JP2010247104A - 酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法 - Google Patents

酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活性が向上した酢酸アルケニル製造用触媒を提供する。
【解決手段】 少なくとも担体に、以下の工程が含まれる酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法で、担体にアルカリ土類金属元素溶液を含浸した後乾燥し、続けてアルカリ溶液、さらに溶液Bとの接触により、触媒前駆体とする方法を用いて触媒を調製する。1.アルカリ土類金属元素を含む溶液Aを含浸させる工程.2.担体にアルカリ溶液を含浸させる工程.3.担体に少なくとも、パラジウムまたは白金を含む化合物および第11族元素を含む化合物の溶液Bを接触含浸させる工程.4.還元処理を行う工程.5.担体に酢酸塩を担持する工程.
【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸、低級オレフィンおよび酸素を原料として酢酸アルケニルを合成する際に使用する酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法およびその触媒を用いた酢酸アルケニルの製造方法に関する。
酢酸ビニルは、酢酸ビニル樹脂の原料、ポリビニルアルコールの原料、さらにエチレン、スチレン、アクリレート、メタクリレート等との共重合用モノマーとして、塗料、接着剤、繊維処理剤等の広い分野に用いられている重要な工業材料である。
酢酸、低級オレフィンおよび酸素を原料とする酢酸アルケニル、特に酢酸ビニルの製造触媒として、Pd/Au/KOAc/SiOが広く用いられている。この反応における活性点はパラジウムと考えられ、助触媒の金はパラジウムのシンタリングを抑制したり、炭酸ガス生成反応を低減させ、酢酸アルケニル(例えば、酢酸ビニル)の選択率を向上させる役割があるとされる。また、かかる金の効果が発揮されるためには、パラジウムとの原子レベルでの混合が必要であるとの報告もある。
酢酸ビニルの製造において、酢酸ビニルの選択率を上げることは非常に重要な技術課題である。また環境負荷の観点からも副生する炭酸ガスの発生抑制も望まれている。さらに、酢酸ビニルを工業的に製造する場合には、触媒の長寿命化は経済的な観点からも大きな課題であり、パラジウムのシンタリングを抑制する金の働きを高めることは重要と考えられる。
酢酸ビニル製造用の触媒はパラジウムや金を担体の表面にのみ担持したいわゆるシェル型が反応性に優れる。シェル型触媒の調製法は特表2004-526553号公報などに開示されている。ここでは、担体に原料金属塩溶液を含浸させた後、固定剤としてアルカリ溶液と接触させることでシェル型触媒を形成している。しかし、この方法ではシェル内でのパラジウムと金の担持位置がずれた触媒が形成され、また特に金の担持率が低いことが難点である。
イギリス特許第1283737号明細書や特開平8−318159号公報では、担体にアルカリ溶液を含浸した後に原料金属塩溶液を接触させることで、シェル型触媒を形成している。例えば、イギリス特許第1283737号明細書の実施例では、担体にアルカリ溶液を含浸した後に、担体から溶液を加熱除去する工程が用いられている。一方、特開平8−318159号公報では、アルカリ溶液と原料金属塩溶液の総量が、用いる担体の吸水量相当であることが必要とされている。これらの方法では、工程が煩雑であり、調製操作が難しく、パラジウムや金の担持斑ができやすいという欠点があった。
さらに、特開平10−175917号公報には、原料金属塩溶液を担体に含浸した後に遠心分離器で処理することで、シェル型に金属を担持する方法が開示されているが、この方法は操作が煩雑なため、改良が必要であった。
特表2004-526553号公報 英国特許出願公開第1283737号明細書 特開平8−318159号公報 特開平10−175917号公報
本発明は、活性および選択性が向上した酢酸アルケニル製造用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、簡便にパラジウムと金を近接担持しうる触媒の調製法を見出した。すなわち、本発明は以下の[1]〜[7]に関する。
[1] 少なくとも以下の工程を含むことを特長とする、少なくとも(a)担体、(b)パラジウムまたは白金、(c)第11族元素および(d)酢酸塩からなる酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
工程1.担体を、(e)アルカリ土類金属元素を含む溶液(「溶液A」とする。)へ含浸させる工程
工程2.担体を乾燥する工程
工程3.担体を(f)アルカリ溶液へ含浸させる工程
工程4.担体に少なくとも、(b)パラジウムまたは白金を含む化合物および(c)第11族元素を含む化合物の溶液(「溶液B」とする。)を接触含浸させる工程
工程5.還元処理を行う工程
工程7.担体に(d)酢酸塩を担持する工程。
[2] 溶液Bがさらに(e)アルカリ土類金属元素を含む溶液である[1]に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
[3] 工程7の前に担体を酸と接触させる工程6を有する[1]または[2]に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
[4] (c)第11族元素が金または銅である、[1]〜[3]のいずれかに記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
[5] (e)アルカリ土類金属元素がバリウム、カルシウム、ストロンチウムの少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、炭素数2〜4のオレフィン、酸素および酢酸を原料とする酢酸アルケニルの製造方法。
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載の方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、エチレン、酸素および酢酸を原料とする酢酸ビニルの製造方法。
本発明の方法によれば、簡便にパラジウムと金をシェル型担持した触媒を製造することができ、かつ、従来の方法と比較して、得られる触媒の初期活性、選択性を向上させることができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではない。
[触媒の製造工程]
本発明の酢酸アルケニル製造用触媒は以下に示す工程を含む方法によって製造できる。工程1.(a)担体を(e)アルカリ土類金属元素を含む溶液(「溶液A」とする)へ含浸させる工程
工程2.担体を乾燥する工程
工程3.担体を(f)アルカリ水溶液へ含浸させる工程
工程4.担体を(b)パラジウムまたは白金を含む化合物、(c)第11族元素を含む化合物および、必要に応じて、(e)アルカリ土類金属元素を含む化合物の溶液(「溶液B」とする)へ含浸させる工程
工程5.還元処理を行う工程
工程6.担体を酸と接触させる工程
工程7.担体に(d)酢酸塩を担持する工程.
