JP2004197817A - 車両用電磁緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体側チューブ1の内側または外側に、下方懸架バネ受6が外周に設けられた車軸側チューブ2を摺動自在に嵌装するとともに、モータMを車体側チューブ1内もしくは外方に結合させ、車軸側チューブ2内に当該車軸側チューブ2と一体的に移動するボール螺子ナット3を設け、上記ボール螺子ナット3内にモータシャフトMSに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸4、もしくは、モータシャフトMSに一体に連設した螺子軸4を回転自在に螺合し、ボール螺子ナット3の直線運動を螺子軸4の回転運動に変換し、この回転運動をモータシャフトMSに伝達して当該モータMに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記モータシャフトMSの回転に抗するトルクを車軸側チューブ2の直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の車体側と車軸側との間に介装して路面からの振動を減衰する緩衝器に関し、特に、ボール螺子ナットに螺子軸を回転自在に螺入することにより、軸力伝達体の直線運動を螺子軸を介してモータの回転運動に変換する機構を有し、モータシャフトの回転運動に起因する電磁力で減衰力を発生する車両用電磁緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に車両の車体と車軸との間に介装させた緩衝器は、油圧式のものが知られており、この油圧式緩衝器は車体を懸架するとともに路面からの振動等の入力を減衰して車両の乗り心地を向上させる。
【0003】
しかしながら、上記の油圧を利用した車両用電磁緩衝器では、高減衰力が得られる反面油が必要であり、この油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構を必要とする。また、万が一、油漏れが生じた場合には、所望の減衰力が得られなくなる等の恐れがある。
【0004】
そこで、最近油、エアや電源等を必要としない新しい電磁緩衝器が研究され、その論文(たとえば、非特許文献1参照)も公表されている。
【0005】
この電磁緩衝器の基本構造は、たとえば、図4のモデルに示すように、ボール螺子ナット87と、当該ボール螺子ナット87を保持するフランジ74と、アイ型ブラケット78が固着されたフランジ77と、上記各フランジ74、77を連結するガイドロッド76と、ボール螺子ナット87内に回転自在に螺合した螺子軸88と、螺子軸88の上端にカップリング83とシャフト89aを介して結合したモータ89とで構成したものである。
【0006】
そして、この電磁緩衝器を、たとえば、車体と車軸との間に介在させてサスペンションとして利用する場合、電磁緩衝器の上端をモータ89の上に設けられたフランジ68に固着されたブラケット80を介して車体側に結合し、電磁緩衝器下端を上記アイ型ブラケット78を介して車軸側に結合させる。
【0007】
この場合、モータ89は、下端をフランジ70及び連結ロッド71を介してフランジ72に結合し、上記フランジ72の内周にはボール軸受84を固定し、そのボール軸受84内に螺子軸88の上部を回転自在に挿入させている。
【0008】
さらに、フランジ72は、フランジ75に連結ロッド73により連結され、フランジ75に設けられた孔の中には上記ガイドロッド76が摺動可能に挿入されており、ボール螺子ナット87の直線運動のみが許容されるようになっている。
【0009】
この電磁緩衝器を利用するサスペンションの構想によれば、たとえば、路面からの振動入力でボール螺子ナット87が矢印a方向に直線運動すると、ボール螺子ナット87内の螺子軸88は、ボール螺子ナット87内のボールと螺子軸88の外周の螺子溝88aに案内されて回転運動に変換される。
【0010】
このため、螺子軸88の回転運動が、螺子軸88の上端に取付けられたカップリング83を介してシャフト89aの矢印b方向の回転運動として伝達され、これによりモータ89に誘導起電力が発生し、特には図示しないがモータ89の各電極を電源を介さずに短絡するか所望の電磁力を得られるように制御回路に接続しておけば、モータ9内のコイルに上記誘導起電力に起因する電流が流れ、モータ89は電磁力を発生する。
【0011】
そして、この時、上記シャフト89aの回転方向とは逆方向に電磁力が発生し、この電磁力に起因してシャフトの回転に抗するトルクが発生し、モータ89のシャフト89aの回転を抑制することとなる。
【0012】
すると、シャフト89aの回転を抑制することは、上記螺子軸88の回転を抑制することであるから、上記トルクはボール螺子ナット87の直線運動を抑制する減衰力として作用する。
【0013】
すなわち、上記の作用は、ボール螺子ナット87がアイ型ブラケット78に連結されているので、電磁緩衝器の伸縮運動を抑制する減衰力として作用することとなる。
【0014】
ここで、ボール螺子ナット87について着目すると、図5に示すように、ボール螺子ナット87には、小径のボール87aが多数配在されており、このボール87aが螺子軸88の螺旋状の溝88aに符合することにより、一対の螺子を形成しており、螺子軸88はボール螺子ナット87に対して、回転自在に螺入される。
【0015】
このため、ボール螺子ナット87が軸方向に直線運動するとボール87aが溝88aに沿って移動することから螺子軸88に強制的に回転力が付与され、螺子軸88が回転する。
【0016】
したがって、螺子軸88とボール螺子ナット87の上記動作がスムーズであるから、電磁緩衝器に必要な直線運動を回転運動に変換する機構としては、有用なものである。
【0017】
【非特許文献】末松、須田,「自動車における電磁サスペンションの研究」,社団法人自動車技術会,学術講演会前刷集,2000年,No4−00
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように油を使用しない電磁緩衝器は、油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構を必要とせず非常に有用ではあるが、実際にサスペンションに使用する際には、以下のいろいろな問題点がある。
【0019】
すなわち、一般に緩衝器は車体と車軸間に傾けて介装されるので、車両の走行時に、車両の旋回、路面の凹凸等により緩衝器に働く力は、突き上げ入力や振動等が作用しボール螺子ナットには軸方向の力のみではなく、斜め方向からの曲げ力を受ける場合がある。
【0020】
この曲げ力は、フランジ75が担持するが、このフランジ75とガイドロッド76、フランジ75と螺子軸88との間には加工上どうしても若干の隙間ができ、この隙間に起因する遊びで、上記の曲げ力を完全に支えきれない場合がある。
【0021】
同様に、ボール螺子ナット87と螺子軸88との間にも加工上発生する隙間による遊びがあり、両者の間にガタが発生する場合がある。
【0022】
このため、斜め方向から大きい力を受けた場合、図6に示すように、電磁緩衝器が傾いで螺子軸88の中心軸cとボール螺子ナット87の中心軸dがずれる可能性がある。
【0023】
なぜならば、電磁緩衝器にあっては、ボール螺子ナット87はガイドロッド76の上端部に嵌め込まれているから、ガイドロッド76下端部に設けられたアイ78からの横方向の力を受けるとガイドロッド76に連結されているボール螺子ナット87には、ボール螺子ナット87と螺子軸88の組み合わさっている部分を中心として回転モーメントが負荷されることとなり、図6に示すように、必然的に上記中心軸がずれてしまうこととなる。
【0024】
そして、この中心軸のずれは、ボール螺子ナット87が上述のとおり多数のボール87aを介して螺子軸88に取付けられているに過ぎないから、ボール螺子ナット87の一部のボール87b、87cに集中して荷重がかかることとなり、ボール87b、87c若しくは螺子軸88のねじ山が損傷する事態を生じさせることとなる。
