JP2004011753A - 電磁緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電磁緩衝器は、電磁力で減衰力を発生する電磁緩衝器において、ボール螺子ナット7に螺子軸6を回転自在に螺入することにより電磁緩衝器の伸縮運動を電磁力発生源の回転運動に変換する機構を有してなり、カップリングCを介して上記螺子軸6の回転運動を電磁力発生源に伝達することを特徴とするものである。
【選択図】
図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール螺子ナットに螺子軸を回転自在に螺入することにより、ボール螺子ナットの直線運動を螺子軸を介してモータの回転運動に変換する機構を有し、モータのシャフトの回転運動に起因する電磁力で減衰力を発生する電磁緩衝器に関し、特に螺子軸とモータのシャフトとを連結するカップリングの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に車両の車体と車軸との間に懸架バネと並列にして油圧緩衝器を介在させたサスペンションが知られており、このサスペンションは車体を懸架するとともに路面からの振動等の入力を減衰して車両の乗り心地と操縦性を向上させ、或いは車体の変位を抑制して車高を一定に保持している。
【0003】
他方、サスペンションの一部に油圧緩衝器等と併設した電磁緩衝器を組み込み、車体変化時にモータに電流を流して電磁力を発生し、この電磁力を車体変化を抑制する減衰力として利用する車両用のサスペンションも、例えば、特開平5−44758号公報に開示されているように公知である。
【0004】
しかしながら、上記の油圧緩衝器を利用したサスペンションでは、高減衰力が得られる反面油が必要であり、この油の漏れを防止するシール機構や複雑なバルブ機構を必要とする。
【0005】
同様に電磁緩衝器を使用したサスペンションでは、電源、コントローラ等を必要とし、構造が複雑化し、コスト的にも不利である。
【0006】
そこで、最近油、エアや電源等を必要としない新しい電磁緩衝器が研究され、その論文も公表されている。
【0007】
この電磁緩衝器の基本構造は、例えば、図5のモデルに示すように、ボール螺子ナット7と、当該ボール螺子ナット7を保持するフランジ34と、アイ型ブラケット38が固着されたフランジ37と、上記各フランジ34、37を連結するガイドロッド36と、ボール螺子ナット7内に回転自在に螺合した螺子軸6と、螺子軸6の上端にカップリング43とシャフト5bを介して結合したモータ5とで構成したものである。
【0008】
そして、この電磁緩衝器を、例えば、車体と車軸との間に介在させてサスペンションとして利用する場合、電磁緩衝器の上端をモータ5の上に設けられたフランジ28に固着されたブラケット40を介して車体側に結合し、電磁緩衝器下端を上記アイ型ブラケット38を介して車軸側に結合させる。
【0009】
この場合、モータ5は、下端をフランジ30及び連結ロッド31を介してフランジ32に結合し、上記フランジ32の内周にはボール軸受13を固定し、そのボール軸受13内に螺子軸6の上部を回転自在に挿入させている。
【0010】
更に、フランジ32は、フランジ35に連結ロッド33により連結され、フランジ35に設けられた孔の中には上記ガイドロッド36が摺動可能に挿入されおり、ボール螺子ナット7の直線運動のみが許容されるようになっている。
【0011】
この電磁緩衝器を利用するサスペンションの構想によれば、例えば、路面からの振動入力でボール螺子ナット7が矢印a方向に直線運動すると、ボール螺子ナット7内の螺子軸6は、ボール螺子ナット7内のボールと螺子軸6の外周の螺施溝6aに案内されて回転運動に変換される。
【0012】
このため、螺子軸6の回転運動が、螺子軸6の上端に取り付けられたカップリング43を介してシャフト5bの矢印b方向の回転運動として伝達され、これによりモータ5に誘導起電力が発生し、特には図示しないがモータ5の各電極を電源を介さずに短絡するか所望の電磁力を得られるように制御回路に接続しておけば、モータ5内のソレノイドに上記誘導起電力に起因する電流が流れ、モータ5は電磁力を発生する。
