JP2004202825A - 記録装置、プラテンギャップ調整機構及びプラテンギャップ調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】正確なシート厚を検出でき、広い温度範囲でプラテンギャップを適切に調整することができる記録装置、プラテンギャップ調整機構及びプラテンギャップ調整方法を提供する。
【解決手段】記録装置は、記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構30を有し、このプラテンギャップ調整機構30は、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離を測定すると共に、記録ヘッド20と、記録ヘッド20とプラテン25との間に配置されたシートとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚を温度に応じて補正し、補正後のシート厚に基づいてプラテンギャップを調整する。また、このプラテンギャップ調整機構30は、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離測定値に基づいて温度を検出する。
【選択図】 図4
【解決手段】記録装置は、記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構30を有し、このプラテンギャップ調整機構30は、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離を測定すると共に、記録ヘッド20と、記録ヘッド20とプラテン25との間に配置されたシートとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚を温度に応じて補正し、補正後のシート厚に基づいてプラテンギャップを調整する。また、このプラテンギャップ調整機構30は、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離測定値に基づいて温度を検出する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置、プラテンギャップ調整機構及びプラテンギャップ調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドとプラテンとの間に配置されたシートに画像を記録する記録装置が知られている。この種の記録装置は、記録ヘッドとシートとの間の距離を一定に保つべく、シート厚に応じて記録ヘッドとプラテンとの間の距離(プラテンギャップ)を自動調整するプラテンギャップ調整機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種のものでは、記録ヘッドをプラテンに向けて当該記録ヘッドが当接するまで移動させて、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、次に、プラテンにシートを供給して、記録ヘッドをプラテン上のシートに向けて当該記録ヘッドが当接するまで移動させて、記録ヘッドとシートとの間の距離を測定し、これら距離の差からシート厚を算出するのが一般的である。
【0004】
また、この種の記録装置においては、プラテンの熱膨張によってプラテンギャップが変化するのを防止するため、サーミスタでプラテンの温度を測定し、その温度から判るプラテンの熱膨張量を考慮してプラテンギャップを調整するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−52963号公報
【特許文献2】
特開2001−162891号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラテンギャップ調整機構は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離と、記録ヘッドとシートとの間の距離とを測定し、これらの測定距離の差からシート厚を検出するため、プラテンの熱膨張量を相殺でき、温度に依存することなくシート厚を算出できるはずである。
【0007】
しかしながら、低温、常温、高温のいずれの場合も、実際のシート厚はほとんど変化しないにも関わらず、プラテンギャップ調整機構で得たシート厚は温度によって大きく変化することが判った。つまり、発明者らはプラテンギャップ調整機構で得たシート厚は、その誤差が温度に応じて大きく変化することに気付いた。このため、上記特許文献2記載のように、プラテンの熱膨張量だけを考慮してプラテンギャップを調整したのでは、シート厚の誤差が大きくなる温度の場合、プラテンギャップを適正に調整できなくなってしまう、等の問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、正確なシート厚を検出でき、広い温度範囲で、プラテンギャップを適切に調整することができる記録装置、プラテンギャップ調整機構、及びプラテンギャップ調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段を備えた記録装置において、前記プラテンギャップ調整手段が、プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、当該手段が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出したプラテン温度とに基づいて、当該手段が算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記記録手段に記憶された情報は、前記プラテンギャップ調整手段が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいてプラテン温度を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、当該プラテンギャップ調整手段における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度において当該プラテンギャップ調整手段が測定した記録ヘッドとプラテン間の距離各測定値と、対応するプラテン温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、温度センサであることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構において、プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出した温度とに基づいて、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のものにおいて、前記記録手段に記憶された情報は、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項11乃至13のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項11乃至14のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、このプラテンギャップ調整機構における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のものにおいて、前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度においてこのプラテンギャップ調整機構が測定した記録ヘッドとプラテン間の距離の各測定値と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項11乃至14のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、温度センサであるとを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項11乃至17のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項11乃至17のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0028】
請求項20に記載の発明は、請求項11乃至19のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする。
【0029】
請求項21に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、プラテン温度を検出し、この検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正し、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0030】
