JP2008095799A - 緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの電磁力を利用して減衰力を発生する構成を採用しつつ信頼性および車両における乗り心地を向上することができる緩衝器を提供することである。
【解決手段】直線運動を回転運動に変換する運動変換機構Hと該運動変換機構Hにより変換された回転運動が伝達されるモータMとを備え車両の車体側部材に連結されるアクチュエータAと、アクチュエータAの直線運動が伝達されるとともに車両の車軸側部材に連結される液圧ダンパEと、液圧ダンパEを伸長させる方向へピストン33を附勢するバネ53と、液圧ダンパE内に収納されて液圧ダンパEを圧縮させる方向へピストン33を附勢するバネ54とを備え、ピストン33はバネ53,54によって中立位置に位置決められる。
【選択図】図1

Description

本発明は、緩衝器の改良に関する。
この種緩衝器としては、車両の車体側部材を弾性支持するコイルバネと、車軸側部材に連結されるボール螺子ナットに回転自在に螺合した螺子軸と、螺子軸の一端に連結されるとともに一対のバネに介装されて車体側部材に弾性支持されるモータと、車体側部材に固定されモータの上下方向の振動を減衰する油圧ダンパとで構成され、モータが発生するトルクで車体と車軸との相対移動をアクティブ制御するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
特開平08−197931号公報(段落番号0023,図1)
しかし、上述した従来の緩衝器は、以下の点で問題がある。
すなわち、上記特許文献1の緩衝器では、伸長する場合に、何らボール螺子ナットに対する螺子軸の抜け止めが施されておらず、最悪の場合、螺子軸がボール螺子ナットから脱落してしまう危惧がある。
上記脱落を防止するため、特開2004−11750号に開示された緩衝器のように螺子軸の最下端にボール螺子ナットのそれ以上の下降を規制するストッパを設ける提案もあるが、該ストッパでは、緩衝器が最伸長したときにストッパとボール螺子ナットとが衝突するまでは、緩衝器の伸長方向のストロークを抑制することができず、緩衝器の伸長はストッパとボール螺子ナットとの衝突によって突然に規制されることになる。
したがって、従来の緩衝器にストッパを設けるようにしても、急激に伸長が規制されるので、上記ストッパとボール螺子ナットとの衝突による衝撃が衝突前に何らを緩和されず緩衝器が異音を発生したり、該衝突による振動が車体側部材に伝達されて車両搭乗者が不快感を抱かせたりして、車両における乗心地を損なうことになりかねない。
そこで、本発明は、上記の不具合を勘案して創案されたものであって、その目的とするところは、車両における乗り心地を向上することができる緩衝器を提供することである。
上記した目的を達成するため、課題解決手段における緩衝器は、アウターチューブとアウターチューブ内に移動自在に挿入されるロッドとを有する液圧ダンパと、直動部材と直動部材を駆動する駆動源とを有するアクチュエータとを備え、ロッドの一端に直動部材を連結してなり、ロッドに対し伸縮方向に不動な第1のバネ受けと、アウターチューブに対して伸縮方向に移動可能な第二のバネ受けと、アウターチューブの途中に設けられ第二のバネ受けの収縮方向への移動を規制する規制手段と、第一のバネ受けと第二のバネ受けとの間に介装されるバネと、駆動源に対して伸縮方向に不動であって所定伸長時に第二のバネ受けに当接する係合部とを備えたことを特徴とする。
各請求項の発明によれば、この液圧ダンパは、アクチュエータに対しては直列に連結され、しかも、車軸側部材に配置されることになるので、車両が悪路を走行したり、路面の突起に乗り上げたりするような場合に車軸側部材に、たとえば、比較的加速度が大きい振動等の高周波振動が入力されると、この振動エネルギを吸収し、二つのバネによる振動伝達抑制効果と相俟って、車体側部材に連結されるアクチュエータ側に振動を伝達し難くするように作用する。
すなわち、この緩衝器では、高周波振動入力時に車体への振動の伝達を抑制するので、車両における乗り心地を悪化させるということがないという効果があると同時に、液圧ダンパ内に収容されるバネが液圧ダンパのリバウンドバネとしても機能し液圧ダンパの最伸長時の衝撃も緩和されるので、より一層車両における乗心地を向上でき、液圧ダンパの信頼性も向上する。
さらに、上記したようにアクチュエータに直接的に高周波振動が作用することが液圧ダンパによって防止されることから、モータに特に加速度が大きな高周波振動が伝達されることが抑制されるので、緩衝器の主要部品であるアクチュエータの信頼性が向上し、上述の液圧ダンパの信頼性向上と相俟って、緩衝器全体の信頼性を向上させることができる。
そしてさらに、液圧ダンパを圧縮する方向および伸長させる方向に附勢するバネを設けているので、特に車軸側部材の高周波振動をアクチュエータ側に、すなわち、車体側部材に伝達することを抑制する働きをすると同時に、液圧ダンパのシリンダに対してピストンを決められた位置に戻す作用を発揮する。
すなわち、シリンダにピストンが干渉してしまう機会を減少させることができ、この点においても、車両における乗り心地を悪化させたり、緩衝器の信頼性を低下させたりといった不具合が解消される。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。図2は、螺子軸にボール螺子ナットおよびボールスプラインナットを取付けた状態における斜視図である。図3は、一実施の形態の一変形例における緩衝器の一部拡大縦断面図である。