【0013】
そして、この時、上記シャフト5bの回転方向とは逆方向に電磁力が発生するようにモータ5の各電極を短絡又は制御回路に接続しておけば、この電磁力に起因してシャフトの回転に抗するトルクが発生し、モータ5のシャフト5bの回転を抑制することとなる。
【0014】
すると、シャフト5bの回転を抑制することは、上記螺子軸6の回転を抑制することであるから、上記トルクはボール螺子ナット7の直線運動を抑制する減衰力として作用する。
【0015】
即ち、上記の作用は、ボール螺子ナット7がアイ型ブラケット38に連結されているので、電磁緩衝器の伸縮運動を抑制する減衰力として作用することとなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の螺子軸6とモータ5のシャフト5bをカップリング43等により接続することにより、モータ5に螺子軸6の回転運動を伝達する構成を採用している電磁緩衝器においては、電磁緩衝器を実際に車両に適用した際に、以下の不具合を生じる恐れがある。
【0017】
即ち、モータ5は、電磁緩衝器の他の部品に比べて高価であるので、出来る限りその損傷を防止したいが、車両走行中に路面等から突き上げ入力や振動等が電磁緩衝器に負荷されると、上記ボール螺子ナット7の直線運動の速度は速くなり、上述の通り、電磁緩衝器の構成上、前記直線運動の早さに比例して、螺子軸6の回転速度も速くなる。
【0018】
すると、螺子軸6の回転運動が、モータのシャフトに伝わるが、負荷が急激であると、シャフト5bの回転速度も螺子軸6の回転速度と同様ボール螺子ナット7の直線速度に比例して速くなるが、モータ5の許容回転速度を超えた場合には、モータ5自身が発する熱によりモータのソレノイドを形成する導線の絶縁被膜の化学変化等により絶縁性が劣化し、その結果漏電等を生じ、モータ自体が損傷する危惧がある。
【0019】
従って、上述の通りモータは電磁緩衝器の減衰力を発生する必要不可欠な部品であるから、モータの損傷は、即ち電磁緩衝器の緩衝器としての機能を損なうこととなる。
【0020】
また、ボール螺子ナット7の直線運動に伴い螺子軸6が回転して、その回転運動をモータ5に伝達するが、モータ5の内部にある回転子の慣性モーメントが比較的大きく減衰力に対する影響は無視できない。
【0021】
ここで、上記減衰力に対する影響は、どのようなものかを説明する。
【0022】
概ね、電磁緩衝器に発生する荷重(減衰力)は、モータの回転子の慣性モーメントと螺子軸の慣性モーメントとモータの発生する電磁力の総和であり、モータの慣性モーメントは、モータのシャフトの角加速度が、緩衝器の伸縮運動の加速度に比例することから、緩衝器の伸縮運動の加速度に比例する。
【0023】
そして、この上記回転子の慣性モーメントは、上述の通り上記伸縮運動の加速度に比例することから、路面等から電磁緩衝器に入力される緩衝器の軸方向の力に対し、モータの電磁力に依存しない減衰力を発生することになり、特に急激な軸方向の力が入力された場合には、より高い減衰力を発生することになる。
【0024】
従って、常に電磁力に依存した減衰力に先んじてモータの回転子の慣性モーメントによる減衰力が発生することとなり、更に上述した通り、上記モータの回転子の慣性モーメントは比較的大きいので、上記回転子の慣性モーメントの減衰力に対する影響を抑制することができれば、従来の電磁緩衝器を車両に適用した場合に比べ、乗り心地を向上することが可能になる。
【0025】
また、電磁緩衝器の制御を考えた場合には、上記緩衝器の伸縮運動の加速度に依存するモータの回転子の慣性モーメントにより発生する減衰力は制御しづらく、出来れば上記慣性モーメントの影響が少ないほうが好ましい。
【0026】
