JP2021037429A - 酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法 - Google Patents

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卓也 今井
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Abstract

【課題】酢酸アルケニルの選択率が高い酢酸アルケニル製造用触媒を選択する方法を提供する。【解決手段】少なくともパラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アルケニル製造用触媒候補群から、前記銅化合物の少なくとも一種が銅複塩の形で存在する触媒を選択する。【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸アルケニル製造用触媒を選択する方法に関する。
酢酸アルケニルの製造として、例えば、酢酸アリルの製造においては、プロピレン、酢酸および酸素を原料として、主生成物として酢酸アリルが製造され、副生成物として二酸化炭素が発生する。コスト上、製造される酢酸アリルの選択率が低いことは好ましくないため、より高い選択率で製造できる製造用触媒が求められている。
特許文献1には、パラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アリル製造用触媒の製造方法が開示されている。
特開2008−279437号公報
特許文献1に開示の触媒において、触媒の製造時に銅を有する化合物を添加することで、活性低下の抑制、選択率の改善につながることが示されているが、実際に製造される触媒の選択率にはばらつきがあり、製造された触媒候補群から選択率が高い触媒を選択する方法は不明であった。
本発明は以下に示す構成を備える。
[1]少なくともパラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アルケニル製造用触媒候補群から、
前記銅化合物の少なくとも一種が銅複塩の形で存在する触媒を選択することを特徴とする酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[2]前記銅複塩が、銅の可溶性成分である前項1に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[3]前記銅の可溶性成分が水に可溶である前項1または2に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[4]前記銅の可溶性成分の割合が、触媒中の銅化合物からの銅の溶出率として50%以上である前項1〜3のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[5]前記銅複塩がカリウム原子および/またはセシウム原子を含むことを特徴とする前項1〜4のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[6]前前記銅複塩がさらに酢酸分子もしくは酢酸イオンのいずれか1種類以上を含むことを特徴とする前項1〜5のいずれか記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
[7]前項1〜6のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法によって選択された触媒を用いることを特徴とする酢酸アルケニルの製造方法。
[8]前記酢酸アルケニルが酢酸アリルである前項7に記載の酢酸アルケニルの製造方法。
本発明の選択方法により選択された酢酸アルケニル製造用触媒を用いて製造すると酢酸アルケニルの選択率が高い。
実施例1で作製した触媒BのX線回折図形と、参考例1のリファレンス銅複塩のX線回折図形とを比較して示す図である。 実施例1、実施例2、比較例1および比較例2で作製した各触媒の性能評価結果を示す選択率−空間時間収率(STY)の関係を示す図である。
以下、本発明の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の選択方法は、酢酸アルケニル製造用触媒のうち、選択率が高い触媒を推定する方法であって、銅化合物の少なくとも一種が銅複塩の形で存在する触媒を選択する方法である。
従来、酢酸アルケニル製造用触媒候補群において、触媒中の、選択率に寄与する銅成分の特定はできておらず、触媒評価装置で時間をかけて評価する必要があった。本発明の選択方法を用いることにより、銅複塩を含む触媒を選択することで、時間をかけずに、酢酸アルケニルの選択率が高い触媒を選択することができる。
本実施形態の選択方法が対象とする触媒候補群は、少なくともパラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アルケニル製造用触媒の触媒候補群である。
