JP2000223320A

JP2000223320A - 大電流用トランス

Info

Publication number: JP2000223320A
Application number: JP11019227A
Authority: JP
Inventors: Mikio Kotani; 幹雄小谷; Yoshiki Morimoto; 慶樹森本; Satoru Yamaguchi; 悟山口
Original assignee: Daihen Corp; Hitachi Ferrite Electronics Ltd
Current assignee: Daihen Corp; Hitachi Ferrite Electronics Ltd
Priority date: 1999-01-28
Filing date: 1999-01-28
Publication date: 2000-08-11

Abstract

(57)【要約】【目的】絶縁性の高い薄型の大電流用トランスを提供
する。【構成】絶縁樹脂からなる枠状箱型ケース１に、銅板
を打ち抜いた略Ｕ型１ターンコイル８を積層した１次コ
イル１０ａを挿入し、枠状箱型ケース１１をみ合わせ
る。他方の１次コイル１０ｂも前記１次コイル１０ａと
同様にケース１とケース１１に組み込み、打ち抜いた略
Ｕ型１ターンコイル１６を積層した２次コイル１７を挟
んで、トランスのコイル部とし、フェライトからなるＥ
型コア１８を組み込んで大電流用トランスとなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、大電流を必要とす
るインバータを内蔵する溶接機等に組み込まれるトラン
スに関する。

【０００２】

【従来の技術】溶接機等に代表される大電流を必要とす
るものには、必ず大電流用トランスを内蔵し、インバー
タからの電力を変換している。図を用い従来の大電流用
トランスを説明する。図８は、従来の大電流用トランス
の外観図である。図９は、図８の従来の大電流用トラン
スのＣ−Ｃ断面図、図１０は、図８の従来の大電流用ト
ランスのＤ−Ｄ断面図である。従来の大電流用トランス
は、ボビン６３の巻枠最下層に１次コイル６１ａ、次に
２次コイル６２、そして再度１次コイル６１ｂを巻回す
る方法をとる。これは、大電流用トランスは、一般のト
ランスに比べてコイル巻回数が少ないため、リーケージ
インダクタンスが大きくなる傾向があり、これを防止す
るため、２分割の１次コイル６１ａ、６１ｂが２次コイ
ル６２を挟む構造としている。

【０００３】また、各コイル巻層間には、層間テープ６
６を巻回し層間絶縁をはかり、さらに、各コイルの巻層
両側に絶縁テープからなるバリア６５を設け、コイル−
コイル間、コイル−コア間の沿面距離を確保した。図示
していないが、各コイル６１ａ、６２、６１ｂの端末で
あるリードは、ボビン６３のフランジ上部の切欠部６７
より引き出して接続するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の大電流用トラン
スに使用するコイルは、丸形線材を数本束ねて巻回、あ
るいは、細線を数百本束ねた撚り線を用いているため、
電流容量が増すほどボビンのコイル巻枠に対するコイル
占積率が非常に悪くなり、そのためにトランスを肥大化
させていた。

【０００５】しかも、これらのトランスは、ＩＥＣ９５
０（国際電気標準会議情報処理機器（事務用機器含
む）の安全性）の強化絶縁を確保する場合、図９のバリ
ア６５に用いる絶縁テープの幅を大きくすることで対応
可能であるが、前記絶縁テープ幅の増分だけコイル巻枠
の減少につながり、必要とする特性を得るためにトラン
スサイズを大きくして対応するしかなかった。

【０００６】また、図８に示すトランス構造で取付け高
さを低く抑えた低背型のトランスを作製しようとした場
合、コア６４およびボビン６３を扁平させることにより
可能であるが、線材を束ねたコイルの巻回作業性、ボビ
ン巻枠に対するコイル占積率により、低背化が大変困難
であった。

【０００７】本発明は、以上のことを鑑み、トランスの
高さ寸法を抑え、ＩＥＣ９５０の強化絶縁に対応した低
背型の大電流用トランスを提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、１次コイルと
２次コイルおよびそれらを組み込むコアとからなるトラ
ンスにおいて、１次コイルおよび２次コイルとも導電体
を積層してなるコイルであって、かつ、１次コイルは、
２次コイルを挟んで２分割し、それぞれの分割１次コイ
ルは、コア脚挿入用の中空孔を有し、該中空孔を側壁で
囲み、コイルの端子引出側面を除く外周側面に側壁を有
す第１の枠状箱型ケースに収納し、さらに、コア脚挿入
用の中空孔を有し、該中空孔を側壁で囲み、コイルの端
子引出側面を除く外周側面に側壁を有す第２の枠状箱型
ケースは、前記１次コイル平面露出面側より第１の枠状
箱型ケースを枠内に収納し、この時１次コイルは、第１
と第２の枠状箱型ケースの２重の側壁により、端子引出
側面以外の３側面を囲まれ、また、２分割の１次コイル
に挟まれる２次コイルは、端子引出側面以外の３側面
を、前記１次コイルを収納した枠状箱型ケースの一部に
よる絶縁壁で囲まれている大電流用トランスである。