【0025】
すると、上述したボール87b、87c若しくは螺子軸88のねじ山が損傷することにより、螺子軸88とボール螺子ナット87の回転若しくは緩衝器の伸縮方向への移動の各動作の円滑さが失われ、電磁緩衝器として機能が損なわれ、ひいては、電磁緩衝器の故障の原因となる危惧がある。
【0026】
さらに、上述の電磁緩衝器には、懸架バネが取付けられておらず、適用車両によっては、このまま車両の車体と車軸との間に介装したのでは、車体が沈み込んでしまうのみで、緩衝器としての機能を果たせなくなってしまう。
【0027】
そこで、本発明は、上記の不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、電磁力を減衰力として利用し、油を使用しない電磁緩衝器を車両に適用可能なものとすることである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の第1の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、車体側チューブの外側に、懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装するとともに、制御装置に接続または各電極を短絡したモータを車体側チューブ内もしくは外方に結合させ、車軸側チューブ内に車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータシャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記モータシャフトの回転に抗するトルクを車軸側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする。
【0029】
そして、本発明の第2の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、車体側チューブの外側に、懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装するとともに、モータを車軸側チューブ内もしくは外方に結合させ、車体側チューブ内に車体側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータシャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記モータシャフトの回転に抗するトルクを車体側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする。
【0030】
上述のように、この第1、第2の課題解決手段における車両用電磁緩衝器にあっては、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能である。
【0031】
また、車体側チューブに車軸側チューブが摺動自在に嵌装されているので、この車両用電磁緩衝器に曲げ力が負荷された場合にあっても、車体側チューブに対し車軸側チューブが傾くことが防止され、その結果、螺子軸とボール螺子ナットの中心軸がずれることが無く、ボール螺子ナットと螺子軸の損傷を防ぐことができ、結果的に車両用電磁緩衝器の損傷を防止可能である。
【0032】
さらに、この車両用電磁緩衝器にあっては、特にモータを車体側チューブ内に結合させた場合には、モータやボール螺子ナットや螺子軸等の車両用電磁緩衝器の主要部材が車軸側チューブと車体側チューブで覆われているので、車両に適用されても、雨、泥、石等が車両用電磁緩衝器内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因とした車両用電磁緩衝器の損傷を効果的に防止することができる。
【0033】
加えて、車両用電磁緩衝器の車軸側チューブには懸架バネ受を設けているので、懸架バネを車両用電磁緩衝器に取付けることが可能となり、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0034】
したがって、上記した作用効果により電磁力を減衰力として利用し、油を使用しない電磁緩衝器を車両に適用可能なものとすることができる。
【0035】
本発明の第3の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、車体側チューブの外側に懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装する一方、車体側チューブ内に回転自在に挿通されたシャフトにコイルを巻装し、永久磁石を車体側チューブ内であってコイルに対向する位置で、かつ、車体側チューブ内に磁界を発生させるように取付けるとともに、車軸側チューブ内に車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内に上記シャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、上記シャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をシャフトに伝達して当該コイルに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを車軸側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする。
【0036】
また、本発明の第4の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、車体側チューブの外側に懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装する一方、車軸側チューブ内に回転自在に挿通されたシャフトにコイルを巻装し、永久磁石を車軸側チューブ内であってコイルに対向する位置で、かつ、車軸側チューブ内に磁界を発生させるように取付けるとともに、車体側チューブ内に車体側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内に上記シャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、上記シャフトに形成した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をシャフトに伝達して当該コイルに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを車体側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする。
【0037】
したがって、この第3、第4の課題解決手段における車両用電磁緩衝器においては、第1または第2の課題解決手段と同様に、コイルに電磁力が発生し、シャフトの回転に抗するトルクを車体側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用できるので、第1または第2の課題解決手段と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0038】
くわえて、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に、直接コイルや永久磁石を取付けており、それらを覆うフレームを設ける必要はないので、モータを車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に設ける場合に比較して、コイルが発生する熱が、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内にこもることを防止できる。
【0039】
また、コイルが発生する熱は車体側チューブないし車軸側チューブに伝達されるが、当該熱を車体側チューブないし車軸側チューブが効果的に放熱することができる。