本実施形態の選択方法で選択する、酢酸アルケニル製造用触媒が含む銅化合物の少なくとも一種は銅複塩の形で触媒中に存在する。
銅複塩は、銅原子を含むとともに、複数の金属塩を含む複塩であり、後述する実施例において示すように、銅複塩の形で存在することをX線回折測定によって確認することができる。
銅化合物は、好ましくは銅の可溶性成分として触媒に含まれる。銅の可溶性成分は、水、エタノールまたは酢酸に可溶であることが好ましく、水に可溶であることがより好ましい。
銅の可溶性成分の含有量は、後述の銅の溶出率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましい。銅の可溶性成分をこの範囲で含むことにより、本発明の選択方法で選択した製造用触媒を用いて酢酸アルケニルを製造したとき、製造される酢酸アルケニルの選択率が高い。
銅複塩は、銅以外の金属元素を少なくとも1種類以上含むことが好ましい。銅以外の金属元素は、アルカリ金属であることが好ましく、カリウムおよび/またはセシウムであることがより好ましい。これらのアルカリ金属を含むと、活性低下の抑制ができ好ましい。アルカリ金属は、本発明の選択方法で選択される製造用触媒中に、アルカリ金属イオンとして存在する。
銅複塩は、酢酸分子もしくは酢酸イオンのいずれか1種類以上を含むことが好ましい。
(酢酸アルケニル製造用触媒)
本実施形態の選択方法が対象とする酢酸アルケニル製造用触媒は、少なくともパラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アルケニル製造用触媒である。好ましくはさらに金を含む触媒である。
銅化合物中に含まれる銅の可溶性成分は、銅、カリウム、酢酸イオンからなる銅複塩であることが好ましい。この場合、これらの構成要素の含有比は、銅、カリウムおよび酢酸イオンの質量比が、銅:カリウム:酢酸イオン=1:1〜20:2〜20の範囲の割合で銅複塩を形成している。
(酢酸アリル製造用触媒の製造)
本実施形態の選択方法が対象とする酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法として、酢酸アリル製造用触媒の製造を例として説明する。酢酸アリル製造用触媒は、以下の成分からなり、その製造方法は後述する各工程からなる。以下、これらの成分および工程について説明する。
(酢酸アリル製造用触媒が含む成分)
酢酸アリル製造用触媒は、少なくとも(a)パラジウム、(c)銅元素を有する化合物、および(d)アルカリ金属塩化合物からなる。酢酸アリル製造用触媒は、さらに(b)金、および/または(e)担体を含んでもよい。
(a)パラジウム
(a)パラジウムとは、いずれの価数を持つものであってもよいが、好ましくは金属パラジウムである。ここでいう「金属パラジウム」とは、0価の価数を持つものである。金属パラジウムは、通常、2価および/または4価のパラジウムイオンを、還元剤である、例えば、ヒドラジン、水素などを用いて還元することにより得ることができる。この場合、全てのパラジウムが金属状態になくてもよい。
パラジウムの原料すなわちパラジウムを含む化合物には、特に制限はない。金属パラジウムを用いることはもちろん、金属パラジウムに転化可能なパラジウム前駆体を用いることも可能である。パラジウム前駆体の例としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、塩化パラジウム酸バリウム、酢酸パラジウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、塩化パラジウム酸ナトリウムが用いられる。また、パラジウム前駆体は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
触媒が、(e)担体を含む場合、触媒中の(a)パラジウムと(e)担体との質量比は、好ましくは(a):(e)=1:10〜1:1000、より好ましくは(a):(e)=1:20〜1:500である。この比は、例えば、パラジウム原料としてパラジウム前駆体を使用する場合は、使用するパラジウム前駆体中のパラジウム元素の質量と担体の質量との比で算出する。
(b)金
触媒は、(b)金を含むことが好ましい。(b)金は、金元素を含む化合物の形で担体に担持されるが、最終的には実質的にすべてが金属金であることが好ましい。ここでいう「金属金」とは、0価の価数を持つものである。金属金は、通常、1価および/または3価の金イオンを、還元剤であるヒドラジン、水素などを用いて還元することにより得ることができる。この場合、全ての金が金属状態になくてもよい。
金の原料すなわち金を含む化合物には、特に制限はない。金属金を用いることはもちろん、金属金に転化可能な金前駆体を用いることも可能である。金前駆体の例としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、塩化金酸が用いられる。また、金前駆体は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
