JP2004202704A - 記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法 - Google Patents
記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】プラテンギャップの調整に要する時間を短縮でき、かつ、シート厚を正確に測定できる記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】記録装置は、プラテン20の上流にてカットシートのシート厚を検出するシート検出機構200を有し、カットシートの搬送中に、シート検出機構200で検出したシート厚に応じて記録ヘッド18を移動してプラテンギャップを調整する。
【選択図】 図2
【解決手段】記録装置は、プラテン20の上流にてカットシートのシート厚を検出するシート検出機構200を有し、カットシートの搬送中に、シート検出機構200で検出したシート厚に応じて記録ヘッド18を移動してプラテンギャップを調整する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに、インクリボンを介して、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち付けて、シートに画像を記録する記録装置が知られている。
【0003】
この種の記録装置は、記録ヘッドとシート面との間の距離を一定に保つべく、シート厚に応じて記録ヘッドとプラテン面との間の距離(プラテンギャップ)を自動調整する自動プラテンギャップ調整機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種のものでは、記録ヘッドをプラテンに当接するまで移動させてプラテン面の位置を測定し、次に、シートを記録ヘッドとプラテンとの間に搬送し、このシートに記録ヘッドを当接させてシート面の位置を測定し、これら測定値の差からシート厚を検出するのが一般的である。
【0005】
従来の構成では、一般に、記録時において、カットシートフィーダなどからシートが供給される毎にプラテンギャップの調整を行うことが前提とされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−52963号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラテンは表面が弾性部材で構成されているため、記録ヘッドとプラテンとの間に配置されたシートに記録ヘッドを当接させた際にプラテンが弾性変形し、シート面を正確に測れない場合があった。その結果、シート厚を正確に検出できず、プラテンギャップを適切に調整できない等の問題があった。
【0008】
さらに、円筒形プラテンにシートを巻き付けて記録を行う記録装置では、厚紙などのこしの強いシートの場合、シートが円筒形プラテンに密着しないことがあり、これによってもシート面を正確に測れず、プラテンギャップを適切に調整できない、といった問題が生じていた。
【0009】
また、シート毎にプラテンギャップの調整を行う記録装置においては、プラテンギャップの調整時間を短くしてスループットの向上、ひいては記録時間の短縮化が要望されている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、プラテンギャップの調整に要する時間を短縮でき、かつ、シート厚を正確に測定できる記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに、インクリボンを介して、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち付けて当該シートに画像を記録する記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段と、前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記記録装置の所定位置にカットシートを1枚ずつ供給する給紙装置を有し、前記シートは、前記給紙装置が供給するカットシートであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成において、前記シート厚検出ステップにおいては、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、前記測定したシート面までの距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置において、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段とを有し、前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成において、前記測定手段は、前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置の制御方法において、前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の構成において、前記シート厚検出ステップにおいては、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、前記測定した距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0025】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。図2は、図1のプリンタの側断面図であり、図3及び図4は、このプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。また、図5及び図6は、プリンタ本体の部分拡大図である。
【0026】
このプリンタ10は、多数の記録ワイヤを、インクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷する。このプリンタ10に使用可能なシートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙、単票複写紙又はカットフィルム等があり、連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0027】
プリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の後方側に配置されたプッシュトラクタユニット12(図2)と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆う外装体としてのアッパケース13A及びロアケース13Bと、プリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートの供給を案内するシート供給ガイド43と、プリンタ本体11の後方側で、プッシュトラクタユニット12の上方位置に設置され、カットシートをプリンタ本体11の記録機構部へ1枚づつ供給するカットシートフィーダ(給紙装置)44とから構成される。
【0028】
プリンタ本体11は、図2乃至図6に示すように、本体フレームとしてのベースフレーム14、リアフレーム15、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録機構部としての記録ヘッド18及びキャリッジ19と、シート搬送機構部としてのプラテン20、シート案内25、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24とを有している。
【0029】
ベースフレーム14及びリアフレーム15の略両端部には、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17が立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、キャリッジガイド軸26が架け渡されて、回動自在に軸支される。さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、プラテン20が架け渡されて回転自在に配設されると共に、さらにシート案内25が固定して配設される。
【0030】
プラテン20を含むシート搬送機構部は、図2に示すように、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22が当接状態で上下に配置されて対をなし、フロント側シート搬送ローラ27を構成する。また、第3搬送ローラ23と第4搬送ローラ24とが当接状態で上下に配置されて対をなし、リア側シート搬送ローラ37を構成する。
【0031】
このうち、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24が駆動ローラであり、第2搬送ローラ22及び第3搬送ローラ23が従動ローラである。また、第1搬送ローラ21及び第3搬送ローラ23は、プラテン20と共にシート案内25の下方に配置され、第2搬送ローラ22及び第4搬送ローラ24はシート案内25の上方に配置される。