【0040】
したがって、コイル自体の温度上昇を防ぐことが可能であるから、コイルを形成する導線の絶縁被膜の化学変化等により絶縁性が劣化を防止できる。
【0041】
すると、コイルの漏電等を防止できることとなるので、車両用電磁緩衝器自体の損傷を抑制できる。
【0042】
したがって、上記した作用効果により電磁力を減衰力として利用し、油を使用しない電磁緩衝器を車両に適用可能なものとすることができる。
【0043】
さらに、本発明の第5の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第1または第3の課題解決手段において、ボール螺子ナットが車体側チューブ内に挿入した連結パイプの一端側に結合され、上記連結パイプの他端を車軸側チューブに連結されてなることを特徴とする。
【0044】
そして、本発明の第6の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第2または第4の課題解決手段において、ボール螺子ナットが車軸側チューブ内に挿入した連結パイプの一端側に結合され、上記連結パイプの他端を車体側チューブに連結されてなることを特徴とする。
【0045】
この場合には、第1、2、3または4の課題解決手段と同様の作用効果を奏することは勿論のこととして、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に連結パイプを設け、直接ボール螺子ナットを車体側チューブもしくは車軸側チューブに結合せずにこの連結パイプに結合しているから、車両用電磁緩衝器に石が当たるなどの衝撃が負荷されても、ボール螺子ナットを保護することができる。
【0046】
くわえて、特に車体側チューブもしくは車軸側チューブの中間部にボール螺子ナットを結合する場合に比較して、連結パイプを車体側チューブもしくは車軸側チューブより短いものを使用すれば、ボール螺子ナットを結合した連結パイプを車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に挿入するだけで、ボール螺子ナットを車体側チューブもしくは車軸側チューブの中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0047】
さらに、本発明の第7の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第1、第3または第5の課題解決手段において、ボール螺子ナットに対し車体側チューブが回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする。
【0048】
また、本発明の第8の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第2、第4または第6の課題解決手段において、ボール螺子ナットに対し車軸側チューブが回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする。
【0049】
したがって、第7もしくは第8の課題解決手段における車両用電磁緩衝器にあっては、ボール螺子ナットに対し車体側チューブもしくは車軸側チューブが回転することが防止されるので、特に、この車両用電磁緩衝器がストラット型として使用される場合で、この車両用電磁緩衝器が車体に搭載された際、転舵時に車体側チューブもしくは車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットが回動し、この回動運動がモータシャフトもしくはシャフトに伝達され、このことによりモータあるいはコイルに電磁力が発生し減衰力が発生してしまうことや、転舵するたびに、ボール螺子ナットが回動して螺子軸を直線運動させてしまい車高が上下動してしまうことが防止される。
【0050】
そして、また、本発明の第9の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第1、第5または第7の課題解決手段において、車体側チューブとモータとの間に、上方懸架バネ受を設けた車両取付部を結合し、上方懸架バネ受と下方懸架バネ受との間に懸架バネを介装したことを特徴とする。
【0051】
この場合には、モータは車両ボディに区画される車体内側に配在されることとなるので、前記モータに直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、前記モータのそれらを原因とする故障を効果的に防止することができる。
【0052】
また、上記構成とすることで、車両用電磁緩衝器本体にモータの長さを考慮する必要が無いため、適用車両に必要かつ充分なストロークを確保することができるという効果もある。
【0053】
そして、この車両用電磁緩衝器にあっては、懸架バネを備えているので、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0054】
また、さらに、本発明の第10の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7または第8の課題解決手段において、車体側チューブの先端もしくはモータに上方懸架バネ受を設けた車両取付部を結合し、上方懸架バネ受と下方懸架バネ受との間に懸架バネを介装したことを特徴とする。
【0055】
したがって、この車両用電磁緩衝器にあっては、懸架バネを備えているので、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0056】
そして、さらに、本発明の第11の課題解決手段における車両用電磁緩衝器は、第9または第10の課題解決手段において、車両取付部が車両に結合可能なブラケットと、ブラケットに取付けられた上方懸架バネ受けと、ブラケットに抱持されたブッシュと、ブッシュに抱持された転がり軸受とで構成され転がり軸受の内周に車体側チューブもしくはモータが嵌合されていることを特徴とする。
【0057】
この場合には、特に、この車両用電磁緩衝器がストラット型として使用される場合で、この車両用電磁緩衝器が車体に搭載された際、転舵時に、車体に対し車両用電磁緩衝器自体が回動可能となるから、車体側チューブに対し車軸側チューブが回動することが抑制され、結果的にボール螺子ナットが回動し、この回動運動がモータシャフトもしくはシャフトに伝達され、このことによりモータあるいはコイルに電磁力が発生し減衰力が発生してしまうことや、転舵するたびに、ボール螺子ナットが回動して螺子軸を直線運動させてしまい車高が上下動してしまうことが防止される。
【0058】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる車両用電磁緩衝器の基本形態は、図1に示すように、車軸側チューブたるアウターチューブ2と、アウターチューブ2内に軸受部材9、10を介して摺動自在に挿入した車体側チューブたるインナーチューブ1と、アウターチューブ2内に同心に結合した連結パイプ5と、インナーチューブ1の上端に結合され各電極を短絡したモータMと、上記連結パイプ5の上端に結合したボール螺子ナット3と、モータMのフレーム32内でモータMのモータシャフトMSに連結した螺子軸4と、アウターチューブ2の外周側面に固着された下方懸架バネ受6と、モータMの上方に設けられた軸13にナット19で取付けられた上方懸架バネ受7を備えた車両取付部Tと、上記上方懸架バネ受7と下方懸架バネ受6との間に介装される懸架バネ8とを有してなり、図示するところでは、いわゆるストラット型に構成されている。
【0059】
以下、詳細に説明すると、アウターチューブ2は、筒状であって、その下端がキャップCで封止され、下方側面には車軸側に連結されるアクスルブラケット14が設けられており、さらに、外周側面には下方懸架バネ受6が固着されている。
【0060】
