JP2004237680A - 記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録ヘッドが破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法を提供する。
【解決手段】記録装置は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整する場合に、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値の適正範囲に、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップが含まれるか否かを判定し、判定結果をユーザに報知する。ここで、プラテンギャップの適正範囲は、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートに記録ヘッドの記録ワイヤが届かなくなる範囲を基準に定められる。
【選択図】 図11
【解決手段】記録装置は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整する場合に、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値の適正範囲に、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップが含まれるか否かを判定し、判定結果をユーザに報知する。ここで、プラテンギャップの適正範囲は、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートに記録ヘッドの記録ワイヤが届かなくなる範囲を基準に定められる。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをマニュアル調整可能な記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するドットインパクトプリンタが知られている。
【0003】
この種の記録装置は、例えば、プラテンギャップ調整用のアジャストレバーを備え、ユーザがこのアジャストレバーを移動して位置を変更すると、この位置に応じてプラテンギャップが変更される(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−096525号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マニュアル調整の場合には、記録ヘッドが記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートと接触してしまうプラテンギャップに調整してしまうおそれがある。この場合、シートへの記録を開始すると、記録ヘッドがシートに接触して破損してしまうおそれがある。また、マニュアル調整の場合には、記録ヘッドとシート面との距離が遠すぎるプラテンギャップに調整してしまうおそれもある。記録ヘッドとシートとの距離が遠いと、記録濃度が極端に薄くなってしまったり、シートに画像を記録できなくなってしまう等の問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、記録ヘッドが破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成において、前記判定手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成において、前記判定手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整した後、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10のいずれかに記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に記載の発明は、請求項8乃至11のいずれかに記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0020】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の構成において、前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0021】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項16に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項17に記載の発明は、請求項13乃至16のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする。
【0024】
また、請求項18に記載の発明は、請求項13乃至17のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップの判定結果をユーザに報知する報知ステップをさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項19に記載の発明は、請求項13乃至18のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップの判定結果を含む信号を送信する通信ステップをさらに有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項20に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の構成において、前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0028】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0029】
また、請求項23に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0030】
また、請求項24に記載の発明は、請求項20乃至23のいずれかに記載の構成において、前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0031】
また、請求項25に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップ値をユーザ指示値に応じて調整する場合に、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0032】
また、請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0033】
また、請求項27に記載の発明は、請求項25又は26に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0034】
また、請求項28に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0035】
また、請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の構成において、前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0036】
また、請求項30に記載の発明は、請求項29に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度を得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0037】
また、請求項31に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0038】
また、請求項32に記載の発明は、請求項28乃至31のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整された、プラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0040】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタ(以下、プリンタという。)を示す斜視図である。図2は、図1のプリンタの側断面図であり、図3及び図4は、このプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。また、図5及び図6は、プリンタ本体の部分拡大図である。
【0041】
このプリンタ10は、多数の記録ワイヤを、インクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を記録する。このプリンタ10に使用可能なシートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙、単票複写紙又はカットフィルム等があり、連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0042】
プリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の後方側に配置されたプッシュトラクタユニット12(図2)と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆う外装体としてのアッパケース13A及びロアケース13Bと、プリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートの供給を案内するシート供給ガイド43と、プリンタ本体11の後方側で、プッシュトラクタユニット12の上方位置に設置され、カットシートをプリンタ本体11の記録機構部へ1枚づつ供給するカットシートフィーダ(給紙装置)44とから構成される。
【0043】
プリンタ本体11は、図2乃至図6に示すように、本体フレームとしてのベースフレーム14、リアフレーム15、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録機構部としての記録ヘッド18及びキャリッジ19と、シート搬送機構部としてのプラテン20、シート案内25、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24とを有している。また、図1に示すように、プリンタ本体11は、各種操作スイッチを備えた操作パネル60と、液晶表示パネルである表示パネル65と、アジャストレバー70とを有している。
【0044】
ベースフレーム14及びリアフレーム15の略両端部には、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17が立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、キャリッジガイド軸26が架け渡されて、回動自在に軸支される。さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、プラテン20が架け渡されて回転自在に配設されると共に、さらにシート案内25が固定して配設される。
【0045】
プラテン20を含むシート搬送機構部は、図2に示すように、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22とが当接状態で上下に配置されて対をなし、フロント側シート搬送ローラ27を構成する。また、第3搬送ローラ23と第4搬送ローラ24とが当接状態で上下に配置されて対をなし、リア側シート搬送ローラ37を構成する。
【0046】
このうち、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24が駆動ローラであり、第2搬送ローラ22及び第3搬送ローラ23が従動ローラである。また、第1搬送ローラ21及び第3搬送ローラ23は、プラテン20と共にシート案内25の下方に配置され、第2搬送ローラ22及び第4搬送ローラ24はシート案内25の上方に配置される。
【0047】
プラテン20、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24は、図4に示す駆動輪列部34により正又は逆方向に回転駆動される。この駆動輪列部34は左サイドフレーム16又は右サイドフレーム17の一方、例えば左サイドフレーム16に設置される。
【0048】
この駆動輪列部34は、正転又は逆転可能なシート搬送モータ35の駆動軸に回転一体に固定されたモータピニオン36を備える。このモータピニオン36からの駆動力が、複数の減速ギア48、49及び50を介してプラテン20へ伝達され、さらに、減速ギア50から減速ギア51及び52を介して第1搬送ローラ21へ伝達され、さらに、減速ギア49から減速ギア53及び54を経て第4搬送ローラ24へ伝達される。