本発明では、工程1のアルカリ土類金属元素溶液:溶液Aへの含浸後、工程2で乾燥を行うことが重要である。そして、工程3において、パラジウムまたは白金を含む化合物、第11族元素を含む化合物および、所望により、アルカリ土類金属元素を含む化合物を溶かした溶液Bを担体に接触させて、各化合物が担体に担持されている触媒前駆体とする。
各工程のうち工程1から工程5はこの順序で行う。工程7の酢酸塩を担持する工程は最後でなくともよい。工程4で担体にアルカリ土類金属元素を担持しない場合は、溶液Bにはアルカリ土類金属元素を含む化合物は含まれない。溶液Bには他の成分が含まれていてもよい。また、本発明の触媒の性能を向上させる目的で他の工程が含まれていてもよい。工程5の還元処理はパラジウムまたは白金を含む化合物を金属パラジウム、金属白金とするためである。工程6は必須ではないが、触媒性能を向上させるためには実施することが好ましい。以下、各工程を詳細に説明する。
工程1:担体を溶液Aに含浸させる工程
この工程では、(a)担体を(e)アルカリ土類金属元素の溶液Aに含浸させる。操作は常温で行うこともできる。アルカリ土類金属元素溶液は担体に均一に含浸されるようにする。
<(a)担体> 本発明で用いる担体に特に制限はなく、一般に触媒用の担体として用いられている多孔質物質であればよい。好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、珪藻土、モンモリロナイトまたはチタニア等が挙げられ、より好ましくはシリカである。担体としてシリカを主成分とするものを用いる場合には、担体のシリカ含量は、担体の重量に対して通常少なくとも50質量%、好適には少なくとも90質量%である。
担体のB.E.T.法で測定した比表面積は0.01m/g以上、特に10〜1000m/gの範囲、とりわけ100〜500m/gの範囲であることが好ましい。また、吸水率は0.05〜3g/g−担体、特に0.1〜2g/g−担体であることが好ましい。
担体の吸水率は、以下の測定方法で測定した数値をいう。1.担体約5gを天秤で計量(W1g)し、100ccのビーカーに入れる。2.担体を完全に覆うように純水(イオン交換水)約15mLをビーカーに加える。3.30分間放置する。4.金網上に担体と純水を空けて、純水をきる。5.担体の表面に付着した水を、表面の光沢がなくなるまで紙タオルで軽く押して、除去する。6.担体+純水の重さを測定する(W2g)。7.以下の式から担体の吸水率を算出する。
吸水率(g/g−担体)は(W2−W1)/W1
担体の吸水量(g)は担体の吸水率(g/g−担体)×使用した担体の重量(g)により計算される。
担体の形状には特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
用いられる担体の粒子直径に特に制限はない。好ましくは、1〜10mmの範囲であるのが好ましく、より好ましくは3〜8mmである。管状反応器に触媒を充填して反応を行う場合、粒子直径が1mmより小さいと、ガスを流通させるときに大きな圧力損失が生じ、有効にガス循環ができなくなる恐れがある。また、粒子直径が10mmより大きいと、管状反応器内へ充填される担持触媒の数が減少し、結果としてトータルの触媒表面積が小さくなり、担体の表面に偏在している触媒成分(Pd、Auなど)が少なくなるため好ましくない。担体の細孔構造は、その細孔直径が1〜1000nmにあることが好ましく、2〜800nmの間がより好ましい。
<(e)アルカリ土類金属元素>
(e)アルカリ土類金属元素源としては、特に制限されるものは無い。マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムなどが挙げられる。触媒性能の面からはカルシウム、バリウムが好ましい。
<溶液A>
溶液Aは、(e)アルカリ土類金属元素を含有する。溶液Aはアルカリ土類金属元素を含む化合物を溶媒に溶かして得ることができる。アルカリ土類金属元素の化合物としては、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などを用いることができる。特に好適にはBaCl、(CHCOO)Ba、Ba(NO、Ba(OH)、CaCl、(CHCOO)Caが挙げられる。
溶液Aには他の成分が溶解されていてもよい。
アルカリ土類金属元素を含む化合物は、工程4で担持する(b)パラジウムまたは白金1モル当たり好ましくは1.0〜3.0モル、より好ましくは1.2〜2.0モルの量で用いる。
溶液Aの溶媒は、水、メタノール、エタノールなどが挙げられる。好ましくは水である。
工程2:担体の乾燥工程
担体の乾燥は、加熱、送風などにより溶液Aの溶媒を除去することで行われる。乾燥温度は、40℃〜300℃の範囲が好ましく、より好適には100℃〜150℃の範囲である。乾燥時間は、担体が十分に乾燥すれば特に制限はないが、通常1時間以上行う。
工程3:担体に(f)アルカリ溶液を含浸させる工程
この工程では工程2で乾燥された担体を(f)アルカリ溶液に含浸させる。操作は常温で行うこともできる。(f)アルカリ溶液が担体に均一に含浸されるようにする。
<(f)アルカリ溶液>
