JP2004196696A - 関節炎の予防剤または治療剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする関節炎の予防剤または治療剤、飲食品、飼料、飲食品用添加剤、飼料用添加剤、および動物の関節炎の予防方法または治療方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、関節炎の予防剤または治療剤、飲食品、飼料、飲食品用添加剤、飼料用添加剤、および動物の関節炎の予防方法または治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アジサイ属に属するアマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var. Thunbergii Makino)はアジサイの近隣種で江戸時代にヤマアジサイ(Hydrangea macrophyllaSER var. acuminata)の育種で作り出されたと言われている。甘茶(Hydrangeae Dulcis Folium)は、アマチャの葉部、枝先を採取して発酵後、乾燥処理して調製される。
【0003】
この甘茶または甘茶抽出物は、従来より、丸剤などの矯味(甘味)薬、口腔清涼剤の製造原料として使われている。甘茶の水抽出物は、液体または粉末の形態で甘味料として用いられている。甘味成分はフィロヅルシンである。
甘茶は抗コクシジウム活性、抗カビ活性、抗潰瘍活性、抗アレルギー活性、高コレステロール血症抑制作用、抗歯周病菌作用、抗酸化作用などを有するものとして知られている(非特許文献1参照)。また、甘茶抽出物が、利胆作用を示すことが知られている(非特許文献2参照)。さらに甘茶エキスが、インビトロで肝ミクロソームの脂質過酸化反応の抑制作用を示すことも知られている(非特許文献3参照)。
【0004】
ユキノシタ属のユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)は山中の陰湿な岩上などに群生する多年草である。ユキノシタの葉は、日本でも中国でも昔からの民間薬の一つで、もんだりあぶったりして貼ると、やけどなどに効くと言われている。また、葉は食用に供されることもある。
ユキノシタまたはそのエキスは、美白、皮膚老化防止、しみ・そばかす予防などの化粧品として使われている。
【0005】
ユキノシタは美白作用(特許文献1参照)、抗紫外線誘発突然変異作用(特許文献2参照)、消臭作用(特許文献3参照)、テストステロン5α−レダクタ−ゼ阻害作用(特許文献4参照)、抗酸化作用(特許文献5参照)、ヒスタミン遊離抑制による抗炎症作用(特許文献6参照)などを有するものとして知られている。
しかし、甘茶等のアジサイ属植物及びユキノシタ等のユキノシタ属植物を組み合わせて投与することによって相乗的な関節炎予防または治療効果を有することは知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特許第2749218号公報
【0007】
【特許文献2】
特許第1851704号公報
【0008】
【特許文献3】
特許第2015731号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平5−17365号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平10−46142号公報
【0011】
【特許文献6】
特開平4−346911号公報
【0012】
【非特許文献1】
第2回くすりと食物シンポジウム講演要旨集、1999年、p.85
【0013】
【非特許文献2】
薬学雑誌、1994年、第114巻、第6号、p.401〜413
【0014】
【非特許文献3】
Natural Medicines,1995年、第49巻、第1号、p.84〜87
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、関節炎の予防剤または治療剤、関節炎の予防作用または治療作用を有する飲食品、飼料、飲食品用添加剤、飼料用添加剤、および動物の関節炎の予防方法または治療方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(21)に関する。
(1) ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする関節炎の予防剤または治療剤。
(2) ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、上記(1)の関節炎の予防剤または治療剤。
(3) アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、上記(1)または(2)の関節炎の予防剤または治療剤。
【0017】
(4) 関節炎が、慢性関節リウマチである、上記(1)〜(3)いずれか1つの関節炎の予防剤または治療剤。
(5) 経口で投与される上記(1)〜(4)いずれか1つの関節炎の予防剤または治療剤。
(6) ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飲食品。
(7) 飲食品が、関節炎の予防または治療に用いられる飲食品である、上記(6)の飲食品。
【0018】
(8) ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、上記(6)または(7)の飲食品。
(9) アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、上記(6)〜(8)いずれか1つの飲食品。
(10) ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飼料。
(11) 飼料が、関節炎の予防または治療に用いられる飼料である、上記(10)の飼料。
【0019】
(12) ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、上記(10)または(11)の飼料。
(13) アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である上記(10)〜(12)いずれか1つの飼料。
(14) ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飲食品用添加剤。
【0020】
(15) ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、上記(14)の飲食品用添加剤。
(16) アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、上記(14)または(15)の飲食品用添加剤。
(17) ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飼料用添加剤。
【0021】
(18) ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、上記(17)の飼料用添加剤。