【0049】
これにより、プラテン20及び第1搬送ローラ21が同一方向に、第4搬送ローラ24が反対方向に回転して、カットシート又は連続シートを、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送可能とし、又は、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送可能とする。従って、カットシート及び連続シートは、キャリッジ19の後述の主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。なお、このプリンタ10におけるカートシートの搬送経路を図2に符号αで示している。
【0050】
プッシュトラクタユニット12は、連続シート(例えば連続紙)を、プラテン20を備えたシート搬送機構部へ供給するものであり、左右一対のトラクタ28を有する。これらのトラクタ28は、トラクタ駆動軸29に回転一体かつ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)と、トラクタガイド軸30に回転自在かつ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)とにトラクタベルト31が巻き掛けられ、シート押え蓋32を備えて構成される。
【0051】
一対のトラクタ28間の距離は、搬送すべき連続シート(連続紙)の幅寸法に応じて調整可能とされる。また、トラクタベルト31の全外周に突設された複数本のピン(不図示)が、連続シートの幅方向両側に穿設された穴(不図示)に係合可能とされる。このトラクタベルト31も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。
【0052】
つまり、図5に示すように、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経て、プッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動軸29に固定されたトラクタ駆動ギア(不図示)へ伝達され、これによりプッシュトラクタユニット12のトラクタベルト31が駆動可能とされる。これにより、プッシュトラクタユニット12は、トラクタベルト31の駆動によりピンに係合された連続シートを、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送し、又は、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送する。
【0053】
図1に示すシート供給ガイド43は、プリンタ本体11の前方側において、アッパケース13Aに着脱自在に設置される。このシート供給ガイド43は、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の前方から後方へ手差しで1枚ずつ供給する際に、このカットシートを案内する。このシート供給ガイド43により案内されたカットシートは、プラテン20、フロント側シート搬送ローラ27及びリア側シート搬送ローラ37等のシート搬送機構部により搬送される。
【0054】
また、図1に示すカットシートフィーダ44は、プリンタ本体11の後方側に装着又は離脱可能に設けられて、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の後方から前方へ1枚ずつ分離して供給するものである。
【0055】
つまり、このカットシートフィーダ44は、図示はしないが、供給ローラの回転動作によって、複数枚のカットシートを積層状態で保持するホッパから、最上位のカットシートをピックアップして供給し、この際、最上位のカットシートと共に重送されるカットシートを、分離機構にて分離するものである。この供給ローラの一又は複数回転により、1枚のカットシートがプリンタ本体11へ供給される。
【0056】
このカットシートフィーダ44の供給ローラも、前述の駆動輪列部34(図5)により駆動される。即ち、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、図5に示すように、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経てカットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギアへ伝達され、これにより、カットシートフィーダ44の供給ローラが駆動される。
【0057】
また、中間ギア57を、カットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギアと前述のプッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動ギアとに選択的に噛み合わせ可能とし、且つリア側シート搬送ローラ37の接触圧を変更可能とする機構がレリース機構58(図5)である。このレリース機構58は、プリンタ10に供給されるシートの種類(カットシート、連続シート)に応じてプリンタ10のシート使用モードを切り換えるものである。
【0058】
図3及び図4に示すキャリッジ19は、キャリッジガイド軸26に摺動自在に挿通されると共に、リアフレーム15の上端部に摺接され、さらに記録ヘッド18が搭載される。キャリッジガイド軸26はプラテン20と平行に配置され、これにより、キャリッジ19は、プラテン20及びキャリッジガイド軸26の軸方向と一致する主走査方向に走行(走査)可能に設けられる。
【0059】
このキャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38(図4)の正転又は逆転により往復移動されるタイミングベルト(不図示)に結合される。これにより、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38の正転又は逆転によりキャリッジガイド軸26に案内されて、主走査方向(図中矢印X方向及び矢印Y方向)に移動する。なお、シート搬送モータ35やキャリッジ駆動モータ38は、例えはステッピングモータにて構成される。
【0060】
また、キャリッジ19には、リボンカセット装着部40が設けられ、このリボンカセット装着部40に、インクリボンを収納したリボンカセット40Aが装着される。さらにキャリッジ19には、リボンカセットのインクリボンを、プラテン20に接して搬送されるシート(カットシート又は連続シート)から保護するためのリボンマスクホルダ41が設置される。
【0061】
記録ヘッド18は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン20と記録ヘッド18との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0062】
この記録ヘッド18による記録動作は、キャリッジ19が図3及び図4の主走査方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に走行される間に、記録ヘッド18からの記録ワイヤの突出により一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン20、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0063】
ここで、プラテン20、第1搬送ローラ21、第4搬送ローラ24、プッシュトラクタユニット12及びカットシートフィーダ44を駆動させるシート搬送モータ35の制御と、キャリッジ19を走行させるキャリッジ駆動モータ38の制御と、記録ヘッド18の記録ワイヤによる記録動作の制御と、図5に示すレリース機構58を動作させるレリース駆動モータ(不図示)の制御と、図7に示す後述のプラテンギャップ調整機構100におけるプラテンギャップ調整用モータ101の制御と、図1に示す表示パネル65の制御は、制御装置としての制御基板部95(図2)により実施される。
【0064】
この制御基板部95は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびデータを書き込み可能な記憶部(EEPROMやフラッシュメモリなど)、通信制御部などから構成され、ROMに記憶された制御プログラムに従ってプリンタ10の動作を中枢的に制御するものであり、例えばプリンタ本体11の前方におけるシート案内25の下方に配置される(図2)。なお、通信制御部は、このプリンタ10に接続された図示しない外部機器(パーソナルコンピュータなど)との間で印刷データやこのプリンタ10の情報を送受信するためのものである。また、制御基板部95には、図1に示す操作パネル60の各スイッチ、図1及び図3に示すアジャストレバー70の位置を検出する位置検出センサ(不図示)、及び後述のロータリーエンコーダ102からの検出信号が入力される。
【0065】
ところで、このプリンタ10は、図7に示すように、キャリッジガイド軸26を回動させて、記録ヘッド18とプラテン20との間の間隙であるプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構100が装備されている。
【0066】
プラテンギャップ調整機構100は、プラテンギャップ調整用モータ101、ロータリーエンコーダ102、出力ギア103、減速ギア104、105及び106、キャリッジガイド軸26の両端部に固定された偏心軸107、基準位置検出器108と、このプラテンギャップ調整機構100の制御を行う制御基板部95とを含んで構成される。なお、プラテンギャップ調整用モータ101は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0067】
出力ギア103は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に固定され、この出力ギア103に減速ギア104が噛み合う。減速ギア104は、減速ギア105と回転一体に形成されて減速ギア106に噛み合う。減速ギア107は偏心軸107に固定されており、これにより、プラテンギャップ調整用モータ101の駆動力が偏心軸72へ伝達され、キャリッジガイド軸26が回動される。すると、このキャリッジガイド軸26が偏心軸107との偏心量L2に対応する量(例えばL2=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、キャリッジ19を介して記録ヘッド18がプラテン20に対し前後移動する。なお、基準位置検出器108は、記録ヘッド18が、最大厚のシートの装填を可能とする最大後退位置である基準位置にあるときにオンとなるマイクロスイッチである。これにより、キャリッジ19の移動範囲は、記録ヘッド18がプラテン20に当接する位置から上記基準位置までに規制されている。
【0068】
ロータリーエンコーダ102は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に回転一体に設けられたスリット板110と、このスリット板110に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器111とを有し、投受光器111から出射してスリット板110のスリットを通過した光を受光してパルス信号に変換し、このパルス信号を制御基板部95に出力する。
【0069】
このプラテンギャップ調整機構100の動作は、制御基板部95の制御の下、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、プラテンギャップ・オート調整モードの3つの動作モードのいずれかの動作モードで選択的に制御される。ここで、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、プラテンギャップをユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する動作モードであり、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、プラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整すると共に、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップが適正か否かの判定処理を行う動作モードである。また、プラテンギャップ・オート調整モードは、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されたシートのシート厚に応じてプラテンギャップを調整する動作モードである。
【0070】