【0032】
プラテン20、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24は、図4に示す駆動輪列部34により正又は逆方向に回転駆動される。この駆動輪列部34は左サイドフレーム16又は右サイドフレーム17の一方、例えば左サイドフレーム16に設置される。
【0033】
この駆動輪列部34は、正転又は逆転可能なシート搬送モータ35の駆動軸に回転一体に固定されたモータピニオン36を備える。このモータピニオン36からの駆動力が、複数の減速ギア48、49及び50を介してプラテン20へ伝達され、さらに、減速ギア50から減速ギア51及び52を介して第1搬送ローラ21へ伝達され、さらに、減速ギア49から減速ギア53及び54を経て第4搬送ローラ24へ伝達される。
【0034】
これにより、プラテン20及び第1搬送ローラ21が同一方向に、第4搬送ローラ24が反対方向に回転して、カットシート又は連続シートを、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送可能とし、又は、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送可能とする。従って、カットシート及び連続シートは、キャリッジ19の後述の主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。なお、このプリンタ10におけるカートシートの搬送経路を図2に符号αで示している。
【0035】
プッシュトラクタユニット12は、連続シート(例えば連続紙)を、プラテン20を備えたシート搬送機構部へ供給するものであり、左右一対のトラクタ28を有する。これらのトラクタ28は、トラクタ駆動軸29に回転一体かつ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)と、トラクタガイド軸30に回転自在かつ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)とにトラクタベルト31が巻き掛けられ、シート押え蓋32を備えて構成される。
【0036】
一対のトラクタ28間の距離は、搬送すべき連続シート(連続紙)の幅寸法に応じて調整可能とされる。また、トラクタベルト31の全外周に突設された複数本のピン(不図示)が、連続シートの幅方向両側に穿設された穴(不図示)に係合可能とされる。このトラクタベルト31も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。
【0037】
つまり、図5に示すように、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経て、プッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動軸29に固定されたトラクタ駆動ギア(不図示)へ伝達され、これによりプッシュトラクタユニット12のトラクタベルト31が駆動可能とされる。
【0038】
これにより、プッシュトラクタユニット12は、トラクタベルト31の駆動によりピンに係合された連続シートを、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送し、又は、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送する。
【0039】
図1に示すシート供給ガイド43は、プリンタ本体11の前方側において、アッパケース13Aに着脱自在に設置される。このシート供給ガイド43は、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の前方から後方へ手差しで1枚ずつ供給する際に、このカットシートを案内する。このシート供給ガイド43により案内されたカットシートは、プラテン20、フロント側シート搬送ローラ27及びリア側シート搬送ローラ37等のシート搬送機構部により搬送される。
【0040】
また、図3及び図4に示すキャリッジ19は、キャリッジガイド軸26に摺動自在に挿通されると共に、リアフレーム15の上端部に摺接され、更に記録ヘッド18が搭載される。キャリッジガイド軸26はプラテン20と平行に配置され、これにより、キャリッジ19は、プラテン20及びキャリッジガイド軸26の軸方向と一致する主走査方向に走行(走査)可能に設けられる。
【0041】
このキャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38(図4)の正転又は逆転により往復移動されるタイミングベルト(不図示)に結合される。これにより、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38の正転又は逆転によりキャリッジガイド軸26に案内されて、主走査方向における図3及び図4の左向き又は右向きに移動する。なお、シート搬送モータ35やキャリッジ駆動モータ38は、例えはステッピングモータにて構成される。
【0042】
また、キャリッジ19には、リボンカセット装着部40が設けられ、このリボンカセット装着部40に、インクリボンを収納したリボンカセット40Aが装着される。さらにキャリッジ19には、リボンカセットのインクリボンを、プラテン20に接して搬送されるシート(カットシート又は連続シート)から保護するためのリボンマスクホルダ41が設置される。
【0043】
記録ヘッド18は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン20と記録ヘッド18との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0044】
この記録ヘッド18による記録動作は、キャリッジ19が図3及び図4の主走査方向左向き又は右向きに走行される間に、記録ヘッド18からの記録ワイヤの突出により一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン20、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0045】
また、図1に示すカットシートフィーダ44は、プリンタ本体11の後方側に装着又は離脱可能に設けられて、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の後方から前方へ1枚ずつ分離して供給するものである。図7は、カットシートフィーダ44の斜視図である。
【0046】
カットシートフィーダ44は、本体フレームとしての左フレーム80及び右フレーム81並びにシートガイド((シート厚検出部))82と、左右のフレーム80、81間に架け渡されたスライド軸83、ホッパ軸84、給紙ローラ軸85及び補助ローラ軸86と、各軸に摺動自在に挿通された一対のスライダ87、ホッパ88、給紙ローラ89及び補助ローラ90とを有している。このホッパ88、給紙ローラ89及び補助ローラ90は、それぞれスライダ87と連結され、これにより、各スライダ87と一体的に移動する。一対のスライダ87は、カットシートの幅寸法に応じて調整可能とされ、複数枚のカットシートがホッパ88に載置される。
【0047】
ホッパ88は、ホッパ軸84が図7における紙面略垂直方向に移動可能に支持されると共に、図示しない弾性部材によりスライダ87と反対側に付勢されることによって、載置された複数枚のカットシートの最上位のカットシートを給紙ローラ89に押し当てる。これにより、給紙ローラ89の一又は複数回転により、最上位のカットシートが分離されてプリンタ本体11へ供給される。シートガイド82は、樹脂板または金属板で形成され、この給紙ローラ89の回転によって分離されたカットシートが載置され、カットシートを、上面のフラット面に沿ってプリンタ本体11のシート案内25に案内する。この給紙ローラ89及び補助ローラ90も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。すなわち、即ち、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、図5に示すように、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経てカットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギア91へ伝達され、これにより、カットシートフィーダ44の給紙ローラ89及び補助ローラ90が駆動される。
【0048】
また、中間ギア57を、カットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギア91とプッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動ギアとに選択的に噛み合わせ可能とし、かつリア側シート搬送ローラ37の接触圧を変更可能とする機構がレリース機構58(図4)である。このレリース機構58は、プリンタ10に供給されるシートの種類(カットシート、連続シート)に応じてプリンタ10のシート使用モードを切り換えるものである。