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載のものにおいて、前記算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報と、前記検出した温度とに基づいて、当該算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0031】
請求項23に記載の発明は、請求項21または22に記載のものにおいて、前記記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるドットインパクトプリンタ10の概観構成を示す斜視図であり、図2は、その側断面図である。ドットインパクトプリンタ10は、記録ヘッド20が備える記録ワイヤを、インクリボンを介してシートに押し付け、シート上にドットを形成することにより、文字を含む画像を記録するものである。ここで、シートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙や単票複写紙などの普通紙の他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続シートとしては連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0033】
さて、ドットインパクトプリンタ10は、大別すると、プリンタ本体11と、プッシュトラクタユニット12と、シート供給ガイド13と、給紙装置(CSF:カットシートフィーダ)14と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆うアッパケース15およびロアケース16とを備えている。
【0034】
プリンタ本体11は、記録ヘッド20およびキャリッジ21からなる記録機構部と、シート案内24、プラテン25および第1〜第4搬送ローラ26〜29からなるシート搬送機構部とから概略構成されている。
【0035】
プリンタ本体11は、本体フレームとしてのベースフレーム40およびリアフレーム41の略両端に、左サイドフレーム42および右サイドフレーム(不図示)がそれぞれ立設して固定されている。この左サイドフレーム42と右サイドフレームの間には、キャリッジガイド軸43およびプラテン25が回転可能に支持され、また、シートを案内するシート案内24が支持されている。また、キャリッジガイド軸43には、記録ヘッド20を搭載したキャリッジ21が、その軸方向に移動可能に支持されている。
【0036】
キャリッジ21は、図示せぬキャリッジ駆動用モータによりタイミングベルトを介してキャリッジガイド軸43の軸方向に駆動される。これにより、記録ヘッド20は、キャリッジガイド軸43の軸方向と一致する主走査方向に駆動される。また、キャリッジ21には、インクリボンカセット44が着脱自在に装着される。このインクリボンカセット44のインクリボンは、記録ヘッド20とプラテン25との間に引き回される。
【0037】
記録ヘッド20は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド20は、キャリッジ21と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン25と記録ヘッド20との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0038】
また、プリンタ本体11には、上下に対となってシート案内24上のシートを搬送する第1搬送ローラ26および第2搬送ローラ27と、第3搬送ローラ28および第4搬送ローラ29とが配置される。このうち、シート案内24の下方にある第1搬送ローラ26と、シート案内24の上方にある第4搬送ローラ29とが駆動ローラであり、第2搬送ローラ27および第3搬送ローラ28が従動ローラとなっている。すなわち、第1搬送ローラ26および第4搬送ローラ29の軸端には歯車が設けられており、この歯車を含む歯車輪列(不図示)が、例えば、左サイドフレーム42に配置されている。そして、この歯車輪列の一の歯車には、シート搬送モータ(不図示)のモータピニオンが噛み合っている。これにより、シート搬送モータを正転または逆転することによって、シートをプリンタ本体11の前方から後方へ搬送したり、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送する。
【0039】
プッシュトラクタユニット12は、連続シートをシート案内24に供給するものであり、左右一対のトラクタ46を有している。トラクタ46は、トラクタ駆動プーリ45と、トラクタ従動プーリ47と、これらプーリ45、47に架け渡されたトラクタベルト48とから構成される。トラクタ駆動プーリ45の軸は、シート搬送モータのモータピニオンと噛み合う歯車輪列に噛み合っており、これにより、シート搬送モータが回転すると、トラクタ駆動プーリ45が回転し、トラクタベルト48によって連続シートがシート案内24に供給される。
【0040】
シート供給ガイド13は、プリンタ本体11の前側において、アッパケース15に着脱自在に装着され、シートを案内する。このシート供給ガイド13は、プリンタ本体11の前方からカットシートを手差し給紙する手差しトレイとして機能すると共に、プリンタ本体11の後方から給紙されたシート(カットシート及び連続シート)の排紙トレイとしても機能する。
【0041】
給紙装置14は、プリンタ本体11の後方側に着脱可能に装着され、カットシートを1枚ずつ給紙するものであり、次いで、この構成について詳述する。図3は、給紙装置14の斜視図である。この図に示すように、給紙装置14は、スライダ軸60の軸方向に移動可能に支持され、シート幅を規制するスライダ61と、ホッパ軸62の軸方向に移動可能に支持されるホッパ63と、給紙ローラ軸64の軸方向に移動可能に支持され、給紙ローラカバー69に覆われた給紙ローラ65とを左右に一組ずつ有している。
【0042】
ホッパ軸62は、スライダ軸60と給紙ローラ軸64との間に配置され、スライダ軸60と給紙ローラ65との間を図示せぬ駆動機構により平行移動可能に構成されている。また、ホッパ63は、図示せぬバネによって給紙ローラ65側に付勢されており、このホッパ63と給紙ローラ65との間にセットされたカットシートの束を給紙ローラ65に当接させる構成となっている。給紙ローラ軸64は、プリンタ本体11のシート搬送モータによって回転され、給紙ローラ65が回転することにより、カットシートが図中略斜め下方向に搬送され、プリンタ本体11へと導かれる。
【0043】
以上の構成の下、記録ヘッド20による記録動作は、キャリッジ21が主走査方向に走行される間に、記録ヘッド20の記録ワイヤにより一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン25、第1搬送ローラ26、第2搬送ローラ27、第3搬送ローラ28及び第4搬送ローラ29)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0044】
上述した記録ヘッド20、キャリッジ駆動モータ、シート搬送モータ及び後述するプラテンギャップ調整用モータ53の制御は、制御基板部100により実施される。この制御基板部100は、例えば、ロアケース16の中に収容されている。
【0045】
ところで、このプリンタ10には、供給されたシート(カットシート、連続シート)のシート厚に応じてキャリッジガイド軸43を回動させて、記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構30が装備されている。ここで、図4は、プラテンギャップ調整機構30の構成を周辺構成と共に示す図である。プラテンギャップ調整機構30は、プラテンギャップ調整用モータ53、ロータリーエンコーダ50及び制御基板部100などから構成されている。
【0046】
図4に示すように、プラテンギャップ調整用モータ53は、ステッピングモータが用いられており、減速機構55を介してキャリッジガイド軸43に回転力を伝える。キャリッジガイド軸43の両端には偏心軸が固定され、その間にキャリッジ21が配置される。これにより、プラテンギャップ調整用モータ53の回転により偏心軸が回転し、偏心軸の偏心量Lに対応する量(例えばL=1mmの場合には、2mm)だけキャリッジ21が図4中α方向に移動し、記録ヘッド20がプラテン25に対して前後移動する。この結果、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離(プラテンギャップ)が変更される。ここで、記録ヘッド20の移動範囲は、プラテン25に当接する位置から、キャリッジ21がキャリッジ補助軸43aに当接して、その移動が規制される位置(基準位置)までである。このキャリッジ21の後側には、マイクロスイッチ58が配置されており、マイクロスイッチ58がオンになったか否かにより、記録ヘッド20が基準位置に位置したか否かが検出される。