(19) アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である上記(17)または(18)の飼料用添加剤。
(20) 上記(1)〜(5)いずれか1つの関節炎の予防剤または治療剤を動物に投与するか、または上記(10)〜(13)いずれか1つの飼料を動物に摂取させることを特徴とする動物の関節炎予防方法または治療方法。
(21) 動物が、ペットまたは家畜である、上記(20)の方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
ユキノシタ(Saxifraga)属に属する植物としては、例えばユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)、ハルユキノシタ(Saxifraga nipponicaMakino)、ダイモンジソウ(Saxifraga fortunei Hook.)、ジンジソウ(Saxifraga cortusaefoliaSieb. et Zucc.)、フキユキノシタ(Saxifraga japonica Boiss.)、クロクモソウ(Saxifragafusca Maxim)、モミジバセンダイソウ(Saxifraga sendaica Maxim. var. laciniata Nakai)、クモマグサ(Saxifraga merkii Fisch. var. idsuroei Engl.)、クモマユキノシタ(Saxifraga laciniata Nakai et Takeda)、シコタンソウ(Saxifragabronchialalis L.)、ムカゴユキノシタ(Saxifraga cernua L.)、ヤマハナソウ(Saxifragasachalinensis Fr. Schm.)等があげられ、ユキノシタ(Saxifraga stoloniferaMeerb.)が好ましく用いられる。
【0023】
アジサイ(Hydrangea)属に属する植物としては、例えばガクアジサイ(Hydrangea macrophylla Seringe)、アジサイ(Hydrangea macrophyllaSeringe var. otaksa Makino)、ベニガク(Hydrangea macrophylla Seringe subsp. serrata Makino var. japonica Makino)、ヤマアジサイ(Hydrangea macrophyllaSeringe var. acuminata)、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var. Thunbergii Makino )、ガクウツギ(Hydrangea scandens Seringe)、コアジサイ(Hydrangeahirta Sieb. et Zucc.)、タマアジサイ(Hydrangea involucrata Sieb.)、ヤハズアジサイ(Hydrangeasikokiana Maxim.)、ノリウツギ(Hydrangea paniculata Sieb.)、ツルデマリ(Hydrangeapetiolaris Sieb. et Zucc.)、ヒメアジサイ(Hydrangea macrophyllaSeringe subsp. serrata Makino var. amoena Makino)、ホソバコガク(Hydrangea macrophyllaSeringe subsp. serrata Makino var. angustata Makino)等があげられ、アマチャ(Hydrangeamacrophylla Seringe var. Thunbergii Makino )が好ましく用いられる。
【0024】
植物体としては、例えば野生の植物体、栽培により得られる植物体または組織培養等の培養により得られる植物体の、例えば、葉、花、枝、茎、果実、根、種子、培養された細胞、器官またはカルス等があげられ、これらをそのままあるいは物理・化学的または生物的に処理して得られる各種処理物等があげられる。
物理・化学的処理方法としては、例えば天日乾燥、風乾等の乾燥処理、凍結乾燥処理、粉砕処理等があげられ、物理・化学的処理物としては、乾燥処理物、凍結乾燥処理物、粉砕処理物等があげられる。生物的処理方法としては、発酵方法等があげられ、生物的処理物としては発酵処理物があげられる。
【0025】
例えば、アジサイ属に属する植物としてアマチャを用いる場合は、アマチャを発酵処理して得られる甘茶(Hydrangeae Dulcis Folium)が好ましく用いられる。
ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物およびアジサイ属に属する植物の植物体および該植物体抽出物は、後述する本発明の飲食品、飼料、飲食品添加剤、または飼料を製造する場合、製造のいずれかの工程で混合して用いることが好ましいが、別々に用いて製造することもできる。これらが別々に用いられて本発明の飲食品、飼料、飲食品添加剤、または飼料が製造される場合は、本発明の飲食品、飼料、飲食品添加剤、または飼料は、投与または摂取される際に、これらの植物体または植物体抽出物が同時または、8時間以内好ましくは2時間以内に投与または摂取されるようにする。
【0026】
以下、ユキノシタ属に属する植物の植物体およびアジサイ属に属する植物の植物体を、本発明の植物体と称する。
本発明の植物体の抽出物としては、該植物体から、各種溶媒抽出、超臨界流体抽出等、該植物体から関節炎の予防または治療作用を有する物質を抽出できる方法より取得できる物質があげられる。
溶媒抽出に用いる溶媒としては、本発明の関節炎の予防または治療剤作用を示す物質(以下、有効成分という)を抽出できる溶媒なら何を用いてもよく、例えば水、無機塩水溶液、緩衝液等の水性媒体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の一価アルコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール、ヘキサン、トルエン、石油エーテル、ベンゼン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2−トリクロロエテン、ジメチルスルフォキシド、アセトン等の有機溶媒等があげられ、水性媒体、アルコールが好ましい。
【0027】
無機塩水溶液の無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等があげられる。
緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等があげられる。
アルコールとしては、一価アルコールが好ましく、一価アルコールとしてはエタノールが好ましい。
水としては、水道水、蒸留水、脱イオン水、純水等があげられる。
これら溶媒は単独または複数混合して用いることができる。混合した溶媒としては、含水アルコールが好ましく、含水一価アルコールがより好ましく、含水エタノールが特に好ましい。含水率としては、70%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
【0028】