本発明に用いる(f)アルカリ溶液は、いかなるアルカリ性の溶液であってもよい。例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のケイ酸塩といったアルカリ性化合物の溶液が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、セシウムおよびカリウムが用いられる。好適には、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが用いられる。
アルカリ性化合物は、後述の(b)パラジウムまたは白金や(c)第11族元素の合計に対して過剰に使用することが好ましい。例えば、アルカリ性化合物は、(b)パラジウムまたは白金1モル当たり好ましくは1.0〜3.0モル、より好ましくは1.2〜2.0モルの量で用いる。また、(c)第11族元素を含む化合物(以下においては、第11族元素前駆物質ということがある)1モル当たり、好ましくは2〜15モル、より好ましくは3〜10モルを使用する。(f)アルカリ溶液の溶媒は、水、メタノール、エタノールなどが挙げられる。好ましくは水である。
(f)アルカリ溶液を担体に含浸させる方法は特に制限はない。例えば、(I)大量の(f)アルカリ溶液に担体をしばらく浸漬した後、吸水量分の(f)アルカリ溶液を含浸させた担体を取り出す方法や、(II)(f)アルカリ性化合物を溶媒に溶解し、(a)担体の吸水量相当になるようにメスアップしたものを担体に含浸する方法などが挙げられる。廃液処理負荷低減の観点からは(II)の方法が望ましい。
(f)アルカリ溶液の接触後は、乾燥などの操作をせずに次の工程に移ることもできるが、水洗等により副生する塩を除去した後、乾燥せずに次の工程に移ることも可能である。
工程4:担体を溶液Bに含浸させる工程
この工程では、工程3においてアルカリ溶液を含浸させた担体に少なくとも(b)パラジウムまたは白金を含む化合物および(c)第11族元素を含む化合物を溶解した溶液Bを接触させる。この工程でも(e)アルカリ土類金属元素を担持してもよい。その場合には、溶液Bに(e)アルカリ土類金属元素を含む化合物を溶解させる。
<(b)パラジウムまたは白金>
(b)パラジウムまたは白金は主触媒成分であり、特に酢酸ビニル選択性が高いという点からパラジウムが好ましい。以下、パラジウムを例に説明するが、白金についても同様である。
本発明において、パラジウムはいずれの価数を持つものでも構わないが、好ましくは金属パラジウムである。「金属パラジウム」とは0価の価数を持つものである。金属パラジウムは、通常、2価および/または4価のパラジウムイオンを、還元剤であるヒドラジン、水素等を用いて還元することで得られる。この際、全てのパラジウムが、金属状態でなくてもよい。
金属パラジウム源として、金属パラジウムのほか金属パラジウムに転化可能なパラジウム塩を用いることも可能である。このようなパラジウム塩の例としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、塩化パラジウム酸バリウム、酢酸パラジウムなどがあるがこれに限定されるものではない。特に好適には塩化パラジウム酸ナトリウムが用いられる。
金属白金源として、金属白金のほか金属白金に転化可能な白金塩を用いることも可能である。このような白金塩の例としては、塩化白金、硝酸白金、硫酸白金、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸バリウム、酢酸白金などがあるがこれに限定されるものではない。
(b)パラジウムまたは白金と(a)担体との質量比は、好ましくは(b):(a)=1:10〜1000であり、より好ましくは1:30〜500である。パラジウム塩を担持する場合は、この塩中に含まれるパラジウム元素の質量と、担体の質量との比で計算される。
<(c)第11族元素>
本発明において、(c)第11族元素とは、IUPAC無機化学命名法改訂版(1989)による周期律表の第11族元素をさす。具体的には金、銀、銅を指し、好ましくは金あるいは銅である。これらは単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。以下、金の場合を元に説明するが、銀または銅の場合も同様である。
金は当該元素を含む化合物の形で担体に担持されるが、最終的には「金属金」であることが好ましい。ここで言う「金属金」とは0価の価数を持つものである。金属金は、通常、1価および/または3価の金イオンを、還元剤であるヒドラジン、水素等を用いて還元することで得ることができる。この際、全ての金が金属状態になくても構わない。
ここで用いられる金属金の原料については特に制限はない。金属金を用いることはもちろん、金属金に転化可能な金前駆体を用いることも可能である。金前駆体としては、塩化金酸や塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウムなどが挙げられるが、好適には塩化金酸ナトリウムが用いられる。
<溶液B> 本発明に用いる溶液Bは、パラジウムまたは白金を含む化合物および第11族元素を含む化合物の溶液である。必要に応じてアルカリ土類金属元素を加えても良い。必要に応じて他の成分が溶解されていてもよい。
溶液Bに加えるアルカリ土類金属元素は工程1で使用した(e)アルカリ土類金属元素と同様のものを使用できる。ここで用いるアルカリ土類金属元素を含む化合物は、工程1で用いたものと同じでも良いし、異なっていても良い。
