JP4488834B2 - 酢酸製造用触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、気相でエチレンと酸素とから酢酸を製造する際に用いるパラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が担体に担持された酢酸製造用触媒の製造方法、該製造方法で得られる酢酸製造用触媒及び該触媒を用いた酢酸の製造方法に関する。
本発明は、特に、パラジウム、ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が担体に担持された触媒の製造方法であって、パラジウムの担持を複数の工程で行うことにより、パラジウムの担持状態を制御することを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法に関する。
エチレンから酢酸を一段で製造する方法については、工業的製造工程上並びに経済的に多くの有利な点を有しているために、多くの提案がなされている。具体的には、例えば、パラジウム−コバルト、パラジウム−鉄などの金属イオン対の酸化還元触媒を用いた液相一段酸化法(フランス特許第1448361号公報)、パラジウム−リン酸又は硫黄含有変性剤からなる触媒を用いる方法(特開昭47−013221号公報、特開昭51−029425号公報)、3群系酸素化合物からなる触媒(特公昭46−006763号公報)を用いた気相一段酸化法などが提案されている。また、パラジウム化合物とヘテロポリ酸を含む触媒を用いた酢酸の製造方法として、特開昭54−57488号公報において、リンバナドモリブデン酸パラジウム塩からなる触媒を用いた気相一段酸化法などが提案されている。
さらに、最近、パラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する触媒を用い、エチレン及び酸素から気相一段で酢酸を製造する方法(特開平7−89896号公報、特開平9−67298号公報)が開示されている。この触媒を用いる方法によれば、比較的高収率で酢酸を得ることができる。エチレンと酸素から酢酸を合成するための、パラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する触媒は、パラジウム金属とヘテロポリ酸との相互作用により、極めて高い活性と選択率を発現し、優れた酢酸生成活性と選択率を示すことが記されている。
さらに、パラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を必須成分とする触媒を用いて、エチレンを直接酸化して酢酸を製造する際に用いる触媒、該触媒の製造方法、該触媒を用いた酢酸の製造方法に関する改良方法が、特開平11−347412号公報、特開2000−308830号公報、WO00/051725号公報、WO00/061535号公報等に提案されている。
従来提案されたエチレンと酸素から気相一段で酢酸を製造する方法として、パラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する触媒は、工業的規模で実施する上で十分な性能を示す。しかしながら、さらなる触媒活性の向上が達成できるならば、経済性において有利である。
従来開示されているパラジウム及びヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が担体に担持された触媒の製造方法は、基本的には、以下の工程を含むことを特徴としている。
第1工程
担体にパラジウムを担持し、パラジウム担持触媒を製造する工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒にヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を担持し、酢酸製造用触媒を得る工程
上記の方法において、パラジウムの担持工程は、一度で行うのが工程上好ましく、またパラジウム担持触媒を製造する工程に続き、別の工程でヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を担持する工程があることが特徴である。
さらに、第1工程のパラジウム担持触媒を得る工程において、エッグシェル型パラジウム触媒を得ることが有利とされている。エッグシェル型とは、担体中のパラジウムの担持位置が担体の外側にある型を指す。エッグシェル型が有効な理由としては、反応基質が触媒担体の中心にまたは内部領域に拡散しにくく、担体内部または中心領域付近に担持された金属成分が反応に大きく寄与しないためであると推察できる。また、特開平7−89896号公報において、エッグシェル型パラジウム触媒を得るために、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ処理工程を含むことを特徴とするパラジウム担持触媒の製造方法が有利であると記載されている。さらに、特開2000−308830号公報では、エッグシェル型パラジウム触媒を得るために、水酸化バリウム等のバリウム塩で処理を行う工程を含むことを特徴とするパラジウム担持触媒の製造方法が有利であると記載されている。
すなわち、従来、開示されている酢酸製造用触媒の製造方法は、担体にパラジウムを担持してパラジウム担持触媒を得た後に、次いでヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を担持することを特徴としている。
フランス特許第1448361号公報 特開昭47−013221号公報 特開昭51−029425号公報 特公昭46−006763号公報 特開昭54−57488号公報 特開平7−89896号公報 特開平9−67298号公報 特開平11−347412号公報 特開2000−308830号公報 WO00/051725号公報 WO00/061535号公報 特開2000−308830号公報
本発明は、エチレンと酸素とから酢酸を製造する方法に用いるパラジウムとヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が担体に担持された酢酸製造用触媒であって、より高活性に酢酸を得ることができ、さらに経時変化に伴う性能の低下が低い酢酸製造用触媒を製造することのできる方法を提供することを目的とする。
パラジウムとヘテロポリ酸からなる触媒の存在下にエチレンと酸素から酢酸を得る反応において、パラジウムとヘテロポリ酸は、それぞれ単独で働いているとは考えにくく、両者の相互作用により高い選択性、生産性が発現しているものと考えられる。
従来のエチレンと酸素から酢酸を得るためのパラジウム及びヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が担体に担持された酢酸製造用触媒の製造方法としては、担体に、パラジウム及びヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を、それぞれ別々のタイミングで担持される方法が開示されている。より具体的には、担体にパラジウムを担持する工程、さらに得られたパラジウム担持触媒にヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を担持する工程からなるものである。この場合、ミクロな状態において、両者は互いに完全に均一に密接しておらず、相互作用していない可能性がある。特に、開示されている酢酸製造用触媒の製造工程において、パラジウム担持触媒の製造方法としては、アルカリ処理液に浸漬し、その後還元処理することにより得る方法を用いており、担体中のパラジウムの担持位置はエッグシェル型のものである。一方で、ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩は担体全体に均一に担持されている。そのため、担体の中心部では、パラジウムは存在せず、ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩のみが存在する領域が存在する。すなわち、中心部に担持されたヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩は反応に寄与していない可能性がある。
