JP2004209469A - ヘテロポリ酸及び/又はその塩の担持型触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法 - Google Patents

ヘテロポリ酸及び/又はその塩の担持型触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒であって、より高性能な担持型触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 担体にヘテロポリ酸及びヘテロポリ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した担持型触媒において、前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を、担体中の濃度勾配が担体の表面から中心に向かって専ら低下するように存在させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、触媒成分の1つとしてのヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を担体に担持した担持型触媒において、担持したヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下している担持型触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法に関する。
なかでも、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が実質的に担体の表面から一定の領域に存在する担持型触媒、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法に関する。
特に、本発明の担持型触媒は、低級オレフィンと酸素との一段接触反応による低級脂肪族カルボン酸の製造のための触媒、又は低級オレフィンと低級脂肪族カルボン酸との反応による低級脂肪族カルボン酸エステルの製造のための触媒として有用である。
ヘテロポリ酸は、酸触媒又は酸化触媒として有用であることはよく知られている。ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩は、担体に担持することによりヘテロポリ酸の溶出や炭素質析出を抑制することができ、また表面積を大きくしてヘテロポリ酸と親和性の小さい炭化水素などの基質との反応効率を上げることができる。そのため、一般に、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を有効成分とする触媒は、シリカ等の多孔質担体に担持した担持型触媒として用いられる。
担持型触媒では、触媒成分の担持状態にいくつかの型式があり、具体的には、ユニフォーム型、エッグシェル型(スキン型)、エッグホワイト型などを挙げることができる。なお、ここでいうユニフォーム型、エッグシェル型、エッグホワイト型とは、典型的には次の状態の担持型触媒を指す(「触媒の辞典」、小野嘉夫ほか著、(株)朝倉書店、2000年11月1日初版第1刷、102頁、108頁、585頁)。
ユニフォーム型:担体中の各部での触媒成分の濃度に実質的な差がない、いわゆる均一分布又は均一担持型をいう。
エッグシェル型:担持触媒の担体粒子もしくは成形体内における活性成分の分布状態の1つで、活性成分が実質的に担体粒子又は成形体の外表面に存在する状態をいう。
エッグホワイト型:担持触媒の担体粒子もしくは成形体内における活性成分の分布状態の1つで、活性成分が実質的に担体の内層に存在する状態をいう。
ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を担持型触媒として利用する例としては、オレフィンの水和(特開平11−322646号公報)、カルボン酸エステルの製造(特開平11−263748号公報、特開平9−118647号公報)及びエチレン酸化による酢酸の製造(特開平7−89896号公報)などを挙げることができる。
従来、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩は、ユニフォーム型に担持するのが一般的であった。しかしながら、特に原料の拡散が律速になる表面型反応では、ユニフォーム型に担持した場合、担体内部に担持されているヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が効率的に反応に関与していない可能性がある。
一方、ユニフォーム型以外のヘテロポリ酸の担持方法として、米国特許5919725号公報では、ヘテロポリ酸の塩を表面から少し内部に入った特定の位置(所謂エッグホワイト型)に担持する方法が開示されている。しかし、エッグホワイト型では、ヘテロポリ酸塩は担体内部に存在するため、原料の拡散が律速になる表面型反応においては反応物と効率的に接触させることは難しい。
この問題を解決するためには、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を表面に担持した(所謂エッグシェル型又はスキン型)触媒がより効果的であると考えられる。
特に、表面型反応である酸化反応においては、触媒成分を表面近傍に担持することが重要であると考えられる。例えば、特開平7−89896号公報には、(a)金属パラジウムと(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する触媒の存在下に、エチレンと酸素から酢酸を合成する方法が開示されている。これによると、パラジウム金属とヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩は、相互作用により、極めて高い活性と選択率を発現し、すぐれた酢酸生成活性と選択率を示すことが記載されている。
この例では、金属パラジウムはエッグシェル型に担持し、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩はその担体への一般的な担持方法からいえばユニフォーム型に担持していると推定できる。この場合でも、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩をエッグシェル型に担持することで利用効率が高められると考えられる。さらに、金属パラジウムとヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩をともにエッグシェル型に担持することで、両者をごく近傍に存在させることができ、相互作用を大きくできる可能性もあり、ひいてはより高性能な触媒を得ることができると考えられる。また、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩をエッグシェル型とすることでユニフォーム型と比較してヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の絶対量を減らせる可能性があり、経済的にも有利である。また、回収、再生の点でもコストが安くなるメリットが考えられる。
しかしながら、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩をエッグシェル型に担持した触媒及び該触媒の製造方法に関しては、これまでに例がない。
特開平11−322646号公報 特開平11−263748号公報 特開平9−118647号公報 特開平7−89896号公報 米国特許5919725号明細書 特開平7−89896号公報
本発明は、各種反応、特に表面反応により化合物を製造する際に使用するヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒において、より高性能な担持型触媒の提供を1つの目的とする。
さらに、本発明は、該触媒の製造方法及び該触媒を用いた化合物の製造方法を提供することを目的の1つとする。