図1に示すように、一実施の形態における緩衝器Dは、アウターチューブ50とアウターチューブ50内に移動自在に挿入されるロッド34とを有する液圧ダンパEと、直動部材と直動部材を駆動する駆動源とを有するアクチュエータAと、ロッド34に対し伸縮方向たる図1中上下方向に不動な第1のバネ受け51と、アウターチューブ35に対して伸縮方向たる図1中上下方向に移動可能な第二のバネ受け52と、アウターチューブ35の途中に設けられ第二のバネ受け52の収縮方向たる図1中下方への移動を規制する規制手段と、第一のバネ受け51と第二のバネ受け52との間に介装されるバネ53と、駆動源に対して伸縮方向たる図1中上下方向に不動であって所定伸長時に第二のバネ受け52に当接する係合部とを備えて構成されている。
以下、上記緩衝器Dの各部を詳細に説明すると、アクチュエータAは、直動部材の直線運動を回転部材の回転運動に変換する運動変換機構Hを備えて、駆動源は回転部材に連結されるモータMとされている。この実施の形態の場合、運動変換機構Hは、外周側にらせん状の螺子溝2と軸線に沿うスプライン溝3とを有する螺子軸1と、螺子軸1に回転自在に螺合されモータMのロータRに連結される螺子ナットたるボール螺子ナット4と、上記スプライン溝3内を走行する複数のボールを有しモータMのステータSに回転不能に連結されるボールスプラインナット5とを備えて構成され、アクチュエータAは、基本的には、モータMが発生するトルクでボール螺子ナット4を回転駆動することによって螺子軸1を図1中上下方向へ直線運動させることが可能なようになっている。
また、螺子軸1が外力によって強制的に直線運動させられるとモータMのロータRが回転運動を呈し、モータMは誘導起電力に起因するロータRの回転運動を抑制するトルクを発生するので、螺子軸1の直線運動を抑制するように機能する。すなわち、この場合には、モータMが外部入力される運動エネルギを回生して電気エネルギに変換することによって発生する回生トルクで上記直線運動側の部材の直線運動を抑制するのである。
つまり、この緩衝器Dは、モータMに積極的にトルクを発生させることによって螺子軸1に推力を与えることができ、また、螺子軸1が外力によって強制的に直線運動させられる場合には、モータMが発生する回生トルクで螺子軸1の直線運動を抑制することができる。
したがって、この緩衝器Dにあっては、単に、螺子軸1の直線運動を抑制する減衰力を発生するばかりではなく、アクチュエータとしても機能することから、この緩衝器Dが車両の車体と車軸との間に介装されて使用される場合には、たとえば、車両の車体の姿勢制御も同時に行うことができ、これにより、アクティブサスペンションとして機能することができる。
また、螺子軸1は、図1および図2に示すように、円柱状に形成されるとともに、その外周に螺旋状の螺子溝2が形成されるとともに、軸線に沿って、すなわち、螺子軸1の直線運動方向に沿って、直線状のスプライン溝3が形成されている。なお、スプライン溝3は、螺子軸1が後述のボールスプラインナット5から脱落することを防止するために、螺子軸1の両側の最終端には形成しないようにしてもよく、また、スプライン溝3を設ける数は任意とされてよい。
螺子ナットたるボール螺子ナット4は、周知であるので詳細には図示しないが、筒状本体の内周に設けた螺子軸1の螺子溝2に対向する螺旋状の通路と、筒状本体内に設けられ上記通路の両端を連通する循環路と、該通路および循環路に収容されるとともに螺子溝2を走行する複数のボールと、各ボール間に介装されるスペーサとを備えて構成され、各ボールは、上記ループ状に形成された通路と循環路を循環することができるようになっている。また、ボール螺子ナット4の側部には、キー溝4aが設けられている。
つづき、ボールスプラインナット5は、これも周知であるので詳細には図示しないが、これも、筒状本体の内周に設けた螺子軸1のスプライン溝3に対向する直線状の通路と、筒状本体内に設けられ上記通路の両端を連通する循環路と、該通路および循環路に収容されるとともにスプライン溝3を走行する複数のボールと、各ボール間に介装されるスペーサとを備えて構成され、各ボールは、上記ループ状に形成された通路と循環路を循環することができるようになっている。また、ボールスプラインナット5の側部には、キー溝5aが設けられている。
そして、螺子軸1に螺子溝2に沿ってボール螺子ナット4を螺合させるとともに、螺子軸1にボールスプラインナット5をスプライン溝3に沿って挿入してある。
他方、モータMは、図1に示すように、筒状のケーシング6と、ケーシング6の内周に固定される電機子鉄心たるコア7と、コア7に嵌装したコイル8とで構成されるステータSと、ケーシング6に軸受9,10,11を介して回転自在に保持されるロータRとで構成されている。
ロータRは、筒状のシャフト12と、シャフト12の外周に上記コア7に対向するように取付けられた磁石13とを備えて構成され、シャフト12の上端は上述の軸受9の内周によって軸支され、下端は、軸受10,11の内周によって軸支され、ケーシング6内に収容保持されている。なお、磁石13は、複数の磁石をN極とS極が円周に沿って交互に現れるよう接着して環状となるように形成されており、シャフト12の外周に設けたフランジ部12aに上端を当接させることで接着面積を確保している。また、磁石13は、N極とS極が円周に沿って交互に現れる分割磁極パターンを有する環状の磁石を使用してもよい。
したがって、この実施の形態においては、モータMは、ブラシレスモータとして構成されているが、モータMとしては、このほかにも種々の形式のものを使用可能であり、具体的にたとえば、直流、交流モータ、誘導モータ、同期モータ等を用いることができる。
