JP2004200458A - 溶接トランス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の溶接トランスは、インバータの高速化により起きる巻線の温度上昇を防止し、溶接機内部のトランス配置の自由化により構造設計を容易にしつつ、トランスの小型化を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明の溶接トランスは、1次巻線1と2次巻線2それぞれに流れる電流を同じ電流密度にしたとき、必要な巻線断面積が小さい側にリッツ線を用い、必要な巻線断面積が大きい側に銅板を用い、絶縁材料を介して前記銅板とリッツ線を互いにサンドイッチ状に配置した構成としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接トランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の溶接トランスは、インバータ等を用いて周波数を上げた場合、巻線表面のみに電流が集中する「表皮効果」が起きて巻線の温度上昇が大きくなるのを防ぐため、1次巻線や2次巻線に銅板を使用して溶接トランスを構成していた。(例えば、特許文献1参照)
または銅板のかわりに素線が一本一本絶縁された電線を撚ったリッツ線を使用していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−223320号公報(段落番号0008)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の溶接トランスでは、溶接トランスからインバータ等の半導体素子の距離が長い構造を持った溶接機では、1次巻線または2次巻線の両方またはどちらかに、表皮効果に強いリッツ線や極薄の銅箔を中継巻線として使用して溶接トランスから半導体素子までの電気接続を行う必要が有り、そのため、巻線の中継部が増えるため、接触不良等の増加による品質面の問題があり、また、中継部品の増加でコストや製造工数のアップという問題があった。
【0005】
一方、巻線にリッツ線を使用すると、上記課題は解決できるものの、大電流が必要な溶接機では巻線断面積を上げるためにリッツ線の素線本数を増す必要が有り、溶接トランス内部の占積率が低下して不要な空間が増えて結果的には溶接トランスの小型化が難しくなり、インバータ高速化による溶接トランス小型化のメリットが無くなるという課題が有った。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、小型化が可能な溶接トランスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の溶接トランスは、1次巻線及び2次巻線を有し、1次巻線と2次巻線それぞれに流れる電流を同じ電流密度にしたとき、必要な巻線断面積が小さい側にリッツ線を用い、必要な巻線断面積が大きい側に銅板を用い、絶縁材料を介して前記銅板とリッツ線を互いにサンドイッチ状に配置した構成とする。
【0008】
そして、この構成により必要な巻線断面積の小さい側にリッツ線を用いるので溶接トランスから例えばインバータ等の機器との接続が容易に行え、さらに、必要な巻線断面積の大きな側に銅板を用いるのでリッツ線のみを用いた場合に比べて溶接トランス内部の占積率を上げることができ、インバータ等を用いた溶接トランスの巻線温度上昇を防止し、溶接機内部の溶接トランス配置の自由化により構造設計を容易にしつつ、小型化が可能な溶接トランスを提供出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態における溶接トランスの概観を示す図で、1は1次巻線、2は2次巻線、3はE型コアである。この溶接トランスは1次側にインバータを接続するもので1次巻線1と2次巻線2それぞれに流れる電流を同じ電流密度にしたとき、必要な巻線断面積が小さい側にリッツ線を用い、必要な巻線断面積が大きい側に銅板を用い1次巻線1をリッツ線、2次巻線2を銅板にしている。そして、1次巻線1を4ターン、2次巻線2を1ターンとしている。
【0011】
また、リッツ線の一本一本の素線表面は絶縁材料によりコーティングされ電気的に絶縁されている。
【0012】
この溶接トランスの製造方法を図2を用いて説明する。
