JP2008018421A - 酢酸製造用担持型触媒の製造方法 - Google Patents

酢酸製造用担持型触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低級オレフィンと酸素とから低級脂肪族カルボン酸を製造するために用いて、低級脂肪族カルボン酸の収率が向上し、かつ副生物である炭酸ガス(CO)の生成を従来法よりも抑制することのできる担持型触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】周期表の第8、9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物、銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物の少なくとも1種、および塩化金酸塩を担体に担持させ、さらにガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルルおよびポロニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物並びにヘテロポリ酸を担持させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、担持型触媒の製造およびその使用に関する。特に、本発明は、気相でエチレンなどの低級オレフィンと酸素とから酢酸などの低級脂肪族カルボン酸を工業的に有利に製造することのできる担持型触媒の製造およびその使用に関する。
エチレンから酢酸を一段反応で製造する方法については、工業的製造工程上並びに経済的に有利な点が多いことから、様々な提案がされている。例えば、パラジウム−コバルト、パラジウム−鉄などの金属イオン対の酸化還元触媒を用いた液相一段酸化法(フランス特許第1448361号明細書)、パラジウム−リン酸または硫黄含有変性剤からなる触媒を用いる方法(特開昭47−013221号公報、特開昭51−029425号公報)、3群系酸素化合物からなる触媒(特公昭46−006763号公報)を用いた気相一段酸化法などが開示されている。また、パラジウム化合物とヘテロポリ酸を含む触媒を用いる酢酸の製造方法として、リンバナドモリブデン酸パラジウム塩からなる触媒を併せ用いる気相一段酸化法などが提案されている(特開昭54−57488号公報)。
最近では、エチレンと酸素から酢酸を得るための触媒として、金属パラジウムと周期表第14、15または16族元素が担体に担持された触媒が提案されている(特開平11−347412号公報)。これらの担持型触媒は、次の工程順で調製される。
第1工程:担体にパラジウムを含む化合物を担持させる工程
第2工程:アルカリ処理を行う工程
第3工程:パラジウムを含む化合物を還元処理して金属パラジウムとする工程
第4工程:周期表第14、15または16族元素を担持させる工程
上記担持型触媒においては、エッグシェル型パラジウム触媒が有利とされている。エッグシェル型とは、担体中のパラジウムの担持位置が担体の表面側にある型を指す。反応基質は触媒担体の内部領域に拡散しにくいため、担体内部に担持された金属成分は反応基質と接触する確率が低く、反応への寄与度が小さい。エッグシェル型では金属成分が担体表面に多く存在しているため、同じ量の金属成分量であっても反応に対しては通常型より効率がよい。エッグシェル型パラジウム触媒を得るために、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ処理工程を含む製造方法が知られている(特開平7−89896号公報)。また、特開2000−308830号公報には、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属塩で処理を行う工程を含むエッグシェル型パラジウム担持型触媒の製造方法が開示されている。
特開平11−347412号公報等に開示されている上記酢酸製造用触媒の製造プロセスは、パラジウム等の金属成分を担体表面へ偏在させる(エッグシェル化する)ためのアルカリ処理工程の後、さらに第3成分の担持工程を有している。同プロセスで得られた触媒は、触媒活性は高いが、触媒調製プロセスが長くかつ反応中に触媒劣化を伴うという問題がある。よって、本発明者は、高活性を保持しつつも劣化を抑制することのできる触媒の簡便な調製方法の開発を進めることとした。
また、エチレンと酸素とを反応させて酢酸を得る製造方法では、副生物として二酸化炭素が発生する。例えば、特開平7−89896号公報の記載によれば、二酸化炭素選択率は5%程度である。二酸化炭素が発生することは、結局、酢酸の収率が低下することを意味する。さらに、近年、地球温暖化防止、環境負荷の低減の観点から、二酸化炭素の生成抑制が大きな課題となっている。工業的な側面では、副生する二酸化炭素を処理するために、多額の設備投資やその設備の運転、維持費用が必要となる。従って、本発明者は、酢酸製造においては副生する二酸化炭素のより一層の低減の検討を行うこととした。
フランス特許第1448361号明細書 特開昭47−013221号公報 特開昭51−029425号公報 特公昭46−006763号公報 特開昭54−57488号公報 特開平11−347412公報 特開平7−89896号公報 特開平9−67298号公報 特開2000−308830号公報
