面の保護された基板4、参照電極17、対向電極18を濃度2Mの食塩水電解液に浸漬する。ポテンショスタット15により、電気配線34を介して、電解エッチング液中で対向電極18と下部電極8との間に電圧をかける。こうして、エッチング孔を電解エッチング液に浸しながら キャビティに面する表面が露出した下部電極を電解エッチング用の一方の電極として、外部に設けた電解エッチング液に接している他方の対向電極との間で通電する。これにより、エッチング孔13から電解エッチング反応が開始される。電解反応を用いずに薄い犠牲層11をウェットエッチングする場合、すぐに拡散律速によってエッチングが停止する。しかし、本実施例による電解エッチング方法によれば、犠牲層(Cr)11を比較的短時間で除去することができる。
電解エッチングにおいて、下部電極8にかける陽極電圧は、犠牲層11の溶解電位より大きく且つ下部電極8の溶解電位より小さい電位で実施する。即ち、犠牲層(Cr)11の溶解電圧0.75V以上、下部電極(Ti)8の酸化電圧4V以下の範囲の電解電圧を印加する。例えば、電解エッチング電圧が2Vで、20mm角のチップ内に12×12個の直径70μmの犠牲層Crパターン(Cr膜厚200nm)がある場合、ポテンショスタットにより測定された電流対時間の曲線は図4(a)に示す様になった。電流が最初一瞬大きくなる理由は、電解液にあるイオンが電極表面に吸着して界面(Helmholtz層)が形成される為である。その後、ほぼ一定の電流が流れて、電解エッチング反応がほぼ安定に進行する。更にその後、約160秒で電流が2桁位以下急激に低減する。光学顕微鏡により実時間で観察した結果、犠牲層のエッチングが完了することが分かった。この時点には犠牲層が完全にエッチングされるので、ポテンショスタットのアノードからの電荷の消耗もなくなる。この様に、エッチングの終点が電気的に検知できて、作製プロセスの安定性、歩留まりにとって非常に有利となる。以上の様に犠牲層のエッチングが進行し、同時にキャビティ10が形成される。上記顕微鏡の観察によると、エッチング過程においてキャビティ内に気泡はなく、対向電極18とする白金表面に気泡が発生する。本実施例の様な容量型デバイスの柔らかい振動膜において、キャビティ内に気泡が発生しない為、気泡による振動膜の破壊を回避できる。
電解エッチング液は食塩水(NaCl液)に限らず、他の電解液、例えば、NaBr、NaClO4、NaOH、NaNO3などを含む液を使用することも可能である。通常のエッチング液は強酸、強アルカリであり、有限のエッチング選択比に起因して下部電極に損傷が発生する恐れがあって、下部電極を保護膜で覆う必要性が高い。この保護膜の設置によって、上下電極間距離が大きくなってしまい、容量型電気機械変換装置の感度が落ちる恐れがある。しかし、本実施例では、エッチング液のpHを中性にでき、下部電極への損傷がなくなる。更に保護膜がない為、上下電極間の距離を短縮でき、容量型電気機械変換装置を高感度化することもできる。コスト面から見ると、NaCl液は他のエッチング液より安価であって且つ装置も簡単にでき、汚染、危険性なども低く、NaClの使用は有利である。電解エッチング反応に必須な塩素イオンを提供する為には、NaCl液の濃度は、室温で、0.01Mから飽和までの範囲が好ましく、0.2Mから2.5Mまでがより好ましい。
電解エッチング完了後、電解エッチング装置、治具、電気接続部35などを外す。そして、純水(表面張力72dynes/cm)、IPA液(表面張力20.8dynes/cm)、HFE7100液(3M社製、表面張力13dynes/cm)にこの順で浸漬し、最後に自然乾燥する。こうして、図3−2(g)に示す様に、振動膜3が支持部2によって下部電極8と所定の間隔を保って支持された状態で、キャビティ10が形成される。なお、狭電極間隔の場合、エッチング液から取り出す際に、液体の表面張力によって上下電極が付着し、いわゆるスティッキング現象により基板面内でエレメントのバラツキが発生してしまう恐れがある。この為、前記洗浄液(純水、IPA液、HFE7100)の表面張力の順で処理するのが好ましい。
犠牲層11の厚さによって、本デバイスの最終的な電極間距離(下部電極8と上部電極との距離)が決定される。犠牲層11が薄いほど、エレメントの電気機械変換係数が高くなる。ただし、電極間距離が小さ過ぎると、絶縁破壊の恐れが高まる。電解エッチング及び乾燥工程の態様にもよるが、犠牲層11の厚さは、5nmから4000nmが望ましく、10nmから1000nmがより望ましく、20nmから500nmが更に望ましい。