【0047】
また、プラテンギャップ調整用モータ53の回転量は、ロータリーエンコーダ50によって検出される。ロータリーエンコーダ50は、プラテンギャップ調整用モータ53の軸53aに回転一体に設けられたスリット板56と、このスリット板56に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器57とから構成される。投受光器57の発光ダイオードから出射されてスリット板56のスリットを通過した光が、投受光器57のフォトダイオードに受光されてパルス信号に変換され、このパルス信号が制御基板部100に出力される。
【0048】
図4に示す制御基板部100において、制御部102は、ドットインパクトプリンタ10の各部を中枢的に制御するものであり、CPU、RAMを備えている。記憶部118は、制御部102によって実行される制御プログラムなどの各種プログラムや後述するシート厚補正テーブル120及びプラテン温度特定テーブル130を記憶している。制御部102は、記憶部118に記憶されたプログラムに従って、印刷データに基づく印刷制御やプラテンギャップ調整制御といった各種制御を行う。
【0049】
インターフェース(I/F)104は、制御部102の制御の下、通信ケーブル(不図示)を経由して接続されたコンピュータ(PC)との間で印刷データなどの各種データを送受信する。
【0050】
モータ駆動部106は、制御部102の制御の下、プラテンギャップ調整用モータ53、キャリッジ駆動用モータおよびシート搬送モータなどの各種モータに駆動パルスを供給し、各モータを回転駆動させる。
【0051】
記録ヘッド駆動部108は、制御部102の制御の下、記録ヘッド20を駆動して記録ワイヤを選択的に打ち出す。
【0052】
時間差検出部110は、ロータリーエンコーダ50からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスの周期との時間差を検出し、時間差積分部112に出力する。時間差積分部112は、入力した時間差の積分値を求め、当接判定部114に出力する。当接判定部114は、入力した積分値が予め設定した値、例えば、プラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド20がプラテン25またはシートに当接したと判断し、その旨を距離算出部116に通知する。
【0053】
距離算出部116は、マイクロスイッチ58からの信号受信を起点としてロータリーエンコーダ50からのパルス信号の計数を開始し、当接判定部114から当接が通知された時点の計数値を算出する。これにより、距離算出部116は、プラテン25上にシートが存在しない場合は、基準位置にある記録ヘッド20と、プラテン25との間のプラテンギャップ(以下、基準プラテンギャップという。)に相当するパルス計数値を算出する一方、プラテン25上にシートが存在する場合は、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離に相当するパルス計数値を算出する。
【0054】
なお、上述した距離算出部116などの各構成部は、図4に示すように、制御部102とは別体の回路などで構成されても良く、また、制御部102が各構成部の機能をソフトウェアによって実現する構成であっても良い。また、距離算出部116がロータリーエンコーダ50からのパルス信号を計数して距離を測定する場合について述べたが、プラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスを計数して距離を測定してもよい。
【0055】
制御部102は、距離算出部116から、基準プラテンギャップの距離と、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離を取得し、これら距離の差からシート厚を算出し、このシート厚を基準にしてプラテンギャップを調整する。
【0056】
ここで、発明者らは、プラテンギャップ調整機構30で算出したシート厚は、その誤差が温度に応じて大きく変化することに気付いた。このため、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを調整すると、プラテンギャップを適正に調整できなくなる場合が生じることが判った。
【0057】
そこで、本実施形態では、プラテンギャップ調整機構30で算出したシート厚の誤差を補正するための情報を記憶部118に記憶しておき、この情報に基づいてシート厚を補正する。より具体的には、図5に示すように、このプラテンギャップ調整機構30が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを対応づけて記述したシート厚補正テーブル120を記憶部118に記憶しておき、制御部102が、このテーブル120に基づいて温度から誤差補正量を特定し、シート厚の誤差を補正する。図5の例では、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をAAAとし、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をBBBとし、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をCCCとする。
【0058】
また、ここでの温度測定は温度センサを用いて行ってもよいが、温度センサを用いると、構成部品が増えてしまう、温度センサを配置するスペースが必要となる、組み立てが煩雑になる、といた不具合が生じる。そこで、本実施形態では、基準プラテンギャップの距離が、プラテン25などの各種部品の熱膨張によって変化することに着目し、プラテンギャップ調整機構30による基準プラテンギャップ測定値の温度変化特性に関する情報を記憶部118に記憶しておき、この情報に基づいて基準プラテンギャップ測定値から温度を推定する。ここで、図6は、プラテン25の温度が低温、常温、高温のときの基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値を示す図である。より具体的には、図6は、プラテン温度が低温(0℃〜10℃)の場合のパルス計数値が330〜337パルスとなり、プラテン温度が常温(10℃〜20℃)の場合のパルス計数値が338〜345パルスとなり、プラテン温度が高温(20℃〜30℃)の場合のパルス計数値が346〜353パルスとなる場合を示している。
【0059】
本実施形態では、図7に示すように、図6の場合におけるプラテン温度と、基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値とを対応づけて記述したプラテン温度特定テーブル130を記憶部118に記憶しておき、このテーブル130に基づいて温度を特定する処理を行う。以下、この温度特定処理を含むプラテンギャップ調整処理について説明する。
【0060】
図8は、プラテンギャップ調整処理のフローチャートである。この図に示すように、制御部102は、まず、基準位置にある記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップ(基準プラテンギャップ)を測定する(ステップS1)。そして、制御部102は、距離算出部116から基準プラテンギャップに対応するパルス計数値を取得すると、図示しないRAMに格納し(ステップS2)、プラテン温度特定テーブル130を参照して、このパルス計数値からプラテン温度を特定する(ステップS3)。例えば、パルス計数値が340の場合、制御部102は、プラテン温度が常温(10℃〜20℃)と判断する(図7参照)。このようにして制御部102は、プラテン温度が低温、常温、高温のいずれにあるかを検出する。なお、本実施形態では、プラテン温度を10℃単位の範囲で検出する場合について述べたが、さらに細かく若しくはさらに大まかに温度を特定するようにしてもよい。以上がプラテン温度特定処理の内容である。
【0061】
さて、このようにして基準プラテンギャップの距離とプラテン温度を取得すると、制御部102は、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離を測定する(ステップS4)。具体的には、制御部102は、モータ駆動部106を制御して、シートを記録ヘッド20とプラテン25との間に搬送した後、キャリッジ21をマイクロスイッチ58がオンになる位置から記録ヘッド20がプラテン25上のシートに当接する位置まで移動させ、これにより、距離算出部116から該距離に対応するパルス計数値を取得する。
【0062】