本発明は、上記の如き背景技術の問題点を解決することを主たる課題とする。すなわち、エチレンなどの低級オレフィンと酸素とから酢酸などの低級脂肪族カルボン酸を製造するために用いて、低級脂肪族カルボン酸の収率が向上し、かつ副生物である炭酸ガス(CO)の生成を従来法よりも抑制することのできる担持型触媒およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、(a)周期表の第8、9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(a)群化合物という)、(d)銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物(以下、(d)群化合物という)の少なくとも1種、並びに塩化金酸塩を担体に担持させ、さらにガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルルおよびポロニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(b)群化合物という)を担持させることを特徴とする担持型触媒の製造方法(以下、触媒の調製方法ということがある)を見出し、本発明を完成させるに至った。
なお、本発明において、「周期表」とはIUPAC無機化学命名法改訂版(1989)の周期表をいう。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(12)の事項に関する。
(1)以下の第1、第2および第3工程をその順で含むことを特徴とする、低級オレフィンと酸素による低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒の製造方法。
第1工程
担体に周期表の第8、9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(a)群化合物という)の少なくとも1種と、銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物(以下、(d)群化合物という)の少なくとも1種と、並びに塩化金酸塩とを含む溶液を含浸させて、含浸担体(A)を得る工程
第2工程
含浸担体(A)を、アルカリ性物質、並びにガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルルおよびポロニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(b)群化合物という)と接触させて、含浸担体(B)を得る工程(ただし、アルカリ性物質と(b)群化合物とは含浸担体(A)と同時に接触させても、別々に接触させてもよい)
第3工程
含浸担体(B)を還元性物質と接触させて、担持型触媒(C)を得る工程
(2)ヘテロポリ酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、(c)群化合物という)を担体に担持させる工程をさらに含む、上記(1)に記載の担持型触媒の製造方法。
(3)(d)群化合物が亜鉛の塩化物である、上記(1)または(2)に記載の担持型触媒の製造方法。
(4)塩化金酸塩が塩化金酸アルカリ金属塩である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(5)(a)群化合物がルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(6)(b)群化合物がガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、セレンおよびテルルから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(7)(c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩のポリ原子がタングステンおよび/またはモリブデンである、上記(2)〜(6)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(8)(c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩のヘテロ原子がリン、ケイ素およびホウ素から選ばれる少なくとも1種の元素である、上記(2)〜(7)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(9)(c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩がケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である、上記(2)〜(8)のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法で製造された、エチレンと酸素との反応による酢酸製造用担持型触媒。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法で製造された担持型触媒を使用することを特徴とする、低級オレフィンと酸素との反応による低級脂肪族カルボン酸の製造方法。
(12)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法で製造された担持型触媒を使用することを特徴とする、エチレンと酸素との反応による酢酸の製造方法。
本発明によれば、本発明の担持型触媒の製造方法によって得られる担持型触媒を用いることにより、低級オレフィンと酸素との反応による低級脂肪族カルボン酸の製造において、低級脂肪族カルボン酸の生産性の向上および炭酸ガスの副生を抑制することが可能となり、これにより酢酸などの低級脂肪族カルボン酸の製造コストを削減することができる。
以下、本発明の好ましい実施の態様について具体的に説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、その精神と実施の範囲内において多くの変形が可能であることを理解されたい。
本発明の製造方法で得られる担持型触媒は、低級オレフィン(好ましくはエチレン)と酸素とを反応(好ましくは気相において)させる低級脂肪族カルボン酸(好ましくは酢酸)の製造用触媒として好適に用いることができる。