【０００９】また本発明は、導電物を積層してなる１次
コイルおよび２次コイルは、銅板を打ち抜いてなる略Ｕ
型１ターンコイルを積層したもの、あるいは、平角銅線
の幅広平面を積層しながら巻回したエッジワイズコイル
からなる大電流用トランスである。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の大電流用トランスは、１
次コイルおよび２次コイルをそれぞれ積層構造のコイル
で構成するもので、組立が極めて容易で薄型の大電流用
トランスとすることができるものである。また、１次コ
イルは、２次コイルを挟んで２分割の形態をとり、リー
ケージインダクタンスを低減させる構造とした。

【００１１】さらに、１次コイルを２つからなる枠状箱
型ケース内に収納し、前記ケースの側壁により、ＩＥＣ
９５０の強化絶縁の沿面距離を稼ぐことができ、また、
１次コイルを内蔵した枠状箱型ケースの一部で、２次コ
イルを囲むケースを構成し、トランスに組み込まれるコ
アに対し絶縁を確保した。

【００１２】

【実施例】第１の実施例を図を用いて説明する。図１
は、本発明の大電流用トランスの分解斜視図である。図
２は、本発明の大電流用トランスの枠状箱型ケースの斜
視図である。図３は、本発明の大電流用トランスのもう
一方の枠状箱型ケースの斜視図である。図４は、本発明
の大電流トランスの完成外観図である。

【００１３】絶縁樹脂のフェノールからなる第１のケー
ス１は、コア脚挿入の中空孔２を有し、該中空孔２の周
囲には側壁３が施され、またケースの外周側面には、１
側面を除いて側壁４が施さた枠状箱型のケース１であ
る。この枠状箱型ケース１の裏面には、中空孔２の周囲
に側壁５が施され、表面の側壁３が延伸したものであ
る。また、表面において開口した側面位置に側壁６が施
されている。

【００１４】前記ケース１に１ｍｍ厚の銅板を打ち抜い
た略Ｕ型１ターンコイル８を積層した１次コイル１０ａ
を挿入する。この１次コイル１０ａは、ケース１に積層
後にそれぞれの端子どうしを接続してもよいし、ケース
収納前に予め積層接続しておいてもよい。図１の１ター
ンコイル８は、絶縁シート９をコイル積層間に入れて、
積層コイル間の絶縁をはかった。

【００１５】第１の枠状箱型ケース１の１次コイル１０
ａの露出面側より第２の枠状箱型ケース１１を組み合わ
せる。この第２のケース１１は、第１のケース１と同じ
材質からなり、コア脚挿入の中空孔１２を有し、該中空
孔１２の周囲には側壁１３が施され、またケース１１の
外周側面には、１側面を除いて側壁１４、１５が施され
た枠状箱型ケース１１である。第２の枠状箱型ケース１
１は、その枠内に第１の枠状箱型ケース１を収納し、第
２の枠状箱型ケース１１の開口側面の反対面側壁１５の
先端は、第１の枠状箱型ケース１の裏面７と同一面とな
り、残りの平行な側壁１４は、第１の枠状箱型ケース１
の裏面７より飛び出す。以上が一方の２分割構造の１次
コイル１０ａであり、他方の１次コイル１０ｂも上記と
同様に枠状箱型ケース１、１１に組み込まれる。

【００１６】２次コイル１７は、１ｍｍ厚の銅板を打ち
抜いた略Ｕ型１ターンコイル１６を積層した。この２次
コイル１７を挟んで、ケースに収納した分割の１次コイ
ル１０ａ、１０ｂを組み込んでトランスのコイル部の完
成となり、フェライトからなるＥ型コア１８を組み込ん
で図４の本発明の大電流用トランスとなる。このトラン
スの大きさは、１３０ｍｍ×８０ｍｍ、高さ４５ｍｍの
低背とすることができ、その性能は７ｋＷである。