溶媒としては、超臨界流体化した二酸化炭素を用いることもできる。
抽出は、例えば本発明の植物体1重量部に対し溶媒を0.1重量部〜10000重量部、好ましくは1重量部〜100重量部用いて行う。抽出温度は特に制限がないが、例えば0℃〜100℃が好ましく、20℃〜90℃がより好ましい。抽出時間は、特に制限がないが、例えば1分間〜1週間が好ましく、30分間〜1日間がより好ましい。
抽出に使用する機器としては特に制限がないが、効率よく抽出するために工夫された容器、攪拌機、還流冷却器、ソックスレー抽出機、ホモジナイザー、振とう機、超音波発生装置等などがあげられる。
溶媒抽出の終了後、沈降分離、ケーキ濾過、清澄濾過、遠心濾過、遠心沈降、圧搾分離、フィルタープレス等の固液分離方法を用いて、好ましくは濾過により、抽出液を取得し、これを抽出物としてもよい。また、該固液分離法により得られた抽出残渣を抽出溶媒でさらに抽出し、これを抽出物としてもよい。
【0029】
超臨界流体抽出(単に超臨界抽出ともいう)を行う場合は、抽剤流体を単独で用いてもよいが、抽剤流体にエントレーナーを混合したものを用いてもよい。
抽剤流体としては、二酸化炭素、アンモニア、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジメチルブタン、ベンゼン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ヘキサン、一酸化二窒素等、いずれの超臨界流体を用いてもよいが、超臨界二酸化炭素が好適に用いられる。
【0030】
なお、本発明において、超臨界流体(超臨界ガスともいう)とは、臨界温度および臨界圧力を超えた状態にある流体のことをいう。
エントレーナーとしては、メタノール、エタノール等の1価脂肪族アルコール、水、含水1価脂肪族アルコール、アセトンまたはヘキサン等、いずれも用いることができるが、特にエタノールが好適に用いられる。エントレーナーの添加量としては、0.1〜50%(w/w)であることが好ましく、1〜20%(w/w)であることがより好ましい。
【0031】
超臨界流体抽出に用いられる抽剤流体量は、特に制限はないが、例えば本発明の植物体1重量部に対して、積算量として5〜1000重量部、好ましくは20〜50重量部の抽剤流体が用いられる。また、必要に応じて、抽剤流体を循環させてもよい。
超臨界流体抽出に用いられるエントレーナー量は、特に制限はないが、例えば超臨界流体1重量部に対して、積算量として0.001〜100重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0032】
超臨界流体抽出には、超臨界流体抽出装置が用いられる。
超臨界流体抽出に用いられる抽出槽温度および抽出槽圧力は、それぞれ臨界温度および臨界圧力を超えていなければならないが、上限に関しては特に制限はない。
臨界温度および臨界圧力は化合物の種類によって異なるが、例えば二酸化炭素の場合、抽出槽温度は、31.06〜1000℃が好ましく、31.1〜60℃がより好ましく、抽出槽圧力は、72.9〜5000atmが好ましく、75〜1000atmがより好ましい。分離槽圧力は、特に制限はないが、1〜5000atmが好ましく、1〜1000atmがより好ましい。
【0033】
超臨界流体抽出に用いられる分離槽温度は、特に制限はないが、−273.16〜1000℃が好ましく、−80〜200℃がより好ましい。抽出時間は、特に制限はないが、1分間〜100時間が好ましく、20分間〜5時間がより好ましい。
超臨界流体抽出の終了後、分離槽の温度や圧力、充填剤などを変更することによって、抽出液を取得することができる。抽出物の分離方法としては、例えば、等温・減圧法、等温・気液分離法、等圧・加熱法、等圧・冷却法、吸着法等があげられる。抽出物は、分離操作が終了した後、分離槽内に固形物あるいは液状物として、またエントレーナーを使用した場合はエントレーナー溶液として、取得することができる。
【0034】
本発明の植物体の抽出物は、該植物体から溶媒抽出、超臨界流体抽出等の抽出方法により取得した抽出物を、さらに濃縮または乾燥方法、精製方法等を用いて処理したものであってもよい。
濃縮または乾燥方法としては、加熱濃縮、凍結濃縮、逆浸透濃縮、減圧濃縮、凍結乾燥、自然乾燥、熱風乾燥、通風乾燥、送風乾燥、噴霧乾燥、減圧乾燥、天日乾燥、真空乾燥、スプレードライ、流動層乾燥、泡沫層乾燥、ドラムドライヤーなどの皮膜乾燥法、超音波乾燥法、電磁波乾燥法等の乾燥方法があげられ、減圧濃縮法、スプレードライ方法、凍結乾燥方法が好適に用いられる。
【0035】
本発明の植物体の抽出物の調製に際しては、関節炎の予防または治療活性を有する物質を失活させないための工夫、例えば抗酸化剤、保存剤等の添加、加熱温度の調整などがなされてもよい。
さらに、本発明の植物体の抽出物は、本発明の植物体から有効成分が抽出されないか、抽出されにくい条件で各種溶媒抽出、超臨界流体抽出等で抽出して得られる抽出残さ等を、さらに有効成分が抽出される条件で各種溶媒抽出、超臨界流体抽出等で抽出することにより調製してもよい。
【0036】
特に、アジサイ属に属する植物の植物体から抽出する場合は、アジサイ属に属する植物の植物体または該植物体の物理・化学処理物もしくは生物的処理物を水性媒体で抽出した後に得られる残さ(以下、水性媒体抽出残さという。)をアルコールもしくは含水アルコールまたはアセトンで抽出する方法が好ましい。
水性媒体としては、特に制限がないが、水が好ましい。水性媒体およびアルコールもしくは含水アルコールまたはアセトンで抽出するときの抽出温度としては、例えば0℃〜100℃が好ましく、20℃〜90℃がより好ましい。
【0037】
抽出時間は、特に制限がないが、例えば1分間〜1週間が好ましく、30分間〜1日間がより好ましい。
本発明の植物体としては、乾燥処理されたものを用いるのが好ましい。水性媒体抽出残さは、本発明の植物体を水性媒体で抽出した後、濾過等により水性媒体を除去して得ることができる。
本発明が適用できる関節炎としては、特に制限がなく、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、腸疾患性関節炎、淋菌性関節炎、痛風関節炎、ジャクー関節炎、若年性関節炎、ライム関節炎、アルカプトン尿性関節炎、化膿性関節炎、変形性関節症、肩関節周囲炎、過度の運動負荷による関節炎、慢性関節リウマチ等のいずれであってもよいが、とくに慢性関節リウマチに有効である。
【0038】
本発明の関節炎の予防剤または治療剤、飲食品、動物用飼料、食品添加剤および飼料添加剤について以下に示す。
本発明の関節炎の予防または治療剤は、前述の方法で調製した本発明の植物体または該植物体抽出物を含有し、必要に応じて薬理学的に許容される一種またはそれ以上の担体、更に必要に応じて他の予防または治療のための成分を含有していてもよい。また、関節炎の予防または治療に有効な任意の他の成分が添加されていてもよい。
【0039】