以下、本発明の好ましい担持型触媒の製造方法を具体的に説明する。
まず、下記の第1〜第3工程をその順で行う。
第1工程
担体に(a)群化合物(例えば、Pdを含む化合物)、(d)群化合物(例えば、Znの塩化物)および塩化金酸塩の溶液を含浸させて、含浸担体(A)を得る工程
第2工程
含浸担体(A)を、アルカリ性物質および(b)群化合物(例えば、Teを含む化合物)と接触させて、含浸担体(B)を得る工程
第3工程
含浸担体(B)を還元性物質(例えば、ヒドラジン)と接触させて、(a)群および(d)群化合物を還元処理し、担持型触媒(C)を得る工程
そして、第4工程として、担持型触媒(C)に(c)ヘテロポリ酸(例えば、ケイタングステン酸)および/またはその塩を担持して、担持型触媒を得る工程を行う。
第1工程では、(a)群化合物の溶液、(d)群化合物および塩化金酸塩の各溶液を別々に担体に接触させ、含浸させてもよいが、それらを1つの溶液として同時に接触させ、含浸させる方が工程簡略化の観点から好ましい。別々に接触させる場合には、(a)群化合物を最先にする方が好ましい。この場合、(d)群化合物と塩化金酸塩は同時に接触させてもよい。
第2工程では、アルカリ性物質と(b)群化合物を含浸担体(A)と同時に接触させても、別々に接触させてもよいが、同時に接触させる方が工程簡略化の観点から好ましい。別々に接触させる場合には、接触させる順序としてアルカリ性物質を先にする方が好ましい。
本発明の方法により得られる低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒には、(c)群化合物(ヘテロポリ酸および/またはその塩)が担持されていることがより好ましい。したがって、本発明の効果を損なわない範囲において、前記各第1工程〜第3工程内または各工程の前後に前記(c)群化合物を担持する工程が含まれてもよいが、前述のように第3工程の後に(c)群化合物を担持する工程(第4工程)を設けることが好ましい。
<担体>
本発明の担持型触媒の製造に用いる担体には制限はないが、一般に担体として用いられている多孔質物質が好ましい。具体的にはシリカ、シリカ−アルミナ、珪藻土、モンモリロナイトまたはチタニア等が挙げられる。より好ましくはシリカである。
また、担体の形状には特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状等が挙げられる。用いられる反応形式、反応器などに対応させ、最適な形状を選択すればよい。
担体の粒子の大きさにも特に制限はない。低級脂肪族カルボン酸の製造を気相反応用固定床の管状型反応器で行う際は、担体が球状である場合、その粒子直径は1〜10mmであるのが好ましく、より好ましくは2〜8mmである。管状型反応器に担持型触媒を充填して反応を行う場合、粒子直径が1mmより小さいとガスを流通させるときに大きな圧力損失が生じ、有効にガス循環ができなくなるおそれがある。また、粒子直径が10mmより大きいと、触媒内部まで反応ガスが拡散できなくなり、有効に触媒反応が進まなくなるおそれがある。担体の細孔構造は、その細孔直径が1〜1000nmにあることが好ましく、3〜200nmの間がより好ましい。担体のBET法で測定した比表面積は30〜700m/gのものが好ましく、50〜300m/gがより好ましい。また、担体の嵩密度は50〜1000g/lが好ましく、300〜500g/lがより好ましい。
<(a)群化合物>
(a)群化合物は、周期表の第8、9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である。周期表の第8、9および10族元素とは、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金であるが、パラジウム、白金およびニッケルが好ましく、パラジウムが特に好ましい。
(a)群化合物は、いかなる状態のものでもよい。第8、9、10族元素を含む化合物や元素そのままの状態であっても構わない。すなわち、前記元素が化合物中でイオン性であってもよく、0価のいわゆる金属状態であってもよい。
(a)群化合物としては、金属パラジウムや金属白金、金属ニッケル、塩化パラジウムや塩化白金酸、塩化ニッケル等のハロゲン化物、酢酸パラジウム、酢酸白金等の有機酸塩、硝酸パラジウム、硝酸白金、硝酸ニッケル等の硝酸塩、酸化パラジウム、酸化ニッケル、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル、アンモニウム等の有機化合物を配位子に持つ錯体であってもよい。特に好ましくは、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金酸、テトラクロロパラジウム酸カリウム、硝酸パラジウム等である。また、これらの(a)群化合物はそれぞれ単独で用いられてもよく、複数種を併用することもできる。
(a)群化合物の担体への担持状態としては、いわゆる「エッグシェル型」であることが好ましい。エッグシェル型担持型触媒を得る場合、(a)群化合物の担体への担持方法は、結果的にエッグシェル型担持型触媒が得られれば、特に制限はない。エッグシェル型触媒とは、担体粒子、成形体内における活性成分(例えば、金属パラジウム)の分布状態の1つで、ほとんどの活性成分が担体粒子または成形体の表面近傍に存在する状態のものをいう。具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶媒、塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸、あるいはそれらの溶液にその原料化合物を溶解させ、表層に直接的に担持させる方法や、間接的に担持させる方法が挙げられる。直接的に担持させる方法としては、含浸法やスプレー法を挙げることができる。間接的に担持させる方法としては、前述した工程のように、先に(a)群化合物を担体に担持させ(第1工程)、アルカリ処理(第2工程)によって内部の(a)群化合物を表面に移動させた後、還元する(第3工程)方法等を挙げることができる。