本発明者らは、各種反応、特に表面型反応により化合物を製造する際に使用するヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒において、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩と反応基質を効率的に接触させ、結果としてより高性能な触媒を探求すべく、鋭意研究を行った。その結果、触媒の活性成分であるヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下している分布状態を有する担持型触媒が有効であることを見出し、特にいわゆるエッグシェル型に担持することでより高性能な触媒を得ることができることを見出し、更に研究を進めて、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明(I)は、担体にヘテロポリ酸及びヘテロポリ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した担持型触媒であって、前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下していることを特徴とする担持型触媒である。
また、本発明(II)は、本発明(I)の担持型触媒の製造方法である。
さらに、本発明(III)は、本発明(I)の担持型触媒を用いる化合物の製造方法である。
さらに、本発明は、例えば、以下の事項からなる。
〔1〕 担体にヘテロポリ酸及びヘテロポリ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した担持型触媒であって、前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下していることを特徴とする担持型触媒。
〔2〕 前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が実質的に担体表面から30%の深さまでの表層部域に存在することを特徴とする、〔1〕に記載の触媒。
〔3〕 前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩のうちの90質量%以上が担体表面から30%の深さまでの表層部域に存在することを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の触媒。
〔4〕 ヘテロポリ酸が、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸及びホウモリブドタングステン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の触媒。
〔5〕 ヘテロポリ酸塩が、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸及びホウモリブドタングステン酸からなる群から選ばれるヘテロポリ酸の水素原子の一部又は全部を周期律表(国際純正及び応用化学連合無機化学命名法改訂版(1989年))における1〜13族に属する金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で置換した塩又は前記ヘテロポリ酸のオニウム塩のいずれかであることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の触媒。
〔6〕 担体が、シリカ、珪そう土、モンモリナイト、チタニア、活性炭、シリカアルミナ、アルミナ、マグネシア、ニオビア及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の触媒。
〔7〕 担体の粒子径が0.5〜50mmであることを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の触媒。
〔8〕 担体の比表面積が10〜500m2 /gであり、かつ、細孔容積が0.1〜3.0cc/gであることを特徴とする、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の触媒。
〔9〕 以下の第一工程〜第三工程を含むことを特徴とする、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
第一工程
担体の吸液量の10〜40容量%の溶媒にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を溶解し、動粘度が2.0〜15.0cSt(40℃)のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を得る工程
第二工程
第一工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を担体に含浸させて、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を得る工程
第三工程
第二工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を乾燥して、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒を得る工程
〔10〕 溶媒が極性溶媒であることを特徴とする、〔9〕に記載の方法。
〔11〕 極性溶媒が、低級脂肪族カルボン酸、低級脂肪族アルコール、又は両者の混合物のいずれか1種であることを特徴とする、〔10〕に記載の方法。
〔12〕 〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載した担持型触媒の存在下に反応を行うことを特徴とする化合物の製造方法。
〔13〕 反応が、異性化反応、酸化反応、水和反応、脱水素反応、エーテル生成反応、エステル化反応、転換反応、アシル化反応、リッター反応及びアルキル化反応からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、〔12〕に記載の方法。
〔14〕 低級脂肪族オレフィンと酸素とを反応させることにより低級脂肪族カルボン酸を製造することを特徴とする、〔12〕又は〔13〕に記載の方法。
〔15〕 水の存在下に反応を行うことを特徴とする、〔14〕に記載の方法。
〔16〕 低級オレフィンと低級脂肪族カルボン酸とを反応させることにより低級脂肪族カルボン酸エステルを製造することを特徴とする、〔12〕又は〔13〕に記載の方法。
〔17〕 水の存在下に反応を行うことを特徴とする、〔16〕に記載の方法。
〔18〕 〔14〕又は〔15〕に記載した方法により製造されたことを特徴とする低級脂肪族カルボン酸。
〔19〕 〔16〕又は〔17〕に記載した方法により製造されたことを特徴とする低級脂肪族カルボン酸エステル。
以上に説明したように、本発明によればヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が担体の表層部域に存在するいわゆるエッグシェル型に担持された触媒が得られ、これによりヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の利用効率が上がり、活性の高い担持型触媒が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態ついて説明する。
本発明(I)は、担体にヘテロポリ酸及びヘテロポリ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した担持型触媒であって、前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下していることを特徴とする担持型触媒である。
ここで、「担体の表面から中心に向かって」における「担体の中心」とは、例えば、球状の担体の場合は最大面積を与えるように切断された断面である円の中心を指す。また、不定型な担体の場合はその重心位置を便宜的に「担体の中心」と見ることができる。それらの具体例については後述する。
本発明(I)の担持型触媒のより好ましい例は、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が実質的に担体表面から30%の深さまでの表層部域に存在することを特徴とする担持型触媒である。