そこで、本発明は、上記の不具合を勘案して創案されたものであって、その目的とするところは、慣性モーメントによる減衰力の影響を抑制すると共に、電磁緩衝器を車両に適用する際にあっても、電磁力発生源事態が発生する熱による損傷を防止し、車両の乗り心地の向上を図り、また、安価に電磁緩衝器の修理を可能とすることにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の電磁緩衝器は、ボール螺子ナットとボール螺子ナット内に回転自在に螺合した螺子軸とを有する電磁緩衝器本体と、上記螺子軸に動力伝達手段を介して結合したモータを有してなり、上記ボール螺子ナットの直線運動を上記螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動を動力伝達手段を介してモータのシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因し上記シャフトの回転に抗するトルクを上記ボール螺子ナットの直線運動を抑制する減衰力として利用する電磁緩衝器において、上記動力伝達手段をカップリングとし、前記カップリングに脆弱部分を設けたことを特徴とするものである。
【0028】
そして、より具体的には、カップリングが、筒状本体と筒状本体に起立する一対の突起部を設けた二つの連繋体を有してなり、上記二つの連繋体の突起部が互いに筒状本体の中心軸周りの回転を規制するように組み合わされて構成されることを特徴とする
更に、カップリングが、筒状本体と筒状本体に起立する一対の突起部を設けた二つの連繋体と、弾性体とを有してなり、上記二つの連繋体の突起部が弾性体を介して、互いに筒状本体の中心軸周りの回転を規制するように組み合わされて構成されることを特徴とするものである。
【0029】
そして、また、連繋体の突起部の横断面を略扇型の形状としたことを特徴とするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。
【0031】
図1は、本発明における電磁緩衝器の側面断面図である。
【0032】
本発明における電磁緩衝器は、図1に示すようにモータ5が、モータブラケット10及びキャップ16及び外筒ブラケット11を介して、電磁緩衝器本体Dの上方に固定されており、モータ5のシャフト5bは動力伝達手段たるカップリングCを介して螺子軸6の上端に連結されている。
【0033】
一方、螺子軸6は、その上方を軸受保持部材12を介して外筒ブラケット11に固定されたボール軸受13に回転自在に挿入され、かつ、中空ロッド8の上方に結合されたボール螺子ナット5内に回転自在に螺合され、この螺子軸6と中空ロッド8とボール螺子ナット5とで電磁緩衝器本体Dが構成されている。
【0034】
更に、中空ロッド8は、外筒9内に摺動自在に挿入されている。
【0035】
尚、外筒9は、無くても使用可能であるが、例えば、電磁緩衝器を車両のサスペンションとして取り付けられる場合には、路面からの飛び石や、雨水等が直接ボール螺子ナット5や螺子軸6に当たることを防止するために設けたほうが好ましい。
【0036】
上記構成により、中空ロッド8下方に結合された車軸側アイ型ブラケット(図示せず)から、車両走行中の突き上げ入力や振動等による螺子軸6に対する中空ロッド8の直線運動が、螺子軸6とボール螺子ナット5の組み合わせにより螺子軸6の回転運動に変換され、螺子軸6の回転運動は、上記動力伝達手段たる顔欧リングCを介してモータ5のシャフト5bに伝達される。
【0037】
尚、ボール螺子ナット5の構造は特に図示しないが、例えば、ボール螺子ナットの内周には、螺子軸の螺旋状の螺子溝に符合するように螺旋状のボール保持部が設けられており、前記保持部に多数のボールが配在されてなり、ボール螺子ナットの内部にはボールが循環可能なように前記螺旋状保持部の両端を連通する通路が設けられているものであって、螺子軸を前記ボール螺子ナットに螺入された場合に、螺子軸の螺旋状の螺子溝にボール螺子ナットのボールが嵌合し、螺子軸の回転運動に伴いボール自体も螺子軸の螺子溝との摩擦力により回転するので、ラックアンドピニオン等の機構に比べ滑らかな動作が可能である。
【0038】
上述のように、螺子軸6には、ボール螺子ナット5が螺子溝に沿って回転自在に装着され、ボール螺子ナット5が上下方向の直線運動をすると、ボール螺子ナット5のボールが上下方向に移動するが、この時、当該ボールは螺子軸6の螺旋状の螺子溝に沿って移動するから、螺子軸6は強制的に回転駆動される。