本発明者らは、さらなる触媒性能の向上を目指すにあたり、従来開示されている触媒製造方法により製造される酢酸製造用触媒中のパラジウムとヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩の位置について着目した。
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、驚くべきことに、エチレンと酸素とから酢酸を製造する方法に用いる、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、必須成分として、含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法を用いることによって、より高い生産性を与え、特に触媒性能の経時変化が抑制される酢酸製造用触媒を得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明(I)は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
さらに、本発明(II)は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
次いで、本発明(III)は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
そして、本発明(IV)は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
本発明(V)は、本発明(I)〜(IV)の酢酸製造用触媒の製造方法によって得られた酢酸製造用触媒である。
さらに、本発明(VI)は、本発明(V)の酢酸製造用触媒を用いた酢酸の製造方法である。
よって、本発明は、例えば、以下の事項からなる。
〔1〕 エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
〔2〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔1〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔3〕 エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
〔4〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔3〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔5〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔3〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔6〕 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする上記〔3〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔7〕 エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
〔8〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔9〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔10〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔11〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔12〕 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔13〕 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする上記〔7〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔14〕 エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
〔15〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔16〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔17〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔18〕 以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔19〕 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔20〕 以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする上記〔14〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
〔21〕 第1工程がさらに以下の第1−1工程〜第1−3工程を含むことを特徴とする上記〔2〕、〔5〕、〔6〕、〔11〕、〔13〕、〔18〕又は〔20〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られたパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られたパラジウム担持触媒を還元処理することにより、金属パラジウム担持触媒を得る工程
〔22〕 第1工程がさらに以下の第1−1工程〜第1−3工程を含むことを特徴とする請求項〔4〕、〔9〕又は〔16〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(c)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
〔23〕 第1工程がさらに以下の第1−1工程〜第1−3工程を含むことを特徴とする請求項〔10〕、〔12〕、〔17〕又は〔19〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(d)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
〔24〕 第1工程が、さらに以下の第1−1工程〜第1−3工程を含むことを特徴とする請求項〔8〕又は〔15〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
〔25〕 (b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩が、以下のヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれることを特徴とする上記〔1〕〜〔24〕のいずれかに記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
1−12−リンタングステン酸:H3 [PW1240]・nH2
1−12−ケイタングステン酸:H4 [SiW1240]・nH2
(式中、nは0〜40の整数を表す)
〔26〕 上記〔1〕〜〔25〕のいずれかに記載の酢酸製造用触媒の製造方法により得られた酢酸製造用触媒。
〔27〕 上記〔26〕記載の酢酸製造用触媒の製造方法により得られた酢酸製造用触媒の存在下にエチレンと酸素とを気相で反応させることを特徴とする酢酸の製造方法。