関節炎の予防または治療に有効な他の成分(以下、単に他の有効成分ともいう)としては、例えば、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、セレン、シリコン、亜鉛、S-アデノシルメチオニン、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ブロメライン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ルチン、カロチノイド、フラボノイド、抗酸化ビタミン、γ-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ボスウェリア、カプサイシン、キャッツクロー、デビルズクロー、フィーバーフュー、ショウガ、ネトルス、ナイアシアミド、サメ軟骨、ターメリックおよびクルクミン等があげられる。これら他の有効成分は精製物であっても該成分の含有物または抽出物であってもよい。
【0040】
本発明の関節炎の予防剤または治療剤は、本発明の植物体または該植物体抽出物と、必要に応じて他の有効成分を、薬理学的に許容される一種またはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
本発明の関節炎の予防剤または治療剤の投与経路は、関節炎の予防または治療に際して効果的なものを使用するのが望ましく、例えば経口投与または、例えば静脈内投与などの非経口投与をあげることができる。
【0041】
投与形態としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、浸剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エキス剤、チンキ剤、流エキス剤等があげられる。
経口投与に適当な、例えばエキス剤、チンキ剤、流エキス剤などは、本発明の植物体を、例えば水、エタノール、水とエタノールの混合液などで抽出して得られる抽出物をそのまま、または濃縮して調製することができる。
【0042】
経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、水、スクロース、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類などの希釈剤、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、パラオキシ安息香酸メチル等のパラオキシ安息香酸誘導体、安息香酸ナトリウム等の保存剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどの香料などを使用して製造できる。
【0043】
また、経口投与に適当な、錠剤、散剤および顆粒剤などは、乳糖、白糖、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール等の糖類、バレイショ、コムギ、トウモロコシ等の澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機物、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末などの植物末などの賦形剤、澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコーン油などの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロース、ゼラチン、澱粉のり液などの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
【0044】
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口製剤においても、経口製剤で例示した希釈剤、防腐剤、保存剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種またはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
【0045】
本発明の関節炎の予防剤または治療剤の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質または重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは1mg〜50g、より好ましくは5mg〜10gを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り本発明の植物の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.001〜50g、より好ましくは0.01〜10gを一日一回ないし数回投与する。
【0046】
本発明の関節炎の予防剤を日常的に投与することにより、関節炎を予防することができる。既に関節炎が発症している場合は、本発明の関節炎の治療剤を日常的に投与することにより、関節炎の症状を緩和、治癒させる等、関節炎を治療することができる。本発明の関節炎の予防剤または治療剤の投与期間は、通常は1週間〜10年間、好ましくは1ヶ月間〜5年間である。
なお、本発明の関節炎の予防剤または治療剤は、ヒトだけでなく、ヒト以外の動物に対しても使用することができる。動物に使用する場合の投与量は、特に制限はないが、本発明の植物の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.01〜50g/kg、より好ましくは0.05〜10g/kgである。
【0047】
また、本発明の関節炎の予防剤または治療剤は、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を同一の製剤に含有するように調製してもよいが、それぞれ別々の製剤を製造し、キット形態の製剤として用いてもよい。
キット形態の製剤(以下、単にキットともいう)を構成する各製剤は、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物がキット中に含有されていれば、必ずしも本発明の植物体または該植物体抽出物を含んでいる必要はなく、また、どのような組み合わせであってもよい。キットを構成する製剤の組み合わせとしては、例えば、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する製剤とアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する製剤との組み合わせをあげることができるが、これに限定されない。
【0048】
キットに含まれる各製剤は、それぞれ別個に存在する形態であれば、いずれの状態で存在してもよい。例えば、それぞれの製剤が別個に包装されていてもよいし、同一の容器内に混在されていてもよい。
キットに含まれる各製剤を別々に投与する場合は、製剤中の有効成分が体内で高い効力を有する時間内に投与することが望ましい。例えば、1回の投与につき、8時間以内、好ましくは2時間以内に全ての製剤を投与する。
【0049】
キット形態の製剤の投与量および投与回数は、本発明の植物体または該植物体抽出物を単独で含有する関節炎の予防または治療剤の場合と同様である。