ここで、「担体表面から30%の深さまでの表層部域」とは、用いる担体の形状により異なるが、例えば、以下の定義に従う。
(1)球状担体の場合
最大面積を与えるように切断された断面(図1)に対して、担体表面から中点に向かって30%までの距離にある部域。
(2)円柱状担体の場合
線ab(図2)を切断することにより得られた断面(図3)に対して、担体表面から担体内部に向かって30%までの距離にある部域。
(3)角柱状担体の場合
線cd(図4)を切断することにより得られた断面(図5)に対して、担体表面から担体内部に向かって30%までの距離にある部域。
(4)繭状担体の場合
最大面積を与えるように切断された断面(図6)に対して、担体表面から担体内部に向かって30%までの距離にある部域。
(5)パイプ状担体の場合
線ef(図7)を切断することにより得られた断面(図8、図9)に対して、担体表面から担体内部に向かって30%までの距離にある部域。
いずれの形状にも当てはまらない担体では、これらの担体と同様に表面からの距離の30%の範囲内にある部分を指すものとする。
本発明(I)の担持型触媒においては、担体の表面により近い部分により多くのヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が存在することが、作用上の観点から好ましい。従って、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の存在する部域は、表面により近い方が良く、好ましくは表面から25%の部域、より好ましくは20%の部域までに存在するほうがよい。
本発明(I)の担持型触媒において、「実質的に表層部域に存在する」とは、該担持型触媒におけるヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の分布状態が、例えば、後述する分析方法等で調べた場合に、規定された表層部域以外ではほぼ検出されない状態を指す。
しかし、必ずしも全てのヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が表層部域に存在する必要はなく、ある程度の分布の傾きがあれば本発明(I)の担持型触媒としての目的を達成することができる。分布の傾きとしては、具体的には、担体表面から中心に対する半径の30%の深さまでの表層部域内に、該触媒中に含まれる全ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩のうちの90質量%以上、好ましくは95質量%以上、もっとも好ましくは98質量%以上が存在する状態であるのが望ましい。
本発明(I)の担持型触媒において、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持分布を得る方法は、特に限定されるものではなく、公知のいかなる方法でもよい。例えば、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩のより簡易的な存在に関しては、色の付いているヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩では、目視による測定も可能である。また、リンタングステン酸、ケイタングステン酸は白色であるが、約400℃以上で熱処理することにより着色するため、これらの方法で着色させ、目視による測定を行ってもよい。
分布を定量的に測定する方法としては、例えば、電子プローブ・マイクロアナライザー(electron probe microanalyzer、以下「EPMA」という)により測定する方法がよい。ここでいうEPMAとは、ミクロンオーダーに絞った電子プローブを固体物質に照射して、そこの微小部分から発生する特性X線、反射電子、二次電子等を利用して元素分析や形態観察などをする装置である。EPMAについての詳細は、「EPMA 電子プローブ・マイクロアナライザー」(木ノ内嗣郎著、株式会社技術書院発行、2002年3月30日、第1版第1刷)に記載されている。
本発明(I)の担持型触媒のEPMAによるヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持分布を得る手法として、以下に示す方法を用いた。なお、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の分布は、担持したヘテロポリ酸の種類によりタングステン元素又はモリブデン元素の分布を測定し、対応するヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の分布とみなした。
面分析:ピークサーチにより面分析の測定条件を決定した。測定は、ピークサーチにより得られたピークトップの結晶位置と、バックグラウンドを考慮するためにピークトップの結晶位置より前後にずらした結晶位置の3パターンの面分析により行った。この測定値に基づきバックグラウンドを考慮した演算を行い、面分析データとした。演算は下式により行った。
面分析データ=S−(BG1+BG2)/2
ここで、Sはピークサーチにより得られたピークトップの結晶位置で測定した各測定点の強度、BG1(バックグラウンド1)、BG2(バックグラウンド2)はピークトップの結晶位置より前後にずらした各測定点の強度である。
ライン分析:面分析データの後処理として任意の担体直径の強度データを取り出し、X線強度プロファイルを得た。線分析から得られたX線強度プロファイルは、元素の濃度に近似(対応)していることから、X線強度プロファイルを積分することにより担持分布を求めた。
担体の形状によるヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持分布を得る手法として、以下に示す方法を用いた。
球状担体の場合:
(1)担体形状を真球と仮定し、最大面積を与える断面で切断した(図1)。
(2)EPMAにより断面の面分析を行い、面分析データから長径線A上の強度プロファイルデータを得た。
(3)強度プロファイルデータより担体表面から中点(B)までの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(4)(3)で求めた全積分強度比より担持分布を算出した。
円柱状担体の場合:
(1)担体形状を真の円柱と仮定して、円Cの最大直径を与える線abで担体を切断した(図2)。
(2)EPMAによりその断面の面分析を行い、面分析データから長径線D上、短径線E上の強度プロファイルデータを得た(図3)。この場合、短径線Eは長径線Dの中点Fを直交する直線とする。
(3)強度プロファイルデータより長径線D上、長径線E上について、担体表面から中点Fまでの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(4)(3)で求めた全積分強度よりそれぞれの担持分布を算出した。
角柱状担体の場合:
(1)面Gが正方形である場合、辺Hの中点Jから辺Iと平行に線cdで担体を切断した(図4)。また、面Gが長方形である場合、長辺Hの中点Jから短辺Iと平行に線cdで担体を切断した(図4)。
(2)EPMAによりその断面の面分析を行い、面分析データから長径線L上、短径線M上の強度プロファイルデータを得た(図5)。この場合、短径線Mは長径線Lの中点Nを直交する直線とする。
(3)強度プロファイルデータより長径線L上、短径線M上について、担体表面から中点Nまでの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(4)(3)で求めた全積分強度よりそれぞれの担持分布を算出した。
繭状担体の場合:
(1)最大面積を与える断面で担体を切断した(図6)。
(2)EPMAによりその断面の面分析を行い、面分析データから長径線O上、短径線P上の強度プロファイルデータを得た。長径線Oの中点をQ、短径線Pの中点をRとする。
(3)強度プロファイルデータより長径線O上について、担体表面から長径線Oの中点Qまでの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。長径線Oと同様に、短径線P上について、担体表面から中点Rまでの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(4)(3)で求めた全積分強度よりそれぞれの担持分布を算出した。