そして、上記ロータRにおけるシャフト12の上端外周には、レゾルバコア14が取付けられ、さらに、ケーシング6内であって、上記レゾルバコア14に対向するレゾルバステータ15が設けられ、これらでロータRの位置を検出できるようになっており、コイル8への通電をコントロールする図示しない制御装置によって、ロータRの位置や回転速度に基づいてモータMを制御することが可能なようになっている。なお、ロータRの位置検出を行うための手段としては、上述のレゾルバ以外にも、ホール素子、磁気センサやロータリエンコーダ等とされてもよい。
また、シャフト12の下端内方には、上述のボール螺子ナット4が収容固定されており、モータMのロータRを回転駆動すると、それに伴ってボール螺子ナット4も回転駆動されることが可能なようになっているとともに、シャフト12内には、ボール螺子ナット4が螺着された螺子軸1が挿通されている。なお、具体的には、シャフト12の磁石13が設けられる部位より下方側が拡径されて拡径部12bとなっており、ボール螺子ナット4は、この拡径部12b内に収容され、該拡径部12bの内周に設けたキー溝12cとボール螺子ナット4に設けたキー溝4a内にキー12dを挿入して、ボール螺子ナット4とシャフト12との回り止めが施されるとともに、拡径部12bの下端内周に設けた螺子部12eに螺着される環状のナット12fでボール螺子ナット4がシャフト12に固定されるようになっている。
さらに、ケーシング6の下端内周側には、ボールスプラインナット5の外周を保持するホルダ16が取付けられており、これによって、ボールスプラインナット5は、モータMのステータSに回転不能に連結されている。具体的には、ホルダ16は、上方側が拡径されて段部を備えた有底筒状に形成されており、外周側がケーシング6の内周に圧入等されてケーシング6に固定されるとともに、下端内周側には内方へ突出するフランジ部16aが形成されるとともに、また、内周にはキー溝16bが設けられている。そして、ホルダ16の内周にボールスプラインナット5を収容し、ボールスプラインナット5の側部に設けたキー溝5aと上記キー溝16b内にキー16cを挿入して、ボールスプラインナット5のホルダ16に対する回り止めが施されるとともに、ボールスプラインナット5の図1中上端に当接するとともにホルダ16の内周に取付けられるスナップリング16dとフランジ部16aとでボールスプラインナット5が挟み込まれて、これによってボールスプラインナット5のホルダ16からの脱落が防止されている。
したがって、モータMのロータRを回転駆動してボール螺子ナット4が回転運動を呈すると、螺子軸1がモータMのステータSに連結されるボールスプラインナット5によって回り止めされることにより、螺子軸1は、図1中上下方向に直線運動を呈することになる。
すなわち、この緩衝器Dにあっては、螺子軸1を直線運動させるとともに、螺子軸1の回り止め機構を螺子軸1の外周に設けたスプライン溝3とボールスプラインナット5とで構成しているので、回り止め機構を螺子軸1周りに集約することができるので、回り止め機構の大型化を回避することができ、緩衝器Dの外径を小型化することができ、これによって、緩衝器Dの車両への搭載性が向上することになる。
そして、螺子軸1の駆動部分であるボール螺子ナット4と螺子軸1の回り止め機構の構成要素あるボールスプラインナット5とを至近に配置することで、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5との間の区間hに位置する螺子軸1の長さを短くすることができる。
螺子軸1の区間hに位置する部分は、ボール螺子ナット4の回転駆動によってねじれが生じる部分であり、区間hが短くなればなるほど、ねじれが生じる部分が短くなることになる。
ここで、上記螺子軸1は、ねじれによってバネ要素としても機能することから、ねじれの区間hが長くなるほど、ボール螺子ナット4の回転に対する螺子軸1の直線運動の応答に時間がかかることになるが、上記したように、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5とを至近に配置することで螺子軸1のねじれる区間hを短くすることができるので、緩衝器Dがアクチュエータとして機能する場合の応答性が向上することになる。
したがって、緩衝器Dがアクチュエータとして機能する場合の応答性が向上するので、車両姿勢をアクティブに制御する場合における制御性も向上する。
なお、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5とを至近に配置するとは、ボール螺子ナット4およびボールスプラインナット5の固定に必要なナット12fやスナップリング16d等の部材を設ける都合上、および、ボール螺子ナット4の自由な回転を補償する都合上、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5との間に最低限設けなくてはならない隙間以上に無駄な隙間を設けないように配置する趣旨である。
さらに、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5とを螺子軸1に直列に取付けるので、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5が螺子軸1から脱落しないことを前提にすると、螺子軸1を図1中上下方向に直線運動させる場合、ボール螺子ナット4の図1中上端とボールスプラインナット5の図1中下端との距離分の螺子軸1の長さは、螺子軸1の直線運動のストロークに寄与しない無駄長さとなるので、上記したように、ボール螺子ナット4とボールスプラインナット5とを至近に配置することで、ボール螺子ナット4の図1中上端とボールスプラインナット5の図1中下端との距離を短く設定でき、螺子軸1を無駄に長大化してしまうことが防止され、緩衝器Dの全体長を短くでき、緩衝器Dの車両への搭載性をより一層向上できるるとともに、緩衝器Dを軽量化することができる。