触媒が、(b)金と(e)担体との両方を含む場合には、触媒中の(b)金と(e)担体の質量比は、好ましくは(b):(e)=1:40〜1:65000、より好ましくは(b):(e)=1:550〜1:4700、さらに好ましくは(b):(e)=1:650〜1:4000である。この比は、例えば、金原料として金前駆体を担持する場合は、使用する金前駆体中の金元素の質量と担体の質量との比で算出する。
触媒が(b)金を含む場合、触媒中の(b)金の量は、パラジウム100質量部に対し、好ましくは1.7〜14質量部であり、より好ましくは2.0〜12質量部、最も好ましくは2.0〜3.5質量部である。なお、ここでの質量比は金およびパラジウム元素の質量比である。このような金の量にすることで、酢酸アリル生成反応における触媒の活性維持と、酢酸アリル選択率をバランス良く得ることができる。
(c)銅化合物
本実施形態において、(c)銅化合物としては、銅の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物などの可溶性塩を使用することができる。有機酸塩としては酢酸塩などが挙げられる。一般には、入手しやすく、水溶性である化合物が好ましい。好ましい化合物としては、硝酸銅、酢酸銅が挙げられる。これらの中では、原料の安定性、入手のしやすさの観点から、酢酸銅が最も好ましい。(c)銅化合物は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
触媒が(e)担体を含む場合、触媒中の(c)銅化合物と(e)担体の質量比は、好ましくは(c):(e)=1:10〜1:500、より好ましくは(c):(e)=1:20〜1:400である。この比は、例えば、銅化合物の原料として塩化物を担持する場合は、使用する塩化物中の銅元素の質量と担体の質量との比で算出する。
(d)アルカリ金属塩化合物
本発明において、(d)アルカリ金属塩化合物は、アルカリ金属塩化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの水酸化物、酢酸塩、硝酸塩および炭酸水素塩などが挙げられる。なかでも酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸セシウムが好ましく、より好ましくは酢酸カリウム、酢酸セシウムである。
触媒が(e)担体を含む場合、触媒中の(d)アルカリ金属塩化合物と(e)担体の質量比は、好ましくは(d):(e)=1:2〜1:50、より好ましくは(d):(e)=1:3〜1:40である。この比は、使用するアルカリ金属塩化合物の質量と担体の質量との比で算出する。
(e)担体
(e)担体には、特に制限はない。触媒用担体として一般に用いられている多孔質物質であればよい。好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、珪藻土、モンモリロナイト、チタニアおよびジルコニアが挙げられ、より好ましくはシリカである。触媒が(e)担体を含む場合、担体としてシリカを主成分とするものを用いる場合には、担体のシリカ含有量は、担体の質量に対して、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%である。
担体は、B.E.T法で測定した比表面積が10〜1000m/gの範囲であることが好ましく、特に好ましくは100〜500m/gの範囲である。また、担体の嵩密度は、50〜1000g/lの範囲であることが好ましく、特に好ましくは300〜500g/lの範囲である。また、後述する担体の吸水率は、0.05〜3g/g−担体であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜2g/g−担体の範囲である。担体の細孔構造は、その平均細孔直径が1〜1000nmにあることが好ましく、特に好ましくは2〜800nmの範囲である。平気細孔直径が1nmより小さいとガスの拡散が困難となることがある。また、細孔直径が1000nmより大きいと、担体の比表面積が小さくなりすぎて、触媒活性が低下する恐れがある。
(担体の吸水率)
本実施形態では、担体の吸水率は、以下の測定方法で測定した数値をいう。
1.担体約5gを天秤で精秤し、100ccのビーカーに入れる。このときの質量をw1とする。
2.担体が完全に覆われるように、純水(イオン交換水)約15mlをビーカーに加える。
3.30分間放置する。
4.担体から上澄みの純水を除く。
5.担体の表面に付着した水を、表面の光沢がなくなるまで、紙タオル等で軽く押さえて除去する。
6.担体+純水の質量を精秤する。このときの質量をw2とする。
7.以下の式から担体の吸水率を算出する。
吸水率(g/g−担体)=(w2−w1)/w1 …式(1)
したがって、担体の吸水量(g)は担体の吸水率(g/g−担体)×使用する担体の質量(g)により計算される。
担体の形状には特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。酢酸アルケニルの重合に用いられる反応形式や反応器などに対応して、最適な形状を選択すればよい。