本発明によれば、エチレンと酸素とから酢酸を製造する方法においてより高活性に酢酸を得ることができ、さらに経時変化に伴う性能の低下が低い酢酸製造用触媒を得ることができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明(I)−酢酸製造用触媒の製造方法
まず、本発明(I)の酢酸製造用触媒の製造方法について説明する。
本発明(I)の酢酸製造用触媒の製造方法は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
好ましくは、この製造方法は、以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする。
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム化合物及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
本発明(I)−第1工程
第1工程は、担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程である。
本発明(I)に用いられる担体には制限はない。一般に担体として用いられている多孔質物質であればよい。好ましくはシリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、モンモリロナイト又はチタニア等であり、より好ましくはシリカである。また担体の形状には特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明(I)で用いられる担体の粒子の大きさに特に制限はない。固定床の管状型反応器に用いる際は、担体が球状である場合、その粒子直径は1〜10mmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは2〜8mmである。管状型反応器に触媒を充填して反応を行う場合、粒子直径が1mmより小さいとガスを流通させるときに大きな圧力損失が生じ、有効にガス循環ができなくなる恐れがある。また粒子直径が10mmより大きいと、触媒内部まで反応ガスが拡散できなくなり、有効に触媒反応が進まなくなる恐れがある。担体の細孔構造は、その細孔直径が1〜1000nmにあることが好ましく、2〜800nmの間がより好ましい。
本発明(I)において、担体担持型触媒とは、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸又はそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が担体に保持されている状態の触媒を示す。
本発明(I)における担持される(a)パラジウムとは、いかなる状態のものでもよい。例えば、化合物や元素そのままの状態であっても構わない。すなわち、イオン性であっても0価のいわゆる金属状態であってもよいが、好ましくは金属状態である。
第1工程において、(a)パラジウムの原料化合物は、特に限定されるものではない。具体的には、金属パラジウム、塩化パラジウム等のハロゲン化物、酢酸パラジウム等の有機酸塩、硝酸パラジウム等の硝酸塩、酸化パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル、アンモニウム等の有機化合物を配位子に持つ錯体であってもよい。特に好ましくは、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、硝酸パラジウム等が挙げられる。
エッグシェル型パラジウム担持触媒を得る場合、(a)パラジウムの担体への担持方法には、結果的に、エッグシェル型パラジウム担持触媒が得られれば、特に制限はない。エッグシェル型触媒とは、担体粒子・成形体内における活性成分の分布状態の1つで、活性成分が担体粒子あるいは成形体の外表面にのみ存在する状態のものをいう。具体的には、例えば、水又はアセトンなどの適当な溶媒、塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸又は有機酸、或いはそれらの溶液に該原料化合物を溶解し、表層に直接的に担持する方法や、間接的に担持する方法が挙げられる。直接的担持方法としては、例えば、含浸法やスプレー法を挙げることができる。間接的に担持する方法としては、例えば、アルカリ処理を行った後還元する方法を挙げることができる。
(a)パラジウムの金属状態への転化操作は、(a)パラジウムを担持した触媒を単離した後に行ってもよく、又は担持操作に引き続いて行ってもよい。また、担持した全てのパラジウムを還元せずに、一部のみを還元する方法でも構わない。用いる還元剤としては、ヒドラジンや、水素、エチレンなどがある。
パラジウムの担体への担持状態としては、いわゆる「エッグシェル型」であるのが好ましい。
第1工程において、エッグシェル型パラジウム担持触媒を得るためには、好ましくは、以下の方法を一例として挙げることができる。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られたパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られたパラジウム担持触媒を還元処理することにより、金属パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程で用いるアルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び/又は水酸化バリウム等のアルカリ水溶液であってよい。この工程においては、パラジウム化合物の一部/又は全部を酸化物又は水酸化物に変換することができる。
第1−3工程は、パラジウム化合物を酸化物又は水酸化物に変換した後に、金属パラジウムに還元する工程である。(a)パラジウムの金属状態への転化操作は、(a)パラジウムを担持した触媒を単離した後に行ってもよく、又は担持操作に引き続いて行ってもよい。用いる還元剤としては、ヒドラジンや、水素、エチレンなどがある。
以上のようにして、(a)パラジウム担持触媒を得ることができる。
本発明(I)の第2工程
本発明(I)の第2工程は、第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程酢酸製造用触媒を得る工程である。すなわち、この工程では、パラジウム担持触媒に、さらにパラジウム成分が担持される。
本発明(I)の第2工程において用いられる(a)パラジウムは、特に限定されるものではない。具体的には、酢酸パラジウム等の有機酸塩、硝酸パラジウム等の硝酸塩等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル、アンモニウム等の有機化合物を配位子に持つ錯体も挙げられる。好ましくは、塩素を含有せずかつ酸性水溶液に溶解するパラジウム化合物が好ましく、例えば、硝酸パラジウム、酢酸パラジウムが挙げられる。塩化パラジウム、塩化パラジウム酸、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム等のハロゲン化物を用いて酢酸製造用触媒の製造を行った場合、触媒からハロゲンを十分に取り除かずに用いると、反応立ち上げ時もしくは反応中にハロゲンが反応管中に流通し、腐食の原因となる恐れがある。完全にハロゲンを取り除くことは、通常の方法では困難であり、例えば、触媒を水溶液で洗浄したり、高温で長時間の加熱をすることが必要となるので好ましくない。
本発明(I)の第2工程において用いられる(b)ヘテロポリ酸は、ポリ原子としてタングステンからなるヘテロポリ酸が好ましい。またヘテロ原子としては、リン、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、チタニウム、ジルコニウム、セリウム、コバルト及びクロム等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。好ましくは、リン、ケイ素、ホウ素である。具体的なヘテロポリ酸としては、好ましくは、ケイタングステン酸、リンタングステン酸及びホウタングステン酸が挙げられる。さらに好ましくは、ケイタングステン酸、リンタングステン酸である。さらにはケギン型構造として知られる下記の化学式で表されるヘテロポリ酸が実用上好ましいが、触媒上のヘテロポリ酸が全てこの構造を取り得なくても構わない。
