以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図2は、本発明の第2の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図3は、本発明の第2の実施の形態における車高調整装置が具現化された他の緩衝器の縦断面図である。図4は、本発明の第3の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図5は、本発明の第3の実施の形態の一変形例における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図6は、本発明の第4の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図7は、本発明の第5の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図8は、本発明の第6の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図9は、本発明の第7の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図10は、本発明の第8の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。図11は、本発明の第9の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器の縦断面図である。
図1に示すように、第1の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、基本的には、緩衝器本体D1と、車高調整装置A1とで構成され、車高調整装置A1は、緩衝器本体D1の外周に設けられた筒体1と、該筒体1を回転駆動する回転駆動手段M1と、筒体1の回転により筒体1に対し軸方向へ相対移動する上方懸架バネ受け2とで構成されている。
以下、詳細に説明すると、緩衝器本体D1は、シリンダ10と、シリンダ10内に摺動自在に挿入されシリンダ10内を作動油が充填される2つの作動室に区画するピストン(図示せず)と、シリンダ10内に上記ピストンを介して移動自在に挿通されるピストンロッド11と、図示しない流路と、該流路の途中に設けた図示しない減衰力発生要素と、ピストンロッド11がシリンダ10に対し出没する際に上記作動室で過不足となるピストンロッド11の出没体積分を補償する図示しないリザーバとを備えて構成され、ピストンロッド11がシリンダ10から出没する際に減衰力発生要素を通過する作動油の圧力損失により所定の減衰力を発生可能なようになっている。
なお、本実施の形態において緩衝器本体D1は、液圧式の緩衝器であり、単筒型であっても複筒型であってもよく、この実施の形態の場合、シリンダ10の下端に設けたアイ200によりシリンダ10を車両の車軸側に連結される。
また、シリンダ10の外周には、環状の下方懸架バネ受け13が設けられており、この下方懸架バネ受け13は、懸架バネ14の下端を支承している。
つづいて、車高調整装置A1について説明すると、この車高調整装置A1は、図1に示すように、緩衝器本体D1のピストンロッド11の外周側に設けた筒状のステータS1と、このステータS1に対向する筒体1と、上方懸架バネ受け2とで構成されている。
そして、ステータS1は、ピストンロッド11の図1中上端外周側にボールベアリング15を介して取付けられる筒部S11と、筒部S11の外周に固定したコアS13と、コアS13に巻回した電機子巻線S14とで構成されており、上記筒部S11は、上端から延設される鍔S12を備えており、ステータS1は、この鍔S12を抱持する防振ゴムP1を介して車両の車体BDに取付けられている。
したがって、ステータS1は、車体BDにより回り止めされるとともに、ピストンロッド11は、車体BDに対し回動可能なようになっている。
さらに、このステータS1の外周側には、筒体1がボールベアリング16,17を介して回転自在に取付けられており、この筒体1の内周側には、ステータS1のコアS13および電機子巻線S14に対向する環状の磁石Bが取付けられており、この筒体1はステータS1に対してアウターロータR1として機能する。
この磁石Bは、上述のように環状に成形されており、N極とS極が円周に沿って交互に現れる分割磁極パターンを有しているが、複数の磁石を接着等して環状となるように形成してもよい。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M1は、上記したステータS1と筒体1が出力シャフトとなるアウターロータR1とで構成されたモータである。すなわち、電機子巻線S14に電流を供給することでアウターロータR1たる筒体1が回転駆動されるようになっている。
なお、上記したモータは、基本的には、ブラシレスモータとして構成されているが、ロータ側に電機子を設けるとしたブラシ付のモータとして構成されてもよく、筒体1を回転駆動することが可能であれば、そのモータとしての形式は上記したもの以外の他の形式とされてもよい。
ちなみに、図示はしないが、上記回転駆動手段M1たるモータには、アウターロータR1の位置検出手段としてホール素子、磁気センサや光センサ等が搭載される。
また、上記筒体1の外周側には、螺子溝が形成されてその外周が螺子部18とされ、この螺子部18には、環状であって、その内周側に上記螺子部18に螺合する螺子部21を備えた上方懸架バネ受け2が螺着されている。
そして、この上方懸架バネ受け2と上述の下方懸架バネ受け13との間に上述の懸架バネ14が介装され、この実施の形態の場合、シリンダ10側が車両の車軸側に連結されるので、この懸架バネ14により車両の車体BDが弾性支持されている。
また、上記した上方懸架バネ受け2は、その外周縁から突出するキー22が複数設けられ、さらに、このキー22は、筒部S11の鍔S12から垂下され上方懸架バネ受け2の外周側に配置される筒部材S15の内周に設けたキー溝S16内に挿入されており、このキー22とキー溝S16の係合により上方懸架バネ受け2が筒体1に対して供回りしてしまうことが防止され、すなわち、上方懸架バネ受け2の筒体1に対する回り止めが施されている。
なお、上方懸架バネ受け2の筒体1に対する回り止めは、上記したものに限られず、他の手法を用いて回り止めを図るとしてもよい。
そして、上記回り止めにより上方懸架バネ受け2が、たとえば、懸架バネ14から力を受け筒体1に対して回転してしまって筒体1に対し上下に動いてしまうことが防止され、車高調整時以外に勝手に車高が変わってしまうという弊害はない。
また、筒体1の外周に形成される螺子部18の形状は、上方懸架バネ受け2が大きな力を受けた際に筒体1を回転させてしまわないような形状とされ、このことは、後述する各実施の形態の筒体における螺子部の形状も同様である。
さて、上述のように構成された車高調整装置A1および緩衝器では、筒体1を回転駆動すると、上方懸架バネ受け2は筒体1に対して回り止めされているので図1中上下方向に移動せしめられる。
同時に、上記位置検出手段により、アウターロータの回転運動の状況(回転角等)と筒体1の螺子部18のピッチから上方懸架バネ受け2の移動量を把握して、狙った車高となるように筒体1の回転量が制御される。
なお、上記のように車高制御を、筒体1の回転量に基づいて行うことができ、回転駆動手段M1が特にブラシレスモータとして構成される場合には、当然のごとくその駆動に必要な位置検出手段が搭載されることから、新たに車高を検知するセンサの搭載は不必要であるので経済的となる。
また、位置検出手段は、後述する各実施の形態においても、図示はしないが搭載されて、車高制御に用いられるが、別途に車高を検出するセンサを設けることは不経済となるが差し支えない。
さらに、上方懸架バネ受け2は、筒体1が回転駆動されないとその位置を維持しつづけることから、車高調整終了後は、上方懸架バネ受け2の位置を維持するための回転駆動手段M1への通電等の必要が無い、すなわち、車高調整時のみに筒体1を回転駆動させるだけでよいので省電力であり、経済的である。