インナーチューブ1は、筒状であって、その上端はモータMが結合され、下端にはクッションバネ21を備えたバネシート21を嵌合させ、軸受部材9、10を介して、アウターチューブ2内に摺動自在に挿入されている。アウターチューブ2の開口端にはリップRが設けられ、インナーチューブ1に摺接しているので、車両用電磁緩衝器内に雨や埃等が侵入することが防止される。
【0061】
また、インナーチューブ1の下端の外周にキー1aが設けられ、他方アウターチューブ2の内周には軸方向に沿ってキー溝(図示せず)が設けられており、このキー1aとキー溝とを符合させてあり、これにより、インナーチューブ1に対しアウターチューブ2は回転しないようになっている。
【0062】
なお、このキー1aとキー溝は、後述するボール螺子ナット3に対しインナーチューブ1が回転しないようにするために設けられるものであり、ボール螺子ナット3はアウターチューブ2内に結合した連結パイプ5の先端に設けられているのでこのキー1aとキー溝によりボール螺子ナット3に対しインナーチューブ1が回転することが防止される。また、キー1aとキー溝をインナーチューブ1とアウターチューブ2に設ける代わりに、連結パイプ5外周とインナーチューブ1内周かボール螺子ナット3の外周とインナーチューブ1内周に設けても良いし、キーとキー溝以外の構成により回転防止を実現しても良い。
【0063】
また、上述のようにインナーチューブ1とアウターチューブ2とが軸受部材9、10を介して摺接しているので、この車両用電磁緩衝器に曲げ力が負荷された場合にあっても、インナーチューブ1に対しアウターチューブ2が傾くことが防止されている。
【0064】
また、アウターチューブ2内にはアウターチューブ2と同心にキャップCに螺合された連結パイプ5が設けられるとともに、キャップCに当接させたクッション23が配在去れている。このクッション23は、車両用電磁緩衝器が最収縮した場合には、インナーチューブ1の下端に設けたバネシート21とキャップCとの間に生じる衝撃を吸収し、車両用電磁緩衝器を保護するとともに、後述するボール螺子ナット3とインナーチューブ1の上方に接合されたモータM等と干渉することを防止している。逆に車両用電磁緩衝器が最伸長した場合には、上述のクッションバネ20がボール螺子ナット3に当接するようにしてボール螺子ナット3を保護するようにしている。
【0065】
連結パイプ5は、筒状であって、上述のように、その下端をアウターチューブ2の下端に設けたキャップCに螺合して、インナーチューブ1内に挿入されるとともに、その上端にはボール螺子ナット3が結合されている。したがって、この連結パイプ5は、アウターチューブ2と一体的に移動可能となっている。
【0066】
次に、インナーチューブ1の上方に結合されるモータMについて説明すると、モータMは、図示はしないが、ヨークたる筒状のフレームと、フレームにフレーム内に磁界を発生させるように取付けられた永久磁石と、フレーム内に軸受を介して回転自在に挿入したモータシャフトMSと、モータシャフトMSに上記永久磁石と対向する位置に巻装したコイルと、同じくモータシャフトMSの外周に設けた整流子と、ブラシホルダに取付けられたブラシとで構成される周知のものであり、インナーチューブ1の上端に結合されている。
【0067】
なお、モータMは上述したところでは直流モータとしているが、モータの種類としては、直流ブラシ付モータの他に、ブラシレスモータ、交流モータ、誘導モータ等のモータも使用可能である。なお、このモータMの各電極は短絡されるか制御装置に接続される。
【0068】
つづいて、螺子軸4は、その上端をモータMのモータシャフトMSに螺合するとともに、インナーチューブ1内に軸受11、12を介して回転自在に挿入してあり、その下端部の先端にはクッション22を設け、螺子軸4の螺旋状の螺子溝(付示せず)をボール螺子ナット3に螺合している。ボール螺子ナット3が螺子軸4の下端に移動した際、すなわち、車両用電磁緩衝器の最伸長時には、クッション22が、ボール螺子ナット3が螺子軸4から抜けることを防止するとともに、ボール螺子ナット3とバネシート22との干渉による衝撃を緩和し、ボール螺子ナット3の損傷が防止される。
【0069】
なお、本実施の形態では、螺子軸4の上端をモータシャフトMSに螺合することにより接続しているが、螺子軸4の回転運動をモータシャフトMSに伝達可能なようにすれば良いので、その接続については螺合にかぎらず他の慣用されている方法を使用しても良く、また、螺子軸4とモータシャフトMSを一体成形するとしても良い。
【0070】
さらに、螺子軸4とモータシャフトMSの間に、別途動力伝達手段を設けて、螺子軸4の回転運動をモータシャフトMSに伝達するとしても良い。この場合、動力伝達手段は、図示はしないが、たとえば、モータシャフトMSの先端に歯車を設け太陽歯車とし、さらに、インナーチューブ1内周に太陽歯車を設けるとともに、螺子軸4側に遊星歯車を設けて、モータシャフトMS側の太陽歯車と、インナーチューブ1側の太陽歯車との間に、上記遊星歯車を介装して、各歯車が互いに噛合させ、プラネタリギアを構成させた歯車機構としても良いし、モータシャフトMSと螺子軸4との間に介装させたトーションバーとしても良い。
【0071】
上述のように、動力伝達手段を歯車機構とした場合には、各歯車のギア比により螺子軸4の回転速度に対しモータシャフトMSの回転速度を増速もしくは減速させることが可能となり、トーションバーを用いた場合には螺子軸4の回転運動をある程度トーションバーが吸収するので、特に螺子軸4の回転速度が変化する場合にモータシャフトMSにその変化を時間的に遅れて伝達することが可能となる。
【0072】
また、ボール螺子ナット3についてであるが、その構造は特に図示しないが、例えば、ボール螺子ナットの内周には、螺子軸の螺旋状の螺子溝に符合するように螺旋状のボール保持部が設けられており、前記保持部に多数のボールが配在されてなり、ボール螺子ナットの内部にはボールが循環可能なように前記螺旋状保持部の両端を連通する通路が設けられているものであって、螺子軸を前記ボール螺子ナットに螺入された場合に、螺子軸の螺旋状の螺子溝にボール螺子ナットのボールが嵌合し、螺子軸の回転運動に伴いボール自体も螺子軸の螺子溝との摩擦力により回転するので、ラックアンドピニオン等の機構に比べ滑らかな動作が可能である。
【0073】
上述のように、螺子軸4には、ボール螺子ナット3が螺子溝に沿って回転自在に装着され、ボール螺子ナット3が上下方向の直線運動をすると、ボール螺子ナット3のボールが上下方向に移動するが、この時、当該ボールは螺子軸4の螺旋状の螺子溝に沿って移動するから、螺子軸4は強制的に回転駆動される。
【0074】
即ち、上記機構によりボール螺子ナット3の直線運動が螺子軸4の回転運動に変換されることになる。したがって、ボール螺子ナット3が連結パイプ5を介してアウターチューブ2と一体的に移動可能となっているので、アウターチューブ2の直線運動が螺子軸4の回転運動に変換されることとなる。
【0075】
そして、車両取付部Tは、車両に結合可能な上下一対のブラケット17、18と、ブラケット18に取付けられた上方懸架バネ受け7と、上下のブラケット17、18に抱持されたブッシュ15と、ブッシュ15に抱持された転がり軸受16とで構成され、転がり軸受16の内周にはモータMの上端に設けた軸13が嵌合されている。
【0076】
ブラケット17、18は、ブッシュ15を抱持可能なように内周側に凹部を設けた円盤状に形成されており、図示はしないがその外周近傍には車体に螺合するためのボルトが挿入可能なように複数の孔が設けられている。
【0077】
ブッシュ15はこのブラケット17、18の凹部に抱持され、ブッシュ15の内周側に切欠をもうけて転がり軸受16を抱持するようにし、上記軸13を転がり軸受16内周に嵌合させながら、ナット19で車両取付部Tを軸13に固定する。すなわち、車両用電磁緩衝器は車両取付部Tに対し回転可能である。
【0078】