本発明の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飲食品(以下、本発明の飲食品ともいう)または飼料(以下、本発明の飼料ともいう)としては、本発明の植物体または該植物体抽出物をそのまま飲食品もしくは飼料としたもの、または本発明の植物体または該植物体抽出物を飲食品もしくは飼料に添加したものがあげられる。該飲食品または飼料は、関節炎の予防または治療用の飲食品または飼料として好適に用いられる。
【0050】
本発明の飲食品または飼料は、本発明の植物体または該植物体抽出物、必要に応じて他の有効成分を添加する以外は一般的な飲食品または飼料の製造方法を用いることにより、製造することができる。
該飲食品または飼料を一般の飲食品または飼料を加工する方法で加工してもよい。加工方法としては、流動層造粒、攪拌造粒、押出造粒、転動造粒、気流造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒などの造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティングなどのコーティング方法、パフドライ、過剰水蒸気法、フォームマット方法、マイクロ波加熱方法などの膨化方法などがあげられる。
【0051】
飲食品または飼料中の本発明の植物体または該植物体抽出物の含有量は、本発明の飲食品または飼料が関節炎の予防または治療作用を有する量であれば、特に制限はないが、例えば本発明の飲食品または飼料中、本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜100重量%である。
【0052】
本発明の飲食品としては、例えば本発明の植物体または該植物体抽出物を含有する健康食品、健康飲料、ジュース類、清涼飲料水、スープ類、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂粉乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、魚肉錬り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、スナック菓子、チューイングガム等の菓子類、パン類、麺類、漬け物類、薫製品、干物、佃煮、調味料等があげられる。
【0053】
飲食品の形態としては、本発明の植物の植物体または該植物体抽出物を含有していれば特に制限はなく、例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等があげられる。
本発明の飲食品には、必要に応じて一般の飲食品に用いられる甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物などの添加物を添加してもよい。
【0054】
甘味料としては、アスパルテーム、カンゾウ、ステビア、キシロース、ラカンカ、などがあげられる。
着色料としては、カロチノイドやウコン色素、フラボノイド、カラメル色素、シコン色素、スピルリナ色素、葉緑素、ムラサキイモ色素、ムラサキヤマイモ色素、シソ色素、ブルーベリー色素などがあげられる。
【0055】
保存料としては、亜硫酸ナトリウム、安息香酸類、ウド抽出物、エゴノギ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ソルビン酸類、プロピオン酸類、などがあげられる。増粘安定剤としては、アラビアガムやキサンタンガムなどのガム類、アルギン酸類、キチン、キトサン、イダチアロエ抽出物、グァーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、カゼインナトリウム、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース類、ゼラチン、寒天、デキストリン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、微小繊維状セルロース、微結晶セルロース、海藻セルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリリン酸ナトリウム、カラギーナン、酵母細胞壁、コンニャクイモ抽出物、ナタデココ、マンナンなどがあげられる。
【0056】
酸化防止剤としては、ビタミンC、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム、エリソルビン酸、オリザノール、カテキン、ケルセチン、クローブ抽出物、酵素処理ルチン、リンゴ抽出物、ゴマ油抽出物、ジブチルヒドロキシトルエン、ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、テンペ抽出物、ドクダミ抽出物、トコトリエノール、トコフェロール類、ナタネ油抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子、フェルラ酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブルーベリー葉抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ヘスペレチン、コショウ抽出物、ホウセンカ抽出物、没食子酸、ヤマモモ抽出物、ユーカリ抽出物、ローズマリー抽出物などがあげられる。
【0057】
発色剤としては、亜硝酸ナトリウムなどがあげられる。
漂白剤としては、亜硫酸ナトリウムなどがあげられる。
防かび剤としては、オルトフェニルフェノールなどがあげられる。
ガムベースとしては、アセチルリシノール酸メチル、ウルシロウ、エステルガム、エレミ樹脂、オウリキュウリロウ、オゾケライト、オポパナックス樹脂、カウリガム、カルナウバロウ、グアヤク樹脂、グッタカチュウ、グッタハンカン、グッタペルカ、グリセリン脂肪酸エスエル、ゲイロウ、コパオババルサム、コーパル樹脂、ゴム、コメヌカロウ、サトウキビロウ、シェラック、ジェルトン、スクロース脂肪酸エステル、ソルバ、ソルビタン酸脂肪酸エステル、タルク、炭酸カルシウム、ダンマル樹脂、チクル、チルテ、ツヌー、低分子ゴム、パラフィンワックス、ファーバルサム、プロピレングリコール脂肪酸エステル、粉末パルプ、粉末モミガラ、ホホバロウ、ポリイソブチレン、ポリブテン、マイクロクリスタルワックス、マスチック、マッサランドチョコレート、ミツロウ、リン酸カルシウム等があげられる。
【0058】
苦味料としては、イソアルファー苦味酸、カフェイン、カワラタケ抽出物、キナ抽出物、キハダ抽出物、ゲンチアナ抽出物、香辛料抽出物、酵素処理ナリンジン、ジャマイカカッシア抽出物、デオブロミン、ナリンジン、ビガキ抽出物、ニガヨモギ抽出物、ヒキオコシ抽出物、ヒメマツタケ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物、オリーブ茶、ダイダイ抽出物、ホップ抽出物、ヨモギ抽出物等があげられる。
【0059】
酵素としては、アミラーゼ、トリプシン、レンネット、乳酸菌等があげられる。
光沢剤としては、ウルシロウ、モクロウ等があげられる。
酸味料としては、アジピン酸、イタコン酸、クエン酸類、コハク酸類、酢酸ナトリウム、酒石酸類、二酸化炭素、乳酸、フィチン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸等があげられる。