次いで、制御部102は、上記測定した2つの距離のパルス計数値の差を算出することにより、シート厚を算出する(ステップS5)。ここで、キャリッジガイド軸43を一定角度回転させたときの記録ヘッド20の移動距離は、キャリッジガイド軸43の回転角度に応じて変化する。そこで、ロータリーエンコーダ50からのパルス信号の計数値と、移動距離との関係を記述したテーブルまたは近似式を記憶部118などに記憶させておき、制御部102は、その情報に基づいて上記差のパルス数からシート厚を算出する。
【0063】
次に、制御部102は、シート厚補正テーブル120を参照して、プラテン温度からシート厚の誤差補正量を取得し、算出したシート厚の誤差を補正する(ステップS6)。これにより、プラテンギャップ調整機構30のシート厚算出誤差を補正することができ、正確なシート厚を得ることができる。
【0064】
次に、制御部102は、適切なプラテンギャップを設定すべく、補正後のシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定する(ステップS7)。この場合、シート厚と、該シート厚の際の記録ヘッド20の駆動パルス数とを対応づけたテーブルまたは近似関係式などの情報を記憶部118に格納しておき、制御部102がこの情報に基づいて駆動パルス数を特定すればよい。そして、制御部102は、決定したプラテンギャップに調整すべく、モータ駆動部106を制御してプラテンギャップ調整用モータ53を駆動させ、プラテンギャップをシート厚に応じた値に調整する(ステップS8)。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、プラテンギャップ調整機構30が算出したシート厚の各温度における誤差を補正できるので、広い温度範囲でシート厚を正確に求めることができ、プラテンギャップを適切に調整することができる。この結果、広い温度範囲において、記録品質を良好かつ一定に維持することができる。また、温度センサを使用することなく、温度を検出できるので、温度センサを使用する場合に比して部品点数が少なくて済み、組み立てを容易にすることが可能である。
【0066】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は以下のように変形実施が可能である。ここで、図9は、低温、常温、高温のときのプラテンギャップ調整機構30が測定した紙種が異なるシート(用紙A〜用紙F)毎のシート厚の一例を示し、図10は、これらシートの各温度における実際のシート厚を示す図である。これら図に示すように、プラテンギャップ調整機構30で測定したシート厚の温度測定誤差が、紙種によって異なる場合がある。このような場合、例えば、温度と各紙種毎の誤差補正量とを対応づけて記述したテーブル(図5のシート厚補正テーブル120に対応)を記憶部118に記憶しておき、このテーブルに基づいて温度から誤差補正量を特定し、シート厚を補正するようにすればよい。なお、どの紙種を用いているか否かの情報は、ユーザが予め設定するようにすればよい。この変形例によれば、紙種毎にシート厚の測定誤差を補正するので、シート厚をより正確に求めることができる。この結果、このシート厚に基づいてプラテンギャップを調整すれば、より適切なプラテンギャップに調整することが可能となる。
【0067】
また、上記実施の形態では、シート厚補正テーブル120に基づいてシート厚の誤差補正量を特定する場合について述べたが、温度からシート厚の誤差補正量を算出する算出式に基づいて誤差補正量を算出してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、プラテンギャップ(基準プラテンギャップ)の測定を一回しか行わない場合について述べたが、プラテンギャップの測定を、プラテンの周方向及び桁方向に複数箇所に亘って行い、これら測定値の平均値を算出するようにしてもよい。このようにすれば、プラテンギャップ測定値に対するプラテン25の加工上の誤差の影響を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、記録ヘッド20を基準位置からプラテン25に当接する位置まで移動させてその間の距離を測定する場合について述べたが、プラテン25を移動可能に構成し、プラテン25を基準位置(上記実施形態で固定された位置)から記録ヘッド20に当接する位置まで移動させて該距離を測定するようにしてもよい。
【0070】
また、プラテン温度を測定する場合に限らず、プリンタ10の内部温度を測定することも可能である。この場合、例えば、プリンタ10の内部温度と、プラテンギャップ測定値(パルス計数値など)とを対応づけた情報(テーブルなど)を記憶しておき、この情報に基づいて内部温度を特定するようにすればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、円筒形プラテンについて説明したが、これに限定されず、例えば、平プラテンにも適用が可能である。また、ドットインパクトプリンタに適用する場合を説明したが、一部のインクジェットプリンタなどのプラテンギャップ調整を行う記録装置に広く適用することが可能である。
【0072】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、正確なシート厚を検出でき、広い温度範囲でプラテンギャップを適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るドットインパクトプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】同プリンタの構成を示す側面図である。
【図3】同プリンタの給紙装置の外観を示す斜視図である。
【図4】同プリンタの機能的構成を周辺構成部と共に示す図である。
【図5】シート厚補正テーブルを示す図である。
【図6】同プリンタのプラテンの温度が低温、常温、高温のときの基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値を示す図である。
【図7】プラテン温度特定テーブルを示す図である。
【図8】プラテンギャップ調整処理のフローチャートである。
【図9】低温、常温、高温のときのプラテンギャップ調整機構が測定したシート厚を示す図である。
【図10】低温、常温、高温のときの実際のシート厚を示す図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ(記録装置)
20 記録ヘッド
21 キャリッジ
25 プラテン
30 プラテンギャップ調整機構
50 ロータリーエンコーダ
53 プラテンギャップ調整用モータ
100 制御基板部
102 制御部
116 距離算出部
118 記憶部
120 シート厚補正テーブル
130 プラテン温度特定テーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置、プラテンギャップ調整機構及びプラテンギャップ調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドとプラテンとの間に配置されたシートに画像を記録する記録装置が知られている。この種の記録装置は、記録ヘッドとシートとの間の距離を一定に保つべく、シート厚に応じて記録ヘッドとプラテンとの間の距離(プラテンギャップ)を自動調整するプラテンギャップ調整機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種のものでは、記録ヘッドをプラテンに向けて当該記録ヘッドが当接するまで移動させて、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、次に、プラテンにシートを供給して、記録ヘッドをプラテン上のシートに向けて当該記録ヘッドが当接するまで移動させて、記録ヘッドとシートとの間の距離を測定し、これら距離の差からシート厚を算出するのが一般的である。
【0004】
また、この種の記録装置においては、プラテンの熱膨張によってプラテンギャップが変化するのを防止するため、サーミスタでプラテンの温度を測定し、その温度から判るプラテンの熱膨張量を考慮してプラテンギャップを調整するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−52963号公報
【特許文献2】
特開2001−162891号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラテンギャップ調整機構は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離と、記録ヘッドとシートとの間の距離とを測定し、これらの測定距離の差からシート厚を検出するため、プラテンの熱膨張量を相殺でき、温度に依存することなくシート厚を算出できるはずである。
【0007】