かくして、この上方懸架バネ受け2の上下移動により、車体BDと上方懸架バネ受け2との間の距離を変化させることができ、これにより車高調整を行うことができる。
そして、この車高調整装置A1は、緩衝器本体D1に対して、ピストンロッド11の上端と車体BDとの間に設けられるのではなく、ピストンロッド11の外周側に設けられており、さらに、ピストンロッド11の上端に上下駆動されるロッド等を設ける必要はないので、緩衝器の基本長が車高調整装置分長くなってしまうという弊害がなく、緩衝器におけるストロークの確保が容易となるのである。
さらに、上記緩衝器の基本長を従来の車高調整装置を搭載した緩衝器に比較して短くすることが可能であるから、車両への搭載性も損なわれることもない。
また、車高調整装置の駆動源である回転駆動手段M1は、ピストンロッド11の外周側にピストンロッド11を覆うように配置され、緩衝器の側方にモータ部分が横置きにされるなどして張り出して設ける必要がないので、車高調整装置が小型となり、この車高調整装置を搭載した緩衝器全体としても小型化することが可能となる。
さらに、本実施の形態の場合、車高調整が回転駆動手段であるモータであるので、車高調整を俊敏に行うことができ、この車高調整装置を搭載した緩衝器にあっては、該車高調整装置自体をアクチュエータとして機能させることにより、緩衝器をいわゆるアクティブサスペンションとしても機能させることが可能である。
また、この実施の形態の場合、回転駆動手段M1の一部をなすステータS1における筒部S11の内径をシリンダ10の外形よりも大きくすることによって、緩衝器の伸縮を妨げないようにしておけば、その基本長を通常の車高調整装置を搭載していない緩衝器と同等とすることも可能であり、その場合には、一層車両への搭載性が向上するととともに、ストロークの確保も一層容易となる。
さらに、ステータS1の筒部S11を上記形状としたので車体BD側に特別なマウントを設ける必要もないので、種々の車両に簡易に緩衝器を搭載することができる。
なお、この実施の形態の場合には、ステータS1に筒部S11を使用しているが、ピストンロッド11の回転を阻止する回り止めをする場合、ピストンロッド11の外周に直接コアS13および電機子巻線S14を取付けるようにしても差し支えない。
つづいて、第2の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の部分については、同様の符号を付するものとして、その詳しい説明を省略することとする。このことは、後述する各実施の形態においても同様とし、同様の符号を付するのみとする。
第2の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器は、図2に示すように、第1の実施の形態と同様の緩衝器本体D1と、車高調整装置A2とで構成され、車高調整装置A2は、緩衝器本体D1の外周に設けられた筒体25と、該筒体25を回転駆動する回転駆動手段M2と、筒体25の回転により筒体25に対し軸方向へ相対移動する上方懸架バネ受け2とで構成されている。
この第2の実施の形態における車高調整装置A2にあっては、第1の実施の形態における車高調整装置A1と異なる部分は、回転駆動手段M2の構成である。
この異なる部分ついて詳しく説明すると、この回転駆動手段M2は、図2に示すように、緩衝器本体D1のピストンロッド11の外周側に設けた筒状のロータR2と、このロータR2に対向するステータS2とで構成されている。
そして、ステータS2は、ピストンロッド11の図2中上端外周側にボールベアリング15を介して取付けられる筒部S21と、筒部S21の内周に固定したコアS23と、コアS23に巻回した電機子巻線S24とで構成されており、上記筒部S21は、上端から延設される鍔S22を備えており、ステータS2は、この鍔S22を抱持する防振ゴムP1を介して車両の車体BDに取付けられている。
したがって、第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様にステータS2は、車体BDにより回り止めされるとともに、ピストンロッド11は、車体BDに対し回動可能なようになっている。
さらに、このステータS1の内周側には、筒状のロータR2がボールベアリング26,27を介して回転自在に支持されており、このロータR2は、筒部R21と、筒部R21の外周に設けたステータS2のコアS23および電機子巻線S24に対向する環状の磁石Bとで構成されている。
そしてさらに、上記ロータR2の筒部R21の図2中下端外周には、環状の駆動歯車G1が設けられており、この駆動歯車G1は、ステータS2の筒部S21と該筒部S21の下方に設けた環状部材28との間に介装されたピン29,30に軸支された従動歯車G2,G3に噛合している。
他方、筒体25は、ステータS2の外周側に配置され、ステータS2の筒部S21の上方外周に内輪が嵌着されたボールベアリング31と、環状部材28の外周に内輪が嵌着されたボールベアリング32を介して回転自在に支持されており、その内周下端部に設けた環状の歯車G4が、上記従動歯車G2,G3に噛合している。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M2は、上記したステータS2とインナーロータであるロータR2とで構成されたモータであり、電機子巻線S24に電流を供給することでロータR2が回転駆動されるようになっている。
そして、このロータR2が回転駆動されると、ロータR2の図2中下端外周に設けた駆動歯車G1、従動歯車G2,G3および歯車G4の歯車機構によって筒体25が回転駆動されるが、上記歯車機構によりロータR2の回転は、減速されて筒体25に伝達されるようになっている。
したがって、筒体25を回転させるにあたってロータR2で必要となるトルクは第1の実施の形態に比較して少なくてすむので、この場合には回転駆動手段M2を第1の実施の形態より小型化することが可能である。
そして、上記筒体25の外周には、第1の実施の形態と同様に螺子部33が設けられ、この螺子部33には、上方懸架バネ受け2が螺着され、その外周縁から突出する複数のキー22が、筒部S21の鍔S22から垂下され上方懸架バネ受け2の外周側に配置される筒部材S25の内周に設けたキー溝S26内に挿入され、このキー22とキー溝S26の係合により上方側懸架バネ受け2が筒体25に対して供回りしてしまうことが防止され、すなわち、上方懸架バネ受け2の筒体25に対する回り止めが施されている。
すなわち、この実施の形態の場合にも、ピストンロッド11の外周側に設けた回転駆動手段M2によって、やはりピストンロッド11の外周側に設けた筒体25が回転駆動され、この筒体25の回転によって上方懸架バネ受け2が筒体25に対して図2中上下移動せしめられるようになっている。
したがって、第2の実施の形態における車高調整装置A2および緩衝器にあっては、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となり、また、第2の実施の形態にあっては、筒体25をロータR2の回転を減速して伝達可能としているので、上方懸架バネ受け2の移動に要するトルクを小さくすることがかのうであるから、回転駆動手段M2を小形化でき、これにより、車高調整装置A2および緩衝器全体を小形化できるとともに、緩衝器のストローク長も長く取ることが可能である。
また、必要トルクが小さくてすむので、より応答性よく車高調整を行うことが可能であるので、緩衝器をアクティブ制御する場合の制御性能が向上することとなる。
なお、回転駆動手段M2の発生可能トルクが充分に大きい場合には、上記した歯車機構と搭載した利点、すなわち、回転駆動手段M2の小形化等の利点を損なうことにはなるが、筒体25の下端をロータR2の筒部R21に直接的に連結するとしてもよい。