【0060】
調味料としては、アスパラギン、アスパラギン酸類、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、イソロイシン、グリシン、セリン、シスチン、チロシン、ロイシン、プロリンなどのアミノ酸、イノシン酸ナトリウム、ウリジル酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、シチジル酸ナトリウム、リボヌクレオチドカルシウム、リボヌクレオチドナトリウムなどの核酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸、塩化カリウム、塩水湖水低塩ナトリウム液、粗製海水塩化カリウム、ホエイソルト、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クロレラ抽出物等があげられる。
【0061】
乳化剤としては、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル等があげられる。
強化剤としては、亜鉛塩類、ビタミンC、各種アミノ酸、5−アデニル酸、塩化鉄、ヘスペリジン、各種焼成カルシウム、各種未焼成カルシウム、ジベンゾイルチアミン、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、チアミン塩酸塩、デュナリエラカロチン、トコフェロール、ニコチン酸、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、パントテン酸カルシウム、ビタミンA、ヒドロキシプロリン、ピロリン酸ニ水素カルシウム、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、フェリチン、ヘム鉄、メナキノン、葉酸、リボフラビン等があげられる。
【0062】
製造用剤としては、アセトン、イオン交換樹脂などの加工助剤、イチジク葉抽出物、イナワラ灰抽出物、カオリン、グリセリン脂肪酸エステル、クワ抽出物、骨灰、シソ抽出物、ショウガ抽出物、各種タンニン、パフィア抽出物、ブドウ種子抽出物、エタノール等があげられる。
香料としては、前述の香料等があげられる。
香辛料抽出物としては、唐辛子抽出物、ニンニク抽出物等があげられる。
本発明の飲食品を摂取する場合、その摂取量は特に制限はないが、成人に対し一日あたり本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.1g〜50g、より好ましくは0.5〜10gである。摂取する期間は、通常は1日間〜1年間、より好ましくは2週間〜3ヶ月間である。
【0063】
該摂取量および摂取期間は、摂取者の症状の程度や年齢、体重等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。
本発明の飲食品は、1日に1回または数回に分けて摂取する。該飲食品を日常的に摂取することにより、関節炎を予防することができる。既に関節炎が発症している場合は、該飲食品を日常的に摂取することにより、関節炎の症状を緩和、治癒させる等、関節炎を治療することができる。
【0064】
本発明の飲食品は、本発明の関節炎の予防剤または治療剤と同様に、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を同一の飲食品に含有するように調製してもよいし、飲食品セットとして製造してもよい。
飲食品セット中の各飲食品の組み合わせとしては、例えば、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飲食品とアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飲食品との組み合わせをあげることができるが、これに限定されない。
【0065】
飲食品セットに含まれる各飲食品は、それぞれ別個に存在する形態であれば、いずれの状態で存在してもよい。例えば、それぞれの飲食品が別個に包装されていてもよいし、同一の容器内に混在されていてもよい。
飲食品セットに含まれる各飲食品を別々に摂取する場合は、各飲食品中の有効成分が体内で高い効力を有する時間内に投与することが望ましい。例えば、1回の摂取につき、8時間以内、好ましくは2時間以内に全ての飲食品を摂取する。
【0066】
飲食品セットの摂取量は、本発明の植物体または該植物体抽出物を単独で含有する飲食品の場合と同様である。
本発明の飼料は、哺乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類等の動物、好ましくは哺乳類に対する飼料として用いられる。例えば、本発明の飼料はイヌ、ネコ、ネズミ等のペット用飼料、ウシ、ブタ等の家畜用飼料、ニワトリ、七面鳥等の家禽用飼料、タイ、ハマチ等の養殖魚用飼料等として用いられ、好ましくは、ペット用飼料または家畜用飼料として用いられる。
【0067】
本発明の飼料は、飼料原料に本発明の植物体または該植物体抽出物を適宜配合して作ることができる。飼料原料としては、穀物類、そうこう類、植物性油かす類、動物性飼料原料、その他飼料原料、精製品等があげられる。
穀物類としては、例えばマイロ、小麦、大麦、えん麦、らい麦、玄米、そば、あわ、きび、ひえ、とうもろこし、大豆等があげられる。
【0068】
そうこう類としては、例えば米ぬか、脱脂米ぬか、ふすま、末粉、小麦、胚芽、麦ぬか、スクリーニング、ペレット、トウモロコシぬか、トウモロコシ胚芽等があげられる。
植物性油かす類としては、例えば大豆油かす、きな粉、あまに油かす、綿実油かす、落花生油かす、サフラワー油かす、やし油かす、パーム油かす、ごま油かす、ひまわり油かす、なたね油かす、カポック油かす、からし油かす等があげられる。
【0069】
動物性飼料原料としては、例えば魚粉(北洋ミール、輸入ミール、ホールミール、沿岸ミール等)、フィッシュソルブル、肉粉、肉骨粉、血粉、分解毛、骨粉、家畜用処理副産物、フェザーミール、蚕よう、脱脂粉乳、カゼイン、乾燥ホエー等があげられる。
その他飼料原料としては、植物茎葉類(アルファルファ、ヘイキューブ、アルファルファリーフミール、ニセアカシア粉末等)、トウモロコシ加工工業副産物(コーングルテン、ミール、コーングルテンフィード、コーンステープリカー等)、でんぷん加工品、砂糖、発酵工業産物(酵母、ビールかす、麦芽根、アルコールかす、しょう油かす等)、農産製造副産物(柑橘加工かす、豆腐かす、コーヒーかす、ココアかす等)、その他(キャッサバ、そら豆、グアミール、海藻、オキアミ、スピルリナ、クロレラ、鉱物等)等があげられる。
【0070】
精製品としては、タンパク質(カゼイン、アルブミン等)、アミノ酸、糖質(スターチ、セルロース、スクロース、グルコース等)、ミネラル、ビタミン等があげられる。
本発明の飼料を動物に摂取させる場合、その摂取量は特に制限はないが、動物に対し一日あたり本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.01g/kg〜50g/kg、より好ましくは0.05g/kg〜10g/kgである。
摂取させる期間は、通常は1週間〜5年間、より好ましくは2週間〜2年間である。