しかしながら、低温、常温、高温のいずれの場合も、実際のシート厚はほとんど変化しないにも関わらず、プラテンギャップ調整機構で得たシート厚は温度によって大きく変化することが判った。つまり、発明者らはプラテンギャップ調整機構で得たシート厚は、その誤差が温度に応じて大きく変化することに気付いた。このため、上記特許文献2記載のように、プラテンの熱膨張量だけを考慮してプラテンギャップを調整したのでは、シート厚の誤差が大きくなる温度の場合、プラテンギャップを適正に調整できなくなってしまう、等の問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、正確なシート厚を検出でき、広い温度範囲で、プラテンギャップを適切に調整することができる記録装置、プラテンギャップ調整機構、及びプラテンギャップ調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段を備えた記録装置において、前記プラテンギャップ調整手段が、プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、当該手段が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出したプラテン温度とに基づいて、当該手段が算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記記録手段に記憶された情報は、前記プラテンギャップ調整手段が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいてプラテン温度を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、当該プラテンギャップ調整手段における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度において当該プラテンギャップ調整手段が測定した記録ヘッドとプラテン間の距離各測定値と、対応するプラテン温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、温度センサであることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のものにおいて、前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構において、プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出した温度とに基づいて、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のものにおいて、前記記録手段に記憶された情報は、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項11乃至13のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項11乃至14のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、このプラテンギャップ調整機構における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のものにおいて、前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度においてこのプラテンギャップ調整機構が測定した記録ヘッドとプラテン間の距離の各測定値と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項11乃至14のいずれかに記載のものにおいて、前記温度検出手段は、温度センサであるとを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項11乃至17のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項11乃至17のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする。
【0028】
請求項20に記載の発明は、請求項11乃至19のいずれかに記載のものにおいて、このプラテンギャップ調整機構は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする。
【0029】
請求項21に記載の発明は、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、プラテン温度を検出し、この検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正し、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする。
【0030】
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載のものにおいて、前記算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報と、前記検出した温度とに基づいて、当該算出したシート厚を補正することを特徴とする。
【0031】
請求項23に記載の発明は、請求項21または22に記載のものにおいて、前記記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるドットインパクトプリンタ10の概観構成を示す斜視図であり、図2は、その側断面図である。ドットインパクトプリンタ10は、記録ヘッド20が備える記録ワイヤを、インクリボンを介してシートに押し付け、シート上にドットを形成することにより、文字を含む画像を記録するものである。ここで、シートとしては、所定長さに切断されたカットシートと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートとしては、例えば単票紙や単票複写紙などの普通紙の他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続シートとしては連続シートとしては連続紙、連続複写紙がある。
【0033】
さて、ドットインパクトプリンタ10は、大別すると、プリンタ本体11と、プッシュトラクタユニット12と、シート供給ガイド13と、給紙装置(CSF:カットシートフィーダ)14と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆うアッパケース15およびロアケース16とを備えている。
【0034】
プリンタ本体11は、記録ヘッド20およびキャリッジ21からなる記録機構部と、シート案内24、プラテン25および第1〜第4搬送ローラ26〜29からなるシート搬送機構部とから概略構成されている。
【0035】
プリンタ本体11は、本体フレームとしてのベースフレーム40およびリアフレーム41の略両端に、左サイドフレーム42および右サイドフレーム(不図示)がそれぞれ立設して固定されている。この左サイドフレーム42と右サイドフレームの間には、キャリッジガイド軸43およびプラテン25が回転可能に支持され、また、シートを案内するシート案内24が支持されている。また、キャリッジガイド軸43には、記録ヘッド20を搭載したキャリッジ21が、その軸方向に移動可能に支持されている。
【0036】
キャリッジ21は、図示せぬキャリッジ駆動用モータによりタイミングベルトを介してキャリッジガイド軸43の軸方向に駆動される。これにより、記録ヘッド20は、キャリッジガイド軸43の軸方向と一致する主走査方向に駆動される。また、キャリッジ21には、インクリボンカセット44が着脱自在に装着される。このインクリボンカセット44のインクリボンは、記録ヘッド20とプラテン25との間に引き回される。
【0037】
記録ヘッド20は、多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方に、インクリボンが位置する。記録ヘッド20は、キャリッジ21と共に主走査方向に走行される間に、記録ワイヤを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン25と記録ヘッド20との間に搬送されるシート(カットシート又は連続シート)に付着させて、このシートに文字を含む画像を記録する。
【0038】
また、プリンタ本体11には、上下に対となってシート案内24上のシートを搬送する第1搬送ローラ26および第2搬送ローラ27と、第3搬送ローラ28および第4搬送ローラ29とが配置される。このうち、シート案内24の下方にある第1搬送ローラ26と、シート案内24の上方にある第4搬送ローラ29とが駆動ローラであり、第2搬送ローラ27および第3搬送ローラ28が従動ローラとなっている。すなわち、第1搬送ローラ26および第4搬送ローラ29の軸端には歯車が設けられており、この歯車を含む歯車輪列(不図示)が、例えば、左サイドフレーム42に配置されている。そして、この歯車輪列の一の歯車には、シート搬送モータ(不図示)のモータピニオンが噛み合っている。これにより、シート搬送モータを正転または逆転することによって、シートをプリンタ本体11の前方から後方へ搬送したり、プリンタ本体11の後方から前方へ搬送する。