溶液Bは、塩化パラジウム酸、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウムから選ばれた少なくとも1種および塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウムから選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。アルカリ土類金属元素をも担持する場合には、さらに塩化バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、塩化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウムから選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶液Bの溶媒としては、水、アルコール、有機酸などが挙げられる。この中で、化合物との反応性や、取り扱いやすさの観点から水が好ましい。
(f)アルカリ溶液と溶液Bの総量には特に制限が無い。通常(a)担体の吸水量の1.1質量倍以上10.0質量倍以下である。より好ましくは1.5〜8.0質量倍、最も好ましくは2.0〜6.0質量倍である。この総量が1.1質量倍未満では、触媒成分が担体に不均一に担持されることがあるため好ましくない。10.0質量倍を超えると、触媒性能には影響しないが、排水量が増加するなど触媒製造上の問題が発生することがあるため好ましくない。
工程4では、パラジウムまたは白金を含む化合物の溶液B、第11族元素を含む化合物の溶液B、アルカリ土類金属元素を含む化合物の溶液Bを作製しておき、各溶液を個別に担体に含浸させ、各化合物を担体に担持してもよい。この場合、アルカリ溶液と溶液Bの総量は、アルカリ溶液、溶液B、溶液Bおよび溶液Bの総量になる。また、溶液Bと溶液Bを1つの溶液(溶液B1+2とする)として含浸操作を行ってもよい。この場合は、溶液B1+2、溶液B、アルカリ溶液の和がアルカリ溶液および溶液Bの総量に相当する。その他の溶液の組み合わせについても同様にしてアルカリ溶液および溶液Bとしての総量を計算する。
溶液Bの量は(a)担体の吸水量の1.0〜10.0質量倍が好ましく、さらに好ましくは2.0〜8.0質量倍、もっとも好ましくは、2.0〜5.0質量倍である。
本発明では、工程3で担体内部にアルカリ性物質の層状構造を形成したのち、工程4で原料金属塩の加水分解と並行した担持を行うことで、PdやAuなどの金属成分が担体にシェル型に担持された触媒前駆体を形成することを特徴とする。
溶液Bの接触時間には制限はないが、接触時間は0.5〜100時間、好適には3〜50時間が望ましい。0.5時間未満では、触媒成分が所望の量担持されにくく、触媒性能が十分ではないことがある。また、100時間を越える接触は、担体がダメージを受ける可能性があり、好ましくない。
接触温度は、特に制限はないが、10〜80℃、好適には20〜60℃が望ましい。10℃より低いと変換反応が不十分になる可能性がある。80℃を超えるとパラジウムや金の凝集が進む恐れがある。
工程5:還元処理を行う工程
パラジウムまたは白金を含む化合物および第11族元素前駆物質が担持された担体に還元処理を行い、前記化合物を金属パラジウム、金属金とする。還元処理は、液相還元、気相還元のいずれによることもできる。
液相還元は、アルコールや炭化水素類を用いた非水系、水系のいずれで行なわれてもよい。還元剤としてはカルボン酸およびその塩、アルデヒド、過酸化水素、糖類、多価フェノール、ジボラン、アミン、ヒドラジンなどが用いられる。カルボン酸およびその塩としてはシュウ酸、シュウ酸カリウム、ギ酸、ギ酸カリウム、クエン酸アンモニウムが例示され、糖類としてはグルコースが挙げられる。好ましい還元剤としてはヒドラジン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ハイドロキノン、水素化ホウ素ナトリウム、クエン酸アンモニウムなどが挙げられ、最も好ましい還元剤はヒドラジンである。
気相還元に用いる還元剤は、水素、一酸化炭素、アルコール、アルデヒドおよびエチレン、プロペン、イソブテンなどのオレフィンから選択される。好ましくは水素である。気相還元では希釈剤として、不活性ガスを加えてもよい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素などが挙げられる。
還元処理された担体は必要に応じて純水等で洗浄を行う。洗浄は連続であるいはバッチで行なわれてもよい。洗浄温度は、好ましくは5〜200℃の範囲、より好ましくは15〜80℃の範囲である。洗浄時間には特に制限はない。残存する不純物の除去という目的に対して十分な条件を選択すればよい。好ましくない不純物とはナトリウムや塩素を含む化合物が挙げられる。
工程6.担体を酸と接触させる工程
還元処理された担体には必要に応じて酸を接触(「酸処理」という)させることが好ましい。酸と接触させることで、好ましくない不純物、特にパラジウムまたは白金および第11族元素以外の過剰な金属水酸化物が除去され、触媒性能が向上する。酸処理は、これらの物質を除去する目的を達成できればどのような条件で行ってもよい。
酸処理の方法としては、担体を酸溶液に浸漬した後、水洗等によって酸溶液を洗い流す方法が挙げられる。酸処理に使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸や、酢酸、シュウ酸、クエン酸などの有機酸が挙げられる。これらの酸は前述の目的を勘案して選択することができる。