各動作モードの選択は、アジャストレバー70及び操作パネル60をユーザが操作することによって行われる。ここで、図8は、アジャストレバー70付近の拡大図である。同図に示すように、アジャストレバー70の側には、「自動」、「−1」〜「7」までの数字が記載されており、アジャストレバー70はいずれかの位置に移動可能に設けられている。このうち、「自動」に対応する位置にアジャストレバー70が移動されると、プラテンギャップ・オート調整モードが選択される。一方、「−1」〜「7」のいずれかの位置にアジャストレバー70が移動されると、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードか第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードのうちデフォルトに設定されたモードが選択される。ここで、「−1」〜「7」は、ユーザが指示するユーザ指示値を示し、数字が大きくなるほど、大きいプラテンギャップを示している。例えば、各ユーザ指示値に対応するプラテンギャップの値(プラテンギャップ調整用モータ101のパルス数など)をROM(記憶手段)に記憶しておき、これによって、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップが調整可能とされている。また、デフォルトを第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードにするかは、操作パネル60の操作スイッチの操作によって設定される。すなわち、アジャストレバー70及び操作パネル60がプラテンギャップ調整時の動作モードを選択する選択手段として機能し、ユーザによるこの選択手段の操作を介して制御基板部95が動作モードを設定するように構成されている。
【0071】
次に、各動作モードにおけるプラテンギャップ調整時の動作を説明する。
【0072】
まず、プラテンギャップ・オート調整モードの場合、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させる。次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始する。このとき、制御基板部95は、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド18がプラテン20に当接したと判断する。そして、制御基板部95は、記録ヘッド18の当接を検出した時点のパルス信号の計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とプラテン20との間の距離を測定する。
【0073】
次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動してシートをプラテン20に搬送し、その後、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動して記録ヘッド18をシートに当接させる。制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置からシートに当接する位置まで移動したときの、ロータリーエンコーダ102のパルス信号を計数し、この計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とシートとの間の距離を測定する。
【0074】
その後、制御基板部95は、これら測定した、記録ヘッド18とプラテン20との間の距離と、記録ヘッド18とシートとの間の距離との差からシート厚を算出し、算出したシート厚を基準に定めたプラテンギャップに調整すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動する。この場合、制御基板部95は、図9に示すように、複数のシートの異なるシート厚とプラテンギャップ値とを対応づけて記述したテーブルT1をROMなどに記憶しておき、このテーブルT1に基づいてプラテンギャップを決定すればよい。ここで、このテーブルT1には、プラテンギャップの指示値として、例えば、記録ヘッド18を基準位置から該ギャップに対応する位置まで移動する際のプラテンギャップ調整用モータ101のパルス数が記述され、これにより、記録ヘッド18をそのプラテンギャップに調整する位置に移動できるようになっている。このようにして、プラテンギャップの調整が完了すると、制御基板部95は、外部機器から受信した印刷データに基づいてシートへの記録を開始する。なお、このプラテンギャップ調整動作は、カットシートの場合にはカットシート毎に行い、連続シートの場合には、記録開始時に一回又は所定の間隔毎に行う。以上が、プラテンギャップ・オート調整モード時の動作である。このモードでは、シート厚に応じてプラテンギャップを調整するので、記録ヘッド18とシートとの間の距離が予め定めた距離になるようにプラテンギャップを調整することができる。
【0075】
上述したように、このプラテンギャップ・オート調整モードにおいては、制御基板部95及びプラテンギャップ調整機構100が、シート厚を測定するシート厚測定手段、及びシート厚に応じてプラテンギャップを調整するプラテンギャップ・オート調整手段として機能するようになっている。
【0076】
ところで、このプラテンギャップ・オート調整モード時に測定するシート厚は、シートの予め定めた位置、例えば、シートのプラテン搬送側端面から数ミリの位置に設定される。このため、プラテンギャップ・オート調整モードでは、例えば、図10に示すように、シート厚が部分的に異なる封筒の場合、シート厚の測定位置Aと記録位置Bとでシート厚が異なるため、記録位置Bでのプラテンギャップが適正でない、つまり、記録ヘッド18がシートに衝突したり、記録濃度が薄くなってしまうといった可能性がある。かかる場合に、記録位置Bのシート厚にあったプラテンギャップに調整可能とする動作モードが第1及び第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードである。なお、上述したように、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードと第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、デフォルトでいずれかの動作モードが選択的に設定されるものである。以下、デフォルトに第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードが設定されている場合を説明し、その後、デフォルトに第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードが設定されている場合を例に説明する。
【0077】
ここで、図11は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの動作を示すフローチャートである。デフォルトが第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、制御基板部95は、プラテンギャップをユーザ指示値に対応するギャップに調整するいわゆるマニュアル調整を行う(ステップS1)。具体的には、制御基板部95は、アジャストレバー70が「−1」〜「7」(図8)のいずれかに対応する位置に移動されたことを検出すると、検出した位置(ユーザ指示値)に応じてプラテンギャップを調整すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してプラテンギャップを該位置に対応するギャップに調整する。この場合、制御基板部95は、アジャストレバーの各位置(「−1」〜「7」)対応するプラテンギャップを記述したテーブル(不図示)をROMなどに記憶しておき、このテーブルに基づいてプラテンギャップを決定する。この場合のプラテンギャップについても、上記テーブルT1の場合と同様に、プラテンギャップ調整用モータ101のパルス数を記述してもよい。これにより、制御基板部95は、プラテンギャップを、ユーザ指示値に対応するギャップにマニュアル調整することができる。
【0078】
次に、制御基板部95は、記録対象のシートのシート厚を測定するシート厚測定処理を行う(ステップS2)。すなわち、制御基板部95は、プラテンギャップ・オート調整モード時におけるシート厚測定処理を行う。詳述すると、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させ、次に、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始する。この間、制御基板部95は、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断し、当接したことを検出すると、検出時点のパルス数の計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とプラテン20との間の距離を測定する。
【0079】
次に、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動してシートをプラテン20に搬送し、上述と同様の制御を行って、記録ヘッド18をシートに当接させることによって、基準位置にある記録ヘッド18とシートとの間の距離を測定する。そして、制御基板部95は、これら測定した2つの距離の差をシート厚として算出する。
【0080】
次いで、制御基板部95は、測定したシート厚に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める(ステップS3)。具体的には、制御基板部95は、例えば、図12に示すように、複数のシートの異なるシート厚と、プラテンギャップの複数の適正範囲とを対応づけた適正範囲テーブルT2を予めROMに記憶しておき、このテーブルT2に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める。ここで、このプラテンギャップの適正範囲は、実験結果又は測定結果に基づいて、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲に設定される。なお、このテーブルT2におけるプラテンギャップの適正範囲は、記録ヘッド18を基準位置から移動させる際のプラテンギャップ調整用モータ101のパルス数などを記述すればよい。
【0081】
そして、制御基板部95は、ステップS1で指定された、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが、ステップS3で求めたプラテンギャップの適正範囲に含まれるか否かを判定することにより、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正か否かを判定する(ステップS4)。ここで、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップがプラテンギャップの適正範囲に含まれると判定すれば、適正と判定し、プラテンギャップをユーザ指示値に応じたギャップに調整する。プラテンギャップの調整が終了すると、制御基板部95は印刷データに基づくシートへの記録を開始する。
【0082】
一方、ステップS4の判断において、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップがプラテンギャップの適正範囲に含まれないと判定すれば、制御基板部95は、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でないと判定し、その旨をユーザに報知すべく、報知処理を行う(ステップS5)。具体的には、制御基板部95は、表示パネル65を駆動して、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でない旨の警告メッセージなどを表示パネル65に表示させる処理を行う。以上が、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モード時の動作である。つまり、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合は、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でなければ、より具体的には、シートと記録ヘッド18とが衝突してしまうプラテンギャップまたは記録ヘッド18の記録ワイヤ35がシートに届かないプラテンギャップの場合には、その旨をユーザに報知することができる。
【0083】