ここで、図3−1乃至図3−3に図示のエッチング孔13の配置位置の問題点を指摘する。図3−2(g)に示す連通・隣接する2つのエッチング孔13から等距離のキャビティ領域23の振動膜3の下面に約10nmから200nm程度の微粒子が散在する可能性があることを説明する。図4(b)は、光学顕微鏡で取った図3−2(g)の状態の平面図である。数個の円形キャビティ10、そのキャビティ間にあるキャビティ10を連通する通路52、及びその通路領域に設けたエッチング孔13を示す。光学顕微鏡により、円形のキャビティ10の中央部に十字模様の黒い点状物が存在することが観察された。
図5(a)に示すのは、粘着テープで試料のキャビティ上部にある振動膜部を剥がし、犠牲層に接する振動膜面を電子顕微鏡で観察した写真である。図5(a)に示す様に、膜の表面に十字線の模様が観察された。これは、図4(b)の十字模様と一致することが分かった。その十字線領域を含む振動膜の領域48を拡大して観察すると、図5(b)に示す様に、微粒子(群)43が観察された。他方、十字線領域を含まない振動膜の領域47、及び前記剥がされた振動膜部下の下部電極表面を観察しても、顕著な微粒子模様がないことが分かった。更に、前記微粒子をEDS(Energy Dispersive Spectroscopy)で分析した結果、その微粒子がクロム、酸素を含有することが分かった。また、X線光電子分光法で分析した結果、上記クロム及び酸素を含有する微粒子は、Cr2O3が主成分となる酸化クロム(CrOx)であることが分かった。
前記微粒子の形成原因を説明する。この微粒子群は、隣接するエッチング孔13から等距離の位置のキャビティ領域23付近に形成されることが光学顕微鏡で観察された。図3−2(g)のキャビティ領域23付近の拡大図である図6(a)で説明する。図6(a)に示す様に、エッチングの前線(エッチング液と犠牲層の接触界面)41は、犠牲層がほぼ均一に形成されエッチング孔13の形状がほぼ同じであれば、隣接するエッチング孔13からほぼ等方的に広がる。特に、下部電極8がホールを供給する為、下部電極8との接触界面が若干先頭になってリードする。更にエッチングが進むと、図6(a)に示す様に、隣接するエッチング孔13からのエッチング液でエッチングされた犠牲層の前線42群が交わり、犠牲層へのホール供給経路が遮断されることになる。結局、基板面内の犠牲層の均一性、バラツキなどにより位置は多少変化するが、エッチングの最後の結果は、振動膜3であるSiNx膜の下表面の或る箇所に犠牲層11の酸化物からなる微粒子(群)43が残る。要するに、エッチングの前線が振動膜下で交わる領域には、微粒子(群)43が残ることが確認された。
対照的に、この段階において、振動膜3の他の部分の下表面(図5(a)に示すキャビティに面する振動膜の領域47など)をEDSで分析したが、クロムははっきり見られないことが分かった。要するに、エッチングの前線が交わらない振動膜の下の領域には、微粒子(群)が存在しないことが確認された。
次に、図3−3の説明に戻って、図3−3(h)に示す様に、封止膜14としてPECVD法でSiNx膜を成膜する。SiNx膜は、エッチング孔13を封止して、封止部20を形成する。この封止工程に使われる膜材料としては、CVD、PVD(Physical Vapor Deposition)による窒化膜、酸化膜、窒化酸化膜、高分子樹脂膜、金属、合金などの中の少なくとも一種を選択することもできる。このプロセスによる膜の一部は振動膜3の上面に覆い、振動膜の一部と考えることもできる。封止部20によりキャビティ10を封止する為、この封止用SiNx膜の厚さは、犠牲層11の厚さの1/2以上が望ましく、犠牲層11の厚さ以上がより望ましく、犠牲層11の厚さの1.2倍以上が更に望ましい。この封止工程によって、密封されたキャビティ10を形成できる。
通常、PECVD工程の圧力は0.1Torrから数十Torrの範囲であって、PECVDによるSiNxで封止する場合、大気圧により振動膜3が下方に変形して、凹型になる。従って、封止されたキャビティ10の圧力の範囲は、0.01Torr〜500Torrが好ましく、0.1Torr〜100Torrがより好ましく、0.2Torr〜20Torrが更に好ましい。通常、PECVDの成膜装置の放電電極の配置、放電周波数、ガス組成、温度によって、PECVDによるSiNxの応力を調整できる。この応力が圧縮性である場合、バックリング現象が起きやすく、振動膜3が上に凸型になる可能性もある。図3−3(h)には水平の状態を示す。この為、封止膜を含む振動膜3の内部残留応力は、-200MPa〜+200MPaが望ましく、-100MPa〜+100MPaがより望ましく、-50MPa〜+50MPaが更に望ましい。