工程7:担体に(d)酢酸塩を担持する工程
(d)酢酸塩は、担体を(d)酢酸塩の必要量を含む溶液に含浸させ、乾燥することで担持する。
<(d)酢酸塩> 本発明に用いる(d)酢酸塩は、好ましくは、アルカリ金属酢酸塩およびアルカリ土類金属酢酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である。より好ましくはアルカリ金属酢酸塩である。具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウムの酢酸塩などが挙げられる。なかでも酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましく、酢酸カリウムが特に好ましい。
<触媒成分組成>
本発明の酢酸アルケニル製造用触媒における(b)パラジウムまたは白金、(c)第11族元素、(d)酢酸塩、(e)アルカリ土類金属元素の質量比は、好ましくは(b):(c):(d):(e)=1:0.001〜10:0.1〜100:0.01〜100であり、より好ましくは(b):(c):(d):(e)=0.2〜5:0.1〜2:0.5〜20:0.02〜30である。なお、(b)、(c)、(e)成分については当該元素を含む化合物中の当該元素自体の質量(金属自体の場合はその金属の質量)、(d)は酢酸塩の質量での組成比である。
溶液Bに含まれる各触媒成分の原料化合物は所望の触媒組成になるように調整する。各溶液中の触媒成分の原料化合物の濃度は担体へ担持すべき原料化合物の量と溶液量とから計算することができる。実操作上は、まず、担体へ担持すべき原料化合物の所定量(g数)をはかり取り、それを本発明で規定する溶媒量となるように溶媒に溶かせばよい。
また、溶液Bを前記のように溶液B、溶液Bなどに分割した場合も調製後の触媒組成は上記の範囲とすることが好ましい。
(b)パラジウムまたは白金、(c)第11族元素、(d)酢酸塩、(e)アルカリ土類金属元素の(a)担体への担持量は(a)担体1gあたり、b)0.001〜0.05g、(c)0.001〜0.05g、(d)0.01〜1g、(e)0.001〜0.1gであるのが好ましい。
本発明の方法により得られる触媒は、担体の表面部分に(b)パラジウム、(c)第11族元素の大部分が担持されたシェル構造(エッグシェル構造ともいう)をなしている。シェル部分の厚みは用いる担体やアルカリ溶液、原料金属塩水溶液の種類によって変化する。直径5mmの球体シリカを担体として使用した場合には、シェル部分は0.05〜2mmの厚みを有することが望ましい。さらに好適には、0.1〜1mmの厚みを有する。この厚みが0.05mm未満では反応の間に担体表面部分のはがれなどによって活性低下が起こることがあるため望ましくない。2mmより厚い場合には、シェル型担持のメリットが得られにくいことがある。
本発明の方法で調製した触媒においては、(d)酢酸塩、(e)アルカリ土類金属元素はシェル型に担持されていてもよく、触媒全体に均一に存在していてもよい。
<触媒調製法の具体例>
本発明の触媒調製法の例を以下に示す。工程1 吸水量相当分の溶液Aに(a)担体を含浸する。工程2 担体を乾燥する。工程3 担体の吸水量相当分のアルカリ溶液に(a)担体を含浸する。工程4 (b)パラジウム、(c)第11族元素を(a)担体吸水量の2倍程度まで純水でメスアップした溶液Bに、担体を浸漬し、触媒前駆体を形成する。工程5 工程4の溶液に還元剤を投入する。還元後の触媒前駆体を純水で洗浄する。工程6 担体を酸の溶液と接触、洗浄する。洗浄後の触媒前駆体を乾燥する。工程7 (d)酢酸塩を所定量担持後、乾燥する。
[酢酸アルケニルの製造]
以下、本発明で製造された酢酸アルケニル製造用触媒を用いた、酢酸アルケニルの製造法について説明する。本発明における酢酸アルケニルの製造のための反応は、酢酸、低級オレフィン、酸素を反応原料とし、気相で行うことが好ましい。気相反応は、従来公知のいかなる形態で行ってもよいが、好ましくは固定床流通反応であることが望ましい。
例えば、低級オレフィンがエチレンの場合には、反応式は次式のとおりである。
+CHCOOH+1/2O→CH=CHOCOCH+H
原料の酢酸、低級オレフィン、酸素の比率は、モル比として酢酸:低級オレフィン:酸素=1:0.08〜16:0.01〜4であるのが好ましく、低級オレフィンがエチレンの場合は酢酸:エチレン:酸素=1:0.2〜9:0.07〜2であるのが好適である。また、低級オレフィンがプロピレンの場合は、酢酸:プロピレン: 酸素=1:1〜12:0.5〜2であるのが好ましい。
反応原料ガスは、低級オレフィンと酢酸と酸素とを含み、さらに必要に応じて窒素、二酸化炭素または希ガスなどを希釈剤として含んでいてもよい。低級オレフィンと酢酸と酸素とを反応原料とすると、反応原料と希釈剤との比率は、モル比として反応原料:希釈剤=1:0.05〜9であるのが好ましく、より好ましくは反応原料:希釈剤=1:0.1〜3である。
固定床流通反応で反応を行う場合、反応原料ガスは、標準状態において、空間速度10〜15000h−1、特に300〜8000h−1で反応器に通すのが好ましい。空間速度が10h−1より小さい場合、反応熱の除去が困難となる可能性がある。また、空間速度が15000h−1より大きい場合、コンプレッサー等の設備が大きくなりすぎて、実用的でなくなることがある。