(a)群化合物の担体への担持は、(a)群化合物の少なくとも1種を含む均質溶液を作製し、その溶液を適切な量の担体に含浸させることにより行うことができる。より具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶剤や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸に、(a)群化合物を溶解させて均質溶液としたのち、これに担体を含浸させ、含浸担体(A)を得る。含浸に続いて乾燥を行ってもよいが、乾燥工程を省略して、第2工程へ進む方が工程を省略できるため好ましい。
<(d)群化合物および塩化金酸塩>
(d)群化合物および塩化金酸塩の担持工程の実施は、第1工程において、(a)群化合物と同時に、または別々に担体へ担持させることができる。より好ましい担持方法は、第1工程において(d)群化合物、塩化金酸塩および(a)群化合物と同時に担持させる方法である。
(d)群化合物は、銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物である。前記元素としては、好ましくは亜鉛である。(d)群化合物としては、銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物であれば特に制限はない。好ましくはこれらの元素の塩化物であり、具体的にはZnCl、CuCl、AgClである。
塩化金酸塩としては、LiAuCl、NaAuCl、KAuCl、RbAuCl、CsAuCl、MgAuCl、Ca(AuCl、Sr(AuCl、Ba(AuClが例示される。これらの中ではLiAuCl、NaAuCl、KAuClが好ましく、とりわけNaAuClである。
<アルカリ性物質>
第2工程で用いるアルカリ性物質は、溶液もしくはガスのいずれの形態で供給されてもかまわない。好ましくは、水および/またはアルコールの溶液である。溶質は、アルカリ金属の水酸化物、ケイ酸化合物等であってよく、好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび/または水酸化バリウム等である。この工程においては、パラジウム化合物の一部または全部を酸化物または水酸化物に変換することができる。
<(b)群化合物>
(b)群化合物は、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルルおよびポロニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である。この「少なくとも1種の元素を含む化合物」としては該元素そのもの(金属)、あるいは該元素を含有する塩化物、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酸化物等が挙げられ、さらにアセチルアセトナート、ニトリル等の有機物を配位子に持つ錯体等も挙げられる。
(b)群化合物に含まれる元素としては、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、砒素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルルおよびポロニウムが好ましく、特にテルルまたはセレンが好ましい。
(b)群化合物の具体例としては、亜テルル酸ナトリウム(NaTeO)、亜テルル酸カリウム(KTeO)、テルル酸ナトリウム(NaTeO)、テルル酸カリウム(KTeO)、亜セレン酸ナトリウム(NaSeO)が挙げられる。
第2工程において、含浸担体(B)はアルカリ性物質および(b)群化合物の溶液を含浸担体(A)と接触させることで得ることができる。あるいは、アルカリ性物質の溶液を含浸担体(A)と接触させた後、(b)群化合物の溶液と接触させてもよく、逆の順でもよい。溶媒としては水および/またはアルコールが好ましく、より好ましくは水である。
第3工程では、含浸担体(B)に還元性物質を接触させて(a)群化合物、(b)群化合物、(d)群化合物および塩化金酸塩に還元処理を施す。還元処理では、例えば、(a)群化合物である塩化パラジウム酸ナトリウムは金属パラジウムへ還元される。
還元処理は、(a)群化合物および(b)群化合物が担体に担持されている状態のものに対して行うことが好ましい。この操作により、(a)群化合物がイオン状態である時点で、(b)群化合物との相互作用を図ることが可能となる。
また、還元処理は、含浸担体(B)に対し、先に(c)群化合物であるヘテロポリ酸および/またはその塩を担持した後に行っても構わない。すなわち、第4工程と第3工程を入れ替えてもよい。以下に一例を示す。
まず、第1工程:担体に(a)群化合物、(d)群化合物および塩化金酸塩を含む溶液を含浸させ、含浸担体(A)を得る工程を行い、次いで第2工程:含浸担体(A)をアルカリ性物質と(b)群化合物を含む溶液と接触させ、含浸担体(B)を得る工程、第4工程:含浸担体(B)に、(c)群化合物:ヘテリポリ酸を含む溶液を含浸させ、担持型触媒(D)を得る工程、および第3工程:担持型触媒(D)に、還元処理を行う工程を順次に行う。
還元処理は、含浸担体(A)あるいは(B)を単離した後に行ってもよく、あるいは担持操作に引き続いて行ってもよい。また、担持した全ての(a)群化合物を還元せずに、一部のみを還元してもよい。
還元性物質としては、ヒドラジンや、水素、エチレン、一酸化炭素などが挙げられる。これらの物質を液相または気相で含浸担体(B)または担持型触媒(C)と接触させることにより、(a)群化合物等を還元することができる。