戻って、モータMは、車両の車体側部材に連結可能なように、マウント20に連結されている。具体的には、モータMは、上記ホルダ16に連結されるマウント内筒21内に収納されており、このマウント20は、マウント内筒21と、筒状であって図1中上端内周側にフランジを備えるとともに緩衝器Dの外周側に配置される気体バネASのチャンバ部分を形成するチャンバ部材22と、車両の図示しない車体側部材に連結される環状のプレート23と、マウント内筒21とチャンバ部材22とを連結する防振ゴム24と、チャンバ部材22とプレート23とを連結する防振ゴム25とを備えて構成されている。
そして、この気体バネASは、車両における車体側部材と車軸側部材との間に介装される懸架バネとして機能し、その気体室aは、上記マウント20の一部を形成するチャンバ部材22と、後述の液圧ダンパEの下端外周に基端が結合される筒状のエアピストン27と、チャンバ部材22の図1中下端とエアピストン27の図1中上端とに固定されるダイヤフラム28と、チャンバ部材22の下端外周に連結されてダイヤフラム28の外方への膨張を阻止する筒状のカバーCとで構成されている。
また、チャンバ部材22の側部には、バルブ29が設けられており、このバルブ29を介して気体室a内へ気体の供給あるいは気体室aから気体の排出が可能なようになっている。
さらに、この緩衝器Dにあっては、図1に示すように、直動部材たる螺子軸1の最下端には、液圧ダンパEのロッド34が連結されて、アクチュエータAと液圧ダンパEとが直列に接続されている。この液圧ダンパEは、シリンダ30と、シリンダ30内に摺動自在に挿入されシリンダ30内に図中上下の圧力室31,32を隔成するピストン33と、一端がピストン23に連結されるロッド34と、シリンダ20の外周側を覆うリザーバ筒として機能するアウターチューブ35とを備えている。したがって、この液圧ダンパEにあっては、ロッド34がアウターチューブ35内に移動自在に挿入されるとともに、アウターチューブ35内に上記二つの圧力室が形成されている。
以下、この液圧ダンパEについて、詳しく説明すると、シリンダ30の上端開口部には、環状のヘッド部材36の下部に形成の段部(付示せず)が嵌合されている。そして、このヘッド部材36は、アウターチューブ35の内側に嵌合されるとともに、アウターチューブ35の上端開口部を加締めてアウターチューブ35に固定されており、このヘッド部材36によってシリンダ30とアウターチューブ35が同心に位置決められている。
また、ヘッド部材36の内周側にはロッド34が挿通され、ヘッド部材36の外周側に配在のシール部材39によってヘッド部材36とアウターチューブ35との間がシールされるとともに、ヘッド部材36の内周側に配在のロッド34の外周に摺接する筒状の軸受38と、同じくロッド34の外周に摺接してロッド34とヘッド部材36との間をシールするシール部材37が設けられ、アウターチューブ35とシリンダ30の上端側が液密に封止されている。
他方、アウターチューブ35の図1中下端は、車両の車軸側部材に液圧ダンパEを取付可能なアイ型ブラケット40を備えたボトム部材41で閉塞されるとともに、シリンダ30の下端には、鍔付円板状のバルブボディ42が嵌合され、このバルブボディ42は、シリンダ30の下端と上記ボトム部材41とで挟持されている。
また、バルブボディ42は、下端側に凹部42aを備えており、この凹部42aは、切欠42bを介して、シリンダ30およびアウターチューブ35との間の隙間に形成されるリザーバ室43に連通されるとともに、通路42c,42dを介して図1中下方の圧力室32に連通されている。
さらに、この通路42cの上端は、チェックバルブ44によって閉塞され、他方の通路42dの下端はリーフバルブ45によって閉塞されている。
また、ピストン33は、圧力室31と圧力室32とを連通する通路46,47を備え、さらに、ピストン33の上端には、一方の通路46の上端を閉塞するリーフバルブ48が積層されるとともに、他方の通路47の下端を閉塞するリーフバルブ49が積層され、通路46,47を通過する液体の流れに、それぞれリーフバルブ48,49で抵抗を与えるようになっている。
そして、シリンダ30内の圧力室31,32には液体が充填されるとともに、シリンダ30とアウターチューブ35との間の隙間で形成されるリザーバ室43には、所定量の液体が充填されるとともに気体が封入されている。
したがって、この液圧ダンパEは、いわゆる複筒型として形成されている。無論、液圧ダンパEをいわゆる単筒型として形成するようにしてもよいが、上述したように、液圧ダンパEを複筒型としリザーバをシリンダの外周側に配置した構成とすることにより、液圧ダンパEの全長を短くすることができる利点がある。なお、液圧ダンパEを単筒型として形成する場合、シリンダをリザーバ筒で覆う必要が無いので、シリンダがアウターチューブとして機能することになる。
この液圧ダンパEにあっては、ロッド34がシリンダ30に対して図1中下方に移動すると、ピストン33が下方に移動して圧力室31を拡大し、圧力室32を収縮させる。
このとき、液体は、圧力室32からリーフバルブ48を撓ませて通路46を通過して圧力室31へ移動するとともに、シリンダ30内で余剰となるシリンダ30内へのロッド侵入体積分の液体がリザーバ室43へリーフバルブ45を撓ませて通路42dを通過して移動する。
そして、液圧ダンパEは、液体がリーフバルブ45,48を通過するときに生じる圧力損失に見合った減衰力を発生する。