【0049】
また、プリンタ本体11のシート案内25の下方には、図2に示すように、制御基板部95が配置されている。制御基板部95は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびデータを書き込み可能な記憶部(EEPROMやフラッシュメモリなど)などから構成され、ROMに記憶された制御プログラムに従ってプリンタ10の動作を中枢的に制御する。
【0050】
ところで、このプリンタ10には、供給されたシート(カットシート、連続シート)のシート厚に応じて、記録ヘッド18とプラテンとの間のプラテンギャップを調整する自動プラテンギャップ調整機構(プラテンギャップ調整手段)100が装備されている。
【0051】
ここで、連続シートは、文字通り、同一のシートが連続するものであるため、シート厚は、一連の連続シートでは一定である。このため、連続シートに記録を行う場合、一連の連続シートの最初だけ、若しくは所定の時間間隔でプラテンギャップの調整を行えば充分である。一方、カットシートは、カットシートフィーダ44にシート厚が異なるシートが混在してセットされる場合があり、一般にどのシートからシート厚が異なるかは事前に判らないため、複数枚に記録を行う場合、1枚ごとにプラテンギャップを調整する方式を一般に採用している。このため、カットシートに記録を行う場合は、記録時間に占めるプラテンギャップ調整の時間の割合が大きくなる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10では、カットシートの搬送経路のうち、プラテン20の上流側に、カットシートフィーダ44から供給されるカットシートのシート厚を検出するシート厚検出機構200(図7)を装備し、このシート厚検出機構200でシート厚を検出したカットシートをプラテン20に搬送する間に、検出したシート厚に応じてプラテンギャップの調整を行う。
【0053】
詳述すると、シート厚検出機構200は、カットシートフィーダ44のシートガイド(シート厚検出部)82のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出する機構であり、図8に拡大して示すように、シート厚検出用モータ201、ロータリーエンコーダ202、出力ギア203、減速ギア204、205及び206、回転軸207、偏心軸208並びに制御基板部95などから構成されている。なお、シート厚検出用モータ201は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0054】
出力ギア203は、シート厚検出用モータ201の出力軸に固定され、この出力ギア203に減速ギア204が噛み合う。減速ギア204は、減速ギア205と回転一体に形成されて減速ギア206に噛み合う。減速ギア206は、回転軸207に固定されており、これにより、シート厚検出用モータ201の駆動力が回転軸207へ伝達され、回転軸207に固定された偏心軸208が回転される。すると、この偏心軸208が回転軸207との偏心量L1に対応する量(例えばL1=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、偏心軸208に固定された略円板形状の当接部材209が、シートガイド82に対し前後に駆動される。
【0055】
ロータリーエンコーダ202は、シート厚検出用モータ201の出力軸に回転一体に設けられたスリット板210と、このスリット板210に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器211とを有している。投受光器211の発光ダイオードから出射されてスリット板210のスリットを通過した光が、投受光器211のフォトダイオードに受光されてパルス信号に変換され、このパルス信号が制御基板部95に出力される。
【0056】
制御基板部95のシート厚検出機構200に関わる部分は、シート厚検出用モータ201を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ202からのパルス信号の周期とシート厚検出用モータ201の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、当接部材209がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、当接部材209が、シートに当接したと判断する。このとき、制御基板部95は、当接部材209が予め定めた基準位置から移動すると、ロータリーエンコーダ202からのパルス信号の計数を開始し、当接部材209の当接を検出した時点の計数値に基づき、測定基準面からシート面までの距離を測定する。なお、測定基準面とは、当接部材209が基準位置にあるときの当接面を意味する。
【0057】
そして、シート面の位置に基づいて、制御基板部95はシート厚を算出する。より具体的には、制御基板部95は、上記測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離を予め内部の記憶部に記憶しておき、測定で得たシート面までの距離と、記憶部に記憶された距離との差からシート厚を算出する。なお、制御基板部95が、当接部材209をシートガイド82に当接させ、その時点のパルス信号の計数値から上記測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離を測定し、記憶部に予め記憶させておくようにしてもよい。従って、シート厚検出機構200は、当接部材209を駆動する駆動手段、シート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する距離測定手段及びシート厚を算出するシート厚算出手段として機能する。
【0058】
図9は、自動プラテンギャップ調整機構100を周辺構成と共に示す概要図である。
【0059】
自動プラテンギャップ調整機構100は、図3、図6及び図9に示すように、プラテンギャップ調整用モータ101、ロータリーエンコーダ102、出力ギア103、減速ギア104、105及び106、キャリッジガイド軸26の両端部に固定された偏心軸107、基準位置検出器108並びに制御基板部95などから構成されている。なお、プラテンギャップ調整用モータ101は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0060】
出力ギア103は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に固定され、この出力ギア103に減速ギア104が噛み合う。減速ギア104は、減速ギア105と回転一体に形成されて減速ギア106に噛み合う。減速ギア107は偏心軸107に固定されており、これにより、プラテンギャップ調整用モータ101の駆動力が偏心軸72へ伝達され、キャリッジガイド軸26が回動される。すると、このキャリッジガイド軸26が偏心軸107との偏心量L2に対応する量(例えばL2=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、キャリッジ19を介して記録ヘッド18がプラテン20に対し前後移動する。なお、基準位置検出器108は、記録ヘッド18が、最大厚のシートの装填を可能とする最大後退位置である基準位置にあるときにオンとなるマイクロスイッチである。これにより、キャリッジ19の移動範囲は、記録ヘッド18がプラテン20に当接する位置から上記基準位置までに規制されている。
【0061】
ロータリーエンコーダ102は、上述したロータリーエンコーダ102と同様に、スリット板110と、投受光器111とを有し、投受光器111から出射してスリット板110のスリットを通過した光を受光してパルス信号に変換し、このパルス信号を制御基板部95に出力する。
【0062】
制御基板部95の自動プラテンギャップ調整機構100に関わる部分は、カットシート又は連続シートのシート厚に応じてプラテンギャップを決定し、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始し、プラテンギャップを上記決定した値に調整する。
【0063】
詳述すると、連続シートに対してプラテンギャップを調整する際は、制御基板部95は、連続シートをプラテン20に搬送する前に、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させる。次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド18がプラテン20に当接したと判断する。このとき、制御基板部95は、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始し、記録ヘッド18の当接を検出した時点の計数値に基づき測定基準面からプラテン面までの距離を測定する。
【0064】