液相法で還元処理を行う場合は、その温度に特に制限はないが、含浸担体(B)あるいは担持型触媒(C)を、0〜200℃前後とすることが好ましい。さらに好ましくは、10〜100℃である。
気相法で還元処理を行う場合は、その温度に特に制限はないが、含浸担体(B)あるいは担持型触媒(C)を、30〜350℃前後に加熱することが好ましい。さらに好ましくは、100〜300℃である。ヘテロポリ酸が先に担持されている場合には、350℃以上で反応を行うと、ヘテロポリ酸が分解してしまう恐れがあるので好ましくない。
気相法還元処理の処理圧力は、設備の点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)であることが実用上有利であるが、特にこれに制限されるものではない。より好ましくは0.1〜1.5MPaG(ゲージ圧)の範囲である。
ガス状還元性物質を流通させる場合、いかなる還元性物質濃度で行ってもよく、必要に応じて窒素、二酸化炭素または希ガスなどを希釈剤として使用することができる。また、気化させた水の存在下に、エチレン、水素等を存在させて、還元を行ってもよい。
還元処理前の触媒を反応系リアクターに充填し、エチレンで還元した後、さらに酸素を導入し、エチレンと酸素から酢酸を製造してもよい。
ガス状還元性物質を含む混合ガスは、標準状態において、空間速度(以下、SVと記す)10〜15000hr−1、特に100〜8000hr−1で触媒と接触させるのが好ましい。
処理形式としては、特に制限はないが、好ましくは耐蝕性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床を採用することが実用上有利である。
<(c)群化合物:ヘテロポリ酸および/またはそれらの塩>
本発明に用いられるヘテロポリ酸は、ポリ原子としてタングステンまたはモリブデンからなるヘテロポリ酸が好ましい。ヘテロ原子としては、リン、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、チタニウム、ジルコニウム、セリウム、コバルト、クロム等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましくは、リン、ケイ素およびホウ素である。
ヘテロポリ酸の具体例としては、ケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸およびホウタングステン酸が挙げられる。好ましくは、下記式で示されるケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸である。ポリ酸の構造は、特に限定されるものではないが、ケギン型構造を持つヘテロポリ酸が好ましい。
ケイタングステン酸:HSiW1240・nH
リンタングステン酸:HPW1240・nH
ケイモリブデン酸:HSiMo1240・nH
リンモリブデン酸:HPMo1240・nH
(式中、nは0または1〜40の整数を表す)
本発明に用いられるヘテロポリ酸の塩は、2種以上の無機酸素酸が縮合して生成した酸の水素原子の一部または全部が置換された金属塩あるいはオニウム塩である。ヘテロポリ酸の水素原子を置換した金属は、周期表における第1、2、11および13族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であるのが好ましく、またヘテロポリ酸のオニウム塩としてはアンモニウム塩などが例示される。これらのヘテロポリ酸の塩のうちでも、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、銅、金、銀およびガリウムの金属塩が特に好ましい。
触媒性能上好ましいヘテロポリ酸の塩としては、リンタングステン酸のリチウム塩、リンタングステン酸のナトリウム塩、リンタングステン酸の銅塩、ケイタングステン酸のリチウム塩、ケイタングステン酸のナトリウム塩およびケイタングステン酸の銅塩を挙げることができる。
(c)群化合物は1種であっても、複数種を組み合わせて使用してもよい。ヘテロポリ酸および/またはその塩を担体に担持する方法としては、含浸法、スプレー法等の手段が挙げられる。含浸の際に用いる溶媒としては、(c)ヘテロポリ酸およびそれらの塩を溶解させるものが好ましく、水、有機溶剤もしくはそれらの混合物を用いることができる。より好ましくは、水、アルコールまたはエーテルが用いられる。
(c)群化合物の担体への担持工程(第4工程)は第3工程(還元処理)の後が好ましいが、先に述べたように第3工程の前であってもよい。あるいは、第1工程に含めることも可能である。すなわち、第1工程において、(a)群化合物と(c)群化合物を同時に担持してもよい。さらには、第1工程の前または直後に(a)群化合物とは別に担持してもよい。
第1工程で、(a)群化合物と(c)群化合物を同時に担持する方法としては、(a)群化合物、(c)群化合物を均質溶液として、同時に担体に担持する方法が挙げられる。より具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶剤や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸に、(a)群化合物、(c)群化合物を溶解させて均質溶液としたのち、これを担体に含浸させ、次いで乾燥する方法が挙げられる。また、(a)群化合物、(c)群化合物から調製されたヘテロポリ酸金属塩を得た後に、適当な溶媒に溶解させて担持させてもよい。ヘテロポリ酸金属塩に用いる好ましいヘテロポリ酸としては、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸およびケイモリブデン酸が挙げられ、金属としてはパラジウムが挙げられる。