担体の粒子の大きさにも特に制限はない。気相反応用固定床の管状型反応器に用いる際は、担体が球状である場合、その粒子直径は1〜10mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜8mmの範囲である。管状反応器に触媒を充填して気相反応を行う場合、粒子直径が1mmより小さいと、ガスを流通させるときに大きな圧力損失が生じ、有効にガス循環できなくなる恐れがある。また、粒子直径が10mmより大きいと、触媒内部まで反応ガスが拡散できなくなり、有効に触媒反応が進まなくなる恐れがある。
(酢酸アリル製造用触媒の製造工程)
酢酸アリル製造用触媒の製造工程は、以下の工程からなることを特徴とする。
工程1.パラジウムを含む化合物および金を含む化合物の均一溶液を調製し、(e)担体と接触させて前記両化合物を担体上に担持する工程、
工程2.工程1で得られた担体に(f)アルカリ溶液を接触させ、含浸させる工程、
工程3.工程2で得られた担体に還元処理を行う工程、
および
工程4.工程3で得られた担体に(c)銅化合物および(d)アルカリ金属塩化合物を担持する工程。
(f)アルカリ溶液
工程2において用いる(f)アルカリ溶液としては特に制限はなく、いかなるアルカリ性の溶液でも用いることができる。アルカリ溶液の原料の例としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の重炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のケイ酸塩などのアルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、アルカリ土類金属としてはバリウムおよびストロンチウムが好ましい。なかでも好ましいアルカリ性化合物としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。アルカリ溶液との接触により、パラジウム化合物の一部または全部、金化合物の一部または全部を酸化物または水酸化物に変換することができる。
(f)アルカリ溶液として用いるアルカリ性化合物の使用量としては、適切には、(a)パラジウムのモル量に対して、または(a)パラジウムと(b)金との合計モル量に対して過剰の量を使用する。例えば、アルカリ性化合物は、(a)パラジウム1モル当たり好ましくは1〜3モル、より好ましくは1.2〜2.5モルの量を使用する。また、(b)金1モル当たり好ましくは2〜10モル、より好ましくは3〜8モルの量を使用する。
アルカリ溶液を形成する場合の溶媒としては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノールなどが好ましい例として挙げられる。
次に各工程について、触媒が(b)金と(e)担体との両方を含む場合を例として、説明する。
工程1;
工程1では、パラジウムを含む化合物と金を含む化合物を含む均一溶液を調製し、均一溶液を(e)担体に接触させて担持を行う。これらの化合物の担体への担持状態としては、いわゆる「エッグシェル型」であることが好ましい。エッグシェル型担持触媒を得る場合、パラジウムを含む化合物と金を含む化合物の均一溶液の担体への担持方法は、結果的にエッグシェル型担持触媒が得られる方法であれば特に制限はない。エッグシェル型担持触媒とは、担体粒子、成形体内における活性成分(例えば、金属パラジウム)の分布状態のひとつで、ほとんどの活性成分が担体粒子または成形体の外表面に存在する状態のことをいう。その方法としては、具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶媒、塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸あるいはそれらの溶液にその原料化合物を溶解させ、担体の表層に直接的に担持させる方法や、間接的に担持させる方法などが挙げられる。直接的に担持させる方法としては、含浸法やスプレー法を挙げることができる。間接的に担持させる方法としては、後述のように、先にパラジウムを含む化合物と金を含む化合物との均一溶液を担体に接触させて均一に担持させ(工程1)、次いで(f)アルカリ溶液との接触含浸(工程2)によって内部のパラジウムを含む化合物と金を含む化合物を表面に移動させた後、これらの化合物の還元を行う(工程3)方法などを挙げることができる。
パラジウムを含む化合物と金を含む化合物との担体への担持は、パラジウムを含む化合物と金を含む化合物の均一溶液を調製し、その溶液を適切な量の担体に接触させて、含浸させることにより行うことができる。より具体的には、水またはアセトンなどの適当な溶剤や塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸、有機酸にパラジウムを含む化合物と金を含む化合物を溶解させて均一溶液とした後に、これと担体とを接触させて、含浸させ、含浸担体(A)を得る。含浸に続いて乾燥を行ってもよいが、乾燥工程を省略して工程2へ進む方が工程を省略できるため好ましい。