【0039】
即ち、上記機構によりボール螺子ナット5の直線運動が螺子軸6の回転運動に変換されることになり、結果的に中空ロッド8の直線運動が螺子軸6の回転運動に変換されることとなる。
【0040】
尚、中空ロッド8の直線運動を回転運動に変換する機構としては上記の機構が好ましいが、同様の効果がある機構であればボール螺子ナット5と螺子軸6の組み合わせによらなくても良い。
【0041】
また、モータ5は特に図示はしないが、制御回路等(図示せず)に接続されるか、直接モータ5の各電極(図示せず)同士をつなぎ閉回路としておき、且つ、電磁力に起因するシャフト5bの回転に抗するトルクを発生するようにしておくことにより、モータに電磁力を発生するようにしてあり、所望の減衰力を得られるよう調整しておく事が必要であるが、伝達された回転運動によりモータ5の磁石(図示せず)の発する磁界をモータ5のソレノイド(図示せず)が横切ることとなりソレノイドに電流が流れて、電磁力が発生し、後述するこの電磁力に起因してシャフト5bと動力伝達手段と螺子軸6の回転運動を抑制する方向にトルクが発生し、その螺子軸6の回転運動を抑制するから、外筒9から中空ロッド8が出没する直線運動を抑制する減衰力を得ることができる。
【0042】
即ち、モータ5は、電磁力発生源として使用されるものであり、様々なモータ、例えば直流モータや交流モータ、誘導モータ等が使用可能である。
【0043】
そして、例えば直流モータを例に取ると、特に図示しないが、直流ブラシ付モータであれば、モータ5内に磁界発生用の複数の永久磁石とソレノイドと電機子とヨークと整流子とフレームとシャフトとから構成され、シャフトには電機子が設けて導電線を巻きつけソレノイドを形成して、シャフトの回転によりソレノイドが上記永久磁石の発生する磁界を横切ることにより誘導起電力を発生するものである。
【0044】
尚、上記直流モータの例では、その構成上電機子が回転子ということになる。
【0045】
モータ5には、図1に示すようにシャフト5bが回転自在に挿入されており、このシャフト5bは、上述の例示した構成から電磁力の発生に伴い回転運動を呈することが可能である。
【0046】
そして、シャフト5bには、キー(付示せず)が設けられており、後述する連繋体2に挿入する際に、連繋体2の空転防止として用いられる。
【0047】
次に、カップリングCについて説明する。
【0048】
カップリングCは、図2、3乃至4に示すように上下一対の連繋体2、3と連繋体2、3の中間に介在させた弾性体4とからなり、図4に示すように、上記の連繋体2、3が弾性体4を介して結合されている。
【0049】
そして、各連繋体2、3は、同一構造で上下対称に配置され、一方の連繋体2は、図2に示すように、脆弱部分として筒状本体2aに起立する一対の横断面扇型の突起部2bを設けてあり、筒状本体2aの内径はモータ5のシャフト5bが挿入可能な口径とし、また、内径の軸方向に沿って、シャフト5bのキー5cに対応するキー溝2eが設けられている。
【0050】
したがって、上述の通り上記キー5cとキー溝2eによりシャフト5bに対する連繋体2の空転防止が図られている。
【0051】
更に、上記シャフト5bを挿入して結合するために筒状本体2aに径方向に向けて螺子孔2cを設けてあり、上記シャフト5bは、上記螺子孔2cに挿入した螺子2dで押圧されて定着されることとなる。
【0052】
下方の連繋体3も上記の上方連繋体2と略同様の形状をしており、こちらのほうの内径は、螺子軸6が挿入可能な内径となっているが、螺子軸6の上端にキー6aを設けて、螺子軸6に対する連繋体3の空転防止する点及び螺子軸6を連繋体3の内周に挿入し螺合する点は同様である。
【0053】
弾性体4は、図3に示すように、その形状を円柱形本体4aとこの本体4aから放射状に突出された横断面が扇型の4つの肉厚のスペーサ4bを有するものとし、材質は例えば、ゴム等が好ましいが、他の材質であっても、後述する本発明の効果を奏するものであれば使用可能である。
【0054】