【００１７】図５、図６を用いて、本発明の大電流用ト
ランスの絶縁方法についての説明する。図５は、図４の
本発明の大電流用トランスのＡ−Ａ断面図である。図６
は、図４の本発明の大電流用トランスのＢ−Ｂ断面図で
ある。図５の断面図において、１次コイル１０ａは、下
方を枠状箱型ケース１の平坦面、側壁３、側壁４、枠状
箱型ケース１１の平坦面に囲まれ、さらに、枠状箱型ケ
ース１の側壁３、側壁４の外側に枠状箱型ケース１１の
側壁１３、１４が存在する。１次コイル１０ａの各導電
物との沿面距離は、２次コイル１６とは、枠状箱型ケー
ス１の側壁４の高さであり、コア１８とは、枠状箱型ケ
ースの側壁１３、１４の高さとなる。すなわち、１次コ
イル１０ａは、枠状箱型ケース１、１１に収納すること
で、枠状箱型ケース１の側壁４の高さ寸法を強化絶縁の
最小沿面距離と同一とすればよく、また、それぞれのケ
ース側壁肉厚を大きくすることで、側壁の高さを減少す
ることができ、扁平化を一層進めることができる。ま
た、もう一方の１次コイル１０ｂも上記と同じ内容で絶
縁が施されている。

【００１８】２次コイル１６は、１次コイル１０ａ、１
０ｂを収納した枠状箱型ケースの一部によって絶縁がと
られ、枠状箱型ケース１の平坦面、側壁５、枠状箱型ケ
ース１１の側壁１３、１４に囲まれる。

【００１９】また図６の断面図において、１次コイル１
０ａ、１０ｂは端子引出側面以外をケース１の平坦面、
側壁３、４、ケース１１の平坦面、側壁１３、１５で囲
まれ、２次コイル１６は、端子引出側面以外をケース１
の平坦面、側壁５、６ａ、６ｂ、ケース１１の側壁１３
に囲まれる。１次コイル１０ａおよび１０ｂと２次コイ
ル１６との最短沿面距離は、ケース１の側壁４あるいは
ケース１の側壁６ａ又は６ｂの高さ。また、１次コイル
１０ａ、１０ｂとコア１８との沿面距離は、ケース１１
の側壁１３の高さである。

【００２０】すなわち、ケース１の側壁４、６ａ、６ｂ
の高さをＩＥＣ９５０の強化絶縁の沿面距離を満足する
ことで、１次コイル１０ａ、１０ｂ−２次コイル１７
間、１次コイル１０ａ、１０ｂ−コア１８間の絶縁をは
かれるものである。なお、２次コイル１７はコア１８に
対して、１次コイルほど沿面距離をとる必要はないが、
２次コイル１７についても、強化絶縁の沿面距離を確保
するには、嵌合するケース側壁を長い範囲で重なり合う
構造とすることで、上記１次コイルと同等の沿面距離を
稼ぐことができる。つまり、沿面距離を直線的に稼ぐの
でなく、絶縁物を用いて屈折の隙間とすることで、トラ
ンスの肥大化を防止することができる。

【００２１】では、図４の本発明の大電流用トランスに
おける絶縁について述べると、枠状箱型ケース１、１１
の各肉厚を１ｍｍとし、枠状箱型ケース内のコイル積層
収納深さを６ｍｍとした。また、２次コイル１７の積層
厚は６ｍｍである。図５において１次コイル１０ａ、１
０ｂの各導電物である２次コイル１７、コア１８に対す
る絶縁肉厚は１ｍｍを確保し、沿面距離は１次コイル１
０ａ、１０ｂ−２次コイル１７間に８ｍｍ、１次コイル
１０ａ、１０ｂ−コア１８間に１２ｍｍを確保すること
ができ、強化絶縁に必要な８ｍｍを満足するものとなっ
た。なお、この時の２次コイル１７のコア１８との沿面
距離は、２ｍｍを得ている。

【００２２】第２の実施例を図７に示す。積層コイルと
してエッジワイズコイルを使用したもので、エッジワイ
ズコイルは、平角銅線の幅広面を積層しながら筒状に巻
回した積層コイルであり、１ターンコイルを積層したコ
イルに比べて抵抗が小さく、効率の良いコイルである。