工程2
工程2は、工程1で得られた含浸担体(A)に(f)アルカリ溶液を接触含浸させ、含浸担体(B)を得る工程である。
工程2で用いるアルカリ性物質は、そのもの自体が液体であれば、そのままでも構わないが、溶液の形態で供給されることが好ましい。好ましくは、水および/またはアルコールの溶液である。含浸担体(A)とアルカリ溶液との接触条件には特に制限はないが、接触時間は0.5〜100時間の範囲が好ましく、3〜50時間の範囲がより好ましい。接触時間が前述の範囲であると、十分な性能が得られるとともに、担体へのダメージを抑えることができる。
接触温度には特に制限はないが、10〜80℃の範囲が好ましく、20〜60℃の範囲がより好ましい。接触温度が前述の範囲であると、変換速度が十分であるとともに、パラジウムや金の凝集を抑えることができる。工程2で得られたアルカリ溶液を接触含浸させたものを含浸担体(B)と称する。
工程3
工程3は、工程2で得られた含浸担体(B)に還元処理を行う工程である。還元方法としては、液相還元および気相還元のどちらを用いることもできる。本工程で得られた金属担持担体を金属担持担体(C)とする。
還元反応は、含浸担体(B)と還元剤またはその溶液とを接触させることで行う。液相還元は、アルコールや炭化水素類を用いた非水系、水系のいずれで行ってもよい。還元剤としては、カルボン酸およびその塩、アルデヒド、過酸化水素、糖類、多価フェノール、ジボラン、アミン、ヒドラジンなどを用いることができる。カルボン酸およびその塩の例としては、シュウ酸、シュウ酸カリウム、ギ酸、ギ酸カリウム、クエン酸アンモニウムが挙げられる。糖類としては、グルコースが挙げられる。なかでも、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ハイドロキノン、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸カリウムなどが好ましく、より好ましくはヒドラジンである。
液相法で還元を行う場合、その温度に特に制限はないが、0〜200℃の範囲とすることが好ましい。さらには10〜100℃の範囲であることが好ましい。還元温度が前述の範囲であると、十分な還元速度が得られるとともに、パラジウムや金の凝集を抑えることができる。
気相還元で行う場合、含浸担体(B)と還元性気体(還元剤)とを接触させて行う。気相還元に用いる還元性気体は、例えば、水素、一酸化炭素、アルコール、アルデヒドやエチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィンから選択される。好ましくは、水素、プロピレンである。
気相還元を行う場合、その温度に特に制限はないが、含浸担体(B)を30〜350℃の範囲に加熱することが好ましい。さらには100〜300℃の範囲であることが好ましい。還元温度が前述の範囲であると、十分な還元速度が得られるとともに、パラジウムや金の凝集を抑えることができる。
気相還元処理の処理圧力は、特に制限はないが、設備の観点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることが好ましい。さらに0.1〜1.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることが好ましい。
気相還元を行う場合の還元性ガスの供給は、標準状態において、空間速度(以下、SVとも記す)10〜15000hr−1の範囲であることが好ましく、100〜8000hr−1の範囲で行われることが特に好ましい。
気相還元は、いかなる還元性物質濃度で行ってもよく、必要に応じて希釈剤として、不活性ガスを加えてもよい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられる。また、気化させた水の存在下に水素ガス、プロピレンガスなどを存在させて還元を行ってもよい。
また、還元処理前の触媒を反応器に充填し、プロピレンガスで還元した後、さらに酸素ガスおよび酢酸ガスを導入し、酢酸アリルの製造を行ってもよい。
還元された担体には、必要に応じて水による洗浄を行ってもよい。洗浄は、流通方式で行ってよく、バッチ方式で行ってもよい。洗浄温度は、5〜200℃の範囲が好ましく、15〜80℃の範囲がより好ましい。洗浄時間には特に制限はない。残存する好ましくない不純物の除去を行うのに十分な条件を選択することが好ましい。この場合の好ましくない不純物とは、例えば、ナトリウムや塩素が挙げられる。
工程4
工程4は、工程3で得られた金属担持担体(C)に、(c)銅化合物および(d)アルカリ金属塩化合物を担持する工程である。
金属担持担体(C)に、(c)銅化合物および(d)アルカリ金属塩化合物の必要量を含む担体吸水量の0.9〜1.0倍の溶液を接触させて含浸させ、乾燥することにより各化合物を担持する。このときの溶媒には特に制限はない。使用するアルカリ金属塩化合物を担体吸水量の0.9〜1.0倍の溶液で溶解することができるものであればどんな溶媒をも使用することができる。好ましくは水である。