また、この第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様にロータR2の内径をシリンダ10の外径より大きくしておけば、その基本長を通常の車高調整装置を搭載していない緩衝器と同等とすることも可能であるが、第2の実施の形態のようなステータS2およびロータR2の配置、すなわち、ステータS2の内周側に筒状のロータR2が配置される場合には、ロータR2自体を筒体として、ロータR2の内周側に螺子部を形成し上方懸架バネ受け2をロータR2の内周側に設けて、懸架バネ受け2の外周側に螺子部を設けるとともに回り止めを施しておけば、回転駆動手段M2の内周側で上方懸架バネ受けを上下移動させることもでき、この場合には、緩衝器の基本長を車高調整装置非搭載の緩衝器のものと同等にすることができる。
さらに、ピストンロッド11の外周に磁石や電機子等を設けてピストンロッド11自体をロータとして機能させ、さらに、ピストンロッド11の外周に駆動歯車G1を設けておけば、筒部R21を省略することが可能であり、部品点数の削減が可能である。
また、上記した第1および第2の実施の形態において、緩衝器本体D1をいわゆる液圧式の緩衝器としたが、図3に示すように、緩衝器をモータの電磁力で減衰力を発生する緩衝器としてもよい。
この緩衝器EDについて、少々説明すると、緩衝器EDは、車体側部材たる車体と車軸側部材の相対運動を回転運動に変換する運動変換機構Tと、上記回転運動が伝達されるモータMGとを備えた緩衝器本体と、車高調整装置A2とで構成されており、図示したところでは、運動変換機構Tは、螺子ナットたるボール螺子ナット101と、ボール螺子ナット101内に回転自在に螺合される螺子軸102とで構成されている。
モータMGは、図3に示すように、ケース103と、上記ロータ104と、ステータ105とで構成され、ロータ104は、ロータシャフト106と、ロータシャフト106の外周に取付けられた磁石107とで構成され、ケース103内にボールベアリング108,109を介して回転自在に支持されている。
ケース103は、開口部に鍔を備えた有底筒状のケース本体110と、中央部にロータシャフト106が挿通される孔を備えケース本体110の開口部を閉じる蓋体111とを備え、この蓋体111は、筒状のマウント内筒112の下端側連結され、ケース103全体が上記マウント内筒112内に収納されている。
さらに、マウント内筒112には、その上端から延設される鍔113が設けられており、この鍔113は防振ゴムP2に抱持されるとともに、他方防振ゴムP2は、車体にボルト等で連結されるマウント外筒114に抱持されている。
そして、上記蓋体111の下端には、回転駆動手段M2と同様の構成のステータS2が連結されるが、この場合のステータS2にあっては、上記蓋体111側に固定できるように、ステータS2の筒部S21の上端には筒状の取付部S27が設けられ、そのまま取付部S27の上端が蓋体111に連結され、筒部S21内には、運動変換機構Tの一部を成す螺子軸102が挿通されている、すなわち、車高調整装置A2は運動変換機構Tの外周側に設けられている。
そして、また、筒部S21の上端外周側には、やはり、筒部S21の鍔S22から垂下され上方懸架バネ受け2の外周側に配置される筒部材S25が設けられており、上方側懸架バネ受け2の回り止めが施されている。
なお、上記したところでは、モータMGが車体BDより外側に設けらるようになっているが、たとえば、防振ゴムを介して取付部S27を車体に取付けるようにしてもよく、その場合には、モータMGが車体内に配置されることとなり、配線の取り回しが容易となるとともに、モータMGのシールの必要がなくなるなど有利となる。
そして、このロータR2が回転駆動されると、ロータR2の図3中下端外周に設けた駆動歯車G1、従動歯車G2,G3および歯車G4の歯車機構によって筒体25が回転駆動されるが、上記歯車機構によりロータR2の回転は、減速されて筒体25に伝達されるようになっている。
そして、この場合も、上記筒体25が回転駆動されると、上方懸架バネ受け2が図3中上下に移動するので、これにより車高調整することができるようになっている。
転じて、モータMGのステータ105は、ケース103の内周であって上記磁石107と対向するように取付けたコア116と、コア116に嵌装した電機子巻線117とで構成され、このモータMGは、いわゆるブラシレスモータとして構成されている。
なお、磁石107は、環状に成形されており、N極とS極が円周に沿って交互に現れる分割磁極パターンを有しているが、複数の磁石を接着等して環状となるように形成してもよい。
また、図示はしないが、ロータシャフトには、センシング用磁石が取付けられ、このセンシング用磁石に対向させてホール素子やMR素子等を備えた磁気センサ(図示せず)が設けられており、これによりロータシャフト106の回転角を検出することができるようになっている。
なお、上述したところでは、ロータシャフト106の回転角を検出するのに、センシング用磁石と磁気センサとしているが、これをセンシング用磁石に換えて、ロータコイルもしくはレゾルバコアとし、磁気センサをステータコイルとしたレゾルバとしてもよく、また、光学式等のロータリエンコーダを使用してロータシャフト106の回転角を検出するとしてもよい。
そして、モータMGは、ロータ104に作用する回転トルクを制御可能なように図示しない制御装置およびに外部電源に接続されており、所望の減衰力を得られるよう調整されるとともに、モータMGを積極的に駆動してこの緩衝器EDを緩衝器のみならずアクチュエータとして機能させるようにしてある。
なお、本実施の形態においてはモータMGをブラシレスモータとしているが、電磁力発生源として使用可能であれば、様々なモータ、たとえばブラシ付直流モータや交流モータ、誘導モータ等も使用可能である。
つづいて、緩衝器EDにおいては、緩衝器の伸縮運動を回転運動に変換するために、螺子軸102と、この螺子軸102に回転自在に螺合される螺子ナットたるボール螺子ナット101を用いている。
そして、螺子軸102は、ボールベアリング123,124を介して、内筒120に回転自在に支持されており、このボールベアリング123,124は、内筒120の図3中上端内に嵌着の環状部材121に保持されており、さらに、環状部材121は、外周側に鍔部122が設けられ、この鍔部122とステータS2の筒部S21との間にピン29,30が介装され、このピン29,30に従動歯車G2,G3が軸支されている。
そして、螺子軸102の図3中上端は、モータMGのロータシャフト106に連結され、これにより、螺子軸102の回転運動をモータMGのロータ104に伝達可能とされている。
転じて、螺子軸102に螺合されている螺子ナットたるボール螺子ナット101は、内筒120より小径の連携筒140の図3中上端に回動不能に連結されており、この連携筒140は、詳しくは図示しないが、その下端でブラケット150を介して外筒141に結合され、また、この外筒141内には、内筒120が軸受135,136を介して摺動自在に挿入されている。
すなわち、ボール螺子ナット101は、連携筒140およびブラケット150を介して車両の車軸側(図示せず)に連結可能とされており、ボール螺子ナット101が螺子軸102に対し図3中上下方向の直線運動を呈すると、ボール螺子ナット101は、車軸側に固定される連携筒140により回転運動が規制されているので、螺子軸102は強制的に回転駆動され、逆に、モータMGを駆動して螺子軸102を回転させると、ボール螺子ナット101の回転が規制されているので、これによりボール螺子ナット101を上下方向に移動せしめることができる。
なお、外筒141と内筒120との間には軸受135,136が設けられ、外筒141に対する内筒120の軸ぶれが防止され、結果的に、ボール螺子ナット101に対する螺子軸102の軸ぶれが防止され、これにより、ボール螺子ナット101の一部のボール(図示せず)に集中して荷重がかかることを防止でき、上記ボールもしくは螺子軸102の螺子溝が劣化する事態を避けることが可能である。
また、上記ボールもしくは螺子軸102の螺子溝の劣化を防止できるので、螺子軸102のボール螺子ナット101に対する回転および緩衝器EDの伸縮方向への移動の各動作の円滑さを保つことができ、上記各動作の円滑を保てるので、緩衝器EDとしての機能も損なわれず、ひいては、緩衝器EDの劣化を防止できる。