逆に、ロッド34がシリンダ30に対して図1中上方に移動すると、ピストン33が上方に移動して圧力室32を拡大し、圧力室31を収縮させる。
このとき、液体は、圧力室31からリーフバルブ49を撓ませて通路47を通過して圧力室32へ移動するとともに、シリンダ30内で不足となるシリンダ30内から退出するロッド34の体積分の液体がリザーバ室43からチェックバルブ44を撓ませて通路42cを通過してシリンダ30内に移動する。
この場合には、液圧ダンパEは、液体がリーフバルブ49を通過するときに生じる圧力損失に見合った減衰力を発生する。
なお、液圧ダンパEに減衰力を発生させる減衰力発生要素としては、上述のリーフバルブ45,48,49以外にも、所定の減衰作用を呈する限りにおいて絞り弁や他の減衰弁を用いるようにしてもよい。
戻って、アウターチューブ35の外周には、中間部が外周に向けて膨出される筒部材50が設けられており、この筒部材50は、中間部が外方側へ向けて膨出されて段部50aが形成され、その下端は、上述のエアピストン27が取付けられている。さらに、筒部材50の外周には、マウント内筒21の図1中下端外周に取付けられる筒体26の下端内周に設けたシール部材55が摺接しており、筒部材50と筒体26との間がシールされて、気体バネASの気体室a内の圧力が筒体26で覆われる螺子軸1や液圧ダンパEのシール部材37、ひいてはモータM内に作用しないようになっている。なお、本実施の形態において図示したところでは、気体バネASを懸架バネとしているが、これをコイルバネに変更することができることは勿論であり、気体バネASを懸架バネとする場合は言うに及ばずコイルバネを懸架バネとする場合にあっても、筒体26により、アクチュエータAにおける運動変換機構Hおよび液圧ダンパEの緩衝器Dの主要構成部材が筒体26内に配置されることになり、これら主要構成部材が緩衝器Dの外方と隔絶されることになるので、水や飛石等から主要構成部材が保護されることになる。
そして、このように、緩衝器Dにあっては、螺子軸1、液圧ダンパEは筒体26およびエアピストン27内に収容され、かつ、モータMもマウント内筒21内に収容されて、緩衝器Dの主要駆動部分が緩衝器Dの外部とは隔離されるようになっているので、緩衝器D内への雨水の浸入や、主要駆動部分への飛石の接触が確実に防止される。したがって、これによって、緩衝器Dの実用性が向上するのである。
つづき、ロッド34の上端は、上述の螺子軸1の下端に連結されている。上述したところから明らかなように、螺子軸1は、ボールスプラインナット5により、回り止めされていることから、ロッド34と螺子軸1とを回り止めを施すことなく簡単に接続することが可能である。
すなわち、モータM、ボール螺子ナット4、ボールスプラインナット5および螺子軸1の主として電磁力によってアクチュエータや緩衝器として機能するものを一つのアッセンブリとし、液圧ダンパE側一つのアッセンブリとしておいて、これらを連結することで、緩衝器Dを簡単に製造することができる。
また、螺子軸1は、ボールスプラインナット5により、回り止めされていることから、液圧ダンパE側に螺子軸1の回り止めを設ける必要が無いので、液圧ダンパEのロッド34を回転不能とする必要が無く、ロッド34とヘッド部材36あるいは軸受37に特別な加工を施す必要も無く、ロッド34のシールについては特別なシールを用いるのではなく通常のシール部材を用いれば足りることから、緩衝器Dの製造コストが安価となる。
戻って、ロッド34と螺子軸1との間には、第一のバネ受け51が介装され、この第一のバネ受け51はロッド34の一端に連結されてロッド34に対して緩衝器Dの伸縮方向たる図1中上下方向に不動とされている。第一のバネ受け51は、環状のプレート51aと、プレート51aの外縁から垂下される筒部51bと、筒部51bの図1中下端から外周側に向けて突出するように設けた支承部51cとを備えて構成されている。なお、筒部51bの内径は、アウターチューブ35の侵入が可能なようにアウターチューブ35の外径より大径に設定されている。
さらに、上記第一のバネ受け51と対向し、アウターチューブ35の外周に摺接する環状の第二のバネ受け52が設けられており、この第二のバネ受け52は、環状のプレート52aと、プレート52aの内縁から立ち上がる筒状のガイド部52bとを備えて構成され、ガイド部52bがアウターチューブ35の上方側外周に摺接して緩衝器Dの伸縮方向たる図1中上下方向へ移動することが許容されている。
また、アウターチューブ35の外周に摺接するガイド部52bの上下長さは、第二のバネ受け52のアウターチューブ35に対する移動の妨げとなることがなく、傾いでアウターチューブ35の外周をかじることが無いような長さとされているので、第二のバネ受け52はアウターチューブ35に対し円滑に図1中上下方向に移動することができるようになっている。
そして、上記第二のバネ受け52は、筒部材50の途中が膨出されて形成された段部50aによって、この段部50aより緩衝器Dの収縮方向たる図1中下方への移動が規制されている。すなわち、第二のバネ受け52は、アウターチューブ35の途中に設けられた段部50aにより移動が規制され、本実施の形態においては、規制手段は上記段部50aとされている。なお、規制手段は、必ずしも上記の如くの構成とされる必要は無く、アウターチューブ35の途中であって第二のバネ受け52の下方への移動を規制したい位置に、第二のバネ受け52の収縮方向たる図1中下方への移動を阻止することが可能なフランジ、鍔や凸部等を設けてもよいし、アウターチューブ35の途中の部位を外方へ突出させて第二のバネ受け52の移動を規制するようにしてもよい。