次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動して連続シートをプラテン20に搬送し、その後、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動して記録ヘッド18をシートに当接させ、測定基準面から連続シートのシート面までの距離を測定する。その後、制御基板部95は、これら測定した、プラテン面までの距離とシート面の位置までの距離との差からシート厚を算出し、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定し、キャリッジ19を移動させてプラテンギャップを設定する。
【0065】
一方、カットシートに対してプラテンギャップを調整する際は、制御基板部95は、シート厚検出機構200によって検出したシート厚に基づいて記録ヘッド18とプラテン20との間のプラテンギャップを調整する処理を行う。
【0066】
図10は、この制御フローを示す。制御基板部95は、まず、シート搬送モータ35を駆動して、カットシートフィーダ44にセットされているカットシートをシートガイド82上に搬送する(ステップS1)。次に、制御基板部95は、シート厚検出用モータ201を駆動して、シート厚検出機構200の当接部材209がシートガイド82上のシートに当接するまで移動させ、当接時のロータリーエンコーダ202からのパルス数に基づき測定基準面からシート面までの距離を測定する(ステップS2)。次いで、制御基板部95は、この測定値と、記憶部に記憶された測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離との差から、シートガイド82上のカットシートのシート厚を算出する(ステップS3)。
【0067】
シート厚を算出すると、制御基板部95は、シート搬送モータ35を駆動して、シートガイド82上のカットシートのプラテン20への搬送を開始し(ステップS4)、また、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定し、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動させてプラテンギャップを設定する(ステップS5)。これにより、カットシートの搬送中にプラテンギャップが調整される。従って、カットシートがプラテン20に搬送されるとすぐにカットシートに対して記録を開始でき、記録に要する時間を短縮することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ10においては、プラテン20の上流にてカットシートのシート厚を検出するシート厚検出機構200が設けられ、カットシートの搬送中に、検出したシート厚に応じて記録ヘッド18を移動してプラテンギャップを調整する。従って、本実施形態のプリンタ10は、プラテンギャップを設定すべく記録ヘッド18を移動させる動作と、カットシートの搬送動作とを並行して行うことができ、かかる動作を時期的にずらして行う従来のものに比べて処理時間を短縮することができる。
【0069】
また、カットシートを平らなシートガイド82に載置した状態でシート厚の測定を行うため、従来のプラテン20上で測定を行うものに比して、プラテン20の弾性変形による測定誤差が生じない分、シート厚を正確に測定することができる。
【0070】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、カットシートフィーダ44からのカットシートの搬送経路(同図に太線にて示す)が円筒形のプラテン20にて大きく屈曲しているプリンタ10A、すなわち、カットシートがプラテン20に巻き付くタイプのドットインパクトプリンタにも適用可能である。従来、この種のプリンタAは、カットシートが厚紙などのこしの強いものの場合、シートがプラテン20に密着せずシート厚を正確に測定できない場合がある。従って、本発明を適用することによって、シート厚の測定精度を大幅に向上させることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、カットシートフィーダ44からのカットシートに対してシート厚検出機構200を設ける場合について述べたが、手差し給紙されるカットシートや連続シートのシート厚を検出するシート厚検出機構200を別途設けてもよい。例えば、図11には、前方からの手差し給紙の場合のシート搬送経路、前方側下方からのシート搬送経路、後方側下方からのシート搬送経路を太線にて示しているが、これらのシート搬送経路のプラテン20の上流側にさらにシート厚検出機構200を設けてもよい。これにより、各シート搬送経路にて搬送されるシートに対するプラテンギャップ調整時間を短縮することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態のシート厚検出機構200は、当接部材209をシートに当接させて、測定基準面からシート支持面上のシートのシート面までの距離を測定する場合について述べたが、距離を測定可能な範囲で、様々な接触式センサや非接触式センサを適用可能である。
【0073】
また、本実施形態では、本発明を円筒形のプラテンを用いた記録装置に適用する場合について述べたが、これに限定されず、例えば、平プラテンを用いた記録装置にも適用可能である。
【0074】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、プラテンギャップの調整に要する時間を短縮でき、かつ、シート厚を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。
【図2】ドットインパクトプリンタの側断面図である。
【図3】アッパケースを取り外して示すプリンタ本体の斜視図である。
【図4】プリンタ本体を示す斜視図である。
【図5】プリンタ本体のシート搬送機後部を示す斜視図である。
【図6】プリンタ本体を拡大して示す斜視図である。
【図7】カットシートフィーダの斜視図である。
【図8】シート厚検出機構を示す図である。
【図9】自動プラテンギャップ調整機構を周辺構成と共に示す概要図である。
【図10】プラテンギャップ調整処理を示すフローチャートである。
【図11】変形例の説明に供するドットインパクトプリンタの側断面図である。
【符号の説明】
10 プリンタ(記録装置)
11 プリンタ本体
18 記録ヘッド
19 キャリッジ
20 プラテン
95 制御基板部
100 自動プラテンギャップ調整機構
200 シート厚検出機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに、インクリボンを介して、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち付けて、シートに画像を記録する記録装置が知られている。
【0003】
この種の記録装置は、記録ヘッドとシート面との間の距離を一定に保つべく、シート厚に応じて記録ヘッドとプラテン面との間の距離(プラテンギャップ)を自動調整する自動プラテンギャップ調整機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種のものでは、記録ヘッドをプラテンに当接するまで移動させてプラテン面の位置を測定し、次に、シートを記録ヘッドとプラテンとの間に搬送し、このシートに記録ヘッドを当接させてシート面の位置を測定し、これら測定値の差からシート厚を検出するのが一般的である。
【0005】
従来の構成では、一般に、記録時において、カットシートフィーダなどからシートが供給される毎にプラテンギャップの調整を行うことが前提とされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−52963号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラテンは表面が弾性部材で構成されているため、記録ヘッドとプラテンとの間に配置されたシートに記録ヘッドを当接させた際にプラテンが弾性変形し、シート面を正確に測れない場合があった。その結果、シート厚を正確に検出できず、プラテンギャップを適切に調整できない等の問題があった。
【0008】
さらに、円筒形プラテンにシートを巻き付けて記録を行う記録装置では、厚紙などのこしの強いシートの場合、シートが円筒形プラテンに密着しないことがあり、これによってもシート面を正確に測れず、プラテンギャップを適切に調整できない、といった問題が生じていた。
【0009】