【００２３】エッジワイズコイルを１次コイル２３とし
て、実施例１と同じ構造のケース２１、２２にそれぞれ
収納して、銅板を打ち抜いてなる１ターンコイルを積層
した２次コイル２４を挟み込んでコイル部とし、フェラ
イトからなるＥ型コア２５を組み込んでトランスを作製
した。

【００２４】１次コイル２３であるエッジワイズコイル
は、８ｍｍ幅×０．８ｍｍ厚の幅広銅線の８．５ター
ン、２次コイル２４は、１ｍｍ厚の１ターンコイルを６
枚積層とした。このトランスの大きさは、１００ｍｍ×
８０ｍｍ、高さ５０ｍｍ、性能は３ｋＷであった。

【００２５】本発明の大電流用トランスに使用するコア
は、フェライトの他に、圧粉磁心、非晶質磁性合金、微
細結晶磁性合金等の軟磁性材料を用いることで、さらな
るトランスの薄型化を可能とする。またすべてのコイル
をエッジワイズコイルで構成しても良く、本実施例の１
次と２次の構成を逆にして、２分割の２次コイルが１次
コイルを挟む構造とすることは、使用する回路に合わせ
て変更して用いればよい。

【００２６】

【発明の効果】本発明の大電流用トランスは、コイルを
積層構造とすることで、トランスにおけるコイル部高さ
を低くし、トランスの組立作業性を大幅に改善すること
ができる。また、コイルを２つの枠状箱型ケースに収納
することで、導電物間の沿面距離を前記枠状箱型ケース
によって、狭い範囲内で長い距離をとることができ、大
電流用トランスの小型、薄型化を可能とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の大電流用トランスの第１の実施例の分
解斜視図

【図２】本発明の大電流用トランスの第１の実施例に用
いた枠状箱型ケースの斜視図

【図３】本発明の大電流用トランスの第１の実施例に用
いたもう一方の枠状箱型ケースの斜視図

【図４】本発明の大電流用トランスの第１の実施例の外
観図

【図５】本発明の大電流用トランスの第１の実施例の断
面図

【図６】本発明の大電流用トランスの第１の実施例の断
面図

【図７】本発明の大電流用トランスの第２の実施例の分
解斜視図

【図８】従来の大電流用トランスの外観図

【図９】従来の大電流用トランスの断面図

【図１０】従来の大電流用トランスの断観図

【符号の説明】

１枠状箱型ケース２中空孔３、４、６ａ、６ｂ側壁８１ターンコイル９絶縁シート１０ａ、１０ｂ１次コイル１１枠状箱型ケース１２中空孔１３、１４側壁１６１ターンコイル１７２次コイル１８コア

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山口悟大阪府大阪市淀川区田川２丁目１番11号株式会社ダイヘン内Ｆターム(参考） 5E043 AA06 AB02 AB04 BA01 BA02 5E044 AD07 BB03 BB04 BB08 CA03 CA08 CB06 CB08 DA02 DA03 5E059 AA10 BB17 BB22 CC07 DD09

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】１次コイルと２次コイルおよびそれらを組
み込むコアとからなるトランスにおいて、１次コイルお
よび２次コイルとも導電体を積層してなるコイルであっ
て、かつ、１次コイルは、２次コイルを挟んで２分割
し、それぞれの分割１次コイルは、コア脚挿入用の中空
孔を有し、該中空孔を側壁で囲み、コイルの端子引出側
面を除く外周側面に側壁を有す第１の枠状箱型ケースに
収納し、さらに、コア脚挿入用の中空孔を有し、該中空
孔を側壁で囲み、コイルの端子引出側面を除く外周側面
に側壁を有す第２の枠状箱型ケースは、前記１次コイル
平面露出面側より第１の枠状箱型ケースを枠内に収納
し、この時１次コイルは、第１と第２の枠状箱型ケース
の２重の側壁により、端子引出側面以外の３側面を囲ま
れ、また、２分割の１次コイルに挟まれる２次コイル
は、端子引出側面以外の３側面を、前記１次コイルを収
納した枠状箱型ケースの一部による絶縁壁で囲まれてい
ることを特徴とする大電流用トランス。
【請求項２】導電物を積層してなる１次コイルおよび２
次コイルは、銅板を打ち抜いてなる略Ｕ型１ターンコイ
ルを積層したもの、あるいは、平角銅線の幅広平面を積
層しながら巻回したエッジワイズコイルからなることを
特徴とする請求項１記載の大電流用トランス。