パイプ状担体の場合:
(1)円柱状担体であると仮定して、円柱状担体である場合と同様に円Sの最大直径を与える線efで担体を切断する(図7)。
(2)EPMAによりその断面の面分析を行い、面分析データから長径線T上、短径線U上の強度プロファイルデータを得た(図8、図9)。この場合、短径線Uは長径線Tの中点Vを直交する直線とする。
(3)強度プロファイルデータより長径線T上、短径線U上について、担体表面から中点Vまでの全積分強度、担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(4)(3)で求めた全積分強度よりそれぞれの担持分布を算出した。
担持分布を算出する例として、球状担体については、下式により担持分布を求めた。
1 =(4/3)π(A/2)3 (1)
2 =(4/3)π(0.7(A/2))3 (2)
3 =V1 −V2 (3)
Wc=(I23 /(I12 +I23 ))×100 (4)
ここで、(A/2)は担体の半径(mm)、πは円周率、V1 は担体の全体積(mm3
)、V2 は担体中心から半径70%の担体の体積(mm3 )、V3 は担体表面から半径30%の担体の体積(mm3 )、Wcは担体表面から半径30%に担持されたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の割合(%)、I1 は線分析により得られた担体中心から半径70%までのX線プロファイルの積分強度、I2 は線分析により得られた担体表面から半径30%までのX線プロファイルの積分強度である。
本発明(I)の担持型触媒の製造に用いることができるヘテロポリ酸は、中心元素および酸素が結合した周辺元素からなるものである。中心元素は、通常珪素または燐であるが、周期律表(国際純正及び応用化学連合無機化学命名法改訂版(1989年)の1〜17族に属する多種の元素から選ばれる任意の1つからなることができる。具体的には、例えば、第二銅イオン;二価のベリリウム、亜鉛、コバルトまたはニッケルイオン;三価のホウ素、アルミニウム、ガリウム、鉄、セリウム、ヒ素、アンチモン、燐、ビスマス、クロムまたはロジウムイオン;四価の珪素、ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、硫黄、テルル、マンガン、ニッケル、白金、トリウム、ハフニウム、セリウムイオンおよび他の希土類イオン;五価の燐、ヒ素、バナジウム、アンチモンイオン;六価のテルルイオン;及び七価のヨウ素イオン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、周辺元素の具体例としては、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このようなヘテロポリ酸は、また、「ポリオキソアニオン」、「ポリオキソ金属塩」又は「酸化金属クラスター」として知られている。よく知られているアニオン類のいくつかの構造には、この分野の研究者本人にちなんで名前が付けられており、例えば、ケギン、ウエルス−ドーソン及びアンダーソン−エバンス−ペアロフ構造として知られている。詳しくは、「ポリ酸の化学」(社団法人日本化学会編、季刊化学総説No.20、1993年)に記載がある。ヘテロポリ酸は、通常高分子量、例えば、700〜8500の範囲の分子量を有し、その単量体だけでなく、二量体錯体をも含む。
本発明(I)の担持型触媒に用いられるヘテロポリ酸の合成方法としては、特に制限はなく、どのような方法を用いてもよい。例えば、モリブデン酸またはタングステン酸の塩とヘテロ原子の単純酸素酸またはその塩を含む酸性水溶液(pH1〜2程度)を熱することによって得ることができる。生成したヘテロポリ酸水溶液からヘテロポリ酸化合物を単離するには、金属塩として晶析分離する方法などがある。それらの具体例は、「新実験化学講座8 無機化合物の合成(III)」(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行、昭和59年8月20日、第3版)の1413頁に記載されているが、これに限定されるものではない。また、合成したヘテロポリ酸のケギン構造の確認は、化学分析のほか、X線回折、UV、IRの測定により行うことができる。
ヘテロポリ酸の具体例としては、
ケイタングステン酸 H4 [SiW1240]・xH2
リンタングステン酸 H3 [PW1240]・xH2
リンモリブデン酸 H3 [PMo1240]・xH2
ケイモリブデン酸 H4 [SiMo1240]・xH2
ケイバナドタングステン酸 H4+n [SiVn12-n40]・xH2
リンバナドタングステン酸 H3+n [PVn12-n40]・xH2
リンバナドモリブデン酸 H3+n [PVn Mo12-n40]・xH2
ケイバナドモリブデン酸 H4+n [SiVn Mo12-n40]・xH2
ケイモリブドタングステン酸 H4 [SiMon12-n40]・xH2
リンモリブドタングステン酸 H3 [PMon12-n40]・xH2
(上式中、nは1〜11の整数であり、xは1以上の整数である)
などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
好ましくはケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸であり、より好ましくはケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸である。
本発明の触媒の製造に用いることのできるヘテロポリ酸塩は、上記したヘテロポリ酸の水素原子の一部または全部を周期律表(国際純正及び応用化学連合無機化学命名法改訂版(1989年))における1〜13族に属する金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で置換した塩又は前記ヘテロポリ酸のオニウム塩であってよい。具体的には、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、バリウム、銅、金、パラジウムおよびガリウムの金属塩やオニウム塩を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。好ましくはリチウム塩、ナトリウム塩、ガリウム塩、銅塩、金塩、パラジウム塩であり、より好ましくはリチウム塩、ナトリウム塩、銅塩、パラジウム塩である。
ヘテロポリ酸の塩を形成する元素の原料としては、硝酸リチウム、酢酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、炭酸リチウム、リン酸リチウム、シュウ酸リチウム、亜硝酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム六水和物、酢酸マグネシウム四水和物、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム第二三水和物、シュウ酸マグネシウム二水和物、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、リン酸水素バリウム、シュウ酸バリウム一水和物、亜硫酸バリウム、塩化バリウム、クエン酸バリウム、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、炭酸銅、二リン酸銅、シュウ酸銅、塩化銅、クエン酸銅、塩化第一金、塩化金酸、酸化第二金、水酸化第二金、硫化第二金、硫化第一金、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、二塩化ガリウム、一塩化ガリウム、クエン酸ガリウム、酢酸ガリウム、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、リン酸ガリウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、クエン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