1−12−リンタングステン酸:H3 [PW1240]・nH2
1−12−ケイタングステン酸:H4 [SiW1240]・nH2
(式中、nは0〜40の整数を表す)
さらに、本発明(I)の触媒に用いられる(b)ヘテロポリ酸の塩は、2種以上の無機酸素酸が縮合して生成した酸の水素原子の一部又は全部が置換された金属塩あるいはオニウム塩である。ヘテロポリ酸の水素原子を置換した金属は、周期律表における1族元素、2族元素、11族元素及び13族元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であるのが好ましく、又ヘテロポリ酸のオニウム塩としてはアンモニウム塩などが例示される。これらのヘテロポリ酸の塩の中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、バリウム、銅、金及びガリウムの金属塩が特に好ましい。
さらに触媒性能上及び実用上好ましいヘテロポリ酸の塩としては、リンタングステン酸のリチウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、リンタングステン酸の銅塩、ケイタングステン酸のリチウム塩、ケイタングステン酸のナトリウム塩及びケイタングステン酸の銅塩を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担体に担持する方法としては、含浸法、スプレー法等の手段が挙げられるが、これらの限定されるものではない。含浸の際に用いる溶媒としては、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を溶解させるものが好ましく、水、有機溶剤及びそれらの混合物を用いることができる。好ましくは、水、アルコールが用いられる。
また、担持する順序は、別々であっても同時であってもよい。好ましくは、パラジウムとヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩の接触効果を得る目的で、同時に担持する方法が好ましい。
同時に担持する方法としては、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む均一溶液として同時に担体に担持する方法が挙げられる。より具体的には、水又はアセトンなどの適当な溶剤や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸に、(a)パラジウム化合物及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を溶解させて均一溶液としたのち、これを担体に含浸し、次いで乾燥する方法が挙げられる。また(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物から調製されたヘテロポリ酸パラジウム塩を得た後に、ヘテロポリ酸パラジウム塩を、適当な溶媒に溶解させ、担体に担持してもよい。ヘテロポリ酸パラジウム塩に用いる好ましいヘテロポリ酸としては、
1−12−リンタングステン酸:H3 [PW1240]・nH2
1−12−ケイタングステン酸:H4 [SiW1240]・nH2
(式中、nは0〜40の整数を表す)
が挙げられる。ヘテロポリ酸パラジウム塩は、例えば、硝酸パラジウムとヘテロポリ酸を溶解させた水溶液を調製し、乾燥することで得ることができる。
(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を溶液として担持した後の触媒の乾燥は、いかなる方法で行ってよく、例えば、低温で真空処理を行う方法や、熱風乾燥機で熱処理により、溶媒を取り除く方法等が挙げられる。
担持後に、必要により、触媒の還元処理を行ってもよい。還元処理は、気相で行うことが好ましく、一般的な還元条件であれば特に制限はない。
還元剤としては、水素、エチレン、メタノール、CO等が挙げられるが特に制限はない。好ましくは、水素、エチレンである。
還元処理を行う場合は、その温度に特に制限はないが、第1工程で得られた触媒を、50〜350℃前後に加熱することが好ましい。さらに好ましくは、100〜300℃である。350℃以上で反応を行うと、ヘテロポリ酸が分解してしまう恐れがあるので好ましくない。
処理圧力は、設備の点から0.0〜3.0MPa(ゲージ圧)であることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは0.1〜1.5MPa(ゲージ圧)の範囲である。
ガス状還元剤を流通させる場合、いかなる還元剤濃度で行ってもよく、必要に応じて窒素、二酸化炭素又は希ガスなどを希釈剤として使用することができる。また、気化させた水の存在下に、エチレン、水素等を存在させて、還元を行ってもよい。また、第1工程で調製した触媒を、反応系リアクターに充填し、エチレンで還元した後、さらに酸素を導入し、エチレンと酸素から酢酸を製造してもよい。
ガス状還元剤を含む混合ガスは、標準状態において、空間速度(以下、SVと記す)10〜15000hr-1、特に100〜8000hr-1で触媒に通されるのが好ましい。
処理形式としては、特に制限はないが、好ましくは耐蝕性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床を採用することが実用上有利である。
以上のようにして、本発明(I)の製造方法によって酢酸製造用触媒を得ることができる。
本発明(I)の酢酸製造用触媒の製造方法は、パラジウムの担持工程を複数回行うことが特徴である。好ましくは、第1工程において担体にパラジウムを担持することによりパラジウム担持触媒を得た後、さらに第2工程においてパラジウムとヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩を同時に担持する方法を用いるのが好ましい。
第1工程と第2工程で担持するパラジウムの比率としては、好ましくは第1工程でのパラジウム担持量/第2工程でのパラジウム担持量=30/1〜1/1が好ましく、さらに好ましくは25/1〜2/1である。第1工程でのパラジウム担持量/第2工程でのパラジウム担持量が30/1より高いと、第2工程で担持するパラジウムの量が少ないためにその効果が低くなる可能性がある。また1/1より低い場合、担体内部へのパラジウムの担持割合が多くなるために、反応基質の拡散律速により、所定の反応量が稼げなくなる恐れがある。
本発明(I)の製造方法で得られる酢酸製造用触媒において、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物が担体に保持されている触媒中の(a)及び(b)の組成は、特に制限はない。好ましくは、触媒全体中における質量%として、(a):(b)=0.5〜2.5質量%:5〜50質量%が好ましく、特に(a):(b)=1.0〜2.5質量%:10〜40質量%においてより好ましい結果を与える。
本発明(I)で製造される酢酸製造用触媒中に含まれる金属元素及びヘテロポリ酸の担持量、組成比は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(以下、ICPと記す)、蛍光X線分析(以下、XRFと記す)、原子吸光分析法等の化学分析により正確に得ることができる。
例えば、一定量の触媒を、乳鉢等で粉砕して均一な粉末とした後、その触媒粉末をフッ酸、王水等の酸に加えて加熱攪拌し、溶解させて均一な溶液とする。次に、その溶液を純水によって適当な濃度まで希釈し、分析用の溶液とする。その溶液をICPによって、定量分析する方法が挙げられる。