さらに、上記螺子軸102とボール螺子ナット101は、内筒120および外筒141内に収容されているので、外部からの飛び石等の干渉を受けないので、この点でも緩衝器EDの劣化を防止できる。
さて、上述のように構成された緩衝器EDにあっては、路面から力を受けて車体と車軸とが直線相対運動すると、車軸側に連結されるボール螺子ナット101と車体BD側に連結される螺子軸102とが直線相対運動を呈し、この相対運動が上記のように螺子軸102の回転運動に変換され、この螺子軸102の回転運動がモータMGのロータ104に伝達される。
そして、モータMGのロータ104が回転運動を呈すると、モータMG内の電機子巻線117が磁石107の磁界を横切ることとなり、該電機子巻線117に誘導起電力を発生させることよりモータMGにエネルギ回生させて電磁力を発生させ、モータMGのロータ104には誘導起電力に起因する電磁力による回転トルクが作用し、上記回転トルクがロータ104の回転運動を抑制することとなる。
このロータ104の回転運動を抑制する作用は、上記螺子軸102の回転運動を抑制することとなり、螺子軸102の回転運動が抑制されるのでボール螺子ナット101の直線運動を抑制するように働き、緩衝器EDは、上記電磁力によって、この場合減衰力として働く制御力を発生し、振動エネルギを吸収緩和する。
このとき、積極的に電機子巻線117に外部電源から電流供給する場合には、ロータ104に作用する回転トルクを調節することで緩衝器EDの伸縮を自由に制御、すなわち、緩衝器EDの制御力を発生可能な範囲で自由に制御することが可能であるので、緩衝器EDの減衰特性を可変としたり、緩衝器EDをアクチュエータとして機能させたりすることも可能であり、また、上述のエネルギ回生による減衰力にあわせて緩衝器EDをアクチュエータとして機能させて適切な制御を行う場合には、緩衝器EDをアクティブサスペンションとしても機能させることも可能である。
なお、上述のように積極的にアクチュエータとして機能させる必要が無い場合、すなわち、減衰力を発生させるだけであれば、モータMGを外部電源に接続する必要はなく、モータMGのロータ104が強制的に回転させられるときに電機子巻線117に生じる誘導起電力により、すなわち、エネルギ回生のみにより発生する電磁力に起因する回転トルクで螺子軸102とボール螺子ナット101との直線相対運動を抑制するとしてもよいことは勿論である。
なお、この緩衝器EDでは、モータMGでエネルギ回生を行うことが可能であるから、このモータMGが発電した電気を一端バッテリ等に蓄電おいてから、もしくは発電して得られる電流をそのまま回転駆動手段M2の電機子巻線S24に供給して車高調整を行うこともでき、緩衝器EDの省エネルギ化を図ることができる。
さて、上述したように、緩衝器を油圧緩衝器のみならず、モータを使用した言わば電磁式の緩衝器としても車高調整を行うことができ、かつ、運動変換機構Tの外周側に車高調整装置を配置してあるので、緩衝器の基本長が車高調整装置分長くなってしまうという弊害がなく、緩衝器におけるストロークの確保が容易となるのである。
したがって、緩衝器は油圧緩衝器のみならず電磁式の緩衝器とされても、本発明の効果は失われることはない。
また、上記した緩衝器EDにあっては、車高調整を行うのに減衰力を発生するため使用されるモータMGに常に車高を維持するためトルクを発生させておく必要はなく、モータMGに常に電流を供給しておく不都合、すなわち、常時の電流供給による経済性の悪化、モータMGの発熱による磁石の熱減磁に起因するトルク変化、トルク特性の悪化という弊害がなくなり、これにより緩衝器EDの性能劣化が防止される利点がある。
さらに、緩衝器EDの場合には、車両走行中、モータMGのみならず、車高調整装置の回転駆動手段もアクチュエータとして使用可能であるから、この回転駆動手段によっても、車体姿勢制御を行うことが可能となるので、モータMGの負担が軽減されるとともに、モータMGを小形化することが可能となる。
また、車高調整時にモータMG側も駆動することとすれば、回転駆動手段の負担するトルクも小さくてすむようになり、回転駆動手段自体を小形化することができ、ひいては、車高調整装置および緩衝器本体をも小形化することが可能となる。
なお、上記したところでは、運動変換機構Tをボール螺子ナットと螺子軸としているが、これをラックアンドピニオンとしてもよい。
次ぎに、第3の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器について説明する。
第3の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器は、図4に示すように、第1の実施の形態と同様の緩衝器本体D1と、車高調整装置A3とで構成され、車高調整装置A3は、緩衝器本体D1の外周に設けられた筒体35と、該筒体35を回転駆動する回転駆動手段M3と、車体BDに設けた螺子部材37とで構成されている。
この第3の実施の形態における車高調整装置A3にあっては、第1の実施の形態における車高調整装置A1と異なる部分は、車体BD側に螺子部材37を設け、さらに、この螺子部材37の内周に筒体35を螺合した点である。
この異なる部分ついて詳しく説明すると、筒体35の外周側には、第1の実施の形態と同様に螺子部36が形成され、他方、車体BDには防振ゴムP3を介して螺子部材37が固定され、この螺子部材37の内周には、筒体35の螺子部36に螺合する螺子部38が形成されている。
そして、回転駆動手段M3は、図4に示すように、緩衝器本体D1のピストンロッド11の外周側に設けた筒状のステータS3と、このステータS3に対向するロータR3とで構成されるモータであって、ステータS3は、ピストンロッド11の図4中上端外周側にボールベアリング15を介して取付けられる筒部S31と、筒部S31の内周に固定したコアS33と、コアS33に巻回した電機子巻線S34とで構成されており、上記筒部S31は、上端から延設される鍔S32を備えており、さらに、該鍔S32には、その外縁から突出する複数のキー39が設けられている。
このキー39は、螺子部材37の螺子部38に設けたキー溝40内に挿入されており、このキー39とキー溝40の係合によりステータS3は、螺子部材37に対し回り止めが図られている。
なお、このステータS3の回り止めについては、たとえば、螺子部材37を、その上下長さを短くして環プレート状に形成し、防振ゴムにその外周を抱持させて螺子部材37を車体BDに取付けるとともに、車体BDにステータS3の回り止めのキー溝を備えた回転規制部材を設け、このキー溝にステータS3のキーを係合するとしてもよく、また、これに限らず他の方法を採り得る。
そして、ロータR3は、第1の実施の形態と同様に、筒体35と、筒体35の内周側に設けた磁石Bとで構成され、ステータS3の筒部S31の外周側に設けたボールベアリング41,42を介して該筒部S31に回転自在に支持されており、ステータS3の電機子巻線S34に電流を供給すると、筒体35が回転駆動され、車体BDに取付けられた螺子部材37に対し、回転駆動手段M3自体が図4中上下移動することとなる。
なお、上方懸架バネ受け43は、本実施の形態においては、ピストンロッド11の回転駆動手段M3に干渉しない位置に固定されており、第3の実施の形態においては、上方懸架バネ受けを上下移動せしめて車高調整を行うのではなく、ピストンロッド11と車体BDとの間の距離を調節することにより車高調整が行われる。
すなわち、この実施の形態の場合には、ピストンロッド11の外周側に設けた回転駆動手段M3によって、やはりピストンロッド11の外周側に設けた筒体35が回転駆動され、この筒体35の回転によって緩衝器本体D1が車体BDに対して図4中上下移動せしめられるようになっている。
したがって、第3の実施の形態における車高調整装置A3および緩衝器にあっても、車高調整装置A3は緩衝器本体の外周に設けられることとなり、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となるのである。