また、シート毎にプラテンギャップの調整を行う記録装置においては、プラテンギャップの調整時間を短くしてスループットの向上、ひいては記録時間の短縮化が要望されている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、プラテンギャップの調整に要する時間を短縮でき、かつ、シート厚を正確に測定できる記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに、インクリボンを介して、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち付けて当該シートに画像を記録する記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段と、前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記記録装置の所定位置にカットシートを1枚ずつ供給する給紙装置を有し、前記シートは、前記給紙装置が供給するカットシートであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成において、前記シート厚検出ステップにおいては、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、前記測定したシート面までの距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置において、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段とを有し、前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の構成において、前記シート厚検出手段は、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成において、前記測定手段は、前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置の制御方法において、前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の構成において、前記シート厚検出ステップにおいては、測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、前記測定した距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0025】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。図2は、図1のプリンタの側断面図であり、図3及び図4は、このプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。また、図5及び図6は、プリンタ本体の部分拡大図である。
【0026】
このプリンタ10は、多数の記録ワイヤを、インクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷する。このプリンタ10に使用可能なシートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙、単票複写紙又はカットフィルム等があり、連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0027】
プリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の後方側に配置されたプッシュトラクタユニット12(図2)と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆う外装体としてのアッパケース13A及びロアケース13Bと、プリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートの供給を案内するシート供給ガイド43と、プリンタ本体11の後方側で、プッシュトラクタユニット12の上方位置に設置され、カットシートをプリンタ本体11の記録機構部へ1枚づつ供給するカットシートフィーダ(給紙装置)44とから構成される。
【0028】
プリンタ本体11は、図2乃至図6に示すように、本体フレームとしてのベースフレーム14、リアフレーム15、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録機構部としての記録ヘッド18及びキャリッジ19と、シート搬送機構部としてのプラテン20、シート案内25、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24とを有している。
【0029】
ベースフレーム14及びリアフレーム15の略両端部には、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17が立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、キャリッジガイド軸26が架け渡されて、回動自在に軸支される。さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、プラテン20が架け渡されて回転自在に配設されると共に、さらにシート案内25が固定して配設される。
【0030】
プラテン20を含むシート搬送機構部は、図2に示すように、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22が当接状態で上下に配置されて対をなし、フロント側シート搬送ローラ27を構成する。また、第3搬送ローラ23と第4搬送ローラ24とが当接状態で上下に配置されて対をなし、リア側シート搬送ローラ37を構成する。
【0031】
このうち、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24が駆動ローラであり、第2搬送ローラ22及び第3搬送ローラ23が従動ローラである。また、第1搬送ローラ21及び第3搬送ローラ23は、プラテン20と共にシート案内25の下方に配置され、第2搬送ローラ22及び第4搬送ローラ24はシート案内25の上方に配置される。
【0032】
プラテン20、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24は、図4に示す駆動輪列部34により正又は逆方向に回転駆動される。この駆動輪列部34は左サイドフレーム16又は右サイドフレーム17の一方、例えば左サイドフレーム16に設置される。
【0033】
この駆動輪列部34は、正転又は逆転可能なシート搬送モータ35の駆動軸に回転一体に固定されたモータピニオン36を備える。このモータピニオン36からの駆動力が、複数の減速ギア48、49及び50を介してプラテン20へ伝達され、さらに、減速ギア50から減速ギア51及び52を介して第1搬送ローラ21へ伝達され、さらに、減速ギア49から減速ギア53及び54を経て第4搬送ローラ24へ伝達される。
【0034】
これにより、プラテン20及び第1搬送ローラ21が同一方向に、第4搬送ローラ24が反対方向に回転して、カットシート又は連続シートを、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送可能とし、又は、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送可能とする。従って、カットシート及び連続シートは、キャリッジ19の後述の主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。なお、このプリンタ10におけるカートシートの搬送経路を図2に符号αで示している。
【0035】
プッシュトラクタユニット12は、連続シート(例えば連続紙)を、プラテン20を備えたシート搬送機構部へ供給するものであり、左右一対のトラクタ28を有する。これらのトラクタ28は、トラクタ駆動軸29に回転一体かつ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)と、トラクタガイド軸30に回転自在かつ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)とにトラクタベルト31が巻き掛けられ、シート押え蓋32を備えて構成される。
【0036】
一対のトラクタ28間の距離は、搬送すべき連続シート(連続紙)の幅寸法に応じて調整可能とされる。また、トラクタベルト31の全外周に突設された複数本のピン(不図示)が、連続シートの幅方向両側に穿設された穴(不図示)に係合可能とされる。このトラクタベルト31も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。
【0037】
つまり、図5に示すように、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経て、プッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動軸29に固定されたトラクタ駆動ギア(不図示)へ伝達され、これによりプッシュトラクタユニット12のトラクタベルト31が駆動可能とされる。
【0038】
これにより、プッシュトラクタユニット12は、トラクタベルト31の駆動によりピンに係合された連続シートを、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送し、又は、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送する。
【0039】