第1工程の直前または直後に(c)群化合物を(a)群化合物とは別に担持する方法としては、(a)群化合物の水溶液および(c)群化合物の水溶液をそれぞれ調製し、(a)群化合物の水溶液あるいは(c)の化合物の水溶液を担体に含浸させて(a)群化合物あるいは(c)群化合物を担持させた後,さらにそれを(c)群化合物の水溶液あるいは(a)群化合物の水溶液に含浸させて(c)群化合物あるいは(a)群化合物を担持させる方法が挙げられる。(a)群化合物あるいは(c)群化合物を担持する順序は、どちらが先でもよい。より具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶剤や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸に、(a)群化合物あるいは(c)群化合物を溶解させて、それぞれの均一溶液としたのち、担体に(a)群化合物あるいは(c)群化合物の均質溶液を含浸させ、次いで乾燥後、(c)群化合物あるいは(a)群化合物の均質溶液に含浸させ、乾燥する方法が挙げられる。
<低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒>
本発明の担持型触媒の製造方法により得られる低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒において、(a)群化合物、(b)群化合物、(c)群化合物、(d)群化合物および塩化金酸塩が担体に保持されている触媒中の(a)、(b)、(c)、(d)および塩化金酸塩の組成は、特に制限はない。好ましくは、担持型触媒全体中における質量%として、(a):(b):(c):(d):塩化金酸塩=0.5〜5質量%:0.05〜3.0質量%:5〜50質量%:0.05〜3.0質量%:0.05〜3.0質量%であり、特に好ましくは(a):(b):(c):(d):塩化金酸塩=1.0〜2.5質量%:0.08〜1.0質量%:10〜40質量%:0.08〜1.5質量%:0.08〜1.5質量%である。なお、ここで、各化合物群が複数の化合物からなる場合はそれらの合計量を各成分の組成比とする。また、(a)、(b)、(c)、(d)、塩化金酸塩成分以外には、担体その他の成分がある。
(a)、(b)、(c)、(d)、塩化金酸塩の少なくとも1種の化合物を溶液として担持した後の触媒の乾燥は、いかなる方法で行ってもよい。例えば、低温で真空処理を行う方法や、熱風乾燥機で熱処理により、溶媒を取り除く方法等が挙げられる。
本発明で製造される低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒に含まれる金属元素およびヘテロポリ酸の担持量、組成比は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(以下、ICPと記す)、蛍光X線分析(以下、XRFと記す)、原子吸光分析法等の化学分析によりかなり正確に知ることができる。
測定法の例としては、一定量の触媒を、乳鉢等で粉砕して均一な粉末とした後、その触媒粉末をフッ酸、王水等の酸に加えて加熱攪拌し、溶解させて均一な溶液とする。次に、その溶液を純水によって適当な濃度まで希釈し、分析用の溶液とする。その溶液をICPによって、定量分析する方法が挙げられる。
次に、本発明で得られる触媒を用いた低級脂肪族カルボン酸の製造工程について説明するが、ここでは、簡単のため、本発明の担持型触媒を用い、固定床流通反応装置においてエチレンと酸素の気相反応により酢酸を得る場合を例として説明する。
本発明の酢酸の製造方法においては、エチレンと酸素とを反応させて、酢酸を製造する際の反応温度に特に制限はない。好ましくは100〜300℃であり、さらに好ましくは120〜250℃である。また、反応圧力は、設備の点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)であることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは0.1〜1.5MPaG(ゲージ圧)の範囲である。
反応系に供給するガスは、エチレンと酸素を含み、さらに必要に応じて窒素、二酸化炭素または希ガスなどを希釈剤として使用することができる。
かかる供給ガス全量に対して、例えば、エチレンは5〜80容量%、好ましくは8〜50容量%の割合となる量で、また酸素は1〜15容量%、好ましくは3〜12容量%の割合となる量で反応系に供給される。
また、この反応系においては、水を反応系内に存在させると、酢酸生成活性と選択率の向上および触媒の活性維持に著しく効果がある。水蒸気は反応ガス中に1〜50容量%の範囲で含まれるのが好適であるが、より好ましくは5〜40容量%である。
この反応系において、原料エチレンとして高純度のものを用いることが好ましいが、メタン、エタン、プロパン等の低級飽和炭化水素が多少混入していても差し支えない。また、酸素は窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気の形でも供給できるが、反応ガスを循環させる場合には、一般には高濃度、好適には99%以上の酸素を用いるのが有利である。
反応混合ガスは、標準状態において、SV=10〜15000h−1、特に300〜8000h−1で触媒に通されるのが好ましい。
反応形式としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、固定床、流動床などの形式を採り得る。好ましくは、耐蝕性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床を採用することが、実用上有利である。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
<担体の前処理>