該摂取量および摂取期間は、摂取動物の種類、年齢、体重等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。
本発明の動物用飼料を動物に日常的に摂取させることにより、関節炎を予防することができる。
【0071】
既に関節炎が発症している場合は、該動物用飼料を日常的に摂取させることにより、関節炎の症状を緩和、治癒させる等、関節炎を治療することができる。
本発明の動物用飼料は、本発明の関節炎の予防剤または治療剤と同様に、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を同一の動物用飼料に含有するように調製してもよいが、飼料セットとして製造してもよい。
【0072】
飼料セットの組み合わせとしては、例えば、ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飼料とアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飼料との組み合わせをあげることができるが、これに限定されない。
飼料セットに含まれる各動物用飼料は、それぞれ別個に存在する形態であれば、いずれの状態で存在してもよい。例えば、それぞれの動物用飼料が別個に包装されていてもよいし、同一の容器内に混在されていてもよい。
【0073】
飼料セットに含まれる各動物用飼料を別々に摂取する場合は、該飼料セット中の有効成分が体内で高い効力を有する時間内に投与することが望ましい。例えば、1回の摂取につき、8時間以内、好ましくは2時間以内に全ての飼料を摂取する。
飼料セットの摂取量は、本発明の植物体または該植物体の抽出物を単独で含有する飼料と同様である。
【0074】
本発明の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飲食品用添加剤(以下、本発明の飲食品用添加剤ともいう)または飼料用添加剤(以下、本発明の飼料添加剤ともいう)は、本発明の植物体または該植物体抽出物を含有し、必要に応じて前述の飲食品に例示した甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物などの添加物を添加して製造することができる。また、本発明の関節炎の予防剤または治療剤に例示した担体を添加してもよい。
【0075】
本発明の飲食品添加剤を添加して得られる飲食品は上記本発明の飲食品として用いることができる。
本発明の飲食品用添加剤を飲食品に添加する場合、その添加量は特に制限はないが、添加された飲食品を摂取する場合に、成人に対し一日あたり本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.1g〜50g、より好ましくは0.5〜10gが摂取される量を添加する。
【0076】
摂取期間は、通常は1週間〜10年間、好ましくは1ヶ月間〜5年間である。該摂取量および摂取期間は、摂取者の症状の程度や年齢、体重等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。
本発明の飼料用添加剤を飼料に添加する場合、その添加量は特に制限がないが、添加された飼料を動物に摂取させる場合、一日あたり本発明の植物体または該植物体抽出物乾燥重量として、好ましくは0.01g/kg〜50g/kg、より好ましくは0.05g/kg〜10g/kgが摂取される量を添加する。
【0077】
摂取期間は、通常は1週間〜5年間、好ましくは2週間〜2年間である。但し、該摂取量および摂取期間は、摂取動物の種類、年齢、体重等に応じて適宜好適な範囲に調整することができる。
本発明の飼料添加物を飼料に添加して得られる飼料は上記本発明の飼料として用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0078】
【実施例】
実施例1
ルイス(Lewis)ラットは、連鎖球菌細胞壁(streptococcal cell wall)を2回投与すると関節炎が惹起されることが知られている[Infection & Immunity, 59(12), 4436 (1991)]。
【0079】
ペプチドグリカン・ポリサッカライド(peptidoglycan polysaccharide)100Pフラクション(以下PG-PS 100と記する)[リー・ラボラトリーズ(LEE LABORATORIES)社製]を滅菌したPBS(−)(塩化ナトリウム:9g、リン酸水素二ナトリウム7水和物:0.795g、リン酸二水素カリウム:0.144gを1Lの蒸留水に溶解したもの) で希釈して0.6 mg/mLとし、超音波洗浄器[US-1型、(株)エスエヌディ製]を用いて20分間超音波粉砕した。得られた溶液をメスの8週齢のルイスラット(チャールスリバー社製)に、1回目の連鎖球菌細胞壁投与として、一匹あたり10μl(6μgのPG-PS 100)を右後肢踵関節内に関節内投与した。
【0080】
一方、左後肢踵関節内には、一匹当たり10μlの滅菌PBS(−)を関節内投与し、ネガティブコントロールとした。
PG-PS 100Pを滅菌PBS(−)で希釈して0.2 mg/mLとし、20分間超音波粉砕した。得られた溶液を1回目の連鎖球菌細胞壁投与の21日後に、2回目の連鎖球菌細胞壁投与として、一匹あたり500μl(100μgのPG-PS 100)を尾静脈より静脈内投与して感作し、ラットに関節炎を惹起した。
【0081】
1回目の連鎖球菌細胞壁投与18日後から、ラットに体重100gあたり、0.5%メチルセルロース400(ナカライタスク社製)1mlを毎日経口投与し、これをコントロールとした。同様に、ラットに体重100gあたり、0.5%メチルセルロース400 1mlに参考例2で製造した甘茶の水抽出残さエタノールエキス10mgを懸濁させた溶液、0.5%メチルセルロース400 1mlに参考例4で製造したユキノシタのエタノールエキス10mgを懸濁させた溶液、または0.5%メチルセルロース400 1mlに参考例2で製造した甘茶の水抽出残さエタノールエキス5mgおよび参考例4で製造したユキノシタのエタノールエキス5mgを懸濁させた溶液をそれぞれ毎日経口投与し、それぞれ試験区1、試験区2および試験区3とした。1回目の連鎖球菌細胞壁投与から24日目に、関節の浮腫をプレシスモメーター[(ユニコム(UNICOM)社製)で測定した。各試験区では5匹のラットを用いた。
【0082】
関節浮腫の容積変化を次式により求めた。
関節浮腫の容積変化=(A−B)−(C−D)
A: 24日目の右後肢踵関節容積
B: 0日目の右後肢踵関節容積
C: 24日目の左後肢踵関節容積
D: 0日目の左後肢踵関節容積
結果を第1表に示す。
【0083】
表中の数字は各処理条件における関節の浮腫の容積の変化を示し、平均値±標準誤差(N=5)で示す。
なお、表中で無処理は、連鎖球菌細胞壁を投与していないことを、コントロールは、0.5%メチルセルロース400のみを経口投与していることを示す。
【0084】
【表1】
【0085】