なお、上記構成としたので、この車両用電磁緩衝器にあっては、ボール螺子ナット3や螺子軸4の車両用電磁緩衝器の主要部材がインナーチューブ1とアウターチューブ2で覆われているので、車両に適用されても、雨、泥、石等が車両用電磁緩衝器内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因とした車両用電磁緩衝器の損傷を効果的に防止することができる。
【0079】
加えて、車両用電磁緩衝器に上方および下方懸架バネ受を設けて、その上下の懸架バネ受けの間に懸架バネ介装しているので、この車両用電磁緩衝器を車体と車軸との間に介装してもその緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0080】
なお、図示したこの車両用電磁緩衝器の基本形態は、モータが結合されたインナーチューブを車体側に取り付け、アウターチューブを車軸側に取付けて使用される、いわゆる、正立型の車両用電磁緩衝器としているが、車体側チューブをアウターチューブとして車軸側チューブをインナーチューブとして倒立型としても良く、また、モータを車体側チューブたるインナーチューブではなく車軸側チューブたるアウターチューブに結合しても使用可能である。
【0081】
さらに、図示したところでは、モータMをインナーチューブ1の上端に結合しているが、インナーチューブ1内にモータMを結合しても良い。この場合には、ボール螺子ナット3や螺子軸4だけでなくモータMもインナーチューブ1とアウターチューブ2で覆われているので、車両に適用されても、雨、泥、石等が車両用電磁緩衝器内に侵入することが防止され、上記モータMに直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、より一層車両用電磁緩衝器の損傷を効果的に防止することができる。
【0082】
また、図示はしないが、モータMをアウターチューブ2に結合する場合には、連結パイプ5を設けず、ボール螺子ナット3をインナーチューブ1に直接結合しても良い。この場合は、インナーチューブ1の中間部にボール螺子ナット3を結合する場合に比較して、連結パイプ5をインナーチューブ1より短いものを使用すれば、ボール螺子ナット3を結合した連結パイプ5をインナーチューブ1内に挿入するだけで、ボール螺子ナット3をインナーチューブ1の中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0083】
つづいて、その作用について説明する。この車両用電磁緩衝器は、インナーチューブ1側が車両取付部Tを介して車両の車体側に取付けられ、アウターチューブ2側がアクスルブラケット14を介して車両の車軸側に取付けて使用されるが、車両の走行中に路面等から、突き上げ入力や振動等が付加されると、車両用電磁緩衝器が伸縮動作をする。
【0084】
すなわち、インナーチューブ1外周に沿って、アウターチューブ2が直線運動することになる。すると、アウターチューブ2に結合された連結パイプ5の先端に結合されたボール螺子ナット3も直線運動することとなり、このボール螺子ナット3の直線運動が上述のように螺子軸4の回転運動に変換されて、この螺子軸4の回転運動が、最終的にモータMのシャフトMSに伝達される。
【0085】
このとき、螺子軸4とモータシャフトMSの間に動力伝達手段を設け、動力伝達手段が上述したプラネタリギアの場合には、そのギア比によりモータMのモータシャフトMSの回転速度は、螺子軸4の回転速度より増速または減速される。
【0086】
かくして、モータMのモータシャフトMSが回転運動を呈すると、モータMのフレームに取付けられた永久磁石がつくる磁束をモータシャフトMSに巻装したコイルが横切ることとなり、コイルに誘導起電力が発生する。ここで、モータMの各電極が短絡、すなわち、上記コイルが短絡されている場合には、コイルに誘導起電力に起因する電流が流れて、コイルが電磁力を発生し、モータシャフトMSの回転に抗するトルクが発生して、このモータシャフトMSの回転に抗するトルクがモータシャフトMSの回転運動を抑制することとなる。
【0087】
したがって、モータシャフトMSの回転を抑制することは、螺子軸4の回転を抑制することとなり、ボール螺子ナット3の直線運動を抑制し、ひいてはボール螺子ナット3が連結パイプ5を介して結合されているアウターチューブ2の直線運動を抑制するので、この電磁力に起因するモータシャフトMSの回転に抗するトルクが減衰力として作用することとなる。
【0088】
上述のように、この車両用電磁緩衝器にあっては、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能であり、車両の乗り心地を向上できる。
【0089】
以上のように、この車両用電磁緩衝器にあっては、インナーチューブ1に対するアウターチューブ2の上下方向の直線運動をボール螺子ナット3を介して螺子軸4の回転運動に変換し、ひいてはモータシャフトMSを回転運動させることによりモータMに電磁力を発生させて、この電磁力を減衰力として利用しているが、本実施の形態では特にストラット型の車両用電磁緩衝器としているので、車両取付部Tに転がり軸受16を設け、車両用電磁緩衝器が車両取付部Tに対し回動可能となっている。
【0090】
すると、転舵時には車両用電磁緩衝器が車両取付部Tに対し回転するが、車体に対し車両用電磁緩衝器自体が回動可能となるから、インナーチューブ1に対しアウターチューブ2が回動することが抑制され、結果的にボール螺子ナットが回動し、この回動運動がモータシャフトもしくはシャフトに伝達され、このことによりモータあるいはコイルに電磁力が発生し減衰力が発生してしまうことや、転舵するたびに、ボール螺子ナットが回動して螺子軸を直線運動させてしまい車高が上下動してしまう弊害が防止される。
【0091】
さらに、アウターチューブ2内周にキー溝を設けるとともに、インナーチューブ1にキー1aを設けているので、インナーチューブ1に対しアウターチューブ2は回動しないので、結果的に、インナーチューブ1に対しボール螺子ナット3も同様に回動しない。すなわち、転舵時には、転がり軸受16が作用して車両用電磁緩衝器全体が回動することによりその弊害を抑制しているが、キー1aとキー溝とにより、より一層効果的に上記弊害を防止することが可能となる。なお、上記したところではストラット型に構成された車両用電磁緩衝器に、特に上記弊害防止効果が高いが、おおよそ、ボール螺子ナットと車体もしくは車軸側チューブが回動してしまい上記弊害の発生の可能性がある箇所に適用される場合には同様の効果があることは言うまでもない。
【0092】
また、上記したところでは、モータMの各電極を短絡してモータシャフトMSの回転に抗するトルクを得ているが、これに換えて、たとえば、モータMを誘導起電力の大きさによって内部抵抗を変更可能な電気回路に接続し、誘導起電力に起因するモータMに流れる電流量を、この電気回路によって調節しても良い。そうすることによって、モータMに流れる電流量を調節することが可能となり、すると、車両用電磁緩衝器の発生する減衰力も調節可能となる。
【0093】
なお、モータMを制御装置に接続する場合にも、モータMに流れる電流量を調節するように制御すれば所望の減衰力を得られるので、制御装置から積極的にモータMに電流を供給する必要はなく、制御装置自体の動作に必要な電力を供給するのみでよいので省電力化が図れる。
【0094】
ここで、上述のようにインナーチューブ1とアウターチューブ2との間には軸受部材9、10が配在され、上下で二点支持されているので、車両の走行時に、車両の旋回、路面の凹凸等により車両用電磁緩衝器に斜め方向からの曲げ力が負荷されても、インナーチューブ1に対してアウターチューブ2は傾くことは無く、螺子軸4とボール螺子ナット3の中心軸のずれを防止できる。
すると、螺子軸とボール螺子ナットの各中心軸がずれないので、ボール螺子ナットの一部のボールに集中して荷重がかかることを防止でき、ボール若しくは螺子軸のねじ山が損傷する事態を避けることが可能である。
【0095】
また、ボール若しくは螺子軸のねじ山の損傷を防止できるので、螺子軸とボール螺子ナットの回転若しくは車両用電磁緩衝器の伸縮方向への移動の各動作の円滑さを保つことができる。