一方、デフォルトが第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、制御基板部95は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードにおける上記ステップS1の処理のみを実行する。すなわち、制御基板部95は、アジャストレバー70の位置に応じてプラテンギャップを調整するマニュアル調整のみを行う。上述したように、制御基板部95及びプラテンギャップ調整機構100は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップを調整すると共に、そのプラテンギャップが適正か否かを判定する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段として機能する一方、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップを調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段として機能するようになっている。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ10においては、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定するので、そのプラテンギャップ値がシートと記録ヘッド18とが衝突してしまうプラテンギャップ値又は充分な記録濃度が得られないプラテンギャップ値であるか否かを判定することがでできる。そして、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が不適正の場合には、その旨をユーザに報知するので、ユーザに対しプラテンギャップ値の変更を促すことができる。これにより、記録ヘッド18が破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップ値に調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、以下のように変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、図11に示すステップS5の報知処理が表示パネル65に警告メッセージを表示する処理である場合について述べたが、プリンタ10にブザーなどの放音手段を設けて警告音を放音する処理でもよく、また、ステップS4の判定結果を含む信号を通信手段を介して外部機器に送信し、外部機器に警告メッセージを表示させたり、警告音を放音させる処理でもよい。また、ステップS4の判定処理において否定結果が得られた場合にのみ報知処理を行う場合について述べたが、肯定結果が得られた場合にも、ユーザ指示値に対応する尾プラテンギャップが適正である旨を表示する処理などの報知処理を行うようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、プラテンギャップの適正範囲を、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲とする場合について述べたが、この上限及び下限の範囲を基準に定めればよい。例えば、プラテンギャップの適正範囲を、シートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲だけを含むように設定すれば、記録ヘッド18の破損は少なくとも回避することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、図12に示すテーブルT2(図12)に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める場合について述べたが、プラテンギャップ・オート調整モードで用いるテーブルT1にてシート厚に基づき定められるプラテンギャップに所定範囲の幅を持たせた範囲を、プラテンギャップの適正範囲としてもよい。このようにすれば、テーブルT2を予め記録しておかなくても、プラテンギャップの適正範囲を簡易に求めることができる。なお、この場合の所定範囲の幅についても、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートに記録ヘッド18の記録ワイヤ35が届かなくなる範囲を基準に定めればよい。
【0088】
また、上記実施形態では、プラテンギャップ調整用の各種動作モードの設定操作などを、プリンタ10の操作パネル60などで行う場合について述べたが、このプリンタ10に接続された外部機器で操作できるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが不適正な場合でも、そのプラテンギャップに調整しておく場合について述べたが、不適正な場合は、プラテンギャップ・オート調整モードに移行するようにしてもよい。プラテンギャップ・オート調整モードに移行するようにすれば、測定したシート厚に応じてプラテンギャップを調整するので、記録ヘッド18が破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整する場合を確実に回避することができ、すぐに記録を開始することが可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、ユーザによるアジャストレバー70の操作を介してユーザ指示値が指示される場合について述べたが、操作パネル60に設けた各種スイッチの操作を介して、又はこのプリンタ10に接続された外部機器から送信された信号を介してユーザ指示値が指示されるようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、ドットインパクトプリンタに本発明を適用する場合について述べたが、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整可能なインクジェットプリンタなどの記録装置に広く適用が可能である。
【0092】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、記録ヘッドが破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。
【図2】同プリンタの側断面図である。
【図3】同プリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。
【図4】同プリンタ本体を示す斜視図である。
【図5】同プリンタ本体のシート搬送機構部を示す斜視図である。
【図6】同プリンタ本体の部分拡大図である。
【図7】同プリンタ本体のプラテンギャップ調整機構を示す図である。
【図8】同プリンタ本体のアジャストレバー付近を示す拡大図である。
【図9】同プリンタのプラテンギャップ・オート調整モードで使用するテーブルを示す図である。
【図10】同プリンタのプラテンギャップ・オート調整モードにおける封筒のシート厚測定位置と記録位置の一例を示す図である。
【図11】同プリンタの第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの動作を示すフローチャートである。
【図12】同プリンタの第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードで使用するテーブルを示す図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ
11 プリンタ本体
18 記録ヘッド
19 キャリッジ
20 プラテン
38 キャリッジ駆動モータ
60 操作パネル
65 表示パネル
70 アジャストレバー
95 制御基板部
100 プラテンギャップ調整機構
101 プラテンギャップ調整用モータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをマニュアル調整可能な記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップをユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するドットインパクトプリンタが知られている。
【0003】
この種の記録装置は、例えば、プラテンギャップ調整用のアジャストレバーを備え、ユーザがこのアジャストレバーを移動して位置を変更すると、この位置に応じてプラテンギャップが変更される(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−096525号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マニュアル調整の場合には、記録ヘッドが記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートと接触してしまうプラテンギャップに調整してしまうおそれがある。この場合、シートへの記録を開始すると、記録ヘッドがシートに接触して破損してしまうおそれがある。また、マニュアル調整の場合には、記録ヘッドとシート面との距離が遠すぎるプラテンギャップに調整してしまうおそれもある。記録ヘッドとシートとの距離が遠いと、記録濃度が極端に薄くなってしまったり、シートに画像を記録できなくなってしまう等の問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、記録ヘッドが破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる記録装置及びその制御方法、プラテンギャップ調整機構及びその制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成において、前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成において、前記判定手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成において、前記判定手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整した後、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10のいずれかに記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項12に記載の発明は、請求項8乃至11のいずれかに記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項13に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0020】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の構成において、前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0021】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項16に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項17に記載の発明は、請求項13乃至16のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする。
【0024】
また、請求項18に記載の発明は、請求項13乃至17のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップの判定結果をユーザに報知する報知ステップをさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項19に記載の発明は、請求項13乃至18のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップの判定結果を含む信号を送信する通信ステップをさらに有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項20に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の構成において、前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0028】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0029】
また、請求項23に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0030】
また、請求項24に記載の発明は、請求項20乃至23のいずれかに記載の構成において、前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0031】
また、請求項25に記載の発明は、プラテンギャップ調整機構において、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップ値をユーザ指示値に応じて調整する場合に、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0032】