なお、上記したところでは、上方懸架バネ受け43をピストンロッド11に固定するとしているが、回転駆動手段M3のステータS3における筒部S31の下端に固定しておくとしてもよい。
ちなみに、この実施の形態においても、図5に示すように、ステータS3の内径をシリンダ10の外径より大きくしておき、ステータS3の筒部S31の図5中上端開口部内側を懸架バネ受けとして機能させることにより、緩衝器の基本長を車高調整装置非搭載の緩衝器のものと同等にすることができる。
さらに、第4の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器について説明する。
第4の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器は、図6に示すように、第3の実施の形態と同様の緩衝器本体D1と、車高調整装置A4とで構成され、車高調整装置A4は、緩衝器本体D1の外周に設けられた筒体45と、該筒体45を回転駆動する回転駆動手段M4と、車体BDに設けた螺子部材37とで構成されている。
この第4の実施の形態における車高調整装置A4にあっては、第2の実施の形態における車高調整装置A2における回転駆動手段M2の構成に、車体BD側に螺子部材37を設け、さらに、この螺子部材37の内周に筒体45を螺合したものである。
したがって、筒体45の外周側には、第3の実施の形態と同様に螺子部46が形成され、他方、車体BDには防振ゴムP1を介して螺子部材37が固定され、この螺子部材37の内周には、筒体45の螺子部34に螺合する螺子部38が形成されている。
そして、回転駆動手段M4は、図6に示すように、緩衝器本体D1のピストンロッド11の外周側に設けた筒状のロータR4と、このロータR4に対向するステータS4とで構成されている。
そして、ステータS4は、ピストンロッド11の図6中上端外周側にボールベアリング47を介して取付けられる筒部S41と、筒部S41の内周に固定したコアS43と、コアS43に巻回した電機子巻線S44とで構成されており、上記筒部S41は、上端から延設される鍔S42を備えており、さらに、該鍔S42には、その外縁から突出する複数のキー48が設けられている。
このキー48は、螺子部材37の螺子部38に設けたキー溝40内に挿入されており、このキー48とキー溝40の係合によりステータS4は、螺子部材37に対し回り止めが図られている。なお、このステータS3の回り止めについては、上記した方法以外の方法を採りえる。
したがって、第4の実施の形態においても第3の実施の形態と同様にステータS4は、螺子部材37により回り止めされるとともに、ピストンロッド11は、車体BDに対し回動可能なようになっている。
さらに、このステータS4の内周側には、筒状のロータR4がボールベアリング49,50を介して回転自在に支持されており、このロータR4は、筒部R41と、筒部R41の外周に設けたステータS4のコアS43および電機子巻線S44に対向する環状の磁石Bとで構成されている。
そしてさらに、上記ロータR4の筒部R41の図6中下端外周には、環状の駆動歯車G1が設けられており、この駆動歯車G1は、ステータS4の筒部S41と該筒部S41の下方に設けた環状部材28との間に介装されたピン29,30に軸支された従動歯車G2,G3に噛合している。
他方、筒体45は、ステータS4の外周側に配置され、ステータS4の筒部S41の上方外周に内輪が嵌着されたボールベアリング31と、環状部材28の外周に内輪が嵌着されたボールベアリング32を介して回転自在に支持されており、その内周下端部に設けた環状の歯車G4が、上記従動歯車G2,G3に噛合している。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M4は、上記したステータS4とインナーロータであるロータR4とで構成されたモータであり、電機子巻線S44に電流を供給することでロータR4が回転駆動されるようになっている。
そして、このロータR4が回転駆動されると、ロータR4の図6中下端外周に設けた駆動歯車G1、従動歯車G2,G3および歯車G4の歯車機構によって筒体45が回転駆動されるが、上記歯車機構によりロータR4の回転は、減速されて筒体45に伝達されるようになっている。
したがって、筒体45を回転させるにあたってロータR4で必要となるトルクは第1の実施の形態に比較して少なくてすむので、この場合には回転駆動手段M4を第1の実施の形態より小型化することが可能である。
そして、筒体45が回転駆動されると、車体BDに取付けられた螺子部材37に対し、回転駆動手段M4自体が図6中上下移動することとなる。
なお、上方懸架バネ受け43は、本実施の形態においては、ピストンロッド11の回転駆動手段M3に干渉しない位置に固定されており、第3の実施の形態と同様に、上方懸架バネ受けを上下移動せしめて車高調整を行うのではなく、ピストンロッド11と車体BDとの間の距離を調節することにより車高調整が行われる。
すなわち、この実施の形態の場合には、ピストンロッド11の外周側に設けた回転駆動手段M4によって、やはりピストンロッド11の外周側に設けた筒体45が回転駆動され、この筒体45の回転によって緩衝器本体D1が車体BDに対して図6中上下移動せしめられるようになっている。
したがって、第4の実施の形態における車高調整装置A4および緩衝器にあっても、車高調整装置A4は緩衝器本体の外周に設けられることとなり、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となるだけでなく、歯車機構により車高調整装置A4を小形化可能であるとともに緩衝器自体を小形可能であるので、第2の実施の形態における作用効果をも奏する。
つづいて、第5の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器について説明する。
第5の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、図7に示すように、緩衝器本体D2と、車高調整装置A5とで構成され、車高調整装置A5は、緩衝器本体D2の外周に設けられた筒体51と、該筒体51を回転駆動する回転駆動手段M5と、筒体51の回転により筒体51に対し軸方向へ相対移動する下方懸架バネ受け52とで構成されている。
以下、詳細に説明すると、緩衝器本体D2は、緩衝器D1と同様に、シリンダ60と、シリンダ60内に摺動自在に挿入されシリンダ60内を作動油が充填される2つの作動室に区画するピストン(図示せず)と、シリンダ10内に上記ピストンを介して移動自在に挿通されるピストンロッド61と、図示しない流路と、該流路の途中に設けた図示しない減衰力発生要素と、図示しないリザーバとを備えて構成され、ピストンロッド61がシリンダ60から出没する際に減衰力発生要素を通過する作動油の圧力損失により所定の減衰力を発生可能なようになっている。
つづいて、車高調整装置A5について説明すると、この車高調整装置A5は、図7に示すように、緩衝器本体D2のシリンダ60の外周側に設けた筒状のステータS5と、このステータS5に対向する筒体51と、下方懸架バネ受け52とで構成されている。
そして、ステータS5は、シリンダ60の図7中側部外周に固定したコアS53と、コアS53に巻回した電機子巻線S54とで構成されている。
したがって、ステータS5は、シリンダ60に直接設けられているので、これによりステータS5が空回りしてしまうことはない。
さらに、このステータS5の外周側には、筒体51がボールベアリング53,54を介して回転自在に取付けられており、この筒体51の内周側には、ステータS5のコアS53および電機子巻線S54に対向する環状の磁石Bが取付けられており、この筒体51はステータS5に対してアウターロータR5の出力シャフトとして機能する。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M5は、上記したステータS5とアウターロータR5たる筒体51とで構成されたモータである。すなわち、電機子巻線S54に電流を供給することでアウターロータR5たる筒体51が回転駆動されるようになっている。