好ましくは硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸銅、酢酸銅、炭酸銅、クエン酸銅、塩化第一金、塩化金酸、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、クエン酸ガリウム、酢酸ガリウム、硝酸ガリウムであり、より好ましくは硝酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸銅、酢酸銅、炭酸銅、クエン酸銅、硝酸パラジウム、酢酸パラジウムである。
かかるヘテロポリ酸塩の具体例としては、ケイタングステン酸のリチウム塩、ケイタングステン酸のナトリウム塩、ケイタングステン酸の銅塩、ケイタングステン酸の金塩、ケイタングステン酸のパラジウム塩、ケイタングステン酸のガリウム塩、リンタングステン酸のリチウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、リンタングステン酸の銅塩、リンタングステン酸の金塩、リンタングステン酸のパラジウム塩、リンタングステン酸のガリウム塩、リンモリブデン酸のリチウム塩、リンモリブデン酸のナトリウム塩、リンモリブデン酸の銅塩、リンモリブデン酸の金塩、リンモリブデン酸のパラジウム塩、リンモリブデン酸のガリウム塩、ケイモリブデン酸のリチウム塩、ケイモリブデン酸のナトリウム塩、ケイモリブデン酸の銅塩、ケイモリブデン酸の金塩、ケイモリブデン酸のパラジウム塩、ケイモリブデン酸のガリウム塩、ケイバナドタングステン酸のリチウム塩、ケイバナドタングステン酸のナトリウム塩、ケイバナドタングステン酸の銅塩、ケイバナドタングステン酸の金塩、ケイバナドタングステン酸のパラジウム塩、ケイバナドタングステン酸のガリウム塩、リンバナドタングステン酸のリチウム塩、リンバナドタングステン酸のナトリウム塩、リンバナドタングステン酸の銅塩、リンバナドタングステン酸の金塩、リンバナドタングステン酸のパラジウム塩、リンバナドタングステン酸のガリウム塩、リンバナドモリブデン酸のリチウム塩、リンバナドモリブデン酸のナトリウム塩、リンバナドモリブデン酸の銅塩、リンバナドモリブデン酸の金塩、リンバナドモリブデン酸のパラジウム塩、リンバナドモリブデン酸のガリウム塩、ケイバナドモリブデン酸のリチウム塩、ケイバナドモリブデン酸のナトリウム塩、ケイバナドモリブデン酸の銅塩、ケイバナドモリブデン酸の金塩、ケイバナドモリブデン酸のパラジウム塩、ケイバナドモリブデン酸のガリウム塩等を挙げることができる。
好ましくは、ケイタングステン酸のリチウム塩、ケイタングステン酸のナトリウム塩、ケイタングステン酸の銅塩、ケイタングステン酸の金塩、ケイタングステン酸のパラジウム塩、ケイタングステン酸のガリウム塩、リンタングステン酸のリチウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、リンタングステン酸の銅塩、リンタングステン酸の金塩、リンタングステン酸のパラジウム塩、リンタングステン酸のガリウム塩、リンモリブデン酸のリチウム塩、リンモリブデン酸のナトリウム塩、リンモリブデン酸の銅塩、リンモリブデン酸の金塩、リンモリブデン酸のパラジウム塩、リンモリブデン酸のガリウム塩、ケイモリブデン酸のリチウム塩、ケイモリブデン酸のナトリウム塩、ケイモリブデン酸の銅塩、ケイモリブデン酸の金塩、ケイモリブデン酸のパラジウム塩、ケイモリブデン酸のガリウム塩、ケイバナドタングステン酸のリチウム塩、ケイバナドタングステン酸のナトリウム塩、ケイバナドタングステン酸の銅塩、ケイバナドタングステン酸の金塩、ケイバナドタングステン酸のパラジウム塩、ケイバナドタングステン酸のガリウム塩、リンバナドタングステン酸のリチウム塩、リンバナドタングステン酸のナトリウム塩、リンバナドタングステン酸の銅塩、リンバナドタングステン酸の金塩、リンバナドタングステン酸のパラジウム塩、リンバナドタングステン酸のガリウム塩である。
さらに好ましくは、ケイタングステン酸のリチウム塩、ケイタングステン酸のナトリウム塩、ケイタングステン酸の銅塩、ケイタングステン酸の金塩、ケイタングステン酸のパラジウム塩、ケイタングステン酸のガリウム塩、リンタングステン酸のリチウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、リンタングステン酸の銅塩、リンタングステン酸の金塩、リンタングステン酸のパラジウム塩、リンタングステン酸のガリウム塩、ケイバナドタングステン酸のリチウム塩、ケイバナドタングステン酸のナトリウム塩、ケイバナドタングステン酸の銅塩、ケイバナドタングステン酸の金塩、ケイバナドタングステン酸のパラジウム塩、ケイバナドタングステン酸のガリウム塩、リンバナドタングステン酸のリチウム塩、リンバナドタングステン酸のナトリウム塩、リンバナドタングステン酸の銅塩、リンバナドタングステン酸の金塩、リンバナドタングステン酸のパラジウム塩、リンバナドタングステン酸のガリウム塩である。
ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持量としては、担体の全重量に対して5〜100質量%の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは15〜70質量%の範囲である。ヘテロポリ酸塩の含有量が5質量%より少ないと、触媒中の活性成分の含有量が少なすぎて、触媒単位質量あたりの活性が低くなる恐れがある。また、ヘテロポリ酸塩の含有量が100質量%を超えると、有効細孔容積が減少し、担持量を増やした効果が現れにくくなると同時に、コーキングも発生しやすくなり、触媒寿命が著しく短くなる恐れがある。また、担体表面のヘテロポリ酸が剥離する可能性がある。
本触媒に使用される担体は、多孔質物質であればいかなるものであってもよく、特に制限されるものではない。例えば、シリカ、珪そう土、モンモリナイト、チタニア、活性炭、シリカアルミナ、アルミナ、マグネシア、ニオビア、ジルコニアなどである。好ましくは、シリカ、珪そう土、シリカアルミナ、アルミナである。さらに、粒径においても特に制限はない。好ましい粒径は0.5〜50mmであり、固定床で用いる場合には2〜10mmの範囲であり、より好ましくは3〜7mmの範囲である。
担体の比表面積には特に制限はない。好ましくは10〜500m2 /gの範囲であればよく、より好ましくは50〜350m2 /gの範囲であり、最も好ましくは100〜300m2 /gの範囲である。
また、担体の細孔容積には特に制限はない。好ましくは0.1〜3.0cc/gの範囲であればよく、より好ましくは0.5〜3.0cc/gの範囲である。
次に、本発明(II)について説明する。本発明(II)は、本発明(I)の担持型触媒の製造方法である。
本発明(II)の方法において、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液の動粘度は40℃において2.0〜15.0cStの範囲であればよく、好ましくは3.0〜12.0cStの範囲であり、より好ましくは4.5〜10.0cStの範囲である。動粘度が2.0cStより小さいと、担体への吸収が速いため、担体の表層域に均一にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が担持できない。動粘度が15.0cStを超えると、担体への吸収が非常に遅く、完全にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を完全に含浸できない恐れがある。40℃における動粘度が2.0〜15.0cStの範囲であれば、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液の温度を変えてもよい。
動粘度を測定する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいかなる方法でもよい。好ましくは、キャノン−フェンスケ型粘度計(Cannon−Fenske viscometer)により測定する方法がよい。キャノン−フェンスケ型粘度計による動粘度の測定方法は、「JISハンドブック 化学分析」(日本規格協会編、財団法人日本規格協会発行、1992年4月20日、第1版第1刷、443頁)に記載されている。