本発明(II)−酢酸製造用触媒の製造方法
本発明(II)の酢酸製造用触媒の製造方法について説明する。
本発明(II)の酢酸製造用触媒の製造方法は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下「(c)群元素」と略す)を含む担体担持型触媒において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
好ましくは、この製造方法は、以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)群元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程又は以下の第1工程〜第3工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)群元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
を含むことを特徴とする。
上記の第1工程において、エッグシェル型パラジウム担持触媒を得るためには、好ましくは、以下の方法を一例として挙げることができる。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物及び(c)群元素を含む化合物を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(c)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
本発明(II)は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)群元素を含む担体担持型触媒の製造方法である。
本発明(II)は、本発明(I)の触媒の製造方法に、(c)群元素をさらに加える方法である。
すなわち、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び担体については、本発明(I)と同様である。また、その担体に担持する方法についても同様である。
本発明(II)で用いる(c)群元素は、最も好ましくはTeである。
本発明(II)で用いる(c)群元素の原料化合物としては特に制限はない。例えば、該元素そのもの、あるいは該元素を含有する塩化物塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酸化物等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル等の有機物を配位子に持つ錯体等も挙げられる。
(c)群元素を、担体に担持するタイミングについては、特に制限はない。例えば、(a)パラジウムと同時、又は(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と同時に担持してもよいし、また独立に担持してもよい。好ましくは、(a)パラジウムを担持し後に、独立に担持する方法、又は(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と同時に担持する方法が好ましい。
第1工程と第2工程で担持するパラジウムの比率としては、本発明(I)と同様である。
本発明(II)の製造方法で得られる酢酸製造用触媒において、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)群元素が担体に保持されている触媒中の(a)、(b)及び(c)の組成は、特に制限はない。好ましくは、触媒全体中における質量%として、(a):(b):(c)=0.5〜2.5質量%:5〜50質量%:0.05〜3.0質量%が好ましく、特に(a):(b):(c)=1.0〜2.5質量%:10〜40質量%:0.08〜1.0質量%においてより好ましい結果を与える。
本発明(III)−酢酸製造用触媒の製造方法
本発明(III)の酢酸製造用触媒の製造方法について説明する。
本発明(III)の酢酸製造用触媒の製造方法は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下、「(d)群元素」と記す)を含む担体担持型触媒において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
好ましくは、この製造方法は、以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム、(c)群元素及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(d)群元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)群元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素及び(d)群元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程〜第3工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(c)群元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程〜第3工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、バラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)群元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
を含むことを特徴とする。
上記の第1工程において、エッグシェル型パラジウム担持触媒を得るためには、好ましくは、以下の方法を一例として挙げることができる。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物及び(d)群元素を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(d)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
本発明(III)は、本発明(II)の触媒の製造方法に、(d)群元素をさらに加える方法である。
すなわち、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素及び担体については、本発明(II)と同様である。また、その担体に担持する方法についても同様である。
本発明(III)で用いる(d)群元素は、好ましくはCr、Au及びZnであり、さらに好ましくはAu及びZnである。
本発明(III)で用いる(d)群元素の原料化合物としては、特に制限はない。例えば、該元素そのもの、あるいは該元素を含有する塩化物塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酸化物等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル等の有機物を配位子に持つ錯体等も挙げられる。
(d)群元素を担体に担持するタイミングについては、特に制限はない。例えば、(a)パラジウムと同時、又は(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と同時に担持してもよいし、また独立に担持してもよい。(a)パラジウムの担持と同時に行うのが好ましい。
第1工程と第2工程で担持するパラジウムの比率としては、本発明(I)と同様である。