ここで、筒部材50をアウターチューブ35の外周に取付けるには、アウターチューブ35の途中でその外周が小径とされて形成される段部35aに筒部材50の上端を当接し、筒部材50の下端とアウターチューブ35の下端とを溶接すればよく、このように筒部材50をアウターチューブ35の外周に取付けることによって、アウターチューブ35の途中に溶接歪を生じさせることが無く、また、アウターチューブ35の強度を不必要に低下させないという利点がある。したがって、上記規制手段を筒部材50の段部50aで形成することは、他の方法によって規制手段を設けることに比較してアウターチューブ35に設ける加工が非常に簡単となり、アウターチューブ35に強度的に影響を与えることが無い点で有利となる。
つづき、上記第一のバネ受け51の支承部51cと第二のバネ受け52のプレート52aとの間にはバネ53が介装されており、このバネ53は、第二のバネ受け52が上記した段部50aに当接してアウターチューブ35の途中に位置してそれ以上の緩衝器Dの収縮方向たる図1中下方への移動が規制されている状態では、ロッド34をアウターチューブ35から突出する方向、すなわち、液圧ダンパEを伸長させる方向へ附勢することになる。
また、第二のバネ受け52のプレート52aとバネ53との間には、バネ53のバネ受け52に対する周方向の回転を許容する許容手段としての環状板52cが介装されており、この許容手段としての環状板52cによって、バネ53の伸縮時の回転によるトルクが第一のバネ受け51に伝達されることが防止され、ロッド34と螺子軸1とを螺合によって連結する場合にあっても、ロッド34と螺子軸1との連結が解かれてしまうことが防止されている。したがって、バネ53の配置を上述の構成のようにしても、ロッド34と螺子軸1との螺合による連結が可能となるのである。
また、第一のバネ受け51および第二のバネ受け52にバネ53からのトルクが作用しないことから、第一のバネ受け51および第二のバネ受け52に必要以上の摩擦力を生じさせず、緩衝器Dの円滑な伸縮を妨げないばかりでなく、第一のバネ受け51および第二のバネ受け52の劣化を防止することが可能となる。
つづいて、上記した第二のバネ受け52のプレート52aは、段部50aの外径より大径とされており、緩衝器Dが所定長さまで伸長すると、すなわち、緩衝器Dの所定伸長時に、上記プレート52aの下端が、筒体26のシール部材55の上端に積層されているクッション部材56に当接するようになる。
詳しく説明すると、緩衝器Dが伸長する場合、筒体26は、マウント内筒21を介してアクチュエータAの駆動源たるモータMに連結されてモータMに対して伸縮方向たる図1中上下方向に不動であることから、液圧ダンパEのアウターチューブ35に対して図1中上方へ移動することになり、クッション部材56は、シール部材55によって筒体26に対して緩衝器Dの収縮方向たる図1中下方への移動が規制されているので、クッション部材56が第二のバネ受け52のプレート52aの下端に当接するようになる。したがって、本実施の形態にあっては、駆動源たるモータMに対して緩衝器Dの伸縮方向に不動であって緩衝器Dの所定伸長時に第二のバネ受け52に当接する係合部は、クッション部材56ということになるが、問題がなければ、クッション部材56を廃してシール部材55の上端を直接に第二のバネ受け52に当接させてシール部材55の上端を係合部とすることも可能であり、さらには、図3に示すように、筒体26の途中から下端側を承継として段部26aを形成しておき、この段部26aを係合部として第二のバネ受け52の下端に当接させるようにしてもよい。すなわち、係合部は駆動源たるモータMに対して緩衝器Dの伸縮方向に不動であって緩衝器Dの所定伸長時に第二のバネ受け52に当接することが可能とされればよい。
このように、緩衝器Dがクッション部材56と第二のバネ受け52とが当接した状態からさらに伸長すると、筒体26もまたアウターチューブ35に対して図1中上方へ移動することになるので、第二のバネ受け52も共に上方へ移動せしめられてバネ53を圧縮せしめることになる。
すなわち、緩衝器Dが所定伸長時には、シール部材55によって筒体26に対する下方への移動が規制されるクッション部材56に第二のバネ受け52が当接し、それ以上の緩衝器Dの伸長に対しては、バネ53はその伸長を抑制する附勢力を発揮することになる。
すなわち、バネ53は、緩衝器Dの全体の伸長に対するリバウンドバネとして機能することになり、緩衝器Dが所定伸長時から最伸長に到るまでの間に緩衝器Dの伸長速度を減じて、緩衝器Dの最伸長時の衝撃を緩和することができ、車両における乗心地を向上することが可能となる。
そして、バネ53が最圧縮状態となると、緩衝器Dは、それ以上伸長が不能となって緩衝器Dの最伸長時の長さを規制することになり、螺子軸10がボール螺子ナット13やボールスプラインナット14から脱落してしまう事態をも防止することも可能となる。
さらに、アクチュエータAの駆動源であるモータMが何らかの理由でトルクを発生できなくなってしまい、緩衝器Dの伸長を抑制できなくなってしまう事態となっても、上記バネ53によって少なくとも、所定伸長時から最圧縮状態に至るまではその伸長を抑制することができ、緩衝器Dの最伸長時の衝撃を緩和することができるのである。
なお、上述のように、緩衝器Dが最伸長状態となる場合にあっても、シール部材55の上方側のパッキン55aが筒部材50の段部50aより図1中上方に位置することが無いように配慮されて、パッキン55aの脱落が防止されることは勿論である。
転じて、ヘッド部材36とピストン33との間には、液圧ダンパE内に収容される第二のバネ54が介装されており、第二のバネ54は、液圧ダンパE内に収容されて液圧ダンパEを収縮する方向にピストン33を附勢しているので、液圧ダンパEが最伸長する時のヘッド部材36とピストン33との干渉による衝撃を緩和するリバウンドバネとしても機能する。