【0039】
プッシュトラクタユニット12は、連続シートをシート案内24に供給するものであり、左右一対のトラクタ46を有している。トラクタ46は、トラクタ駆動プーリ45と、トラクタ従動プーリ47と、これらプーリ45、47に架け渡されたトラクタベルト48とから構成される。トラクタ駆動プーリ45の軸は、シート搬送モータのモータピニオンと噛み合う歯車輪列に噛み合っており、これにより、シート搬送モータが回転すると、トラクタ駆動プーリ45が回転し、トラクタベルト48によって連続シートがシート案内24に供給される。
【0040】
シート供給ガイド13は、プリンタ本体11の前側において、アッパケース15に着脱自在に装着され、シートを案内する。このシート供給ガイド13は、プリンタ本体11の前方からカットシートを手差し給紙する手差しトレイとして機能すると共に、プリンタ本体11の後方から給紙されたシート(カットシート及び連続シート)の排紙トレイとしても機能する。
【0041】
給紙装置14は、プリンタ本体11の後方側に着脱可能に装着され、カットシートを1枚ずつ給紙するものであり、次いで、この構成について詳述する。図3は、給紙装置14の斜視図である。この図に示すように、給紙装置14は、スライダ軸60の軸方向に移動可能に支持され、シート幅を規制するスライダ61と、ホッパ軸62の軸方向に移動可能に支持されるホッパ63と、給紙ローラ軸64の軸方向に移動可能に支持され、給紙ローラカバー69に覆われた給紙ローラ65とを左右に一組ずつ有している。
【0042】
ホッパ軸62は、スライダ軸60と給紙ローラ軸64との間に配置され、スライダ軸60と給紙ローラ65との間を図示せぬ駆動機構により平行移動可能に構成されている。また、ホッパ63は、図示せぬバネによって給紙ローラ65側に付勢されており、このホッパ63と給紙ローラ65との間にセットされたカットシートの束を給紙ローラ65に当接させる構成となっている。給紙ローラ軸64は、プリンタ本体11のシート搬送モータによって回転され、給紙ローラ65が回転することにより、カットシートが図中略斜め下方向に搬送され、プリンタ本体11へと導かれる。
【0043】
以上の構成の下、記録ヘッド20による記録動作は、キャリッジ21が主走査方向に走行される間に、記録ヘッド20の記録ワイヤにより一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートがカットシートの場合には、シート搬送機構部(プラテン25、第1搬送ローラ26、第2搬送ローラ27、第3搬送ローラ28及び第4搬送ローラ29)が、またシートが連続シートの場合には、シート搬送機構部及びプッシュトラクタユニット12が、それぞれシートを所定長(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0044】
上述した記録ヘッド20、キャリッジ駆動モータ、シート搬送モータ及び後述するプラテンギャップ調整用モータ53の制御は、制御基板部100により実施される。この制御基板部100は、例えば、ロアケース16の中に収容されている。
【0045】
ところで、このプリンタ10には、供給されたシート(カットシート、連続シート)のシート厚に応じてキャリッジガイド軸43を回動させて、記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構30が装備されている。ここで、図4は、プラテンギャップ調整機構30の構成を周辺構成と共に示す図である。プラテンギャップ調整機構30は、プラテンギャップ調整用モータ53、ロータリーエンコーダ50及び制御基板部100などから構成されている。
【0046】
図4に示すように、プラテンギャップ調整用モータ53は、ステッピングモータが用いられており、減速機構55を介してキャリッジガイド軸43に回転力を伝える。キャリッジガイド軸43の両端には偏心軸が固定され、その間にキャリッジ21が配置される。これにより、プラテンギャップ調整用モータ53の回転により偏心軸が回転し、偏心軸の偏心量Lに対応する量(例えばL=1mmの場合には、2mm)だけキャリッジ21が図4中α方向に移動し、記録ヘッド20がプラテン25に対して前後移動する。この結果、記録ヘッド20とプラテン25との間の距離(プラテンギャップ)が変更される。ここで、記録ヘッド20の移動範囲は、プラテン25に当接する位置から、キャリッジ21がキャリッジ補助軸43aに当接して、その移動が規制される位置(基準位置)までである。このキャリッジ21の後側には、マイクロスイッチ58が配置されており、マイクロスイッチ58がオンになったか否かにより、記録ヘッド20が基準位置に位置したか否かが検出される。
【0047】
また、プラテンギャップ調整用モータ53の回転量は、ロータリーエンコーダ50によって検出される。ロータリーエンコーダ50は、プラテンギャップ調整用モータ53の軸53aに回転一体に設けられたスリット板56と、このスリット板56に対向して配置された、例えば発光ダイオード及びフォトダイオード等からなる投受光器57とから構成される。投受光器57の発光ダイオードから出射されてスリット板56のスリットを通過した光が、投受光器57のフォトダイオードに受光されてパルス信号に変換され、このパルス信号が制御基板部100に出力される。
【0048】
図4に示す制御基板部100において、制御部102は、ドットインパクトプリンタ10の各部を中枢的に制御するものであり、CPU、RAMを備えている。記憶部118は、制御部102によって実行される制御プログラムなどの各種プログラムや後述するシート厚補正テーブル120及びプラテン温度特定テーブル130を記憶している。制御部102は、記憶部118に記憶されたプログラムに従って、印刷データに基づく印刷制御やプラテンギャップ調整制御といった各種制御を行う。
【0049】
インターフェース(I/F)104は、制御部102の制御の下、通信ケーブル(不図示)を経由して接続されたコンピュータ(PC)との間で印刷データなどの各種データを送受信する。
【0050】
モータ駆動部106は、制御部102の制御の下、プラテンギャップ調整用モータ53、キャリッジ駆動用モータおよびシート搬送モータなどの各種モータに駆動パルスを供給し、各モータを回転駆動させる。
【0051】
記録ヘッド駆動部108は、制御部102の制御の下、記録ヘッド20を駆動して記録ワイヤを選択的に打ち出す。
【0052】
時間差検出部110は、ロータリーエンコーダ50からのパルス信号の周期とプラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスの周期との時間差を検出し、時間差積分部112に出力する。時間差積分部112は、入力した時間差の積分値を求め、当接判定部114に出力する。当接判定部114は、入力した積分値が予め設定した値、例えば、プラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスの周期の1/2以下(具体的には1.5ミリ秒など)に一致すると、記録ヘッド20がプラテン25またはシートに当接したと判断し、その旨を距離算出部116に通知する。
【0053】
距離算出部116は、マイクロスイッチ58からの信号受信を起点としてロータリーエンコーダ50からのパルス信号の計数を開始し、当接判定部114から当接が通知された時点の計数値を算出する。これにより、距離算出部116は、プラテン25上にシートが存在しない場合は、基準位置にある記録ヘッド20と、プラテン25との間のプラテンギャップ(以下、基準プラテンギャップという。)に相当するパルス計数値を算出する一方、プラテン25上にシートが存在する場合は、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離に相当するパルス計数値を算出する。
【0054】
なお、上述した距離算出部116などの各構成部は、図4に示すように、制御部102とは別体の回路などで構成されても良く、また、制御部102が各構成部の機能をソフトウェアによって実現する構成であっても良い。また、距離算出部116がロータリーエンコーダ50からのパルス信号を計数して距離を測定する場合について述べたが、プラテンギャップ調整用モータ53の駆動パルスを計数して距離を測定してもよい。
【0055】
制御部102は、距離算出部116から、基準プラテンギャップの距離と、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離を取得し、これら距離の差からシート厚を算出し、このシート厚を基準にしてプラテンギャップを調整する。
【0056】
ここで、発明者らは、プラテンギャップ調整機構30で算出したシート厚は、その誤差が温度に応じて大きく変化することに気付いた。このため、算出したシート厚を基準にしてプラテンギャップを調整すると、プラテンギャップを適正に調整できなくなる場合が生じることが判った。