【0013】
まず、E型コア3を置き、E型コア中心部の内側脚周囲に絶縁シート4を配置する(a)。
【0014】
次にE型コア3の外側脚周囲に絶縁シート5を配置する(b)。
【0015】
次に絶縁シート6を前記絶縁シート5の上に配置する(c)。
【0016】
次に、リッツ線からなる1次巻線1を4本平行にしてE型コア3の中心部の内側脚周囲に巻き(d)、前記絶縁シート6を1次巻線1の上に曲げて包み込む(e)。
【0017】
次に絶縁シート7を前記絶縁シート6の上に配置する(f)。
【0018】
この絶縁シート7は1次巻線1から2次巻線2間の絶縁強化用または空間調整用といった役割を持つ。
【0019】
次に絶縁シート8で包み込んだ2次巻線2を前記絶縁シート7の上に、2枚対称形に配置する(g)(h)。
【0020】
次に前記絶縁シート8の上に前記絶縁シート7を配置する(i)。
【0021】
次に先ほど平行に巻いた1次巻線1の続きを再度絶縁シート6の上でE型コア中心部の内側脚周囲に巻く(j)。
【0022】
上記を繰り返して1次巻線・2次巻線を4層で構成し、最後に絶縁シート5で巻線を包み込み、巻線を施したE型コア3へもう一つのE型コア3を被せれば、溶接トランスが完成する。
【0023】
上記E型コア3は、図3に示すようなE型の磁性体からなるコア3aを用いるもので、このコア3aを横方向に複数個接合してE型コア3を形成し、このE型コア3と同形状のもう一つのE型コア3をそれぞれ突き合わせるようにする。
【0024】
上記2次巻線2と絶縁シート8との関係を図4で説明する。
【0025】
絶縁シート8は図4に示すように1枚の絶縁紙に数カ所の切り込みを入れて形成している。
【0026】
この絶縁シート8に2次巻線2を置く(a)。
【0027】
次に絶縁シート8の一方の片側8aを2次巻線2の一方の片側を包むように折り、更に片側8aに設けた切り込み部分から折込部分8bを2次巻線2の片側を包むように巻き込む。このとき、折込部分8cを片側8aの下に潜りこませるとともに、巻き込まない側の2次巻線2の端部の下に片側8aを潜り込ませる(b)。
【0028】
次に絶縁シート8の他方の片側8fを2次巻線2の他方の片側を包むように折り、更に片側8bに設けた切り込み部分から折込部分8gを2次巻線2の片側を包むように巻き込む。このとき、折込部分8dを片側8bの下に潜りこませる(c)。
【0029】
そして、折り曲げ部8hを折って2次巻線2の周囲を包み込むようにする(d)。
【0030】
このため、完全に2次巻線2の銅板の表面を覆うことができるため、簡単な作業で2次巻線2の表面に電気絶縁を形成することが可能となる。
【0031】
また、絶縁シート8のかわりに銅板の周囲に電気絶縁性のあるコーティングを施すことで製造を容易に行うことも可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の溶接トランスは、インバータの高速化により起きる巻線の温度上昇を防止し、溶接機内部のトランス配置の自由化により構造設計を容易にしつつ、トランスの小型化にもつながるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における溶接トランスの外観を示す図
(a)平面図
(b)側面図
(c)1次巻線側の側面図
(d)2次巻線側の側面図
【図2】本発明の実施の形態における溶接トランスの組み立て工程図
【図3】本発明の実施の形態における溶接トランスにおけるE型コアを示す図
【図4】本発明の実施の形態における溶接トランスの2次巻線への絶縁シートの取り付け工程図
【符号の説明】
1 1次巻線
2 2次巻線
3 E型コア
4〜8 絶縁シート

Claims (3)

  1. 1次巻線及び2次巻線を有し、前記1次巻線と2次巻線それぞれに流れる電流を同じ電流密度にしたとき、必要な巻線断面積が小さい側にリッツ線を用い、必要な巻線断面積が大きい側に銅板を用い、絶縁材料を介して前記銅板とリッツ線を互いにサンドイッチ状に配置した溶接トランス。
  2. 数カ所の切り込みと折り目を入れた絶縁シートを折り曲げて銅板の周囲を覆った請求項1記載の溶接トランス。
  3. 銅板の周囲に絶縁コーティングを施した請求項1記載の溶接トランス。
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