また、上記筒体51の外周側には、螺子溝が形成されてその外周が螺子部55とされ、この螺子部55には、環状であって、その内周側に上記螺子部55に螺合する螺子部56を備えた下方懸架バネ受け52が螺着されている。
そして、この下方懸架バネ受け52とピストンロッド61の上方に固定された上方懸架バネ受け57との間に懸架バネ14が介装され、この懸架バネ14により図示しない車両の車体が弾性支持されている。
また、上記した下方懸架バネ受け52には、その螺子部56より下方に筒部57が垂下されており、この筒部57の内周側には、シリンダ60の側部から突出する複数のキー62にそれぞれ係合する複数のキー溝58が設けられ、このキー62とキー溝58とでシリンダ60に対して下方懸架バネ受け52が回転してしまうことが防止され、これにより、上記筒体51に対する下方懸架バネ受け52の回り止めとされている。
なお、上方懸架バネ受け52の筒体51に対する回り止めは、上記したものに限られず、他の手法を用いて回り止めを図るとしてもよい。
そして、上記回り止めにより上方懸架バネ受け52が、たとえば、懸架バネ14から力を受け筒体51に対して回転してしまって筒体51に対し上下に動いてしまうことが防止され、車高調整時以外に勝手に車高が変わってしまうという弊害はない。
そして、上述のように構成された車高調整装置A5および緩衝器では、筒体51を回転駆動すると、下方懸架バネ受け52は筒体51に対して回り止めされているので図7中上下方向に移動せしめられる。
この下方懸架バネ受け52の上下移動により、車両の車体重量が変化しなければ、懸架バネ14の長さも変化しないので、下方懸架バネ受け52の上下方向への移動長さ分だけ、車高が上下することになり、これにより車高調整を行うことができる。
そして、この車高調整装置A5は、緩衝器本体D2に対して、ピストンロッド61の上端と車体BDとの間に設けられるのではなく、シリンダ60の側部外周側に設けられているので、緩衝器の基本長が車高調整装置分長くなってしまうという弊害がなく、緩衝器におけるストロークの確保が容易となるのである。
さらに、上記緩衝器の基本長を従来の車高調整装置を搭載した緩衝器に比較して短くすることが可能であるから、車両への搭載性も損なわれることもない。
また、車高調整装置の駆動源である回転駆動手段M5は、シリンダ60の側部外周側にシリンダ60を覆うように配置され、緩衝器の側方にたとえばモータ部分が横置きにされるなどして張り出して設ける必要がないので、車高調整装置が小型となり、この車高調整装置を搭載した緩衝器全体としても小型化することが可能となる。
さらに、本実施の形態の場合、車高調整が回転駆動手段であるモータであるので、車高調整を俊敏に行うことができ、この車高調整装置を搭載した緩衝器にあっては、該車高調整装置自体をアクチュエータとして機能させることにより、緩衝器をいわゆるアクティブサスペンションとしても機能させることが可能であることは上述の各実施の形態と同様である。
さらに、この車高調整装置A5を搭載した緩衝器は、車軸側部材と車体側部材との間に介装するにあたり、その取付部分は通常の油圧緩衝器と同様であるので、マウントの交換等も必要なく、かつ、車体側に特別な加工も必要とせずに当該緩衝器を搭載することが可能である。
さらに、第6の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器について説明する。第6の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、図8に示すように、第5の実施の形態と同様の緩衝器本体D2と、車高調整装置A6とで構成されている。
この車高調整装置A6は、緩衝器本体D2のシリンダ60の外周に設けられた筒体65と、該筒体65を回転駆動する回転駆動手段M6と、筒体65の回転により筒体65に対し軸方向へ相対移動する下方懸架バネ受け52とで構成されている。
この第6の実施の形態における車高調整装置A6にあっては、第5の実施の形態における車高調整装置A5と異なる部分は、回転駆動手段M6の構成である。
この異なる部分ついて詳しく説明すると、この回転駆動手段M6は、図8に示すように、緩衝器本体D2のシリンダ60の外周側に設けた筒状のロータR6と、このロータR6に対向するステータS6とで構成されている。
そして、ステータS6は、筒部S61と、筒部S61の内周に固定したコアS63と、コアS63に巻回した電機子巻線S64とで構成されており、上記筒部S61は、上端内周からその内方に向けて延設される鍔S62を備えており、ステータS6は、この鍔S62を介してシリンダ60の側部外周に固定されている。
したがって、第6の実施の形態においては、ステータS6は、緩衝器本体D2により回り止めされている。
さらに、このステータS6の内周側には、筒状のロータR6がボールベアリング66,67を介して回転自在に支持されており、このロータR6は、筒部R61と、筒部R61の外周に設けたステータS6のコアS63および電機子巻線S64に対向する環状の磁石Bとで構成されている。
そしてさらに、上記ロータR6の筒部R61の図8中下端外周には、環状の駆動歯車G1が設けられており、この駆動歯車G1は、ステータS6の筒部S61と該筒部S61の下方に設けた環状部材68との間に介装されたピン69,70に軸支された従動歯車G2,G3に噛合している。
他方、筒体65は、ステータS6の外周側に配置され、ステータS6の筒部S61の上方外周に内輪が嵌着されたボールベアリング71と、環状部材68の外周に内輪が嵌着されたボールベアリング72を介して回転自在に支持されており、その内周下端部に設けた環状の歯車G4が、上記従動歯車G2,G3に噛合している。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M6は、上記したステータS6とインナーロータであるロータR6とで構成されたモータであり、電機子巻線S64に電流を供給することでロータR6が回転駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態の場合、ロータS6は、ステータS6にボールベアリング66,67を介して支持されているが、シリンダ60に内輪が嵌合するボールベアリングによりシリンダ60によって回転自在に支持されるとされてもよい。
そして、このロータR6が回転駆動されると、ロータR6の図8中下端外周に設けた駆動歯車G1、従動歯車G2,G3および歯車G4の歯車機構によって筒体65が回転駆動されるが、上記歯車機構によりロータR6の回転は、減速されて筒体65に伝達されるようになっている。
したがって、筒体65を回転させるにあたってロータR6で必要となるトルクは第5の実施の形態に比較して少なくてすむので、この場合には回転駆動手段M6を第5の実施の形態より小型化することが可能である。
そして、上記筒体65の外周には、第5の実施の形態と同様に螺子部55が設けられ、この螺子部55には、下方懸架バネ受け52が螺着され、この下方懸架バネ受け52は、第5の実施の形態と同様の回り止めが施されている。
すなわち、この実施の形態の場合にも、シリンダ60の外周側に設けた回転駆動手段M6によって、やはりシリンダ60の外周側に設けた筒体65が回転駆動され、この筒体65の回転によって下方懸架バネ受け52が筒体65に対して図8中上下移動せしめられるようになっている。
したがって、第5の実施の形態における車高調整装置A6および緩衝器にあっては、第5の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となり、また、第6の実施の形態にあっては、筒体65をロータR6の回転を減速して伝達可能としているので、下方懸架バネ受け52の移動に要するトルクを小さくすることが可能であるから、回転駆動手段M5を小形化でき、これにより、車高調整装置A6および緩衝器全体を小形化できるとともに、緩衝器のストローク長も長く取ることが可能である。