次に、図3−3(i)に示す様に、封止膜14をパターニングして封止部20を形成し、上部電極1とするPVDによるAlを成膜、パターニングする。こうして、振動膜3の上に、上部電極1及びその配線取り出しパッド9を形成する。封止膜14をエッチング孔付近のみに残して封止部20で封止する為、振動膜3への機械的剛性の影響は最小限に抑えられる。封止膜14をパターニングしないと、封止膜厚によって上下電極間距離が増大してデバイス性能が落ちるので、この様にした。
本実施例では、上部電極1は、金属、低抵抗のアモルファスSi、低抵抗の酸化物半導体の中から選ばれる一種の材料で形成することができる。上部電極の表面の酸化防止或いは熱による金属の拡散防止の為、2層以上の導電層を設けることも可能である。即ち、上部電極を2層以上の導電層で構成することもできる。例えば、Al/Cr、Mo/Ni、Cr/Al、Cr/Cuなどである。なお、実際にはパッド9と上部電極1は電気的に接続されているが、図3(i)では示されていない。
次に、図3−3(j)に示す様に、上部電極1の上に保護膜12を成膜する。PECVD法で保護膜12のSi3N4膜を成膜する。この保護膜12は、エレメントを保護する為に形成する。Si3N4膜の代わりに、SiO2膜、SiOxNy、高分子樹脂膜(例えば、ポリジメチルシロキサン膜(PDMS:polydimethyl siloxane)、パリレン膜)、なども使用可能である。
最後に、図3−3(k)に示す様に、CF4ガスのプラズマによるRIEのドライエッチング法で保護膜12及び振動膜3のSi3N4膜をパターニングして、上部電極パッド9及び下部電極パッド31を形成する。保護膜12が高分子樹脂膜である場合、酸素プラズマでエッチングができて、パッド9とパッド31を形成することができる。以上の様にして、本実施例の容量型電気機械変換装置の作製工程が完了する。
説明を簡潔にする為、振動膜3、保護膜12、及び封止部20とする封止膜は、全て絶縁性のSiNx膜を用いるとした。これらの膜が同じ絶縁材料である場合、一体化される振動膜3、封止部20とする封止用膜、及び保護膜12は、全体として振動膜と考えることができる。また、封止部は、振動膜の振動の為に絶対必須ではないので、なくても、エレメントが動作することは可能である。空気中に音波を出す際に、封止されないエレメントは空気のダンピング効果によって共振のQが若干低下する。他方、液体は大きいダンピング効果及び小さい圧縮性を持つので、液中で送受信する際には、封止されないエレメントの性能は低下する恐れがある。よって、封止構造とするのが非常に好ましい。
前述した様に、上記エッチング孔の配置では、上述した微粒子(群)の形成によって、振動膜の質量が増えてしまう恐れがある。更に、微粒子のサイズばらつきによって、上記DCバイアス電圧を印加する際に、一部のエレメントの振動膜の下方にある微粒子が下部電極に接触し、振動できなくなってしまう恐れもある。従って、上記微粒子によるエレメントの振動への影響を防ぐ為、本実施例では、上記エッチング孔の配置は実際には次の様にする。
図6(b)を用いて説明する。図6(b)に示す構造では、エレメントのセル(単一キャビティ)51の群は、その間の通路52の群で連通され、エッチング孔13は通路領域に配置される。ここでのエッチング過程では、図6(b)に示す様に、連通し隣接するエッチング孔56、57から、隣接するエッチング前線が進んで、最後に、エッチング孔56、57から等距離の領域58で交わる。この為、前記微粒子(群)はセル間の通路領域58付近で十字模様に観察される。この様に、エッチング孔を中心とするエッチングの前線が振動膜の存在する領域で交わることが無い様にエッチング孔を配置すれば、上記したエレメントの振動への悪影響を回避することができる。
本実施例において、電解エッチングは主に反応律速で支配される。拡散律速も考慮する場合、エッチング孔(群)のサイズが極端に小さい場合(例えば、直径0.5μm以下の円形の場合)、エッチング速度が低減する。一方、エッチング孔が大き過ぎると、振動膜(群)の範囲が小さくなり(即ち、センシングの有効領域(或いはフィルファクタ)が減って)、デバイスの感度が劣化してしまう。この為、エッチング孔の直径は、0.5μmから20μmの範囲が望ましく、1μmから10μmがより望ましい。エッチング孔(群)がほぼ同形状である場合、図8(a)に示す様に、エッチング孔(群)を配置すれば、同じ効果が達成できる。即ち、隣接し連通する任意のエッチング孔の組を結ぶ線分の垂直2等分線が、通路52の領域を通って、振動膜の領域51を横切らない位置に設置すれば、エレメントの振動への悪影響を回避することができる。こうして、本実施例によって、前述の発明の効果のところで述べた様な効果が奏される。