【0096】
したがって、上記各動作の円滑を保てるので、車両用電磁緩衝器としての機能も損なわれず、ひいては、車両用電磁緩衝器の故障を防止できる。
【0097】
さらに、上述のように動力伝達手段を設け、この動力伝達手段をプラネタリギア等の歯車機構とすれば、モータMのモータシャフトMSの回転速度を螺子軸4の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。なお、動力伝達手段には、プラネタリギア以外にも、摩擦車等の他の慣用手段を用いても良い。
【0098】
すなわち、実際にこの車両用電磁緩衝器を車両に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータMの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0099】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、車両用電磁緩衝器に使用するモータMを大型化する必要が無くなる。したがって、コスト的にも有利である。
【0100】
さらに、この動力伝達手段をトーションバーとした場合には、車両用電磁緩衝器の伸縮速度の変化があった時に、螺子軸の回転速度が変化する場合にモータシャフトにその変化を時間的に遅れて伝達することが可能となる。すなわち、伸縮始動時又は伸縮速度の変化に時間的に遅れてモータの回転子の慣性モーメントを発生させることが出来る。ここで、モータの回転子の慣性モーメントは螺子軸の回転運動を抑制するように働くので、車両用電磁緩衝器は減衰力を発生させることとなる。すなわち、モータの回転子の慣性モーメントによる減衰力の発生を時間的に遅らせることとなるので、電磁力に起因する減衰力発生に先んじて発生する車両用電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメントに起因する減衰力を抑制することなる。
【0101】
このことから、上述の回転子の慣性モーメントにより発生する減衰力の制御の困難性等の弊害をより少なくすることが可能とり、車両用電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメントに起因する減衰力の発生を抑制出来るから、車両用電磁緩衝器を車両に適用した際に、車両の乗り心地の悪化を防ぐことが出来る。
【0102】
つづいて、図2に示した本実施の形態の第1の変形例について説明する。ここで、上述した実施の形態と同様の部材については、説明が重複するため符号を付するのみとしてその詳細な説明を省略することとする。
【0103】
図2に示したように、本実施の形態の第1の変形例は、車体側チューブたるインナーチューブ1の上端に、チューブブラケット26およびモータMを接続したモータブラケット25を結合し、車両取付部Tを車両取付部Tの転がり軸受16を上記チューブブラケット26とモータブラケット25で挟持して車両用電磁緩衝器を取付けたものである。なお、車両用電磁緩衝器および車両取付部TおよびモータMは、上述の実施の形態と同一である。
【0104】
チューブブラケット26は、筒状であって、下端がインナーチューブ1に結合され、その中間部外周には上記転がり軸受16を挟持するための段部が設けられている。
【0105】
モータブラケット25は、上方を拡径した筒状であって、その下方内周にチューブブラケット26を嵌装しつつ、その下端面とチューブブラケット26の段部とで上記転がり軸受16を挟持するようにしている。
【0106】
そして、螺子軸4の上端に接続した連結軸27をチューブブラケット26とモータブラケット25の内周に挿通して、その上端をモータMのモータシャフトMSに螺合し、連結軸27の上方に螺合したナット28でチューブブラケット26にモータブラケット25を固定している。
【0107】
ちなみに、各ブラケット25、26を上記のような形状としているが、螺子軸4とモータシャフトMSが回転可能に連結でき、転がり軸受16に車両用電磁緩衝器を取付けられれば、他の形状としても良い。
【0108】
なお、螺子軸4の上端に接続した連結軸27をモータシャフトMSに螺合することにより接続しているが、螺子軸4の回転運動をモータシャフトMSに伝達可能なようにすれば良いので、その接続については螺合にかぎらず他の慣用されている方法を使用しても良く、また、螺子軸4と連結軸27とモータシャフトMSを一体成形するとしても良いのは、上述の実施の形態と同様である。
【0109】
さて、その作用であるが、やはり上述の実施の形態と同様に、この車両用電磁緩衝器の伸縮動作によりボール螺子ナットが上下移動して、螺子軸4の回転運動に変換され、その螺子軸4の回転運動は、モータシャフトMSが回転運動を呈するので、モータMに電磁力が発生して螺子軸4の回転運動を抑制するので、結果的に車両用電磁緩衝器の伸縮動作を抑制する。すなわち、減衰力を発生することが可能である。したがって、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0110】
さらに、上記構成としたので、モータMは車両取付部Tより上方に配置されているので、上記モータを車両ボディに区画される車体内側に配在されることになり、前記モータに直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、前記モータのそれらを原因とする故障を効果的に防止することができる。
【0111】
また、上記構成とすることで、電磁緩衝器本体にモータの長さを考慮する必要が無いため、適用車両に必要かつ充分なストロークを確保することができるという効果もある。
【0112】
最後に図3に示す本実施の形態の第2の変形例について説明する。第2の変形例は、図示したように、インナーチューブ1内にインナーチューブ1内に磁界を発生させるように取付けられた永久磁石31a、31bと、インナーチューブ1内に軸受37、38を介して回転自在に挿入したシャフトSと、シャフトSに上記永久磁石31a、31bと対向する位置に巻装したコイル32と、同じくシャフトSの外周に設けた整流子33と、ブラシホルダ(付示せず)に取付けられたブラシ34とを設けており、すなわち、インナーチューブ1は、ヨークとしての機能を有している。その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。
【0113】
また、ブラシ34は、ブラシホルダを介して電線36に接続され、電線36は、図示はしないが各ブラシ34に接続する2本の導線から構成されており、その先端で短絡されている。したがって、この場合には電線36をインナーチューブ1外で短絡させる必要は無いので、各ブラシ34同士をインナーチューブ1内で短絡させても良い。
【0114】
なお、ブラシ34が一つしか図示されていないが、ブラシ34は一対となるように設けられ、各ブラシ34が、整流子33に接触するようになっており、コイル32は整流子33に接続されている。したがって、シャフトSの回転によりコイル32が永久磁石31a、31bの発生する磁界を横切ることにより誘導起電力を発生し、コイル32が整流子33、ブラシ34、電線36を介して短絡されているので、コイル32に電流が流れ、電磁力を発生することが可能である。
【0115】
この変形例にあっては、車両用電磁緩衝器の伸縮運動に伴ない、シャフトSが回転するので、コイルに誘導起電力に起因する電流が流れるので、やはり、電磁力を発生することが可能であるので、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能であることは勿論であるが、インナーチューブ1内に、直接コイル32や永久磁石31a、31bを取付けており、それらを覆うフレームを設ける必要はないので、モータをインナーチューブ1内に設ける場合に比較して、コイル32が発生する熱が、インナーチューブ1内にこもることを防止できる。
【0116】