本発明(III)の製造方法で得られる酢酸製造用触媒において、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素及び(d)群元素が担体に保持されている触媒中の(a)、(b)、(c)及び(d)の組成は、特に制限はない。好ましくは、触媒全体中における質量%として、(a):(b):(c):(d)=0.5〜2.5質量%:5〜50質量%:0.05〜3.0質量%:0.05〜3.0質量%が好ましく、特に(a):(b):(c):(d)=1.0〜2.5質量%:10〜40質量%:0.08〜1.0質量%:0.08〜1.0質量%においてより好ましい結果を与える。
本発明(IV)−酢酸製造用触媒の製造方法
本発明(IV)の酢酸製造用触媒の製造方法について説明する。
本発明(IV)の酢酸製造用触媒の製造方法は、エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素、(d)群元素及び(e)V及びMoからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素(以下「(e)群元素」と記す)を含む担体担持型触媒において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法である。
好ましくは、この製造方法は、以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム、(c)群元素及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(e)群元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(c)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)群元素を含む化合物及び(e)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素を含む化合物及び(e)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程及び第2工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素、(d)群元素を含む化合物及び(e)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程〜第3工程
第1工程
担体に、(a)パラジウム及び(d)群元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(c)群元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(e)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
又は以下の第1工程〜第3工程
第1工程
担体に、(a)パラジウムを担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
第2工程
第1工程で得られたパラジウム担持触媒に、(c)群元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
第3工程
第2工程で得られた(c)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(d)群元素及び(e)群元素を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
を含むことを特徴とする。
上記の第1工程において、エッグシェル型パラジウム担持触媒を得るためには、好ましくは、以下の方法を一例として挙げることができる。
第1−1工程
担体に、(a)パラジウム化合物、(c)群元素及び(d)群元素を担持し、パラジウム担持触媒を得る工程
第1−2工程
第1−1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒をアルカリ水溶液に浸漬する工程
第1−3工程
第1−2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を還元処理することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含む金属パラジウム担持触媒を得る工程
本発明(IV)は、本発明(III)の触媒の製造方法に、(e)群元素をさらに加える方法である。
すなわち、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)群元素、(d)群元素及び担体については、本発明(III)と同様である。また、その担体に担持する方法についても同様である。
本発明(IV)で用いる(e)群元素の原料化合物としては特に制限はない。例えば、該元素そのもの、あるいは該元素を含有する塩化物塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酸化物等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル等の有機物を配位子に持つ錯体等も挙げられる。
(e)群元素の原料化合物としては、V、Moを含むヘテロポリ酸でもよい。具体的には、以下のヘテロポリ酸が挙げられるが、特に制限はない。
リンモリブデン酸:H3 [PMo1240]・nH2
ケイモリブデン酸:H4 [SiMo1240]・nH2
ケイバナドタングステン酸:H4+x [SiVx12-x40]・nH2
リンバナドタングステン酸:H3+x [PVx12-x40]・nH2
リンバナドモリブデン酸:H3+x [PVx Mo12-x40]・nH2
ケイバナドモリブデン酸:H4+x [SiVx Mo12-x40]・nH2
ケイモリブドタングステン酸:H4 [SiMox12-x40]・nH2
リンモリブドタングステン酸:H3 [PMox12-x40]・nH2
(式中、nは正の整数である)
好ましくは、リンモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイバナドモリブデン酸が挙げられる。
(e)群元素を担体に担持するタイミングについては、特に制限はない。例えば、(a)パラジウムと同時、又は(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と同時に担持してもよいし、また独立に担持してもよい。好ましくは、(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の化合物と同時に担持する方法が好ましい。
第1工程と第2工程で担持するパラジウムの比率としては、本発明(I)と同様である。
本発明(IV)の製造方法で得られる酢酸製造用触媒において、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物及び(c)群元素、(d)群元素及び(e)群元素が担体に保持されている触媒中の(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の組成には、特に制限はない。好ましくは、触媒全体中における質量%として、(a):(b):(c):(d):(e)=0.5〜2.5質量%:5〜50質量%:0.05〜3.0質量%:0.05〜3.0質量%:0.05〜1.0質量%が好ましく、特に(a):(b):(c):(d):(e)=1.0〜2.5質量%:10〜40質量%:0.08〜1.0質量%:0.08〜1.0質量%:0.1〜0.8質量%においてより好ましい結果を与える。
本発明(V)は、本発明(I)〜(IV)の酢酸製造用触媒の製造方法によって得られた酢酸製造用触媒である。