図1に示すシート供給ガイド43は、プリンタ本体11の前方側において、アッパケース13Aに着脱自在に設置される。このシート供給ガイド43は、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の前方から後方へ手差しで1枚ずつ供給する際に、このカットシートを案内する。このシート供給ガイド43により案内されたカットシートは、プラテン20、フロント側シート搬送ローラ27及びリア側シート搬送ローラ37等のシート搬送機構部により搬送される。
【0040】
また、図3及び図4に示すキャリッジ19は、キャリッジガイド軸26に摺動自在に挿通されると共に、リアフレーム15の上端部に摺接され、更に記録ヘッド18が搭載される。キャリッジガイド軸26はプラテン20と平行に配置され、これにより、キャリッジ19は、プラテン20及びキャリッジガイド軸26の軸方向と一致する主走査方向に走行(走査)可能に設けられる。
【0041】
このキャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38(図4)の正転又は逆転により往復移動されるタイミングベルト(不図示)に結合される。これにより、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38の正転又は逆転によりキャリッジガイド軸26に案内されて、主走査方向における図3及び図4の左向き又は右向きに移動する。なお、シート搬送モータ35やキャリッジ駆動モータ38は、例えはステッピングモータにて構成される。
【0042】
また、キャリッジ19には、リボンカセット装着部40が設けられ、このリボンカセット装着部40に、インクリボンを収納したリボンカセット40Aが装着される。さらにキャリッジ19には、リボンカセットのインクリボンを、プラテン20に接して搬送されるシート(カットシート又は連続シート)から保護するためのリボンマスクホルダ41が設置される。
【0043】
記録ヘッド18は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン20と記録ヘッド18との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0044】
この記録ヘッド18による記録動作は、キャリッジ19が図3及び図4の主走査方向左向き又は右向きに走行される間に、記録ヘッド18からの記録ワイヤの突出により一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン20、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0045】
また、図1に示すカットシートフィーダ44は、プリンタ本体11の後方側に装着又は離脱可能に設けられて、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の後方から前方へ1枚ずつ分離して供給するものである。図7は、カットシートフィーダ44の斜視図である。
【0046】
カットシートフィーダ44は、本体フレームとしての左フレーム80及び右フレーム81並びにシートガイド((シート厚検出部))82と、左右のフレーム80、81間に架け渡されたスライド軸83、ホッパ軸84、給紙ローラ軸85及び補助ローラ軸86と、各軸に摺動自在に挿通された一対のスライダ87、ホッパ88、給紙ローラ89及び補助ローラ90とを有している。このホッパ88、給紙ローラ89及び補助ローラ90は、それぞれスライダ87と連結され、これにより、各スライダ87と一体的に移動する。一対のスライダ87は、カットシートの幅寸法に応じて調整可能とされ、複数枚のカットシートがホッパ88に載置される。
【0047】
ホッパ88は、ホッパ軸84が図7における紙面略垂直方向に移動可能に支持されると共に、図示しない弾性部材によりスライダ87と反対側に付勢されることによって、載置された複数枚のカットシートの最上位のカットシートを給紙ローラ89に押し当てる。これにより、給紙ローラ89の一又は複数回転により、最上位のカットシートが分離されてプリンタ本体11へ供給される。シートガイド82は、樹脂板または金属板で形成され、この給紙ローラ89の回転によって分離されたカットシートが載置され、カットシートを、上面のフラット面に沿ってプリンタ本体11のシート案内25に案内する。この給紙ローラ89及び補助ローラ90も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。すなわち、即ち、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、図5に示すように、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経てカットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギア91へ伝達され、これにより、カットシートフィーダ44の給紙ローラ89及び補助ローラ90が駆動される。
【0048】
また、中間ギア57を、カットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギア91とプッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動ギアとに選択的に噛み合わせ可能とし、かつリア側シート搬送ローラ37の接触圧を変更可能とする機構がレリース機構58(図4)である。このレリース機構58は、プリンタ10に供給されるシートの種類(カットシート、連続シート)に応じてプリンタ10のシート使用モードを切り換えるものである。
【0049】
また、プリンタ本体11のシート案内25の下方には、図2に示すように、制御基板部95が配置されている。制御基板部95は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびデータを書き込み可能な記憶部(EEPROMやフラッシュメモリなど)などから構成され、ROMに記憶された制御プログラムに従ってプリンタ10の動作を中枢的に制御する。
【0050】
ところで、このプリンタ10には、供給されたシート(カットシート、連続シート)のシート厚に応じて、記録ヘッド18とプラテンとの間のプラテンギャップを調整する自動プラテンギャップ調整機構(プラテンギャップ調整手段)100が装備されている。
【0051】
ここで、連続シートは、文字通り、同一のシートが連続するものであるため、シート厚は、一連の連続シートでは一定である。このため、連続シートに記録を行う場合、一連の連続シートの最初だけ、若しくは所定の時間間隔でプラテンギャップの調整を行えば充分である。一方、カットシートは、カットシートフィーダ44にシート厚が異なるシートが混在してセットされる場合があり、一般にどのシートからシート厚が異なるかは事前に判らないため、複数枚に記録を行う場合、1枚ごとにプラテンギャップを調整する方式を一般に採用している。このため、カットシートに記録を行う場合は、記録時間に占めるプラテンギャップ調整の時間の割合が大きくなる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10では、カットシートの搬送経路のうち、プラテン20の上流側に、カットシートフィーダ44から供給されるカットシートのシート厚を検出するシート厚検出機構200(図7)を装備し、このシート厚検出機構200でシート厚を検出したカットシートをプラテン20に搬送する間に、検出したシート厚に応じてプラテンギャップの調整を行う。
【0053】
詳述すると、シート厚検出機構200は、カットシートフィーダ44のシートガイド(シート厚検出部)82のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出する機構であり、図8に拡大して示すように、シート厚検出用モータ201、ロータリーエンコーダ202、出力ギア203、減速ギア204、205及び206、回転軸207、偏心軸208並びに制御基板部95などから構成されている。なお、シート厚検出用モータ201は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0054】
出力ギア203は、シート厚検出用モータ201の出力軸に固定され、この出力ギア203に減速ギア204が噛み合う。減速ギア204は、減速ギア205と回転一体に形成されて減速ギア206に噛み合う。減速ギア206は、回転軸207に固定されており、これにより、シート厚検出用モータ201の駆動力が回転軸207へ伝達され、回転軸207に固定された偏心軸208が回転される。すると、この偏心軸208が回転軸207との偏心量L1に対応する量(例えばL1=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、偏心軸208に固定された略円板形状の当接部材209が、シートガイド82に対し前後に駆動される。
【0055】
ロータリーエンコーダ202は、シート厚検出用モータ201の出力軸に回転一体に設けられたスリット板210と、このスリット板210に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器211とを有している。投受光器211の発光ダイオードから出射されてスリット板210のスリットを通過した光が、投受光器211のフォトダイオードに受光されてパルス信号に変換され、このパルス信号が制御基板部95に出力される。