また、請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0033】
また、請求項27に記載の発明は、請求項25又は26に記載の構成において、前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする。
【0034】
また、請求項28に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0035】
また、請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の構成において、前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする。
【0036】
また、請求項30に記載の発明は、請求項29に記載の構成において、前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度を得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする。
【0037】
また、請求項31に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする。
【0038】
また、請求項32に記載の発明は、請求項28乃至31のいずれかに記載の構成において、前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整された、プラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0040】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタ(以下、プリンタという。)を示す斜視図である。図2は、図1のプリンタの側断面図であり、図3及び図4は、このプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。また、図5及び図6は、プリンタ本体の部分拡大図である。
【0041】
このプリンタ10は、多数の記録ワイヤを、インクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を記録する。このプリンタ10に使用可能なシートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙、単票複写紙又はカットフィルム等があり、連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0042】
プリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の後方側に配置されたプッシュトラクタユニット12(図2)と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆う外装体としてのアッパケース13A及びロアケース13Bと、プリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートの供給を案内するシート供給ガイド43と、プリンタ本体11の後方側で、プッシュトラクタユニット12の上方位置に設置され、カットシートをプリンタ本体11の記録機構部へ1枚づつ供給するカットシートフィーダ(給紙装置)44とから構成される。
【0043】
プリンタ本体11は、図2乃至図6に示すように、本体フレームとしてのベースフレーム14、リアフレーム15、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録機構部としての記録ヘッド18及びキャリッジ19と、シート搬送機構部としてのプラテン20、シート案内25、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24とを有している。また、図1に示すように、プリンタ本体11は、各種操作スイッチを備えた操作パネル60と、液晶表示パネルである表示パネル65と、アジャストレバー70とを有している。
【0044】
ベースフレーム14及びリアフレーム15の略両端部には、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17が立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、キャリッジガイド軸26が架け渡されて、回動自在に軸支される。さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、プラテン20が架け渡されて回転自在に配設されると共に、さらにシート案内25が固定して配設される。
【0045】
プラテン20を含むシート搬送機構部は、図2に示すように、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22とが当接状態で上下に配置されて対をなし、フロント側シート搬送ローラ27を構成する。また、第3搬送ローラ23と第4搬送ローラ24とが当接状態で上下に配置されて対をなし、リア側シート搬送ローラ37を構成する。
【0046】
このうち、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24が駆動ローラであり、第2搬送ローラ22及び第3搬送ローラ23が従動ローラである。また、第1搬送ローラ21及び第3搬送ローラ23は、プラテン20と共にシート案内25の下方に配置され、第2搬送ローラ22及び第4搬送ローラ24はシート案内25の上方に配置される。
【0047】
プラテン20、第1搬送ローラ21及び第4搬送ローラ24は、図4に示す駆動輪列部34により正又は逆方向に回転駆動される。この駆動輪列部34は左サイドフレーム16又は右サイドフレーム17の一方、例えば左サイドフレーム16に設置される。
【0048】
この駆動輪列部34は、正転又は逆転可能なシート搬送モータ35の駆動軸に回転一体に固定されたモータピニオン36を備える。このモータピニオン36からの駆動力が、複数の減速ギア48、49及び50を介してプラテン20へ伝達され、さらに、減速ギア50から減速ギア51及び52を介して第1搬送ローラ21へ伝達され、さらに、減速ギア49から減速ギア53及び54を経て第4搬送ローラ24へ伝達される。
【0049】
これにより、プラテン20及び第1搬送ローラ21が同一方向に、第4搬送ローラ24が反対方向に回転して、カットシート又は連続シートを、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送可能とし、又は、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送可能とする。従って、カットシート及び連続シートは、キャリッジ19の後述の主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。なお、このプリンタ10におけるカートシートの搬送経路を図2に符号αで示している。
【0050】
プッシュトラクタユニット12は、連続シート(例えば連続紙)を、プラテン20を備えたシート搬送機構部へ供給するものであり、左右一対のトラクタ28を有する。これらのトラクタ28は、トラクタ駆動軸29に回転一体かつ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)と、トラクタガイド軸30に回転自在かつ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)とにトラクタベルト31が巻き掛けられ、シート押え蓋32を備えて構成される。
【0051】
一対のトラクタ28間の距離は、搬送すべき連続シート(連続紙)の幅寸法に応じて調整可能とされる。また、トラクタベルト31の全外周に突設された複数本のピン(不図示)が、連続シートの幅方向両側に穿設された穴(不図示)に係合可能とされる。このトラクタベルト31も前述の駆動輪列部34(図4)により駆動される。
【0052】
つまり、図5に示すように、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経て、プッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動軸29に固定されたトラクタ駆動ギア(不図示)へ伝達され、これによりプッシュトラクタユニット12のトラクタベルト31が駆動可能とされる。これにより、プッシュトラクタユニット12は、トラクタベルト31の駆動によりピンに係合された連続シートを、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送し、又は、プリンタ本体11の前方から後方へ搬送する。
【0053】
図1に示すシート供給ガイド43は、プリンタ本体11の前方側において、アッパケース13Aに着脱自在に設置される。このシート供給ガイド43は、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の前方から後方へ手差しで1枚ずつ供給する際に、このカットシートを案内する。このシート供給ガイド43により案内されたカットシートは、プラテン20、フロント側シート搬送ローラ27及びリア側シート搬送ローラ37等のシート搬送機構部により搬送される。
【0054】
また、図1に示すカットシートフィーダ44は、プリンタ本体11の後方側に装着又は離脱可能に設けられて、単票紙又は単票複写紙等のカットシートを、プリンタ本体11の後方から前方へ1枚ずつ分離して供給するものである。
【0055】
つまり、このカットシートフィーダ44は、図示はしないが、供給ローラの回転動作によって、複数枚のカットシートを積層状態で保持するホッパから、最上位のカットシートをピックアップして供給し、この際、最上位のカットシートと共に重送されるカットシートを、分離機構にて分離するものである。この供給ローラの一又は複数回転により、1枚のカットシートがプリンタ本体11へ供給される。
【0056】
このカットシートフィーダ44の供給ローラも、前述の駆動輪列部34(図5)により駆動される。即ち、駆動輪列部34のモータピニオン36からの駆動力は、図5に示すように、第4搬送ローラ24のローラ軸に設けられた伝動ギア55から、中間ギア56及び57を経てカットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギアへ伝達され、これにより、カットシートフィーダ44の供給ローラが駆動される。
【0057】
また、中間ギア57を、カットシートフィーダ44の供給ローラ駆動ギアと前述のプッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動ギアとに選択的に噛み合わせ可能とし、且つリア側シート搬送ローラ37の接触圧を変更可能とする機構がレリース機構58(図5)である。このレリース機構58は、プリンタ10に供給されるシートの種類(カットシート、連続シート)に応じてプリンタ10のシート使用モードを切り換えるものである。
【0058】
図3及び図4に示すキャリッジ19は、キャリッジガイド軸26に摺動自在に挿通されると共に、リアフレーム15の上端部に摺接され、さらに記録ヘッド18が搭載される。キャリッジガイド軸26はプラテン20と平行に配置され、これにより、キャリッジ19は、プラテン20及びキャリッジガイド軸26の軸方向と一致する主走査方向に走行(走査)可能に設けられる。
【0059】
このキャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38(図4)の正転又は逆転により往復移動されるタイミングベルト(不図示)に結合される。これにより、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ38の正転又は逆転によりキャリッジガイド軸26に案内されて、主走査方向(図中矢印X方向及び矢印Y方向)に移動する。なお、シート搬送モータ35やキャリッジ駆動モータ38は、例えはステッピングモータにて構成される。
【0060】
また、キャリッジ19には、リボンカセット装着部40が設けられ、このリボンカセット装着部40に、インクリボンを収納したリボンカセット40Aが装着される。さらにキャリッジ19には、リボンカセットのインクリボンを、プラテン20に接して搬送されるシート(カットシート又は連続シート)から保護するためのリボンマスクホルダ41が設置される。
【0061】
記録ヘッド18は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン20と記録ヘッド18との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0062】