乾燥温度、時間には特に制限はない。
触媒成分組成
本実施形態の製造方法により得られる酢酸アリル製造用触媒での(a)、(b)、(c)および(d)の質量比は、好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.00125〜22.5:0.02〜90:0.2〜450であり、より好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.017〜0.14:0.04〜50:0.4〜250であり、特に好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.020〜0.12:0.04〜50:0.4〜250である。なお、(a)、(b)、(c)については成分元素の質量、(d)についてはアルカリ金属塩化合物の質量の比である。
本実施形態で製造される酢酸アリル製造用触媒に含まれる金属元素の担持量、組成比は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置、蛍光X線(XRF)分析、原子吸光(AES)分析法などの化学分析により測定することができる。
測定法の例としては、一定量の触媒を、乳鉢等で粉砕し均一な粉末とした後、その触媒をフッ酸、王水等の酸に加えて加熱攪拌し、溶解させて均一な溶液とする。次に、その溶液を純水によって適当な濃度まで希釈し、その溶液をICP発行分析によって定量分析を行う方法が挙げられる。
(酢酸アリルの製造)
以下、酢酸アリル製造用触媒を用いた、酢酸アリルの製造方法について説明する。
酢酸アリルの製造のための反応は、プロピレン、酸素および酢酸のガスを原料とし、気相で行うことが好ましい。気相反応の形式としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、固定床、流動床などの形式を取ることができる。好ましくは、耐食性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床流通反応を採用することが実用上有利である。反応式は次式のとおりである。
CH=CHCH+CHCOOH+1/2O
CH=CHCHOCOCH+HO …式(2)
反応器に供給するガスはプロピレン、酸素および酢酸を含み、さらに必要に応じて窒素、二酸化炭素、希ガスなどを希釈剤として使用することができる。
本発明で用いる原料ガスは、モル比として、酢酸:プロピレン:酸素=1:1〜12:0.5〜2の範囲で選択することが好ましい。
また、酢酸アリルの製造のための反応においては、水を反応系内に存在させると、酢酸アリル生成活性と触媒の活性維持に著しく効果がある。水蒸気は、反応に供給するガス中に0.5〜20容量%の範囲で存在させることが好適である。
反応器に供給するガスにおいて、プロピレンガスは高純度のものを用いることが好ましいが、メタン、エタン、プロパンなどの低級飽和炭化水素ガスが混入していても差し支えない。また、酸素ガスは窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気の形でも供給できるが、反応ガスを循環させる場合には、一般には高濃度、好適には99容量%以上の酸素ガスを用いるのが有利である。
反応温度に特に制限はない。好ましくは100〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは120〜250℃の範囲である。また、反応圧力は、設備の点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは、0.1〜1.5MPaG(ゲージ圧)の範囲である。
固定床流通反応で反応を行う場合、反応器に供給するガスは、標準状態においてSV=10〜15000hr−1の範囲で触媒に供給されることが好ましく、特に好ましい範囲としては、300〜8000hr−1の範囲である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定もされるものではない。
実施例
<酢酸アリル製造用触媒の製造>
シリカ球状担体(球体直径5mm、比表面積155m/g、吸水率0.85g/g−担体、上海海源化工科技有限公司製HSV−I、以下単に「シリカ担体」という。)を用い、以下の手順で製造を行った。
工程1:パラジウムが19.79質量%となるように調整した塩化パラジウム酸ナトリウム水溶液30.3g、金が10質量%となるように調整した塩化金酸水溶液6.13gを混合し、純水で382mlにメスアップし、A−1溶液とした。これにシリカ担体(嵩比重473g/L、吸水量402g/L)1Lを加え、A−1溶液を含浸させて、全量を吸収させて、金属担持担体を得た。
工程2:メタケイ酸ナトリウム9水和物35.6gに純水を加えて溶解させ、803mlにメスアップし、A−2溶液とした。工程1で得た金属担持担体にA−2溶液を含浸させ、室温で20時間静置してアルカリ処理シリカ担体を得た。