また、上記バネ53と第二のバネ54とは共に初期荷重が与えられて圧縮された状態で釣り合い、これらバネ53および第二のバネ54によってピストン33は中立位置に位置決めされている。なお、ピストン33の中立位置とは、上記バネ53と第二のバネ54とで位置決められる位置のことであり、この中立位置は、必ずしもシリンダ30の図1中上下方向の中央位置に設定されなくともよい。
そして、上記第二のバネ54の両端には、樹脂製のバネホルダ54a,54bが取付けられており、第二のバネ54が直接ピストン33やヘッド部材36に干渉することが防止され、メタルタッチによってピストン33、ヘッド部材36が傷つくことが防止される。
バネ53および第二のバネ54は、特に車両の車軸側部材の高周波振動をモータM側に、すなわち、車体側部材に伝達することを抑制する働きをすると同時に、液圧ダンパEのシリンダ30に対してピストン33を決められた位置に戻す作用を発揮する。すなわち、ピストン33がシリンダ30に対し決められた位置に戻されるので、路面から突き上げるような高周波の振動が入力されても、ピストン33がバルブボディ42に激しく衝突してしまうといった事態も防止されるので、車両における乗り心地を悪化させず、緩衝器Dの信頼性を低下させるようなこともない。このように、第二のバネ54が液圧ダンパEを収縮させる方向に附勢し、バネ53がロッド34の一端に設けた第一のバネ受け51と、規制手段によって下方への移動が規制された第二バネ受け52との間に介装されることで、バネ53は、緩衝器Dの全体のリバウンドバネとして機能するのみならず、液圧ダンパEのピストン33を中立位置に位置決める機能をも果たすことになり、液圧ダンパEにバネ53以外に別途ピストン33を中立位置に位置決めるバネを設ける必要が無くなり、部品点数が少なくなり、緩衝器Dのコスト上昇を回避することができる。
そして、液圧ダンパEが最伸長状態とされると、第二のバネ54は最圧縮状態とされて液圧ダンパEのそれ以上の伸長を規制する。この状態で、緩衝器Dが最伸長すると、第二バネ受け52は、係合部たるクッション部材56に当接して図1中上方へ移動してバネ53を最圧縮状態とすることになるが、このバネ53が最圧縮状態となるときに第二のバネ受け52は少なくともアウターチューブ35のロッド側端部たる上端より反ロッド側端部側たる下方側に位置するように設定されている。
つまり、このように設定されることによって、液圧ダンパEが最伸長し、かつ、緩衝器Dが最伸長するような場合にあっても、第二のバネ受け52は、アウターチューブ35のロッド側端部たる上端から図1中上方側へ抜け出てしまうことが防止されているので、緩衝器Dの信頼性が向上することになる。
なお、上記設定が満たされるのであれば、第一のバネ受け51の形状は、上記した形状に限られることはない。
そして、この実施の形態における緩衝器Dにあっては、この液圧ダンパEは、モータMで直線運動する螺子軸1に対しては直列に連結され、しかも、車軸側部材に配置されることになるので、車両が悪路を走行したり、路面の突起に乗り上げたりするような場合に車軸側部材に、たとえば、比較的加速度が大きい振動等の高周波振動が入力されると、この振動エネルギを吸収し、上述の附勢手段による振動伝達抑制効果と相俟って、螺子軸1側に振動を伝達し難くするように作用する。
ここで、緩衝器Dにあっては、車軸側部材から入力される直線運動となる振動を回転運動に変換することになるが、回転する多くの部材を備えており、その慣性質量も大きく高周波振動に対しては慣性モーメントが大きくなること、および、フリクションの影響もあって、車軸側部材の振動を車体側部材に伝達しやすくなるという特性があるが、上述のように、液圧ダンパEが該振動を吸収し、さらに、バネ53および第二のバネ54が振動伝達抑制効果を発揮することで、螺子軸1への振動の伝達を抑制するので、この緩衝器Dにあっては、このような場合にあっても、車両における乗り心地を悪化させるということがないという効果があると同時に、第二のバネ54が液圧ダンパEのリバウンドバネとしても機能し液圧ダンパEの最伸長時の衝撃も緩和されるので、より一層車両における乗心地を向上でき、液圧ダンパEの信頼性も向上する。
さらに、モータMおよびボール螺子ナット4に直接的に高周波振動が作用することが液圧ダンパEによって防止されることから、モータMおよびボール螺子ナット4に特に加速度が大きな高周波振動が伝達されることが抑制されるので、緩衝器Dの主要部品であるアクチュエータAの信頼性が向上し、液圧ダンパEの信頼性の向上とあいまって、緩衝器D全体の信頼性を向上させることができる。
加えて、上記構成とすることでアクチュエータAの使用環境を向上することができることから、アクチュエータAのコストを低減することも可能となる。
また、液圧ダンパEにアクチュエータAの直線運動が伝達される構成、すなわち、アクチュエータAは車体側部材に連結される構成となっているので、バネ53,54で支持している質量にはモータM等の質量が大きいものは含まれない。
したがって、高周波振動が車軸側部材に作用しても、バネ53,54に支持され車体側部材と車軸側部材との間で振動する総質量を、モータM自体がバネによって支持される従来緩衝器に比較して軽量のものとすることができるので、この点においても、車軸側部材の振動が車体側部材に伝達し難くなり、これにより、さらに乗り心地を向上することが可能となる。
さらに、上記したことから明らかなように、モータM自体がバネ53および第二のバネ54により支持されないことから、モータMの配線等の取りまわしが容易で、かつ、モータM自体に直接高周波振動が入力されないので、配線を傷める心配もない。したがって、この緩衝器Dの車両への搭載性が向上し、より実用的である。