そして、説明の都合上、螺子軸6の取付側を下方とすると、連繋体3の突起部3b側を上にして、この一対の突起部3bの間にスペーサ4b、4bを嵌合させ、さらに、その上から連繋体2を連繋体2の突起部2b側を下にして、上記と同じく、すでに配置されている弾性体4の扇型のスペーサ4b、4bに符合させて組み合わせる。
【0055】
更に、上記のように組み合わされたカップリングCの連繋体2には、モータ5のシャフト5bを、下方の連繋体3には螺子軸6の上端部をそれぞれ螺合する。
【0056】
上記構成により、螺子軸6が上述したように回転運動を呈すると、連繋体3が螺子軸6の上端部に連結されているので、連繋体3も回転する。
【0057】
すると、上述のように下方の連繋体3の各突起部3bが弾性体4を介して、上方の連繋体2の各突起部2bと、噛み合うように組み合わされているので、下方の連繋体3の回転運動が、上方の連繋体2に伝達されて連繋体2も回転する。
【0058】
そして、上記上方の連繋体2の回転運動は、この連繋体2がモータ5のシャフト5bに連結されているから、上記シャフトも回転することとなる。
【0059】
次に作用について、説明する。
【0060】
上述した構成により、電磁緩衝器を車両のサスペンションとして適用した際、車両の走行中に路面からの突き上げ入力、振動等の衝撃が中空ロッド8に作用すると、この中空ロッド8が外筒9に沿って伸縮方向に直線運動する。
【0061】
この直線運動はボール螺子ナット5と螺子軸6のボール螺子機構により、螺子軸6の回転運動に変換される。
【0062】
螺子軸6が上述したように回転運動を呈すると、カップリングCが螺子軸6の上端部に連結されているので、カップリングCも回転する。
【0063】
そして、上記カップリングCの回転運動は、カップリングCがモータ5のシャフト5bに連結されているから、上記モータ5のシャフト5bも回転することとなる。
【0064】
モータ5のシャフト5bが回転運動を呈すると、モータ5内のソレノイドが磁石の磁界を横切ることとなり、誘導起電力が発生し、上述の通りモータ5の各電極を短絡等しておき、且つ、モータ5の電磁力に起因するシャフト5bの回転に抗するトルクを発生するようにソレノイドに電流が流れる様にしてあるため、上記シャフト5bの回転に抗するトルクがシャフト5bの回転運動を抑制することとなる。
【0065】
このシャフト5bの回転運動を抑制する作用は、シャフト5bがカップリングCを介して螺子軸6に連結されているので、螺子軸6の回転運動を抑制するように働く。
【0066】
すると、上記モータ5の電磁力に起因するシャフト5bの回転に抗するトルクは、螺子軸6の回転運動を抑制するので、中空ロッド8の外筒9に沿う伸縮方向の直線運動を抑制する減衰力として作用し、路面からの衝撃エネルギを吸収緩和し、車両の乗り心地を向上し、操案性を向上させる。
【0067】
以上、一連の動作により、電磁緩衝器としての機能を発揮することができる。
【0068】
このとき、連繋体2と連繋体3の間に介装されている弾性体4は、上記連繋体2に回転しようとする力、即ちトルクが負荷されると、その力を吸収し、上記トルクに応じて収縮しつつ、そのトルクを連繋体3に伝達するから、連繋体2の回転運動が連繋体3に直接的に伝達されず、特に螺子軸6の回転速度に変化がある場合には、モータ5のシャフト5bの回転速度の変化が、その螺子軸6の回転速度の変化に時間的に遅れる現象を呈することとなる。
【0069】
そうすると、上記の現象は、電磁緩衝器の伸縮速度の変化があった場合、つまり、電磁緩衝器のインナーチューブ8に電磁緩衝器の軸方向の力が負荷され外筒9に対するインナーチューブ8の直線運動加速度が変化する場合、モータ5の回転子の慣性モーメントの発生を時間的に遅らせるように作用する。
この事は、モータ5の回転子の慣性モーメントによる減衰力の発生を時間的に遅らせることとなるので、電磁緩衝器の伸縮速度変化初期の制御しにくい減衰力の発生を抑制することとなり、ひいては、この電磁緩衝器を車両に適用した場合には、従来の電磁緩衝器に比して車両の乗り心地を向上することが出来る。
【0070】