工程3:工程2で得られたアルカリ処理シリカ担体のスラリーにヒドラジン1水和物26.6gを添加し、緩やかに攪拌した後、室温で4時間静置した。得られた触媒を濾過後、ストップコック付のガラスカラムに移し、40時間純水を流通させて洗浄した。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥を行い、金属担持触媒(A−3)を得た。
工程4:酢酸カリウム52g、酢酸銅1水和物2.5gに純水を加えて溶解させ、361mlにメスアップした。これに工程3で得られた金属担持触媒(A−3)を加え、全量を吸収させた。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥を行い、酢酸アリル製造用触媒Aを得た。
実施例1,2;
上記方法で作製した触媒Aを用いて、酢酸アリル製造用実機プラントで下記の条件下で6000時間、連続運転した。
反応管に触媒Aを充填し、反応温度150〜160℃、反応圧力0.8MPaG(ゲージ圧)、ガス組成;プロピレン:酸素:酢酸:水の容積比=29:6:7.1:19:38.9の割合での混合ガス、ガスの空間速度2070h−1の反応条件で、酢酸アリルを合成した。
触媒Aの使用後触媒のうち、反応管、使用時期が異なる任意の触媒を選択して取り出し、酢酸アリル製造用触媒B(実施例1)および触媒C(実施例2)とした。
<銅の可溶性成分の割合(銅の溶出率)の算出>
本発明の選択方法が対象とする触媒中の銅化合物のうち、銅の可溶性成分の割合(以下、銅溶出率とも記す。)の算出は、以下のようにして行った。
酢酸アリル製造用触媒に含まれる銅元素の含有量、および銅の可溶性成分の量は、いずれも高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(Analytikjena社製、型番;PQ9000)を用いて測定値を得た。
酢酸アリル製造用触媒に含まれる銅元素の含有量については下記の通りに実施した。一定量の触媒を、乳鉢等で粉砕し均一な粉末とした後、その触媒をフッ酸、王水等の酸に加えて加熱攪拌し、溶解させて均一な溶液とする。次に、その溶液を純水によって適当な濃度まで希釈し、その溶液をICP発光分析装置を用いて定量分析を実施し、銅元素の含有量を得た。
次に、銅化合物のうちの銅の可溶性成分の定量分析については下記の通りに実施した。
触媒約50mgを、乳鉢を用いて粉砕して粉体とした。この粉体に水5mlを加え、60分間スターラーを用いて撹拌し、可溶性銅成分を水に抽出した。銅を抽出した水11mlをフィルターを通して濾過し、水9mlを加えて触媒抽出液とした。この触媒抽出液をICP発光分析装置を用いて定量分析し、銅の可溶性成分の量を得た。
銅溶出率は、前述の方法で得た、銅の可溶性成分の量、および触媒の銅元素の含有量から下記の式によって算出した。
銅の溶出率=
銅の可溶性成分の量/銅元素の含有量×100 …式(3)
以上の方法で、触媒Bおよび触媒Cの銅溶出率をそれぞれ算出した。表1にそれぞれ記す。
<X線回折測定>
触媒Bおよび触媒Cを、それぞれ乳鉢ですりつぶして粉体とし、X線回折(XRD)装置(PANalytical社製、型番;MPD)を用いて、それぞれ粉末X線回折測定を行った。X線回折測定条件としては、Cu−Kα線(出力45kV、40mA)を用いて回折角2θ=10〜50°の範囲で測定を行った。下記の参照例に記すリファレンス銅複塩と同様のX線回折ピークを、触媒Bおよび触媒Cがそれぞれ有することが確認された。
参照例1;
<リファレンス銅複塩の合成>
酢酸銅(II)・1水和物34mg、および酢酸カリウム401mgを計り取り、エタノール5mlと酢酸60μlとを混合した溶媒に溶解させた。得られた溶解液を一晩室温で静置させ、生成した結晶を回収して、一晩減圧乾燥した。これを回収して、参照例1のリファレンス銅複塩を得た。
実施例の触媒Bおよび触媒Cに対して行ったとの同様にして、リファレンス銅複塩のX線回折測定を行った。触媒Bとリファレンス銅複塩の(図中ではCuK4複塩)のX線回折図形を図1に合わせて示す。
比較例1,2;
<水洗処理>
実施例1で用意した触媒Bおよび触媒Cについて24時間純水を流通して洗浄し、可溶性銅成分を触媒Bおよび触媒Cよりそれぞれ除去した。触媒Bおよび触媒Cを洗浄した洗浄後の触媒にそれぞれ、酢酸カリウムを担持量52g/Lなるように計り取り、純水に溶解した溶液を含浸させた。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥を行い、それぞれ触媒D(比較例1)および触媒E(比較例2)を得た。
<酢酸アリル選択率>
触媒B 10.5mlをそれぞれ31.5mlのシリカ担体で均一に希釈した後、反応管(SUS316L製、内径25mm)に充填した。反応温度160℃、反応圧力0.8MPaG(ゲージ圧)、ガス組成;プロピレン:酸素:酢酸:水の容積比=29:5:7.1:19:38.9の割合で混合したガスを、空間速度2070h−1にて導入して、プロピレンと酸素と酢酸から酢酸アリルを得る反応を行った。