実施例で用いた全ての担体は、前処理として、110℃、空気下で、4時間乾燥を行ったものである。
<水>
実施例で用いた水は、全て脱イオン水である。
<担体>
実施例で用いた担体は、全てシリカ担体[BET比表面積148m/g、嵩密度405g/l、5mmφ、海源社製]である。
<原料化合物>
塩化パラジウム酸ナトリウム[NaPdCl]の塩酸水溶液(エヌイーケムキャット株式会社製)
ケイタングステン酸26水和物[HSiW1240・26HO](日本無機化学工業株式会社製)
リンモリブデン酸30水和物[H3PMo1240・30HO](日本無機化学工業製)
塩化亜鉛[ZnCl](和光純薬製)
塩化金酸[HAuCl・4HO]の塩酸水溶液(エヌイーケムキャット株式会社製)
塩化金酸ナトリウム[NaAuCl・4HO]の塩酸水溶液(エヌイーケムキャット株式会社製)
メタケイ酸ナトリウム9水和物[NaSiO・9HO](和光純薬製)
亜テルル酸ナトリウム[NaTeO](和光純薬製)
亜セレン酸ナトリウム[NaSeO](和光純薬製)
ヒドラジン1水和物[N・HO](和光純薬製)
実施例1
Pd濃度を20.24質量%に調整した塩化パラジウム酸ナトリウム水溶液:2.47g、Zn濃度を4.8質量%に調整した塩化亜鉛水溶液:1.6g、Au濃度を純水で23.13質量%に調整した塩化金酸ナトリウム塩酸水溶液1.3gを混合し、イオン交換水でメスアップし、水溶液20mlを調製した(A−1溶液)。このA−1溶液をシリカ担体(50g)に含浸させ、全量吸収させた。次に、メタケイ酸ナトリウム9水和物:3.8gと亜テルル酸ナトリウム:70mgを、40mlの水に溶解して得た水溶液をシリカ担体に含浸させ、室温で20時間静置した。その後、さらにヒドラジン1水和物:6.5gを添加し、緩やかに攪拌した後、室温で4時間静置した。担体を濾取後、ストップコック付きのガラスカラムに移し、40時間純水を流通させて洗浄した。次いで、空気気流下、110℃で4時間乾燥し、含浸担体(A−1)を得た。
さらに、ケイタングステン酸26水和物:10.6gおよびリンモリブデン酸30水和物:65mgを均一水溶液とし、20mlにメスアップした(B−1溶液)。このB−1溶液を、先に調製した含浸担体(A−1)に含浸させ、全量吸収させた。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、酢酸製造用触媒1を得た。
実施例2
亜テルル酸ナトリウム:70mgの替わりに亜セレン酸ナトリウム:43.8mgを使用した以外は実施例1と同様にして酢酸製造用触媒2を得た。
実施例3
Pd濃度を20.24質量%に調製した塩化パラジウム酸ナトリウム溶液:2.47g、Zn濃度を4.5質量%に調製した塩化亜鉛水溶液:1.3g、Au濃度を純水で23.13質量%に調整した塩化金酸ナトリウム塩酸水溶液0.87gを混合し、イオン交換水でメスアップし、水溶液20mlを調製した(A−3溶液)。このA−3溶液をシリカ担体(50g)に含浸し、全量吸収させた。次に、メタケイ酸ナトリウム9水和物:8.0gと亜テルル酸ナトリウム:200mgを、90mlの水に溶解して得た水溶液をシリカ担体に含浸させ、室温で20時間静置した。その後、さらにヒドラジン1水和物:6.5gを添加し、緩やかに攪拌した後、室温で4時間静置した。担体を濾取後、ストップコック付きのガラスカラムに移し、40時間純水を流通させて洗浄した。次いで、空気気流下、110℃で4時間乾燥し、含浸担体(A−3)を得た。
さらに、ケイタングステン酸26水和物:20.7gを均一水溶液とし、45mlにメスアップした(B−3溶液)。このB−3溶液に、先に調製した含浸担体(A−3)を含浸させ、全量吸収させた。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥することで、酢酸製造用触媒3を得た。
比較例1
塩化金酸ナトリウム塩酸水溶液1.3gの代りにAu濃度を純水で10質量%に調整した塩化金酸塩酸水溶液3.0gを使用した以外は実施例1と同様にして酢酸製造用触媒4を得た。
比較例2
塩化金酸ナトリウム塩酸水溶液0.87gの替わりにAu濃度を純水で10質量%に調整した塩化金酸塩酸水溶液4.0gを使用した以外は実施例3と同様にして酢酸製造用触媒5を得た。
酢酸製造用触媒1(実施例1)および酢酸製造用触媒4(比較例1)について、それぞれの触媒粒子の最大断面積を与える各断面のEPMA(日本電子製、JXA8900)測定を行った。EPMAプロファイルを図1および図2に示す。図1から、実施例1の触媒は、比較例1のそれよりもエッグシェル内におけるパラジウムが、より均一に分布していることが分かる。
実施例4、実施例5および比較例3
実施例1で得た酢酸製造用触媒1、実施例2で得た酢酸製造用触媒2および比較例1で得た酢酸製造用触媒4のそれぞれ5mlを、11mlのシリカで均一に希釈した後、SUS316L製反応管(内径25mm)に充填し、触媒層の反応ピーク温度200℃、反応圧力0.8MPaG(ゲージ圧)で、エチレン:酸素:水:窒素の容量比=10:6:25:59の割合で混合したガスを、空間速度9000h−1にて導入して、エチレンと酸素から酢酸を得る反応を行った。
反応における分析方法として、触媒充填層を通過した出口ガスの全量を冷却し、凝縮した反応捕集液の全量を回収し、ガスクロマトグラフィーで分析する方法を用いた。凝縮せずに残った未凝縮ガスについては、サンプリング時間内に流出した未凝縮ガスの全量を測定し、その一部を取り出し、ガスクロマトグラフィーで組成を分析した。生成したガスを冷却し、冷却後の凝縮液およびガス成分をそれぞれガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−14B、FID検出器:キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm))にて分析した。