(第2実施例)
図7−1(a)乃至図7−3(k)は、本発明に係る容量型電気機械変換装置の第2実施例の工程を説明する断面図である。本実施例の製造プロセスは、第1実施例とほぼ同じであるが、導電性基板を使わず、絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板)を用いる。その他の点は、第1実施例とほぼ同じである。尚、ここでも、図示されたエッチング孔13及び封止部20の位置は、本実施例の実際のものとは必ずしも一致しない。
図7−1(a)乃至図7−3(k)は、本発明に係る容量型電気機械変換装置の第2実施例の工程を説明する断面図である。本実施例の製造プロセスは、第1実施例とほぼ同じであるが、導電性基板を使わず、絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板)を用いる。その他の点は、第1実施例とほぼ同じである。尚、ここでも、図示されたエッチング孔13及び封止部20の位置は、本実施例の実際のものとは必ずしも一致しない。
図7−1(a)に示す様に、基板5(例えば、直径4インチのガラス基板)を準備し、洗浄する。次に、図7−1(b)に示す様に、基板5を貫通する貫通配線導電部22を設ける。この様な基板貫通配線を有する基板は、市販品を利用することが可能である。また、例えば、感光性ガラス(HOYA社製、製品名PEG3)を利用して、次の様に形成することもできる。即ち、基板貫通孔を設けたら金属Cu又はNiでメッキにより基板貫通孔を充填し、基板表面をCMP(Chemical Mechanical Paolishing)研磨することで、基板貫通配線を有する基板を形成することも可能である。本発明の様な容量型デバイスの性能において、基板の表面粗さは非常に重要であって、平均粗さRaは15nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。その後の電気配線のステップカバレッジにおいて、基板貫通配線22の露出面と基板5の表面との段差は、1μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。一方、Siの様な導電性基板を用いる場合、Si基板をDRIE法で貫通エッチングし、熱酸化、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)で基板貫通配線部22を形成することも可能である。この場合、貫通配線導電部22の絶縁は、熱酸化で形成することができ、貫通配線導電部22は、ドープしたLPCVD多結晶Siで形成することができる。本実施例は、前記ガラス基板を例として説明する。
図7−1(a)から図7−2(f)のプロセスは、第1実施例と同じである。次に、図7−2(g)に示す様に、基板5の裏面に一層の導電性膜27、例えばTi(膜厚100nm〜500nm)を成膜する。その後、片面エッチング治具(図7−2(g)では示していない)を用いて、基板裏面の導電性膜27に作用電極16を接触させ、電気接続部35を形成する。こうして、第1実施例と同様に、基板を電解液に浸漬し、導電性膜27及び基板貫通配線22を通じて、下部電極8に接する犠牲層11を電解エッチングする。その後、第1実施例と同様に、図7−2(h)に示す様に、電解エッチングした後、乾燥工程を行って、大気開放されるキャビティ10を形成する。その後、第1実施例と同じ様に、図7−3(i)に示す様に、エッチング孔13をPECVDSiNxで封止し、封止部20を形成する。次に、基板貫通配線と上部電極との接続配線部28にRIEで開口を設ける。そして、図7−3(j)に示す様に、金属層を成膜し、パターニングして、上部電極1及び基板貫通配線22への接続配線部28を同時的に形成する。
次に、第1実施例と同じ様に、図7−3(k)に示す様に、上部電極1の上に、絶縁性を有する保護膜12を設ける。保護膜12の材料は、第1実施例と同じ様に、高分子樹脂膜が適切である。最後に、基板5の裏面にある導電性膜27をパターニングし、基板裏面に基板貫通配線のパッド29を形成する。こうして、図7−3(k)に示す様に、下部電極8と上部電極1は、基板5の裏面に取り出すことができる。特に、高密度の2次元デバイスアレイ作製において、この手法は有意義である。