本発明(II)の担持型触媒の製造方法は、担体の吸液量の10〜40容量%の溶媒にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を溶解し、動粘度が2.0〜15.0cSt(40℃)のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を得る第一工程、第一工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を担体に含浸させて、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の含浸担体を得る第二工程、及び第二工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を乾燥して、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒を得る第三工程を含む。
第一工程では、溶媒にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を溶解し、動粘度が2.0〜15.0cSt(40℃)のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を得る。溶媒は、担体の吸液量の10〜40容量%の量で使用する。溶媒の量が担体の吸液量10容量%より少ないと、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を完全に溶解させることができなくなる可能性がある。また、40容量%を超えると、担体内部にまでヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液が吸収されてしまう可能性がある。
第二工程では、第一工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を担体に含浸させて、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の含浸担体を得る。この場合、担体は他の金属成分等を担持した触媒前駆体であってもよい。具体的には、担体の表面上にパラジウム等の金属を担持したものに、その金属に重ねるようにヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を担持してもよい。
第三工程では、第二工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を乾燥して、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒を得る。この含浸処理に続いて乾燥を始めるまでの時間は、担体の大きさ、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の動粘度などにより大きく異なる。しかし、含浸後にそのまま放置するとヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液が担体内部に吸収される可能性があるため、直ちに乾燥するが好ましい。
乾燥は、例えば、送風式乾燥機を用いて熱風流中で行うか、又は乾燥室中で不活性ガス流下で行う。不活性ガス流としては、例えば、窒素流及び二酸化炭素流を挙げることができる。場合によっては、減圧下に、好ましくは0.01〜0.08MPaで乾燥する。
乾燥後の残留溶媒含有量を、10質量%以下とするのが有利である。触媒中に溶媒が残留していると、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が内部にまで吸収される可能性がある。乾燥後は、吸湿しないようにデシケーター内で周囲温度まで冷却するのがよい。
必要であれば、第三工程で乾燥した担持型触媒を、還元性ガスを含む気体による処理を行ってもよい。還元を実施する場合には、該還元をガス状還元剤を用いて実施することができる。還元温度は、一般に40〜350℃、好ましくは70〜200℃である。一般に、0.01〜80容量%、好ましくは0.5〜50容量%の還元剤を含有する不活性ガスで希釈された還元剤を用いて還元を実施するのが好ましい。使用される不活性ガスとしては、例えば、窒素、二酸化炭素又は希ガスなどを挙げることができる。好適な還元剤は、例えば、水素、メタノール、ホルムアルデヒド、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレン又は他のオレフィンである。
ただし、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持後の乾燥や還元処理の温度が約350℃を超えると、ヘテロポリ酸の骨格の破壊を招く恐れがある。
このようにして得られる担持型触媒におけるヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担持量は、便宜的には得られた触媒の乾燥後の重量から使用した担体の重量を差し引くことにより計算できる。より正確には誘導型プラズマ発光分光分析法(ICP)、蛍光X線分析法、原子吸光分析法等の化学分析により測定することができる。
第一工程で用いることのできる溶媒は、所望のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を均一に溶解又は懸濁できるものであれば何であってもよく、特に限定されるものではない。含浸処理の後に、乾燥によって容易に取り除くことができる有機溶媒等が用いられる。好ましくは、極性溶媒である。極性溶媒としては、低級脂肪族カルボン酸及び低級脂肪族アルコールを挙げることができ、より具体的には酢酸、メタノール及びエタノールを挙げることができる。これらには水が含まれていてもよい。また、ヘテロポリ酸の水和物由来の水分が含まれていてもよい。
本発明(II)の担持型触媒の製造方法は、上記の第一工程〜第三工程が含まれていればよく、各工程の前後にその他の工程が含まれていても構わない。
次に、本発明(III)について説明する。本発明(III)は、本発明(I)の担持型触媒を用いる化合物の製造方法である。
本発明(I)の担持型触媒は、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を触媒成分として含む反応系に使用できる。反応系としては、表面反応、拡散律速の反応等を挙げることができ、具体的には、異性化反応(特開2002−105001号公報)、酸化反応(特開平7−89896号公報、特開2000−308830号公報)、水和反応(特開平11−322646号公報)、脱水素反応(特開2001−232207号公報)、エーテル生成反応(特開平7−76540号公報)、エステル化反応(特開平11−263748号公報、同9−118647号公報)、転換反応(特開2001−29789号公報)、アシル化反応(特開平10−237020号公報)、リッター反応(特開平10−175933号公報)及び/又はアルキル化反応(特表平10−508300号公報)などが挙げられる。好ましくは、酸化反応又はエステル化反応である。
酸化反応の例としては、(a)金属パラジウムと(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する触媒の存在下に、エチレンと酸素から酢酸を合成する反応(特開平7−89896号公報)が挙げられる。
また、エステル化反応の例としては、珪酸質担体に担持されたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩触媒の存在下に、低級脂肪族カルボン酸とオレフィン類とから対応するエステルを合成する反応(特開平11−269126号公報、特開平11−263748号公報)が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を参照して本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明の概要を示すものであって、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