また、コイルが発生する熱はインナーチューブ1に伝達されるが、当該熱をインナーチューブ1が効果的に放熱することができる。
【0117】
したがって、コイル自体の温度上昇を防ぐことが可能であるから、コイルを形成する導線の絶縁被膜の化学変化等により絶縁性が劣化を防止できる。
【0118】
すると、コイルの漏電等を防止できることとなるので、車両用電磁緩衝器自体の損傷を抑制できる。
【0119】
なお、本実施の形態では、ストラット型に構成された車両用電磁緩衝器について説明したが、本発明の意図するところは、電磁緩衝器を車両に適用可能なものとすることであるので、ストラット型以外の車両用電磁緩衝器に本発明が具現化されうることは勿論である。
【0120】
【発明の効果】
以上のように、各請求項の発明によれば、モータに発生した電磁力を減衰力として利用し、油を特に使用せずに減衰力の発生が可能である。
【0121】
また、車体側チューブに車軸側チューブが摺動自在に嵌装されているので、この車両用電磁緩衝器に曲げ力が負荷された場合にあっても、車体側チューブに対し車軸側チューブが傾くことが防止され、その結果、螺子軸とボール螺子ナットの中心軸がずれることが無く、ボール螺子ナットと螺子軸の損傷を防ぐことができ、結果的に車両用電磁緩衝器の損傷を防止可能である。
【0122】
さらに、この車両用電磁緩衝器にあっては、特にモータを車体側チューブ内に結合させた場合には、モータやボール螺子ナットや螺子軸等の車両用電磁緩衝器の主要部材が車軸側チューブと車体側チューブで覆われているので、車両に適用されても、雨、泥、石等が車両用電磁緩衝器内に侵入することが防止され、上記主要部材に直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、それらを原因とした車両用電磁緩衝器の損傷を効果的に防止することができる。
【0123】
加えて、車両用電磁緩衝器の車軸側チューブには懸架バネ受を設けているので、懸架バネを車両用電磁緩衝器に取付けることが可能となり、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0124】
したがって、上記した作用効果により電磁力を減衰力として利用し、油を使用しない電磁緩衝器を車両に適用可能なものとすることができる。
【0125】
なお、動力伝達手段をプラネタリギアとした場合には、モータのモータシャフトの回転速度を螺子軸の回転速度より増速もしくは減速させることが可能となり、各歯車のギア比を適切な組み合わせとすることで、所望の減衰力を得ることが出来る。なお、動力伝達手段には、プラネタリギア以外にも、摩擦車等の他の慣用手段を用いても良い。
【0126】
すなわち、実際にこの車両用電磁緩衝器を車両に適用する際に、適用車種に応じた必要な減衰力は、各歯車のギア比を適切なものとすれば、モータの規格を車種に応じて変更することなしに得られる。
【0127】
また、ギア比によって、減衰力を変化させることができるので、大きな減衰力が必要な場合でも、車両用電磁緩衝器に使用するモータを大型化する必要が無くなる。したがって、コスト的にも有利である。
【0128】
さらに、この動力伝達手段をトーションバーとした場合には、車両用電磁緩衝器の伸縮速度の変化があった時に、螺子軸の回転速度が変化する場合にモータシャフトにその変化を時間的に遅れて伝達することが可能となる。すなわち、伸縮始動時又は伸縮速度の変化に時間的に遅れてモータの回転子の慣性モーメントを発生させることが出来る。ここで、モータの回転子の慣性モーメントは螺子軸の回転運動を抑制するように働くので、車両用電磁緩衝器は減衰力を発生させることとなる。すなわち、モータの回転子の慣性モーメントによる減衰力の発生を時間的に遅らせることとなるので、電磁力に起因する減衰力発生に先んじて発生する車両用電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメントに起因する減衰力を抑制することなる。
【0129】
このことから、上述の回転子の慣性モーメントにより発生する減衰力の制御の困難性等の弊害をより少なくすることが可能となり、車両用電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメントに起因する減衰力の発生を抑制出来るから、車両用電磁緩衝器を車両に適用した際に、車両の乗り心地の悪化を防ぐことが出来る。
【0130】
さらに、モータを制御装置に接続する場合には、モータに流れる電流量を調節するように制御すれば所望の減衰力を得られるので、制御装置から積極的にモータに電流を供給する必要はなく、制御装置自体の動作に必要な電力を供給するのみでよいので省電力化が図れる。
【0131】
また、請求項3または4の発明によれば、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に、直接コイルや永久磁石を取付けており、それらを覆うフレームを設ける必要はないので、モータを車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に設ける場合に比較して、コイルが発生する熱が、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内にこもることを防止できる。
【0132】
また、コイルが発生する熱は車体側チューブないし車軸側チューブに伝達されるが、当該熱を車体側チューブないし車軸側チューブが効果的に放熱することができる。
【0133】
したがって、コイル自体の温度上昇を防ぐことが可能であるから、コイルを形成する導線の絶縁被膜の化学変化等により絶縁性が劣化を防止できる。
【0134】
すると、コイルの漏電等を防止できることとなるので、車両用電磁緩衝器自体の損傷を抑制できる。
【0135】
さらに、請求項5または6の発明によれば、車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に連結パイプを設け、直接ボール螺子ナットを車体側チューブもしくは車軸側チューブに結合せずにこの連結パイプに結合しているから、車両用電磁緩衝器に石が当たるなどの衝撃が負荷されても、ボール螺子ナットを保護することができる。
【0136】
くわえて、特に車体側チューブもしくは車軸側チューブの中間部にボール螺子ナットを結合する場合に比較して、連結パイプを車体側チューブもしくは車軸側チューブより短いものを使用すれば、ボール螺子ナットを結合した連結パイプを車体側チューブ内もしくは車軸側チューブ内に挿入するだけで、ボール螺子ナットを車体側チューブもしくは車軸側チューブの中間部に配置できるので加工が容易となる。
【0137】
また、請求項7または8の発明によれば、ボール螺子ナットに対し車体側チューブもしくは車軸側チューブが回転することが防止されるので、特に、この車両用電磁緩衝器がストラット型として使用される場合で、この車両用電磁緩衝器が車体に搭載された際、転舵時に車体側チューブもしくは車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットが回動し、この回動運動がモータシャフトもしくはシャフトに伝達され、このことによりモータあるいはコイルに電磁力が発生し減衰力が発生してしまうことや、転舵するたびに、ボール螺子ナットが回動して螺子軸を直線運動させてしまい車高が上下動してしまうことが防止される。なお、ボール螺子ナットと車体もしくは車軸側チューブが回動してしまい上記弊害の発生の可能性がある箇所に適用される場合には同様の効果があることは言うまでもない。
【0138】
さらに、請求項9の発明によれば、モータは車両ボディに区画される車体内側に配在されることとなるので、前記モータに直接雨、泥、石等が当たる事を防ぐことができるから、前記モータのそれらを原因とする故障を効果的に防止することができる。
【0139】
また、上記構成とすることで、車両用電磁緩衝器本体にモータの長さを考慮する必要が無いため、適用車両に必要かつ充分なストロークを確保することができるという効果もある。