この記録ヘッド18による記録動作は、キャリッジ19が図3及び図4の主走査方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に走行される間に、記録ヘッド18からの記録ワイヤの突出により一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン20、第1搬送ローラ21、第2搬送ローラ22、第3搬送ローラ23及び第4搬送ローラ24)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0063】
ここで、プラテン20、第1搬送ローラ21、第4搬送ローラ24、プッシュトラクタユニット12及びカットシートフィーダ44を駆動させるシート搬送モータ35の制御と、キャリッジ19を走行させるキャリッジ駆動モータ38の制御と、記録ヘッド18の記録ワイヤによる記録動作の制御と、図5に示すレリース機構58を動作させるレリース駆動モータ(不図示)の制御と、図7に示す後述のプラテンギャップ調整機構100におけるプラテンギャップ調整用モータ101の制御と、図1に示す表示パネル65の制御は、制御装置としての制御基板部95(図2)により実施される。
【0064】
この制御基板部95は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびデータを書き込み可能な記憶部(EEPROMやフラッシュメモリなど)、通信制御部などから構成され、ROMに記憶された制御プログラムに従ってプリンタ10の動作を中枢的に制御するものであり、例えばプリンタ本体11の前方におけるシート案内25の下方に配置される(図2)。なお、通信制御部は、このプリンタ10に接続された図示しない外部機器(パーソナルコンピュータなど)との間で印刷データやこのプリンタ10の情報を送受信するためのものである。また、制御基板部95には、図1に示す操作パネル60の各スイッチ、図1及び図3に示すアジャストレバー70の位置を検出する位置検出センサ(不図示)、及び後述のロータリーエンコーダ102からの検出信号が入力される。
【0065】
ところで、このプリンタ10は、図7に示すように、キャリッジガイド軸26を回動させて、記録ヘッド18とプラテン20との間の間隙であるプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構100が装備されている。
【0066】
プラテンギャップ調整機構100は、プラテンギャップ調整用モータ101、ロータリーエンコーダ102、出力ギア103、減速ギア104、105及び106、キャリッジガイド軸26の両端部に固定された偏心軸107、基準位置検出器108と、このプラテンギャップ調整機構100の制御を行う制御基板部95とを含んで構成される。なお、プラテンギャップ調整用モータ101は、例えばステッピングモータにて構成される。
【0067】
出力ギア103は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に固定され、この出力ギア103に減速ギア104が噛み合う。減速ギア104は、減速ギア105と回転一体に形成されて減速ギア106に噛み合う。減速ギア107は偏心軸107に固定されており、これにより、プラテンギャップ調整用モータ101の駆動力が偏心軸72へ伝達され、キャリッジガイド軸26が回動される。すると、このキャリッジガイド軸26が偏心軸107との偏心量L2に対応する量(例えばL2=1mmの場合には、2mm)だけ鉛直方向に上下動し、キャリッジ19を介して記録ヘッド18がプラテン20に対し前後移動する。なお、基準位置検出器108は、記録ヘッド18が、最大厚のシートの装填を可能とする最大後退位置である基準位置にあるときにオンとなるマイクロスイッチである。これにより、キャリッジ19の移動範囲は、記録ヘッド18がプラテン20に当接する位置から上記基準位置までに規制されている。
【0068】
ロータリーエンコーダ102は、プラテンギャップ調整用モータ101の出力軸に回転一体に設けられたスリット板110と、このスリット板110に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器111とを有し、投受光器111から出射してスリット板110のスリットを通過した光を受光してパルス信号に変換し、このパルス信号を制御基板部95に出力する。
【0069】
このプラテンギャップ調整機構100の動作は、制御基板部95の制御の下、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、プラテンギャップ・オート調整モードの3つの動作モードのいずれかの動作モードで選択的に制御される。ここで、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、プラテンギャップをユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する動作モードであり、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、プラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整すると共に、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップが適正か否かの判定処理を行う動作モードである。また、プラテンギャップ・オート調整モードは、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されたシートのシート厚に応じてプラテンギャップを調整する動作モードである。
【0070】
各動作モードの選択は、アジャストレバー70及び操作パネル60をユーザが操作することによって行われる。ここで、図8は、アジャストレバー70付近の拡大図である。同図に示すように、アジャストレバー70の側には、「自動」、「−1」〜「7」までの数字が記載されており、アジャストレバー70はいずれかの位置に移動可能に設けられている。このうち、「自動」に対応する位置にアジャストレバー70が移動されると、プラテンギャップ・オート調整モードが選択される。一方、「−1」〜「7」のいずれかの位置にアジャストレバー70が移動されると、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードか第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードのうちデフォルトに設定されたモードが選択される。ここで、「−1」〜「7」は、ユーザが指示するユーザ指示値を示し、数字が大きくなるほど、大きいプラテンギャップを示している。例えば、各ユーザ指示値に対応するプラテンギャップの値(プラテンギャップ調整用モータ101のパルス数など)をROM(記憶手段)に記憶しておき、これによって、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップが調整可能とされている。また、デフォルトを第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モード、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードにするかは、操作パネル60の操作スイッチの操作によって設定される。すなわち、アジャストレバー70及び操作パネル60がプラテンギャップ調整時の動作モードを選択する選択手段として機能し、ユーザによるこの選択手段の操作を介して制御基板部95が動作モードを設定するように構成されている。
【0071】
次に、各動作モードにおけるプラテンギャップ調整時の動作を説明する。
【0072】
まず、プラテンギャップ・オート調整モードの場合、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させる。次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、基準位置検出器108からの信号によりロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始する。このとき、制御基板部95は、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて、記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断する。例えば、上記時間差の積分値が、駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド18がプラテン20に当接したと判断する。そして、制御基板部95は、記録ヘッド18の当接を検出した時点のパルス信号の計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とプラテン20との間の距離を測定する。
【0073】
次いで、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動してシートをプラテン20に搬送し、その後、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を移動して記録ヘッド18をシートに当接させる。制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置からシートに当接する位置まで移動したときの、ロータリーエンコーダ102のパルス信号を計数し、この計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とシートとの間の距離を測定する。
【0074】
その後、制御基板部95は、これら測定した、記録ヘッド18とプラテン20との間の距離と、記録ヘッド18とシートとの間の距離との差からシート厚を算出し、算出したシート厚を基準に定めたプラテンギャップに調整すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動する。この場合、制御基板部95は、図9に示すように、複数のシートの異なるシート厚とプラテンギャップ値とを対応づけて記述したテーブルT1をROMなどに記憶しておき、このテーブルT1に基づいてプラテンギャップを決定すればよい。ここで、このテーブルT1には、プラテンギャップの指示値として、例えば、記録ヘッド18を基準位置から該ギャップに対応する位置まで移動する際のプラテンギャップ調整用モータ101のパルス数が記述され、これにより、記録ヘッド18をそのプラテンギャップに調整する位置に移動できるようになっている。このようにして、プラテンギャップの調整が完了すると、制御基板部95は、外部機器から受信した印刷データに基づいてシートへの記録を開始する。なお、このプラテンギャップ調整動作は、カットシートの場合にはカットシート毎に行い、連続シートの場合には、記録開始時に一回又は所定の間隔毎に行う。以上が、プラテンギャップ・オート調整モード時の動作である。このモードでは、シート厚に応じてプラテンギャップを調整するので、記録ヘッド18とシートとの間の距離が予め定めた距離になるようにプラテンギャップを調整することができる。
【0075】
上述したように、このプラテンギャップ・オート調整モードにおいては、制御基板部95及びプラテンギャップ調整機構100が、シート厚を測定するシート厚測定手段、及びシート厚に応じてプラテンギャップを調整するプラテンギャップ・オート調整手段として機能するようになっている。
【0076】
ところで、このプラテンギャップ・オート調整モード時に測定するシート厚は、シートの予め定めた位置、例えば、シートのプラテン搬送側端面から数ミリの位置に設定される。このため、プラテンギャップ・オート調整モードでは、例えば、図10に示すように、シート厚が部分的に異なる封筒の場合、シート厚の測定位置Aと記録位置Bとでシート厚が異なるため、記録位置Bでのプラテンギャップが適正でない、つまり、記録ヘッド18がシートに衝突したり、記録濃度が薄くなってしまうといった可能性がある。かかる場合に、記録位置Bのシート厚にあったプラテンギャップに調整可能とする動作モードが第1及び第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードである。なお、上述したように、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードと第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードは、デフォルトでいずれかの動作モードが選択的に設定されるものである。以下、デフォルトに第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードが設定されている場合を説明し、その後、デフォルトに第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードが設定されている場合を例に説明する。