試薬
試薬として以下のものを用いた。
酢酸パラジウム:和光純薬工業株式会社製
テトラクロロパラジウム酸ナトリウム水溶液:エヌ・イー・ケムキャット株式会社製(Pd=20.48質量%)
塩化金酸水溶液:エヌ・イー・ケムキャット株式会社製(Au=23.89質量%)を蒸留水で希釈して、Au=10質量%の水溶液としたもの
塩化亜鉛水溶液:和光純薬工業株式会社製塩化亜鉛を蒸留水で溶解し、Zn=5質量%の水溶液としたもの
メタケイ酸ナトリウム九水和物:和光純薬工業株式会社製
ヒドラジン一水和物水溶液:和光純薬工業株式会社製ヒドラジン一水和物を蒸留水で希釈して、ヒドラジン=0.53g/mlの水溶液としたもの
亜テルル酸ナトリウム:和光純薬工業株式会社製
テルル酸:関東化学株式会社製
ケイタングステン酸26水和物:日本無機化学工業株式会社製
担体
担体として合成シリカを用いた。
実施例1(触媒Aの製造と評価)
テトラクロロパラジウム酸ナトリウム水溶液4.883g、塩化金酸水溶液4.0g及び塩化亜鉛水溶液1.08gを蒸留水で38ml(担体吸液量の100容量%)に希釈し、担体(球状、直径約5mmφ)40.4gを加え、溶液を完全に含浸させた後、このものをメタ珪酸ナトリウム9水和物8.119gを含む水溶液80ml中に加え、20時間静置した。しかる後、ヒドラジン一水和物水溶液11mlを添加し、水洗した後、110℃で4時間乾燥した(担持体A)。次に、亜テルル酸ナトリウム0.208gを含有する水溶液38ml(担体の吸液量の100容量%)に、上記の担持体Aを加え、溶液を含浸させた後、1時間風乾し、水洗した後、110℃で4時間乾燥した(担持体B)。その後、ケイタングステン酸26水和物20.704gを酢酸13ml(担体の吸液量の35容量%)に溶解した溶液中に上記の担持体Bを投入し、全液を吸収させた後、直ちに乾燥機中、110℃で4時間乾燥し、触媒A61.82gを得た。
この方法で調製した触媒Aは、EPMAの分析によれば、半径の30%の深さまでにタングステンが95%以上存在した。
得られた触媒A5ml、希釈担体11mlを内径21.4mmのステンレス製反応管に充填し、温度200℃、圧力0.8MPaG(ゲージ圧)で、エチレン10%、酸素6%、水25%および窒素59%の混合ガスを流速45Nl/Hにて導入し、反応を行った。生成したガスを冷却し、凝縮した反応捕集液をガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果、酢酸の空時収率は525g/lH、酢酸選択率は87.9%、二酸化炭素の選択率は5.9%であった。
比較例1(触媒Bの製造と評価)
ケイタングステン酸を担持する際にケイタングステン酸26水和物20.704gを溶解した水溶液38ml(担体の吸液量の100容量%)を使用したこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、触媒B61.81gを得た。
この方法で調製した触媒Bは、EPMAの分析によれば、タングステンは担体全体に均一に担持されていた。
また、実施例1と同じ条件にて反応を行った結果、酢酸の空時収率は489g/lH、酢酸選択率は87.9%、二酸化炭素の選択率は7.7%であった。
実施例2(触媒Cの製造)
酢酸パラジウム0.78g、ケイタングステン酸26水和物10.352gを酢酸6.5ml(担体の吸液量の35容量%)に溶解した溶液中に担体(球状、直径約5mmφ)20.2gを加え、溶液を含浸させた後、乾燥機中、110℃で4時間乾燥した(担持体C)。得られた担持体Cを内径40mmのガラス反応管に充填し、温度200℃、常圧で、窒素50%および水素50%の割合にした混合ガスを流速18Nl/時にて導入し、3時間還元を行い、触媒C29.75gを得た。この方法で調製した触媒Cは、EPMAの分析によれば、半径の30%の深さまでにタングステンが95%以上存在した。
凝縮液の分析方法
凝縮液に蒸留水10mlを加えた分析液を用い、内部標準法により分析を行った。
分析液10mlに対し、内部標準として1,4−ジオキサンを100μl添加した。そのうちの0.3μlを注入し、以下の条件で分析を行った。
1.酢酸
ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製GC−9A
カラム:パックドカラム 5% Thermon−3000 Shincarbon
A 60〜80メッシュ(長さ3m)
キャリアーガス:窒素(カラム流量2.5ml/分)
温度条件:検出器および気化室温度を180℃とし、カラム温度を、分析開始から10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温した。
検出器:FID(H2 圧60KPa、空気圧100KPa)
2.微量副生物
ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製GC−14B
カラム:キャピラリーカラム(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.5μm)
キャリアーガス:窒素(スプリット比20、カラム流量1ml/分)
温度条件:検出器および気化室温度を200℃とし、カラム温度を、分析開始から7分間は37℃に保持した後10℃/分の昇温速度で50℃まで昇温し、50℃で4分間保持し、その後20℃/分の昇温速度で150℃まで昇温し、150℃で7分間保持し、さらにその後20℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で15分間保持した。
検出器:FID(H2 圧60KPa、空気圧100KPa)
未凝縮ガス分析法
絶対検量線法を用い、未凝縮ガスを50ml採取し、これをガスクロマトグラフィー装置に付属した1mlのガスサンプラーに全量流し、以下の条件で分析を行った。
1.酸素、窒素、一酸化炭素
ガスクロマトグラフィー装置:島津ガスクロマトグラフ用ガスサンプラー(MGS−4、計量管1ml)付ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−12A)
カラム:パックドカラム MS−5A IS 60〜80メッシュ(長さ3m)
キャリアーガス:ヘリウム(流量2.5ml/分)
温度条件:検出器および気化室温度を110℃とし、カラム温度を70℃で一定とした。
検出器:TCD(He圧70KPa、Current 100mA、温度110℃)
2.エタン、二酸化炭素、エチレン
ガスクロマトグラフィー装置:島津ガスクロマトグラフ用ガスサンプラー(MGS−4、計量管1ml)付ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−9A)
カラム:パックドカラム Unibeads IS 60〜80メッシュ(長さ3m)
キャリアーガス:ヘリウム(流量40ml/分)
温度条件:検出器および気化室温度を100℃とし、カラム温度を60℃で一定とした。
検出器:TCD(He圧70KPa、Current 100mA、温度100℃)
担持分布の測定方法
前処理
樹脂包埋:丸本ストルアス株式会社製の冷間埋込樹脂No.105にNo.105用硬化剤を混合して使用。
切断:アイソメット(湿式ダイヤモンドカッター)により、切断。冷媒にはヘキサン等のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が溶解しない溶媒を選択。
蒸着:蒸着物質として白金を使用。
装置:日本電子JXA−8900
EPMA分析
X線検出器:波長分散型検出器(WDS)
加速電圧:15kV
照射電流:1×10-7
ピークサーチ条件(タングステン)
分光結晶:PETH
分光結晶範囲:210〜240mm
分光結晶ステップ:30μm
積算時間:200msec
面分析測定条件(タングステン)
分光結晶:PETH
分光結晶位置:223.556mm(シグナル)、219.6mm(バックグラウンド1)、225.6mm(バックグラウンド2)
測定点間隔:X:20μm、Y:20μm(測定領域は触媒が収まるように適宜設定)
測定時間:30msec×1