反応原料ガス中には水を0.5〜20mol%添加することが好ましい。さらに好適には、水を1〜18mol%添加する。系内に水が存在することによって、理由は明かではないが、触媒からの(d)酢酸塩の流出が減少する。一方、水を20mol%より多く添加しても、上記効果は向上しないばかりか、酢酸アルケニルの加水分解が進む恐れがあるため、大量の水が存在するのは好ましくない。
反応器の材質については特に制限はないが、好ましくは耐食性を有する材料で構成された反応器である。
反応温度は、100〜300℃であるのが好ましく、より好ましくは120〜250℃である。反応温度が100℃より低い場合、反応速度が遅くなりすぎる可能性があり、好ましくない。反応温度が300℃よりも高い場合、反応熱の除熱が困難となる可能性があり、好ましくない。
反応圧力は、好ましくは0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)であり、より好ましくは0.1〜1.5MPaGである。反応圧力が0.0MPaGより小さい場合、反応速度が低下する恐れがあり、好ましくない。反応圧力が3.0MPaGより大きい場合、反応管等の設備が高価になり、実用的ではない。
反応原料の低級オレフィンは炭素数が2〜4のオレフィンである。低級オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブテンが挙げられるが、特に制限はない。一般的には高純度のものを用いることが好ましいが、メタン、エタン、プロパン等の低級飽和炭化水素が混入しても差し支えない。
また、酸素にも特に制限はない。窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気の形でも供給できる。ただし、反応ガスを循環使用する場合には、一般には高濃度の酸素、好適には99%以上の純度の酸素を用いる方が有利である。
酢酸アルケニルとして酢酸ビニルを製造する場合、エチレンと酸素と酢酸とを反応させて、酢酸ビニルを製造する際の反応温度に特に制限はない。好ましくは、100〜300℃であり、さらに好ましくは、120〜250℃である。また、反応圧力は設備の点から0.0〜3.0MPaGであることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは0.1〜1.5MPaGの範囲である。
反応混合ガスは、標準状態において、空間速度10〜15000h−1、特に300〜8000h−1で反応器に通すのが好ましい。
反応形式としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば固定床、流動床などの形式を採り得る。好ましくは、耐蝕性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床を採用することが、実用上有利である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1:触媒Aの調製
シリカ球体担体(球体直径5mm、比表面積155m/g、吸水率0.85g/g−担体、上海海源化工科技有限公司のHSV-A-1-2)を用いて、触媒を以下の手順で調製した。
工程1. 担体22g(吸水量19.0g)を、塩化カルシウム0.54gを含む担体吸水量相当(1.0倍)の量の水溶液に含浸させた。担体と水溶液が入った容器を静かに振り動かし、溶液を完全に含浸させた。なお、吸水量は担体量22g、吸水率0.85g/g−担体より計算した(以下の実施例、比較例でも同じ)。
工程2. 工程1で得られた担体を乾燥庫内で、約110℃で4時間加熱乾燥した。
工程3. 工程2で得られた担体を、NaSiO・9HO 2.2gを含む担体吸水量相当(0.95倍)の量の水溶液に含浸させた。担体と水溶液が入った容器を静かに振り動かし、担体を完全に含浸させた。
工程4. 工程3で得られた担体を56質量%NaPdCl水溶液1.6gおよび41質量%NaAuCl0.79gを含む担体吸水量の2.3倍の水溶液に浸漬し、20時間静置した。
工程5. 工程4で得られた金属溶液含浸担体に52質量%ヒドラジン水和物水溶液9.6mLを加え、静かに混合し、室温で4時間静置した。その後、得られたパラジウム/金/担体組成物を水洗し、洗浄後の水中に塩化物イオンが無くなるまで40時間継続した。洗浄したパラジウム/金/担体組成物を、約110℃で4時間乾燥した。
工程6. 工程5で得られたパラジウム/金/カルシウム/担体組成物を吸水量の3倍に相当する量の1.0質量%酢酸水溶液に1時間浸漬させた。次いで、水洗浄を1日間継続した後、水を切り、約110℃で4時間乾燥した。
工程7. 工程6で得られたパラジウム/金/担体組成物に、酢酸カリウム50質量%水溶液3.3gを担体吸水量相当の量に希釈した水溶液を含浸させ、110℃で4時間乾燥して、触媒Aを得た。
実施例2:触媒Bの調製
工程1.において、塩化カルシウムのかわりに塩化バリウム1.2gを加えた担体吸水量の1.0倍の量の水溶液を用いた以外は実施例1の操作と同様にして触媒Bを得た。
実施例3:触媒Cの調製
工程1.において、塩化カルシウム0.61gを含む担体吸水量相当(1.0倍)の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Cを得た。
実施例4:触媒Dの調製