【0077】
ここで、図11は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの動作を示すフローチャートである。デフォルトが第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、制御基板部95は、プラテンギャップをユーザ指示値に対応するギャップに調整するいわゆるマニュアル調整を行う(ステップS1)。具体的には、制御基板部95は、アジャストレバー70が「−1」〜「7」(図8)のいずれかに対応する位置に移動されたことを検出すると、検出した位置(ユーザ指示値)に応じてプラテンギャップを調整すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してプラテンギャップを該位置に対応するギャップに調整する。この場合、制御基板部95は、アジャストレバーの各位置(「−1」〜「7」)対応するプラテンギャップを記述したテーブル(不図示)をROMなどに記憶しておき、このテーブルに基づいてプラテンギャップを決定する。この場合のプラテンギャップについても、上記テーブルT1の場合と同様に、プラテンギャップ調整用モータ101のパルス数を記述してもよい。これにより、制御基板部95は、プラテンギャップを、ユーザ指示値に対応するギャップにマニュアル調整することができる。
【0078】
次に、制御基板部95は、記録対象のシートのシート厚を測定するシート厚測定処理を行う(ステップS2)。すなわち、制御基板部95は、プラテンギャップ・オート調整モード時におけるシート厚測定処理を行う。詳述すると、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に移動すべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動してキャリッジ19を基準位置検出器108に当接させ、次に、記録ヘッド18をプラテン20に当接させるべく、プラテンギャップ調整用モータ101を駆動すると共に、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の計数を開始する。この間、制御基板部95は、ロータリーエンコーダ102からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ101の駆動パルスの周期との時間差に基づいて記録ヘッド18がシートに当接したか否かを判断し、当接したことを検出すると、検出時点のパルス数の計数値に基づき、基準位置にある記録ヘッド18とプラテン20との間の距離を測定する。
【0079】
次に、制御基板部95は、記録ヘッド18を基準位置に待避させた後、シート搬送モータ35を駆動してシートをプラテン20に搬送し、上述と同様の制御を行って、記録ヘッド18をシートに当接させることによって、基準位置にある記録ヘッド18とシートとの間の距離を測定する。そして、制御基板部95は、これら測定した2つの距離の差をシート厚として算出する。
【0080】
次いで、制御基板部95は、測定したシート厚に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める(ステップS3)。具体的には、制御基板部95は、例えば、図12に示すように、複数のシートの異なるシート厚と、プラテンギャップの複数の適正範囲とを対応づけた適正範囲テーブルT2を予めROMに記憶しておき、このテーブルT2に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める。ここで、このプラテンギャップの適正範囲は、実験結果又は測定結果に基づいて、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲に設定される。なお、このテーブルT2におけるプラテンギャップの適正範囲は、記録ヘッド18を基準位置から移動させる際のプラテンギャップ調整用モータ101のパルス数などを記述すればよい。
【0081】
そして、制御基板部95は、ステップS1で指定された、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが、ステップS3で求めたプラテンギャップの適正範囲に含まれるか否かを判定することにより、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正か否かを判定する(ステップS4)。ここで、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップがプラテンギャップの適正範囲に含まれると判定すれば、適正と判定し、プラテンギャップをユーザ指示値に応じたギャップに調整する。プラテンギャップの調整が終了すると、制御基板部95は印刷データに基づくシートへの記録を開始する。
【0082】
一方、ステップS4の判断において、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップがプラテンギャップの適正範囲に含まれないと判定すれば、制御基板部95は、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でないと判定し、その旨をユーザに報知すべく、報知処理を行う(ステップS5)。具体的には、制御基板部95は、表示パネル65を駆動して、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でない旨の警告メッセージなどを表示パネル65に表示させる処理を行う。以上が、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モード時の動作である。つまり、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合は、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが適正でなければ、より具体的には、シートと記録ヘッド18とが衝突してしまうプラテンギャップまたは記録ヘッド18の記録ワイヤ35がシートに届かないプラテンギャップの場合には、その旨をユーザに報知することができる。
【0083】
一方、デフォルトが第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、制御基板部95は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードにおける上記ステップS1の処理のみを実行する。すなわち、制御基板部95は、アジャストレバー70の位置に応じてプラテンギャップを調整するマニュアル調整のみを行う。上述したように、制御基板部95及びプラテンギャップ調整機構100は、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップを調整すると共に、そのプラテンギャップが適正か否かを判定する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段として機能する一方、第1のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップを調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段として機能するようになっている。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ10においては、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードでは、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定するので、そのプラテンギャップ値がシートと記録ヘッド18とが衝突してしまうプラテンギャップ値又は充分な記録濃度が得られないプラテンギャップ値であるか否かを判定することがでできる。そして、ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が不適正の場合には、その旨をユーザに報知するので、ユーザに対しプラテンギャップ値の変更を促すことができる。これにより、記録ヘッド18が破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップ値に調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、以下のように変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、図11に示すステップS5の報知処理が表示パネル65に警告メッセージを表示する処理である場合について述べたが、プリンタ10にブザーなどの放音手段を設けて警告音を放音する処理でもよく、また、ステップS4の判定結果を含む信号を通信手段を介して外部機器に送信し、外部機器に警告メッセージを表示させたり、警告音を放音させる処理でもよい。また、ステップS4の判定処理において否定結果が得られた場合にのみ報知処理を行う場合について述べたが、肯定結果が得られた場合にも、ユーザ指示値に対応する尾プラテンギャップが適正である旨を表示する処理などの報知処理を行うようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、プラテンギャップの適正範囲を、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲とする場合について述べたが、この上限及び下限の範囲を基準に定めればよい。例えば、プラテンギャップの適正範囲を、シートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲だけを含むように設定すれば、記録ヘッド18の破損は少なくとも回避することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、図12に示すテーブルT2(図12)に基づいてプラテンギャップの適正範囲を求める場合について述べたが、プラテンギャップ・オート調整モードで用いるテーブルT1にてシート厚に基づき定められるプラテンギャップに所定範囲の幅を持たせた範囲を、プラテンギャップの適正範囲としてもよい。このようにすれば、テーブルT2を予め記録しておかなくても、プラテンギャップの適正範囲を簡易に求めることができる。なお、この場合の所定範囲の幅についても、下限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートと記録ヘッド18とが衝突しない範囲、上限側が、記録ヘッド18とプラテン20との間に搬送されるシートに記録ヘッド18の記録ワイヤ35が届かなくなる範囲を基準に定めればよい。
【0088】
また、上記実施形態では、プラテンギャップ調整用の各種動作モードの設定操作などを、プリンタ10の操作パネル60などで行う場合について述べたが、このプリンタ10に接続された外部機器で操作できるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの場合、ユーザ指示値に対応するプラテンギャップが不適正な場合でも、そのプラテンギャップに調整しておく場合について述べたが、不適正な場合は、プラテンギャップ・オート調整モードに移行するようにしてもよい。プラテンギャップ・オート調整モードに移行するようにすれば、測定したシート厚に応じてプラテンギャップを調整するので、記録ヘッド18が破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整する場合を確実に回避することができ、すぐに記録を開始することが可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、ユーザによるアジャストレバー70の操作を介してユーザ指示値が指示される場合について述べたが、操作パネル60に設けた各種スイッチの操作を介して、又はこのプリンタ10に接続された外部機器から送信された信号を介してユーザ指示値が指示されるようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、ドットインパクトプリンタに本発明を適用する場合について述べたが、記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整可能なインクジェットプリンタなどの記録装置に広く適用が可能である。
【0092】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、記録ヘッドが破損したり、記録濃度が極端に薄くなってしまうようなプラテンギャップに調整されたまま記録を開始してしまう場合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。