本発明(V)の触媒においては、従来開示されている技術では、担体中の各触媒成分の担持位置はパラジウムはエッグシェル型であり、ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩は均一である。そのため、担体の中心部ではパラジウムは存在せず、ヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩のみが存在する領域が存在することになり、パラジウムとヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩が密接に相互作用していない。すなわち、担持したヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩が有効に利用されていない恐れがある。そこで、本発明(I)〜(IV)の酢酸製造用触媒の製造方法である、パラジウムの担持工程を2回以上で行うことにより、触媒成分を有効に利用することを意図した。
パラジウム及びヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩の担体中の担持位置を知るためには、例えば、X線マイクロプローブ法(以下、「EPMA」と記す)による元素分析が挙げられる。EPMAとは、ミクロンオーダーに絞った電子プローブを固体物質に照射して、そこの微小部分から発生する特性X線、反射電子、二次電子等を利用して元素分析や形態観察などをする装置である。EPMAについての詳細は、「EPMA 電子プローブ・マイクロアナライザー」(木ノ内嗣郎著、株式会社技術書院発行、2002年3月30日、第1版第1刷)に記載されている。
本発明(V)の酢酸製造用触媒において、担体内部のパラジウムやヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩に含まれる元素(例えば、タングステン)を、EPMAにより分析することで、パラジウムとヘテロポリ酸もしくはヘテロポリ酸塩の密接具合を知ることできる。
本発明(VI)−酢酸製造用触媒を用いた酢酸の製造方法
次に、本発明(VI)について説明する。
本発明(VI)は、本発明(V)の酢酸製造用触媒を用いたエチレンと酸素から酢酸を製造する方法である。
本発明(VI)の酢酸の製造方法において、エチレンと酸素を反応させて、酢酸を製造する際の反応温度に特に制限はない。好ましくは100〜300℃であり、更に好ましくは120〜250℃である。また、反応圧力は設備の点から0.0〜3.0MPa(ゲージ圧)であることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは0.1〜1.5MPa(ゲージ圧)の範囲である。
本発明(VI)の酢酸の製造方法において、反応系に供給するガスは、エチレンと酸素を含み、更に必要に応じて窒素、二酸化炭素又は希ガスなどを希釈剤として使用することができる。
かかる供給ガス全量に対して、エチレンは5〜80容量%、好ましくは8〜50容量%の割合となる量で、また酸素は1〜15容量%、好ましくは3〜12容量%の割合となる量で反応系に供給される。
また、この反応系においては、水を反応系内に存在させると、酢酸生成活性と選択率の向上及び触媒の活性維持に著しく効果がある。水蒸気は反応ガス中に1〜50容量%の範囲で含まれるのが好適であるが、より好ましくは5〜40容量%である。
本発明(VI)の酢酸の製造方法において、原料エチレンとして高純度のものを用いることが好ましいが、メタン、エタン、プロパン等の低級飽和炭化水素が混入していても差し支えない。また、酸素は窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気の形でも供給できるが、反応ガスを循環させる場合には、一般には高濃度、好適には99%以上の酸素を用いるのが有利である。
反応混合ガスは、標準状態において、SV10〜15000hr- 1 、特に300〜8000hr-1で触媒に通されるのが好ましい。
反応形式としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、固定床、流動床などの形式を採り得る。好ましくは、耐蝕性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床を採用することが、実用上有利である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の概要を示すものであって、本発明をこれらの実施例のみに限定する意図のものではない。
担体の前処理
実施例で用いた全ての担体は、前処理として、110℃、空気下で、4時間乾燥を行ったものである。
水の使用
実施例で用いた水は、全て脱イオン水である。
担体の使用
実施例で用いた担体は、全てシリカ担体[BET比表面積148m2 /g、嵩密度405g/l、5mmφ]である。
原料化合物の使用
実施例で用いた塩化パラジウム酸ナトリウム[Na2 PdCl4 ]の塩酸(以下、HClと記す)水溶液及び硝酸パラジウム[Pd(NO32 ]の硝酸水溶液は、エヌイーケムキャット株式会社製のものである。ケイタングステン酸26水和物[H4 SiW1240・26H2 O]は、日本無機化学工業株式会社製のものである。
各触媒中の成分
実施例1及び比較例1で得た酢酸製造用触媒中に含まれる金属元素及びヘテロポリ酸の元素分析は、以下のようにして行った。すなわち、各酢酸製造用触媒を王水及び/又はフッ酸と王水の混合液に、圧力存在下に、加熱処理することにより溶解させ、各成分を完全に抽出し、ICP(セイコーインスツルメンツ株式会社製SPS−1700)により測定した。各成分の触媒中における質量%を示した。
実施例1
塩化パラジウム酸ナトリウム(3.56g)、塩化亜鉛[和光純薬製:ZnCl2 ](54mg)を混合し、イオン交換水でメスアップし、水溶液45mlを調製した(A溶液)。このA溶液をシリカ担体(40g)に含浸し、全量吸収させた。次に、メタケイ酸ナトリウム9水和物[和光純薬製:Na2 SiO3 ・9H2 O](8.0g)の水溶液(90ml)に加え、室温で、20時間静置した。次いで、これに、ヒドラジン1水和物[和光純薬製:N24 ・H2 O](6.5g)を添加し、緩やかに攪拌した後、室温で4時間静置し、金属パラジウムに還元した。その後触媒を濾取し、デカンテーションを行った後、ストップコック付きのガラスカラムに移し、40時間純水を流通させて洗浄した。次いで空気気流下に、110℃で4時間乾燥し、Znを含む金属パラジウム担持触媒を得た。
次いで、亜テルル酸ナトリウム[和光純薬製:Na2 TeO3 ](72mg)を溶解させた水溶液45mlを調製した(B溶液)。このB溶液を、先に調製した金属パラジウム担持触媒に含浸し、全量吸収させた。次いで空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、Zn、Teを含む金属パラジウム担持触媒を得た。
さらに、ケイタングステン酸26水和物(20.7g)及び硝酸パラジウム水溶液(Pdとして、0.067g)を均一水溶液とし、45mlにメスアップした(C溶液)。このC溶液を、先に調製したZn、Teを含む金属パラジウム担持触媒に含浸し、全量吸収させた。次いで空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、酢酸製造用触媒1を得た。
比較例1
塩化パラジウム酸ナトリウム(3.80g)、塩化亜鉛[和光純薬製:ZnCl2 ](54mg)を混合し、イオン交換水でメスアップし、水溶液45mlを調製した(A溶液)。このA溶液を、シリカ担体(40g)を含浸し、全量吸収させた。次に、メタケイ酸ナトリウム9水和物[和光純薬製:Na2 SiO3 ・9H2 O](8.0g)の水溶液(90ml)に加え、室温で20時間静置した。次いで、これに、ヒドラジン1水和物[和光純薬製:N24 ・H2 O](6.5g)を添加し、緩やかに攪拌した後、室温で4時間静置し、金属パラジウムに還元した。その後触媒を濾取し、デカンテーションを行った後、ストップコック付きのガラスカラムに移し、40時間純水を流通させ洗浄した。次いで空気気流下110℃で4時間乾燥し、Znを含む金属パラジウム担持触媒を得た。
次いで、亜テルル酸ナトリウム[和光純薬製:Na2 TeO3 ](72mg)を溶解させた水溶液45mlを調製した(B溶液)。このB溶液を、先に調製した金属パラジウム担持触媒に含浸し、全量吸収させた。次いで空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、Zn,Teを含む金属パラジウム担持触媒を得た。