工程1.において、塩化カルシウム0.68gを含む担体吸水量相当(1.0倍)の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Dを得た。
実施例5:触媒Eの調製
工程3.において、NaSiO・9HO 1.9gを含む担体吸水量相当(0.95倍)の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Eを得た。
実施例6:触媒Fの調製
工程3.において、NaSiO・9HO 2.5gを含む担体吸水量相当(0.95倍)の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Fを得た。
実施例7:触媒Gの調製
工程3.において、NaPdCl、NaAuClに加えてさらに酢酸カリウム0.96gを加えた担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Gを得た。
実施例8:触媒Hの調製
工程4.において、NaPdCl、NaAuClに加えてさらに酢酸カルシウム1水和物0.86gを加えた担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Hを得た。
実施例9:触媒Iの調製
工程1.において、塩化カルシウム0.34gを含む担体吸水量相当(1.0倍)の量の水溶液を用い、工程4.において、NaPdCl、NaAuClに加えてさらに塩化カルシウム0.20gを加えた担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Iを得た。
実施例10:触媒Jの調製
工程1.において、塩化カルシウムのかわりに塩化ストロンチウム0.73gを加えた担体吸水量の1.0倍の量の水溶液を用い、さらに工程4において、56質量%NaPdCl水溶液1.6gのかわりに59質量%NaPdCl水溶液1.5gを使用した以外は実施例1と同様にして触媒Jを得た。
比較例1:触媒Kの調製(従来技術の例)
シリカ球体担体(球体直径5mm、比表面積155m/g、吸水率0.85g/g−担体、上海海源化工科技有限公司のHSV−A−1−2)を用いて、触媒を以下の手順で調製した。
工程1.担体22g(吸水量19.0g)に、56質量%NaPdCl1.6gおよび41質量%NaAuCl0.8gを含む担体吸水量相当(1倍)の量の水溶液を含浸させた。担体と水溶液が入った容器を静かに振り動かし、溶液を完全に含浸させた。
工程2.工程1で得られた担体をNaSiO・9HO 2.2gを含む担体吸水量の2.3倍の量の水溶液に浸漬し、20時間静置した。
工程3.工程2の水溶液に52質量%ヒドラジン水和物水溶液9.6mLを加え、静かに混合し、室温で4時間静置した。
工程4.前工程で得られたパラジウム/金/担体組成物を水洗し、洗浄後の水中に塩化物イオンが無くなるまで40時間継続した。洗浄したパラジウム/金/担体組成物を、約110℃で4時間乾燥した。
工程5.パラジウム/金/担体組成物に、酢酸カリウム50質量%水溶液3.3gを担体吸水量相当の量に希釈した水溶液を含浸させ、110℃で4時間乾燥した。
比較例2:触媒Lの調製
工程1.において、NaPdCl、NaAuClにさらに塩化カルシウム0.54gを追加した担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして触媒Lを得た。
比較例3:触媒Mの調製
工程1.において、NaPdCl、NaAuClに加えてさらに塩化バリウム1.2gを加えた担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は比較例1と同様にして触媒Mを得た。
比較例4 触媒Nの調製
工程1.において、NaPdCl、NaAuClに加えてさらに酢酸カルシウム1水和物0.81gを加えた担体吸水量の2.3倍の量の水溶液を用いた以外は比較例1の操作を繰り返した。
比較例5:触媒Oの調製
実施例1で用いたシリカ球体担体を用いて、触媒を以下の手順で調製した。
工程1. 担体22g(吸水量19.0g)を、塩化カルシウム0.54gを含む9.5mL(担体吸水量の0.5倍)の水溶液に含浸させた。担体と水溶液が入った容器を静かに振り動かし、溶液を完全に含浸させた。
工程2. 工程1で得られた担体を、続けて、NaSiO・9HO2.2gを含む9.5mL(担体吸水量の0.5倍)の水溶液に含浸させた。担体と水溶液が入った容器を静かに振り動かし、担体を完全に含浸させた。
工程3. 工程2で得られた担体を59質量%NaPdCl水溶液1.5gおよび41質量%NaAuCl0.79gを含む担体吸水量の2.3倍の水溶液に浸漬し、20時間静置した。
工程4. 工程3で得られた金属溶液含浸担体に52質量%ヒドラジン水和物水溶液9.6mLを加え、静かに混合し、室温で4時間静置した。
工程5. 工程4で得られたパラジウム/金/カルシウム/担体組成物を水洗し、洗浄後の水中に塩化物イオンが無くなるまで40時間継続した。洗浄したパラジウム/金/カルシウム/担体組成物を、約110℃で4時間乾燥した。
工程6.工程5で得られたパラジウム/金/カルシウム/担体組成物を吸水量の3倍に相当する量の1.0質量%酢酸水溶液に1時間浸漬させた。
工程7.工程6で得られたパラジウム/金/カルシウム/担体組成物の水洗浄を1日間継続した。
工程8.工程7で得られたパラジウム/金/カルシウム/担体組成物を約110℃で4時間乾燥した。