【0140】
そして、この車両用電磁緩衝器にあっては、懸架バネを備えているので、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0141】
また、さらに、請求項10の発明によれば、懸架バネを備えているので、車体と車軸との間に介装されても、その緩衝器としての機能を果たすことが可能であり、また、様々の車両への適用が可能となる。
【0142】
そして、さらに、請求項11の発明によれば、特に、この車両用電磁緩衝器がストラット型として使用される場合で、この車両用電磁緩衝器が車体に搭載された際、転舵時に、車体に対し車両用電磁緩衝器自体が回動可能となるから、車体側チューブに対し車軸側チューブが回動することが抑制され、結果的にボール螺子ナットが回動し、この回動運動がモータシャフトもしくはシャフトに伝達され、このことによりモータあるいはコイルに電磁力が発生し減衰力が発生してしまうことや、転舵するたびに、ボール螺子ナットが回動して螺子軸を直線運動させてしまい車高が上下動してしまうことが防止される。なお、ボール螺子ナットと車体もしくは車軸側チューブが回動してしまい上記弊害の発生の可能性がある箇所に適用される場合には同様の効果があることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用電磁緩衝器の実施の形態における側面断面図である。
【図2】車両用緩衝器の実施の形態の第1変形例における側面断面図である。
【図3】車両用緩衝器の実施の形態の第2変形例における側面断面図である。
【図4】従来の電磁緩衝器の概念図である。
【図5】ボール螺子ナットに螺子軸を螺合させた状態における側面断面図である。
【図6】ボール螺子ナットの中心軸と螺子軸の中心軸とがずれた状態における側面断面図である。
【符号の説明】
1 車体側チューブたるインナーチューブ
2 車軸側チューブたるアウターチューブ
3 ボール螺子ナット
4 螺子軸
5 連結パイプ
6 下方懸架バネ受
7 上方懸架バネ受
8 懸架バネ
9、10、11、12、37、38 軸受
15 ブッシュ
16 転がり軸受
17、18 ブラケット
25 モータブラケット
26 チューブブラケット
31a、31b 永久磁石
32 コイル
33 整流子
34 ブラシ
36 電線
M モータ
MS モータシャフト
S シャフト
T 車両取付部
Claims (11)
- 車体側チューブの内側または外側に、下方懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装するとともに、モータを車体側チューブ内もしくは外方に結合させ、車軸側チューブ内に当該車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータシャフトに一体に連設した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記モータシャフトの回転に抗するトルクを車軸側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする車両用電磁緩衝器。
- 車体側チューブの内側または外側に、下方懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装するとともに、モータを車軸側チューブ内もしくは外方に結合させ、車体側チューブ内に当該車体側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内にモータシャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、モータシャフトに一体に連設した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をモータシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記モータシャフトの回転に抗するトルクを車体側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする車両用電磁緩衝器。
- 車体側チューブの内側または外側に、下方懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装する一方、車体側チューブ内に回転自在に挿通されたシャフトにコイルを巻装し、同じく車体側チューブ内であって上記コイルに対向する位置に永久磁石を設け、車軸側チューブ内に車軸側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内に上記シャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、上記シャフトに一体に連設した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をシャフトに伝達して当該コイルに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを車軸側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする車両用電磁緩衝器。
- 車体側チューブの外側に下方懸架バネ受が外周に設けられた車軸側チューブを摺動自在に嵌装する一方、車軸側チューブ内に回転自在に挿通されたシャフトにコイルを巻装し、同じく車軸側チューブ内であってコイルに対向する位置に永久磁石を設け、車体側チューブ内に車体側チューブと一体的に移動するボール螺子ナットを設け、上記ボール螺子ナット内に上記シャフトに直接または動力伝達手段を介して結合した螺子軸、もしくは、上記シャフトに一体に連設した螺子軸を回転自在に螺合し、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動をシャフトに伝達して当該コイルに電磁力を発生させ、この電磁力に起因する上記シャフトの回転に抗するトルクを車体側チューブの直線運動を抑制する減衰力として利用することを特徴とする車両用電磁緩衝器。
- ボール螺子ナットが車体側チューブ内に挿入した連結パイプの一端側に結合され、上記連結パイプの他端を車軸側チューブに連結されてなることを特徴とする請求項1または3に記載の車両用電磁緩衝器。
- ボール螺子ナットが車軸側チューブ内に挿入した連結パイプの一端側に結合され、上記連結パイプの他端を車体側チューブに連結されてなることを特徴とする請求項2または4に記載の車両用電磁緩衝器。
- ボール螺子ナットに対し車体側チューブが回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする請求項1、3または5に記載の車両用電磁緩衝器。
- ボール螺子ナットに対し車軸側チューブが回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする請求項2、4または6に記載の車両用電磁緩衝器。
- 車体側チューブとモータとの間に、上方懸架バネ受を設けた車両取付部を結合し、上方懸架バネ受と下方懸架バネ受との間に懸架バネを介装したことを特徴とする請求項1、5または7に記載の車両用電磁緩衝器。
- 車体側チューブの先端もしくはモータに上方懸架バネ受を設けた車両取付部を結合し、上方懸架バネ受と下方懸架バネ受との間に懸架バネを介装したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の車両用電磁緩衝器。
- 車両取付部が車両に結合可能なブラケットと、ブラケットに取付けられた上方懸架バネ受けと、ブラケットに抱持されたブッシュと、ブッシュに抱持された転がり軸受とで構成され、転がり軸受の内周に車体側チューブもしくはモータが嵌合されていることを特徴とする請求項9または10に記載の車両用電磁緩衝器。
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