第1表に示されるとおり、甘茶水抽出残さエタノールエキスおよびユキノシタエタノールエキスを組み合わせて投与した場合(試験区3)には、甘茶水抽出残さエタノールエキスを単独で投与した場合(試験区1)、ユキノシタエタノールエキスを単独で投与した場合(試験区2)、およびメチルセルロース400のみを投与した場合(コントロール)に比べて関節浮腫の程度を示す後肢踵関節容積の増加は顕著に抑制されていた。
上記結果は、甘茶水抽出残さエタノールエキスおよびユキノシタエタノールエキス組み合わせて投与することにより、それぞれ単独で投与するよりも関節炎をより効果的に抑制できることを示している。
【0086】
実施例2
下記組成を混合し、関節炎の予防または治療剤を製造した。
参考例2で製造した凍結乾燥粉末 24.5g
参考例4で製造した凍結乾燥粉末 24.5g
パインデックス#3(松谷化学工業社製) 49g
ピロリン酸第二鉄(鉄源;国産化学社製) 0.1g
ホスカルEFC(カルシウム源;日興ファインプロダクツ社製)1g
ビタミンミックス(メルク社製) 1g
【0087】
実施例3
実施例2で製造した関節炎の予防または治療剤20gを水180mlに分散させ、関節炎の予防または治療剤用飲料を製造した。
【0088】
実施例4
次の配合によりクッキー(30個分)を製造した。
薄力粉 100g
でん粉 74g
水 14g
参考例2で製造した凍結乾燥粉末 15g
参考例4で製造した凍結乾燥粉末 15g
ベーキングパウダー 小さじ2
塩 小さじ2
卵 1個
バター 80g
牛乳 大さじ2
【0089】
実施例5
下記飼料を製造した。
スクロース(キシダ化学社製) 20.0重量%
コーンオイル(ナカライテスク社製) 5.0重量%
重酒石酸コリン(東京化成社製) 0.4重量%
コーンスターチ(日澱化学社製) 39.1重量%
AIN−76ビタミン(オリエンタル酵母社製) 1.0重量%
AIN−76ミネラル(オリエンタル酵母社製) 3.5重量%
セルロース(オリエンタル酵母社製) 5.0重量%
カゼイン(和光純薬社製) 25.0重量%
参考例1で製造した凍結乾燥粉末 0.5重量%
参考例3で製造した凍結乾燥粉末 0.5重量%
【0090】
参考例1
乾燥した甘茶の粉末(志平商店社製)1kgを蒸留水10リットルで2回抽出し(室温、1時間攪拌)、得られた抽出液(甘茶の水エキス)を濃縮後、凍結乾燥することにより、甘茶の水エキスの凍結乾燥粉末200gを得た。
【0091】
参考例2
乾燥した甘茶の粉末1kgを蒸留水20リットルで、1/200希釈液の313nmの吸光度が0.15になるまで、抽出(40℃、攪拌)した。濾過により濾液を除去して抽出残さを得た。該残さを60%エタノール水溶液20リットルで、1/200希釈液の313nmの吸光度が0.22になるまで、抽出した(40℃、攪拌)。該抽出液(甘茶の水抽出残さエタノールエキス)を濃縮後、凍結乾燥することにより、甘茶の水抽出残さエタノールエキスの凍結乾燥粉末70g(対乾葉収量7%)を得た。
【0092】
参考例3
乾燥したユキノシタの粉末(志平商店社製)1kgを蒸留水10リットルで2回抽出し(室温、1時間攪拌)、得られた抽出液(ユキノシタの水エキス)を濃縮後、凍結乾燥することにより、ユキノシタの水エキスの凍結乾燥粉末150gを得た。
【0093】
参考例4
乾燥したユキノシタの粉末1kgを60%エタノール水溶液20リットルで抽出した。(40℃、攪拌)、該抽出液(ユキノシタのエタノールエキス)を濃縮後、凍結乾燥することにより、ユキノシタのエタノールエキスの凍結乾燥粉末315g(対乾葉収量31.5%)を得た。
【0094】
【発明の効果】
本発明により、関節炎の予防剤または治療剤、関節炎の予防作用または治療作用を有する飲食品または飼料、関節炎の予防作用または治療作用を有する飲食品用添加剤または飼料用添加剤、および動物の関節炎の予防方法または治療方法を提供することができる。
Claims (21)
- ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする関節炎の予防剤または治療剤。
- ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、請求項1記載の関節炎の予防剤または治療剤。
- アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、請求項1または2記載の関節炎の予防剤または治療剤。
- 関節炎が、慢性関節リウマチである、請求項1〜3いずれか1項に記載の関節炎の予防剤または治療剤。
- 経口で投与される請求項1〜4のいずれかに記載の関節炎の予防剤または治療剤。
- ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飲食品。
- 飲食品が、関節炎の予防または治療に用いられる飲食品である、請求項6記載の飲食品。
- ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、請求項6または7記載の飲食品。
- アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、請求項6〜8いずれか1項に記載の飲食品。
- ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有する飼料。
- 飼料が、関節炎の予防または治療に用いられる飼料である、請求項10記載の飼料。
- ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、請求項10または11記載の飼料。
- アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である請求項10〜12いずれか1項に記載の飼料。
- ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飲食品用添加剤。
- ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、請求項14記載の飲食品用添加剤。
- アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である、請求項14または15記載の飲食品用添加剤。
- ユキノシタ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物、およびアジサイ属に属する植物の植物体または該植物体抽出物を含有することを特徴とする飼料用添加剤。
- ユキノシタ属に属する植物が、ユキノシタ(Saxifraga stolonifera Meerb.)である、請求項17記載の飼料用添加剤。
- アジサイ属に属する植物が、アマチャ(Hydrangea macrophylla Seringe var.Thunbergii Makino)である請求項17または18記載の飼料用添加剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の関節炎の予防剤または治療剤を動物に投与するか、または請求項10〜13のいずれか1項に記載の飼料を動物に摂取させることを特徴とする動物の関節炎予防方法または治療方法。
- 動物が、ペットまたは家畜である、請求項20記載の方法。
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