スキャン:ステージスキャン
データ処理
(1)バックグラウンドを考慮したデータ演算を行い、面分析データとした(バックグラウンド補正)。
(2)(1)で演算した面分析データに対して、20°ずつ回転させたライン(9本)を設定し、その強度プロファイルデータを得た(ライン分析)。
(3)担体表面から担体中心までの全積分強度を計算した。
(4)担体表面から30%までの全積分強度を計算した。
(5)(3)、(4)で求めた全積分強度比より担持分布を算出した。
本発明の担持型触媒は、特に、低級オレフィンと酸素との一段接触反応による低級脂肪族カルボン酸の製造のための触媒、又は低級オレフィンと低級脂肪族カルボン酸との反応による低級脂肪族カルボン酸エステルの製造のための触媒として有用である。
球状担体の断面図であり、Aはこの断面における長径線、Bは長径線の中点である。 円柱状担体の斜視図であり、線abは円(C)の最大直径を与える線である。 図2の円柱状担体を線abで担体を切断したときの断面図であり、Dはこの断面における長径線、Eは短径線、Fは長径線の中点である。 角柱状担体の斜視図であり、線cdは、面(G)が正方形である場合には、辺(H)の中点(J)から辺(I)と平行に担体を切る線であり、面(G)が長方形である場合には、長辺(H)の中点(J)から短辺(I)と平行に担体を切る線である。 図4の角柱状担体を線cdで担体を切断したときの断面図であり、Lはこの断面における長径線、Mは短径線、Nは長径線の中点である。 繭状担体の断面図であり、Oはこの断面における長径線、Pは短径線、Qは長径線の中点、Rは短経線の中点である。 パイプ状担体の斜視図であり、線efは円柱状担体である場合と同様に円(S)の最大直径を与える線である。 図7のパイプ状担体を線efにより切断した断面図である。 図8の断面の拡大図である。Tはこの断面における長径線、Uは短径線、Vは長径線の中点である。

Claims (19)

  1. 担体にヘテロポリ酸及びヘテロポリ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した担持型触媒であって、前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩の担体中の濃度勾配が、担体の表面から中心に向かって専ら低下していることを特徴とする担持型触媒。
  2. 前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が実質的に担体表面から30%の深さまでの表層部域に存在することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
  3. 前記ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩のうちの90質量%以上が担体表面から30%の深さまでの表層部域に存在することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の触媒。
  4. ヘテロポリ酸が、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸及びホウモリブドタングステン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の触媒。
  5. ヘテロポリ酸塩が、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸、リンバナドタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸、リンモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイバナドタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸及びホウモリブドタングステン酸からなる群から選ばれるヘテロポリ酸の水素原子の一部又は全部を周期律表(国際純正及び応用化学連合無機化学命名法改訂版(1989年))における1〜13族に属する金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素で置換した塩又は前記ヘテロポリ酸のオニウム塩のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の触媒。
  6. 担体が、シリカ、珪そう土、モンモリナイト、チタニア、活性炭、シリカアルミナ、アルミナ、マグネシア、ニオビア及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒。
  7. 担体の粒子径が0.5〜50mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の触媒。
  8. 担体の比表面積が10〜500m2 /gであり、かつ、細孔容積が0.1〜32.0cc/gであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の触媒。
  9. 以下の第一工程〜第三工程を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
    第一工程
    担体の吸液量の10〜40容量%の溶媒にヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩を溶解し、動粘度が2.0〜15.0cSt(40℃)のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を得る工程
    第二工程
    第一工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩溶液を担体に含浸させて、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を得る工程
    第三工程
    第二工程で得られたヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩含浸担体を乾燥して、ヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩担持型触媒を得る工程
  10. 溶媒が極性溶媒であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 極性溶媒が、低級脂肪族カルボン酸、低級脂肪族アルコール、又は両者の混合物のいずれか1種であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載した担持型触媒の存在下に反応を行うことを特徴とする化合物の製造方法。
  13. 反応が、異性化反応、酸化反応、水和反応、脱水素反応、エーテル生成反応、エステル化反応、転換反応、アシル化反応、リッター反応及びアルキル化反応からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 低級脂肪族オレフィンと酸素とを反応させることにより低級脂肪族カルボン酸を製造することを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 水の存在下に反応を行うことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 低級オレフィンと低級脂肪族カルボン酸とを反応させることにより低級脂肪族カルボン酸エステルを製造することを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
  17. 水の存在下に反応を行うことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項14又は15に記載した方法により製造されたことを特徴とする低級脂肪族カルボン酸。
  19. 請求項16又は17に記載した方法により製造されたことを特徴とする低級脂肪族カルボン酸エステル。
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