触媒の活性度を、触媒体積(リットル)当たりで製造された時間当たりの酢酸の質量(空間時間収率:STY、単位:g/hLcat)として計算した。二酸化炭素選択率は、以下の算出式によって求めた。
反応初期における酢酸STYと二酸化炭素選択率を表1に示す。表1から実施例1および実施例2の触媒は、比較例1のそれよりも酢酸STYの向上並びに二酸化炭素選択率の抑制に優れた触媒であるといえる。
実施例6および比較例4
実施例3および比較例2で得た酢酸製造用触媒3、5のそれぞれ50mlを、150mlのシリカで均一に希釈した後、SUS316L製反応管(内径27mm)に充填し、触媒層の反応ピーク温度210℃、反応圧力0.68MPaG(ゲージ圧)で、エチレン:酸素:水:窒素の容量比=10:6:25:59の割合で混合したガスを、空間速度4000h-1にて導入して、エチレンと酸素から酢酸を得る反応を行った。
実施例4と同様の分析手法により、反応初期および反応開始から1000時間後の酢酸STYを決定した。また、その間の酢酸STYの低下量を以下の算出式により求めた。
x:反応時間(反応初期)
y:反応時間(約1000時間後)
反応初期および反応開始から1000時間後の酢酸STY、およびその間の酢酸STYの低下量を表2に示す。表2の結果から実施例6の触媒は、比較例4のそれよりも触媒性能劣化の抑制に優れた触媒であるといえる。
本発明は、得られる担持型触媒を用いることにより、低級オレフィンと酸素との反応による低級脂肪族カルボン酸の製造において、低級脂肪族カルボン酸の生成量の向上および炭酸ガスの副生を抑制することが可能となるので、産業上有用である。
実施例1で得られた触媒1のEPMAプロファイル。 比較例1で得られた触媒4のEPMAプロファイル。

Claims (12)

  1. 以下の第1、第2および第3工程をその順で含むことを特徴とする、低級オレフィンと酸素による低級脂肪族カルボン酸製造用担持型触媒の製造方法。
    第1工程
    担体に周期表の第8、9および10族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(a)群化合物という)の少なくとも1種と、銅、銀および亜鉛から選ばれる元素の塩化物(以下、(d)群化合物という)の少なくとも1種と、並びに塩化金酸塩とを含む溶液を含浸させて、含浸担体(A)を得る工程
    第2工程
    含浸担体(A)を、アルカリ性物質、並びにガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルルおよびポロニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物(以下、(b)群化合物という)と接触させて、含浸担体(B)を得る工程(ただし、アルカリ性物質と(b)群化合物とは含浸担体(A)と同時に接触させても、別々に接触させてもよい)
    第3工程
    含浸担体(B)を還元性物質と接触させて、担持型触媒(C)を得る工程
  2. ヘテロポリ酸およびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、(c)群化合物という)を担体に担持させる工程をさらに含む、請求項1に記載の担持型触媒の製造方法。
  3. (d)群化合物が亜鉛の塩化物である、請求項1または2に記載の担持型触媒の製造方法。
  4. 塩化金酸塩が塩化金酸アルカリ金属塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  5. (a)群化合物がルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  6. (b)群化合物がガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、セレンおよびテルルから選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  7. (c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩のポリ原子がタングステンおよび/またはモリブデンである、請求項2〜6のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  8. (c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩のヘテロ原子がリン、ケイ素およびホウ素から選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項2〜7のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  9. (c)群化合物のヘテロポリ酸および/またはその塩がケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項2〜8のいずれかに記載の担持型触媒の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造された、エチレンと酸素との反応による酢酸製造用担持型触媒。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造された担持型触媒を使用することを特徴とする、低級オレフィンと酸素との反応による低級脂肪族カルボン酸の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造された担持型触媒を使用することを特徴とする、エチレンと酸素との反応による酢酸の製造方法。
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