【0057】
そこで、本実施形態では、プラテンギャップ調整機構30で算出したシート厚の誤差を補正するための情報を記憶部118に記憶しておき、この情報に基づいてシート厚を補正する。より具体的には、図5に示すように、このプラテンギャップ調整機構30が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを対応づけて記述したシート厚補正テーブル120を記憶部118に記憶しておき、制御部102が、このテーブル120に基づいて温度から誤差補正量を特定し、シート厚の誤差を補正する。図5の例では、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をAAAとし、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をBBBとし、シート厚の温度が低温(0℃〜10℃)の場合は誤差補正量をCCCとする。
【0058】
また、ここでの温度測定は温度センサを用いて行ってもよいが、温度センサを用いると、構成部品が増えてしまう、温度センサを配置するスペースが必要となる、組み立てが煩雑になる、といた不具合が生じる。そこで、本実施形態では、基準プラテンギャップの距離が、プラテン25などの各種部品の熱膨張によって変化することに着目し、プラテンギャップ調整機構30による基準プラテンギャップ測定値の温度変化特性に関する情報を記憶部118に記憶しておき、この情報に基づいて基準プラテンギャップ測定値から温度を推定する。ここで、図6は、プラテン25の温度が低温、常温、高温のときの基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値を示す図である。より具体的には、図6は、プラテン温度が低温(0℃〜10℃)の場合のパルス計数値が330〜337パルスとなり、プラテン温度が常温(10℃〜20℃)の場合のパルス計数値が338〜345パルスとなり、プラテン温度が高温(20℃〜30℃)の場合のパルス計数値が346〜353パルスとなる場合を示している。
【0059】
本実施形態では、図7に示すように、図6の場合におけるプラテン温度と、基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値とを対応づけて記述したプラテン温度特定テーブル130を記憶部118に記憶しておき、このテーブル130に基づいて温度を特定する処理を行う。以下、この温度特定処理を含むプラテンギャップ調整処理について説明する。
【0060】
図8は、プラテンギャップ調整処理のフローチャートである。この図に示すように、制御部102は、まず、基準位置にある記録ヘッド20とプラテン25との間のプラテンギャップ(基準プラテンギャップ)を測定する(ステップS1)。そして、制御部102は、距離算出部116から基準プラテンギャップに対応するパルス計数値を取得すると、図示しないRAMに格納し(ステップS2)、プラテン温度特定テーブル130を参照して、このパルス計数値からプラテン温度を特定する(ステップS3)。例えば、パルス計数値が340の場合、制御部102は、プラテン温度が常温(10℃〜20℃)と判断する(図7参照)。このようにして制御部102は、プラテン温度が低温、常温、高温のいずれにあるかを検出する。なお、本実施形態では、プラテン温度を10℃単位の範囲で検出する場合について述べたが、さらに細かく若しくはさらに大まかに温度を特定するようにしてもよい。以上がプラテン温度特定処理の内容である。
【0061】
さて、このようにして基準プラテンギャップの距離とプラテン温度を取得すると、制御部102は、基準位置にある記録ヘッド20とシートとの間の距離を測定する(ステップS4)。具体的には、制御部102は、モータ駆動部106を制御して、シートを記録ヘッド20とプラテン25との間に搬送した後、キャリッジ21をマイクロスイッチ58がオンになる位置から記録ヘッド20がプラテン25上のシートに当接する位置まで移動させ、これにより、距離算出部116から該距離に対応するパルス計数値を取得する。
【0062】
次いで、制御部102は、上記測定した2つの距離のパルス計数値の差を算出することにより、シート厚を算出する(ステップS5)。ここで、キャリッジガイド軸43を一定角度回転させたときの記録ヘッド20の移動距離は、キャリッジガイド軸43の回転角度に応じて変化する。そこで、ロータリーエンコーダ50からのパルス信号の計数値と、移動距離との関係を記述したテーブルまたは近似式を記憶部118などに記憶させておき、制御部102は、その情報に基づいて上記差のパルス数からシート厚を算出する。
【0063】
次に、制御部102は、シート厚補正テーブル120を参照して、プラテン温度からシート厚の誤差補正量を取得し、算出したシート厚の誤差を補正する(ステップS6)。これにより、プラテンギャップ調整機構30のシート厚算出誤差を補正することができ、正確なシート厚を得ることができる。
【0064】
次に、制御部102は、適切なプラテンギャップを設定すべく、補正後のシート厚を基準にしてプラテンギャップを決定する(ステップS7)。この場合、シート厚と、該シート厚の際の記録ヘッド20の駆動パルス数とを対応づけたテーブルまたは近似関係式などの情報を記憶部118に格納しておき、制御部102がこの情報に基づいて駆動パルス数を特定すればよい。そして、制御部102は、決定したプラテンギャップに調整すべく、モータ駆動部106を制御してプラテンギャップ調整用モータ53を駆動させ、プラテンギャップをシート厚に応じた値に調整する(ステップS8)。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、プラテンギャップ調整機構30が算出したシート厚の各温度における誤差を補正できるので、広い温度範囲でシート厚を正確に求めることができ、プラテンギャップを適切に調整することができる。この結果、広い温度範囲において、記録品質を良好かつ一定に維持することができる。また、温度センサを使用することなく、温度を検出できるので、温度センサを使用する場合に比して部品点数が少なくて済み、組み立てを容易にすることが可能である。
【0066】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は以下のように変形実施が可能である。ここで、図9は、低温、常温、高温のときのプラテンギャップ調整機構30が測定した紙種が異なるシート(用紙A〜用紙F)毎のシート厚の一例を示し、図10は、これらシートの各温度における実際のシート厚を示す図である。これら図に示すように、プラテンギャップ調整機構30で測定したシート厚の温度測定誤差が、紙種によって異なる場合がある。このような場合、例えば、温度と各紙種毎の誤差補正量とを対応づけて記述したテーブル(図5のシート厚補正テーブル120に対応)を記憶部118に記憶しておき、このテーブルに基づいて温度から誤差補正量を特定し、シート厚を補正するようにすればよい。なお、どの紙種を用いているか否かの情報は、ユーザが予め設定するようにすればよい。この変形例によれば、紙種毎にシート厚の測定誤差を補正するので、シート厚をより正確に求めることができる。この結果、このシート厚に基づいてプラテンギャップを調整すれば、より適切なプラテンギャップに調整することが可能となる。
【0067】
また、上記実施の形態では、シート厚補正テーブル120に基づいてシート厚の誤差補正量を特定する場合について述べたが、温度からシート厚の誤差補正量を算出する算出式に基づいて誤差補正量を算出してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、プラテンギャップ(基準プラテンギャップ)の測定を一回しか行わない場合について述べたが、プラテンギャップの測定を、プラテンの周方向及び桁方向に複数箇所に亘って行い、これら測定値の平均値を算出するようにしてもよい。このようにすれば、プラテンギャップ測定値に対するプラテン25の加工上の誤差の影響を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、記録ヘッド20を基準位置からプラテン25に当接する位置まで移動させてその間の距離を測定する場合について述べたが、プラテン25を移動可能に構成し、プラテン25を基準位置(上記実施形態で固定された位置)から記録ヘッド20に当接する位置まで移動させて該距離を測定するようにしてもよい。
【0070】
また、プラテン温度を測定する場合に限らず、プリンタ10の内部温度を測定することも可能である。この場合、例えば、プリンタ10の内部温度と、プラテンギャップ測定値(パルス計数値など)とを対応づけた情報(テーブルなど)を記憶しておき、この情報に基づいて内部温度を特定するようにすればよい。
【0071】