【0056】
制御基板部95のシート厚検出機構200に関わる部分は、シート厚検出用モータ201を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ202からのパルス信号の周期とシート厚検出用モータ201の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、当接部材209がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、当接部材209が、シートに当接したと判断する。このとき、制御基板部95は、当接部材209が予め定めた基準位置から移動すると、ロータリーエンコーダ202からのパルス信号の計数を開始し、当接部材209の当接を検出した時点の計数値に基づき、測定基準面からシート面までの距離を測定する。なお、測定基準面とは、当接部材209が基準位置にあるときの当接面を意味する。
【0057】
そして、シート面の位置に基づいて、制御基板部95はシート厚を算出する。より具体的には、制御基板部95は、上記測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離を予め内部の記憶部に記憶しておき、測定で得たシート面までの距離と、記憶部に記憶された距離との差からシート厚を算出する。なお、制御基板部95が、当接部材209をシートガイド82に当接させ、その時点のパルス信号の計数値から上記測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離を測定し、記憶部に予め記憶させておくようにしてもよい。従って、シート厚検出機構200は、当接部材209を駆動する駆動手段、シート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する距離測定手段及びシート厚を算出するシート厚算出手段として機能する。
【0058】
図9は、自動プラテンギャップ調整機構100を周辺構成と共に示す概要図である。
【0059】
自動プラテンギャップ調整機構100は、図3、図6及び図9に示すように、プラテンギャップ調整用モータ101、ロータリーエンコーダ102、出力ギア103、減速ギア104、105及び106、キャリッジガイド軸26の両端部に固定された偏心軸107、基準位置検出器108並びに制御基板部95などから構成されている。なお、プラテンギャップ調整用モータ101は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0060】
出力ギア103は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に固定され、この出力ギア103に減速ギア104が噛み合う。減速ギア104は、減速ギア105と回転一体に形成されて減速ギア106に噛み合う。減速ギア107は偏心軸107に固定されており、これにより、プラテンギャップ調整用モータ101の駆動力が偏心軸72へ伝達され、キャリッジガイド軸26が回動される。すると、このキャリッジガイド軸26が偏心軸107との偏心量L2に対応する量(例えばL2=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、キャリッジ19を介して記録ヘッド18がプラテン20に対し前後移動する。なお、基準位置検出器108は、記録ヘッド18が、最大厚のシートの装填を可能とする最大後退位置である基準位置にあるときにオンとなるマイクロスイッチである。これにより、キャリッジ19の移動範囲は、記録ヘッド18がプラテン20に当接する位置から上記基準位置までに規制されている。
【0061】
ロータリーエンコーダ102は、上述したロータリーエンコーダ102と同様に、スリット板110と、投受光器111とを有し、投受光器111から出射してスリット板110のスリットを通過した光を受光してパルス信号に変換し、このパルス信号を制御基板部95に出力する。
【0062】
制御基板部95の自動プラテンギャップ調整機構100に関わる部分は、カットシート又は連続シートのシート厚に応じてプラテンギャップを決定し、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始し、プラテンギャップを上記決定した値に調整する。
【0063】
詳述すると、連続シートに対してプラテンギャップを調整する際は、制御基板部95は、連続シートをプラテン20に搬送する前に、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させる。次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド18がプラテン20に当接したと判断する。このとき、制御基板部95は、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始し、記録ヘッド18の当接を検出した時点の計数値に基づき測定基準面からプラテン面までの距離を測定する。
【0064】
次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動して連続シートをプラテン20に搬送し、その後、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動して記録ヘッド18をシートに当接させ、測定基準面から連続シートのシート面までの距離を測定する。その後、制御基板部95は、これら測定した、プラテン面までの距離とシート面の位置までの距離との差からシート厚を算出し、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定し、キャリッジ19を移動させてプラテンギャップを設定する。
【0065】
一方、カットシートに対してプラテンギャップを調整する際は、制御基板部95は、シート厚検出機構200によって検出したシート厚に基づいて記録ヘッド18とプラテン20との間のプラテンギャップを調整する処理を行う。
【0066】
図10は、この制御フローを示す。制御基板部95は、まず、シート搬送モータ35を駆動して、カットシートフィーダ44にセットされているカットシートをシートガイド82上に搬送する(ステップS1)。次に、制御基板部95は、シート厚検出用モータ201を駆動して、シート厚検出機構200の当接部材209がシートガイド82上のシートに当接するまで移動させ、当接時のロータリーエンコーダ202からのパルス数に基づき測定基準面からシート面までの距離を測定する(ステップS2)。次いで、制御基板部95は、この測定値と、記憶部に記憶された測定基準面からシートガイド82のシート支持面までの距離との差から、シートガイド82上のカットシートのシート厚を算出する(ステップS3)。
【0067】
シート厚を算出すると、制御基板部95は、シート搬送モータ35を駆動して、シートガイド82上のカットシートのプラテン20への搬送を開始し(ステップS4)、また、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定し、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動させてプラテンギャップを設定する(ステップS5)。これにより、カットシートの搬送中にプラテンギャップが調整される。従って、カットシートがプラテン20に搬送されるとすぐにカットシートに対して記録を開始でき、記録に要する時間を短縮することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ10においては、プラテン20の上流にてカットシートのシート厚を検出するシート厚検出機構200が設けられ、カットシートの搬送中に、検出したシート厚に応じて記録ヘッド18を移動してプラテンギャップを調整する。従って、本実施形態のプリンタ10は、プラテンギャップを設定すべく記録ヘッド18を移動させる動作と、カットシートの搬送動作とを並行して行うことができ、かかる動作を時期的にずらして行う従来のものに比べて処理時間を短縮することができる。
【0069】
また、カットシートを平らなシートガイド82に載置した状態でシート厚の測定を行うため、従来のプラテン20上で測定を行うものに比して、プラテン20の弾性変形による測定誤差が生じない分、シート厚を正確に測定することができる。