また、必要トルクが小さくてすむので、より応答性よく車高調整を行うことが可能であるので、緩衝器をアクティブ制御する場合の制御性能が向上することとなる。
なお、回転駆動手段M6の発生可能トルクが充分に大きい場合には、上記した歯車機構と搭載した利点は損なわれるが、筒体65の下端をロータR6の筒部R61に直接的に連結するとしてもよい。
また、この第6の実施の形態においては、ステータS6のシリンダ60への連結部位を図8中筒部S61の下端とし、歯車機構をロータS6の上端と筒体65の上端側に配置するとしてもよい。
さらに、第7の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器について説明する。
第7の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、図9に示すように、緩衝器本体D3と、車高調整装置A7とで構成され、車高調整装置A7は、緩衝器本体D3の外周に設けられた筒体171と、該筒体171を回転駆動する回転駆動手段M7と、車軸側部材(図示せず)に設けた筒172とで構成されている。
この第7の実施の形態における車高調整装置A7にあっては、第5の実施の形態における車高調整装置A5では筒体51を下方懸架バネ受け52に螺合しているのに対し車軸側部材(図示せず)側に筒172を設け、さらに、この筒172の内周に筒体171を螺合したものである。
したがって、この第7の実施の形態における車高調整装置A7および緩衝器においては、下方懸架バネ受け152を上下移動せしめて車高調整を行うのではなく、緩衝器本体D3と車軸側部材体(図示せず)との間の距離を調節することにより車高調整が行われる。
以下、詳細に説明すると、緩衝器本体D3は、緩衝器D1と同様に、シリンダ80と、シリンダ80内に摺動自在に挿入されシリンダ80内を作動油が充填される2つの作動室に区画するピストン(図示せず)と、シリンダ10内に上記ピストンを介して移動自在に挿通されるピストンロッド81と、図示しない流路と、該流路の途中に設けた図示しない減衰力発生要素と、図示しないリザーバとを備えて構成され、ピストンロッド81がシリンダ80から出没する際に減衰力発生要素を通過する作動油の圧力損失により所定の減衰力を発生可能なようになっている。
他方、車高調整装置A7は、図9に示すように、緩衝器本体D3のシリンダ8の外周側に設けた筒状のステータS7と、このステータS7に対向する筒体171と、車軸側部材(図示せず)に設けた螺子部材たる筒172とで構成されている。
そして、ステータS7は、シリンダ80の図9中側部外周に固定したコアS73と、コアS73に巻回した電機子巻線S74とで構成されている。
したがって、ステータS7は、シリンダ80に直接設けられているので、これによりステータS7がシリンダ80に対して空回りしてしまうことはない。
さらに、このステータS7の外周側には、筒体171がボールベアリング73,74を介して回転自在に取付けられており、この筒体171の内周側には、ステータS7のコアS73および電機子巻線S74に対向する環状の磁石Bが取付けられており、この筒体171はステータS7に対してアウターロータR7の出力シャフトとして機能する。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M7は、上記したステータS7とアウターロータR7たる筒体171とで構成されたモータである。すなわち、電機子巻線S74に電流を供給することでアウターロータR7たる筒体171が回転駆動されるようになっている。
また、上記筒体171の外周側には、螺子溝が形成されてその外周が螺子部75とされ、この螺子部75には、環状であって、その内周側に上記螺子部75に螺合する螺子部76を備え、かつ、車軸側部材(図示せず)に回転が規制された状態で固定される筒172が螺着されている。
また、上記した筒172は、螺子部76が設けられる大径部172aと、大径部172aの上方側に立ち上がる小径部172bと、大径部172aの下端を閉塞するキャップ172cと、キャップ172cの下端に設けられたアイEとで構成され、このアイEを介して筒172は車両の車軸側部材(図示せず)に回転が規制された状態で連結される。
また、筒172の小径部172bの内周には複数のキー溝77が設けられており、このキー溝77内には、シリンダ80の側部から突出する複数のキー78がそれぞれ係合され、このキー77とキー溝78とで筒172に対してシリンダ80が回転してしまうことが防止され、これにより、上記筒体171に対する筒172の回り止めとされている。
なお、筒172の筒体171に対する回り止めは、上記したものに限られず、他の手法を用いて回り止めを図るとしてもよい。
そして、上記回り止めによりシリンダ80が、たとえば、車両走行中に路面からの力の入力により筒172に対して回転してしまって筒172に対し上下に動いてしまうことが防止され、車高調整時以外に勝手に車高が変わってしまうという弊害はない。
ちなみに、上記したところでは、アイEを介して筒172を車軸側部材(図示せず)に連結するとしているが、車軸側部材(図示せず)に直接的に筒172を固定しておくとしてもよく、さらに、防振の観点からは、車軸側部材(図示せず)に防振ゴム等を介して筒172を設けるとしてもよい。
そして、上述のように構成された車高調整装置A7および緩衝器では、筒体171を回転駆動すると、筒172は、筒体171に対して回り止めされているのでシリンダ80すなわち緩衝器本体D3は、図9中上下方向に移動せしめられる。
この緩衝器本体D3の上下移動により、緩衝器本体D3の上下方向への移動長さ分だけ、車高が上下することになり、これにより車高調整を行うことができる。
そして、この車高調整装置A7は、緩衝器本体D3に対して、ピストンロッド81の上端と車体との間に設けられるのではなく、シリンダ80の側部外周側に設けられているので、緩衝器の基本長が車高調整装置分長くなってしまうという弊害がなく、緩衝器におけるストロークの確保が容易となるのである。
さらに、上記緩衝器の基本長を従来の車高調整装置を搭載した緩衝器に比較して短くすることが可能であるから、車両への搭載性も損なわれることもない。
また、車高調整装置の駆動源である回転駆動手段M7は、シリンダ80の側部外周側にシリンダ80を覆うように配置され、緩衝器の側方にたとえばモータ部分が横置きにされるなどして張り出して設ける必要がないので、車高調整装置が小型となり、この車高調整装置を搭載した緩衝器全体としても小型化することが可能となる。
さらに、本実施の形態の場合、車高調整が回転駆動手段であるモータであるので、車高調整を俊敏に行うことができ、この車高調整装置を搭載した緩衝器にあっては、該車高調整装置自体をアクチュエータとして機能させることにより、緩衝器をいわゆるアクティブサスペンションとしても機能させることが可能であることは上述の各実施の形態と同様である。
さらに、この車高調整装置A7を搭載した緩衝器にあっても、第5、第6の実施の形態と同様に、車軸側部材と車体側部材との間に介装するにあたり、その取付部分は通常の油圧緩衝器と同様であるので、マウントの交換等も必要なく、かつ、車体側に特別な加工も必要とせずに当該緩衝器を搭載することが可能である。
次ぎに、第8の実施の形態における車高調整装置が具現化した緩衝器について説明する。
第8の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、図10に示すように、第7の実施の形態と同様の緩衝器本体D3と、車高調整装置A8とで構成されている。
この車高調整装置A8は、緩衝器本体D3のシリンダ80の外周に設けられた筒体85と、該筒体85を回転駆動する回転駆動手段M8と、車軸側部材(図示せず)に設けた筒172とで構成されている。
したがって、この第8の実施の形態における車高調整装置A8にあっては、第7の実施の形態における車高調整装置A7と異なる部分は、回転駆動手段M8の構成である。
この異なる部分ついて詳しく説明すると、この回転駆動手段M8は、図10に示すように、緩衝器本体D3のシリンダ80の外周側に設けた筒状のロータR8と、このロータR8に対向するステータS8とで構成されている。