さらに、ケイタングステン酸26水和物(20.7g)を均一水溶液とし、45mlにメスアップした(C溶液)。このC溶液を、先に調製したZn、Teを含む金属パラジウム担持触媒に含浸し、全量吸収させた。次いで空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、酢酸製造用触媒2を得た。
実施例2及び比較例2
実施例1及び比較例1で得た酢酸製造用触媒1及び酢酸製造用触媒2を、それぞれ5mlを希釈せずに、SUS316製反応管(内径25mm)に充填し、触媒層の反応ピーク温度220℃、反応圧力0.8MPaG(ゲージ圧)で、エチレン:酸素:水:窒素の容量比=10:6:15:69の割合で混合したガスを、空間速度1800hr-1にて導入して、エチレンと酸素から酢酸を得る反応を行った。
反応における分析方法として、触媒充填層を通過した出口ガスの全量を冷却し、凝縮した反応捕集液は全量を回収しガスクロマトグラフィーで分析した。凝縮せずに残った未凝縮ガスはサンプリング時間内に流出した未凝縮ガスの全量を測定し、その一部を取り出し、ガスクロマトグラフィーで組成を分析した。生成したガスを冷却し、冷却後の凝縮液及びガス成分をそれぞれガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−14B、FID検出器:キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm))にて分析した。
触媒の活性度を、時間当たりの触媒体積(リットル)当たりで製造された酢酸の質量(空間時間収率 STY/単位 g/hlcat)として計算した。
反応結果を、図1に示す。
EPMAによるシリカ(担体)、パラジウム及びヘテロポリ酸(タングステン)分布の測定
得られた酢酸製造用触媒を樹脂に包埋し、研磨して得た試料を、EPMA(日本電子製 JXA−8900)を用い、下記の要領、測定条件で担体粒子断面の面分析を行った。その得られた面分析を線分析データに加工した結果を図2、図3に示す。
また、図4に、実施例1で得られた酢酸製造用触媒のタングステンのEPMA分析結果を示すチャート図を、図5に比較例1で得られた酢酸製造用触媒のSiのEPMA分析結果を示すチャート図を、図6に比較例1で得られた酢酸製造用触媒のPdのEPMA分析結果を示すチャート図を、そして図7に比較例1で得られた酢酸製造用触媒のタングステンのEPMA分析結果を示すチャート図を示す。
前処理
樹脂包埋:丸本ストルアス株式会社製の冷間埋込樹脂No.105にNo.105用硬化剤を混合して使用。
切断:アイソメット(湿式ダイヤモンドカッター)により、切断。冷媒にはヘキサン等のヘテロポリ酸及び/又はヘテロポリ酸塩が溶解しない溶媒を選択。
蒸着:蒸着物質として白金を使用。
EPMA分析
X線検出器:波長分散型検出器(WDS)
加速電圧:15kV
照射電流:1×10-7
本発明は、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の化合物を含む担体担持型触媒であって、パラジウムの担持を少なくとも2度以上に分けて担持することを特徴とする製造方法により得られる酢酸製造用触媒を用いることで、高い酢酸の生産性が得られるので、産業上極めて有用である。
実施例2及び比較例2の酢酸製造用触媒を用いた酢酸の製造において、反応の経時変化を示した図である。 実施例1で得られた酢酸製造用触媒のSiのEPMA分析結果を示すチャート図である。 実施例1で得られた酢酸製造用触媒のPdのEPMA分析結果を示すチャート図である。 実施例1で得られた酢酸製造用触媒のタングステンのEPMA分析結果を示すチャート図である。 比較例1で得られた酢酸製造用触媒のSiのEPMA分析結果を示すチャート図である。 比較例1で得られた酢酸製造用触媒のPdのEPMA分析結果を示すチャート図である。 比較例1で得られた酢酸製造用触媒のタングステンのEPMA分析結果を示すチャート図である。

Claims (6)

  1. エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うこと、及び以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
    第1工程
    担体に、(a)パラジウム、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
    第2工程
    第1工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
  2. エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うこと、及び以下の第1工程及び第2工程を含むことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
    第1工程
    担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
    第2工程
    第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物及び(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
  3. エチレンと酸素とを気相で反応させる酢酸の製造方法に用いる、(a)パラジウム、(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む担体担持型触媒の製造方法において、パラジウムの担持を少なくとも2度の工程に分けて行うこと、及び以下の第1工程〜第3工程を含むことを特徴とする酢酸製造用触媒の製造方法。
    第1工程
    担体に、(a)パラジウム及び(d)Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Cu、Au及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を担持して、パラジウム担持触媒を得る工程
    第2工程
    第1工程で得られた(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(c)Sn、Pb、Bi、Sb及びTeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物を担持することにより、(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒を得る工程
    第3工程
    第2工程で得られた(c)群元素及び(d)群元素を含むパラジウム担持触媒に、(a)パラジウム及び(b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を担持することにより、酢酸製造用触媒を得る工程
  4. (b)ヘテロポリ酸及びそれらの塩が、以下のヘテロポリ酸及びそれらの塩から選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酢酸製造用触媒の製造方法。
    1−12−リンタングステン酸:H[PW1240]・nH
    1−12−ケイタングステン酸:H[SiW1240]・nH
    (式中、nは0〜40の整数を表す)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酢酸製造用触媒の製造方法により得られた酢酸製造用触媒。
  6. 請求項5記載の酢酸製造用触媒の存在下にエチレンと酸素とを気相で反応させることを特徴とする酢酸の製造方法。
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