また、上記実施形態では、円筒形プラテンについて説明したが、これに限定されず、例えば、平プラテンにも適用が可能である。また、ドットインパクトプリンタに適用する場合を説明したが、一部のインクジェットプリンタなどのプラテンギャップ調整を行う記録装置に広く適用することが可能である。
【0072】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、正確なシート厚を検出でき、広い温度範囲でプラテンギャップを適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るドットインパクトプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】同プリンタの構成を示す側面図である。
【図3】同プリンタの給紙装置の外観を示す斜視図である。
【図4】同プリンタの機能的構成を周辺構成部と共に示す図である。
【図5】シート厚補正テーブルを示す図である。
【図6】同プリンタのプラテンの温度が低温、常温、高温のときの基準プラテンギャップ測定時のパルス計数値を示す図である。
【図7】プラテン温度特定テーブルを示す図である。
【図8】プラテンギャップ調整処理のフローチャートである。
【図9】低温、常温、高温のときのプラテンギャップ調整機構が測定したシート厚を示す図である。
【図10】低温、常温、高温のときの実際のシート厚を示す図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ(記録装置)
20 記録ヘッド
21 キャリッジ
25 プラテン
30 プラテンギャップ調整機構
50 ロータリーエンコーダ
53 プラテンギャップ調整用モータ
100 制御基板部
102 制御部
116 距離算出部
118 記憶部
120 シート厚補正テーブル
130 プラテン温度特定テーブル
Claims (23)
- 記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整手段を備えた記録装置において、
前記プラテンギャップ調整手段が、プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とする記録装置。 - 前記プラテンギャップ調整手段は、
当該手段が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出したプラテン温度とに基づいて、当該手段が算出したシート厚を補正することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 前記記録手段に記憶された情報は、前記プラテンギャップ調整手段が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
- 前記温度検出手段は、
記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいてプラテン温度を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の記録装置。 - 前記温度検出手段は、
当該プラテンギャップ調整手段における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。 - 前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度において当該プラテンギャップ調整手段が測定した記録ヘッドとプラテン間の距離各測定値と、対応するプラテン温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
- 前記温度検出手段は、温度センサであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。
- 前記プラテンギャップ調整手段は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の記録装置。
- 前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の記録装置。
- 前記プラテンギャップ調整手段は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の記録装置。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整機構において、
プラテン温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正する補正手段とを備え、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とするプラテンギャップ調整機構。 - このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報が記憶される記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された情報と、前記温度検出手段が検出した温度とに基づいて、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚を補正することを特徴とする請求項11に記載のプラテンギャップ調整機構。 - 前記記録手段に記憶された情報は、このプラテンギャップ調整機構が算出したシート厚の各温度における誤差補正量と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする請求項12に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 前記温度検出手段は、記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。
- 前記温度検出手段は、
このプラテンギャップ調整機構における記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の温度変化特性に関する情報が記憶される記憶手段を有し、
前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記距離の測定値から温度を特定することを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。 - 前記記憶手段に記憶された情報は、様々な温度においてこのプラテンギャップ調整機構が測定した記録ヘッドとプラテンとの間の距離の各測定値と、対応する温度とを各々対応づけて記述したテーブルであることを特徴とする請求項15に記載のプラテンギャップ調整機構。
- 前記温度検出手段は、温度センサであるとを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。
- このプラテンギャップ調整機構は、記録ヘッドを基準位置からプラテンに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする請求項11乃至17のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。
- このプラテンギャップ調整機構は、プラテンを基準位置から記録ヘッドに当接する位置まで移動させ、このときの移動距離を測定することを特徴とする請求項11乃至17のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。
- このプラテンギャップ調整機構は、プラテンの複数箇所において、記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定し、各測定値の平均値を前記距離として算出することを特徴とする請求項11乃至19のいずれかに記載のプラテンギャップ調整機構。
- 記録ヘッドとプラテンとの間の距離を測定すると共に、記録ヘッドとプラテンとの間にシートを供給し、このシートと記録ヘッドとの間の距離を測定し、これら測定値の差からシート厚を算出し、このシート厚に基づいて記録ヘッドとプラテンとの間のプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整方法において、
プラテン温度を検出し、この検出したプラテン温度に応じて前記算出したシート厚を補正し、補正後のシート厚に基づいて前記プラテンギャップを調整することを特徴とするプラテンギャップ調整方法。 - 前記算出したシート厚の温度に応じて変化する誤差を補正するための情報と、前記検出した温度とに基づいて、当該算出したシート厚を補正することを特徴とする請求項21に記載のプラテンギャップ調整方法。
- 前記記録ヘッドとプラテン間の距離測定値の偏差に基づいて温度を検出することを特徴とする請求項21または22に記載のプラテンギャップ調整方法。
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