なお、アクチュエータAにおける運動変換機構Hの構成を、螺子軸1を上下方向に直線運動させるようにしているが、これに変えて、モータMのロータRに螺子軸を連結するかロータRのシャフトを螺子軸とするようにして、ボール螺子ナット4を螺子軸1の回転運動によって上下方向に直線運動させるようにし、この直線運動を液圧ダンパEに伝達するように構成してもよく、この場合には、別途ボール螺子ナット4の回り止めを設ける必要があるが、ボール螺子ナット4と液圧ダンパEのロッド34あるいはシリンダ30とを連結すればよい。
またさらに、運動変換機構Hは、上記した以外にも、ラックアンドピニオン、ウォームギア等の機構で構成されてもよい。
加えて、上記したところでは、ボール螺子ナット4をロータRのシャフト12に取付けているが、ボール螺子ナット4自体をモータMのロータRにおけるシャフトとしてボール螺子ナット4の外周に磁石13を取付けるようにしてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。 螺子軸にボール螺子ナットおよびボールスプラインナットを取付けた状態における斜視図である。 一実施の形態の一変形例における緩衝器の一部拡大縦断面図である。
符号の説明
1 螺子軸
2 螺子溝
3 スプライン溝
4 螺子ナットたるボール螺子ナット
4a,5a,12c,16b キー溝
5 ボールスプラインナット
6 ケーシング
7 コア
8 コイル
9,10,11,38 軸受
12 シャフト
12a,16a フランジ部
12b 拡径部
12d,16c,26a キー
12e 螺子部
12f ナット
13 磁石
14 レゾルバコア
15 レゾルバステータ
16 ホルダ
16d スナップリング
20 マウント
21 マウント内筒
22 チャンバ部材
23 プレート
24,25 防振ゴム
26 筒体
26a 係合部としての段部
27 エアピストン
28 ダイヤフラム
29 バルブ
30 シリンダ
31,32 圧力室
33 ピストン
34 ロッド
35 アウターチューブ
35a 段部
36 ヘッド部材
37,39,55 シール部材
40 アイ型ブラケット
41 ボトム部材
42 バルブボディ
42a 凹部
42b 切欠
42c,42d,46,47 通路
43 リザーバ室
44 チェックバルブ
45,48,49 リーフバルブ
50 筒部材
50a 規制手段としての段部
51 第一のバネ受け
51a プレート
51b 筒部
51c 支承部
52 第二のバネ受け
52a プレート
52b ガイド部
52c 環状板
53 バネ
54 第二のバネ
55 シール部材
55a パッキン
56 クッション部材
A アクチュエータ
AS 気体バネ
a 気体室
C カバー
D 緩衝器
E 液圧ダンパ
h ボール螺子ナットとボールスプラインナットとの間の区間
M モータ
R ロータ
S ステータ

Claims (7)

  1. アウターチューブとアウターチューブ内に移動自在に挿入されるロッドとを有する液圧ダンパと、直動部材と直動部材を駆動する駆動源とを有するアクチュエータとを備え、ロッドの一端に直動部材を連結してなる緩衝器において、ロッドに対し伸縮方向に不動な第1のバネ受けと、アウターチューブに対して伸縮方向に移動可能な第二のバネ受けと、アウターチューブの途中に設けられ第二のバネ受けの収縮方向への移動を規制する規制手段と、第一のバネ受けと第二のバネ受けとの間に介装されるバネと、駆動源に対して伸縮方向に不動であって所定伸長時に第二のバネ受けに当接する係合部とを備えたことを特徴とする緩衝器。
  2. 第一のバネ受けはロッドの一端に連結されるとともに、第二のバネ受けはアウターチューブの外周に摺動自在に嵌合され、バネが最圧縮状態となるときに第二のバネ受けはアウターチューブのロッド側端部より反ロッド側端部側に位置するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 係合部は、駆動源に連結されてアウターチューブの外周にシール部材を介して摺接される筒体の途中に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
  4. 液圧ダンパは、アウターチューブ内に2つの圧力室を隔成するとともにロッドに連結されるピストンと、液圧ダンパを収縮させる方向に附勢する第二のバネとを備え、第一のバネ受けと第二のバネ受けとの間に介装されたバネと第二のバネによってピストンが中立位置に位置決められてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緩衝器。
  5. アクチュエータは、直動部材の直線運動を回転部材の回転運動に変換する運動変換機構を備え、駆動源は回転部材に連結されるモータであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の緩衝器。
  6. 運動変換機構は、モータに連結される螺子軸と、ロッドに連結されるとともに上記螺子軸に回転自在に螺合される螺子ナットであることを特徴とする請求項5に記載の緩衝器。
  7. 運動変換機構は、外周側にらせん状の螺子溝と軸線に沿うスプライン溝とを有する螺子軸と、螺子軸に回転自在に螺合されモータのロータに連結される螺子ナットと、上記スプライン溝内を走行する複数のボールを有しモータのステータに回転不能に連結されるボールスプラインナットと備えたことを特徴とする請求項5に記載の緩衝器。
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