工程9.パラジウム/金/カルシウム/担体組成物に、酢酸カリウム50質量%水溶液3.3gを担体吸水量相当の量に希釈した水溶液を含浸させ、110℃で4時間乾燥した。
<触媒活性評価試験>
触媒3ccをガラスビーズ75ccで希釈して反応管(SUS316L製、内径22mm、長さ480mm)に充填する。反応温度150℃、反応圧力0.6MPaG、ガス組成C/O/HO/HOAc/N=47.3/6.1/5.6/26.3/14.7(mol%)のガスを流量20NL/hで流通させ、反応を行った。
反応器出口ガスの分析を、以下の方法を用いて行った。
1.酸素
絶対検量線法を用い、流出ガス30mLを採取し、ガスクロマトグラフィーに付属する1mLのガスサンプラーに全量流し、以下の条件で分析を行った。 ガスクロマトグラフィー:島津ガスクロマトグラフ用ガスサンプラ−(MGS−4:計量管1mL)付ガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−14(B) カラム:MS−5A
IS 60/80mesh(3mmΦ×3m) キャリアーガス:ヘリウム(流量20mL/min) 温度条件:検出器温度、気化室温度が110℃、カラム温度は80℃一定 検出器:TCD(He圧70kPaG、Current100mA)
2.酢酸
内部標準法を用い、反応液6gに対し、内部標準として酢酸n-プロピルを1g添加したものを分析液として、そのうちの0.2μlを注入して以下の条件で分析を行った。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC−14B カラム:パックドカラム(長さ3m、内径0.3mm)
キャリアーガス:窒素(流量20mL/min)
温度条件:検出器温度、気化室温度が180℃、カラム温度は分析開始から6分間は50℃保持、その後10℃/minの昇温速度で150℃まで昇温し、150℃で10分間保持 検出器:FID(H2 圧40kPaG、空気圧100kPaG)
3.酢酸ビニル
分析は内部標準法を用い、反応液6gに対し、内部標準として酢酸n−プロピルを1g添加したものを分析液として、そのうちの0.3μlを注入して以下の条件で分析した。 ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC−8A カラム:キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.5μm)
キャリアーガス:窒素(流量30mL/min)
温度条件:検出器温度、気化室温度が200℃、カラム温度は分析開始から2分間は43℃保持、その後7℃/minの昇温速度で130℃まで昇温し、130℃で16分間保持し、その後20℃/minの昇温速度で200℃まで昇温し、200℃で2分間保持
検出器:FID(H2 圧60kPaG、空気圧100kPaG)
反応開始4時間後にサンプリングを行い、触媒の活性を測定した。評価結果を表1に示す。
Figure 2010247104
本発明は、初期活性および選択性に優れる酢酸アルケニル製造用触媒を提供することができ、産業上有用である。

Claims (7)

  1. 少なくとも以下の工程を含むことを特長とする、少なくとも(a)担体、(b)パラジウムまたは白金、(c)第11族元素および(d)酢酸塩からなる酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
    工程1.担体を、(e)アルカリ土類金属元素を含む溶液(「溶液A」とする。)へ含浸させる工程
    工程2.担体を乾燥する工程
    工程3.担体を(f)アルカリ溶液へ含浸させる工程
    工程4.担体に少なくとも、(b)パラジウムまたは白金を含む化合物および(c)第11族元素を含む化合物の溶液(「溶液B」とする。)を接触含浸させる工程
    工程5.還元処理を行う工程
    工程7.担体に(d)酢酸塩を担持する工程。
  2. 溶液Bがさらに(e)アルカリ土類金属元素を含む溶液である請求項1に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
  3. 工程7の前に担体を酸と接触させる工程6を有する請求項1または2に記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
  4. (c)第11族元素が金または銅である、請求項1〜3のいずれかに記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
  5. (e)アルカリ土類金属元素がバリウム、カルシウム、ストロンチウムの少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の酢酸アルケニル製造用触媒の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、炭素数2〜4のオレフィン、酸素および酢酸を原料とする酢酸アルケニルの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造された触媒を用いることを特徴とする、エチレン、酸素および酢酸を原料とする酢酸ビニルの製造方法。
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