尚、設計上、弾性体4のスペーサ4bの形状や材質を変えることによって、上記回転速度のずれを、電磁緩衝器を適用する車両に最適なものとすることが可能である。
【0071】
また、連繋体2、3は、上述の各一対の突起部同士を組み合わせることによりモータ5のシャフト5bと螺子軸6の回転運動を伝達するものであるので、トルクに対し強度を確保できる材質のものであれば良いが、本発明の意図するところは、モータ5のシャフト5bの回転速度が、モータ5の許容回転速度以上になることを抑制するものであるから、設計上、各一対の突起部2b、3bの横断面の扇型の面積をモータの許容回転速度を基準とした一定以上のトルクが連繋体2、3に負荷された場合に破断するような強度に設定しておくものとする。
【0072】
従って、上述のように一定以上のトルクが負荷された場合に、連繋体2、3を上記構成のように突起部2b、3bの部分を構造上脆弱なものとすることで、上記各突起部に回転トルクによるせん断力が作用した場合にこの突起部が破断することとなる。
【0073】
上記の強度の設定は、例えば連繋体2、3に金属を使用するのであれば、上記回転トルクによるせん断力に対する突起部2b、3bの強度を算出することにより設定が容易であり、また、上記連繋体2、3の突起部2b、3bが破断する回転トルクを、例えば、上記回転トルクによるモータ5のシャフト5bの角加速度が0からある値に変化した場合に1秒後にモータ5のシャフト5bの回転速度が許容回転速度に達しないように設定する等、所望の適切な値とすればよい。
【0074】
このように、設計することにより、電磁緩衝器に急激な軸力が負荷された場合に、上記連繋体2又は3の上記突起部2b、3bが破断して、電磁緩衝器の急激な伸縮運動に起因するシャフト5bの回転速度がモータ5の許容回転速度を超えることを抑制することが出来る。
【0075】
以上より、モータ5のシャフト5bの回転速度が、モータ5の許容回転速度を超えることを抑制できるから、モータ5自体が発生する熱によるモータ5の損傷を防止することが出来る。
【0076】
また、本実施の形態においては、連繋体2、3の各一対の突起部2b、3bの形状を、加工作業の容易性から横断面扇型のものとしているが、回転運動を伝達し、且つ、一定以上の回転トルクが負荷された場合に破断することが、本発明の意図するところであるから、例えば、板状の形状でも良いし、他の形状としても良い。
【0077】
尚、弾性体4を設けない場合には、車両の乗り心地の向上という効果は失われるが、弾性体4のスペーサを符合させるスペースを設ける必要がないが、その場合には連繋体2、3の各突起部2b、3bの筒状本体取付部位に切欠を施して脆弱部分を設けても良いし、カップリングCを複数の部材を組み合わせる構成にせずに、筒状のものとして、その一端の内周にシャフト5bを挿入、固定できるようにし、他端の内周に螺子軸6の上端を挿入、固定できるようにしておき、切欠等を施すことにより脆弱部分を設けても良いが、その形状は、上述した乗り心地の観点から慣性モーメントがなるべく小さいものとすることが望ましい。
【0078】
更に、本実施の形態における連繋体2、3の形状は、各々一対の突起部2b、3bを設けているが、一対即ち二つではなく、3つ以上設けても、本発明の効果を奏することが出来る。
【0079】
更に、本発明に係る電磁緩衝器が車両に適用された際、モータ5が損傷し回転不能な状態に陥っても、上述のように、積極的にカップリングCが切断されるので、減衰効果は失われるが、車両は懸架バネでバランスしている状態となり走行不能という事態は回避することができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の電磁緩衝器は、螺子軸とモータのシャフトを連結するカップリングに脆弱部分を設けたことから、以下の効果を奏する。
【0081】
各請求項に記載の発明によれば、一定の回転トルクがカップリングに負荷された場合に、脆弱部分が他の部材に先んじて積極的に破断するので、モータのシャフトの回転速度がモータの許容回転速度以上になることを抑制することが出来る。
【0082】