【図2】同プリンタの側断面図である。
【図3】同プリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。
【図4】同プリンタ本体を示す斜視図である。
【図5】同プリンタ本体のシート搬送機構部を示す斜視図である。
【図6】同プリンタ本体の部分拡大図である。
【図7】同プリンタ本体のプラテンギャップ調整機構を示す図である。
【図8】同プリンタ本体のアジャストレバー付近を示す拡大図である。
【図9】同プリンタのプラテンギャップ・オート調整モードで使用するテーブルを示す図である。
【図10】同プリンタのプラテンギャップ・オート調整モードにおける封筒のシート厚測定位置と記録位置の一例を示す図である。
【図11】同プリンタの第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードの動作を示すフローチャートである。
【図12】同プリンタの第2のプラテンギャップ・マニュアル調整モードで使用するテーブルを示す図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ
11 プリンタ本体
18 記録ヘッド
19 キャリッジ
20 プラテン
38 キャリッジ駆動モータ
60 操作パネル
65 表示パネル
70 アジャストレバー
95 制御基板部
100 プラテンギャップ調整機構
101 プラテンギャップ調整用モータ
Claims (32)
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、
このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする記録装置。 - 前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、
シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする記録装置。 - 前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、
前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。 - 前記判定手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録装置。
- 前記判定手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の記録装置。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、
前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップをユーザ指示値に応じて調整した後、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、
前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とする記録装置。 - 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
- 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする請求項8又は9に記載の記録装置。
- 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果をユーザに報知する報知手段をさらに有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の記録装置。
- 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段の判定結果を含む信号を送信する通信手段をさらに有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の記録装置。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、
プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、
測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする記録装置の制御方法。 - 前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項13に記載の記録装置の制御方法。
- 前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする請求項14に記載の記録装置の制御方法。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段を備える記録装置の制御方法において、
プラテンギャップ・マニュアル調整手段が、ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、
シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とする記録装置の制御方法。 - 前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の記録装置の制御方法。
- 前記判定ステップの判定結果をユーザに報知する報知ステップをさらに有することを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の記録装置の制御方法。
- 前記判定ステップの判定結果を含む信号を送信する通信ステップをさらに有することを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載の記録装置の制御方法。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、
このシート厚測定手段により測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とするプラテンギャップ調整機構。 - 前記判定手段は、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項20に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする請求項21に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定手段と、
シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段から、前記シート厚測定手段により測定されたシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定手段とを有することを特徴とするプラテンギャップ調整機構。 - 前記シート厚測定手段を含み、このシート厚測定手段により測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段をさらに有し、
前記判定手段が前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が測定されたシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。 - 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整する第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段と、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定し、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整手段と、
前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段を用いてプラテンギャップ値をユーザ指示値に応じて調整する場合に、前記プラテンギャップ・オート調整手段を用いてシート厚を測定し、このシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定し、判定結果に応じてプラテンギャップ値を調整する第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段とを備え、
前記第1のプラテンギャップ・マニュアル調整手段、前記プラテンギャップ・オート調整手段、又は前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段のいずれかを選択してプラテンギャップ値を調整することを特徴とするプラテンギャップ調整機構。 - 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段は、複数のシートの異なるシート厚を基準に定めたプラテンギャップ値の複数の適正範囲を予め記憶し、前記適正範囲のうち前記シート厚検出手段が測定したシート厚に対応する適正範囲に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項25に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 前記第2のプラテンギャップ・マニュアル調整手段により調整されたプラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、前記プラテンギャップ・オート調整手段が、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整することを特徴とする請求項25又は26に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、
ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、
測定されたシート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値と、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値とを比較し、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とするプラテンギャップ調整機構の制御方法。 - 前記判定ステップにおいては、前記シート厚に基づいて定められるプラテンギャップ値に所定範囲の幅を持たせて、この所定範囲の幅内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項28に記載のプラテンギャップ調整機構の制御方法。
- 前記所定範囲は、前記ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値が調整された場合に、下限側が、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートと記録ヘッドとが衝突しない範囲、上限側が、充分な記録濃度が得られる範囲を基準に定められていることを特徴とする請求項29に記載のプラテンギャップ調整機構の制御方法。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の間隙をプラテンギャップ値としてユーザ操作により指示されたユーザ指示値に応じて調整するプラテンギャップ調整機構の制御方法において、
ユーザ指示値に応じてプラテンギャップ値を調整する調整ステップと、
記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されるシートのシート厚を測定するシート厚測定ステップと、
シートのシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を予め記憶した記憶手段から、測定したシート厚に対応したプラテンギャップ値の適正範囲を読み出し、このプラテンギャップ値の適正範囲内に、前記ユーザ指示値に応じて調整されたプラテンギャップ値が含まれるか否かを判定することにより該プラテンギャップ値が適正か否かを判定する判定ステップとを実行することを特徴とするプラテンギャップ調整機構の制御方法。 - 前記判定ステップにおいて、前記ユーザ指示値に応じて調整された、プラテンギャップ値が適正でないと判定した場合、測定したシート厚に応じてプラテンギャップ値を調整するプラテンギャップ・オート調整ステップを実行することを特徴とする請求項28乃至31のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構の制御方法。
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