【0070】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、カットシートフィーダ44からのカットシートの搬送経路(同図に太線にて示す)が円筒形のプラテン20にて大きく屈曲しているプリンタ10A、すなわち、カットシートがプラテン20に巻き付くタイプのドットインパクトプリンタにも適用可能である。従来、この種のプリンタAは、カットシートが厚紙などのこしの強いものの場合、シートがプラテン20に密着せずシート厚を正確に測定できない場合がある。従って、本発明を適用することによって、シート厚の測定精度を大幅に向上させることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、カットシートフィーダ44からのカットシートに対してシート厚検出機構200を設ける場合について述べたが、手差し給紙されるカットシートや連続シートのシート厚を検出するシート厚検出機構200を別途設けてもよい。例えば、図11には、前方からの手差し給紙の場合のシート搬送経路、前方側下方からのシート搬送経路、後方側下方からのシート搬送経路を太線にて示しているが、これらのシート搬送経路のプラテン20の上流側にさらにシート厚検出機構200を設けてもよい。これにより、各シート搬送経路にて搬送されるシートに対するプラテンギャップ調整時間を短縮することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態のシート厚検出機構200は、当接部材209をシートに当接させて、測定基準面からシート支持面上のシートのシート面までの距離を測定する場合について述べたが、距離を測定可能な範囲で、様々な接触式センサや非接触式センサを適用可能である。
【0073】
また、本実施形態では、本発明を円筒形のプラテンを用いた記録装置に適用する場合について述べたが、これに限定されず、例えば、平プラテンを用いた記録装置にも適用可能である。
【0074】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、プラテンギャップの調整に要する時間を短縮でき、かつ、シート厚を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。
【図2】ドットインパクトプリンタの側断面図である。
【図3】アッパケースを取り外して示すプリンタ本体の斜視図である。
【図4】プリンタ本体を示す斜視図である。
【図5】プリンタ本体のシート搬送機後部を示す斜視図である。
【図6】プリンタ本体を拡大して示す斜視図である。
【図7】カットシートフィーダの斜視図である。
【図8】シート厚検出機構を示す図である。
【図9】自動プラテンギャップ調整機構を周辺構成と共に示す概要図である。
【図10】プラテンギャップ調整処理を示すフローチャートである。
【図11】変形例の説明に供するドットインパクトプリンタの側断面図である。
【符号の説明】
10 プリンタ(記録装置)
11 プリンタ本体
18 記録ヘッド
19 キャリッジ
20 プラテン
95 制御基板部
100 自動プラテンギャップ調整機構
200 シート厚検出機構
Claims (13)
- 記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに、インクリボンを介して、記録ヘッドから記録ワイヤを打ち付けて当該シートに画像を記録する記録装置において、
記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、
前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段と、
前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段と
を備えることを特徴とする記録装置。 - 前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記シート厚検出手段は、
測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、
前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、
前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。 - 前記測定手段は、
前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、
前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、
前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。 - 前記記録装置の所定位置にカットシートを1枚ずつ供給する給紙装置を有し、
前記シートは、前記給紙装置が供給するカットシートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。 - 記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、
前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とするプラテンギャップ調整方法。 - 前記シート厚検出ステップにおいては、
測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、
前記測定したシート面までの距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする請求項6に記載のプラテンギャップ調整方法。 - 記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置において、
記録ヘッドとプラテンとの間にシートを搬送する搬送手段と、
前記プラテンの上流に設けられ、搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出手段とを有し、
前記シート厚検出手段の検出結果に応じて、シートの搬送中に、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整することを特徴とするプラテンギャップ調整装置。 - 前記シート厚検出手段は、シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート厚を検出することを特徴とする請求項8に記載のプラテンギャップ調整装置。
- 前記シート厚検出手段は、
測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離が記憶される記憶手段と、
前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定する測定手段と、
前記測定手段が測定した距離と、前記記憶手段に記憶された距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するシート厚算出手段とを有することを特徴とする請求項9に記載のプラテンギャップ調整装置。 - 前記測定手段は、
前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートに対し、当接可能に設けた当接部材と、
前記当接部材を駆動して、当接部材を該シートに当接させる駆動手段と、
前記駆動手段が前記当接部材をシートに当接させたときの当接位置に基づいて、前記測定基準面からシート面までの距離を測定する距離測定手段とを有することを特徴とする請求項10に記載のプラテンギャップ調整装置。 - 記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整装置の制御方法において、
前記プラテンの上流にて搬送されたシートのシート厚を検出するシート厚検出ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に向けてシートを搬送中に、シート厚の検出結果に応じて、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整する調整ステップとを実行することを特徴とするプラテンギャップ調整装置の制御方法。 - 前記シート厚検出ステップにおいては、
測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面に搬送されたシートのシート面までの距離を測定するステップと、
前記測定した距離と、記憶手段に記憶された前記測定基準面から前記シート厚検出部のシート支持面までの距離との差に基づいて、該シートのシート厚を算出するステップとを実行することを特徴とする請求項12に記載のプラテンギャップ調整装置の制御方法。
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JP2002371212A JP2004202704A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 記録装置、プラテンギャップ調整方法、プラテンギャップ調整装置及びその制御方法 |
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- 2002-12-24 JP JP2002371212A patent/JP2004202704A/ja active Pending
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