すると、上記シャフトの回転速度がモータの許容回転速度以上となることが抑制されるから、モータ自体が発生する熱による温度上昇を抑制できる。
【0083】
さらに、上記温度上昇の抑制により、モータのソレノイドの絶縁被膜の化学変化が抑制されるので、漏電等のモータの損傷を効果的に防止することが出来る。
【0084】
従って、カップリングが破断しても、他の部品に比して高価なモータの損傷を防止することが出来るので、電磁緩衝器の修理においても、カップリングを交換することにより、電磁緩衝器としての機能を回復することが出来るから修理費が安価となる効果がある。
【0085】
また、本発明に係る電磁緩衝器が車両に適用された際、モータが損傷し回転不能な状態に陥っても、上述のように、積極的にカップリングが切断されるので、減衰効果は失われるが、車両は懸架バネでバランスしている状態となり走行不能という事態は回避することができる。
【0086】
請求項3または4に記載の発明によれば、各連繋体が弾性体の弾性体を介して組み合わされているので、電磁緩衝器の伸縮速度の変化があった場合に、伸縮速度の変化に時間的に遅れてモータの回転子の慣性モーメントが発生させることが出来る。
【0087】
従って、モータの回転子の慣性モーメントによる減衰力の発生を時間的に遅らせることとなるので、電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメント減衰力の発生を抑制することなる。
【0088】
すると、上述の回転子の慣性モーメントにより発生する減衰力の制御の困難性等の弊害をより少なくすることが可能となる。
【0089】
また、電磁緩衝器の伸縮速度変化初期のモータの回転子の慣性モーメント減衰力の発生を抑制出来るから、電磁緩衝器を車両に適用した際に、車両の乗り心地の悪化を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電磁緩衝器の側面断面図である。
【図2】連繋体2、3の斜視図である。
【図3】連繋体4の斜視図である。
【図4】カップリングをシャフトと螺子軸に取り付けた際の斜視図である。
【図5】従来の電磁緩衝器の側面図である。
【符号の説明】
2、3 連繋体
2a、3a 筒状本体
2b、3b 突起部
2c、3c 螺子孔
2d、3d 螺子
2e、3e キー溝
4 弾性体
4a 円筒形本体
4b スペーサ
5 モータ
5b シャフト
5c キー
6 螺子軸
6a キー
7 ボール螺子ナット
c カップリング
Claims (4)
- ボール螺子ナットとボール螺子ナット内に回転自在に螺合した螺子軸とを有する電磁緩衝器本体と、上記螺子軸に動力伝達手段を介して結合したモータを有してなり、上記ボール螺子ナットの直線運動を上記螺子軸の回転運動に変換し、この回転運動を動力伝達手段を介してモータのシャフトに伝達して当該モータに電磁力を発生させ、この電磁力に起因し上記シャフトの回転に抗するトルクを上記ボール螺子ナットの直線運動を抑制する減衰力として利用する電磁緩衝器において、上記動力伝達手段をカップリングとし、前記カップリングに脆弱部分を設けたことを特徴とする電磁緩衝器。
- 上記カップリングが、筒状本体と筒状本体に起立する一対の突起部を設けた二つの連繋体を有してなり、上記二つの連繋体の突起部が互いに筒状本体の中心軸周りの回転を規制するように組み合わされて構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁緩衝器。
- カップリングが、筒状本体と筒状本体に起立する一対の突起部を設けた二つの連繋体と、弾性体とを有してなり、上記二つの連繋体の突起部が弾性体を介して、互いに筒状本体の中心軸周りの回転を規制するように組み合わされて構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁緩衝器。
- 連繋体の突起部の横断面を略扇型の形状としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の電磁緩衝器。
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