本実施例を示す図7−3(k)には、貫通配線導電部22が下部電極8及び上部電極1と繋がる形態で示されているが、下部電極8と上部電極1の一方が貫通配線導電部22に繋がり、他方の電極は基板5の表面に取り出す配線形態も可能である。その他の点(例えば、エッチング孔13の配置、エレメントの平面配置)は、第1実施例と同じである。
(その他の実施例)
以下、エッチング孔13の配置に関する他の実施例を説明する。これらの実施例の製造プロセスは、第1又は第2実施例と同じである。図8(b)に示す実施例では、エッチング孔13を通路52に設置する。より詳しくは、キャビティ内に連通し隣接する任意のエッチング孔13を結ぶ線の中点が通路52に存在する。複数のエッチング孔13の配置によって、各エッチング孔を中心として、エッチング液によるエッチングが進む。図8(b)に示す様に配置すれば、エッチングの前線がセル51間の通路52で交わる。この為、そのエッチングの前線が振動膜の領域で交わらない様にすることができる。
以下、エッチング孔13の配置に関する他の実施例を説明する。これらの実施例の製造プロセスは、第1又は第2実施例と同じである。図8(b)に示す実施例では、エッチング孔13を通路52に設置する。より詳しくは、キャビティ内に連通し隣接する任意のエッチング孔13を結ぶ線の中点が通路52に存在する。複数のエッチング孔13の配置によって、各エッチング孔を中心として、エッチング液によるエッチングが進む。図8(b)に示す様に配置すれば、エッチングの前線がセル51間の通路52で交わる。この為、そのエッチングの前線が振動膜の領域で交わらない様にすることができる。
図9(a)に示す実施例では、エッチング孔13を六角形のセル51の辺縁部に設置する。1つのセルの辺縁部には、多くても1つのエッチング孔しか設置しない。ここでも、キャビティ内に連通し隣接する任意のエッチング孔13を結ぶ線の中点が通路52に存在し、振動膜の領域には存在しない。こうした複数のエッチング孔13の配置によっても、各エッチング孔13を中心としてエッチングが進む。ここでも、エッチングの前線がセル51間の通路52で交わり、振動膜の領域では交わらない。
図9(b)に示す実施例では、エッチング孔13を、セル51の辺縁部であって同時にセル間の通路52に設置する。ここでも、キャビティ内に連通し隣接する任意のエッチング孔13を結ぶ線の中点が通路52に存在し、振動膜の領域には存在しない。こうした複数のエッチング孔13の配置によっても、各エッチング孔13を中心としてエッチングが進み、エッチングの前線がセル51間の通路52で交わり、振動膜の領域では交わらない。
図8と図9の実施例では、セル(キャビティ)が円形又は六角形であるが、これらに限らず、方形、多角形などでもよい。また、設計概念を分かり易く説明する為に、セルの配置分布が対称でない例もあるが、勿論、対称に分布させることも可能である。また、図9の実施例では、エッチング孔13を六角形のセルの頂点に設置しているが、同じ概念の配置であれば、エッチング孔を六角形のセルの直線辺縁部に設置することも可能である。
上述した実施例では、1つのセル、又はセルとその周りの構成を示してきた。大面積のエレメントアレイを作製する際には、上述の構成原理のセルを含むエレメント部分を基板上に規則的若しくは周期的に配置すればよい。その構成、作製方法は上述したものと本質的に同じである。特に、複数のキャビティの間に接続用の通路を設置すれば、その通路に共通のキャビティ群は、エッチング孔とホール提供用電極を共用することが可能である。こうして、例えば、振動膜3に形成されるエッチング孔の数を低減でき、容量型電気機械変換装置の機械特性の安定性をより高くできるなどの効果がある。
1…第2の電極(上部電極)、2…支持部、3…振動膜(絶縁膜)、5…基板、8…第1の電極(下部電極)、10…キャビティ(空間)、11…犠牲層、13…エッチング孔(開口)、20…封止部
Claims (10)
- 基板と、該基板上に配置された支持部によって前記基板と所定の間隔を保って可動に保持される振動膜により形成される複数のキャビティと、前記支持部に形成されて前記複数のキャビティ間を連通する通路と、互いに対向して設けられ一方は前記キャビティに面する表面が露出し他方は前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われる2つの電極と、を有する容量型電気機械変換装置の作製方法であって、