合成した酢酸アリルを含む反応物の分析方法として、触媒充填層を通過した出口ガスの全量を冷却し、凝縮した反応液の全量を回収し、ガスクロマトグラフィーで分析する方法を用いた。未凝縮ガスについては、サンプリング時間内に流出した未凝縮ガスの全量を測定し、その一部を取り出して、ガスクロマトグラフィーで分析を行った。
凝縮した反応液の分析は、ガスクロマトグラフィー分析器(株式会社島津製作所製、型番;GC−14B)を用い、水素炎イオン化型(FID)検出器、キャピラリーカラム(ジーエルサイエンス株式会社製、型番;TC−WAX、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)にて内部標準法にて分析を行った。
未凝縮ガスの分析は、ガスクロマトグラフィー分析器(株式会社島津製作所製、型番;GC−14B)とともにガスクロマトグラフ用ガスワンプラー(株式会社島津製作所製、型番;MGS−4:計量管1ml付)を用い、TCD検出器(Heキャリアガス、Current100mA)、パックドカラム(直径3mm×長さ3m、型番:MS−5A IS(60/80メッシュ))の条件で、絶対検量線法を用いて分析を行った。
触媒の活性度を、時間当たりの触媒体積(リットル)当たりで製造された酢酸アリルの質量(空間時間収率(STY)、単位:g/(L−cat・hr))として、算出した。
触媒Bの酢酸アリルの選択率は、以下の算出式によって求めた。
酢酸アリル選択率(プロピレン基準)(%)=
{酢酸アリル生成量(mol)/消費プロピレン量(mol)}×100…(式4)
STYは450(g/(L・h))より高い値の場合、酢酸アリルの生成量は増加するが同時に副反応の二酸化炭素の生成量も増加するため、正しく選択率を測定できないことから、STYが450(g/(L・h))での選択率の値を用いた。
触媒Bを用いた上述の酢酸アリルを得る反応を、ガス組成;プロピレン:酸素:酢酸:水の容積比=29:6:7.1:19:38.9の割合とした条件、およびガス組成;プロピレン:酸素:酢酸:水の容積比=29:7:7.1:19:38.9の割合とした条件以外は前述と同様の条件で、それぞれ反応を行った。得られた選択率について、STYとの関係をプロットした図を図2に示す。
触媒C、触媒Dおよび触媒Eを用いた上述の酢酸アリルを得る反応を、触媒Bを用いた反応と同様にガス組成のうちの酸素の容積比を同様にした反応をそれぞれ行った。
触媒C、触媒Dおよび触媒Eについても同様にして酢酸アリルの選択率を算出した。得られた各選択率について、STYとの関係をプロットした図を図2に併せて示す。
表1から、実施例1の触媒Bと比較例1の触媒Dとの比較、および、実施例2の触媒Cと比較例2の触媒Eとの比較から、銅複塩を有する触媒は酢酸アリルの選択率が高いことが確認できる。逆に言えば、酢酸アリル製造用触媒候補群から、銅化合物が銅複塩の形で存在する触媒を選択することにより、酢酸アリルの選択率の高い触媒を選択することができる。
以上、酢酸アリル製造用触媒を対象として、本発明の選択方法を説明したが、本発明の選択方法は、酢酸アルケニル製造用触媒を対象としても用いることができる。
本発明の選択方法は、酢酸アルケニルの選択率が高い触媒を推定する方法であって、選択率の高い酢酸アルケニル製造用触媒を選択することができる。

Claims (8)

  1. 少なくともパラジウム、銅化合物およびアルカリ金属塩化合物からなる酢酸アルケニル製造用触媒候補群から、
    前記銅化合物の少なくとも一種が銅複塩の形で存在する触媒を選択することを特徴とする酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  2. 前記銅複塩が、銅の可溶性成分である請求項1に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  3. 前記銅の可溶性成分が水に可溶である請求項1または2に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  4. 前記銅の可溶性成分の割合が、触媒中の銅化合物からの銅の溶出率として50%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  5. 前記銅複塩がカリウム原子および/またはセシウム原子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  6. 前記銅複塩がさらに酢酸分子もしくは酢酸イオンのいずれか1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の選択方法によって選択された触媒を用いることを特徴とする酢酸アルケニルの製造方法。
  8. 前記酢酸アルケニルが酢酸アリルである請求項7に記載の酢酸アルケニルの製造方法。

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