そして、ステータS8は、筒部S81と、筒部S81の内周に固定したコアS83と、コアS83に巻回した電機子巻線S84とで構成されており、上記筒部S81は、上端内周からその内方に向けて延設される鍔S82を備えており、ステータS8は、この鍔S82を介してシリンダ80の側部外周に固定されている。
したがって、第8の実施の形態においては、ステータS8は、緩衝器本体D3により回り止めされている。
さらに、このステータS8の内周側には、筒状のロータR8がボールベアリング86,87を介して回転自在に支持されており、このロータR8は、筒部R81と、筒部R81の外周に設けたステータS8のコアS83および電機子巻線S84に対向する環状の磁石Bとで構成されている。
そしてさらに、上記ロータR8の筒部R81の図10中下端外周には、環状の駆動歯車G1が設けられており、この駆動歯車G1は、ステータS8の筒部S81と該筒部S81の下方に設けた環状部材88との間に介装されたピン89,90に軸支された従動歯車G2,G3に噛合している。
他方、筒体85は、ステータS8の外周側に配置され、ステータS8の筒部S81の上方外周に内輪が嵌着されたボールベアリング181と、環状部材88の外周に内輪が嵌着されたボールベアリング182を介して回転自在に支持されており、その内周下端部に設けた環状の歯車G4が、上記従動歯車G2,G3に噛合している。
したがって、この実施の形態の場合、回転駆動手段M8は、上記したステータS8とインナーロータであるロータR8とで構成されたモータであり、電機子巻線S84に電流を供給することでロータR8が回転駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態の場合、ロータS8は、ステータS8にボールベアリング86,87を介して支持されているが、シリンダ80に内輪が嵌合するボールベアリングによりシリンダ80によって回転自在に支持されるとされてもよい。
そして、このロータR8が回転駆動されると、ロータR8の図10中下端外周に設けた駆動歯車G1、従動歯車G2,G3および歯車G4の歯車機構によって筒体85が回転駆動されるが、上記歯車機構によりロータR8の回転は、減速されて筒体85に伝達されるようになっている。
したがって、筒体85を回転させるにあたってロータR8で必要となるトルクは第7の実施の形態に比較して少なくてすむので、この場合には回転駆動手段M8を第7の実施の形態より小型化することが可能である。
そして、上記筒体85の外周には、第7の実施の形態と同様に螺子部75が設けられ、この螺子部75には、第7の実施の形態と同様の螺子部材たる筒172が螺着されている。
すなわち、この実施の形態の場合にも、シリンダ80の外周側に設けた回転駆動手段M8によって、やはりシリンダ80の外周側に設けた筒体85が回転駆動され、この筒体85の回転によって緩衝器本体D3が筒172に対して図10中上下移動せしめられるようになっている。
したがって、第7の実施の形態における車高調整装置A7および緩衝器にあっては、第7の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となり、また、第8の実施の形態にあっては、筒体85をロータR8の回転を減速して伝達可能としているので、緩衝器本体D3の移動に要するトルクを小さくすることが可能であるから、回転駆動手段M8を小形化でき、これにより、車高調整装置A8および緩衝器全体を小形化できるとともに、緩衝器のストローク長も長く取ることが可能である。
また、必要トルクが小さくてすむので、より応答性よく車高調整を行うことが可能であるので、緩衝器をアクティブ制御する場合の制御性能が向上することとなる。
なお、回転駆動手段M8の発生可能トルクが充分に大きい場合には、上記した歯車機構と搭載した利点は損なわれるが、筒体85の下端をロータR8の筒部R81に直接的に連結するとしてもよい。
また、この第8の実施の形態においては、ステータS8のシリンダ80への連結部位を図10中筒部S81の下端とし、歯車機構をロータS8の上端と筒体85の上端側に配置するとしてもよい。
最後に、第9の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器について説明する。
第9の実施の形態における車高調整装置が具現化された緩衝器は、図11に示すように、緩衝器ED2と、車高調整装置A9とで構成されている。
緩衝器ED2は、第2の実施の形態で説明した緩衝器EDと基本的な構成は同様であるが、この場合、モータMGの外周側に車高調整装置A9の回転駆動手段M9が設けられている点で異なる。
詳しく説明すると、モータMGのステータ105の外周側に、回転駆動手段M9のステータS9が設けられ、さらに、このステータS9の外周側にアウターロータたる筒体91が設けられている。
そして、この筒体91は、車体BDに設けた第3の実施の形態と同様の螺子部材92の内周側に螺合されている。
すなわち、この緩衝器ED2の場合、減衰力を発生するモータMGと、回転駆動手段M9が一体的に構成されて、インナーロータと、アウターロータと、インナーロータとアウターロータとの間に介装されるステータとを備えたいわゆる多重モータを形成している。
詳しくは、インナーロータたるロータ104は、第2の実施の形態と同様の螺子軸102に連結され,アウターロータたる筒体91は、内周に磁石Bを備え、外周に第3の実施の形態と同様の螺子部93が形勢され、螺子部材92に形成の螺子部94に螺合しており、さらに、回転駆動手段M9のステータS9は、筒部S91と、筒部S91の外周側に設けたコアS93と電機子巻線S94と備え、他方、モータMG側のコア116と、コア116に嵌装した電機子巻線117は、筒部S91の内周側に取付けられている。
また、筒部S91には、その上端開口部から延設される鍔S92が設けられており、この鍔S92の外縁から突出する複数のキー95が設けられるとともに、そのキー95に対応するキー溝96が螺子部材92の内周に設けられ、ステータS9が回り止めされている。
また、この緩衝器ED2にあっては、内筒120の上端近傍側部には、上方懸架バネ受け160が取付けられており、他の構成については、緩衝器EDと同様に構成されている。
したがって、回転駆動手段M9側のステータS9の電機子巻線S94に電流供給すると、筒体91が回転駆動され、緩衝器ED2自体が車体Bに対して上下動して車高調整することができ、さらに、電機子巻線117側で発生する電磁力で緩衝器ED2の伸縮を制御することもでき、緩衝器およびアクチュエータとしても機能も失われることはない。
そして、この場合、第2の実施の形態における緩衝器EDと同様の作用効果を奏するが、それに加えて、緩衝器として機能するためのモータと、車高調整装置として機能するためのモータが一体的に構成されているので、第2の実施の形態における緩衝器EDのように別々にモータを設ける必要がなく、緩衝器をより一層小形化することが可能であるとともに、ストロークも通常の緩衝器と同等に確保することができるという利点がある。
なお、本実施の形態では、車体Bに対して緩衝器ED2を上下するようにしているが、無論、第1の実施の形態と同様に筒体91を上方懸架バネ受けに螺合するとしてもよい。
さらに、上記したところでは、回転駆動手段M9と減衰力発生用のモータMGのそれぞれにステータを設けるとしているが、これを一つにして、すなわち、インナーロータおよびアウターロータに対し筒状のコアと電機子巻線を1つにして、この場合、インナーロータとアウターロータに設ける磁石の磁気配置が互いに影響を及ぼさないようにする必要があるが、電機子巻線に供給する電流を制御することによりインナーロータおよびアウターロータをそれぞれ別々に回転制御するようにしてもよい。
なお、上記した実施の形態で、緩衝器は、油圧緩衝器に限られず、各実施の形態において緩衝器に電磁式の緩衝器を用いるとしてもよいことは勿論である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。