前記基板上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層の上に前記振動膜を含む層を形成する工程と、
外部から前記犠牲層に通じる複数のエッチング液導入用エッチング孔を形成するエッチング孔形成工程と、
前記エッチング孔を電解エッチング液に浸しながら 前記キャビティに面する表面が露出した電極を電解エッチング用の一方の電極として、外部に設けた前記電解エッチング液に接している他方の電極との間で通電し、前記犠牲層を電解エッチングすることで前記犠牲層を除去して前記キャビティ及び通路を形成するエッチング工程と、
を有し、
前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、前記エッチング工程で、夫々のエッチング孔を中心とする前記犠牲層のエッチングの前線が前記振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置されることを特徴とする容量型電気機械変換装置の作製方法。 - 前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、隣接するエッチング孔を結ぶ線分の中点が前記振動膜の領域に存在しない位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、隣接するエッチング孔を結ぶ線分の垂直2等分線が前記振動膜を横切らない位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 前記複数のエッチング孔を塞ぐ封止部を形成して前記キャビティを封止する工程を更に有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、前記通路上の材料部又は前記振動膜の辺縁部に形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 前記エッチング孔形成工程において、前記複数のエッチング孔は、前記通路上の材料部と前記振動膜と前記基板のうちの少なくとも1つに形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 前記キャビティに面する表面が露出する電極は、前記基板に設けられる第1の電極であり、前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われる電極は、前記振動膜に設けられる第2の電極であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の容量型電気機械変換装置の作製方法。
- 基板と、該基板上に配置された支持部によって前記基板と所定の間隔を保って可動に保持された振動膜により形成された複数のキャビティと、前記支持部に形成されて前記複数のキャビティ間を連通する通路と、互いに対向して設けられ一方は前記キャビティに面する表面が露出し他方は前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われた2つの電極と、を有する容量型電気機械変換装置であって、
当該装置の作製過程のエッチング工程において前記キャビティ及び通路を形成するための犠牲層をエッチングする際に使用する複数のエッチング液導入用エッチング孔が、前記通路上の材料部と前記振動膜と前記基板のうちの少なくとも1つに設けられ、
前記複数のエッチング孔は、前記エッチング工程において、夫々のエッチング孔を中心とする前記犠牲層のエッチングの前線が前記振動膜の存在する領域で交わることが無い位置に配置されていることを特徴とする容量型電気機械変換装置。 - 前記複数のエッチング孔を塞ぐ封止部が形成されて前記キャビティが封止されていることを特徴とする請求項8に記載の容量型電気機械変換装置。
- 前記キャビティに面する表面が露出した電極は、前記基板に設けられた第1の電極であり、前記キャビティに面する表面が絶縁膜で覆われた電極は、前記振動膜に設けられた第2の電極であることを特徴とする請求項8又は9に記載の容量型電気機械変換装置。
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2010
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